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時のストレイシープ ~ 第41話 ~

〈8PP〉

(ギリアム機、ラミア機が出現)
アクセル「レーダーに反応したのは、 やはりハガネの機体だったか。 あの後、上手く逃げおおせたらしい」
ラミア「あのアシュセイヴァー…… もしやアクセル隊長か?」
アクセル「それでエクサランスが 敵の手に落ちる可能性も出てきた。 流れが悪いな、こいつは」
ラウル「あいつらもアクセルの仲間か!?」
ギリアム「……あれが転移者か」
ラミア「やはり、シャドウミラー側の 者ではなかったようですね。 ……状況は良くないようですが」
ギリアム「ああ」
ギリアム(はたして、あの機体に グレーデン博士とモントーヤ博士の エンジンが搭載されているかどうか……)
ギリアム(だが、 今は彼らをシャドウミラーから 救わねばならない)
(通信)
ギリアム「そこの機体、聞こえるか?  私は地球連邦軍のギリアム・ イェーガー少佐だ」
ラウル「連邦軍!?  なら、アクセルの仲間じゃない……!?」
ギリアム「そうだ。 これよりそちらを援護する」
ラウル「りょ、了解! 助かります!」
ギリアム(彼はアクセル・アルマーのことを 知っている……)
アクセル「聞かせてもらった。 ヘリオス、ここで貴様に会うとは、 おれにも運が向いてきたようだ」
アクセル「エクサランスと まとめて、捕えさせてもらう。 ……動くなよ?」
ラミア「アクセル隊長…… その命令は聞けません」
アクセル「フッ…… 相変わらず聞き分けのない人形だ。 ならば隊長などと呼ぶな」
ラミア「………」
アクセル「………」
アクセル「W17…… あの後、ベーオウルフはどうなった?  死んだ……か?」
ラミア「………」
ラミア「残念ながら、生きちゃって…… いえ、生存は確認されました」
ラミア「……ですが、重傷です。 戦列への復帰は絶望的でしょう。 再起不能……と言えます」
ギリアム(ラミア、何を……?)
ラミア「アルトアイゼンは大破…… 修復するよりも、新造した方が 早いという状態です」
アクセル「……そうか。 これでおれの憂いが一つ消えた」
アクセル「それが本当ならな。W17。 ……やはり貴様は人形だ、これがな」
ラミア「……どういうことです?  アクセル隊長、私は……」
アクセル「自分で考えることだ。 理解できるわけもないが、な。 ……いくぞ」
(作戦目的表示)

〈味方増援出現前にアシュセイヴァー以外が全滅している状態でアシュセイヴァーとの戦闘後〉

アクセル「……ちっ、 たった3機に手こずるとは」
アクセル「ベーオウルフの一件以来、 流れが悪いままだ、こいつは」
アクセル「無理をして失った流れを 引き寄せるか、それとも……」
ラミア「……アクセル隊長、 ここでソウルゲインがないのは、 我々にとっては好機」
ラミア「お覚悟を ……お決めやがりください」
アクセル「ソウルゲイン…… そうか、そうだったな」
アクセル「……W17、 ベーオウルフに入ったカードは…… おれと戦える手か?」
ラミア「………」
ラミア「……はい。 ワイルドカード足り得るかと」
アクセル「なるほど、 おれに流れが来るはずもない…… ツキは未だに奴のものか」
アクセル「撤退し、 ホワイトスターへ上がる」
アクセル「勝負は…… これからなのだからな」
ラミア「アクセル隊長、 一つだけ教えてください」
ラミア「なぜ、 私の言ったことが真実でないと?」
アクセル「……本当に近しい者が 戦場で倒れたならば、そんな涼しい 顔をしていられるはずもない」
アクセル「貴様の言葉を聞いた ヘリオスの態度を見ていれば、 それは明らかだ、これがな」
ギリアム「………」
アクセル「そこにいるラウルの身内を おれは間接的にはと言え…… 手にかけた」
ラウル「間接的に……だと!?  お前のせいだろう! お前が……!」
アクセル「……そうだ。こうして 憎しみが生まれ、戦いが続く。 それが戦争というものだ、これがな」
ラミア「……隊長……」
アクセル「わからんだろう? W17、 貴様はそれを理解せず、口先だけで おれを欺こうとした」
アクセル「……なめるんじゃねえぞ、 人形風情が……!」
ラミア「あ……わ、私は……」
ギリアム(アクセル・アルマー…… 闘争の世界で生きる者の信念か)
アクセル「フッ……まあいい。 エクサランスはくれてやるさ。 ……どの道、また会うことになる」
アクセル「ベーオウルフに伝えろ。 貴様がどんな手を組もうが…… おれとソウルゲインが再び打ち砕く」
アクセル「ショウ・ダウンは…… ホワイトスターだ」
ラミア「……了解…… したり……しました……」
ラウル「待て、アクセル!  俺はお前を……!!」
アクセル「あくまでおれを妹の仇と 呼ぶのならば、それで構わん」
アクセル「それが貴様にとっての 戦争なのだろう。 おれは逃げも隠れもしない」
ラウル「……!!」
アクセル「聞いていたな?  おれ達シャドウミラーは、 ホワイトスター……白き魔星にいる」
アクセル「選択しろ、ラウル。 貴様の戦いが……どこへ向かうのか」
ラウル「………」
アクセル「……さらばだ」
(アシュセイヴァーが撤退)
ラミア「……少佐……私は…… やはり、ただの作り物でしか……」
ギリアム「気にするな、ラミア。 ……彼の言葉を深く受け止めることが できたのなら、それでいい」
ギリアム「それが人間らしさだ。 そのことを忘れないでくれたまえ」
ギリアム「さあ、彼らと接触するぞ。 いつまでもそんなことでどうする」
ラミア「……了解です」
(通信)
ギリアム「こちらギリアムだ。 そちらの事情を聞きたい。 機体から降りてもらえるか」
ラウル「は、はい」
ラージ「ギリアム・イェーガー少佐…… でしたね。僕はラージ・モントーヤです」
ギリアム(モントーヤ……。 ならば、やはり……)
ラージ「ぶしつけだと思いますが、 一つ質問させて下さい」
ギリアム「何だ?」
ラージ「あなた方は、 本当に地球連邦軍なのですか?」
ギリアム「ああ、そうだ」
ラージ「………」
ギリアム「こちらからも 一つ質問をさせてくれ」
ギリアム「あの機体には、グレーデン博士や モントーヤ博士が作り上げた 時流エンジンが搭載されているのか?」
ラージ「!」
ラウル「ど、どうして、それを……!?」
ラージ「……あなたは何者なんです?」
ギリアム「先程も言った通り、連邦軍の ギリアム・イェーガー……しかし、 『向こう側』ではこう名乗っていた」
ギリアム「ヘリオス・オリンパスとな」
ラージ「……!!」

[不明 (海岸)]

ラウル「……状況はだいたい理解できました」
ギリアム「にわかには 信じられないことだとは思うがな」
ラウル「それと、 あなたからの申し出についてですが…… 少しの間、俺達3人で話をさせてもらえませんか」
ギリアム「いいだろう」
ラウル「では……」
(ラウルが立ち去る)
ラミア「少佐……本気なのですか?」
ギリアム「ああ。 危険ではあるが、俺達と行動を共にした方が いいだろう。彼らにとってもな」
ラミア「確かに……。 シャドウミラーとは違い、意図的に『こちら側』へ 来たわけではない……か」
ギリアム「うむ」
ラミア「少佐、時流エンジン…… あれには空間・次元転移機能が備わって いるのでしょうか?」
ギリアム「俺があれの存在を知った時点では、 あくまでも可能性の段階だった」
ラミア「……時粒子…… 時の流れでタービンを回し、エネルギーを得る。 そんなものが……」
ギリアム「あまりにも飛躍した理論だけに、 発表された当時は誰も相手をしなかった」
ラミア「少佐と……レモン様以外は、ですね?」
ギリアム「だが、俺が着目した点は 時粒子の概念とエネルギー供給方法だった」
ギリアム「転移機能に関しては、 システムXNの方が上……俺は時流エンジンを サブ・システムとして使えないかと考えたのだ」
ラミア「では、 時流エンジンが単体で転移機能を得るのは、 不可能だと?」
ギリアム「現時点ではな」
ラミア「しかし、転移は成功した。 そして、現状では再転移は不可能……」
ラミア「彼らが『向こう側』で接触したという アンノウンと……関係があるのでしょうか?」
ギリアム「おそらくな。 偶発的な要素が重なり、『こちら側』へ 来てしまったのだろう」
ラミア「もしや……少佐は、そのアンノウンについて 心当たりがあっちゃったり?  ……ゴホン、失礼しました」
ギリアム「フッ……あっちゃったりはせんな」
ラミア「………」
ギリアム「それについては俺の方が聞きたいぐらいだ。 俺が転移した後の状況は、君の方が詳しかろう?」
ラミア「……提供された映像データを見る限りでは、 生体兵器……おそらくはアインストかと思われますが、 確証はありません」
ギリアム「『向こう側』でも彼らは現れていたのか?」
ラミア「……いえ。 ですが、不可解な事象は確認されていました」
ラミア「それがアインストであったかもしれません。 ……もう確認することは出来ませんが」
ギリアム「………」
ギリアム「ともかく、 ラウル・グレーデン達が転移者である点と、 時流エンジンの転移機能に関しては伏せておいてくれ」
ラミア「わかりました。 どのような扱いにしておきますか?」
ギリアム「彼らは、俺の知人ということにしておく」
ギリアム「そして、 真実を明かすタイミングは、一任してくれ。 現状で、さらなる混乱が生じることは避けたいのでな」
ラミア(そうだな……。 真実を明かしたとは言え、我々のような異邦人は、 やはり受け入れられにくいはず……)
ラミア(ラウル・グレーデン達に 明確な転移の意図があったのならともかく、な)
ラミア(そして、ギリアム……ヘリオス…… 彼もまた、異邦人なのだから)
ラミア「……了解です、少佐」
ギリアム「すまない。 彼らには俺の方から言い含めておく」

[不明 (海岸)]

ラウル「……ラージ、ミズホ。 俺はギリアム少佐の申し出を受けようと思う」
ミズホ「えっ……」
ラージ「あの人達と行動を共にすれば、 確実に戦闘へ巻き込まれますよ」
ラウル「………」
ラージ「ハガネとヒリュウ改…… 僕達がいた世界でも、DC戦争で活躍した戦艦です。 それも……最前線で」
ラウル「承知の上だ」
ラージ「目的はフィオナの仇討ち……ですか?」
ラウル「……アクセルを……シャドウミラーを 放っておくことは出来ない。次元転移を行って、 混乱を目論む連中を……」
ラウル「あいつらが俺達の世界へ戻れば、 もっと大変なことになる」
ラージ「シャドウミラーに降伏して、 元の世界へ戻るという選択肢もありますが」
ラウル「冗談じゃない!  フィオナを撃った奴に迎合するなんて、俺は嫌だ!」
ラージ「………」
ラウル「あいつらに降伏したら、 時流エンジンを悪用されることになるんだぞ!  フィオナだって、そんなのは望んじゃいないはずだ!」
ラージ「ですが、ヘリオス……いや、ギリアム少佐達と 行動を共にしたら、元の世界には帰れませんよ?」
ラージ「あの人の目的は……転移装置の破壊ですから」
ラウル「………」
ラージ「あなたは 異邦人としてこの世界で生きていくつもりですか?  しかも、命を危険にさらして」
ラウル「……帰ればいいんだ、俺達で。 この世界で……その方法を模索して。 俺達が力を合わせれば、きっと出来る」
ラージ「……簡単に言いますね」
ラージ「現状の時流エンジンは、エネルギー供給方法と 変換率が優れた原動機に過ぎません。そもそも、 僕はあれをそういう風に再設計したんです」
ラウル「だけど、転移には成功した」
ラージ「本来はあり得ないんですよ、そんなことは。 今回の事件は、僕の研究者としてのプライドを 粉々に打ち砕いたんです」
ラージ「僕は…… “タイムマシン”などという馬鹿げた物を…… あなたや僕の父親の夢を否定し……」
ラージ「安定したエネルギー供給システムとして 時流エンジンを再設計したんです」
ラージ「理論上はともかく、現状のあれで 時空間跳躍……そして、次元転移などは 不可能なはずなんです」
ラウル「フィオナがいれば…… きっと俺と同じことを言うさ」
ラージ「双子だから、という理由ですか?  でも、現実は違う。フィオナはもういない」
ラージ「僕は彼女を助けられなかった。 僕が再設計した時流エンジンで…… 僕のミスで彼女は……」
ラウル「ラージ…… 上手く言えないけど、フィオナのためにも 俺達は時流エンジンを完成させるしかない」
ラウル「あいつの夢をかなえるためにも…… そして、俺達が元の世界に帰るためにも……」
ラウル「そのためには ラージ……お前とミズホの力が必要なんだ」
ラージ「………」
ミズホ「ラウルさん……」
ラウル「危険なのはわかってる。 だけど、俺達はこうして事件に巻き込まれちまった。 だから、もう知らんぷりは出来ない」
ラウル「俺達はこの世界で生き抜いて、 自分達の手で時流エンジンを完成させるんだ。 それが……」
ラウル「それが…… フィオナに報いることでもあると思う……」
ラージ「………」
ラージ「……わかりました。 あなたの言うことに従いましょう」
ラウル「ラージ……」
ラージ「現実問題として、 僕達の事情を理解してくれる人物と、 エクサランスを整備する場所が必要です」
ラージ「ギリアム少佐の申し出を受け入れれば、 その二つの要素が満たされることになりますからね」
ミズホ「………」
ラウル「ミズホ、お前の気持ちはわかる。 でも、エクサランスは……」
ミズホ「いえ……。 フィオナさんから言われた通り、 それは覚悟していたことです」
ミズホ「それに、戦闘用フレームを作らなければ、 ここまでは来られませんでした」
ミズホ「そして…… ラウルさんも生き残れませんでした……」
ラウル「………」
ミズホ「だから、私もラウルさんの意見に従います。 そして、元の世界に戻って……エクサランスを 本来あるべき形にします」
ミズホ「ラウルさんやラージさんのお父さん…… そして、フィオナさん達がやってきたことを 無駄にしないためにも……」
ラウル「……ありがとう、ミズホ」

[不明 (海岸)]

ギリアム「……なるほど、それが条件か」
ラウル「はい。 俺達には、時流エンジンを悪用する気はありません。 ただ、元の世界へ戻りたいだけなんです」
ギリアム「その言葉を信じよう。ただし……」
ラージ「システムXNの情報は提供できない、と?」
ギリアム「ああ。 ……だが、君達の帰還にとって、 プラスになり得るデータは渡すつもりだ」
ラージ「本当ですか?」
ギリアム「とは言え、 元の世界へ戻れる可能性は限りなく低いぞ」
ラージ「それは……承知しています。 簡単に転移できるのなら、あなた方が そうしているはずですからね」
ギリアム「……ああ」
ラウル「ですが、俺達は諦めるつもりはありません」
ギリアム「了解しだ。 しばらくはヒリュウ改へ乗ってもらうことになるが、 手配が済み次第、安全な所へ……」
ラウル「それなんですが…… 俺達もシャドウミラーと戦います」
ラミア「……!」
ギリアム「その申し出はありがたいが…… 命の保証は出来んぞ」
ラウル「わかっています。 ですが、あなた方が置かれている状況を 黙って見過ごすわけにはいきません」
ギリアム「………」
ラウル「それに……シャドウミラーを倒さなければ、 俺達がいた世界にも危険が及びますから」
ギリアム「……いいのだな?」
ラウル「はい」
ギリアム「わかった。 君達の素性や、時流エンジンの可能性については 俺と彼女……ラミアの間で止めておく」
ギリアム「君達もそのつもりでいてくれ。 その方が現状では得策なのでな」
ラウル「わかりました」
ラミア(憎しみが生まれ、戦いが続く…… 人が戦う理由は……それだけですか?  ……隊長)

[トライロバイト級 艦橋]

アクセル「待たせたな。 W16、ラコタ隊の回収はどうなった?」
エキドナ「はっ、滞りなく」
アクセル「よし、これよりホワイトスターへ向かう。 ……発進準備を急げ」
エキドナ「了解」
アクセル「………」
アクセル(フッ……おれも焼きが回ったな。 人形や子供相手に、あんな演説めいた 陳腐な言葉を吐いてしまうとは……)
アクセル(ラウル……そしてベーオウルフ……。 おれは自分の信じた戦争に、最後まで殉ずる)
アクセル(貴様らは……どうする?)

『アルトアイゼン・リーゼ』を入手した。
『ズィーガーリオン』を入手した。

『G・インパクトステーク』を入手した。
『ネオ・チャクラムシューター』を入手した。

『ストライカー・フレーム』を入手した。
『コスモドライバー・フレーム』を入手した。


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