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剣、交わる時 ~ 第43話 ~

[ハガネ ブリッジ]

マイルズ「いったい何が起きている!?  情況を報告せよ!」
エイタ「転移出現した超大型艦より、 高出力エネルギーが照射され、ラブルパイラを直撃!」
エイタ「本体は左右に断裂、多数のデブリと化し、 衛星軌道から離脱しつつあります!」
ギント「地球に落ちる物はあるか!?」
エイタ「いえ、軌道後方からの直撃で 加速されたことにより、地球から離れていきます!」
ギント「それを計算した攻撃だったのか……!?」
テツヤ「あ、あの巨大なラブルパイラを 一撃で吹き飛ばすなんて……!」
エイタ「なお、クロスゲート監視艦隊にも 損害が出ている模様!」
(通信)
アヅキ「シャナ=ミア皇女殿下より入電!  緊急伝達事項があるとのことです!」
マイルズ「こちらに回せ!」
(モニターオン)
シャナ=ミア「ハガネの皆様、 あれこそがガウ=ラ・フューリアです」
マイルズ「!」
ギント「では、月の地下から転移してきたのですか……!」
シャナ=ミア「ええ……おそらく、ラブルパイラを排除して ヴォーダの門を制圧するために……」
ギント「皇女殿下、ガウ=ラ・フューリアの 艦首大型砲は連射が可能なのですか?」
シャナ=ミア「いえ、次弾を発射するには、 最大出力なら2時間、最少出力なら 20分ほど掛かります」
マイルズ「あの巨体だ、小回りは利くまい。 本艦は射線軸上から逃げられそうだが、 損害を受けたクロスゲート監視艦隊は……」
ギント「……ガウ=ラ・フューリアは ヴォーダの門を制圧した後、何をする気なのです?」
シャナ=ミア「これから、そのことを質す通信を入れるつもりです」
ギント「応答がなかった場合は?」
シャナ=ミア「私自らがグ=ランドンの下へ赴きましょう。 フューリーと地球の戦いを終わらせるために」
トーヤ「シャナ=ミア、俺も付き合う」
シャナ=ミア「お願いします。ガウ=ラ・フューリアには 強固なバリアがありますが、玉座機の オルゴン・クラウドならばそれを中和できますので」
マイルズ「グランティード・ドラコデウスだけを 出すわけにはいきませんな」
シャナ=ミア「!」
マイルズそれは我らとグ=ランドン、双方にとっての 切り札なのですから」
トーヤ「だから、それを逆手に取って……」
マイルズ「むざむざと敵の下へ送り込むことは出来ん。 ガディソードとの決戦が終わったばかりで 諸々苦しい状態であるが……」
マイルズ「ガウ=ラ・フューリアへは 鋼龍戦隊の総力を挙げて、進撃する」
シャナ=ミア「マイルズ司令……」
ギント「統合参謀本部の許可は?」
マイルズ「無論、報告はするが、許可を待つ余裕はない。 20分後に艦首大型砲が地球や月、コロニーに 向けられる可能性もあるのだ」
テツヤ(司令がそんなことを言うなんて……)
ギント「すぐにフューリーが襲撃してくるかも知れません。 迎撃態勢を維持しつつ、補給や応急修理が 必要な機体を帰艦させます」
マイルズ「うむ。準備が整い次第、 ガウ=ラ・フューリアへ突入する」

《クロスゲート近傍宙域》

[ガウ=ラ・フューリア 内部(執務室)]

フー=ルー「フー=ルー・ムールー、参りました」
グ=ランドン「先程、シャナ=ミア皇女から通信が入った。 我が目的を質す内容であった」
フー=ルー「お応えになったのですか?」
グ=ランドン「いや」
フー=ルー「では、皇女殿下はガウ=ラへ攻め込まれますわね、 鋼龍戦隊と共に」
グ=ランドン「……フー=ルーよ、 今や、フューリア聖騎士団の騎士は 私と貴様だけになった」
フー=ルー「アル=ヴァンの分まで、戦い抜きましょう」
グ=ランドン「うむ。 そして、次の総代騎士として、剣を振るうがよい」
フー=ルー(グ=ランドン様は フューリーの新たな皇帝になられるおつもり……)
フー=ルー(しかし、私が総代騎士になっても、 真の意味で傍にいることを許されるのは、 玉座機に乗る資格を持ったあのお方……)
グ=ランドン「総代騎士として命じる。 ガウ=ラ・フューリアの行く手を封じる 地球人達を討ち果たせ」
グ=ランドン「そして、皇女殿下と玉座機を奪還するのだ。 よいな?」
フー=ルー「はっ、この命に代えましても」

[ガウ=ラ・フューリア 独房]

アル=ヴァン(先程の振動、只事ではなかった。 もしや、ガウ=ラ・フューリアが浮上したのか?)
(足音)
フー=ルー「………」
アル=ヴァン「フー=ルー……」
フー=ルー「ガウ=ラ・フューリアは月から飛び立ったわ」
アル=ヴァン「何……!?」
フー=ルー「これから私は鋼龍戦隊との決戦に赴く……」
(キー操作の後、扉が開く)
フー=ルー「解錠したわ。これであなたは自由の身よ」
アル=ヴァン「グ=ランドンの意志ではないな。 君の判断か?」
フー=ルー「ええ」
アル=ヴァン「何故、このようなことを?」
フー=ルー「そうね……強いて言えば、贖罪よ」
アル=ヴァン「私を牢から出して、何をさせようと言うのだ?」
フー=ルー「あなたがその命をどう使うか、 騎士として何を成し遂げるか…… 私はそれが知りたいのかもね」
アル=ヴァン「………」

《クロスゲート近傍宙域(鋼龍戦隊)》

[ハガネ 格納庫]

ジーク「補給を急いでくれ! すぐに発進してえんだ!」
サリー「発進って、どこへ行くつもりなの!?」
ジーク「ラブルパイラの残骸には まだ生存者がいるかも知れねえ!」
ジーク「早くしないと、衛星軌道の外まで流れて 回収不能になっちまうぞ!」
サリー「に、兄さん……あれでは、もう……」
ジーク「まだそうだと決まったわけじゃねえ!」
サリー「だけど…… あ、あんな風に粉々になってしまったら……」
フェアリ「ジーク……生き残ったガディソード人は…… 私達だけなのかも知れない……」
ジーク「そ、そんなこと!」
ギリアム「現在、クロスゲート監視艦隊が 生存者の捜索を行っているが、おそらくは……」
ジーク「う………」
サリー「う、うう……」
アキミ(サリー……)
カイ「フェアリ、ジーク、サリー……これから我々は ガウ=ラ・フューリアへの突入作戦を敢行するが、 お前達は参加しなくていい」
カイ「今からクロスゲート監視艦隊へ行ってくれ。 先方に話はしておく」
ジーク「……いや、俺も作戦に加わるぜ。 ガウ=ラ・フューリアの中にいる奴らを ただで済ます気はねえ!」
シャナ=ミア「………」
フェアリ「……ジーク、気持ちはわかるわ。 私にだって、怒りはある」
フェアリ「でも、それだけでフューリーと戦うのは良くないわ」
ジーク「何故だ?」
フェアリ「私達だって、ヘルルーガという 間違った指導者に導かれてきたのよ」
ジーク「……!」
シャイン「フェアリさんの仰る通りでございますわ。 民意でなく選ばれた為政者の罪を 民草に向けるのは、不幸な連鎖を生むだけです」
シャナ=ミア「そのためにも私がグ=ランドンを 止めなければならないのです」
シャナ=ミア「彼の者の跳梁を許してしまったのは、 皇族たる私の不徳故ですから」
シャイン「誇りと義務、その双方が命じると……?」
シャナ=ミア「その通りです、シャイン王女殿下」
ジョッシュ「俺も協力します。 ファブラ・フォレースの件で、 グ=ランドンに確かめたいことがありますので」
カルヴィナ「あたしもよ。ガウ=ラ・フューリアには 会わなければならない男がいるから」
シャナ=ミア「……アル=ヴァン・ランクスですね」
カルヴィナ「そうよ。 今という情況で彼が何を考えているのか…… 何をするつもりなのか、確かめたい」
シャナ=ミア「それは……私も同じです」
カルヴィナ「………」
イルム「要は、幽閉されているあの男を 助けたいってんだろう」
カルヴィナ「誤解しないで。あたしは真実を知りたいだけ」
イルム(やれやれ、素直じゃないねえ)
ハーケン「OK、ホワイト・リンクス。 男女間のわだかまりを解消するのは、 直接会って話すのが一番さ」
カルヴィナ「そういうつもりじゃ……!」
エクセレン「囚われの王子様を助けるってのは なかなかレアなケースだけど、協力するわよん」
アヤ「私もよ。あなたには、まだチャンスがあるから」
カルヴィナ「アヤ大尉……」
アヤ「素直になりなさい。 それで道が拓けるかも知れないわ」
フェアリ「そう…… 大尉の言う通り、あなたには深まってしまった溝を 埋められる機会があると思うわ」
フェアリ「私達とは違って……」
カルヴィナ(ヴォート・ニコラウスのこと……?)
フェアリ「シャナ=ミア皇女殿下、私もあなたに協力致します。 復讐ではなく、志を同じくする者として」
シャナ=ミア「志……」
アケミ「そっか、フェアリさんもシャナ=ミアさんも 地球の戦いを止めるために行動してきたから……」
シャナ=ミア「ありがとうございます、皆さん…… 心強く思います」
シャナ=ミア(生まれた星が異なる方々と このように接することが出来るのなら……)
シャナ=ミア(私とエ=セルダが願った未来は、 そう遠くないのかも知れません……)

トーヤと一緒にフューリーに捕まったのは
カティア テニア メルア


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