back index next


滅びを告げる者 アイビス ~ 第6話 ~

《木星圏・SPACE AREA》

[艦内個室]

ベラ(次の戦いで全てが終わる。 クラックス・ドゥガチさえ倒せば… 私の役目も…)
(扉が開閉する)
ルー「ちょっといいかしら?」
ベラ「どうしたの、みんなで揃って?  何か問題でも起きたの?」
ノイン「そういうわけではないのだが…」
ルー「決戦前だし、緊張でガチガチに なってるんじゃないかなと思ってね」
ベラ「そんなに 緊張してるように見えるかしら?」
フォウ「フフッ、 実はキンケドゥに頼まれたの。 あなたの様子を見てきてくれって」
ベラ「キンケドゥが…?」
ルー「どうしたの、深刻な顔して?」
ベラ「…怖いのよ。私がロナ家の名を 名乗ることで彼を…キンケドゥを 危険に追い込んでいくことが…」
ベラ「それに…ロンド・ベル隊にいた時と 違って、敵も味方も…多くの人々が 私の判断で運命を左右されることになる…」
ノイン「…艦長はリリーナ様のことを 覚えておられるか?」
ベラ「ええ。少しの時間しか ご一緒できませんでしたが…」
ノイン「あの方も、 一握りの人間の理想によって、人命が 失われていくことに心を痛められていた」
ベラ「………」
ノイン「リリーナ様が掲げられた 完全平和主義の実現は、現状では 非常に困難となってしまっているが…」
ノイン「あの方は自分の信念を 捨てることなく今も活動を続けておられる」
ベラ「私はリリーナさんのようには…」
ノイン「あの方は弱い存在である自分を 信じて支持してくれた人達がいたからこそ、 今の自分があると言っておられる」
ベラ「………」
ルー「リリーナさんにナイトがいたように あなたにもキンケドゥがいるじゃない」
フォウ「それに、私達もあなたのことを 信じているわ。だから、迷わないで」
ベラ「ありがとう、みんな…」

[マザー・バンガード・ブリッジ]

ザビーネ「アンナマリー、 偵察部隊の調査結果を報告しろ」
アンナマリー「はっ。 データどおり、イオの第8採掘基地に 大規模戦力の配備が見られます」
キンケドゥ「そこが 木星帝国の中枢であることは 間違いないな」
アンナマリー「気掛かりなのは この数日、基地から脱出した艦艇が 全く確認されてない点です」
万丈「クラックス・ドゥガチ…、 僕達が居場所を突き止めたことを 知りながら逃げる気はないというわけか…」
一矢「それだけ奴は基地の防衛網に 自信があるんだろうな」
ウモン「もしくは、 ワシらを甘く見ておるのかも知れん」
アンナマリー「では…これが周辺の地形図と 防衛部隊の配備状況です」
ノイン「渓谷に囲まれた高台上の基地か…。 まるで天然の要塞だな」
万丈「渓谷にはモビルスーツを 中心とした機動部隊、基地周辺には 砲台代わりの戦艦か…やってくれるよ」
ツグミ「前線の機動部隊を突破しても そこには長距離砲撃の雨あられ。 …まさに難攻不落ですね」
キンケドゥ「だが、俺達の目標は 基地にいるクラックス・ドゥガチ ただ1人だ」
京四郎「つまり、 基地内部に飛び込みさえすれば 勝利の目はあるってことだ」
レディ「具体的なプランは2つある。 1つは陽動部隊で敵を引き付けた後、 突撃隊が別ルートから突破を仕掛ける策…」
ノイン「もう一つは 全軍を集中させて防衛ラインを 正面から切り崩していく策だ」
フォウ「陽動が成功すれば 一気に基地中枢に突撃部隊が 突入することも可能ね」
ギャリソン「ですが、戦力を分散させれば、 各個撃破されるおそれもありますぞ」
ウモン「その点、全軍を集中させれば 各機の生存率は上がるが、力と力の 真っ向勝負になってしまうのう」
一矢「俺はそっちの方がやりやすいな」
レディ「短期勝負の陽動作戦か、 生存率重視の正面突破か。 突き詰めれば、これの二択だ」
ベラ「アイビス、 あなたの考えを聞かせて下さい」
アイビス「あたし…?  あたしは決定した作戦に従うよ」
万丈「アイビス、 この作戦は機動力が勝負のカギを 握ることになる」
万丈「君のアルテリオンは こちらの部隊でトップクラスの 機動力を持つ機体だ」
キンケドゥ「言い換えれば、戦場での お前の判断が戦いの行方を左右する。 だから、作戦についても考えを聞きたい」
アイビス「あたしが…勝負のカギになる…」
アイビス(このあたしが…、 あたしなんかが…皆の役に立つ…)
ベラ「もう一度、聞きます。 陽動作戦か正面突破、どちらを採用するか あなたの考えを聞かせて下さい」
アイビス「………」

アイビス選択

「陽動作戦を採用する」
「正面突破作戦を採用する」


back index next