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リトル・プリンセス リュウセイルート ~ 第21話 ~

[ハガネ 艦内]

リョウト「…あ、リュウセイ君。ちょうど良かった」
リュウセイ「ん? 何だ?」
リョウト「君に話があるんだ。 今、時間ある?」
リュウセイ「もうすぐ偵察に出なきゃならねえけど… 10分ぐらいなら」
リョウト「じゃあ…いいかな?」
リュウセイ「おう。それで、話って?」
リョウト「タイプTTやR-1に搭載されている T-LINKシステムのことなんだけど…」
リュウセイ「ああ、あれね」
リョウト「君はどう聞いてる?」
リュウセイ「どうって… 操縦系やFCSの補助システムだって 説明されたけど」
リョウト「………」
リュウセイ「どうした?」
リョウト「僕は、それだけじゃないと思うんだ」
リュウセイ「え?」
リョウト「詳しいことはわからないけど、 T-LINKシステムは人間の脳波か何かと 関わりがあるような気がする」
リュウセイ「脳波って…今時、その手の装置は そんなに珍しいもんじゃねえだろ?」
リョウト「だったら、 どうしてT-LINKシステム搭載機は 数が限られてるのかな」
リュウセイ「………」
リョウト「誰にでも使えるような物なら、 他の機体にも装備されているはずだよ」
リュウセイ「T-LINKシステムそのものの数が 限られてるんじゃないの?」
リョウト「僕は違うと思う。 数が限られているのは…」
リョウト「T-LINKシステムじゃなく、 あれを使える人間の方じゃないかな」
リュウセイ「え?」
リョウト「もしかしたら…あのシステムを使うには、 特別な資質が必要なのかも知れない」
リュウセイ「じゃあ、俺やお前、アヤやリオは それを持ってるって言うのかよ?」
リョウト「………」
リュウセイ「考え過ぎだと思うけどなぁ」
リョウト(そうだろうか…)
リュウセイ「…そろそろ時間だ。もういいか?」
リョウト「う、うん。気をつけて行ってきてね」

《地中海上空》

[地中海上空]

リュウセイ「…この辺りに DCの残党はしねえようだな」
ラトゥーニ「うん… アフリカ内陸部へ後退したみたい」
リュウセイ「あいつら、総大将がいなくなっても まだ戦争を続ける気かよ」
ラトゥーニ「………」
リュウセイ「どうした?」
ラトゥーニ「ビアン博士が 言っていたことが気になって…」
リュウセイ「連邦のお偉方が 異星人に降伏する気だったって話か?」
ラトゥーニ「うん…リュウセイはどう思う?」
リュウセイ「…信じたくはねえよ」
ラトゥーニ「………」
リュウセイ「それに、上の連中全てがそうだとは 思えねえ。でなけりゃ、SRX計画なんてのが 動くはずがねえからな」
ラトゥーニ「………」
リュウセイ「イングラム教官は 俺に言ったんだ。スシリーズはエアロゲイターの 侵攻を食い止めるために作られたマシンだって…」
リュウセイ「俺はそれを信じるぜ」
ラトゥーニ「そう…」
リュウセイ「…それにしても」
ラトゥーニ「え?」
リュウセイ「よく喋るようになったよな、お前。 前はホント無口だったのに」
ラトゥーニ「変…?」
リュウセイ「全然。 こないだのフリフリ服も似合ってたしさ」
ラトゥーニ「あ、あれは…もう着ない…」
リュウセイ「なんで?」
ラトゥーニ「は…恥ずかしいから…」
リュウセイ「何だ、もったいねえなぁ」
(通信)
テツヤ「こちらスティール2 テツヤ・オノデラだ」
テツヤ「リュウセイ、ラトゥーニ。 すぐに帰還しろ。緊急事態が発生した」
リュウセイ「もしかして、 クロガネが見つかったんですか!?」
テツヤ「違う。 リクセント公国からのSOSを受信した。 どうやら何者かの攻撃を受けているらしい」
リュウセイ「!」

[ハガネ ブリッジ]

テツヤ「リクセント公国の防衛隊と 連絡は取れたか?」
エイタ「いえ…SOSを受信した以降は 音信不通のままです」
テツヤ「そうか…」
イングラム「DCか、コロニー統合軍の 残存部隊の襲撃を受けていると 見て間違いないだろうな」
テツヤ「ええ」
エイタ「でも、 どうして彼らがリクセント公国を狙うんだろう?」
エイタ「あそこは特別独立自治権を持ってる 小さな国なのに…」
リオ「観光地で有名な所よね。 それに古い歴史を持った国で… 前に避暑で行ったことがあるわ」
エイタ「避暑だって?  やっぱ、お前…いいトコのお嬢さんなんだろ?」
リオ「そ、そんなことないわよ」
イングラム「リクセント公国は領地内に 金鉱山をいくつか持っている」
イングラム「DC残存部隊は再興資金を得るために、 あの国を襲っているのかも知れんな」
テツヤ「艦長、どうします?」
ダイテツ「救いを求めている者を 見過ごすわけにはいかん。 最大戦速でリクセント公国へ向かえ」
テツヤ「はっ!」

《リクセント公国》

[リクセント城内]

ジョイス「王女!  どこにいらっしゃるのですか!?」
ジョイス「シャイン様、どうかお返事を!  いい加減になされませんと爺は怒りますぞ!」
シャイン「…慌てすぎです、ジョイス。 王族たるもの、いかなる時も堂々と… でこざいますのよ」
ジョイス「それどころではありません!  賊が城を包囲しておるのですぞ!」
ジョイス「早くここからお逃げ下さいませ!」
シャイン「爺… 不届き者の狙いは、この私… そうではございませんか?」
ジョイス「そ、それは…」
シャイン「ならば…退けません。 お父様の代わりに、この国を 守ってみせたりしますわ」
ジョイス「よろしいですか、王女。 賊が要求しているのは、金塊だけではございません」
ジョイス「彼らは 御身の引き渡しを要求してきているのですぞ」
ジョイス「金塊などいくらでもくれてやりましょう… ですが、御身だけは…」
シャイン「この程度でビビる… あ、え~と、怖じ気づく私ではございません…!」
シャイン「理不尽極まりない侵略に屈するようでは、 ハウゼン家の名を名乗れなくなりますもの…!」
ジョイス「ですが、 現実は甘くはございませぬ。 状況は圧倒的に不利…」
ジョイス「これより 防衛隊の面々も決死の覚悟で 王女様を脱出させる所存です」
ジョイス「どうか、大公家の血統… 御身を守ろうとする彼らの決意を くんでやって下さいませ」
シャイン「…爺。 もう一つ…方法がございますわ。 私があの者達の下に行きます」
ジョイス「な、何ですと!?」
シャイン「お父様やお母様が 愛したリクセントの街…そこに住む人達を 失うわけにはいきませんもの」
ジョイス「………」
ジョイス(シャイン様、 よくぞご立派になられました…)
ジョイス(と、 申し上げたいところですが… 敵はそれ程甘くはないでしょう…)
シャイン「それに…助けは来ます。 そんな予感がしたりするの…!」
ジョイス(! もうお気づきに…。 やはり…大公家の血は争えぬか…)
ジョイス(…あとは救助要請を出した 連邦軍部隊に、気骨を持った者が おることを祈るばかり…)


第21話
リトル・プリンセス

〔戦域:リクセント公国城下〕

テンペストDC復興のためとはいえ、 年端もいかぬ王女を連れ去らねば ならんとは…)
テンペスト(何故、アードラーは あんな子供を必要としているのだ?)
テンペスト(いや…俺には関係のないこと。 このような迷いがあったが故に 俺はハガネに敗北したのだ)
テンペスト(連邦を打ち倒し、 妻と子の無念を晴らすために… もはや手段は選んでいられん)
DC兵「テンペスト少佐、 公国側から通信が入っております」
テンペスト「…ようやく観念したか」
ジョイス「テンペスト・ホーカー少佐… 私はシャイン王女の側近、 ジョイス・ルダールと申します」
テンペスト「貴様が誰だろうと構わん。 王女の返答を聞かせてもらおうか」
ジョイス「王女は、あなた方の要求を 受け入れると申されております」
テンペスト「賢明な判断だ」
ジョイス「その代わり、 約束は守っていただきますぞ」
テンペスト「ああ、王女の命は保証しよう」
C軍兵「少佐!  連邦軍の戦艦が接近中です!!」
テンペスト「!」
(ハガネが出現)
テツヤ「間に合ったか!?」
テンペスト「フッ…俺は運がいい。 ここで奴らに出会えるとはな。 あの時の屈辱を晴らさせてもらう!」
テンペスト「ハガネに告ぐ!  シャイン王女、及びリクセント公国 国民の命が惜しくば…」
テンペスト「直ちに武装を解除し、 我らに降伏しろ!」
リュウセイ「てめえはあの時の…!」
ラトゥーニ「…テンペスト・ホーカー…」
リュウセイ「人質を取るたあ汚ねえぞ!  それがてめえの大儀なのか!?」
テンペスト「前に言ったはずだ。 俺の目的は、連邦への復讐だとな」
テンペスト「そして、そのためには 手段を選ばん! 要求に応じねば、 王女が死ぬことになるぞ!!」
シャイン「それは嘘でございます!」
テンペスト「!」
シャイン「この者達の目的は私!  ですから、私を殺しちゃったりは しません!」
テンペスト「おのれ…!」
ジャーダ「あれでも元教導隊か。 あんな子を誘拐しようだなんて」
イルム「何にせよ、 速攻でケリをつけた方がいい」
インクラム「よし…移動力の 高いPTは、王女の救出に向かえ。 残りの機体は敵機を迎撃せよ」
イングラム「王女がいる場所は このポイントだ」
(城の正面玄関を指す)
リュウセイ「あそこに行って、 お姫様を助けりゃいいんだな?」
イングラム「そうだ。 ただし、敵機に先を越されるな」
リュウセイ「了解!」
テツヤ「PT各機、出撃せよ!」
(出撃準備、作戦目的表示)

〈テンペストにダメージを与える〉

(敵機が出現)
リュウセイ「あれは!」
テンザン「ホ! やっぱりハガネかよ!  意外に早い再会だったな。これで 久々にゲームが楽しめるってモンだ」
テンペスト「テンザンか。 ここへ何をしに来た?」
テンザン「アードラーの命令で 少佐を助けに来たのさ」
テンペスト「………」
テンザン「そう気を悪くすンなよ。 あのジジイにとっちゃ、それだけ 例の王女とやらが重要なんだろうよ」
テンペスト「…俺の命令には 従ってもらうぞ」
テンザン(チッ、ロートル風情が つけあがりやがって…。ま、でも 奴をダシにするってのはアリだな)
テンザン「わかってるっての!  んじゃ、お姫様争奪戦…開始だぜ!」

〈味方機が城内へ〉

エイタ「艦長!  王女の救出に成功したようです!」
ダイテツ「よし。 残っている敵機を掃討せよ!」
テンザン「あ~らら、先を越されたか。 アードラーのジジイも最初から 俺に任せときゃ良かったのに」
テンザン「ま、こうなったら 最低限の仕事だけでもやってくか」
テンペスト「おのれ…!  こうなったら、ハガネだけでも 沈めてみせる!」

〈vs テンザン〉

[リュウセイ]

リュウセイ「テンザン!  てめえ、生きてやがったのか!」
テンザン「当たり前だ。 そう簡単に死んでたまるかっつーの。 楽しいゲームはこれからだぜ!」
リュウセイ「なら、ここで ゲームオーバーにしてやる!!」

[リョウト]

テンザン「ホ!  てめえも無事だったらしいな!」
リョウト「DC戦争は もう終わったんだ! アードラーに 手を貸すのは止めろ!」
テンザン「何言ってんだ。俺のゲームは まだ終わってねえっての!」

[撃墜]

テンザン「ま、今日のところは手勢も 少なかったし…再会記念ってことで 花を持たしてやっか」
(テンザン機が爆発)

テンペストを
撃墜した 撤退させた


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