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木星帝国 アイビス ~ 第5話 ~

《火星 衛星軌道上・SPACE AREA》

[艦内通路]

ツグミ「マサアロケット、 行ってしまったわね…」
トビア(あの子…ベルナデットも マサアロケットで行っちゃったか…)
ツグミ「トビア君、 本当に地球圏へ帰らなくていいの?」
トビア「ええ…。 自分で決めたことですから」
アイビス「物好きね…。 自分から戦いに参加するなんて」
トビア「じゃあ、アイビスさん達は どうしてこのマザー・バンガードに 乗っているんです?」
トビア「アイビスさんだって 自分の意志で戦っているんでしょう?」
アイビス「…仕事だから」
トビア「え…?」
ツグミ「私達、契約という形で この艦に乗っているの」
トビア「で…でも木星帝国の野望を 止めるためとか、そういう理由は…」
アイビス「それは個人の勝手ね。 悪いけど、あたしは興味ない」
ツグミ(この投げやりな態度…。 やはり、あの時の事故のことが まだ吹っ切れてないのね…)
ツグミ(アルテリオンに乗ることで 少しは良い方向に変わると思ったのに…)
キンケドゥ「トビア、仕事だ。 アイビスとツグミも 一緒に来てくれ」
トビア「仕事? 何です?」
キンケドゥ「重要な任務さ。 他のメンバーも集合している」

[マザー・バンガード・休憩室]

(皮をむく)
一矢「………」
京四郎「…う~む」
ナナ「いやぁん。指、切っちゃった」
(皮をむく)
トビア「キンケドゥさん。重要な任務って、 このジャガイモの皮むきのことですか?」
キンケドゥ「文句を言う前に手を動かせ。 エネルギーの節約は出来るところから するんだ」
京四郎「故人曰く『男子厨房に入らず』… 時代は流れたもんだ…」
一矢「さすがの京四郎もイモ相手には 苦戦しているようだな」
ナナ「頑張ってね、京四郎さん。 皮むきが終わらないと大好物の カレーが食べられないわよ」
京四郎「ち…、 相手がもっと大きければ 俺の剣術で…痛っ!」
ツグミ「肩に力が入っているから 上手くいかないんですよ。 こういうのは楽しんでやらなくちゃ」
ナナ「うわあ…ツグミさん上手!」
トビア「本当だ…ジャガイモの皮が 一つにつながっている…」
ツグミ「ふふふ…アイビスとの 二人暮らしで料理は私の担当だったのよ」
トビア「ふうん…だから アイビスさんはイマイチなんですね」
アイビス「………」
トビア「す…すいません…!」
アイビス「ツグミ…、 あたしはアルテリオンの整備をしてくる」
ツグミ「…わかったわ。 じゃあ、あなたの分の皮むきは 私がやっておくから」
一矢「お、おい…」
(足音・アイビスが立ち去る)

ナナ「何あれ…?  ちょっと勝手過ぎない?」
トビア「何だか…アイビスさんって ちょっと怖い感じの人ですね…」
ツグミ「ごめんなさい、皆さん…」
一矢「彼女のああいう態度、 どうもワケありのようだな」
ツグミ「ええ…。以前は あんな調子ではなかったんですが…」
キンケドゥ「………」
(扉が開閉する)
トッポ「あ、シーブックさん… じゃなくて、キンケドゥさん。 セシリーさんが…じゃなくて…えーと…」
ビューティ「もう、トッポったら!  いいかげんに覚えなさいよね」
トッポ「とにかく、今後の 作戦のことで話があるんだってさ。 だから、ブリッジに来てって」
キンケドゥ「了解。 じゃあ済まないが、あとは頼む」
トビア「はい…」
キンケドゥ「そうくさるな。 木星への航海中にモビルスーツの 操縦も仕込んでやるよ」

ナナ「キンケドゥさんって、 若いのに何か迫力あるのよね…」
京四郎「さすが、修羅場を くぐって来ただけのことはあるぜ」
トビア「京四郎さんは キンケドゥさんのこと 知っているんですか?」
京四郎「まあな…。前にクロスボーン・ バンガードが引き起こした『フロンティア・ サイド事件』って知っているか?」
ツグミ「前大戦の話ですね。 コロニーの人間を皆殺しにする新兵器が フロンティアIVを襲ったっていう…」
トビア「確か、その新兵器…赤い花の形を したモビルアーマーは、ロンド・ベル隊 所属のガンダムに倒されたんですよね」
トビア「! もしかして…」
京四郎「万丈の旦那から聞いた話だが… キンケドゥはそのガンダムの パイロットだったそうだ」
トビア「じゃあ、キンケドゥさんは あのロンド・ベル隊の…? そうか、 それで万丈さん達と知り合いなんだ」
京四郎「ああ。ベラ艦長も一時は あの部隊にいたことがあるらしい」
ナナ「ねえ、京四郎さん。 キンケドゥさんとベラさんって… 恋人同士なのかな?」
京四郎「何でそんなことを聞くんだ?」
ナナ「だって…あの二人って、 すごく強い絆で結ばれてるみたいじゃない?  ひょっとしたらって思って」
京四郎「さあな。 そんなことに興味はないね」
ナナ「恋人同士だったら、 ロマンチックよね。名前を捨てて、 愛する人を守って戦うなんて」
京四郎「下らん!  ジャガイモの皮むきより下らん」
ナナ「京四郎さんには、 どうせ女心はわかりませんよ~だ!  ねえ、お兄ちゃんはどう思う?」
一矢「そうだな…。正直、俺にもよく わからないが、それだけ人を愛すことが 出来るのは素晴らしいことだろうな…」
京四郎「遠い目をして何言ってんだ、お前」
(アラート)
ナナ「て、敵襲!?」
ツグミ「この艦は惑星間航行中よ。 その最中に仕掛けて来る敵なんて…!」
トビア「ブリッジへ行ってみましょう!」
(ぶつかる)
トビア「うわっ!」
ベルナデット「きゃあっ!」
トビア「ベルナデット!  マサアロケットで地球に 向かったはずじゃあ…!」
(複数の速い足音)
アンナマリー「気をつけろ!  その少女、密航者だ!」
ベルナデット「た、助けて、トビア…!」
トビア「何で君がこんな所に…!?」
アンナマリー「トビア、 お前の知り合いなのか?」
トビア「え、ええ。 彼女はサウザンスジュピターに 乗っていた避難民です」
アンナマリー「避難民だと?  ならば、木星圏の人間か」
ベルナデット「私…私…」
トビア「ベルナデット、何故なんだ…?  あのままマサアロケットに乗っていれば、 地球まで行けたのに…」

[マザー・バンガード・ブリッジ]

ベラ「…随分と可愛らしい密航者さんね」
ベルナデット「!……」
アンナマリー「木星帝国の スパイかも知れません」
トビア「彼女はそんなんじゃないですよ!」
ベルナデット「………」
キンケドゥ「君の名前は?」
ベルナデット「ベルナデット・プリエット… です」
キンケドゥ「何故、 このマザー・バンガードに乗ったんだ?」
ベルナデット「隠れる所を…探していて…」
キンケドゥ「隠れる所?」
ベルナデット「お願いです、 私を木星の人達に渡さないで下さい!  私、あそこには戻りたくない!」
キンケドゥ「どうやら、俺達を あっちのクロスボーン・バンガードと 勘違いしているようだな」
ベルナデット「え?」
ベラ「確かに、私達はクロスボーンの 旗をかかげているけど、彼らとは別の… いえ、敵対をしている組織なの」
ベルナデット「そ、それじゃ、 あなた達は…? この艦の行き先は…?」
ベラ「木星よ」
ベルナデット「そんな……。 ようやく地球へ行けると思ったのに…」
キンケドゥ「どうする、ベラ?  見たところ、スパイじゃなさそうだし…」
ベラ「どうするも何も、 惑星間航行に入った以上… 引き返すわけにはいかないわね」
トビア「そんな! かわいそうですよ!  地球に行かせてあげなきゃ!」
ベラ「そうしたくても、 方法がないのよ。マサアロケットは もう行っちゃったんですから」
トビア「で、でも…」
ベラ「仕方ないわね。トビア、 あなたが彼女の面倒をみてあげなさい」
トビア「え? 僕が?」
ベラ「それも任務の内ですよ。 その方が彼女にとってもいいでしょ?」
トビア「わ、わかりました…」
ベルナデット「………」
キンケドゥ「さあさ、 もうそんなに泣かないで。 何も怖いことはありませんよ、姫」
トビア「そうだよ、ベルナデット。 僕は全然迷惑じゃないからね」
ベルナデット「ありがとう…トビア…」

《木星圏・SPACE AREA》

[マザー・バンガード・ブリッジ]

ベラ「我々がこのまま進めば、 明日には木星帝国の勢力圏に入ります。 そこで、あなた方に作戦命令を伝えます」
レディ「キンケドゥ、万丈、ツグミ、 アイビス、そしてトビア…」
レディ「以上5名は木星帝国基地に潜入し 敵本拠地と総統クラックス・ドゥガチの 所在を突き止めること…以上」
トビア「え? 僕もですか?」
キンケドゥ「ああ。 相手を油断させるのも必要なんでね。 お前の素人ぶりを買ったんだ」
トビア「…素直に喜べませんよ」
ベラ「この作戦は無用な流血を避け、 総統クラックス・ドゥガチを一点で 攻撃するために不可欠のものです」
ベラ「各自の健闘を期待します」
キンケドゥ「了解。吉報を期待してくれ」
万丈「ようし。じゃあ、潜入任務の ブリーフィングを始めようか」

[格納デッキ]

トビア(無用な流血を避けるために、 敵中枢に集中攻撃を仕掛けるのは わかる…)
トビア(でも、これは戦争なんだ。 どんなことをしたって、人を殺さずに 戦うなんて出来ない…)
トビア(無用な血を流さないなんて、 単なる独善なんじゃないだろうか…)
ザビーネ「君の考えも、もっともだ」
トビア「! ザビーネさん!?」
ザビーネ「木星帝国討つべしという ベラ様の考えは賛同出来るし、 生命も懸けるつもりだ…」
ザビーネ「だが、あまり良い戦法を とっているとは思っていないのだよ」
トビア(僕は… 僕の考えを口にしていないのに…!)
ザビーネ「もし、本当に早く戦いを 終わらせる気なら、徹底的に 敵は討つべきだ…ためらわずにね」
ザビーネ「それが結果的には、 被害を最も少なくおさえることになる」
トビア「ぼ、僕は… 僕は、まだ良くわかりません…」
キンケドゥ「今はそれでいい。 そこから先は自分で考えるんだ」
ザビーネ「キンケドゥ…」
キンケドゥ「トビア、 もうすぐ出発だ。ベルナデットに 一言、声をかけてきたらどうだ?」
トビア「は…はい!」
(速い足音・トビアが走り去る)
ザビーネ「キンケドゥ、 お前も出撃ではないのか?」
キンケドゥ「ザビーネ… 俺の留守中に妙な考えは起こすなよ」
ザビーネ「どういうことだ?」
キンケドゥ「俺は貴様を一人、 艦に残しておくほど信用しちゃあいない」
ザビーネ「フフフ…困ったな。 どうすれば信じてもらえるのかな?」
ザビーネ「コスモ・バビロニアの 残虐なやり方を見て、離反した 私の気持ちに偽りはないよ」
キンケドゥ「ああ、わかっている。 だが、貴様が反対だったのは そのやり口だけだ…」
キンケドゥ「貴様は 貴族主義を捨ててはいない…!」
ザビーネ「………」
キンケドゥ「その貴様がここにいる。 理由は何なんだ、ザビーネ?」
ザビーネ「キンケドゥ…、 貴様と私は考え方も理想も違う。 だが、これだけは誓おう」
ザビーネ「ベラ様は何があっても私が守る。 この言葉だけは信じてもらえるだろう?」
キンケドゥ「………」


第5話
木星帝国

〔戦域:木星衛星軌道上・木星コロニー周辺宙域〕

(東端にアルテリオン(CF)が出現)
トビア「あれが木星コロニーか…。 地球圏のものと随分と形が 違うんだな…」
キンケドゥ「トビア、 警備隊が出てきたらお前の出番だ。 頼むぞ」
トビア「しかしキンケドゥさん、 その包帯は…」
キンケドゥ「既にクロスボーンが 合流しているなら、俺の顔を知った奴が いるかも知れないからな」
万丈「トビアとキンケドゥ、アイビスが 奴らの目を引き付けている間に、 僕とツグミでコロニーへ潜入する」
万丈「その後のことは打ち合わせ通りだ。 よろしく頼むよ」
キンケドゥ「了解。 伊達に海賊をやってないってこと、 見せてさしあげますよ」
トビア「それにしても、 このアルテリオンって機体、 随分と内部構造に余裕があるんですね」
ツグミ「元々、戦闘用に 造られた機体じゃないの。だから、 ペイロードもそこそこ備えているのよ」
トビア「随分、詳しいんですね」
ツグミ「この機体、私とアイビスが 以前に参加していた研究プロジェクトで 誕生したものなの」
アイビス「ツグミ、 余計なことは言わないで。 他人にそんなことを話す必要はないよ」
万丈「やれやれ、随分な物言いだね」
ツグミ「すみません…」
(木星コロニーの東側にバタラが3機出現)
万丈「来たか…。計画通り、 僕とツグミは機体の外に取り付く」
キンケドゥ「アイビス、トビア。 あとは手はず通りに頼むぞ」
トビア「はい!」
木星帝国兵「バーンズ大尉、 あの機体、宇宙海賊のものでしょうか?」
バーンズ「だろうな。クロスボーンの 連中が持って来た交戦データの中に あの機体もあった」
木星帝国兵「では、攻撃を開始します」
バーンズ「待て…様子がおかしい」
(アルテリオンが少し西へ移動)
トビア「こちら木星帝国所属、 トビア・アロナクス伍長!  宇宙海賊から逃走中!」
バーンズ「サウザンスジュピターの兵か?」
トビア「はい!  こちらには負傷兵が同乗しています!  早く救助をお願いします!」
木星帝国兵「どうします、大尉?」
バーンズ「ケガしてるってのを 放っておくわけにはいかねえだろう。 行くぞ」
キンケドゥ(よし…第一段階は成功だ…)

[木星コロニー内部]

トビア「…サウザンスジュピターが 奴らにやられて…僕はつかまって… 働かされていたんです…」
バーンズ「………」
キンケドゥ「う…うう…」
トビア「奴らが木星に近づいたのを 知ったんで、ケガをした上官と一緒に 一か八かで脱出したんです…」
バーンズ「そうか…それは大変だったな」
木星帝国兵「そっちの女は何だ?」
アイビス「あんた達に協力する気に なったのさ。宇宙海賊にいたんじゃ 命が幾つあっても足りないしね」
トビア「この人は海賊を裏切って 僕を助けてくれた人です。 手荒に扱わないで下さい!」
木星帝国兵「では、海賊共の現在位置と 規模、戦力を聞かせてもらおう」
トビア「え…それは…」
バーンズ「馬鹿言うんじゃねえ!  まずは病院が先だろうが!」
木星帝国兵「は、はい!」
バーンズ「済まんな。 軍人というものは融通の利かないものでな」
トビア「いえ、ありがとうございました」
バーンズ「礼には及ばんさ。 この後も何か困った事があったら、 このバーンズ大尉の名を出しな」
トビア「はい、ありがとうございます。 ところで僕達の乗ってきた機体は…」
バーンズ「最新鋭機のようだからな。 設備の整った基地で調査するそうだ」
トビア「そうですか…」
バーンズ「おい、 この3人を病院に案内してやれ」
木星帝国兵「了解しました」
キンケドゥ(よし…この兵さえ 眠らせれば、作戦の第2段階も成功だ)

ツグミ「アイビス達、 うまく忍び込んだみたいですね」
万丈「ああ。ところで、 ここのコンピュータのプロテクトは?」
(起動)
ツグミ「今、解除に成功しました。 これでこちらが望む情報を引き出せます」
万丈「さすが。 システム工学のエキスパートの肩書きは 伊達じゃないね」
ツグミ「お望みとあらば 破嵐財閥のメインコンピュータにも 侵入してみせますわ」
万丈「そりゃご勘弁。で、答えは?」
ツグミ「…出ました。 木星帝国本拠地は衛星イオ。 クラックス・ドゥガチもそこにいます」
万丈「それが分かれば長居は無用だ。 必要なデータをコピーしたら脱出しよう」
ツグミ(アイビス…無事でいてね…)

キンケドゥ「よし…俺達を 追跡してくる奴はいないな?」
トビア「はい…。 僕達の案内をしてくれた人には 悪いことをしてしまいましたけど…」
キンケドゥ「気絶させただけだ。 命に別状はないさ」
アイビス「ところで… この後、あたし達は何をすればいいの?」
キンケドゥ「万丈さん達から連絡があるまで、 ここをじっくり見学しておくといい」
トビア「見学…!?  そんな呑気なことでいいんですか?」
キンケドゥ「敵の姿を知ることは 戦うために大切なことだ」
トビア「………」
キンケドゥ「どうした?」
トビア「僕にはわかりません。 僕達は戦争をしているんでしょう?  だったら、敵の姿なんて知らない方が…」
キンケドゥ「気が楽か?」
トビア「…はい。このコロニーの人達や、 さっきのバーンズ大尉は悪い人に 思えませんし…」
キンケドゥ「だからこそ、俺達は 彼らを誤った方向に導く独裁者の ドゥガチを倒さなくちゃならない」
キンケドゥ「この過酷な環境で 懸命に生きる人達に罪はないからな」
アイビス「偽善ね…」
トビア「アイビスさん…!」
アイビス「そんなことを言っても ここの人達が襲ってくれば、 倒すんでしょ?」
キンケドゥ「………」
アイビス「それで無用な血を 流したくないなんて…偽善よ。 結局は戦争に荷担しているだけじゃない」
キンケドゥ「ベラ・ロナは そんなことは考えちゃいない!」
アイビス「!」
キンケドゥ「少なくとも、ベラは 木星圏の人間をドゥガチの独裁から 助け出したいと思っている…」
アイビス「…どうだか」
キンケドゥ「いいか?  彼女は…ベラは、ハイスクールまでは 普通の少女として育った」
キンケドゥ「もし、彼女の祖父が 貴族主義など唱えなければ、普通の 人間として暮らしていただろう」
キンケドゥ「だから、一握りの人間の考えで 多くの人命が失われる恐ろしさ、醜さは 誰よりも強く感じていたはずだ」
キンケドゥ「だからこそ、反貴族主義を 唱えもしたし、ロンド・ベル隊と一緒に 異星人達とも戦った」
キンケドゥ「前大戦…バルマー戦役が 終結した時、彼女は本当に嬉しかったんだ。 今でも…あの笑顔を忘れはしないよ…」
トビア「………」
キンケドゥ「その後、 俺達が木星帝国の存在に気付いた時… 彼女は見て見ぬふりも出来た」
キンケドゥ「だが、彼女はそれを 選ばなかった。何故なら、プリベンターが ダカール事件で行方不明になった時…」
キンケドゥ「帝国の存在を知っていて、 それと戦える者が…」
キンケドゥ「立ち向かえる力を 与えられる者が自分しかいないと わかったからだ」
キンケドゥ「そして、 彼女はあえてクロスボーンの名を 再び名乗ろうとも決意した」
アイビス「………」
キンケドゥ「俺はそんなベラの 力になると決めた。それが独善でも 偽善でも、俺には関係ない…!」
キンケドゥ「例え、自分の していることで地獄に落ちようとも… 俺は彼女を守る続ける。それだけだ…!」
アイビス「どうして、そんな話を あたし達に…?」
キンケドゥ「さあな。 お前達が何かに迷っているように 見えたせいかも知れないな」
トビア「キンケドゥさん…」
(銃声)
キンケドゥ「ぐ…!」
アイビス「キンケドゥ!」
トビア「誰だ!?  キンケドゥさんを撃ったのは!?」
カラス「また会えて嬉しいですよ、 トビア君…」
トビア「カ…カラス先生!?」
カラス「ふ、はははは… トビア君、君は本当に悪い子だ!  先生に逆らってばかりいる!」
トビア「生きていたんですか!?」
カラス「私はそう簡単に死にませんよ。 それよりも、君達に聞きたいことが 色々あってねぇ…」
トビア「く…」
キンケドゥ「トビア、アイビス! 逃げろ!」
(銃声)
カラス「ち…!  死に損ないが、まだ動けたか!」
アイビス「キンケドゥ、 傷は大丈夫なの!?」
キンケドゥ「な、何とかな。 それより、ここから脱出するぞ!」

〔戦域:木星衛星軌道上・木星コロニー周辺宙域〕

(ペズ・バタラとアルテリオン(CF)が出現)
ツグミ「何とか合流出来たわね。 アイビス、そっちは無事?」
アイビス「キンケドゥがやられた!  出血がひどい!」
トビア「大丈夫ですか、キンケドゥさん!」
キンケドゥ「…心配するな。 それよりも、しっかり操縦してくれよ。 すぐに追っ手が出てくる」
トビア「は、はい!」
(木星コロニーの東側にモビルスーツが多数出現)
基地司令「バーンズ大尉!  今回の件は全て貴様の責任だ。 侵入者を逃がすな! 絶対に、だ!」
基地司令「奴らを逃がした場合、 貴様を処刑する! 木星帝国にとって 失敗は総統閣下への裏切りと同意なのだ!」
バーンズ「怒鳴らなくても聞こえている…!」
トビア「あの赤いゴーグル付き… バーンズ大尉!?」
万丈「思った以上に対応が早いね。 よく訓練されている」
ツグミ「あれだけの数を相手にして 逃げ切れるの…?」
万丈「アイビス、 アルテリオンを3時の方向に向けてくれ」
アイビス「何をするつもり?」
万丈「こうするのさ…!  ダイターン、カムヒアァァッ!」
(東端にダイファイターが出現し、アルテリオンの北側に隣接)
ツグミ「これが噂の 呼べば現れるダイターン3…!」
万丈「そう、こういう時には 便利な奴でね。さあて、久々に いつものやつをやらせてもらおうか」
万丈「世のため人のため!」
アイビス「そんなのを 言ってる時間なんてない!  まずは敵の追撃を振り切る!」
万丈「…そりゃ、ごもっともで…」
(作戦目的表示)

〈2PP〉

(東端にマザー・バンガードが出現、出撃準備)
ベラ「こちら、マザー・バンガード!  各機とも無事なの!?」
キンケドゥ「ああ、何とかな…。 俺が少しドジを踏んだぐらいだ」
ベラ「どうかしたの、キンケドゥ!?」
キンケドゥ「気にするな。 それよりも援護を頼む!」
ベラ「わ、わかったわ。 各小隊は潜入部隊を援護して下さい!  脱出コースはこちらです!」
(北側を示す)
ベラ「ここで無駄に戦力を 消耗する必要はありません。 各小隊はこのコースで脱出を!」
(作戦目的表示)

〈vs バーンズ〉

[トビア]

トビア「やめて下さい、バーンズ大尉!」
バーンズ「あの時の小僧か!」
トビア「あなたとは戦えない!  戦いたくない! 僕達はあなた方 木星の人と戦うつもりじゃないんだ!」
トビア「戦争を企んでいる 総統ドゥガチを倒したいだけなんだ!  退いて下さい!」
トビア「何故、あなたのような人が 独裁者の手足になって働かなくちゃ いけないんですか!?」
バーンズ「独裁だと? 何故だと?  知ったふうな口をきくなーっ!」
バーンズ「ここには何もない!  水も空気も! 地球に自然に あるものは何もだ!」
バーンズ「俺の息子も酸素基地の 事故で死んだ…」
トビア「バーンズ大尉…」
バーンズ「地球で暮らしてきた奴らに わかるか! 俺達がどれほど 地球に焦がれてきたか!」
バーンズ「その地球は俺達を見捨てた!  俺達が豊かに暮らそうと思えば奪うしか… いや、取り戻すしかないんだっ!」

[ザビーネ]

ザビーネ「なかなかどうして… 腕の立つ奴もいるものだ」
バーンズ「海賊共め!  貴様達と俺達では背負っているものが 違うんだよ!」

[万丈]

バーンズ「デカブツめ!  そのサイズが木星では命取りに なることを教えてやる!」
万丈「僕のダイターンは 外宇宙でだって戦える。 甘く見てもらっては困るな!」

[一矢]

一矢「木星帝国!  火星での借りを返させてもらうぞ!」
バーンズ「貸し借りの話なら 俺達は地球に数えきれないだけの 貸しがある!」

[アイビス]

アイビス「く…このパイロット、速い!」
バーンズ「随分と高性能な機体らしいが 木星圏での戦いなら、こちらに分がある!」

[撃墜]

バーンズ「覚えておけ、海賊共!  俺の息子のような者を 出さぬためには…!」
バーンズ「木星人は地球圏へ 進出するしかねえんだ!  どんなことをしても…!」

[マザー・バンガード・ブリッジ]

ベラ「潜入チームの手に入れた貴重な データによりクラックス・ドゥガチの 所在は確率92%で判明しました」
レディ「では、ドゥガチはどこに?」
ベラ「木星の衛星イオ。 その第8採掘基地に木星帝国の 中枢部があると結論します」
ベラ「おそらく、クロスボーンも そこに集結していることでしょう」
ザビーネ「………」
一矢「………」
ベラ「敵が対応できないほど迅速に行動し 我々の持てる戦力の全てをもって 総統クラックス・ドゥガチを討ちます!」
トビア「了解です!」
ベラ「トビア、ご苦労さまでした。 あなた達の活躍で、この戦いを 終わりにすることが出来ます」
トビア「僕は何もしていません。 もし誉めて下さるなら医務室の キンケドゥさんを見舞って下さい」
ベラ「わかりました…」

アイビス「いよいよ決戦か…」
ツグミ「どうしたの、アイビス?  いつもと様子が違うけど コロニーで何かあったの?」
アイビス「…ちょっとね」
ツグミ「そうね…そうよね。 私達も私達のベストを尽くしましょう」

[医務室]

(扉が開閉する)
ベルナデット「ベラ艦長…!」
ベラ「具合はどうです、キンケドゥ?」
キンケドゥ「来てくれたのか…」
ベラ「ええ…」
トビア「さあベルナデット、 僕達は邪魔しちゃ悪いよ」
ベルナデット「う…うん…」

ベラ「キンケドゥ…」
キンケドゥ「そんな顔はするなよ…。 怪我をしたのは俺のミスだ」
ベラ「でも、私が立てた無謀な作戦で…」
キンケドゥ「…今の君はベラ・ロナだ。 部下のミスに一々泣いている暇はない」
キンケドゥ「だが、それももう終わりだ。 イオのクラックス・ドゥガチを倒せば 全ては終わるんだ」
ベラ「そうね…やっと終わるのね…」
キンケドゥ「ドゥガチを倒したら… その時は2人でフロンティアサイドに 帰ろう…」
ベラ「はい…」

《木星衛星イオ・SPACE AREA》

[ドゥガチの居場]

カラス「…以上が、火星にて我々と 交戦した敵についての報告です」
ドゥガチ「…貴様が木星圏へ 戻らねばならなかった程の敵なのか?」
カラス「はい。残念ながら、 その者達の攻撃のより火星駐留部隊は 撤退せざるを得ませんでした」
ドゥガチ「クククククク…」
カラス「ドゥガチ様…?」
ドゥガチ「元々、火星は地球侵攻の 中継基地として欲したに過ぎん」
ドゥガチ「より地球に近い前線に 新たな協力者を得た以上、 火星などくれてやっても構わん」
カラス「あの男と我々の同盟を 知った時の地球連邦の慌てる様が 目に浮かびますな」
ドゥガチ「そして、かの者達の出現も ワシにとっては喜ばしいことだ」
ドゥガチ「我が大願の成就は もはや目前にある。その日を待つがいい、 地球…そして愚かなる人類よ…」

『セシリーのパン』を入手した


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