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ロドニー捕囚

[フリングホルニ 食堂]

マサキ「…………」
(扉が開く)
リューネ「あ、マサキ。 マサキも今から食事?」
マサキ「…………」
リューネ「あれ? マサキ、どうしたのよ?」
マサキ「…………」
リューネ「マサキ! マサキったら!」
マサキ「んあっ? な、何だ……
 って、リューネか。驚かすな」
リューネ「何言ってんの。 マサキがボーっとしてただけでしょ。 何度呼んでも返事しないし」
マサキ「あー……そうだったか?」
リューネ「考え事?」
マサキ「まあ、ちょっとな。 色々あったんでな……」
リューネ「ふーん……
 悩みがあるんなら相談に乗るけど?」
マサキ「いや、今はいい。 それより飯にするか」
リューネ「そう? だったらいいんだけど……
 あ、そうだ。 そろそろエルシーネさんの演説が 始まってるはずだよ」
マサキ「へぇ、もうそんな時間か」
リューネ「生中継だし、ちょっとホロテレビ つけてみる?」
マサキ「ああ、そうだな」
(スイッチを入れる)

<No.022:エルシーネの演説

エルシーネ「……そういった歴史的な経緯は わたくしもよく存じています。
 ですが、もう一度よく考えてください。 力で屈服させた相手は、心まで屈服する でしょうか?
 それはただ、反感を生み、新たな憎悪を 生み、恨みを拡大再生産しているに 過ぎないのではないでしょうか?
 憎しみは、同じ憎しみとして報復して きます。無限に続く鎖を断ち切るのは、 今のわたくし達にしかできません」
リューネ「……言ってる事はわからないでも ないけど、ちょっときれい事過ぎるかな」
マサキ「そうか?  もっともな事じゃねぇのか?」
リューネ「だってさ、戦争に限らなくたって 憎しみは生まれるんだよ?
 それを無くすって事は、人間じゃ なくなるって事になんないかな?」
マサキ「いや、だからそれは理想として 語ってるワケだしなぁ。 理想は必要だろ?」
リューネ「それはわかってるよ。 けどさ、それしか主張しないってのは どうかと思うよ。親父はそれで……」

[フリングホルニ 食堂]

(通信が入る)
マサキ「ん? 何だ?  速報が入ったのか?」
リューネ「えーと……
 えっ!? 南部が奇襲!?  これって……戦争が始まったって事!?」
マサキ「くそっ!  招集をかけろ!  ブリーフィングだ!」

[フリングホルニ ブリーフィングルーム]

セニア「南部の奇襲の話は、みんなもう 知ってるよね?」
ベッキー「ああ、速報が入ったからね。 まったく、エルシーネの演説の最中に 奇襲とはねぇ……」
マサキ「こいつはほっとけねぇな」
テュッティ「ええ、聯盟条約に照らし合わせれば、 南部の奇襲は条約違反に相当するかも」
マサキ「俺達の出番だな」
ワグネル「そうですね」
セニア「あ、その前に……実はもう一つ、重大な 問題が発生したの」
ミオ「あれ? 何かこの前も似た様な事が あった気がする」
セニア「この前よりも事態は深刻よ。 ロドニーとエリスが、北部軍の諜報部に スパイ容疑で拘留されたの」
ミオ「おっちゃんがっ!?」
マサキ「スパイ容疑だと……?  まさか、俺達がやらせてると?」
セニア「そういう密告があったらしいのよ」
アハマド「証拠もなしに、密告だけで拘留とは、 無茶な事をしたものだな」
セニア「ああ、もちろん拘留は別件よ。 公務執行妨害とか、その辺の微罪。
 本来なら、すぐにでも証拠不十分で 釈放されるはずなんだけど、今回の南部の 奇襲で、戒厳令がしかれちゃったのよ。
 戒厳令下では、スパイ容疑はかなり しつこく取り調べが入るから、 保釈も難しい状況よ」
アハマド「そうなるど、アンティラス隊と シュテドニアス二重帰属が問題に なりそうだな」
セニア「そうなのよ、だから……」
(通信が入る)
セニア「え? あ、ちょっと待って。 北部軍から通信よ」
ワグネル「今の話と関係ありますか?」
セニア「多分……メインに繋ぐ?」
ワグネル「お願いします。 マサキ、あなたが出てください」
マサキ「へっ? 何で俺に振るんだよ?」
ワグネル「おそらく、この通信では迅速な判断が 必要になると思われます。私は 代表ですから、即断はできません。
 ですので、マサキ、あなたにこの場を 代表して頂きます」
マサキ「……何か、逃げられた様な気が しないでもねぇが……
 わかったよ。 じゃ、メインに出してくれ」
(通信が繋がる)
アクレイド「あ~、どうも、初めまして。 私、北部軍参謀本部のアクレイド・バロム 中尉といいます」
マサキ「あ、ああ。俺は……」
アクレイド「知ってますよ、マサキ・アンドー。 あなた方は有名人ですから」
マサキ「……そうか。 だったら用件を聞かせてくれ」
アクレイド「大体予想はついてると思うんですけど、 ロドニー・ジェスハ氏についてです」
マサキ「やっぱりそれか……
 言っておくがな、あいつはスパイじゃねぇ」
アクレイド「まあ、そうでしょうね」
マサキ「だから違うって……
 ん? 何だと?」
アクレイド「いえ、だから、ジェスハ氏はスパイじゃ ないって話ですよね?」
マサキ「あ、ああ、そうだが……
 いや、ちょっと待て!  スパイじゃないってのがわかってるんなら、 今すぐ釈放しろ!」
アクレイド「あ~、いえ、今のは私個人としての 感想でして、残念ながら我が軍の 総意ではないんですよ」
マサキ「お前……ロドニーと知り合いか?」
アクレイド「一緒の部隊になった事はありませんけど、 何度か話した事ならありますよ」
マサキ「だったら、わかるだろうが。 あのおっさんがスパイなんて器用なマネ、 できるワケねぇって」
アクレイド「そうとも言えない部分もありますけど、 まあ、おおむね同意します。 個人的意見ですが」
マサキ「……お前、何が言いたいんだ?」
アクレイド「彼の無実を証明して欲しいんですよ」
セニア「いきなり難題を押しつけてくれるわね。 大体、推定無罪なんだから、罪状を 証明するのはそっちの仕事でしょ?」
アクレイド「でも、それだと時間が 掛かっちゃいますよ?」
セニア「うっ……そ、そうだけど」
アハマド「我々に何かをさせたいのだな?」
アクレイド「ご明察です。今、我が軍が奇襲を 受けているのはご存知ですよね?」
マサキ「ああ。もしかして、俺達に 南部軍と戦えって言いたいのか?」
アクレイド「話が早くて助かります。 その通りです」
マサキ「いやいやいや、それこそそっちの やるべき仕事だろうが」
アクレイド「まあ、そうなんですけどね。 でも、あなた方の仕事でもあるんですよ」
テュッティ「……考えたわね。 聯盟条約を利用するつもりね?」
アクレイド「はい。今回の南部の奇襲は、 聯盟条約で定められた交戦権の 拡大解釈に当たります」
テュッティ「厳密に言えばそうなるけど、それは 当事国同士で解決するべき問題よ」
アクレイド「でも、現在はそのための機関として アンティラス隊が設立されたワケで。 強制施行は可能なはずですよ」
テュッティ「取引としてそれを使われるのは問題よ。 私達に対する内政干渉に当たるわ」
アクレイド「まあ、そこはそれ。 お互いウィン・ウィンならいいかな、と」
テュッティ「随分いい加減……もとい。 柔軟な思考をしてるのね」
アクレイド「正直言うと、私としてもジェスハ氏には 色々と期待している事もありまして。
 今回の話も、軍としての要望ではなく、 私個人の雑談です」
マサキ「堂々と軍の回線を使って雑談か?」
アクレイド「盗聴や記録の恐れはありませんよ。 保証します」
テュッティ「確かに、私達も何らかの処置を執る つもりだったわ、南部に対してね」
アクレイド「ですよねぇ」
テュッティ「でも、それをあなた方に取引として 利用されてしまっては、私達は 動けないの」
アクレイド「ですから、ほら。 そこは内密に……」
テュッティ「余計タチが悪いわ。機密交渉が 必要なのは理解してるけど、これは 裏取引と同じよ。
 大体、この交渉が表に出ないのであれば、 ロドニーの無実証明にも ならないでしょう?」
アクレイド「ああ、その点なら大丈夫です。 あなた方が南部の奇襲に対して処置を 執った、という事実が必要なだけですから。
 そうすれば、アンティラス隊が 南部に便宜を図っていない証明に なりますからね」
セニア「……だったらさ、どうしてあたし達に 連絡してきたの?
 ほっといてもあたし達は、南部に対して 然るべき処置を執るってのは、 予想してたんでしょ?
 なのに、わざわざ連絡入れて波風立てる なんて、裏があるんでしょ」
アクレイド「おや、さすがはセニア様。 素晴らしい洞察です」
セニア「伊達に情報部にいたワケじゃないわ」
アクレイド「実は、ジェスハ氏に関して、 あなた方にお願いがあるんですよ」
セニア「それが本題?」
アクレイド「ええ、ですがこれについては、 まだ本人の意思確認もありまして、 正式に話す事はできません」
セニア「……そのお願いってのがどんなのだかは わからないけど、随分手回しが いいみたいね」
アクレイド「元来心配性でして。 ついつい、先の事を考えちゃう タチなんですよ」
セニア「あんた、かなりの戦略家ね?」
アクレイド「いやあ、買いかぶりすぎですよ。 とにかくそのお願いについては、今は 考慮しなくて結構です。
 私としては、あなた方と繋ぎをとるのが 最大の目的でしたから。 その点については納得してます。
 あなた方の個性や考え方も 把握できましたしね」
セニア「……用件はもう終わりね?  だったら切るから」
アクレイド「あ、はい。長々とすみませんでした。 それでは」
(通信が切れる)
マサキ「何だ、あいつ…… 裏の裏とか、そういう事まで 読んでやがるのか?」
セニア「うん、とぼけた顔してるけど、 とんでもない相手よ。あんまり 敵に回したくないわ。
 今だって、さっさと通信切っちゃったのは、 あいつに情報与えたくないからだし。
 おじさんが通信に出なかったのも そのためでしょ?」
ワグネル「んー、多少はありますが、 私が彼と話すと色々横道に逸れそうな 気がしたものですから」
ミオ「あー、確かに」
テュッティ「裏取引じゃないってのはわかったけど、 どこかあの男の掌の上で、踊らされてる感が あるわね……」
マサキ「まあいいさ。 俺達を利用しようってんなら、 そん時は相手になってやるぜ」
リューネ「じゃ、南部の奇襲部隊に対して 停戦勧告ね?」
マサキ「ああ、元々そのつもりだったしな。 それでいいよな? 代表」
ワグネル魔装機神操者に異論がなければ、 私は許可するだけです。 テュッティ、ミオ、異論はないですか?」
テュッティ「ありません」
ミオ「あたしも」
ワグネル「では、南部軍の部隊へ停戦勧告をしに 向かいましょう」

≪デルハット市⇒キシュナート湖畔≫


ロドニー捕囚

〔戦域:湖畔〕

(敵機、フリングホルニ、サイバスターが出現する)
ザンボス「ダスドレーシュ将軍!  アンティラス隊です!」
レッフェン「ああ、わかっている。 やはり来たのか……」
マサキ「そこまでだ!  そちらの行動は、条約違反に相当する!  大人しく軍を引け!」
レッフェン「ここの指揮官、レッフェン・ ダスドレーシュ大将だ。
 条約違反については議論の余地が あるはずだ。いずれ会談をもって 細部を交渉したい。
 今この場で軍を退けというのは、 聞けぬ相談だ。どうしてもというので あれば、宣戦布告と判断する」
ワグネル「んー、見事な反論ですね。 こうも堂々と主張されては、 強制施行しか手はありません」
マサキ「仕方ねぇ、向こうがその気なら 相手になるしかねぇな!」
ザンボス「ふん! 調子に乗るなよ!  こちらには、あの リコ・サンドリーブ大尉がおる」
セニア「え? サンドリーブって…… 双子の撃墜王の?」
ザンボス「それに、俺も以前よりは 腕を上げた! 春秋戦争の 時の様にはいかんぞ!」
レッフェン「各機に通達、無理はするな。 状況が不利だと判断したら、 撤退せよ」
(作戦目的表示、出撃選択。フリングホルニが撤退する)

〈vs リコ〉

[マサキ]

マサキ「!? 女の子か!?」
リコ「あたしの名はリコ・サンドリーブ!  いざ、尋常に勝負!」
マサキ「こんな子が……撃墜王かよ!?
 いや、確かに構えに隙がねぇ…… こいつは手強そうだ」

〈vs ザンボス〉

[セニア]

セニア「いつぞやは世話になったわね、 ナセル中佐!」
ザンボス「ええ、あなたを少々見くびって おりましたよ、セニア様」

[マサキ]

ザンボス「久しいな、小僧!」
マサキ「思い出したぜ!  てめぇ、セニアを人質にとってた ヤツだな!?」
ザンボス「言っておくがな、あれは非常手段だ。 好きでやったワケではないぞ」

〈vs レッフェン〉

[マサキ]

マサキ「何でこう、戦争ばっかり 起こしやがるっ!」
レッフェン「今ここで行動を起こさねば、 南部は北部に従属せねばならん。 ならば、立ち上がるしかなかろう」
マサキ「その前に話し合えっ!」
レッフェン「そのセリフは、北部に対して言うのだな。 ゾラウシャルドに全ての責任を押しつけ、 無理難題をふっかけたのは北部だ」
マサキ「実力行使以外に手はあるだろ!」
レッフェン「力で我々を抑えようとする君達に、 そんな事を言われる筋合いはない」
マサキ「!?」

南軍撤退時に

レッフェン機を撃墜していない
レッフェン機を撃墜してザンボス機を撃墜していない
レッフェン機、ザンボス機を撃墜してキョウメイ蒼を撃墜していない
レッフェン機、ザンボス機、キョウメイ蒼を撃墜済み


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