back index next


戦火に消えた平和の願い アイビス ~ 第7話 ~

[暗闇]

???「アイビス…アイビス…」
アイビス「誰…あたしを呼ぶのは…?」
???「アイビス…負け犬アイビス…、 どうしてあなたはのうのうと 生きていられるの…?」
???「あなたは負け犬…。 夢も希望もなく、ただ今日の生を 長らえさせるだけ…」
アイビス「や…やめて…来ないで…!」
???「どうして、あたしを拒むの?  あたしはあなたのことを 一番よく知っているのに…」
アイビス「違う…!  あたしは…あたしは…!」
アイビス(負の心)「どうして、あたしを 受け入れないの…。 あたしはあなた…あなたはあたし…」
アイビス「来ないで…来ないでっ!」
アイビス(負の心)「さあ、受け入れなさい。 二度とあなたは飛べない…。 もう飛ぶことは出来ないのよ…!」
アイビス「いや…もう、やめて…」

[艦内個室]

ツグミ「アイビス…アイビス…!」
ツグミ「目を覚まして、アイビス…!」
アイビス「あ…ツグミ…」
ツグミ「また夢にうなされていたのね…」
アイビス「………」
ツグミ「ねえアイビス…、 もう1年も経ったのよ。 あの事故のことは忘れなさいよ…」
ツグミ「あなたは立派に アルテリオンを使いこなして いるじゃないの…」
アイビス「下手な慰めは止めて…。 今のあたしがどういう状態か 一番わかっているのはツグミでしょ…」
ツグミ「アイビス…」
アイビス「駄目なのよ…。 もうあたしは…」
ツグミ「焦らないでアイビス…。 答えを出すのは、まだ早いわ」
ツグミ「もうすぐマザー・バンガードは 火星に着く…。もし、あなたが アルテリオンに乗ることがつらいなら…」
ツグミ「…私も一緒にこの艦を降りるわ」
アイビス「ツグミ…」
ツグミ「忘れないでね、アイビス。 あなたの後ろには、いつも私が いることを…」
アイビス「………」

《火星圏・SPACE AREA》

[マザー・バンガード・ブリッジ]

ベルナデット「既にご存知の通り、 私はテテニス・ドゥガチ…。 総統クラックス・ドゥガチの娘です」
トビア「………」
ベラ「………」
ベルナデット「今までベルナデット・ プリエットを名乗り、この艦に 同乗していたのですが…」
ベルナデット「これはいかなる破壊工作、 諜報活動、またそれらに類する 作戦行動ではありません」
ベルナデット「私の目的は地球へ 行くことでした。私の母が生まれ育った 星をこの目で確かめるために…」
ベルナデット「そして、自分の目で 地球を見て、父のやろうとしていることが 何なのか知りたかったのです…」
ベルナデット「そのためには地球圏行きの 艦に密航するしかないと思い、 偽名を使って火星まで来たのです…」
ベルナデット「結果として私は 木星で父の真意を知る事になりました…」
ベラ「………」
ベルナデット「私の話は以上です。 私をどうされるかは…ベラ艦長の ご判断にお任せするしかないと思います」
トビア「………」
ベルナデット「その上で、もし私のことを 信じていただけるのでしたら… 私をこのままこの艦に置いて下さい」
万丈「………」
ザビーネ「………」
ベラ「はい。 いいわよ、一緒に地球圏へ行きましょう」
ベルナデット「え…?」
ベラ「ふふふ…。 何をそんなに意外そうな顔してるの?」
ベルナデット「で、でも…私は…」
ベラ「皆に申し伝えます。 ベルナデットの身柄は私が預かります」
ベラ「今後、一切彼女の素性のことで あらぬ疑いや要らぬ責めをした者は 私の名において裁きます」
万丈「艦長の決めたことなら、異論はない。 それに、敵のお姫様が味方になるのは 今に始まったことじゃないしね」
キンケドゥ「ごもっとも」
ベルナデット「………」
一矢「ベルナデット、君は俺達の仲間だよ。 そのことに文句を言う奴がいたら、 艦長だけじゃなく俺も許さないぜ」
ベルナデット「一矢さん…」
フォウ「よかったわね、ベルナデット」
ベルナデット「はい…。 皆さん…ありがとうございます!」
トビア(…緊張して、ちょっと損したかも)
アイビス(何てお人好しの集団なの…。 こんなに簡単に人を信用するなんて…)
アイビス(…でも、それが心地よく感じる…。 こんな気持ちはDCにいた時…、 そう…あの頃、以来だ…)
ザビーネ(………)
ザビーネ(…ベルナデットは…人質として 使えるな。木星帝国だけにでなく…)
ベラ「それで、ベルナデット。 私達と一緒に行動して、どうするつもり?」
ベルナデット「まだ…わかりません。 どうしたらいいのか…」
ベルナデット「でも、地球と戦争を起こすのは 悪いことだと思っています」
ベルナデット「ただ、それを計画したのが 父だとしても…私、父が本当に悪い人だとは 思えないのです」
ベルナデット「だから、説得できれば そうしたいと…」
万丈(…父を…敵の首領を説得する、か)
ベルナデット「私は… 木星の裏切り者でしょうか?」
ベラ「あなたが木星のことを 考えて行動しているなら、それは違うわ」
ベラ「きっと、そのことで辛いことや 迷うことがいっぱいあるはずよ。でもね、 自分で見て、考えて、そう決めたのなら…」
ベラ「人は結局、自分が決めた通りに 生きるしかないの…。私はそう思うわ」
ベルナデット「はい…」
トビア「心配しないで、ベルナデット。 君は…きっと僕が守ってみせるから」
ベルナデット「ありがとう…トビア」
ベラ「では、各自は持ち場について。 我々はもうすぐ木星帝国に制圧された 火星圏内に入ります」
(アラート)
万丈「敵襲か!?」
ビューティ「万丈、大変よ!  火星の衛星軌道上に何かいるわ!!」
万丈「もしかして、木星帝国の戦艦か!?」
レイカ「そんな可愛い物じゃないわよ!  この大きさ、まるでスペースコロニー…!  いや、それ以上よ!」
万丈「何だって!?」

〔戦域:火星衛星軌道上・小バーム周辺宙域〕

(南側にマザー・バンガードが出現)
ウモン「う~む、確かにデカい。 それに、地球や木星のコロニーとは 形が違うぞ」
万丈「ああ。あれは地球の物じゃない。 となれば、導き出される答えは一つ…」
京四郎「異星人の宇宙要塞か?」
万丈「多分ね」
京四郎「しかし、 軌道上にあんなモンがいるとなると、 火星はすでに…」
レイカ「万丈!  人工天体の影から何か来るわよ!!」
(小バームの側に大空魔竜が出現)
ツグミ「な…何なの、あれは!?」
トッポ「竜だよ!  恐竜の形をした巨大ロボットだ!」
一矢「あの面構え…どう見ても 敵の母艦だな。みんな、出撃するぞ!!」
トビア「は、はい!」
万丈「待つんだ!」
トビア「万丈さん!?」
(大空魔竜の側にボルテスVが出現)
キンケドゥ「あれは…ボルテスV!  間違いない、健一達のボルテスだ!」
ビューティ「もしかして… 異星人の戦艦に捕まってるの!?」
万丈「いや、違う。あれは…」
レイカ「ベラ艦長、 あの戦艦から通信が入って来たわ」
(マザー・バンガードに通信)
大文字「宇宙海賊クロスボーン・バンガードに 告げる。こちらは地球連邦軍極東支部所属、 大空魔竜戦隊司令の大文字だ」
万丈「大文字博士、お久しぶりです」
大文字「万丈君!  どうして君が宇宙海賊の艦に?」
万丈「色々と事情がありましてね。 とりあえず、この艦に乗っている面々は あなた方の敵じゃありません」
キンケドゥ「あの巨大戦艦… 地球連邦軍のものなのか?」
万丈「一応はね。 あれは極東支部の大空魔竜戦隊の 旗艦だよ」
キンケドゥ「極東支部の戦艦か。道理で…」
万丈「ところで、大文字博士… あの人工天体はいったい何なんです?」
大文字「あれはバーム星人の 移動型人工天体・小バームだ」
一矢「バーム星人…?  もしかして、地球の侵略が目的で…!?」
大文字「そうではない。 彼らバーム星人は地球との 平和的な交渉を希望している」
一矢「えっ!?」
大文字「我々はバーム星人との 会談に出席する使節団の護衛として この火星に来ている」
キンケドゥ「異星人との会談か…」
大文字「詳しい説明は後だ。 こちらの誘導に従って、火星へ 降下してくれたまえ」
ベラ「わかりました」

《火星 エリシウム基地》

[大空魔竜・格納庫]

キンケドゥ「…みんな、久しぶりだな」
健一「ああ。また会えて嬉しいよ」
めぐみ「そうよ。バルマー戦役以来、 消息不明だったあなた達を みんな心配してたんだから」
万丈「ひょっとして、 君達が火星にいるということは…」
健一「ええ。父さん達が 地球側の大使として、バーム星人との 和平交渉に参加するんです」
日吉「で、僕らは お父さんやリリーナさん達の 護衛ってワケなんだ」
万丈「なるほど。 ボアザン星人である剛健太郎博士なら、 大使として適任だね」
健一「ええ。父さんなら、きっとバーム星との 橋渡し役を務めてくれます」
キンケドゥ「ところで…この基地は 木星軍に占拠されていたはずだが?」
一平「いや、俺達がここへ来た時は バーム星人しかいなかったぜ」
キンケドゥ「何だって…?」
一矢「木星軍は火星を中継基地にする つもりだったはずだ。それがどうして?」
(扉が開閉する)
ピート「…木星軍はバーム軍との 戦いに敗れ、火星から撤退したんだ」
一矢「君は?」
ピート「俺の名はピート・リチャードソン。 大空魔竜のキャプテンを務めている」
一矢「…木星軍が撤退したというのは 本当なのか?」
ピート「バーム側は自衛のために 止む無く戦ったと言っている。 詳細はこちらでも調査中だ」
万丈(木星帝国を追い払うとは…。 バーム星人はかなりの戦力を 持っているみたいだね)
ピート「ところで…今後、君達や マザー・バンガードは我々大空魔竜戦隊の 指揮下に入ってもらうぞ」
一矢「何だって…?」
ピート「これ以上、民間の戦力を 野放しにするわけにはいかないからな」
ナナ「野放しって…どういう意味よぉ!?」
一矢「…初対面の相手に 頭ごなしの命令とは気に入らないな」
ピート「軍隊では当たり前の話だ。 いつまでも素人気分でいられては困る」
一矢「何…?」
サンシロー「おい、よせよ…ピート。 俺達だって軍属になった覚えはないぜ?」
ミドリ「サンシロー君の言うとおりよ。 三輪長官が強引に私達を軍の指揮下に 置いてるだけなんだから」
ピート「だが、 統率の取れていない戦力はナンセンスだ。 …いずれ、お前達にもわかる日が来る」
(足音・ピートが立ち去る)
ナナ「何なの、あの人…?」
一平「やれやれ…相変わらずだな、あいつは」
一矢「………」
サンシロー「すまない。悪い奴じゃないんだ」
ミドリ「そう、任務に忠実なだけなの」
キンケドゥ「…ところで、君達は?」
サンシロー「おっと、自己紹介が まだだったな。俺はツワブキ・サンシロー。 ガイキングのパイロットをやっている」
一矢「ツワブキ・サンシロー?  どこかで聞いたことがあるな…」
トッポ「思い出した! プロ野球チーム、 レッドサンのピッチャーだよ。確か、 魔球を投げるので有名だった…」
サンシロー「ま、今は野球のプロならぬ 地球防衛のプロってところだけどな」
一矢「プロ野球の選手が どうして、大空魔竜戦隊に?」
ミドリ「サンシロー君はその素質を買われて 大文字博士にスカウトされたの」
(扉が開閉する)
ヤマガタケ「よお、ここにいるのが 今度来た新メンバーか?」
ファン・リー「そうらしいな」
一矢「! あんたは…」
ミドリ「ちょうど良かったわ。じゃあ、 大空魔竜戦隊のメンバーを紹介するわね」
ミドリ「まず、私はフジヤマ・ミドリ。 大空魔竜で主に通信を担当しているの」
ファン・リー「ファン・リーだ。 翼竜スカイラーのパイロットでもある。 …久しぶりだな、竜崎一矢」
一矢「まさか、あんたが 大空魔竜戦隊の隊員だったとはな…」
めぐみ「あら、知り合いなの?」
一矢「ああ。俺が地球にいた頃、 彼と試合をやったことがある」
ナナ「そうそう、 その試合、凄かったのよ!」
ナナ「お兄ちゃんの空手とファン・ リーさんのキックボクシングの激突… 互角の戦いだったんだから!」
ハチロー「へえ、僕も見たかったなあ。 あ…僕はハチロー。皆の手伝いを しているんだ」
ブンタ「ハヤミ・ブンタです。 魚竜ネッサーのパイロットをしています」
日吉「ブンタさんは ダイビングの達人なんだよ」
トッポ「へえ…じゃあ、日吉と同じだな」
ヤマガタケ「俺はヤマガタケ。 剣竜パゾラーのパイロットだ。みんな、 当然、俺のことも知っているよな?」
トッポ「…知らないなあ。 もしかして、お笑い芸人か何かなの?」
ヤマガタケ「トホホ。俺だって 相撲取りだったのに、顔が知られてんのは サンシローやファン・リーだけかよ」
ハチロー「しょうがないよ。 ヤマガタケさんはフンドシ担ぎ だったんだから」
日吉「なぁんだ、横綱じゃなかったんだ」
ヤマガタケ「うるさい!  あのまま相撲を続けていたら、俺は 横綱の上を行くタテヅナだったんだ!」
サンシロー「何言ってんだ、お前?」
サコン「最後は俺だな。 名前はサコン・ゲン…大文字博士の 助手で、開発部門を担当している」
サコン「そして、一矢君… 君のお父さんにもお世話になっている」
一矢「父さんに?」
サコン「ああ。竜崎勇博士の開発した ダイレクトモーションコントロールは 色々と参考になってね…」
(扉が開閉する)
竜崎勇「ふふ…。 天才と称されるサコン君に そう言ってもらえるとは光栄だな」
一矢「父さん!?」
竜崎勇「一矢、 ダイモスのデータは見せてもらった。 上手く乗りこなしているようだな」
一矢「父さん…どうして、ここに?」
剛健太郎「竜崎博士と私、そして リリーナ・ドーリアン外務次官が今回の 会議の大使として火星に来ているんだ」
万丈「お久しぶりです、剛博士。 イージス計画以来ですね」
剛健太郎「うむ。 君達がここへ来てくれて心強いよ」
竜崎勇「剛博士、そういえば互いの 息子を会わせるのは初めてでしたな」
剛健太郎「おお、そう言えば…」
竜崎勇「一矢、こちらが剛健太郎博士だ。 私の旧来の友人で、ダイモスの 基礎設計にも参加してもらっている」
一矢「そうだったのか…」
竜崎勇「一矢、私達は打ち合わせに入る。 積もる話は落ち着いてからだ」
一矢「父さん…バーム星人とは 一体、どんな異星人なんです?」
竜崎勇「…私は彼らのことを 平和を愛する人々だと信じている」
竜崎勇「バルマー戦役という不幸を越え、 今、地球は異星の人間を友として 迎える時代が来たのだ…」
竜崎勇「地球人類にとって、 この出会いは新たなステップとなる…。 私は、そう確信しているのだ」
一矢「わかったよ、父さん。 父さんがそこまで言うのなら、 きっと間違いはないだろうさ」
万丈「………」

[大空魔竜・ブリーフィングルーム]

大文字「…大空魔竜戦隊は 恐竜帝国等の地下勢力への攻勢のために 編成された部隊なのです」
ベラ「そのあなた達が、火星圏まで 来てしまって大丈夫なのですか?」
大文字「今のところ、地下勢力に目立った 活動は見られませんので。それに、 日本にはまだ多くの戦力が残っています」
ベラ「それで…バーム星側の申し出とは?」
竜崎勇「彼らは地球への移住を 希望しています」
ベラ「移住…ですか」
剛健太郎「彼らは平和的な話し合いを 希望し、それを受けて我々が 火星に派遣されたのです」
剛健太郎「もっとも、軍部としては 我々に時間を稼がせ、その間に何らかの 対策を練るつもりでしょうが…」
リリーナ「…前大戦の例を挙げるまでもなく、 二つの異なる星の民が手を結ぶには 幾つもの障害があるでしょう」
リリーナ「しかし、私達は愚かな選択を 繰り返すわけにはいきません。何としても 今回の交渉を成功させねばならないのです」
ベラ「わかりました。それで、護衛の方は?」
剛健太郎「交渉に出席する我々のガードは そこにいるヒイロ君に務めてもらいます」
ヒイロ「………」
リリーナ「頼りにさせてもらいますよ、 ヒイロ」
ヒイロ「了解した…」
大文字「そして、我々大空魔竜戦隊は 基地周辺の警護を担当します」
ベラ「わかりました。 平和のために我々も出来る限りの 尽力を惜しみません」
リリーナ「では…そろそろ時間です。 会談場へ向かいましょう」

[執務室]

剛健太郎「…お話は承りました、 リオン大元帥閣下」
リオン「ありがとうございます、剛大使」
剛健太郎「ですが、あなた方の要求…… 人工冬眠中のバームの民10億を地球圏へ 受け入れるのは非常に困難です」
リヒテル「では、我々の申し出を 受けられないとおっしゃるか!?」
リオン「控えよ、リヒテル。 ここは会談の場であるぞ」
リヒテル「…申し訳ございません、父上」
剛健太郎「残念ながら、 我々の地球は一枚岩ではありません…」
剛健太郎「地球人の皆が皆、 あなた方を快く迎えるとは思えないのです」
リヒテル「一枚岩ではないですと?  地球の支配体制はそんなに脆弱なのか?」
リリーナ(…支配体制…)
剛健太郎「残念ながら、 その通りだとお答えするしかありません」
リヒテル「父上、話になりませぬ!  自らの星を満足に統治出来ぬ者達が 我々と同じテーブルにつくなどと!」
ゲロイヤー「大元帥、リヒテル様の おっしゃられる通りでございます」
リオン「こちらの一方的な都合を 地球の方々に押しつけるでない」
リヒテル「それはわかっておりますが…」
リオン「…地球の方々。我々はあなた方の 星系への移住を希望しておりますが… 今すぐにというわけではありません」
リオン「無論、双方の間で 問題が解決出来ぬようであれば、 我々はここから立ち去ります」
リヒテル(父上…!  また流浪の旅を続けられるおつもりか?)
竜崎勇「剛博士、ドーリアン外務次官。 私はリオン大元帥閣下の申し出を 受けるべきだと思います」
剛健太郎「竜崎博士…!」
竜崎勇「確かに、 10億の民を受け入れるかどうか…我々は すぐにその答えを出すことは出来ません」
竜崎勇「しかし、我々の方から軍や政府へ 前向きに働きかけることは出来るはずです」
リリーナ「………」
竜崎勇「そして、私はこう考えるのです…」
竜崎勇「人類は何故、宇宙に対して 限りない夢を持つのであろう…」
竜崎勇「それは、 この広大な宇宙に住むバーム星人のような 隣人を訪ねたいからではないか…」
竜崎勇「そして… 今、その隣人がここにいる。だからこそ、 私は彼らに手を差し伸べたいと思います」
リオン「おお…ありがとうございます、 竜崎大使」
剛健太郎「リオン大元帥閣下、 不幸にも地球はこれまでに異星からの 侵略を受けています」
剛健太郎「それゆえ、地球連邦政府が バーム星人の受け入れを承諾するのは 時間もかかりましょう」
リリーナ「ですが、我々使節団は 閣下のお言葉を伝え、可能な限りの お力になることをお約束します」
リオン「ありがとう…、 ありがとうございます、皆さん」
リオン「長い旅路の果てに、地球人という 素晴らしき隣人と巡り会えた幸運を バームの神に感謝します…」
剛健太郎「リオン大元帥閣下、 手を取り合い、二つの星の人々の 共存共栄を目指しましょう」
リリーナ「では、我々は地球連邦政府に 会談の結果を報告します。どうか、 おくつろぎになってお待ち下さい」
リオン「お言葉に甘えさせて頂きましょう」
竜崎勇「お口に合うかわかりませんが、 地球の飲み物を用意しました。 よろしければ、お召し上がり下さい」
リオン「では…」
ゲロイヤー「…リオン大元帥、これで 我々バーム10億の民も救われますな …さあ、カップをどうぞ」
リオン「うむ。これで我々バーム人は…」
ゲロイヤー(ククク……)
リオン「!? うぐっ!」
(ガラスが割れ、リオンが倒れる)
リヒテル「ち…父上! 父上っ!!」
リオン「………」
リヒテル「な…何と!  す、すでに息絶えて…!!」
ゲロイヤー「地球人め!  飲み物に毒を盛りおったな!?」
竜崎勇「な、何!? そんな馬鹿な!!」
リヒテル「おのれ、卑怯なり地球人!  和平交渉の場において、この仕打ち!  この場から生きて帰れると思うな!!」
竜崎勇「ま…待て!  これは何かの間違いだ!」
リヒテル「問答無用! 死ねいっ!」
(銃声)
竜崎勇「ぐっ…!」
(竜崎勇が倒れる)
剛健太郎「竜崎君!!」
リリーナ「竜崎博士っ!!」
リヒテル「貴様らも死して 父上にわびるがいい!!」
(銃声)
リリーナ「! ヒイロ!?」
ヒイロ「ぐっ…!」
リヒテル「ほう、見上げた度胸だ。 自らの肉体を盾にするとはな。 だが!!」
ヒイロ「リリーナ、逃げろ…!」
リリーナ「!!」
(爆発、閃光)


第7話
戦火に消えた平和の願い

〔戦域:エリシウム基地周辺〕

(基地の南東側に大空魔竜とマザー・バンガードが待機している)
大文字「そろそろ、 交渉に一区切りつく頃だな」
サコン「ええ…。 上手くいけばいいんですが」
(基地に爆煙)
大文字「!?」
ピート「会談場が!!」
ミドリ「大文字博士、 護衛のヒイロから通信です!  正面モニターに回します!!」
ヒイロ「ヒイロ・ユイだ。 非常事態が発生した」
大文字「ヒイロ君、 使節団は無事なのかね!?」
ヒイロ「…剛健太郎博士とリリーナの 安全は確保した」
一矢「な、何だって!?  竜崎勇は…父さんはどうなったんだ!?」
ヒイロ「………」
一矢「くっ! 父さんっ!!」
京四郎「待つんだ、一矢!」
(ダイモスが出現、ガルンロールなどが出現)
ライザ「リヒテル様、今、お助けします!」
(ガルンロールが会談場の北まで移動、ガルンロールの周りに敵機が出現)
リヒテル「卑怯にして愚かなる地球人よ、 聞くがいい! 余は貴様達に暗殺された リオン大元帥の子、リヒテルだ!」
大文字「リオン大元帥が暗殺された…?  会談の場で何が起こったのだ!?」
健一「馬鹿な…!  誰よりも平和を愛する父さん達が 暗殺なんて真似をするはずがない!」
リヒテル「余は正義と真実の名の下に 卑怯者、竜崎勇を処刑した!」
一矢「父さんを殺しただと…!?」
リヒテル「だが、これで事が収まると 思うな! 余の怒りと悲しみ、 我がバーム軍の力、思い知るがいい!」
リヒテル「全軍攻撃開始!  地球人を皆殺しにせよ!!」
一矢「よ、よくも…!  よくも父さんを…っ!!」
一矢「バーム星人!  お前達こそ生きて帰れると思うな!」
(一矢に『気合』)
ベラ「大文字博士、私達は…」
大文字「やむをえん。 これより、敵機を迎撃する。 ただし、深追いはしてはらなん」
ピート「了解! 大空魔竜、発進!!」
ミドリ「各機、出撃して下さい!」
(出撃準備)
一平「健一、あれを見ろ!」
健一「!!」
(スカールークを指す)
めぐみ「ボアザン星のスカールークだわ!!」
大次郎「なしてあいつらが こげな所におると!?」
日吉「ボアザン軍って、前の戦いで 地球圏からいなくなったはずだよ!?」
健一「いや、父さんやハイネル兄さんの話では ボアザン本星はまだ存在している…」
一平「奴らはそこから来た連中かも 知れねえってことか。 チ…この事件、奥が深そうだぜ」
(作戦目的表示)

〈1EP〉

デスモント「フッフッフッ… 全て計画通りだな」
ダンゲル「うむ。 後はバームとボアザンの者共に 任せておけばよかろう」
デスモント「では、我々は ダリウス大帝様に作戦が成功したことを お伝えするとしよう」
(デスモント機とダンゲル機が撤退)

〈バルバス機撃墜〉

バルバス「ええいっ!  こうなったら退却だ!」

〈3PP〉

サコン「大文字博士、 このままでは消耗戦になります」
大文字「うむ…。 いずれは小バームから援軍も来る。 そうなれば我々は挟み撃ちに遭うか」
サコン「ええ。それに基地に残っている スタッフを救助しなければなりません」
大文字「よし…救助作業を終えた後、 火星から脱出する!」
一矢「待って下さい!」
大文字「!」
一矢「俺に… 俺に父さんの仇を討たせて下さい!!」
大文字「一矢君…!」
万丈「一矢、状況を把握するんだ。僕達は 小バームに頭上を抑えられているんだぞ」
一矢「だからと言って、ここで撤退したら 父さんは無駄死にじゃないか!!」
一矢「それに、二度も火星から 逃げ出すなんて…俺は嫌だ!!」
万丈「……!」
万丈「…その気持ちはよくわかるよ。 かつて僕も同じ思いをしたからね」
一矢「!」
万丈「だけど、僕達は生き延びて… 今回の件を地球の人達に伝える必要がある」
万丈「だから、 今は歯を食いしばって耐えるんだ」
一矢「くっ…!」
京四郎「万丈の旦那のいう通りだぜ、一矢。 それに、基地にはまだスタッフが 大勢残っているんだ」
京四郎「そいつらを 見捨てるわけにはいかねえだろう?」
一矢「…わかった…」
ベラ「各機へ。基地に残ったスタッフの回収に あと5分かかります。それまで、敵部隊を 牽制してください!」
健一「了解!」
一矢「! あれは…!?」
(ダイモスが南東の施設まで移動)
京四郎「どうした、一矢!?」
一矢「居住区に人が倒れているんだ!」
京四郎「何だって!?」
一矢「………」
一矢「…あれは…女の子!?  君! しっかりするんだ!!」
一矢「ダメだ、気を失ってる…!  仕方がない、ダイモスに収容する!」
(作戦目的表示)

〈vs ベルガン〉

[健一]

ベルガン「フッフッフ。 ハイネル達を退けたボルテスの力… どれほどのものか、試してやろう」
健一「やはり、ボアザン星人か!」
ベルガン「いかにも。 裏切り者のラ・ゴールと共に、 この異星の地で始末してくれるわ!」

[撃墜]

ベルガン「地球人め… バルマー艦隊を退けただけのことはあるな」
ベルガン「だが目的が達成された以上、 これ以上の戦闘は無駄だな。 撤退するぞ」
(スカールークが撤退)

〈vs リヒテル〉

[一矢]

一矢「父さんを殺したのは貴様か!?」
リヒテル「父だと? 貴様は何者だ!?」
一矢「俺の名は竜崎一矢!  貴様が殺した竜崎勇の息子だ!」
リヒテル「黙れ! 余の父は 貴様達地球人の計略で殺されたのだ!」
一矢「あの父さんが暗殺なんて真似を するはずがない! 父さんは誰よりも 平和を愛していた!」
リヒテル「問答無用! 卑怯者の息子よ!  余の手で父の後を追わせてやるわ!」

[健一]

健一「答えろ! 何故、ボアザン軍が お前達と一緒にいるんだ!?」
リヒテル「そのようなこと、 答える必要はないわ!!」

[万丈]

万丈「そっちと戦うつもりはない… と言っても、信じちゃくれないだろうね」
リヒテル「貴様らに弁解の余地など与えん!」
万丈「だったら、しょうがない…!  僕はこの星に骨を埋める気はないんでね!」

[サンシロー]

サンシロー「これ以上好きにさせるか!  ガイキングの力を見せてやるぜ!」
リヒテル「面白い!  地球の戦闘ロボットがどれほどのものか 見せてもらうぞ!」
サンシロー「俺は地球を守るため、 野球を捨てて、こいつに乗ったんだ!  貴様らに負けはしないぞ!!」

[ピート]

リヒテル「母艦さえ落とせば、 地球人共は撤退する! 攻撃を集中しろ」
ピート「甘く見るなよ、異星人め!  トップガン仕込みの俺の腕と 大空魔竜の力、見せてやる!」

[撃墜]

リヒテル「覚えておれ、地球人め!  余は必ずや貴様らを倒し、父リオンの 仇を討ってみせるぞ!」
(ガルンロールに爆煙、撤退)

状況選択

敵機を全滅させた
8PPになった


back index next