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時のストレイシープ ~ 第41話 ~

[クロガネ 格納庫]

リュウセイ「ロ、ロブ!  お前、どうしてここに!?」
ロバート「シラカワ博士の招集を受けてな。 カーク達と一緒に来たんだ」
リュウセイ「もしかして、 こっちの状況を何とかするために……?」
リン「……そうだ」
リュウセイ「しゃ、社長!」
イルム「リン……お前も来ていたのか」
リン「以前、お前に言った通りだ。 私には、この手で取り戻さねばならない物がある」
イルム「ああ、わかってるさ」
レオナ「社長、お預かりしていた ヒュッケバイン008Lをお返しします」
リン「すまないな」
ロバート「レオナ、ズィーガーリオンを持ってきた。 すぐに使える状態にしてある。 後でラドム博士の所へ行ってくれ」
レオナ「わかりました」
ロバート「……リョウト、各機の状況を把握したい。 すぐにデータをまとめてくれ」
リョウト「いえ、もうやってあります」
ロバート「え?」
リョウト「実は……今後の勉強のために、 いつも整備班の人から機体のデータを 回してもらってたんです」
ロバート「ふふ、やるな。 それなら、すぐ修理作業に取りかかれるぞ」
リョウト「僕もお手伝いします」
ロバート「いや、お前はカークと共に ヒュッケバインMk-IIIタイプRの エンジンの交換作業をやってくれ」
リョウト「エンジンの交換……?」
リュウセイ「もしかして、トロニウム・エンジンに?」
ロバート「ああ、そうだ。 俺達が保有していた残り1個のトロニウム……」
ロバート「本来なら、 参式の1号機に搭載する予定だった物を使う」
リュウセイ「じゃあ、フルスペックのMk-IIIが 2機揃うことになるんだな」
ロバート「それと、 俺が開発していたGインパクト・ステークと、 ネオ・チャクラムシューターの試作品を持ってきた」
リュウセイ「試作品?」
ロバート「本来は特機用の武器なんだが、 今は形状試作も兼ねてPTサイズにしてあるんだ」
リュウセイ「ふ~ん……。 なら、R-1やMk-IIIで使えるな」
ロバート「じゃあ、早速作業を開始する。 時間はあまりないからな」

[ヒリュウ改 医務室]

ラーダ「あなたに投与されていた精神高揚剤は、 一過性で常習性のないものだったわ」
ラーダ「だから、今後服用しなければ大丈夫。 体質の方は、ゆっくり時間をかけて改善して いきましょう」
ゼオラ「はい……」
ラーダ「……」
ラーダ「……こんな言い方をするのは 不本意なのだけど……」
ラーダ「以前はともかく、 ここしばらくは記憶操作以外の調整を ほとんど受けていなかったようね」
ゼオラ「……」
ゼオラ「それは多分…… セロ博士のおかげだと思います」
ラーダ「……」
ゼオラ「あの人は…… コッホ博士やセトメ博士と違い、 色々と私達のためを想って……」
ゼオラ「私達に名前を付けてくれたのも、 クラスと番号が呼ばれるのが可哀想だからって……」
ラーダ「でも、自分の研究のために あなた達を利用していることに変わりはないわ」
ゼオラ「……」
ラーダ「いつかは…… その報いを受けなければならないのよ。 あの人も……私も」
ゼオラ「ラーダさん……」
ラーダ「……ごめんなさい。 余計な話をしてしまったわね」
ラーダ「さあ、アラドやラトゥーニ達が あなたを待っているわ。早く行ってあげなさい」
ゼオラ「はい……」

[ヒリュウ改 格納庫]

タスク「すげ~、 ホントにズィーガーリオンが組み上がってら」
マリオン「3チーム交替制で、突貫作業を行いました」
レオナ「設計図と形が違っている所が あるようですが……」
タスク「そうそう。 肩のハサミみたいなパーツ、ありゃ何スか?  あんなの、予定にゃなかったのに」
マリオンテスラ・ドライブと、 念動フィールド発生装置でしてよ」
マリオン「本来、ズィーガーのT-LINKシステムは、 機体の操作性と追従性を向上させるために 取り付けたものなのですが……」
タスク「あ、な~る。 念動フィールドを攻防に使おうって算段ッスね」
マリオン「いえ……攻、だけでしてよ」
タスク「へ?」
マリオン「念動フィールドは、攻撃時のみに使用します」
レオナ「バリアとして使わないのですか?」
マリオン「ええ。 あなた程の腕の持ち主なら、 そんな物は必要ないでしょう?」
レオナ「………」
マリオン「その代わり、 ブレイクフィールドとの組み合わせで、 強力な攻撃が出来ましてよ」
タスク「さすがマ改造。極端やわ~」
マリオン「何かおっしゃいまして?」
タスク「いえ、空耳です」
キョウスケ「……それで、博士、アルトの方は?」
マリオン「本体装甲は全交換。 両腕と両脚は、新造の物を取り付けます」
タスク「もしかして、 あそこにあるデカいステークが、その……」
マリオン「ええ。リボルビング・バンカー…… リボルビング・ステークの試作品にして、 ステークを上回る威力を持った武装ですわ」
マリオン「ただ……その大きさ故に、機体のバランスを 著しく損ねてしまったため、お蔵入りしていた物」
タスク「うわ~、デカきゃ強いだろ!  ……っていう、子供みたいな考えで 作られた武器ッスね」
(平手)
タスク「いてっ!」
マリオン「……次はバンカーの弾倉に詰めますわよ」
タスク「ゆ、ゆるちて」
キョウスケ「ラドム博士、 おれが提出したプランと、かなり違う所が あるようですが……?」
マリオン「やるならば徹底的に、でしてよ。 大型化するならば、ギリギリ限界まで 大きくしなければ意味がありませんわ」
マリオン「ステークの他に、両肩のクレイモアも ベアリング弾の搭載量を増やすため大型化……」
マリオン「そして、推進力アップを図るため、 背部にはヴァイスの予備パーツを基にして作った 大型スタピライザーを追加……」
マリオン「最後にテスラ・ドライブも搭載。 特別大サービスですわね」
レオナ「では、 今度のアルトは単体飛行が可能なのですか?」
マリオン「いいえ。 テスラ・ドライブはバランサーとして 使っているだけです」
タスク「へ?」
レオナ「つまり、そういう処置を施さねばならない程 機体バランスが悪いということですか?」
マリオン「そうとも言いますわね」
タスク(こ、こっちも紛う事なきマ改造やわぁ~)
キョウスケ「………」
マリオン「その代わり、突進力、攻撃力、防御力…… 全てにおいて、今までのアルトを上回るものに なっておりますわ」
キョウスケ「………」
マリオン「これならば、 シャドウミラーの特機相手でも当たり負けしない。 私なりの結論です」
キョウスケ「……おれが考えていたものと、まるで違う」
タスク「うわ~、そりゃそうでしょ。 ちょっと言ってやった方がいいッスよ。 乗るのは中尉なんだから……」
キョウスケ「……素晴らしい」
タスク「ほめちゃったよ!」
タスク「けど、こんなビルガーとは別の意味で 出たトコ勝負の機体で、大丈夫なんスか?」
キョウスケ「……それくらいでなければ勝てん……。 シャドウミラーにも、アインストにも」
キョウスケ「しかし、この短期間でよくもここまで……」
マリオン「もう負けるわけにはいかない。 そうではなくて? キョウスケ中尉」
キョウスケ「……その通りです」
マリオン「私もそうですわ。 負けさせるわけにはいきません。 ……私の作ったアルトアイゼンに乗る人間を」
キョウスケ「感謝します、博士」
タスク(最強かつ最凶のコラボやわ~)
キョウスケ「ところで……新しいアルトの名前は?」
マリオン「アルトアイゼン・リーゼでしてよ」
タスク「リーゼ……?」
レオナ「ドイツ語で『巨人』という意味よ」
キョウスケ「なるほど、それらしい名前だな」
キョウスケ(……これでおれの手元にも勝負手が来た)
キョウスケ(アクセル…… 前回の借りは返させてもらうぞ)
キョウスケ(そして、 アインストを……アルフィミィを倒し、あいつを……)
キョウスケ(取り返す……!)

[ヒリュウ改 ブリーフィングルーム]

(扉が開閉する)
ラトゥーニ「ゼオラ……!」
ゼオラ「ラト……。 ごめんなさい、色々心配かけて……」
ラトゥーニ「ううん、いいの……」
シャイン「良かったですわね、ラトゥーニ」
アイビス「アラドも頑張った甲斐があったね」
アラド「ええ……。 ゼオラが頑固者で助かったッス」
カーラ「いいのかな~、そんなこと言って?  またどやされちゃうよ」
アラド「いけね、いつものクセでつい……」
ゼオラ「……」
アラド「な……何、その顔?」
ゼオラ「私…… アラドのこと、覚えていられて良かった……」
アラド「へ!?」
ゼオラ「だって、セトメ博士の暗示が 解けても、あなたのことを覚えている 保証はなかったもの……」
ゼオラ「だから…… ちゃんとあなたやラトのことを 覚えていられて嬉しいの……」
アラド「そ、そりゃもう、 お前の頭の固さときたら、その胸とは大違いで……」
ゼオラ「本当にありがと、アラド……」
アラド「あ、ああ……」
アラド(か、かえって怖いんだけど、 この反応……)
アイビス「アラド、 次はあんた達の姉さんの番だよ」
カーラ「そうそう。 ゼオラだって、こうやってこっちに来たんだもの。 必ず上手くいくよ」
ゼオラ「はい、リルカーラ少尉……。 私達は必ずオウカ姉様を……」
アラド「オウカ姉さんだけじゃない。 エクセレン少尉も取り戻さなきゃ」
シャイン「ええ。 私達で、キョウスケ中尉のお手伝いを 致しましょう……」

[ヒリュウ改 艦内]

(扉が開閉する)
ラミア「ラミア・ラヴレス、入ります。 ……お呼びですか、ギリアム少佐」
ギリアム「ああ。 早速だが、これを見てくれ」
ラミア(少佐が私に、ということは……)
ギリアム「つい先程、感知されたものだ」
(データ送信)
ラミア「これは……通常転移反応? いや……」
ラミア「通常の転移ではない…… もしや、次元転移反応……!?」
ギリアム「その通り。 しかも、徐々に強まってきている」
ラミア「距離は……ここからそう遠くない。 しかし、この反応はアギュイエウスや リュケイオスのものではないようですね」
ギリアム「そう。反応の継続時間も鑑みて、 シャドウミラー以外の者による転移の可能性が高い」
ラミア「少佐には……心当たりがあるのですか?」
ギリアム「………」
ギリアム「かつて俺や君がいた世界から 転移してくるのなら……一つだけある」
ギリアム「だが、あのシステムは未完成だった。 あれでは……まだ無理だ」
ラミア「どんなシステムであれ、転移時に時間の ズレが生じてしまうことは、少佐やシャドウミラーが 証明しています」
ラミア「少佐の仰るシステムを完成させてから、 転移を行ったという可能性は?」
ギリアム「………」
ラミア「キョウスケ中尉は動けず、エクセ姉様…… エクセレン少尉も依然消息不明のままです」
ラミア「これ以上状況が悪化する前に、 早急に正体を確かめるべきでしょう」
ギリアム「そのつもりで君を呼んだ。 同行してくれるか?」
ラミア「がってん承知……!」
ラミア「ゴホン。……いえ、わかりました」
ギリアム「フッ、最後の最後で惜しかったな。 俺は個性があっていいと思うぞ、ラミア」
ラミア「……フォローありがとうございますのです」

[トライロバイト級 艦橋]

アクセル「……次元転移反応だと?  確かなのか? W16」
エキドナ「はっ。 こちらへ向かっているラコタ隊から報告が」
アクセル「反応のあった場所の特定は?」
エキドナ「NA334、ポイントUT878です」
アクセル「ここから近いな。 回収する。すぐに連絡を……」
エキドナ「ですが、隊長…… 転移反応は我々のものとは違います」
アクセル「何……?  まさかアギュイエウスやリュケイオス以外、 ということか? そいつは」
エキドナ「はい。 我が隊の者ではない可能性が 高いと思われます」
アクセル「しかし、 おれ達の世界からの転移ならば、いったい……」
アクセル「………」
アクセル(……ひとつだけあり得る。 もしや、転移して来たものとは……)
エキドナ「ラコタ隊に確認させますか?」
アクセル「いや、 連中はアインストとの戦闘で消耗しているはずだ。 無理はさせず、本艦へ向かわせろ」
アクセル「転移反応の確認……おれがしよう」
エキドナ「隊長自ら、ですか?  ソウルゲインは修理中です。出撃させるのは……」
アクセル「格納庫に、 おれ用のアシュセイヴァーがあったはずだ、これがな。 たまには使ってやるさ」
アクセル「W16、貴様はこの艦に残り、 ラコタ隊の回収を行ってくれ」
エキドナ「はっ。 お気を付けて、隊長」


第41話
時のストレイシープ

〔戦域:湖畔〕

(白いドームが広がり、レイディバードとエクサランス・ストライカーが出現)
ラウル「う、うぐっ……!!」
ラウル「!!」
ラウル「こ、ここはどこだ……!?  お、俺はどうなったんだ……!?」
ラウル「! フィオナは!?  ラージとミズホは!?」
ミズホ「うう……うっ」
ラウル「ミズホ!!」
ラージ「い、いったい、今のは……!?」
ラウル「ラージ! ミズホ! 無事か!?」
ミズホ「ラ、ラウルさん……!  フィオナさんは……!?」
(レーダーで捜索)
ラウル「い、いない……!!」
ミズホ「えっ……!?」
ラウル「そ、そっちでも サーチしてくれ!!」
ミズホ「は、はい!」
(データ送信)
ミズホ「そんな……! 反応がない!」
ラウル「何だって!?  もう一回調べてくれ!!」
(データ送信)
ミズホ「や、やっぱり……反応は……」
ラウル「機械が 故障してるんじゃないのか!?  もう一回……」
ラージ「いえ、故障ではありません…… 1号機の反応は消えています……」
ラウル「……!」
ラージ「あの時…… 1号機の時流エンジンは 暴走していました……」
ラージ「おそらく……彼女は……」
ラウル「う、嘘だろ、そんな……!」
ラウル「嘘だって言ってくれ!  ラージ!!」
ラージ「………」
ラウル「う、くっ……!  ミズホ、どうなんだ……!?」
ミズホ「………」
ラージ「……ラウル……フィオナは……」
ラウル「そ、そんな……!  あいつが……」
ラウル「フィオナが 死んだって言うのかよ!?」
ラージ「僕だって…… 認めたくはありませんよ……。 ですが……」
ラージ「ソウルゲインから受けた損傷…… そして、時流エンジンの暴走…… それらから判断すれば……」
ミズホ「………」
ラウル「ち、ちきしょう……!  ちきしょう!」
ラウル「ちきしょぉぉぉぉぉぉおっ!!」
(アインストが転移出現)
ラウル「!!」
ラージ「!!」
ラウル「なっ、何だ、あいつら!?」
ミズホ「か、怪物!?」
ラウル「もしかして、 あの時出てきた奴の仲間か!?」
ミズホ「い、いったい、 何がどうなって……!?」
ラージ「転移してきた……と言うことは、 インスペクターの兵器かも知れません」
ラウル「で、でも、あいつらは……!!」
(アインストクノッヘンを見る)
ラウル「こ、こっちへ来る!?」
(エクサランスの周りに爆煙)
ミズホ「攻撃してきた!?」
ラージ「敵……と言うわけですか……!」
ラウル「エ、エクサランスは……!」
ラウル「! 動く、動くぞ!!」
ラウル「こ、ここでやられてたまるか!  死んでたまるかっ!!」
(作戦目的表示)

〈3PP〉

(敵機増援が出現)
ミズホ「ま、また出てきた!」
ラウル「くそっ、このままじゃ!」
ラージ「降伏……は 通用しない相手みたいですね」
ラウル「ラージ、ミズホ!  フライヤー・フレームの準備を!!」
ミズホ「えっ!?」
ラウル「フライヤーを使えば、 何とかなる! 射出の準備をしてくれ!」
ラージ「あなた、 空中換装をやるつもりなんですか!?」
ラウル「それ以外に方法はない!」
ミズホ「む、無茶です!  フライヤー・フレームは まだ調整中なんですよ!?」
ミズホ「危険過ぎます!」
ラウル「今だって十分そうだよ!」
ミズホ「で、でも、 フィオナさんだけでなく、 ラウルさんまで失うことになったら……」
ラウル「!」
ミズホ「あたし……あたし……!」
ラウル(フィオナ……! くっ……!!)
ミズホ「………」
ラウル「ミズホ…… ここでエクサランスを失うわけには いかない……!」
ラウル「フィオナのためにも…… こんな所で終わるわけにはいかない!」
ミズホ「……!」
ラージ「……ミズホ、 ラウルの言う通りです。 フライヤーの準備をしましょう」
ミズホ「で、でも!」
ラージ「調整が終わっていないのは、 ET-OS周りでしょう?」
ラージ「ならば、ストライカーの MCデータをフライヤーにコピーすれば、 何とかなります」
ミズホ「そ、そんな時間はありませんよ!  それに、フライヤーに移しても、 適合するかどうか……」
ラージ「データの取捨選択は僕がやります。 後はラウルに合わせてもらいます。 あなたは転送の準備を」
ミズホ「………」
ラウル「頼む、ミズホ!  このままじゃ、俺達は!!」
ミズホ「わ、わかりました!」
ラウル「ラージ、どれぐらいかかる!?」
ラージ「2分…… いや、1分で何とかしましょう」
ラウル「上出来だ! 頼むぞ!!」

〈4PP〉

ラージ「ラウル、 フライヤー・フレームの射出準備が 終わりました」
ラウル「了解!」
ラージ「ストライカーをパージしたら、 アージェント・ブロックは無防備に 近い状態となります」
ラージ「ですから、 1回で決めて下さい」
ラウル「わかってる!」
ミズホ「ラウルさん、 MCデータを送ります!」
(データ転送)
ラウル「来た……! これか!」
ミズホ「ハッチ開きます!」
ラージ「レイ・トレーサー、作動!  行きますよ、ラウル!」
ラウル「ああ!」
ミズホ「フライヤー、射出します!  ガイダンス・リンク!」
ラウル「リンク! フレーム・パージ!」
(アージェント・ヘッドに分離後、アージェント・ファイターに変形)
ラウル「フライヤー・インサート!!」
(フライヤー・フレームと合体し、エクサランス・フライヤーが出現)
ラウル「インサート完了!  エクサランス・フライヤー!!」
ラウル「さあ来い、化け物共!  フライヤーの力を見せてやる!!」

〈敵機5機以下 or 6PP〉

(警報)
ラージ「! この反応は……」
ラージ「ラウル!  熱源反応多数! こちらに来ます!」
(アインストが全滅)
ラウル「なっ、何だ!?」
(アクセル隊が出現)
アクセル「やはり…… 次元転移をしてきたのは エクサランスだったか」
アクセル「まさか、 おれ達と同じ世界へ流れ着くとはな。 ……これも因縁というものか」
ラウル「何者なんだ、あいつら……!?」
アクセル「1機だけか?  エクサランスは2機あったはずだ。 ……あの損傷では……無理だったか」
アクセル(あの時突如現れた、 アンノウンも見当たらんが…… あれはいったい何だったんだ?)
ミズホ「私達を 助けてくれたということは…… 連邦軍なんでしょうか?」
ラージ「いえ、違うでしょうね。 あの緑色の機体……あれは、 ソウルゲインと一緒にいました」
ミズホ「じゃ、じゃあ!?」
アクセル(状況は不透明だが、 確かなことはひとつ……)
アクセル(……時流エンジン。 エネルギー効率の良さだけではなく、 次元転移を可能とするならば……)
アクセル(無視できる代物ではない。 手に入れるにせよ、敵の手に 落ちるにせよ、だ)
(通信)
アクセル「聞こえるか?  エクサランスのパイロット。 名は確か……ラウルだったな」
ラウル「そ、その声は!!  フィオナを撃った奴かっ!!」
アクセル「フィオナ…… あの時、貴様をかばった者の名か?」
アクセル「……戦士に敬意を表して、 今回は名乗らせてもらおう」
アクセル「シャドウミラー隊所属、 アクセル・アルマーだ。 ……久しぶりだな」
ラウル「久しぶりだと!? ふざけるな!  会ったのはついさっきのことだろうが!」
アクセル「貴様にとってはそうでも、 おれにとっては半年以上前の話だ、 これがな」
ラウル「半年前!?」
アクセル「落ち着いて、周りを見ろ。 ここはおれ達が交戦した場所か?」
ラウル「!!」
ミズホ「言われてみれば…… あんな湖はなかった……」
アクセル「ここは『別の時間』、 そして『別の世界』なのさ。 貴様らには、その意味がわかるはず」
ラウル「な……に?」
ラージ「そんな……馬鹿な」
ラージ「時流エンジンが、それを目指して 設計された物であっても……」
ラージ「現段階で到達するはずが……。 いや、可能性があるとしたら……」
ラウル「まさか、俺達は…… 時間と空間を越えた……のか?」
アクセル「……貴様らは、おれ達がいた 『向こう側』から、『こちら側』へ たどり着いた」
アクセル「つまり、世界の『枠』を 乗り越えてしまったのさ」
ラウル「!?」
ラージ「ここは並行世界…… 僕達の世界とは、似て非なる所だと 言うんですか?」
アクセル「話が早いな。 簡単に言えば、そういうことだ。 こいつがな」
ラージ「それを……どう証明するんです?」
アクセル「自分たちで理解すればいい。 この世界を彷徨えば、すぐにわかる」
アクセル「おれ達がいた世界と似て いながら、決定的に違う部分を、だ」
ラージ「………」
ミズホ「それが事実だとしても、 どうしてあたし達が……!?」
ラージ「あの時、突如現れた謎の物体…… そして、それに呼応するかのように 暴走した時流エンジンによって……」
ラージ「僕らは、ここへ飛ばされて しまったのかも知れません」
ミズホ「……!」
ラージ「でも、それを信じるわけには…… 認めるわけには……」
アクセル「おれは事実だけを話した。 信じるか否かは勝手にすればいい」
アクセル「今のおれの興味は、 世界すら超越する時流エンジン…… すなわちエクサランスだけだ」
アクセル「あの時の続きになるな。 おれは半年ぶり…… 貴様らにとっては、つい先程のな」
アクセル「エクサランス…… 引き渡してもらおうか」
ラウル「ふざけるな!  お前のせいでフィオナは…… フィオナは!!」
アクセル「それもまた…… 戦争の大きな流れの一つにすぎん」
アクセル「……おれも今まで、 多くの仲間を失ってきた。 自分の信じる闘争の中でな」
ラウル「黙れ!  お前が1号機を撃たなければ、 フィオナもここへ……!!」
アクセル「……どうかな。 常に物事には運不運が付きまとう」
ラウル「よくもぬけぬけと……!!」
アクセル「時に選び、時に捨てる ことによって、流れは変わってくる。 ……選んでもらおうか」
ラウル「あの時と同じで、 選択肢は二つ……ってことか!?」
アクセル「大人しく従うのなら、 身の安全は保証しよう」
ラウル「従わなきゃ、 俺の妹と同じ目に遭うってのかよ!?」
アクセル「……残念だが、そうなる」
ラウル「なら、答えは決まってる!」
ラージ「ラウル、あなたは……!」
ラウル「ラージ、俺はアクセルの 言いなりにはならないぞ!」
ラウル「俺はエクサランスで戦う!  フィオナのためにも! 時流エンジンを あいつらには渡してたまるか!!」
アクセル「……選ばず、捨てるか。 貴様の気持ち、わからんでもない」
アクセル「だが、おれ達に従えば、 元の世界に戻ることができる。 ……研究への援助も可能だが?」
ラージ「元の世界へ……?  あなた達には、転移装置があると 言うんですか?」
アクセル「でなければ、 『こちら側』へは来ていない」
ラージ「にわかには信じられませんね。 そんな装置が実在しているなんて」
アクセル「……『向こう側』の テスラ研にはそれがあったのさ」
アクセル「ヘリオス・オリンパスが 開発した空間・次元転移装置…… システムXNがな」
ラージ「ヘリオス……!?」
ラウル「それって、 親父達が生きてる時に 連絡を取って来たっていう……」
ラージ「ええ、そうです」
ラウル「なら、ヘリオスって人も 俺達と同じ目的で……!?」
ラージ「それはわかりませんよ。 僕らの父親は、探究心から 時流エンジンを開発した……」
ラージ「だが、 ヘリオス・オリンパスや 彼らの目的は……どうでしょうね」
アクセル「少ししゃべりすぎたな。 もっと知りたければ、おれに従え。 ……悪いようにはしない」
ラウル「!」
アクセル「考えろ。 ……選ぶか、捨てるかだ」
ラウル「さっきも言った通り、 答えは決まっている!!」
ラージ「ラウル、待って下さい!」
ラウル「ノーだ!!」
アクセル「……わかった。 それが貴様の選択なら、おれも自分の 選択に従うまでだ、こいつがな」
アクセル「各機、仕掛けろ」

〈6EP〉

(データ送信)
アクセル(む……? レーダーが?)
アクセル(急がねばならんか)

味方増援出現時にアシュセイヴァー以外の敵機が
存在する 存在しない


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