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会者定離の理 ~ 第40話 ~

[??? (アインスト空間)]

アルフィミィ「……『扉』を開く準備は 整いつつありますの……」
???(アインストレジセイア)「……」
アルフィミィ「そして、目覚めの時…… 選ばれた素材の……」
???(アインストレジセイア)「……新たな宇宙……静寂…… 新たな生命……」
アルフィミィ「わかっておりますの……。 まずは……エクセレンを……」
???(アインストレジセイア)「『扉』……我の依り代……」
アルフィミィ「はい……そのために……」
アルフィミィ「始まりの地に大いなる混乱を……ですの」

《アースクレイドル》

[アースクレイドル 内部]

クエルボ「いいかい?  今回の任務はシャドウミラーの部隊、 そしてフェフ博士の子供達と協力し……」
クエルボ「ハガネとヒリュウ改を見つけ、 ラトゥーニを始めとするサンプルを捕らえることだ」
オウカ「わかりました。 任務の障害となる者……アラド・バランガは 抹殺と言うことでよろしいですね」
クエルボ「……」
ゼオラ「どうしたんですか、セロ博士……?」
クエルボ「……お前達は本当にアラドのことを 覚えていないのか?」
オウカ「覚えております。 アラド・バランガは私の妹を連れ去った……」
クエルボ「そうじゃない。 アラド……ブロンゾ28のことを 忘れてしまっているのか?」
ゼオラ「28……?  あの男が私と同じクラスだと言うんですか……?」
クエルボ「あ、ああ。実は……」
オウカ「……セロ博士、28号はもういません。 あの子はかつての戦闘訓練で……」
ゼオラ(もう……いない……?)
オウカ「そして、アラド・バランガが スクールのメンバーなどと…… そのようなことはあり得ません」
オウカ「私の記憶の中に、アラドという弟は 存在していないのです」
ゼオラ(存在して……いない……)
ゼオラ(もう……いない……)
ゼオラ(うう……う……)
オウカ「どうしたの? ゼオラ」
ゼオラ「だ、大丈夫です、姉様……。 頭が少し痛むだけ……」
オウカ「……」
ゼオラ(何なの……この気持ち……?)
ゼオラ(何か大事なことを忘れているような……)
ゼオラ(それに……前にも……?  思い出せない……)
オウカ「ゼオラ、不安になることはないわ。 あなたには私がついている……」
オウカ「今度こそアラド・バランガを倒し、 私達の妹を取り戻しましょう」
ゼオラ「は、はい……オウカ姉様」
クエルボ「……」
クエルボ(やはり、僕の措置では駄目か。 もう今さら……)
クエルボ(……ラーダ…… もし、君が生きていたら…… こんな僕を軽蔑するだろうな………)

[???(回想)]

ラトゥーニ11「うう……う……」
ブロンゾ28「なあ、もう泣くなよ」
ブロンゾ27「そうよ、元気出して」
ブロンゾ28「結果が悪くて怒られたからって、 気にすんなよ。おれなんてしょっちゅうだぜ?」
ラトゥーニ11「………」
ブロンゾ27「あなたは いつも一所懸命やってるじゃない」
ブロンゾ27「それに…… 私達、あなたが無事戻ってきてくれて 嬉しいんだから」
ブロンゾ28「ああ、心配してたんだぜ」
ラトゥーニ11「……」
ブロンゾ27「姉様も…… あなたを捜すために自分も出るって言って……」
ラトゥーニ11「姉様が……?」
(扉が開閉する)
アウルム1「ラトゥーニ11……」
ラトゥーニ11「姉様……」
アウルム1「良かったわ……。 あなたが無事に帰ってきてくれて」
ラトゥーニ11「でも……」
アウルム1「いいのよ、結果のことは。 コッホ博士には、後で私の方からも 言っておいてあげる」
アウルム1「それより、みんな…… 明日の訓練が中止になったわ」
ブロンゾ28「え?  じゃあ、一日休みってこと!?」
アウルム1「ええ、そうよ」
ブロンゾ28「それじゃ、 調整食じゃなくて、普通のメシだ!  思いっきり食っていい!?」
アウルム1「いいわ。でも、3人分までにしてね」
ブロンゾ28「ええっ!?  姉さん、もう一声! 5人分!」
アウルム1「体重超過になると、 再調整を受けることになるわよ。 私の分を分けてあげるから、それで我慢なさい」
ブロンゾ28「へ、へ~い」
ブロンゾ27「でも、姉様もちゃんと食べなきゃ……」
アウルム1「いいのよ。私は次の調整に備えて、 減量しなければならないから」
ブロンゾ27「もしかして、 またメイガス・ケーナズの調整器に?」
アウルム1「ええ……。だから、しばらくの間は あなた達と会えなくなるわね」
ラトゥーニ11「姉様……」
アウルム1「心配いらないわ。 いつも通り、ちゃんとあなた達の所へ戻ってくるから」
ラトゥーニ11「うん……私、待ってる」
ブロンゾ27「ねえ、姉様……明日は姉様もお休みなの?」
アウルム1「そうよ。 せっかくだから、他の子も集めて パーティをやりましょうか」
アウルム1「セロ博士には 私の方から許可をもらっておくから」
ブロンゾ28「やったぁ!!」
ブロンゾ27「じゃあ、私、お料理作るわ」
ブロンゾ28「ゲ!!」
ブロンゾ27「な、何よ! その反応は!?」
ブロンゾ28「い、いや、お前…… がさつなのは性格だけじゃなくて、料理の腕も……」
ブロンゾ27「私のどこががさつで粗雑なのよっ!?」
ブロンゾ28「粗雑なんて言ってねえ!」
ブロンゾ28「……ったく、少しは姉さんを見習って おしとやかになれってんだ」
ブロンゾ27「こ、これでも見習ってるつもりなの!」
ブロンゾ28「どこが!?」
ブロンゾ27「あんたみたいな 鈍感男にはわからないわよ!」
ブロンゾ27「イーッ、だ!」
ブロンゾ28「ダメだ、こりゃ」
アウルム1「ふふ、相変わらず仲がいいわね」
ラトゥーニ11「……」
アウルム1「さあ、ラトゥーニ11。 元気を出して……笑って。あなたには笑顔が似合うわ」
ラトゥーニ11「……こう……?」
アウルム1「そうよ。いい子ね」
ラトゥーニ11「姉様……」

[ハガネ 個室]

アラド(……その後、 姉さんは半年近く戻ってこなかった)
アラド(そして…… ラトはアードラーのじじいの 無茶な調整が祟って……)
アラド(事故を起こし、スクールからいなくなった)
アラド「……」
アラド(でも、あの頃の記憶は…… 姉さん達と一緒にいた頃の思い出は……)
アラド(おれもラトにも残ってる……。 調整を受けても、あの頃の記憶は消えちゃいない)
アラド(だから、ゼオラや姉さんもきっと……)
(扉が開閉する)
シャイン「アラド……」
アラド「シャイン王女……」
シャイン「……時間でございますわ。参りましょう」
アラド「わかりました……」

[ハガネ 甲板上]

カイ「全員、整列!!」
リュウセイ「………」
リオ「………」
レフィーナ「ダイテツ・ミナセ艦長以下、 オペレーション・プランタジネットの戦死者に 哀悼の意を表し……」
レフィーナ「敬礼!」
ラーダ「……」
ラトゥーニ「……」
マサキ「くっ……おっさん……!」
アイビス「ううう……」
カチーナ「……泣くんじゃねえ、マサキ、アイビス」
マサキ「………」
カチーナ「この戦いが終わるまでは…… な、泣くんじゃねえ……うっ、ううう……」
アイビス「カチーナ中尉……」
リューネ(ダイテツ艦長……バン大佐……)
エルザム「……」
ライ「兄さん……」
エルザムL5戦役の時…… ダイテツ中佐の尽力がなければ、 私はここにいなかっただろう」
エルザム「だから、今はレーツェルとしてではなく、 エルザムとして彼を送りたい……」
ライ「……」
ゼンガー(これより我らはさらなる修羅の路を往く。 散っていった者達の無念を晴らすため…… 己の未来を切り開くために)
ゼンガー(だが、 戦い終えた同胞達よ……今は安らかに眠り給え)
レフィーナ「……」
テツヤ(ダイテツ艦長……自分はあなたの遺志を継ぎ、 これからも戦い抜いてみせます)
テツヤ(ですから、 どうかハガネを……自分達を見守って下さい……)
ショーン「……エクセレン少尉、例の物をお願いします」
エクセレン「はい……。 ダイテツ艦長の好きなお酒……」
ショーン「……」
ショーン(ダイテツ中佐……。 もうあなたと杯を交わすことが出来なくなりましたな)
ショーン(いずれは私も同じ所へ行くでしょうが……)
ショーン(今は……再び戦場へ赴きます。 あなたの教え子達と共に……)

《マオ・インダストリー パリ支社》

[マオ・インダストリー パリ支社]

ミツコ「……お久しぶりですわね、リン」
リン「ああ……私に何の用だ?」
ミツコ「今日は、 ビジネスの話をさせていただきたいと思いまして」
リン「……」
ミツコ「実は……私共イスルギ社は、ウォン重工業の 買収を計画しております」
リン「ウォン重工業……。 VTシリーズという工業用の 無人機械を販売している所だな」
ミツコ「ええ。小さな会社ですが……DC戦争前には 宇宙プラント建造に関わっていたりと、なかなか 優秀な技術を持っている所でございますの」
リン「それで?」
ミツコマオ・インダストリーも 元々は工業系の会社でございましょう?  ウォンとは相性がいいと思いまして」
ミツコ「そこで……是非、御社にも買収の話に 一枚噛んでいただきたいんですの」
リン「つまり、我が社と ウォン重工業で新たな会社を作り…… そちらの傘下に入れと言うことか?」
ミツコ「お話が早くて助かりますわ」
リン「断る」
ミツコ「あら……私はそちらへ 救いの手を差し伸べておりますのに」
リン「……」
ミツコ「月の本社がインスペクターに乗っ取られ、 何かと大変な状況でございましょう?」
ミツコ「それに加え、軍からヒュッケバインMk-IIを 我が社でライセンス生産するよう要請されているとか」
リン「……結果は同じだといいたいのか?」
ミツコ「ええ、そういう流れですもの。 外では色々な組織が、様々な形で結びついています。 私達もそうしませんと、ね?」
リン「悪いが、そちらと手を組むことは 我が社の方針に反する」
ミツコ「あらあら……会社にとって、 利益を得ること以上に大事なことがありまして?」
ミツコ「まさか、兵器を開発しておきながら、 社会に貢献するなどと仰るつもり?」
リン「矛盾は承知の上…… だが、我々が生き抜くには力が必要なのだ」
ミツコ「うふふ。 正義の味方なんて、今時流行りませんわよ。 それに、儲かりもしません」
リン「流行り廃りや、利益のためだけに 仕事をしているわけではないのでな」
ミツコ「ビジネスも戦いですわ。 そんなことで生き残れますの?」
リン「生き残ってみせるさ。 伊達に修羅場は踏んでいない」
ミツコ「ふふふ…… あなたのそういう所、私は好きでしてよ」
リン「フッ……光栄だな」
ミツコ「では、今回のお話はまたの機会ということに」
リン「何度言われても答えは同じだ」
ミツコ「うふふ……強がりはよくありませんわよ。 それでは、ごきげんよう」
(通信切れる)
リン「……」
リン(こんな時に買収の話か。 ……いや、こんな時だからこそか)
リン(だが……やはり、あの女……)
(扉が開閉する)
秘書「社長……」
リン「どうした?  ハガネとヒリュウ改の行方がわかったのか?」
秘書「い、いえ、そうではなく…… 面会の方が……」
リン「面会? 今日はそんな予定は……」
(扉が開閉する)
???(シュウ)「……突然の無礼はお詫びしますよ」
リン「! お前は……!?」
???(シュウ)「リン・マオ……あなたを迎えに来ました」

[ヒリュウ改 ブリッジ]

ショーン「アルトアイゼン以外の各機については、 何とか修理の目処がつきましたが……」
ショーン「ハガネは 機関部と各武装の損傷が著しく…… 修理にはかなりの時間を要します」
レフィーナ「……とにかく、 修理作業に全力を尽くして下さい。 あの艦を見捨てるわけにはいきません」
ショーン「ええ、もちろんです」
(扉が開閉する)
カイ「……艦長、例の2名を連れて参りました」
ユウキ「……」
カーラ「……」
レフィーナ「ヒリュウ改艦長、 レフィーナ・エンフィールドです」
ユウキ「ユウキ・ジェグナン少尉です。 こちらへの回収、感謝します。 ……処分はいかなりとも」
レフィーナ「では、私達と一緒にインスペクターや シャドウミラーと戦って下さいませんか」
カーラ「え……!?」
ユウキ「本気でそのようなことを?」
レフィーナ「もちろんです」
カーラ「あ、あたし達はノイエDCの兵士なんだよ!?  あんた達とも何度か戦ってきた。それを……!」
カイ「わだかまりが残るのは当然だろう。 我々側も同じだ。しかし、今は互いに それを乗り越えていかねばならん」
カイ「地球人同士の抗争の縮図をここへ持ち込んでも、 何にもならんからな」
カーラ「……!」
レフィーナ「インスペクターとシャドウミラーが 手を結んだ今、私達が戦わなければならない 相手は同じはずです」
ユウキ「……」
レフィーナ「そして、 私達は非常に苦しい状況下に置かれています」
レフィーナ「バン・バ・チュン大佐の死を 無駄にしないためにも、どうかあなた達の力を 貸して下さい」
ユウキ「……わかりました」
ショーン「では……?」
ユウキ「ええ。 ヴィンデル・マウザーやアーチボルド・グリムズの 横行を許すわけにはいきません。そして……」
ユウキ「彼らがインスペクターと結託した以上、 我々も力を合わせるべきでしょう」
レフィーナ「はい」
ユウキ「そちらの指揮下へ入る前に、 一つ要望があります」
レフィーナ「何でしょう?」
ユウキ「ここでリルカーラ・ボーグナイン少尉を 解放していただきたいのです」
カーラ「ユ、ユウ!?」
カイ「何故、そのようなことを?」
ユウキ「彼女はL5戦役の被災者…… 正規の軍人ではありません。ですから……」
カーラ「じょ、冗談じゃないよ!」
ユウキ「カーラ……これが最後のチャンスだ。 ここで降りなければ、本当に後戻りできなくなるぞ」
カーラ「なに言ってんの!  あたしがラングレーで言ったこと、 嘘じゃないんだよ!!」
ユウキ「夢はどうする? 本当なら、お前は……」
カーラ「バ、バカにしないでよ!  こんな所で一人だけ降りて、 夢をかなえてどうすんのさ!」
カーラ「異星人やシャドウミラーに地球を めちゃくちゃにされたら、ダンサーも何もないよ!」
ユウキ「お前の復讐は、もう終わっている。 俺達が戦う相手は……エアロゲイターじゃない」
カーラ「そんなの関係ないよ!  言ったでしょ? もうあたしみたいな子を 増やしたくないって!」
ユウキ「……」
カーラ「あ、あたしは…… あたしはもう自分の復讐のために戦ってるんじゃない」
カーラ「あたし以外の人達のために…… 戦ってるんだよ……」
ユウキ「……」
カーラ「そ、それに、あんたが死んじゃったら……」
カーラ「ヤキモチやいてくれる人が いなくなっちゃうじゃない……。 そんなのあたし……嫌だよ……」
ユウキ「……」
ユウキ「ヤキモチをやいた覚えはないが…… いいんだな?」
カーラ「うん。 だから、あんたの傍にいさせて。 出来れば……これからもずっと」
ユウキ「……わかった……」
カイ「……では、 両名共こちらの指揮下に入るということで 構わないのだな?」
ユウキ「ええ。よろしくお願いします」
レフィーナ「こちらこそ」

[ヒリュウ改 艦内]

アラド「ユウキ少尉、リルカーラ少尉……!」
ユウキ「アラド……」
アラド「少尉達も一緒に戦ってくれるんですね。 おれ、嬉しいッス」
カーラ「これからもよろしくね、アラド」
アラド「ええ」
カーラ「なんか不思議な気分だね。 敵の艦でこうしてあんたと喋ってるなんて」
アラド「もう敵じゃないです」
カーラ「あ……そうだったね」
カーラ「それにしても…… 外から見てるだけじゃわかんなかったけど、 結構居住性が高いんだね、この艦」
アラド「おまけにメシもうまいッス」
カーラ「ホント? デザートなんかも出たりする?」
アラド「軍艦にしては充実してる方だと思うッス」
カーラ「そうなんだ。 ……よかったね、ユウ。 お茶の時間の楽しみが増えたじゃない」
ユウキ「……」
カーラ「ん? どうしたの?」
ユウキ「お前……さっきのは演技だったのか?」
カーラ「な、な~に言ってんの。 ほら、あたし、気持ちを切り換えんの早いから」
ユウキ「……」
カーラ(ホントはちょっとだけ演技入ってたけど……)
アラド「それで、あの……。 あいつの……ゼオラのことを教えてもらえませんか?」
ユウキ「……すまんが、 アースクレイドルに戻ってから彼女とは会っていない」
カーラ「うん……あたしも心配してたんだけど……」
アラド「そ、そうッスか……」
カーラ「こっち側へ 連れてきたいんでしょ、あの子を……」
アラド「ええ」
カーラ「あんたなら出来る。出来ると思うよ、あたし」
アラド「リルカーラ少尉……」
カーラ「あたし達の目の前で、 2回もあの子を助けたもんね」
カーラ「でも、 3回目はちゃんと二人で戻ってきなよ。いいね?」
アラド「はい……!」
カーラ「んじゃ、仕事の前に腹ごしらえ。 アラド、食堂まで案内してくれない?」
アラド「わかったッス」

[ヒリュウ改 食堂]

ユウキ「ほう……結構広いな」
アラド「他に上級士官用の食堂もあるんですけど、 みんなここでメシを食うことが多いッス」
カーラ「ふ~ん……割とフランクなんだ。 連邦軍って、もっとおカタいと思ってたけど」
ブリット「……ハガネとヒリュウ改は 例外みたいなものさ」
カーラ「! あんたは……」
ユウキ「ブルックリン……」
ブリット「ブリットだ」
ユウキ「!」
ブリット「ここじゃ、俺のことはそう呼んでくれ」
ユウキ「なら、俺はユウ……ユウでいい」
ブリット「……」
ユウキ「……」
タスク「……ほらほら、男同士で見つめ合ってねえで」
レオナ「コーヒーを持ってきたわ」
クスハ「これで一息入れて」
カーラ「あんた達は……」
クスハ「私はクスハ・ミズハです」
カーラ「ああ、超機人に乗ってた……」
タスク「俺、タスク・シングウジ。 で、隣がマイスウィートハニーの……」
(肘鉄を食らう)
タスク「いてっ!」
レオナ「そういう紹介の仕方は止めなさい」
タスク「す、すんまへ~ん」
レオナ「……私はレオナ・ガーシュタイン。 以後、よろしくお願いするわ」
カーラ「う、うん」
タスク「たはは……」
カーラ「なんかあたし、あんたに親近感持っちゃうな~」
タスク「おろ? もしかして、そっちも?」
カーラ「うん、ユウも照れ屋でね。 なかなか素直になってくれないんだ」
タスク「わかるわかる。 レオナもな、みんなの前じゃ……」
ユウキ「誰が照れ屋だ」
レオナ「余計なことを言うと、 脇腹だけでは済まなくてよ」
カーラ「……あの二人、似たようなタイプだね」
タスク「いや、まったく」
アラド「他人事とは思えないッス」
ユウキ「ところで……お前達はコーヒー党か?」
クスハ「そういうわけじゃないけど……」
ユウキ「なら、次は俺が紅茶を入れよう」
クスハ「え?」
カーラ「ユウはね、超がつく程の紅茶党なんだ。 いれ方もすっごく上手いんだよ」
クスハ「そうなの。 今度、私にも教えてもらえるかしら」
ユウキ「ああ、基礎からキッチリとな」
クスハ「お、お願いします」
タスク「ま、とりあえず 今はコーヒーを飲んでくれよ。 冷めない内にさ」
ユウキ「ああ」
ブリット「……お前と 一緒にコーヒーを飲む日が来るなんてな」
ユウキ「まったくだ」
ブリット「色々あったけど…… これからよろしく頼む。 力を合わせて戦おう、ユウ」
ユウキ「了解した、ブリット」

[ヒリュウ改 格納庫]

リョウト「そうですか…… キョウスケ中尉とエイタ伍長が……」
エクセレン「術後の経過は順調…… 明日にでも意識を取り戻すって」
リョウト「良かったです……」
エクセレン「それで……アルトちゃんは?」
リョウト「僕も修理に立ち会ってるんですが、 かなり厳しい状態です」
リョウト「両手両足は欠落していますし…… 動力部にも損傷があります。すぐに使えるようには……」
エクセレン「そう……」
(長い感応)
エクセレン「!!」
???「……エクセレン……」
エクセレン「あ、あなた……!」
???「目覚めの時が…やって参りましたの……」
エクセレン「う……うう……!」
???「さあ……こちらへ」
エクセレン「う……!」
???「私の所へ…いらしてくださいませ…」
(長い感応)
エクセレン「………」
リョウト「しょ、少尉……?」
エクセレン「……呼んでる……」
(扉が開閉する)
リョウト「エ、エクセセン少尉!  どこへ行くんですか!?」

[ヒリュウ改 ブリッジ]

ショーン「ほう……策があると?」
レーツェル「ええ。 現在のような状況を想定し、 用意していた物があります」
ショーン「もしや それはレイカー司令の……?」
レーツェル「はい。 まだ作業が完全に終わっていない 状態ではありますが……」
(アラート)
レフィーナ「どうしたのです!?」
ユン「後部格納庫でヴァイスリッターが 出撃態勢に入っています!」
レフィーナ「まさか、あの時と同じで エクセレン少尉が!?」
ユン「向こうは回線を切っています!  発進を止められません!」
(発進)
ユン「ヴァイスリッター、艦外へ出ました!!」
レフィーナ「すぐに追撃機を出して下さい!」
ユン「りょ、了解!」


第40話
会者定離の理

〔戦域:海上〕

(ヴァイスリッターが出現)
エクセレン「……」
エクセレン「……!」
エクセレン「また……呼ばれた」
エクセレン「でも、 ちょうど良かったかも…ね。 私も聞きたいことがあったし」
エクセレン「さ、出てらっしゃいな。 オードブルはなしで、ね」
(アインストアイゼンが転移出現)
エクセレン「……言ってみるもんね。 順番を飛ばしてくれたみたい」
エクセレン「けど、今日は時間がないのよね。 キョウスケのことも心配だし…さっさと お嬢ちゃんに出てきてもらうから!」
(機械音、システムダウン)
エクセレン「ん? あらら!?  機能停止……!? どしたの、 ヴァイスちゃん?」
エクセレン「ちょ、ちょっと…… ねえ、動いてったら!」
(ヴァイスリッターの反応なし)
エクセレン「わお! ひょっとして ヴァイスちゃん、ご機嫌ナナメちゃん?  虫の居所が悪いってやつ?」
エクセレン「これはホントにヤバいかも……!  シャレになってないわよ!?」
(精神感応)
エクセレン「!!」
(ペルゼイン・リヒカイトが転移出現)
エクセレン「で、ここでお嬢ちゃんの 登場、ね。今日はいつもより早いじゃない?  お急ぎ?」
アルフィミィ「はい、お急ぎですのよ。 エクセレン、お迎えに参りましたですの」
エクセレン「レモンって人といい、 お嬢ちゃんといい……私、そっち系に 進むつもりはないんだけど?」
アルフィミィ「こちら系に…… 目覚めていただきたいですの」
エクセレン「目覚める……?  こないだもそんなこと言ってたわね」
アルフィミィ「そう……。 でも、キョウスケは……あの人は…… 私を拒絶したのですの……」
アルフィミィ「ですが、今ならば…… あなただけならば……」
エクセレン「キョウスケ…… 今、あの人が動けないから?」
エクセレン「もしかして、 ラングレー基地にアインストが 現れたのは……」
アルフィミィ「あの人の命の火を…… 消さぬため」
エクセレン(やっぱり、 あれは偶然じゃなかったのね……!)
アルフィミィ「ただ…… そのためだけに動いたわけでは ございませんのよ……」
エクセレン「どういうこと?」
アルフィミィ「始まりの地…… もう一つのルーツ……イレギュラー…… 失敗作……それらを消し去るために」
アルフィミィ「新たな宇宙…… それを静寂で満たすために……ですのよ」
エクセレン「ま、またわけわかんないことを 言い出したわね~」
エクセレン「も~ちょい簡単に、わかりやすく 明瞭に、それでいて親切かつ丁寧に かいつまんで…」
エクセレン「ぶっちゃけさっくり 教えてくれないかしらん?」
アルフィミィ「ぶっちゃけ、 説明する必要はございませんの。 何故なら……」
(長い感応)
エクセレン「!!」
アルフィミィ「さあ……こちらへ」
エクセレン「く……!  う、うう……ああ……!」
アルフィミィ「エクセレン…… あなたが目覚める時が参りましたの」
エクセレン「う、うう……!  キョ、キョウ……スケ……!」
アルフィミィ「あの人は…… いらっしゃいませんのよ?  動ける状態ではございませんの」
アルフィミィ「だから、あなたを……。 さあ、エクセレン……」
エクセレン「…………」
アルフィミィ「私と一緒に…… 来ていただきたいですの」
エクセレン「…………」
(ヴァイスリッター含め全ての機体が転移撤退後、ビルトビルガー、フェアリオン・タイプG、フェアリオン・タイプSが出現)
アラド「エクセレン少尉っ!!」
シャイン「ヴァ、ヴァイスリッターが いませんわ!」
ラトゥーニ「反応が消えてる……!」
アラド「そんな馬鹿な! さっきまで レーダーに映ってたじゃねえか!」
ラトゥーニ「転移反応が残ってる…… もしや、エクセレン少尉は……?」
シャイン「ア、アインストに 連れて行かれた……!?」
ラトゥーニ「そう……かも知れない……」
アラド「な、何だって!?」
シャイン「とにかく、 この辺りを捜して……」
(長い感応)
シャイン「!!」
シャイン「来ますわ!」
アラド「アインストか!?」
ラトゥーニ「違う……! これは!」
(シャドウミラー軍とビルトファルケンが出現)
アラド「あいつら、シャドウミラーか!  くそっ、こんな時に!!」
ゼオラ「ハガネの機体を見つけたわよ!  すぐにオウカ姉様へ連絡を!」
Sミラー兵「了解!」
アラド「ビルトファルケン……!  ゼオラか!!」
シャイン「ど、どうするので ございますの!?」
アラド「ここで逃げたら、 あいつらにハガネやヒリュウの位置を 知られる!」
アラド「それに、 これ以上ゼオラをアギラの所に いさせちゃならねえ……!」
アラド「今日こそあいつを取り返す!  俺と……ビルトビルガーで!!」
ゼオラ「アラド・バランガ……!」
アラド「ゼオラ……!」
ゼオラ「つっ……くっ……!」
Sミラー兵「大丈夫か?」
ゼオラ「な、何でもない……!  全機、攻撃を!」
Sミラー兵「了解した」
ゼオラ(こ、この頭痛……!  アラドを……アラド・バランガを 倒しさえすれば……!)
アラド「行くぞ、ゼオラッ!!」
(作戦目的表示)

〈vs ゼオラ〉

[アラド 1回目]

ゼオラ「アラド・バランガ!  今日こそ決着をつけるわよ!!」
アラド「ああ……今日こそ、な!」

[アラド 2回目]

ゼオラ「くっ、照準がブレる……!  何でなの!?」
アラド「遠慮するこたねえ!  どんどん撃ってきやがれ!!」
アラド「その代わり、 そう簡単に当たりもしなけりゃ、 やられもしねえぞ!!」
(機関銃の銃声、ビルトビルガーに爆煙)
アラド「って、あら!?」
ラトゥーニ「アラド!」
アラド「だ、大丈夫だ、これぐらい!」
ゼオラ「この間もそうだった……!  あなた、何で本気を出さないの!?  何で本気で狙ってこないの!?」
アラド「バ、バッカヤロウ!  こっちはハナから本気だっつーの!」
ゼオラ「じゃあ、何でコックピットを 狙ってこないの!?」
アラド「お前を助けたいからだよ!!」
ゼオラ「冗談言わないで!  あなたは私の敵なのよ!!」
アラド「今はな!  だが、昔と……これからは違うっ!」
ゼオラ「昔!?」
(長い感応)
ゼオラ「!」
ゼオラ(あ、頭が……!!)
アラド「思い出せ、ゼオラ!  昔のことを! おれのことを!!」
ゼオラ(な、何なの……!?  いったい、あいつは何なのよ!?)

[ラトゥーニ]

ゼオラ「ラト! 邪魔しないで!」
ラトゥーニ「ゼオラ、 セトメ博士の所にいちゃ駄目……!」
ラトゥーニ「あの人に それ以上記憶をいじられたら、 元に戻れなくなってしまう……!」
ラトゥーニ「昔のスクールの仲間みたいに 人格が崩壊してしまう!」
ゼオラ「母様が…… 母様がそんなことをするわけないわ!」
ラトゥーニ「なら、 どうしてスクールのメンバーは ほとんど残っていないの……!?」
ゼオラ「……!」
ラトゥーニ「みんな……みんな…… セトメ博士やコッホ博士に 調整されて……」
ラトゥーニ「身体までいじられて……。 私達も運が悪かったら、 生きてはいなかった……」
ゼオラ「そ、それは……!」
ラトゥーニ「ゼオラ…… ブロンゾクラスの他の子は 今、どこにいるの……?」
ゼオラ「!」
ラトゥーニ「アルジャンクラスの子は?  イエロクラスの子は……?」
ゼオラ「う、うう……!」
ラトゥーニ「セトメ博士の所にいれば、 あなたも同じことになる……」
ラトゥーニ「だから、 私はあなたを助けたい……!  オウカ姉様とあなたを!」
ラトゥーニ「私の大切な仲間を!  アラド達と一緒に!」
ゼオラ(うう…う……!  な、仲間……!?)
ゼオラ(アラド・バランガが…… 仲間……!?)

[HP30%以下]

ゼオラ「う、うう……!  う、動かない……身体が……!!」
アラド「!」
アラド「二度目…… いや、三度目の正直だぁっ!!」
(ビルトビルガーがビルトファルケンに隣接、機械音)
ゼオラ「ああっ!!」
アラド「捕まえたぞ、ゼオラ!!」
ゼオラ「な、何なの!?  あなたいったい何なの!?」
ゼオラ「どうして私を殺さないの!?  何で敵の私を助けようとするの!?」
アラド「言ったろうが!  お前との約束があるからだよ!!」
ゼオラ「約束……!!」
(長い感応)
ゼオラ「!!」
ゼオラ「つうっ!!」
アラド「ゼオラッ!!」
ゼオラ「わ、私はブロンゾ27……!  母様の娘……!!」
ゼオラ「アラド……!  アラド・バランガは私の敵……!!」
ゼオラ「私はブロンゾ27……!  私はシングル……私は……!」
アラド「違う!  ゼオラ、昔のことを思い出せ!!  本当のお前を!!」
ゼオラ「ほ、本当の……私!?」
アラド「そうだ!  お前は短気でがさつで、胸はあっても 色気はなくて、おまけに頑固で……」
ゼオラ「……」
シャイン「ア、アラドは 何を言ってるんですの!?」
ラトゥーニ「王女、 ここはアラドに任せて……!」
アラド「その上、年上だからって おれを子供扱いするわ、いちいちおれの やることにケチをつけるわ……」
アラド「ええい、 そんなことを言ってる場合じゃねえ!  とにかくっ!!」
(ビルトビルガーに爆煙)
アラド「ぐああっ!?」
ゼオラ「アラドッ!!」
(敵機が出現)
オウカ「そこまでです、アラド・バランガ。 私の妹に手出しはなりません」
アラド「オ、オウカ姉さん!!」
(ビルトビルガーに爆煙、ビルトビルガーが海中へ、ビルトビルガーに爆煙)
シャイン「アラドッ!!」
アラド「うぐっ! い、今のは!?」
スリサズ「ハハハ!  隙だらけだな、アラド・バランガ!」
アラド「あいつら…… サマ基地で襲ってきた連中か!」
スリサズ「やはり、君は欠陥品だ!  そんな奴のデータが僕達に使われて いるなんて、不名誉な話だよ!」
アラド「デ、データ!?」
アンサズ「……そうさ。僕達には 君達の遺伝子が組み込まれている」
アラド「!!」
ラトゥーニ「!!」
アンサズ「……アードラー・コッホと アギラ・セトメが調整した子供達、 ブーステッド・チルドレン……」
オウカ「……」
アンサズ「天性の素質をアードラーに 見出され、かつてのDCに集められた アドバンスド・チルドレン……」
シャイン「……!」
アンサズ「そして、Wシリーズのデータを 基にし、パパが大幅な改良を加えて 創り上げたのが……」
アンサズ「この僕達、 マシンナリー・チルドレンなんだよ」
アラド「マ、マシンナリー……!」
ラトゥーニ「チルドレン……!?」
アンサズ「……僕達は 君達のような試作体や実験体の 屍を重ね、誕生した完成体……」
アンサズ「愚かな旧人類に代わり、 この世界の主となる新人類なのさ」
アラド「新人類!? お前らが!?」
スリサズ「そうさ!  だから、お前という汚点は今ここで 消しておかなきゃならないんだよ!」
アラド「ど、どういうことだ!?」
アンサズ「パパは肉体を強化した サンプルである君に着目し……」
アンサズ「僕達の肉体のベースとした。 ある意味、君は僕達にとって 最も近い兄弟というわけなのさ」
アラド「……!!」
スリサズ「だから、 僕はそれが我慢ならない!」
スリサズ「お前のような欠陥品が、 僕達のベースになっているなんて 許せないんだよ!!」
アラド「ベ、ベース……!? おれが!?」
スリサズ「アンサズ、 アラド・バランガは僕が始末する!  この僕の手でな!」
アンサズ「いいよ、スリサズ。 僕は出来の悪い兄弟達の お目付役だからね」
オウカ「お前達……!」
アンサズ「わかってるよ、アウルム1 不良品の回収はお前に任せる」
シャイン「ラ、ラトゥーニを……!  ラトゥーニを連れて行かせは しませんわ!」
ラトゥーニ「王女! ダメッ!!」
(ビーム兵器発射、フェアリオン・タイプSに爆煙)
シャイン「きゃあああっ!!」
ラトゥーニ「王女っ!!」
(フェアリオン・タイプSが海中に、フェアリオン・タイプSに爆煙)
オウカ「お前のような者が 私とラトの間に割って入れると 思っているのですか?」
ラトゥーニ「ね、姉様っ!!」
オウカ「ラト……私やゼオラ以外の者に 心を許しては駄目」
オウカ「ましてや連邦の者など……。 彼らはあなたを利用しているだけよ」
ラトゥーニ「違う!  それに、シャイン王女は 大切なお友達だもの!」
オウカ「……いいわ、あなたと争うのは 今日で終わりにしましょう」
ラトゥーニ「!?」
(ビーム兵器発射、フェアリオン・タイプGに爆煙、フェアリオン・タイプGが海中へ、フェアリオン・タイプGに爆煙)
ラトゥーニ「う、うあっ……!」
オウカ「機体を動けなくしただけよ。 あなたを殺しはしないわ」
ラトゥーニ「う、うう……!」
ゼオラ「ラ、ラト!!」
オウカ「さあ、ゼオラ…… あの子を迎えに行きましょう」
ゼオラ「あ、うあ……あ……!」
(長い感応)
ゼオラ「う! くうっ!」
オウカ「どうしたの、ゼオラ?」
ゼオラ「あ、頭が……痛い……!」
オウカ「……わかったわ。 ラトのことは私に任せて、 あなたは下がりなさい」
ゼオラ「は……はい……」
アンサズ「……」
アンサズ「……スリサズ、 万が一と言うこともある。 ケリは早めにつけるんだ」
スリサズ「万が一?  この状況で万が一だって!?  ハハハハ、馬鹿なことを言うな!」
スリサズ「不良品のあいつらが、 あの状態で僕達とまともに 戦えるわけがないだろう!?」
アンサズ「……」
スリサズ「だから、 僕の好きにやらせてもらうぞ、 アンサズ!」
(作戦目的表示)

〈3 NEXT PP〉

スリサズ「さあ、 そろそろ終わりにしようか、 アラド・バランガ!」
アラド「く、くそっ!  動け、ビルガー! 動いてくれ!!」
スリサズ「ハハハ! 無駄だよ!!」
(スリサズ機がビルトビルガーに隣接、機械音)
アラド「うわああっ!!」
シャイン「ア、アラド!!」
ゼオラ「あ……ああ……!!」
(ビルトビルガーに爆煙)
アラド「ぐああっ!!」
スリサズ「ハハハ!  そう簡単に楽にさせるものか!」
(ビルトビルガーに爆煙)
アラド「うぐっ! うあああっ!!」
スリサズ「お前の機体を!  お前の身体を!」
ゼオラ「あ、あ……あ……!」
(ビルトビルガーに爆煙)
アラド「ぐあああっ!!」
スリサズ「ゆっくりと!  ゆっくりと壊し!!」
ゼオラ「……や……やだ……!」
(ビルトビルガーに爆煙)
スリサズ「この世界から 跡形もなくしてやるよ!!」
アラド「ぐ、あっ……ああ……!」
ゼオラ「ア……ラド……!  アラド……!」
(アラドの反応なし)
スリサズ「ハハハ、 もう息絶えたのかい!?」
ゼオラ「や……だ……!」
ゼオラ「死んじゃ……やだ……!」
スリサズ「なら、君という汚点を 消し去らせてもらうよ!!」
(スリサズに『必中』)
ゼオラ「死んじゃ……やだ……!!」
(長い感応)
ゼオラ「!!」
スリサズ「これでお別れだ!  アラド・バランガ!」
ゼオラ「ア、アラドッ!!」
(ビルトファルケンがビルトビルガーに隣接)
【強制戦闘】
スリサズ[シックススレイブ]vsアラド[防御](援護防御(ゼオラ))
(ビルトファルケンのHP50%、ビルトファルケンに爆煙)
ゼオラ「くっ! うううっ!!」
スリサズ「何っ!?」
オウカ「ゼ、ゼオラ!?」
アンサズ「……」
シャイン「ア、アラドをかばったの!?」
ラトゥーニ「ゼ、ゼオラ……!!」
ゼオラ「アラド! アラドッ!!  しっかりして!!」
アラド「ゼ、ゼオラ……。 お、お前……!?」
ゼオラ「アラド……!  ごめんなさい……ごめんなさい!!」
アラド「ご、ごめんって………!?」
ラトゥーニ「もしかして、記憶が!?」
アラド「も、戻ったのか!?」
ゼオラ「そ、そう……思い出したの……。 思い出したのよ、アラド……」
ゼオラ「私……あなたのことを……。 あなたと一緒にいた時のことを……」
アラド「ゼオラ……!」
オウカ(思い……出した……!?  ゼオラ、あなたは……!?)
ゼオラ「アラド……!  生きてたのね、アラド……!」
アラド「バ、バカ……!  こんな大ピンチに何言ってんだ……!」
スリサズ「どういうことだ!?」
アンサズ「……君がやりすぎたのさ、 スリサズ」
スリサズ「何だと!?」
アンサズ「一種のショック療法だよ。 多分、アギラが記憶操作に使った イメージとダブったんだろう」
アンサズ「つまり、 君は27号が記憶を取り戻す 手伝いをしてしまったのさ」
スリサズ「……!」
アンサズ「だから、言ったろう?  早めにケリをつけろとね」
スリサズ「うるさい! 欠陥品が さらに壊れただけのことだ!  ここでまとめて始末してやる!」
ゼオラ「始末!? 私達を!?」
スリサズ「そうさ!  どのみち、お前達人間は 全て死ぬことになるんだからな!」
ゼオラ「……!!」
アラド「だ……黙って聞いてりゃ、 人のことを出来損ないだの、 欠陥品だの! 何様のつもりだ!?」
アンサズ「さっきも言った通り…… 旧人類を粛清し、新たな世界の主と なるマシンナリー・チルドレンさ」
アラド「粛清……!?」
アンサズ「もっとも、 僕達の準備が整うまでは……」
アンサズ「シャドウミラーが コントロールする戦争で 互いに殺し合ってもらうけどね」
シャイン「そ、それでは地球も メチャクチャになってしまいますわ!」
アンサズ「心配はいらないさ。 地球は僕達が修理し、作りかえるから」
シャイン「しゅ、修理!?」
ゼオラ「つ、作りかえる!?」
アンサズ「そうだよ。 自己再生、自己進化機能を持った 一種のナノマシン……」
アンサズ「マシンセルでね」
アラド「……!!」
アンサズ「それに、 僕達の本拠地アースクレイドルは……」
アンサズ「旧人類を抹殺した後、 地球の環境を再生・改良するために 造られた物なんだよ」
ゼオラ「そ、そんな……!  あれは人類が未来へ生き延びるための 施設じゃなかったの!?」
アンサズ「僕達のパパ…… イーグレット・フェフにとっては 違うね」
ゼオラ「え!?」
アンサズ「パパは利用したんだよ、 ビアン・ゾルダークを…… ソフィア・ネートを」
アンサズ「マシンセルや アースクレイドルを造るために…… 僕達という存在を創り出すためにね」
ゼオラ「……」
アンサズ「パパは 自分の目的が果たせれば、今の世界が どうなろうと構いやしない」
アンサズ「そして、 それはアギラ・セトメも同じはずさ」
ゼオラ「そ、そんな……!  じゃあ、私達が今まで教えられてきた ことのほとんどは……!?」
アンサズ「おやおや、操り人形が 疑問を持つのは禁物だよ?」
アンサズ「君はただ踊っていればいいのさ。 そこにいるアウルム1のようにね、 クックック」
オウカ「……」
ゼオラ「オ、オウカ姉様…… 私は……私はどうすれば……!?」
オウカ「……ゼオラ…… あなたは私と一緒にいればいいのよ。 あの子達の言葉に惑わされては駄目」
オウカ「あなたは私が守ってあげる。 昔のように……スクールにいた 頃のように」
ゼオラ「姉様……」
アラド「駄目だ!!」
オウカ「!」
アラド「行くな、ゼオラ!  行ったら、また同じことになる!  アギラに記憶を操作されちまうぞ!」
ゼオラ「アラド……!」
アラド「おれの所へ来い、ゼオラ!  おれにはお前が必要なんだ!」
ゼオラ「……」
アラド「お前は おれのパートナーだろうが!  だから、おれの所へ来い!」
ゼオラ「……!!」
アラド「来い、ゼオラッ!!」
ゼオラ「わ、わかったわ……!」
ゼオラ「私…… 私、あなたと一緒に行く!!」
オウカ「!!」
オウカ「ゼ、ゼオラ……!  な、何故? どうして……!?」
スリサズ「さあ、 下らない人形劇はもう終わりだ!  お前達はここで死ね!」
ゼオラ「!!」
アラド「ゼオラ!  パターンTBSを使うぞ!!」
ゼオラ「TBS!?」
アラド「ツイン・バード・ストライク!  ビルガーとファルケンの合体技だ!  今のおれとお前なら出来る!」
ゼオラ「わ、わかったわ!!」
スリサズ「ハッ!  君達が束になったところで!」
アラド「うるせえ!  ビルガーとファルケンの奥の手、 今こそ見せてやらあ!」
(ビルトビルガーが浮上する)
【強制戦闘】
アラド&ゼオラ[ツイン・バード・ストライク]vsスリサズ[防御]
(スリサズ機に爆煙)
アラド「見たか!  おれ達のコンビネーションを!」
スリサズ「うぐっ……!  ば、馬鹿な!」
アンサズ「スリサズ…… ウルズも言っていただろう?  彼らの力を甘く見るな、とね」
スリサズ「ちっ……!」
アンサズ「欠陥品とは言え、 パパが目をつけただけのことはある。 そこそこの力を持っているようだね」
オウカ「ゼオラ……あなたは……」
ゼオラ「オウカ姉様…… ラトを連れ去ったのはアラドじゃない。 あの子もスクールの仲間なんです」
オウカ「そんな……馬鹿な……!  あなたは……母様が私達に 嘘をついていたと……!?」
ゼオラ「姉様も目覚めたばかりの頃は アラドのことを弟だと言ってたわ……」
オウカ「……!」
ゼオラ「私達の記憶はあの時から…… いえ、もっと前からセトメ博士に 都合良く調整されていた……」
オウカ「う……嘘よ。 母様が……そんなことを………!」
ゼオラ「証拠は私自身です、姉様。 現に私はアラドとの記憶を セトメ博士に消されていたもの」
ゼオラ「あの子が ラトを連れ去った張本人だと 思い込まされていたもの……」
ゼオラ「でも、 私は昔のことを思い出した…… アラドやラト達のおかげで」
オウカ「昔……!?」
アラド「そうだ! オウカ姉さんも こっちに来ればわかる!」
アラド「だまされてるのはラトじゃない!  姉さんの方なんだよ!」
オウカ「お、お黙りなさい……!  私の記憶に中に……お前など 存在していません……!」
アラド「だけど、 おれは姉さんと過ごした あの頃のことを覚えてる!」
アラド「姉さんはラトや ゼオラだけじゃなく、出来の悪かった おれの面倒も見てくれてた!」
オウカ「く、うっ……!  わ、私は……私は、お前など 知らない……!」
オウカ「お前のような……弟など……!」
アラド「オウカ姉さん!!」
(長い感応)
オウカ「くあっ!!」
アラド「姉さん!  思い出すんだ、昔のことを!!」
オウカ「く、うう……うっ!」
アラド「思い出してくれ!  おれ達と一緒に過ごしたあの頃を!」
オウカ「う、うう……!  しゃ、喋るな……!」
アラド「あの頃の記憶は、アギラに 作られたものなんかじゃねえ!」
アラド「おれやゼオラ、 ラトも持ってる本物の記憶なんだ!」
アラド「スクールの仲間達の心に 一番強く残ってる思い出なんだ!」
オウカ「あ……うう……!  しゃ、喋るのを……やめなさい……!」
アラド「それが何故だかわかるか、 姉さん!」
オウカ「くうっ……ああ……!  や、やめて……!」
アラド「オウカ姉さん……!  姉さんがおれ達の傍に いてくれたからなんだよ!」
オウカ「!!」
アラド「だから、 アギラがいくらおれ達の頭ン中を いじっても……」
アラド「姉さんとの記憶は 完全に消せなかったんだっ!!」
オウカ「ア、アラド……!!」
(長い感応)
オウカ「うっ! くううっ!!」
アラド「!!」
オウカ「ううう! あああっ!!」
ラトゥーニ「オウカ姉様っ!」
(フェアリオン・タイプSが浮上し、ラピエサージュに隣接)
オウカ「く、来るな……!  私に近づくな!」
(ラピエサージュが北へ移動)
ラトゥーニ「姉様!!」
(ラピエサージュが撤退)
ゼオラ「オウカ姉様!!」
アンサズ(ふん……所詮は壊れた人形か)
アラド「追うぞ! ラト、ゼオラ!!」
(ビルトビルガーに爆煙)
アラド「!!」
スリサズ「アラド・バランガ!  人形劇は終わりだと言ったろう!」
アンサズ「……僕達の前を 素通りできると思っているのかい?」
アラド「ち、ちっきしょう……!」
スリサズ「なかなか面白い 見世物だったが、不良品は きちんと処分しなきゃな!」
アラド「く、くそっ!!」
(ヒリュウ改が出現)
シャイン「ラトゥーニ、アラド!  ヒリュウが来てくれましたわ!」
アラド「!!」
レフィーナ「各機、出撃して下さい!」
(出撃準備)
リュウセイ「みんな、大丈夫か!?」
アラド「は、はい! 何とか……!」
ラミア「ヴァイスリッターの反応は……ない。 ラトゥーニ少尉、エクセ姉様は?」
ラトゥーニ「す、すみません……。 私達がここへ着いた時には 反応が消えてしまっていて……」
ラミア「! アインストの仕業か?」
ラトゥーニ「その可能性は……高いです」
リオ「そ、そんな……!  よりにもよって、キョウスケ中尉が 倒れている時に……」
レフィーナ「ドラゴン2より各機へ!  エクセレン少尉の調査は こちらで行います!」
レフィーナ「各機は 敵機へ攻撃を開始して下さい!」
カイ「了解!  アラド、お前達はこちらへ合流しろ!」
アラド「はい!」
ゼオラ「……」
カーラ「……ねえ、ユウ。 あれって、ゼオラじゃない?」
ユウキ「ああ、そのようだな」
ゼオラ「ユウキ少尉、リルカーラ少尉…… どうして、ヒリュウに……!?」
カーラ「ゼオラ…… あんた、もしかして……?」
ラーダ「アラド、 彼女の記憶が戻ったの……!?」
アラド「ええ……!」
カイ「そうか……ならば、彼女も連れて こちらへ戻って来い」
ゼオラ「で、でも、私は…… 今までノイエDCに……」
カイ「事情はアラドから聞いている。 我々と共に戦う気があるのなら、 それでいい」
ゼオラ「え……」
リュウセイ「この際、細かいことは 言いっこなしってこった」
ブリット「ああ。ようやく会えた二人を 引き裂くような真似はしないさ」
タスク「……お前、よくそういうことを サラッと言えるねえ」
ブリット「わ、悪いかよ?」
リョウト「あ、あの…… 茶化してる場合じゃないと 思うけど……」
タスク「そりゃそうだ。 ……とにかく、今までのことは 気にしなくていいぜ?」
リオ「だから、 私達の所へいらっしゃい」
カーラ「そうそう。 あたしやユウもいるから」
ゼオラ「あ、ありがとうございます、 皆さん……」
スリサズ「……さすがに ハガネは来ていないようだな」
アンサズ「なら、彼らを片づけてから ゆっくり探すとしよう」
(作戦目的表示)

先に撃墜したのは
スリサズ アンサズ


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