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招かれざる異邦人(前編) ~ 第31話 ~

[伊豆基地 司令部]

一般兵「レイカー司令、 ダイテツ・ミナセ中佐がお見えになりました」
レイカー「うむ。地中海・アフリカ北部での作戦…… ご苦労だったな、ダイテツ」
ダイテツ「ああ。 しばらくの間、ノイエDCは大人しくなるだろう」
レフィーナ「ダイテツ中佐、 リクセント公国やアビアノの方は?」
ダイテツ「他方面軍の助力を得て、 厳重な防衛態勢が敷かれている」
ダイテツ「今のノイエDCに あの地を攻略する力はあるまい」
レフィーナ「では、私達は オペレーション・プランタジネットに 専念できるというわけですね」
レイカー「そうだ。 お前達には同作戦の最終フェイズで 中核を務めてもらうことになる……」
レイカー「作戦開始までに 補給・整備作業を万全にな」
レフィーナ「了解しました。 では、私は艦の方へ戻ります」
(扉が開閉する・レフィーナが立ち去る)
レイカー「ダイテツ、話がある。 お前は残ってくれ」
ダイテツ「? ああ……」
レイカー「……例の件についてだが、 考えてくれたか?」
ダイテツ「士官学校の校長か……。 ショーンならともかく、ワシの柄ではない」
レイカー「そうか……。 お前には後進の教育を担当して欲しかったのだが」
ダイテツ「わかっている。 だが、その役目は現場で果たそうと 思っておるのだ」
レイカー「現場?」
ダイテツ「ハガネだ。 ワシはまだあの艦からは降りられん」
ダイテツ「今の部下達に 教えねばならんこともあるのでな」
レイカー「……テツヤ・オノデラ大尉に 例の話はしたのか?」
ダイテツ「うむ。 この戦いを生き抜くことが出来れば……」
ダイテツ「奴はスペースノア級の艦長として 相応しい男になるだろう」
ダイテツ「ワシがハガネから降りるのは、 それを見届けてからだ」
レイカー「……」
ダイテツ「その後、ワシに練習艦を一隻預けてくれ。 お前から頼まれた役目は、その艦で果たしたい」
レイカー「あくまでも現場に拘るか。 お前らしいな」
ダイテツ「すまん」
レイカー「……わかった。 士官学校の校長の件は諦めるとしよう」
レイカー「ところで、例の大吟醸を手に入れておいた。 後で時間を作る。ショーン達も交えて一杯やろう」
ダイテツ「ふ……そうこなくてはな」

[伊豆基地 格納庫]

リュウセイ「あ、あれが噂の超機人……!  カ、カ、カッコいい……!」
リュウセイ「まさに神秘のスーパーロボット!  凄い、凄すぎる!!」
クスハ「リュウセイ君なら、そう言うと思ったわ」
リュウセイ「なあ、 俺も龍虎王に乗せてくれよ!  一回でいいから! な? な?」
クスハ「そ、それも 言うと思ってたんだけど……」
ブリット「実は、龍虎王と虎龍王は……」
リュウセイ「も、もしかして…… お前ら以外は乗れねえとか?」
エリ「そういうわけではありませんが……」
エリ「解析の結果、 龍虎王と虎龍王がその能力を発揮するには……」
エリ「彼ら自身が選んだ操縦者でなければならないと 言うことがわかったのです」
リュウセイ「え!?」
マサキ「ま、そういう所は サイバスターと同じだってこった」
リュウセイ「そ、そうなのか……。 俺、ああいうスーパーロボットにも 乗りたかったんだけどなぁ……」
ブリット「アヤ大尉も次の作戦から参加するんだろ?  だったら、SRXに合体できるじゃないか」
エクセレン「そうすれば、 立派にスーパーロボットしちゃうんだから、 それまではガマンガマンよん」
リュウセイ「ああ」
アラド「SRXって…… R-1とR-2パワードとR-3パワードが 合体した後の姿なんスよね?」
リュウセイ「そうだよ」
アラド「おれ、楽しみにしてるッス!  R-1とR-2を見ただけじゃ、 どうやって合体するかわかんないし」
リュウセイ「おう、 初めて見たら驚くこと請け合いだぜ」
エクセレン「R-2ちゃんとか、完全に開きに なっちゃうし…何度見てもどうかと思うけど」
アラド「ひ、開き?  アジとか、魚のあれッスか?」
エクセレン「そそそ。 意外とスッカスカなのよ、R-2ちゃんは。 あの色男、怖くないのかしらねえ」
ブリット「ところで、アラド…… ビルトビルガーへ乗れるようになったんだって?」
アラド「ええ、みんなのおかげで……」
アラド「ゼオラとも色々あったけど、 おれとの記憶を完全に失ってる わけじゃないってわかったし……」
アラド「ラトゥーニ達と一緒に あいつやオウカ姉さんをスクールの呪縛から 解き放ってみせます」
ブリット「そうか…… 俺達も手伝うから、頑張れよ」
アラド「はい」
マサキ「……なあ、 さっきから気になってたんだけどよ」
マサキ「あの向こうに並んでる 妙な機体、あれは何なんだ?」
エクセレン「そうそう。 しかも、2機お揃いだし」
アラド「あれは……」
(扉が開閉する)
シャイン「私とラトゥーニの フェアリオンでございますわ」
ブリット「シャ、シャイン王女!」
シャイン「皆様、ご機嫌麗しゅう」
マサキ「お、王女さんが 何でここにいるんだよ!?」
クスハ「も、もしかして、あの機体で……?」
シャイン「はい。 フェアリオンとハガネの皆様のおかげで、 私はリクセントを取り戻す事が出来ました」
ブリット「なら、どうしてここに……」
シャイン「私…… あの戦いの後、決意したのでございます」
シャイン「リクセントだけではなく、 多くの地と人々を守るために…… 皆様のお力になろうと」
ブリット「し、しかし……」
シャイン「全て覚悟の上でございます。 そして、あの赤いフェアリオンは 私の決意の証……」
シャイン「爺や国の者達も 私に賛同してくれました」
ブリット「ですが、いくら何でも……」
エクセレン「ん~……いいんじゃない?」
ブリット「え?」
エクセレン「王女様が自分で考えて、 自分で決めたなら…それでいいじゃない?  それが戦うってことだし、ね」
シャイン「はい……。 この星をリクセントと同じような目に 遭わせないためにも……」
シャイン「私は皆様と共に戦います。 そして、平穏を取り戻した後、 爺達が待つ国へ帰るつもりでございます」
エクセレン「…本当に強くなったわね、王女様。 じゃ、一緒にがんばっちゃいましょっか!」
シャイン「はい…!  がんばっちゃ…いえ、努力いたしますわ」
クスハ「で、でも…… 大丈夫なんですか……?」
リュウセイ「それなんだけど、 実は王女さんの機体って……」
リュウセイ「ラトゥーニが自分のフェアリオンから 制御できるようにもなってんだ」
クスハ「え?」
アラド「王女様が敵の動きを読んで、 ラトがコントロールする…… そんな感じになってるみたいッス」
ブリット「それで二体一組なのか……」
エクセレン「わお、じゃあラトちゃんの責任… 重大なんじゃなぁい?」
リュウセイ「けど、あいつ……ちゃんとやってるよ」
シャイン「はい。 私もラトゥーニの足を引っ張らぬよう 頑張るつもりでございます」
マサキ「ま、戦う王女様ってのが いねえわけじゃねえし……俺達も 王女様のフォローをしてやろうぜ」
ブリット「ああ……」

[伊豆基地 食堂]

ライ「……ウォーダン・ユミルの正体が ゼンガー少佐ではなかっただと?」
リューネ「そう。 あいつと戦ってた時、少佐本人と あんたの兄さんが現れてね……」
リューネ「それでわかったんだ」
レオナ「では、彼はいったい何者なの?」
タスク「う~ん……ゼンガー仮面かな?」
レオナ「……つまり、 詳しいことは不明だということね」
リューネ「うん。 ゼンガー少佐達がそれを調べるって言ってたよ」
ライ「そうか……」
カチーナ「で、そっちはどうだったんだ?  あのアーチボルドって奴とのケリは、 リクセントで付いたのかよ?」
ライ「いえ……。 奴はまだ生きていると思います」
カチーナ「……持ち越しってわけか?」
ライ「おそらく」
カチーナ「そうかい。 だが、あいつもまたあたしらの前に 姿を現すだろうよ」
カチーナ「あのアクセル・アルマーって 男みてえにな」
ライ「アクセル?」
キョウスケ「ああ。ここへ来る前、一戦交えた… 敵軍の指揮官クラスのパイロットだ」
タスク「どういうわけだか知らないけど、 初めて会うキョウスケ中尉に、 やたら突っかかってきてたッスね」
カチーナ「しかも、乗ってた機体は『ヒゲ男』だ」
ライ「もしや…… ヴィレッタ隊長が言っていた マスタッシュマンのことですか?」
カチーナ「ああ。そのまんまな機体だったぜ?」
レオナ「キョウスケ中尉は そのアクセルという男と以前に会ったことが?」
キョウスケ「そこが問題だ。 おれには覚えがないが…向こうはおれのことを よく知っているようだった」
カチーナ「クセも読まれてたっぽかったな。 でなきゃ、お前があそこまでボコられねえだろ」
レオナ「……」
カチーナ「あと、アルトアイゼンのことを ゲシュペンストMk-IIIって呼んだり… エクセレンを見て驚いたりもしてたな」
カチーナ「とにかく、あのゼンガーマスクも含めて わけのわからねえ連中だぜ」
リューネ「シュウが言ってた影ってのは、 やっぱりあいつらのことかも……」
ライ「シュウ?  シュウ・シラカワに会ったのか?」
リューネ「うん。八丈島近海で、 あんたの兄貴と一緒にいる所をね」
カチーナ「もっとも、あいつもシュウと 鉢合わせをしたみてえだったがよ」
ライ「……」
ライ(兄さんは 日本の近くで何をしていたのだ?)
キョウスケ「素性がどうであれ、アクセルや ゼンガー少佐の偽者が敵であることに違いはない」
キョウスケ「相手のカードが見えなくても、 おれ達は勝負を続けなければならん…」
タスク「でも、その前にアルトを 念入りに整備した方がいいッスね」
タスク「斬艦刀ロボやヒゲ男との戦闘で 結構ダメージを受けちまったし……」
キョウスケ「…ああ、そうだな。 モーションも見直した方がいいかもしれん」
キョウスケ(だが、それでも今のアルトでは… 奴らまで届くかどうかわからん。 パワー不足が命取りにならなければいいが、な)

[不明 (個室)]

ジャーダ「……そうか……。 お前が捜してた仲間がな……」
ラトゥーニ「でも、 私……諦めない……。 必ず姉様とゼオラを……」
ジャーダ「そうだ、諦めちゃいけねえ。 昔の俺達みてえにな」
ラトゥーニ「……」
ジャーダ「あの時……コックピットの中で 死にかけてたお前を見つけた時……」
ジャーダ「俺とガーネットは 絶対にお前を助けてやろうって思った」
ジャーダ「医者からお前の心が 元に戻らねえって言われた時も、諦めはしなかった」
ジャーダ「必ず回復するって信じて、 俺達でお前を引き取った。そして、 その結果が……今のお前だ」
ジャーダ「だから、お前の仲間達も助けられるさ。 お前が諦めない限りはな」
ラトゥーニ「うん……」
ガーネット「ちょっと、ジャーダ!  いい加減あたしにも代わってよ!」
ジャーダ「わ、わかったわかった。 ……ったく、いいこと言ってたのに」
ガーネット「ハァイ、ラトゥーニ!  元気してる?」
ラトゥーニ「ガーネット……!」
ガーネット「どお?  リュウセイとは上手くいってる?」
ラトゥーニ「え……?」
ガーネット「その反応……さては何かあったわね?  なになに? 教えて?」
ラトゥーニ「い、一緒に アミューズメントセンターへ行って…… ゲームをやったの……」
ガーネット「ふんふん」
ラトゥーニ「それから…… こないだ写真を一緒に撮ったの……」
ガーネット「それでそれで?」
ラトゥーニ「それだけ……」
ジャーダ「な、何じゃそりゃ!?  ったく、あの唐変木は女の子の扱いってもんが……」
ガーネット「んもう、 あんたは引っ込んでなさいっての!」
ラトゥーニ「ガ、ガーネットこそ…… お腹の子供はどうなの……?」
ガーネット「それがねぇ、聞いてよ!  何と双子なのよ、双子!」
ガーネット「んも~、これからが大変!  ジャーダの少ないギャラじゃやってけないかも」
ジャーダ「わ、悪かったな!!」
ラトゥーニ「おめでとう…… ジャーダ、ガーネット……」
ガーネット「ありがと、ラトゥーニ」
ジャーダ「そういうわけで、 お前の家族が二人増えちまった」
ガーネット「だから、 みんなであなたの帰りを待ってるわ」
ガーネット「その時には…… あなたの仲間達も連れてくるのよ?」
ラトゥーニ「うん……」

[不明 (基地内)]

ツグミ「テスラ研の件…… 本当に申し訳ありませんでした、 オオミヤ博士……」
ロバート「ああ、気にすることはないさ。 君達が全力を尽くしてくれたことは 知っているからね」
ロバート「それに、 次の作戦じゃ君達がテスラ研の奪還を 担当するんだろう?」
アイビス「え……? 本当ですか?」
ロバート「おや、まだ聞いてなかったのか?」
ツグミ「は、はい……」
ロバート「なら、次の作戦でも全力を尽くしてくれ。 そして、所長や先生、フィリオ先輩を……」
アイビス「はい!」
ツグミ「少佐はプロジェクトTDの 成功に不可欠な方です。必ず救い出してみせます」
ロバート「アステリオン…… プロジェクトTDの成果も この目で見せてもらったよ」
ロバート「さすが、 リオンシリーズの生みの親、 フィリオ先輩だな」
アイビス「オオミヤ博士は少佐とは 知り合いなんですか?」
ロバート「俺がテスラ研にいた頃、 何かと面倒見てくれてね……」
ロバート「パーティの余興では 二人でアイドルソングを歌いながら 踊ったりもしたんだ」
アイビス「へえ…… 少佐にそんな趣味があったんだ……」
ロバート「先輩が言うには、 その頃に流行っていた アイドルデュオのダンスを観て……」
ロバート「それを連携戦闘の モーションに応用することを 思いついたんだそうだ」
アイビス「それって、まさか……」
ロバート「で、来る日も来る日も そのダンスを観ていたら、 自然に踊れるようになったんだと」
ツグミ「ふふ……あの人らしいわ」
アイビス「……少佐を見る目、変わりそう……」
ロバート「とにかく 当時から独特の発想を持った人だった。 出来れば、カリオンの方も見たかったんだが……」
ツグミ「……申し訳ありません。 2機のカリオンの内、片方は完全に破壊され……」
ツグミ「もう片方はスレイによって ノイエDCに提供されました」
ロバート「ノイエDCにか……」
ツグミ「ええ……。 彼女は自分の意志で私達の敵に なったのです……」
アイビス「………」
ロバート「スレイ・プレスティ……。 先輩の自慢の妹君か……」
アイビス「スレイは今、 ちょっとだけやることを 見失っているだけなんです……」
ツグミ「だから、きっと彼女は カリオンと共に戻ってきます。 いつかきっと……」
ロバート「そうだな……。 彼女も先輩の夢のプロジェクトの メンバーなのだから」
カーク「……ところで、ロブ。 ヒュッケバインMk-III用の AMボクサーのことだが」
ロバート「ああ。あんたやリョウトから 送られてきたレポートに目を通して、 改善策を考えておいた」
リョウト「じゃ、じゃあ……ボクサーが 使えるようになるんですね?」
ロバート「ああ、R-GUNパワードにも使っている 新型のコンデンサーを流用すればな」
ロバート「早速、作業を始めよう。 リョウト、マオ社での修行の成果を見せてもらうぞ」
リョウト「は、はい!」
ツグミ「オオミヤ博士、後学のために 私にもボクサーの調整作業を 手伝わせていただけないでしょうか」
ロバート「ああ、喜んで」
ツグミ「じゃあ、アイビス……」
アイビス「わかってる。 今日のトレーニングメニューは一人でやるよ」
ツグミ「頑張ってね。 スレイとカリオンに勝つためにも」
ロバート「じゃあ、タカクラチーフ…… 君達は先にハンガーへ行ってくれ。 俺はデータをまとめておくから」
ツグミ「わかりました」
(扉が開閉する・ツグミ達が立ち去る)
カーク「……ロブ、 R-GUNパワードの方は?」
ロバートT-LINKシステム…… ツインコンタクトの最終調整中だ」
カーク「では、パイロットは予定通り……」
ロバート「ああ、 彼女に問題がなければ……」
カーク「問題?  レポートでは予定以上のTPレベルに 達しているとのことだが」
ロバート「あ、いや……何でもない」
カーク「……」

[SRX計画ラボ]

ヴィレッタ「……確かに、この数値なら HTBキャノンが使えるわね」
ケンゾウ「ツインコンタクトによる相乗効果で、 アヤのレベルも上がっている……」
ケンゾウ「上手くいけば、 大尉がR-GUNに乗っている状態でも 使用可能になるだろう」
ヴィレッタ「……だが、 マイの方にはかなりの揺らぎがある。 その原因は?」
ケンゾウ「……残留思念だ」
ヴィレッタ「! まさか、レビの!?」
ケンゾウ「そうだ。 マイはレビであった時の 記憶の一部を持っている」
ヴィレッタ「その状態で彼女を R-GUNに乗せるというのか?」
ケンゾウ「ああ…… 結果は大尉が見た通りだからな」
ヴィレッタ「では、 マイ本人にレビの話をしているのか?」
ケンゾウ「いや……。 それをきっかけにレビの残留思念が 増幅する恐れがある」
ケンゾウ「今はまだ マイに真実を教えることは出来ん」
ヴィレッタ「そんな……!  私達と行動を共にすれば、遅かれ早かれ 彼女は自分の過去を知ってしまう」
ヴィレッタ「ハガネやヒリュウ改には、 L5戦役でレビと戦闘を行った者が 何人もいるのよ?」
ケンゾウ「だが、 はっきりと彼女の顔を見た者はいないはずだ」
ケンゾウ「クスハ・ミズハも ホワイトスターに捕らえられていた時の 記憶はないのだろう?」
ヴィレッタ「……」
ケンゾウ「事実を知っているのは お前達SRXチームとダイテツ中佐、 ラーダ・バイラバンだけだ」
ヴィレッタ「それでも彼女の過去は 隠し通せるものではないわ」
ケンゾウ「地球圏の事態は切迫する一方だ。 今、SRXがその力を発揮せねば、 我々に明日はない」
ヴィレッタ「……偽りの絆は ほころびを生み、いずれ崩壊する」
ヴィレッタ「疑念はリュウセイ達の 力の源になりはしない」
ヴィレッタ「もうイングラムや かつての私のようなやり方は……」
ケンゾウ「……だからと言って、 マイの記憶を操作するわけにはいかん」
ケンゾウ「それでは過去の過ちを 繰り返すことになる……」
ヴィレッタ「過ち?」
ケンゾウ「そう……。 かつて私が特脳研で犯した過ちだ」

[伊豆基地 ブリーフィングルーム]

エクセレン「わお!  ジャーダとガーネットの子供…双子だったの!?」
ラトゥーニ「はい……」
カイ「そりゃあいい! めでたさが二倍だな」
リオ「産まれたら、 みんなでお祝いを送りませんか?」
ラーダ「そうね。 アサナの本なんかどうかしら」
エクセレン「そ、それは ちょっと早すぎるんじゃない?」
イルム「テスラ研特製のブースター付き 三輪車でも送っとくか」
エクセレン「そ、それも ちょっと速すぎるんじゃない?」
クスハ「普通に乳母車とか、 ベビーベッドの方がいいと思いますけど……」
リオ「あら、クスハのことだから、 健康グッズを贈るとか言い出すのかと 思ってたわ」
クスハ「それは赤ちゃんが 大きくなってからにしようと思ってるの」
クスハ「ベビーストレッチチェアとか、 ベビーパワーリストとか、色々あるのよ」
エクセレン「…今までの全部贈ったら、 筋骨隆々で体が柔らかくて、かつ高速移動 するっていう超人が完成するわね…」
ラミア「エクセ姉様、 そのジャーダとガーネットというお方は どなただったりしたりいたしますのですか?」
エクセレン「私達のお仲間よ。 前の戦争の時、ハガネに乗ってて… 一緒に戦ってたのよね」
クスハ「それで、 戦後すぐに軍を辞められて…… ご結婚なされたんです」
エクセレン「そそ。 子供はいわゆる愛の結晶って感じ?  …やることはやってたってことねえ」
ラミア(…子供…愛の結晶?  …む? どこかで…どこかで聞いた言葉だ)
カイ「だが、これで何が何でも オペレーション・プランタジネットを 成功させなきゃならなくなったな」
クスハ「はい。ジャーダさんと ガーネットさんの赤ちゃん達のためにも 戦争を早く終わらせないと……」
ラミア「……」
ラミア(…そうか、レモン様だ。 私がロールアウトした時…レモン様が言っていた。 私達Wシリーズは…自分の大切な子供だと…)
ラミア(…この者達は、子供のために戦争を 終わらせようと言った)
ラミア(だが私は、戦争を継続させるために… 戦うために生まれた)
ラミア(レモン様… そこに疑問を感じる私は…)
カイ「……ところで、エクセレン。 今夜、ダイテツ艦長達と一杯やる事になった。 お前も来るか?」
エクセレン「わお! お呼びとあらば…」
(鈍い精神感応)
エクセレン「!?」
???(アルフィミィ)(……エクセレン……)
エクセレン(あ、頭に直接……?  あなたは……?)
???(アルフィミィ)(……エクセレン……。 あなたに…お越しいただきたいのですの…)
エクセレン(やっぱり…… あなた、アルフィ……ミィ……)
???(アルフィミィ)(私の所へ……。 エクセレン……あなたは……)
(鈍い精神感応)
エクセレン(望む……ところよ……。 私も……あなたに…… 聞きたいことが……)
???(アルフィミィ)(それはお互いに… 都合がよろしいですの…エクセレン…。 あなたは……私の……)
エクセレン「…………」
ラミア「エクセ姉様?」
エクセレン「………」
ラトゥーニ「エクセレン少尉……?」
エクセレン「……今行く…… 待ってて……すぐに……」
(扉が開閉する・エクセレンが立ち去る)
ラーダ「エクセレン! どこへ行くの!?」

[ハガネ ブリッジ]

(アラート)
テツヤ「どうした!?」
エイタ「だ、第3ハッチが強制開放!  ヴァイスリッターが 発進シーケンスに入っています!」
テツヤ「何だと!?  出撃命令など出ていないぞ!  パイロットは誰だ!?」
エイタ「今、モニターに出します!」
(通信)
エクセレン「……」
テツヤ「エクセレン少尉……!  何の真似だ!?」
エクセレン「…ヴァイスリッター…出ます……」
テツヤ「ま、待て!!」
(発進、飛び去る)
エイタ「ヴァ、ヴァイスリッターが 発進しました!」
(通信)
カイ「こちらカイだ!  エクセレンの様子がおかしい!  足の速い機体に追跡させてくれ!」
テツヤ「わ、わかりました!」


第31話
招かれざる異邦人(前編)

〔戦域:水辺の市街地〕

(ヴァイスリッターが出現)
エクセレン「……」
エクセレン「……ん、んん?」
エクセレン「ここは……?  そっか、私……」
エクセレン「さあ、 お望みどおり見参したんだけど?  アルフィミィちゃん、姿を現しなさい!」
エクセレン「お客を待たせるなんて、 ちょっと失礼なんじゃない?」
(アインストクノッヘンが出現)
???(アインストクノッヘン)「……」
エクセレン「あらま… アルフィミィちゃん、やせちゃって…」
エクセレン「…って、ホネホネ君!  用があるのはあなた達じゃないの!  あの赤い奴とお嬢ちゃんなのよ!」
???(アインストクノッヘン)「……」
エクセレン「あくまでだんまりを貫くのね?  だったらちょっと、いじめちゃうわよ?」
(作戦目的表示)

〈アインストクノッヘン撃墜〉

(アインストクノッヘンが4体出現)
エクセレン「わお! 団体様のご到着~!」
エクセレン「…あなた達、 なんかあの子から伝言とかないの?  無言で襲ってくるだけってのは…」
???(アインストクノッヘン)「……」
エクセレン「も~、問答無用なら、 せめて『問答無用!』くらいは 言うものよ?」
エクセレン「うちの元ボスだって、 それくらいしてたのに」
エクセレン「つーか、しゃべれるでしょ?  あんた達。ワタシ アナタ トモダチ …オーケイ?」
???(アインストクノッヘン)「……」
エクセレン「はぁ、私だけしゃべってて、 ちょっとお馬鹿っぽいじゃないの。…じゃ、 もう少し時間稼ぎさせてもらうからね!」

〈敵機全滅〉

(アインストグリートが出現)
???(アインストグリート)「……」
エクセレン「は~い! 触手ちゃん お出まし~! …もう、いやらしいわねえ」
???(アインストグリート)「……」
エクセレン「なんでだよ!  …とかいうツッコミはなしなのね」
エクセレン「つーか、どういうつもりよ!  出てくるなら、いっぺんに出て きなさいって!」
(アインストグリート×3出現)
エクセレン「わお! わかってらっしゃる!  …とは言っても、オトク感はないわねえ」
???(アインストグリート)「……」
エクセレン(それにしても、 ホネホネの次は植物……)
エクセレン(…ってことは、次はこの前の 蚩尤塚で出てきた鎧ちゃん…でしょうね)
エクセレン(このまま順繰りで 上位機が出てくるとすると…最後は?)

〈敵機全滅〉

(アインストゲミュートが出現)
エクセレン「はいはい、並んで並んで~。 ……ま、予想通り、ね。 意外性は欲しいところだけど」
???(アインストゲミュート)「……」
エクセレン(確認されてるアインストは ここまで。普通に考えれば、この次は あのお嬢ちゃん…でしょうね)
???(アインストゲミュート)「……」
エクセレン「口止めされてるのか 知れないけど、女ってのは 退屈が一番嫌いなのよね」
エクセレン「お喋りする気がないなら、 勝手にたのしませてもらっちゃうからね!」
(サイバスター、ヴァルシオーネ、アステリオン、アンジュルグが出現し、ヴァイスリッターの方を向く)
エクセレン「また来たわね!」
エクセレン「あんまししつこいと、 あちこち手ぇ突っ込んで 奥歯ガタガタ言わせるわよっ!」
アイビス「え!?」
エクセレン「……って、あら?」
ラミア「エクセ姉様…口以外から 奥歯に触れるのは、かなりの難易度 だったりしちゃうと思いますのですが?」
エクセレン「あら? ラ、ラミアちゃん?」
マサキ「人が心配して 追いかけてきたってのに…… 何だ、さっきの言い草は!?」
エクセレン「あらら、マーサ達だったのね。 はぁい、みんな…おゲンコ?」
リューネ「ゲンコ!?  何発欲しいのさ!?」
エクセレン「ん~、 リューネナックルはご勘弁。ね?」
マサキ「ったく、勝手に飛び出した上に こんな所でドンパチやってるなんて…… なに考えてんだよ?」
クロ「……説得力ニャいわね」
シロ「だニャ。 どっちかって言うとそういうの、 マサキの専売特許だもんニャ」
アイビス「そ、そうなんだ」
クロ「しかも、その後で 迷子にニャっちゃったりするから 大変ニャの」
マサキ「こら!  余計なことを言うんじゃねえ!」
エクセレン「あの~… ところで、マイスイートダーリンは?」
ラミア「隊長のことでございましやがるの ですか? まもなくこちらへ到着 されちゃったりしますのです」
エクセレン(もしかして…… あのお嬢ちゃんが出て来ないのは キョウスケがいないせい?)
マサキ「それよか、 さっさとあいつらを片づけるぞ!」
リューネ「ああ、わかったよ!」

〈敵機全滅〉

(アインストアイゼンが6体出現)
アイビス「敵の増援!?」
ラミア(新型のアインスト……。 いや、あれは!?)
マサキ「お、おい!  ありゃ何の冗談だ!?」
リューネ「ま、まさか……あれって!」
エクセレン「アルト……アイゼン……!」
???(アルフィミィ)(その通りですの)
エクセレン「!」
(ペルゼイン・リヒカイトが転移出現)
エクセレン「やっぱり……あなたね」
アルフィミィ「……」
エクセレン「さて、どういうつもり?  アルトちゃんの偽物を作り出すなんて… イタズラにしちゃ手が込みすぎてない?」
アルフィミィ(……キョウスケ)
エクセレン「え!?」
アルフィミィ(あの人の事を考えると…… 胸が……もやもやいたしますの…)
エクセレン「はあ!?」
アルフィミィ(なのに… 私はあの人のことを…よく知りませんの…)
アルフィミィ(だから… その“殻”しか作ることが できませんのよ…)
エクセレン(殻? どういうこと?)
エクセレン(あの子が…… アインストシリーズを 作り出しているとでも……!?)
マサキ「あいつがとっておきの奴か!  偽者のアルトと言い、 いったい何者なんだ!?」
エクセレン「……」
リューネ「エクセレン!  なにボーッとしてんのさ!?」
エクセレン「え? リューネちゃん、 あの子の声が聞こえなかったの!?」
リューネ「あの子!?  あんたの独り言は聞こえてきたけど、 そんなの知らないよ!」
ラミア(……前回、 アインスト・アルフィミィの音声は こちらでも記録できたが…)
ラミア(今交信していたのならば… 機密通信を行っているとでも言うのか?)
エクセレン(さっきの声が 聞こえたのは……私だけ?)
アルフィミィ(そう、あの人… キョウスケも、こうやって話すことは できませんの…。でも、あなたとなら…)
アルフィミィ(だからこそ、 あなたが必要ですのよ、エクセレン。 あなたが……あなたこそが……)
エクセレン「もうっ!  わけわかんないことばっか 言わない!」
エクセレン「あなたと私、そしてキョウスケ… どういう関係があるのかは 知らないけど……」
エクセレン「あなたは…とても危険な 感じがする。キョウスケに会わせる わけにはいかない…!」
アルフィミィ「……」
アルフィミィ(……キョウスケ…… もうすぐ……ここへ……)
(作戦目的表示)

〈vs アルフィミィ〉

[エクセレン]

エクセレン「キョウスケ、キョウスケって 恋のライバルにしちゃ物騒な相手ね」
アルフィミィ(エクセレン…… 私はまだ、あなたを……)

[HP90%以下 or 6PP]

(アルトアイゼンが出現)
キョウスケ「エクセレン、みんな、 無事か!?」
エクセレン「キョウスケ!」
キョウスケ「…って、 間に合っちゃったわね…」
キョウスケ「すまん、出遅れた。その分は…」
アルフィミィ「いらっしゃいましたのね…… キョウスケ……」
キョウスケ「……!」
マサキ「あいつ、喋りやがったぞ!?」
アイビス「もしかして、 あれには人が乗っているの!?」
ラミア「おそらくは…と思われたりしてます のです。前回の戦闘記録から、そう推測 されたりなんかしちゃってますのですわ」
アルフィミィ「キョウスケ… あなたは…あなたは何者なんですの?」
キョウスケ「何…? それはこっちの台詞だ。 答えてもらおう…何故、お前は龍虎王を 狙った? あのアルトの偽物は何だ?」
アルフィミィ「いいえ、 偽物とは違いますのよ。 もっと…まったく異なる物……」
アルフィミィ「あなたのことが知りたくて… 作ってみたのですけど…でも… 殻だけでは…」
キョウスケ「殻……だと?」
アルフィミィ「キョウスケ…もっと…もっと、 ずっと…あなたのことが知りたいですの…。 あなたが何なのか…私の…何なのか…」
キョウスケ「わかるように言え。 …それはどういう意味だ?」
アルフィミィ「私を乱す……それがあなた」
キョウスケ(こいつ…どういうつもりだ?  それに…やはりエクセレンに…)
エクセレン「ちょっとあなた!  何でそこまで私やキョウスケに拘るの!?  それくらいは説明してよね!」
アルフィミィ「……キョウスケ…… 一緒に…来ていただきたいんですの……」
エクセレン「え!?」
アルフィミィ「一緒に……私と……」
キョウスケ「…どこへだ?  どこから来て…そしてどこへ行く…?」
エクセレン「ちょ、ちょっとキョウスケ!?」
アルフィミィ「新しい宇宙……。 始まりの地を……捨てるために……」
キョウスケ「新しい…宇宙?」
マサキ「始まりの地!?」
リューネ「何のことなの!?」
マサキ「俺が知るかよ!」
キョウスケ「…やはり… 何を言っているのか意味がわからんな」
キョウスケ「それに、 おれがお前の思う通りに動くと思うのか?」
アルフィミィ「はい……。 動いていただきますの……」
(鈍い感応)
キョウスケ「何!? ぐうっ、頭が!」
マサキ「キョウスケ!!」
エクセレン「うぐ…あ…ああ、これは…!?」
リューネ「エクセレン、あんたまで!  いったいどうしたのさ!?」
エクセレン「あ……あの子は……!?」
リューネ「エクセレン!!」
キョウスケ「機体が……動かん!」
ラミア(何だ、この波長は…!?  過去のデータにまったくないパターンだ。 …しかも、通信妨害まで!?)
アルフィミィ「さあ、キョウスケ……」
キョウスケ「く……うっ……!」
マサキ「させるかよ!  行けっ、ハイ・ファミリア!!」
シロ「わかったニャ!!」
(サイバスターに精神感応、ハイファミリアの発射、ペルゼイン・リヒカイトに爆煙)
アルフィミィ「……!  邪魔をしないでいただきたいですの…。 キョウスケ……さあ、私と……」
(鈍い感応)
キョウスケ「ぐっ!!」
アルフィミィ「! 拒絶した……!?」
キョウスケ「……」
アルフィミィ「何故……ですの?」
キョウスケ「お前の思うようには… 動かんと言ったはずだ…!  おれの行動はおれの意思で…決める…!」
アルフィミィ「どうしてですの……?  あなたの身体は……私達の……」
キョウスケ「相変わらず、わけの わからんことを…!」
アイビス「キョウスケ中尉、 大丈夫なの!?」
キョウスケ「問題ない… とも言えんが、ここは押し切るぞ…!」
マサキ「とにかく、あの赤い奴を倒すぞ!  みんな、奴に攻撃を集中させろ!」
アイビス「わ、わかったよ!」
ラミア(アインスト・アルフィミィ… データを収集したいところだが、 やむを得んか)
アルフィミィ「キョウ……スケ…… 何故……ですの?  私は……あなたのことを……」

キョウスケが到着してからエクセレンがアルフィミィと
戦った 戦っていない


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