ラトゥーニ「………」
ガーネット「ほら、動かないで」
ラトゥーニ「何でこんな服を…」
ガーネット「あたしがこっそり艦内に
持ち込んでおいたの。可愛いでしょ？」
ラトゥーニ「だからって…」
ガーネット「あんたも年頃の女の子なんだから、
こういう格好もしなきゃ」
ガーネット「でないと、彼氏できないわよ～？」
ラトゥーニ「そ、そういうのに興味ない……」
ガーネット「はいはい、動かない」
ラトゥーニ「本当に興味ない…」
ガーネット「…さて、着替え完了っと。
後はメイクね。きっと可愛くなるわよ～」
ラトゥーニ「ご、ごめんなさい！」
（速い足音・ラトゥーニが走り去る）
ガーネット「あ、
待ちなさいってば！」
ガーネット「………」
ガーネット（やっぱり…まだ無理なのかしら…）
ジャーダ「よう、ガーネット…
ラトゥーニに何やってたんだ？
何か凄い格好をしてたけど…」
ガーネット「ん～、息抜きみたいなもんよ。
それより、何の用？」
ジャーダ「ああ…
さっき、イングラム少佐に呼ばれてな。
機種変更の話をされた」
ガーネット「機種変更？」
ジャーダ「そうだ。
次からイルム中尉がヒュッケバインに
乗ることになってな…」
ジャーダ「中尉のゲシュペンストが空いたんだ。
で、そいつが俺達の部隊に回ってきたってワケ」
ガーネット「ふ～ん…。
それで、誰が乗るの？」
ジャーダ「俺はラトゥーニにしようと
思ってるんだが…」
ガーネット「あの子を…？」
ジャーダ「ああ」
ガーネット「あたしはいいけど…
あんた、それでいいの？
前から機種変更願いを出してたじゃない」
ジャーダ「そうだけど…
正直言って、ＰＴ操縦技術は
俺よりあいつの方が上だしな」
ガーネット「…あの子、
『スクール』の出身だもんね…」
ジャーダ「ま…俺達、自分の専用機はねえけど、
ＰＴに乗ろうと思ったらいつでも乗れるしさ」
ジャーダ「ラトゥーニのためにゲシュペンストは
あいつへ譲ることにするよ」
ガーネット「ふ～ん…。
もしかしてあの子みたいな子供が欲しいの？」
ジャーダ「バ、バカ。どうして
そういう話に飛躍すんだよ！？」
ガーネット「ま～た、照れちゃって！
いつでもいいわよ？」
ジャーダ「って、何がだ。
ところで、当のラトゥーニはどこへ行ったんだ？」
ジャーダ「あの服で艦内をうろつくのは、
いくら何でもマズいんじゃねえのか？」
ガーネット「そうだった！
早く着替えさせないと、イングラム少佐や
テツヤ大尉に怒られちゃう！」
アヤ「イングラム少佐…」
イングラム「どうした、アヤ？」
アヤ「今回の作戦に私達が参加する理由…。
それはもしかして……」
イングラム「そうだ。
お前の父親、ケンゾウ・コバヤシ博士の理論に
基づいた上での判断だ」
アヤ「そ、そんな…
私はともかく、リュウは…！」
イングラム「………」
アヤ「も、もしかして…
クスハをこの艦に乗せたのも…？」
イングラム「例の力は、
絶体絶命の状況に陥った時…
発動する可能性が高い」
イングラム「現にリュウセイが
初めてパーソナルトルーパーに
乗った時もそうだった」
アヤ「で、でも！」
イングラム「…アヤ、
リュウセイをこの戦争に巻き込んだのが、
自分だと思っているのか？」
アヤ「………」
アヤ「…あの子の素質は
間違いないものだと思います。
ですが……」
イングラム「遅かれ早かれ、
人類は今以上の危機に直面する」
アヤ「………」
イングラム「その時、
リュウセイのような素質を持った者が、複数必要だ。
無論、お前も例外ではない」
アヤ「でも、私は高レベルの
テレキネシス・リンクを行うと…」
アヤ「メモリープールに残留している思念を…
あの二人の念を……感じるような気がするんです」
イングラム「特脳研での実験中に亡くなった…
母親と妹のことか？」
アヤ「はい……」
イングラム「………」
イングラム「…思い出は
所詮、過去の亡霊に過ぎない」
アヤ「少佐…」
イングラム「お前なら乗り越えられる。
信じているぞ、アヤ…」
アヤ「……わかりました。
結果を出せるよう努力します」
イングラム「………」
ロバート「…ラトゥーニはまだ来てないのか？」
ロバート「あの子がいなきゃ、ゲシュペンストの
調整作業が終わらないんだが…」
一般兵「さっき、呼び出しましたから、
もうすぐ来るでしょう」
ロバート「ん？
あそこにいるのはリュウセイと…リオか。
二人して何やってるんだ？」
リオ「え～っ！？
まだクスハと話をしてないの！？」
リュウセイ「あ、ああ…。
お互い忙しくてさ…すれ違ってばっかりで」
リオ「あっきれた！」
リュウセイ「でもさ、
あいつ看護士の勉強も一所懸命やってるし…
邪魔しちゃ悪いと思って」
リオ「そういう気の遣い方は間違ってないけど…」
リュウセイ「クスハの方から
話しかけてくるかな～、なんて」
リオ「男のくせに受け身なんて！
自分から行きなさいよ！」
リュウセイ「は、はい！」
（ぶつかる）
？？？(ラトゥーニ)「！」
リュウセイ「あ…。
ご、ごめんよ。大丈夫かい？」
？？？(ラトゥーニ)「……！」
（速い足音・？？？(ラトゥーニ)が走り去る）
リュウセイ「お、おい、リオ…今の女の子、誰だ？」
リオ「さ、さあ…」
リュウセイ「つーか、何であんな格好を…」
リオ「あ、もしかして…！」
（アラート）
リュウセイ「！」
テツヤ「くっ！
ここまで敵機の接近を許すとは…！」
ダイテツ「直ちに迎撃機を発進させろ！」
テツヤ「了解！」
（ヒュッケバイン００９、量産型ゲシュペンストＭｋ－II、リュウセイ機が出撃）
テツヤ「３機だけだと…！？
どういうことだ！？」
ロバート「すまない、大尉！
他の機体は発進まで
もう少し時間がかかる！」
テツヤ「あと、どれくらいだ！？」
ロバート「６分…
いや、４分で何とかする！」
ダイテツ「やむをえん。それまでは
本艦とＰＴ３機で敵機を迎撃する」
イルム「やれやれ…しょうがないな」
イルム「それじゃ、他の連中が出てくるまで
頑張ろうぜ、ラトゥーニちゃん」
ラトゥーニ「…了解…」
イルム「だ、誰！？」
ラトゥーニ「え……」
イルム「…お嬢さん、
前にどこかでお会いしましたっけ？」
ラトゥーニ「…い、いつも会ってる…」
イルム「う～む…美人の顔は
忘れないようにしてるんだがな。
名前は？」
ラトゥーニ「ラトゥーニ・スゥボータ…」
イルム「な、何だってぇーーっ！？」
リュウセイ「マ、マジ！？」
イルム「お、お前、
何でそんな格好をしてるんだ！？」
ラトゥーニ「着替える時間がなかったから…」
イルム（な……）
イルム（何てこった…。
この俺としたことが、まったくの
ノーマークだったぜ…）
リオ「やっぱり、
ラトゥーニだったのね…」
エイタ「…か、可愛い…」
テツヤ「そんなことを
言ってる場合じゃない！
敵機を迎撃しろ！！」
エイタ「新たな熱源反応あり！
本艦へ向けて急速接近中！
３０秒後に接触します！」
リュウセイ「敵の増援か！」
イルム「ラトゥーニ、
気を付けろ！ 敵の集中攻撃を
受けるかも知れないぞ！」
ラトゥーニ「………」
（敵機が出現）
テンペスト「………」
テンペスト「この時を…」
テンペスト「連邦軍との
戦いの場へ赴ける時を
どれほど待ち望んだことか」
テンペスト「あれから、もう１６年…。
レイラ、アンナ…お前達の無念を
俺のこの手で晴らしてやる」
テツヤ「あのアーマードモジュールは
伊豆基地にも現れた新型か…！」
ライ（だが、機体色が違う。
エルザムではない…）
テンペスト「む…？」
（ヒュッケバインを指す）
テンペスト「あのＰＴは…
ヒュッケバインの同型機か？」
イルム「やれやれ…どうやら、
あいつもエースパイロットっぽいな」
イルム「敵さんも次から次へと
面倒な相手を送り込んで
くれるもんだぜ、まったく」
（量産型ゲシュペンストＭｋ－IIを指す）
テンペスト「連邦軍に与する者には、死を…！」
テンペスト「我が妻と娘に対する
最初の手向けとなるのは…」
テンペスト「お前だ！」
ラトゥーニ「！ 来る…！」
【強制戦闘】
テンペスト[バーストレールガン]ｖｓラトゥーニ[回避]
ラトゥーニ「その機体の動き、
データで見た記憶があるわ…」
テンペスト「あの機体、
子供が乗っているのか…！」
ラトゥーニ「…あなたは
エルザム少佐と同じ、
元教導隊のメンバー…」
テンペスト「……！」
イルム「あいつも教導隊…！？」
テンペスト（…あの声…
アンナが生きていれば、
同じ年頃か…？）
テンペスト（…俺は…
あのパイロットを撃てるのか？）
テンペスト「いや…慈悲の心は
とうに捨てた」
ラトゥーニ「！」
テンペスト「俺は連邦軍の人間を
一人でも多く血祭りに上げるために…」
テンペスト「１６年目の復讐を
果たすために、鬼となる！」
ラトゥーニ「…復讐…！」
イルム「ラトゥーニ、
その敵はヤバい！ 離れろ！」
（作戦目的表示）
リオ「ＰＴの発進準備が
完了しました！」
ダイテツ「出撃を許可する！」
リオ「了解！
ＰＴ各機、発進どうぞ！」
（出撃準備）
イングラム「各機へ。
ハガネを防衛しつつ、
敵ＡＭを撃破せよ」
ライ「了解です」
ジャーダ「ラトゥーニ！
大丈夫か！？」
ラトゥーニ「うん」
ガーネット「見てなさいよ…！
今までラトゥーニをいじめてくれた分の
お返しをしてやるから！」
ジャーダ「ああ！
てめえら、そこを動くんじゃねえぞ！！」
テンペスト「ＰＴが出てきたか。
各機、各個に敵機を叩け」
テンペスト「うぐっ！
な、何と…！？」
テンペスト「お、俺は
復讐を成し遂げるまで…」
テンペスト「妻と娘の無念を
晴らすまでは死なん…！」
（爆発）
エイタ「艦長！
敵の戦闘原潜と思われる
物体が浮上して来ます！」
ダイテツ「……！」
（キラーホエールが出現）
ＤＣ艦長「ビアン総帥からの
撤退命令に従い、テンペスト少佐達を
回収次第、この海域から離脱する」
エイタ「敵機、及び敵戦闘原潜が
この海域から撤退して行きます！」
テツヤ「どういうことだ…？
本艦にあれだけの攻撃を仕掛けて
おいて、撤退するなんて…」
ダイテツ「………」
アヤ「驚いたわ…。
ラトゥーニがあそこまで変わるなんて」
ガーネット「素材もいいけど…
あたしのコーディネイトもなかなかでしょ？」
イルム「ああ。眼鏡を取ったら
可愛い子ちゃん…っていうお約束を
あそこまで地で行くとはね」
ロバート「俺もあの子を見た時は、
自分の目を疑ったよ」
イルム「正体がもっと早くわかってたら、
口説いてたんだが…」
ガーネット「口説くって…
あの子、まだ１４歳ですよ？」
イルム「十分、守備範囲だね」
（扉が開閉する）
ラトゥーニ「………」
ガーネット「あら、ラトゥーニ…
もう着替えちゃったんだ？」
ラトゥーニ「…あんな格好じゃ艦内を歩けない…」
イルム「服はともかく、
その眼鏡は取ったらどうだ？
せっかくの美人が台無しだぜ」
ラトゥーニ「これはアナライズ・ツール。
分析作業に必要なの…」
イルム「あ、さいですか」
イングラム「…ガーネット」
ガーネット「しょ、少佐…」
イングラム「わけを聞かせてもらおう」
ガーネット「え、えっと…
あの子にみんなと打ち解けるきっかけを
作ってあげようと思って…」
イングラム「………」
ガーネット「す、すみません……
始末書ものですよね？」
ラトゥーニ「ガーネット…」
アヤ「…イングラム少佐、
格好がああでも任務はやり遂げましたし…
ガーネットの気持ちも…」
イングラム（…一種のリハビリということか）
イングラム「いいだろう。今回は不問とする」
ガーネット「あ、ありがとうございます！」
イングラム「では、以上だ」
ガーネット「あ、少佐…あの子の服装、どうでした？」
イングラム「………」
アヤ「ガ、ガーネット？」
イルム（おいおい、それをおカタい少佐に聞くかね）
イングラム「嫌いでは…ないな」
ガーネット「そうですか。ありがとうございます！」
イルム（こりゃまた意外なお答えで…）
アヤ「………」
アヤ（私も…着てみようかな、あの手の服）
アヤ（でも…似合わないわよね～、きっと）
クスハ「…あの時、びっくりしたの。
まさか、あんな所でリュウセイ君と会うなんて…」
リュウセイ「そりゃこっちの台詞だよ」
クスハ「そうよね…。
だから、私がハガネに乗った理由を
ちゃんと説明したいの」
リュウセイ「…ああ」
クスハ「私…ケガや病気で苦しんでる人の
助けになりたいと思って、看護士を目指してたの」
リュウセイ「………」
クスハ「でも、この戦いが終わらない限り、
苦しむ人は増えていく一方…」
クスハ「だから、
戦いを終わらせようとしている人達の
助けをしようと思ったの。私の出来ることで」
リュウセイ「………」
クスハ「リュウセイ君は反対かも知れないけど…
私なりに考えて決めたことだから」
リュウセイ「別に反対しないぜ」
クスハ「え？」
リュウセイ「人それぞれに
この場所にいる理由ってもんがあるんだよな。
…ライの奴もきっとそうだ」
クスハ「………」
リュウセイ「考えてみりゃ、当たり前のことさ。
だから、お互い頑張ろうぜ」
クスハ「うん…」