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パフォーマーズ ~ 第22話 ~

[ラブルパイラ 内部(会談室)]

ヘルルーガ「地球に赴いたビルゴーからの報告により、 アリアードが鋼龍戦隊のハガネに 積み込まれていることが判明した」
ヘルルーガ「以後はあの艦に狙いを絞り、奪還作戦を敢行する。 ただ、私はゴライクンルに必要以上の借りを作りたく ない。故に我が方から戦力を派遣するのだが……」
ヘルルーガ「親衛隊はラブルパイラの防衛に専念させたい。 よって、ヴォート……貴様の部隊から 人員を割いてもらう」
ヴォート「はっ」
ヘルルーガ「知っての通り、ジーベ・ドライブは 我が方の最重要機密であり、ゴライクンルとの 取引材料の一つであるが……」
ヘルルーガ「アリアードがどのような状態で ハガネの中に存在しているかわからん。 もし、取り返せぬと判断した場合は破壊せよ」
ヴォート「よろしいのですか?」
ヘルルーガ「ああ、地球人に解析されるよりはましだ。 ジーベ・ドライブはあと2基あるからな」
ヴォート「了解しましたが…… 地球人は何故、アリアードをハガネに 積み込んだのでしょうか?」
ヘルルーガ「その理由にはフェアリ・クリビアが 関わっているのかも知れん」
ヴォート「……!」
ヘルルーガ「あの女はジーベ・ドライブの正体を知らぬが、 あれが最重要機密であることは 理解していたはず……」
ヘルルーガ「故に、地球人へそのことを吹き込み、 我らの目を引きつけるための手段として、 鋼龍戦隊にアリアードを預けたのかも知れぬ」
ヴォート「……それは回りくどいやり方ではないでしょうか」
ヘルルーガ「確かにな。フェアリ・クリビアは我らとゴライクンルの 関係を知っていた……その事実を地球側に伝えれば、 我らに和平の意志などないとわかるはず」
ヘルルーガ「にも関わらず、地球人はヒリュウ改で 事前交渉のための特使を寄越した」
レジアーネ「しかも、あの時のゴライクンルの襲撃が 芝居だと気づいていないようでしたからねぇ」
ヘルルーガ「うむ。マルム・クイスードが独断で秘密裏に 地球側へ和平交渉を持ちかけていたと知った時は さすがに困惑したが……」
ヘルルーガ「どうやら、取り越し苦労だったようだ」
レジアーネ「フェアリ・クリビアが裏切ったせいで、 地球人が交渉のテーブルに着くことなく、 攻め込んでくると思っていましたからねぇ」
ヘルルーガ「だが、地球側の対応には疑問がある。 彼らがこのラブルパイラに対し、 戦力を差し向けぬ理由が今一つ解せん」
レジアーネ「やはり、地球の大都市に現れた化け物共の処理で 手一杯なのでは?」
ヘルルーガ「その可能性は高いが……フェアリ・クリビアから 真相を聞き出せていないということもあり得る」
レジアーネ「それは……」
ヘルルーガ「アリアードを回収した後で、 フェアリ・クリビアが死亡したかも 知れんということだ」
レジアーネ「つまり、地球人はあの女から中途半端な情報しか 引き出せていないと?」
ヘルルーガ「そう考えれば、ある程度の辻褄が合う」
ヴォート「………」
ヘルルーガ「いずれにせよ、地球人の手許にジーベ・ドライブを 置いておくのは好ましくない。ガディソード人の手で あれを奪還するのだ」
ヴォート「はっ」
レジアーネ「で、誰を送り込むつもりさね」
ヴォート「ジーク・アルトリートとサリー・エーミルを。 彼らは鋼龍戦隊と共同戦線を展開したことがあるので」
レジアーネ「それがどうしたって言うんだい?」
ヴォート「レオニシス・ハーガとヴァーガの存在は、 鋼龍戦隊に知られています。そこで、あの2人に 我が方からの脱走者を演じさせ……」
ヴォート「可能な限り、ハガネに接近させます」
レジアーネ「そんな手、上手く行くものかね」
ヴォート「面識が全くない者より、信憑性はありましょう。 こちらの真意を探るためにも、投降の意を示した者を 撃墜することはないはず」
レジアーネ「だけど、戦力を展開された上で 母艦から離れた所へ連れて行かれ、 武装解除されるのかオチじゃないかい?」
ヴォート「それでも陽動になります。 ジークとサリーが鋼龍戦隊と接触した後、 頃合いを見計らって増援を転移させます」
ヘルルーガ「それで構わんが、 選抜した2名に余計な情報を与えぬようにな」
ヴォート「承知しております」
レジアーネ「いいかい、ヴォート。ヘルルーガ様は あんたを見込んで真相を打ち明けられたんだ。 必ず作戦を成功させて、期待に応えな」
ヴォート「はっ……」

《月軌道外宙域(ゼラニオ級戦闘空母)》

[ゼラニオ級戦闘空母 ブリッジ]

イラドーヤ「ビルゴーちゃん、お友達が来たわよぉ」
ジーク「友達? 俺達はアネクスの正規軍だ。 ラットマの実験部隊上がりと 一緒にしてもらっちゃ困る」
ビルゴー「貴様……誰のおかげで生き延びられたか、 わかっていないようだな」
ジーク「頼んだ覚えはねえ。 俺達は、むしろ巻き込まれたのかも知れねえんだ」
ビルゴー「今の立場を弁えろ。ラブルパイラで お前が吸っていた空気、そして水や食料は 全てヘルルーガ様あっての物だ」
ジーク「だから、何だってんだ?」
イラドーヤ「あらあらぁ、仲がいいことで。 けど、作戦の打ち合わせをして欲しいわねぇ。 演技とか、大丈夫ぅ?」
サリー「は、はい、何とか……」
ジーク「あんたがやった程、 上手くはやれねえかも知れんがな」
イラドーヤ「それって、嫌味?  もしかして、あの時の襲撃を恨んでるぅ?  あなた達には手加減してあげたんだけどぉ」
ジーク「そうは見えなかったぜ」
イラドーヤ「まぁ、いいわ。 それじゃあ、ビルゴーちゃん…… こっちからはキナハちゃんを出すからね」
ビルゴー「了解した」
イラドーヤ「クピッドも何機か出してもらおうかな。 誰かさんのおかげで、ゴライクンルと ガディソードの関係はバレバレだけど……」
キナハ(……まだ言いますか)
イラドーヤ「追っ手にあなた達の機体が交じってたら、 信憑性が増すでしょ?」
ビルゴー「いいだろう」
イラドーヤ「それじゃあ、ジークちゃんにサリーちゃん。 いいお芝居を頼むわよぉ」
サリー「はい」
イラドーヤ「あ、演技のつもりが本気になっちゃった……ってのは 勘弁してねぇ」
ジーク「……ああ」

[ゼラニオ級戦闘空母 格納庫]

サリー「ええっ、本気なの!?」
ジーク「ああ、そうだ」
サリー「いくら何でも、それは……。 後戻り出来なくなるわよ」
ジーク「フェアリはそれを承知の上で アリアードってのを持ち出したんだろう。 そこに真実があるんじゃねえのか」
サリー「………」
ジーク「騎長は俺達に本当のことを教えなかった。 しかも、こないだと今回の話じゃ、食い違う点がある」
サリー「そうね……」
ジーク「ヘルルーガ達は騎長を抱き込んでる。 あいつらが隠している何かを暴く鍵は、 フェアリとアリアードだ」
サリー「……ジークは、フェアリが無事だと思ってる?」
ジーク「可能性はゼロじゃねえだろう。 アリアードがハガネに積まれてるんなら、 ひょっとして……」
サリー(もしかして、騎長もそれを……)
ジーク「俺達はヘルルーガのおかげで 生き延びられたのかも知れんが、だからと言って 奴に好き勝手をやらせる理由にはならねえ」
ジーク「それに、ラブルパイラが跳ばされちまった件、 ゴライクンルの件、マルム・クイスード頭領長の件…… そのどれにも俺達が聞かされてねえ裏がある」
ジーク「俺は事の真相を知らねえまま、 ラットマの連中の捨て駒になって 死ぬのは御免だ」
ジーク「奴らがゴライクンルと組むのなら、俺は……」
サリー「戻れなくなってもいいの?」
ジーク「そのつもりはねえし、そうなるとは限らねえ。 フェアリだって、そう考えてたと思うぜ」
サリー「………」
ジーク「チャンスは一度しかねえ。 あのイラドーヤって女、勘が鋭いみてえだしな」
サリー「……わかったわ。 私もどうしてラブルパイラがこの星系へ 転移してしまったのか、その理由が知りたい」
サリー「そして、フェアリの真意もね」
ジーク「すまねえな、サリー」
サリー「ううん、いいのよ……兄さん」

《インド デリー近郊(鋼龍戦隊)》

[ハガネ ブリーフィング・ルーム]

カチーナ「……隊長クラスを呼び出してブリーフィングか。 いよいよデカい作戦が始まるみてえだな」
イルム「ラマリス絡みなのは確実として……パリ行き決定か?」
アヤ「もし、父が提案した実験の結果が 統合参謀本部に評価されたなら、 あり得るかも知れませんね」
(扉が開く)
マイルズ「……各員、揃っているな」
カイ「はっ」
マイルズ「着席してくれ。艦長と各隊の隊長を集めたのは、 今後の作戦について説明をするためだ」
マイルズ「先日のコバヤシ博士の提案による 実験の結果を統合参謀本部で検討、 一つの結論が出た」
マイルズ「我が戦隊が保有するT-LINKシステムシュンパティア、サイトロンなどのシステムには ラマリスの再出現を止める効果がある」
マイルズ「そのため、戦隊を二分して、 戦略上の要衝へそれぞれ投入されることとなった。 第一の目的は、パリ奪還である」
マイルズ「現在、南欧方面軍を中心とした 解放作戦が予定されている。ハガネはそれに参加する」
ギント「はっ」
マイルズ「パリ奪回と平行して、ヒリュウ改は 各地のラマリス掃討作戦を続行してもらう」
レフィーナ「了解です」
マイルズ「いいか、ラマリス討伐作戦で中核となるのは 我々である。故に……」
(サイレン)
マイルズ「何だ?」
レフィーナ「本艦の副長から報告があるとのことです」
ショーン「司令、EG所属と思しき機体が2機、接近中です。 こちらへ通信を入れ、コンタクトを希望しています」
マイルズ「何だと……!?」
キョウスケ(EG……)
ヴィレッタ(ガディソードか)
マイルズ「戦闘の意志はないと言うのか?」
ショーン「はっ、武装解除に応じるとのことです」
マイルズ「むう……まずは統合参謀本部の 判断を仰がねばならんな。返答が来るまでの間、 ヒリュウ改にて対応させる」
レフィーナ「了解ですが、我が方の混乱を避けるために EGに関する情報を一部だけでも 解禁した方がよろしいのでは?」
マイルズ「それも上の判断を仰ぎたい所だが…… そうも言っていられんか。 ブリーフィングでの説明を許可する」


第22話
パフォーマーズ

〔戦域:草原〕

(南西端にヒリュウ改がいる)
レフィーナ「本艦は現在位置でTD滞空。各機、出撃せよ」
(ソウルセイバーが出撃、出撃準備)

ソウルセイバーの換装は
FF GG


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