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シャナ=ミアの言葉 ~ 第35話 ~

《月地下 ガウ=ラ・フューリア》

[ガウ=ラ・フューリア 内部(玉座の間の下)]

ダ=ニーア「ガウ=ラ・フューリアの存在が地球人に知られ、 皇女殿下とグランティード・ドラコデウスも 奪われた」
ダ=ニーア「しかも、ヴォーダの門が再び開かれようとしている。 このような非常事態にも関わらず、 何故、騎士団は動かぬのだ?」
グ=ランドン「手をこまねいているわけではない。 準備は進めている」
ダ=ニーア「準備だと? 悠長なことを言っている場合か。 ヴァウーラが現れたら、何とする?」
ダ=ニーア「そなたが動かぬのであれば、私が騎士団に命令を……」
グ=ランドン「立場を弁えろ、宰士長。 今、フューリーを統べているのはこの私だ」
ダ=ニーア「なっ……!」
グ=ランドン「それに、ヴォーダの門が開いたとて、 早急に閉じる必要はない。かえって手間が省ける」
ダ=ニーア「そなた、何を……!?」
グ=ランドン「フューリーの未来を作るのは、 地球人との共存を目論むシャナ=ミア皇女に非ず。 このグ=ランドン・ゴーツである」
ダ=ニーア「ち、血迷ったか!  そのようなことは許されんぞ!」
グ=ランドン「許す、許さぬは私が決めること。 ダ=ニーア・ゲルト、貴様の役目は終わった」
カロ=ラン「……連れて行け」
諜士「はっ」
ダ=ニーア「無礼者! 私は宰士長であるぞ!  このガウ=ラで、皇家に永年仕え……!!」
カロ=ラン「心配するな。 その功績を認め、亡骸は刻旅の杜に葬ってやる」
ダ=ニーア「まっ、待て! わ、私は!!」
(足音・ダ=ニーアが立ち去る)
カロ=ラン「……さて、皇女の出奔は結果的には好都合だったが、 鍵は早めに取り戻さねばなるまい」
グ=ランドン「わかっている。 フー=ルーを差し向け、鋼龍戦隊を牽制する」
カロ=ラン「それだけで良いのか?」
グ=ランドン「玉座機が奪還できれば、それに越したことはないが…… 今はガウ=ラ・フューリアとズィー=ガディンの 準備を進めることが肝要だ」
グ=ランドン「そのため、必要以上に地球人共を刺激したくない」
カロ=ラン「とは言え、皇女の居場所も探らねばならぬだろう。 こちらからもジュア=ムを出す」
グ=ランドン「ああ、わかった」

《地球 低軌道上(鋼龍戦隊)》

[ハガネ ブリーフィング・ルーム]

保安員「失礼します。 シャナ=ミア皇女とトーヤ・シウンを 連れて参りました」
ギリアム「ご苦労だった。下がってくれ」
保安員「はっ」
(扉が開く・保安員が立ち去る)
トーヤ(ここにいるのは司令と艦長、ギリアム少佐か)
トーヤ(俺まで呼ばれたのは…… グランティード・ドラコデウス絡みの話を するんだろうな)
マイルズ「さて、シャナ=ミア皇女殿下。 あなたの処遇について、地球連邦軍上層部から 当面の結論が出ました」
マイルズ「まず、あなたをフューリーの皇族として 公式に遇することは出来かねます」
シャナ=ミア「つまり、私が本当にフューリーの皇女であるかどうか 疑わしいと仰るのですね」
マイルズ「上層部の判断は、そうです」
トーヤ「そんな! グランティード・ドラコデウスが 何よりの証拠じゃないですか!」
マイルズ「……貴様に発言の許可は出しておらんぞ」
トーヤ「でも!」
シャナ=ミア「構いません、トウ=ヤ」
マイルズ「公的には先程述べた通りですが、 この戦隊内においては、殿下のお言葉を信用致します」
マイルズ「いや、信用させてもらうために、 ある検証を行わせていただきます」
シャナ=ミア「具体的には、どのようなことになりましょう?」
マイルズ「現在、クロスゲートでは中性子線や重イオン線、 ガンマ線の放射が強まっています。 我々はバースト現象の予兆と見ていますが……」
マイルズ「グランティード・ドラコデウスが ゲートを封印できるという、殿下のお言葉の 真偽を確かめさせていただきたい」
シャナ=ミア「わかりました。 トウ=ヤ、あなたの力を私に貸して下さい」
トーヤ「ああ……父さんのようにやれる自信はないけど、 俺にしか出来ないことなら」
シャナ=ミア「マイルズ司令…… クロスゲートを封じることが出来れば、 上層部の方々に私の話を信じていただけるのですね」
マイルズ「しかし、グ=ランドンがルイーナの出現を 看過したのであれば……」
マイルズ「地球とフューリーの和解は難しいことだと 言わざるを得ませんぞ」
マイルズ「可能性があるとすれば、 グ=ランドンを打倒した後でしょう」
シャナ=ミア「それは……そうかも知れません」
ギント「単刀直入にお聞きしたい。 ガウ=ラ・フューリアが動き出す確率は どのぐらいです?」
シャナ=ミア「何とも言えません。 ガウ=ラを表に出せば、グ=ランドン達も 自らの居所を脅かされるわけですから」
ギリアム「籠城する可能性もあるわけですね」
シャナ=ミア「来たるべき決戦の際は、私も玉座機に乗りましょう」
トーヤ「本気なのか……!?」
シャナ=ミア「ええ。今回の件のみならず、 ルイーナの出現については、グ=ランドンの暴走を 許した私に責があります」
トーヤ「だけど……」
シャナ=ミア「いけませんか、あなたと共に戦っては」
トーヤ「そういうわけじゃない。 だけど、君は自分の臣民に刃を向けることになるんだ。 本当に構わないのか、それで」
マイルズ「グ=ランドンの手勢に対する囮としては、 これ以上ないな」
トーヤ(何だって……!)
シャナ=ミア「トウ=ヤ、私はフューリーと地球の戦いを 阻止したいのです。ヴォーダの門からヴァウーラが 再来するかも知れぬ今、手段は選んでいられません」
ギント「しかし、皇女殿下とトーヤ、 そしてグランティード・ドラコデウスが まとめて奪還されれば、著しく状況は悪化します」
シャナ=ミア「仰る通りです。それを防ぐために、 皆様のお力をお借りしたいと願っています」
シャナ=ミア「その後、必要とあらば、 ガウ=ラへの水先案内も務めましょう」
マイルズ「それは、フューリー根拠地への侵攻に ご協力いただけるということですかな?」
シャナ=ミア「……グ=ランドンから実権を取り戻せば、 平和に向けての対話が成立すると考えています。 そのための行為とお考え下さい」
マイルズ「わかりました。 皇女殿下がグランティードに同乗されるのは 高いリスクを背負うことになりますが……」
マイルズ「クロスゲートを封印する力が存在するか否かを 確かめる……それが統合参謀本部の 指示である以上、避けては通れますまい」
トーヤ「………」
マイルズ「艦長、シャナ=ミア皇女殿下の要請については、 我が戦隊の全力を以て応えることにする」
ギント「はっ」
マイルズ「皇女殿下、警備の都合上、滞在していただく 部屋からの外出を控えてもらいます」
シャナ=ミア「監視もされるのでしょう? 構いません」
トーヤ(……司令達は最悪の場合、ガウ=ラ・フューリアを 破壊するつもりかも知れないが……)
トーヤ(俺はあそこで見てしまった。 刻旅の杜で眠る大勢のフューリー人を……)
トーヤ(シャナ=ミアは彼らを護ろうとしている。 父さんが亡くなった今、俺が力にならないと……)

(ヒリュウ改 ブリーフィング・ルーム)

ヴィレッタ「シャナ=ミア皇女殿下から聞いた フューリーの特殊攻撃、ラースエイレムに関する 情報を伝えておくわ」
ヴィレッタ「まず、あれを搭載しているのは グランティード・ドラコデウス、ラフトクランズ、 クストウェル・ブラキウムのみ」
ヴィレッタ「そして、ラースエイレムの使用にはエネルギー・ チャージが必要であり、機体に負担が掛かるため、 連続して使うことは出来ない」
ヴィレッタ「また、ステイシス・フィールドと呼ばれる 結界の展開時間は、最大で約5分」
ヴィレッタ「なお、エイテルムと呼ばれる特殊な物質が ラースエイレムのコアとなっており、 それには耐用限界があるそうよ」
リュウセイ「限界を超えたら、どうなるんだ?」
ヴィレッタ「その時点で砕けるらしいわ」
カルヴィナ(ソ=デスはそのせいであたしに敗れた……)
ヴィレッタ「エイテルムはフューリーの母星のみで産出されていて、 現状で補給は不可能だそうよ」
ライ「まるでトロニウムですね」
ラッセル「じゃあ、全てのエイテルムが限界に達したら、 フューリーはラースエイレムを使えないのか……」
トウマ「それぞれの機体の残り使用回数は、 わかっているんですか?」
ヴィレッタ「それはフューリーでも把握できていないらしい」
サリー「実際に使ってみなきゃ、わからないんだ……」
ヴィレッタ「なお、フューリーの騎士は許可がなければ ラースエイレムを使えない」
ラージ「ギリアム少佐の推測は正しかったのですね」
ヴィレッタ「ただし、諜士と呼ばれる工作員達は その限りではないそうよ」
ラトゥーニ「時流エンジン以外の対抗策は……?」
ヴィレッタ「ラースエイレムを持ち、 ステイシス・フィールド内で動ける グランティード・ドラコデウスね」
ヒューゴ「フューリーがラースエイレム搭載機を 全て投入してきた場合は 苦戦を強いられるのでは?」
キョウスケ「おれ達相手の戦いで、 切り札を使い切る気があるかどうか……賭けだな」

[ハガネ ブリッジ]

(扉が開く)
ギント「今、戻った」
テツヤ「艦長、シャナ=ミア皇女殿下は?」
ギント「こちらの要求を受け入れた。 そして、然るべき時が来れば、グランティード・ ドラコデウスで戦いに赴くそうだ」
テツヤ「そうですか……」
(アラート)
エイタ「重力震反応を感知!  3時方向、仰角10! レンジ4!  ESウェーブ・パターン、フューリー!」
ギント「総員、第一種戦闘配置。 敵の目的はシャナ=ミア皇女の奪還である 可能性が高い。念のため、警護を厳にせよ」
テツヤ「了解。総員に第一種戦闘配置を発令。 シャナ=ミア皇女の警護を厳にします」


第35話
シャナ=ミアの言葉

〔戦域:地球低軌道宙域〕

(南東端にハガネとヒリュウ改がいる)
ギント「司令、本艦とヒリュウ改は現在位置で固定…… ラースエイレム対策として、エクサランス・ ガンストライカー1機を本艦の直掩に回します」
マイルズ「グランティード・ドラコデウスは?」
ギント「万一の事態に備え、艦内で待機させます」
マイルズ「うむ、ベスト・アンサーだ」
エイタ「目標群、レンジ3へ侵入!」
(北側に敵機が出現)
テツヤ「機動部隊各機、出撃せよ!」
(ベルゼルート・ブリガンディ、エクサランス・ガンストライカー2機が出撃、出撃準備)
カイ「フィオナ、お前は敵がラースエイレムを 使用した時に備え、ハガネの直掩に当たれ」
フィオナ「了解!」
レーツェル「あのラフトクランズのパイロットは、騎士だな」
アイビス「じゃあ、ラースエイレムは使わないんだね」
カルヴィナ「わからないわよ。ジュア=ムの例もあるから」
フー=ルー「グランティード・ドラコデウスは 出撃していませんわね」
準騎士「皇女殿下と共に 別の場所へ移送されたのでしょうか?」
フー=ルー「まだそうと決まったわけではありませんわ。 皇女から話を聞けば、彼らはグランティード・ ドラコデウスを前線から動かさないでしょう」
フー=ルー「各機、攻撃を開始しなさい」
(作戦目的表示)

〈敵機20機以上撃墜 or 3EP or ラフトクランズ・ファウネアのHP80%以下〉

(ハガネにアラート)
エイタ「艦直上に重力震反応!  ESウェーブ・パターン、フューリー!」
マイルズ「本艦を直接狙ってきたか!」
(ハガネ、ヒリュウ改の東西に敵機が転移出現)
ジュア=ム「出てこい、トーヤ・シウン!  てめえはそこにいるんだろうが!」
カルヴィナ「クストウェル・ブラキウム! ジュア=ムか!」
(グランティード・ドラコデウスが出撃)
トーヤ「ジュア=ム……!」
ジュア=ム「現れやがったな!  なら、皇女もハガネにいるってことか!」
トーヤ「この機体もシャナ=ミアも、お前達には渡さない」
マイルズ「艦長! 何故、グランティード・ドラコデウスを 出撃させた!?」
ギント「先程具申した通り、万一の事態に備えるためです」
マイルズ「だからと言って、出撃を許可した覚えはない!」
ギント「敵側には、ラースエイレム搭載機が2機…… 不利な情況です。それを打破するには こちらも抑止力となる機体を出すべきかと」
マイルズ「ぬ……う……!」
フィオナ「あいつ、ラースエイレムを使わないみたいね」
ラウル「いや、まだわからないぞ」
ジュア=ム「フン、ラースエイレムなしでもやってやるさ」
トーヤ「聞こえるか、ジュア=ム!  シャナ=ミアは、地球とフューリーの 戦いを望んでいない!」
トーヤ「それでもお前達は戦争を続けるのか!?」
ジュア=ム「下等な地球人に迎合するなんざ、あり得ねえ!  フューリーを、俺達を捨てた皇女の言葉なんざ、 誰が聞くものかよ!」
トーヤ「それは違う!  シャナ=ミアはお前達を裏切ったわけじゃない!」
ジュア=ム「俺達はフューリーのために戦ってきた!  皇家を信じて、永年耐えてきたんだ!」
ジュア=ム「なのに、地球人を受け入れろなどと!  俺達はフューリー人だ! 奴らとは違う!」
ラミア「……この世界には、異なる出自の者達が多数いる。 お前達もそのことを知っているはずだ」
ジュア=ム「だから、俺達は違うと言ってるだろうがよッ!!」
アラド「あいつ……前に戦った時と様子が違うな」
シャイン「鬼気迫るものを感じますわね」
カルヴィナ「……騎士の禁忌を破ってから、ああなったのよ」
ジュア=ム「それに、トーヤ・シウン!  紛い物のてめえがグランティード・ドラコデウスを 操るなど許されねえ!」
ジュア=ム「てめえがどんな力を持っていようと、 俺達フューリー人にとっちゃ 忌まわしい、呪われた存在なんだよ!」
トーヤ「ジュア=ム…… 俺は親を選んで生まれてきたわけじゃない」
トーヤ「だけど、俺が二つの種族をつなぐ可能性だとしたら、 その宿命を背負う覚悟は出来ている」
ジュア=ム「その戯れ言は、 ヴォーダの深淵に堕ちたエ=セルダに聞かせろ!」
トーヤ「シャナ=ミアの言葉に耳を貸さないなら…… 俺も退く気はない!」
(作戦目的表示)

〈vs ジュア=ム〉

[トーヤ]

ジュア=ム「紛い物のてめえが そいつに乗る資格なんざねえんだよ!!」
トーヤ「だが、グランティード・ドラコデウスは 俺に力を貸してくれている!  シャナ=ミアもそれを認めた!」
ジュア=ム「黙れ、黙れぇ!  たとえ神が認めても、俺は絶対に認めねえッ!!」

[カルヴィナ]

カルヴィナ「シャナ=ミア皇女の言葉…… あたしは信じてみる気になったわ」
ジュア=ム「だからと言って、てめえとの戦いは終わらねえ!  その紛い物ごと始末して、アル=ヴァン様を 救うんだよ!!」
カルヴィナ「それは……それは、あたしの役目よ!」

〈vs フー=ルー〉

[トーヤ]

フー=ルー「坊や、エ=セルダ様の後を継ぐ決意を さらに固めたようですわね」
トーヤ「ああ! 父さんが成し遂げようとしたことは、 息子の俺がやってみせる!」
フー=ルー「フッ……聖禁士長の座は、もう必要ありませんわよ」

[カルヴィナ]

フー=ルー「アル=ヴァンのこと、 気になっているのではなくて?」
カルヴィナ「シャナ=ミア皇女のおかげで 色々なことがわかったわ」
カルヴィナ「でも、あたしが今やることは一つ!  目の前の敵を倒す!」

状況選択

クストウェル・ブラキウムをトーヤが撃墜し、この時、
 エクサランス・レスキューが出撃していて、グランティード・ドラコデウスのサブパイロットは  カティア  テニア  メルア
 エクサランス・レスキューが出撃していなかった
トーヤがクストウェル・ブラキウムのHPを39000以下にした
カルヴィナがクストウェル・ブラキウムを撃墜した
カルヴィナがクストウェル・ブラキウムのHPを39000以下にした
トーヤ、カルヴィナ以外がクストウェル・ブラキウムのHPを39000以下にした
ラフトクランズ・ファウネアを撃墜したのが   トーヤ  カルヴィナ  トーヤ、カルヴィナ以外
ラフトクランズ・ファウネアのHPを36000以下にしたのが   トーヤ  カルヴィナ  トーヤ、カルヴィナ以外


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