（南端にヒリュウ改が転移出現。ヒリュウ改はエネルギー・フィールドを張っている）
ショーン「艦長、第二中継点への空間転移が終了しました」
レフィーナ「エネルギー・フィールド、最大出力で全球展開」
（ヒリュウ改にアラート）
ユン「レーダーに感！
戦艦と思しき物体、３時方向、俯角５！
数は１、レンジ２！」
マイルズ「ゾヴォークか！？」
（北側にゼラニオが見える）
ユン「はい、ゼラニオ級戦闘空母です！」
ショーン「ヨン少尉の読みがまた当たりましたな」
マイルズ「先程といい、今回といい、タイミングが良過ぎる。
おかしいと思わんか」
ショーン「少尉が情報を漏洩したとでも？」
マイルズ「可能性はある。会遇という言葉では……」
（ゼラニオが少し北へ移動）
マイルズ「む？ 後退するのか？」
ショーン「敵は事前に機動兵器を展開しておらず、
先制攻撃も行いませんでした。我々の転移は、
先方にとっても予期せぬ事態だったのでは？」
マイルズ「つまり、鉢合わせか。
だが、先制しなかった理由が解せん」
レフィーナ「司令。対応しますが、よろしいでしょうか？」
マイルズ「任せるが、深追いはするな」
レフィーナ「了解です。
面舵９０度、対艦戦闘用意！」
（ヒリュウ改が北を向く）
キナハ「くっ、離脱が間に合わないとは……！
しかも、よりにもよって、蛮奴の
あの艦が転移して来るなんて……」
キナハ「このような偶然……何という不運……！
出だしからこれでは、私の立場がありませんよ」
レフィーナ「エネルギー・フィールドを一時解除！
機動部隊各機、直ちに出撃！」
（ヒリュウ改がエネルギー・フィールドを解除。出撃準備）
バイオロイド兵「警告。敵艦が機動部隊を展開」
キナハ「こちらの空間転移までの時間は？」
バイオロイド兵「あと１２０」
キナハ「我々の姿を見られてしまったのは拙いですが、
何とか逃げ切るしかありませんね」
（ゼラニオが少し北へ移動）
カチーナ「何だ、あいつ？ 随分と弱腰じゃねえか」
アヤ「交戦せずに済むのなら、
それに越したことはないけど」
ユン「ヨン・ジェバナ少尉より、
ゼラニオ級との通信許可要請が来ています。
彼らの所属を質したいとのことです」
レフィーナ「司令、いかがしますか？」
マイルズ「……通信内容をオープンにするのであれば、
許可する」
ユン「伝達します」
（ゼラニオに通信）
バイオロイド兵「報告。敵より通信回線で入電」
キナハ「蛮奴め、降伏勧告でもするつもりですか」
ヨン「私はガヤットーバ・スチェッカ。
ゾヴォーク枢密院特使、メキボス・ボルクェーデの
補佐官です」
キナハ「！！」
ヨン「枢密院の許可なく、
地球圏で軍事行動を取ることは禁じられています。
そちらの所属と官姓名を述べなさい」
ヨン「なお、返答なき場合は、実力を行使して
貴艦を臨検します」
キナハ「くっ、よりにもよって、あの女がこんな所に……！
私はどこまで運が悪いのか……！」
キナハ「こうなったら、手段は選んでいられません。
迎撃機を出しなさい。本艦が転移するまでの
時間を稼がせるのです」
バイオロイド兵「警告。
本隊への兵器納品数減少、情報漏洩の危険性あり」
キナハ「もうこちらの素性は知られたも同然ですよ。
御曹司に言い訳のしようがありませんが……」
キナハ「この艦が拿捕されるという最悪のケースだけは
避けねばなりません。私の命令を遂行しなさい」
バイオロイド兵「了解」
（ゼラニオの周りに敵機が出現）
ブリット「あれが返答か！」
カチーナ「ヘッ、望む所だぜ」
ヨン「……彼らは、ほぼ間違いなく
ゴライクンルの手の者ですね」
ライ「その根拠は？」
ヨン「機動部隊を事前に展開せず、
ヒリュウ改の転移出現直後に
先制攻撃を仕掛けてこなかった理由……」
ヨン「それは、ここへ現れたのが
ゾヴォークの艦であったならば、迂闊に
攻撃するわけにはいかなかったからです」
ライ「つまり、転移してくる者を見極めようとしたのか」
ヨン「ええ」
リュウセイ「俺達はともかく、
ゾヴォークの艦が転移してくるんなら、
予めわかりそうなもんだがな」
ヨン「彼らが正規の認可を受けて行動しているのなら、
そうでしょう。本当はヒリュウ改が現れる前に
ここから離脱したかったのだと思いますよ」
ヨン「もっとも、逃げ切れなかったとしても、
敵対行動さえ取らなければ、
後で白を切れますから……」
ヨン「それで先制攻撃を仕掛けられなかったのは、
私達にとって幸運でした」
タスク「逆に、ここにヨンがいたのは
あいつらにとっちゃ不運だったんだな」
ヨン「おそらく」
ヴィレッタ「何にせよ、迎撃機を出してきた以上、
看過するわけにはいかない。各機散開して攻撃。
それでいいわね、ヨン少尉？」
ヨン「私の立場としては、
ゼラニオを拿捕して臨検したい所ですが……
そうも言っていられませんね。了解です」
キナハ「……どうやら、あの男はいないようですね。
それが不幸中の幸い……
何としても逃げ切ってみせますよ」
（作戦目的表示）
キナハ「こうも早く食い込んでくるとは……！
やはり、鋼龍戦隊は侮れませんね……！」
キナハ「うぬっ、雲行きが怪しくなって来ましたね……！
最悪の場合、私はオーグバリューで脱出します。
空間転移装置の準備を」
バイオロイド兵「了解」