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海溝よりの刺客 リュウセイルート ~ 第9話 ~

《アイドネウス島》

[DC総司令部]

アードラー「総帥、 エルザムが伊豆基地の制圧に失敗しました」
ビアン「そうか…」
アードラー「いかが致しましょう… トロニウムを搭載した戦闘母艦を 野放しにしておくのは少々危険かと思われますが」
ビアン「ロレンツォ、 ハガネに与えられた任務は何だと思う?」
ロレンツォ「おそらく、 ヨーロッパ方面の連邦勢力との合流…」
ロレンツォ「もしくは赤道付近から 衛星軌道上に飛び、宇宙の残存勢力との合流かと」
ビアン「…このアイドネウス島を目指す、 というのは?」
アードラー「まさか。 たった1隻でここを攻撃など…あり得ませんな」
ビアン「お前はそう思うか」
アードラー「…総帥、ハガネの捜索及び奪取を テンペスト・ホーカー少佐に命じようと 思いますが…」
ビアン「テンペストか…。 優秀な男だが、その命令を素直に聞くかな?」
アードラー「………」
ロレンツォ(…連邦軍相手の作戦だからな)
ビアン「まあいい。任せる」
アードラー「はっ」
ビアン(ハガネ… 艦だけでなく、クルー達も使えそうではないか)
ビアン(さて…どこまで我らに迫れるものか)

《伊豆近海(移動中・ハガネ)》

[ハガネ ブリッジ]

テツヤ「針路このまま、 強速前進、よーそろ!」
ダイテツ「そろそろ、 八丈島が見える頃だな」
テツヤ「ええ。 本艦はまもなく伊豆基地の第5警戒ラインを 越え、八丈島海域に入ります」
ダイテツ「敵の動きは?」
エイタ「レンジ1から8まで反応なし」
ダイテツ「そうか」
テツヤ「妙ですね。 間髪入れず、追撃部隊が来るものだと 思っていましたが…」
ダイテツ「大尉、ここでハガネの潜水艦機能の テストを行うとしよう」
テツヤ「海中に潜るのですか?」
ダイテツ「そうだ。 伊豆・小笠原海溝を伝い、南鳥島海域方面を目指す。 海溝内では深度3000を保て」
テツヤ「なるほど…攻撃型潜水艦の 限界深度は2000程度…」
テツヤ「しかし、外宇宙航行用の 特殊船殻を持つスペースノア級は それ以下の潜行が可能です」
エイタ「深海調査艇でもない限り、 海溝内を潜行するハガネに 近づけないってワケですね」
テツヤ「ああ、そうだっ。 喫水線上の全区、水密閉鎖確認。 全艦、潜水艦行動を取れ」

[ハガネ 食堂]

ジャーダ「何!?  この艦は水ン中に潜ってるってぇ!?」
ガーネット「あんた、 艦内放送聞いてなかったの?」
ジャーダ「艦内放送?」
ガーネット「あ、ひょっとして… また音楽を聴いてたんでしょ!?」
ジャーダ「いや~、さすがは万能戦闘母艦。 潜航も出来るなんて大したモンだ」
ガーネット「ごまかさないでよね。 その内、イングラム少佐に怒られても知らないから」
(扉が開閉する)
クスハ「じゃあ、アヤ大尉… これがコバヤシ博士から預かったお薬です」
アヤ「ありかとう。 ところで、クスハ…あなた、私の父から 何か言われなかった?」
クスハ「いえ…」
アヤ「そう…」
クスハ「あの…すみません。 今、リュウセイ君はどこに?」
アヤ「格納庫でビルトラプターの調整を 手伝ってるわ。しばらくかかりっきりになるから… 今から一緒に行く?」
クスハ「あ、いえ…いいんです。 私も仕事がありますから…」
ジャーダ「………」
ガーネット「どうしたの?」
ジャーダ「あの子…リュウセイの彼女かな?」
ガーネット「幼馴染みって聞いてるけど」
ジャーダ「ふ~ん…」

《伊豆 小笠原諸島(移動中・ハガネ)》

[ハガネ ブリッジ]

テツヤ「本艦はまもなく北緯30度を越えます。 現在深度、2500」
ダイテツ「敵の反応は?」
エイタ「依然、ソナーに感はありません」
テツヤ「さしものDC戦闘原潜も、 この深度までは到達出来ないようですね」
エイタ「北緯30度ってことは… この付近が伊豆・小笠原海溝で一番深い所か」
リオ「へえ、そうなの?」
エイタ「確か、最深度は1万メートルに 近かったはずだ。さしものハガネも そこまで行けば圧壊するかもなあ」
リオ「そんなことあっかい。 ……なんちゃって」
エイタ「ベ、ベタだねえ」
テツヤ「お前達、私語は慎め。 第3級戦闘配備中だぞ」
エイタ「す、すみません」
テツヤ「まったく…。 いくら敵が来ない深海域だと言え、気がゆるんで…」
(アラート)
エイタ「ソナーに感あり!  こ、これは…魚雷です!!」
テツヤ「な、何!?  こんな深海に魚雷だと…!」
エイタ「雷跡6、方位2-8-7!」
ダイテツ「総員、第1種戦闘配置!  機関、第1戦速、雷撃準備!」
テツヤ「了解!  機関、第1戦速、雷撃準備!」
ダイテツ「回避運動を取りつつ、 DSAT魚雷、1番から4番まで発射準備!」
テツヤ「了解! 面舵45度!  1番から4番発射管に注水!  ベントオープン、ブロー!」
エイタ「魚雷との相対距離、1800!」
ダイテツ「AT魚雷 1番から4番、発射!」
テツヤ「1番から4番、発射!」
(魚雷の発射)
リオ「………」
テツヤ「………」
ダイテツ「………」
エイタ「!」
エイタ「命中5、交差1! 来ます!!」
ダイテツ「急速転舵!!」
テツヤ「間に合いません!!」
(爆発)


第9話
海溝よりの刺客

〔戦域:深海〕

(アラート)
テツヤ「被害状況を報告しろ!」
エイタ「魚雷は右舷後部に命中!  テスラ・ドライブに異常発生!」
テツヤ「何っ!?」
リオ「後部第8、第11ブロックに浸水!」
(爆発)
テツヤ「何だ!?」
エイタ「テ、テスラ・ドライブの 出力異常により、艦が沈降します!」
ダイテツ「予備ツリムタンクを使用して、 深度を保て!」
テツヤ「了解!」
エイタ「ソナーに感あり!  艦前方に何かがいます!!」
テツヤ「!」
(敵潜水母艦を指す)
エイタ「データ照合終了!  DCの戦闘原潜です!」
ダイテツ「どうやら、ワシらは 待ち伏せされていたようだな」
テツヤ(くっ…!  まさか、奴らの潜水艦が この深度まで潜れるとは…)
テツヤ(それに、こんな深海では パーソナルトルーパーを 出撃させられない…)
テツヤ(ここで本艦に何かあれば、 海溝へ沈んで圧壊か…!)
ダイテツ「これより、 この深海域を強行突破する!」
テツヤ「艦長、敵艦を 撃滅するのではないのですか!?」
ダイテツ「大尉…ワシらの最終目的地は 遥か彼方のアイドネウス島だ」
ダイテツ「補給手段が 確保されていない現状で、 戦闘は極力避けねばならん」
テツヤ「わかりました…。では、 本艦をこの位置まで移動させれば よろしいですね?」
(南端を指す)
ダイテツ「うむ。第二戦速、前進!」
(出撃準備、出撃数は0)

〈2PP〉

リュウセイ「イルム中尉、俺達は 出撃しなくてもいいのかよ!?」
イルム「何言ってんだ。こんな所へ PTで飛び出してみろ。あっと 言う間に水圧でペシャンコだぞ」
リュウセイ「そ、そうか…」
イルム「だから、 今回は艦長やテツヤ大尉達に 任せて、大人しくしてろ」
(爆発)
リュウセイ「な、何だ!?」
エイタ「テスラ・ドライブに さらなる異常発生!  出力が調整出来ません!!」
テツヤ「何だと!?」
エイタ「こ、このままでは艦が 強制沈降します! ツリムタンクでは 深度が調整出来ません!!」
テツヤ「うぬっ…!」
ダイテツ「補機ロケット エンジンクラスター点火!  急速浮上! 艦の深度を保て!」
テツヤ「りょ、了解!」
(点火)
エイタ「何てこった、 こいつはヤバいよ…!」
リオ「どうしたの!?」
エイタ「テスラ・ドライブの異常で 重力制御が上手くいっていない!」
エイタ「そのおかげで、艦が 自然沈降どころか、強制的に 海溝深部へ沈んでる…!」
リオ「ホントなの!?」
エイタ「ああ。今は 補助エンジンとツリムタンクで 何とか深度を保ってるけど…」
エイタ「グズグズしてたら、 海溝の底へ沈んで圧壊する!」
リオ「そ、そんな!」
テツヤ「エイタ、本艦が現在の 深度を保てる限界時間は!?」
エイタ「あと4分です!」
テツヤ「何だと…!」
ダイテツ「よし…それまでに 加速必要水域を確保し、オーバー ブーストを使って浮上する!」
テツヤ「オーバーブーストを!?  あれは大気圏離脱時や 非常時に使うものですが…!」
ダイテツ「大尉、今がその非常時だ」
テツヤ「!」
ダイテツ「いいか、 何としても限界時間までに…」
(目標地点を指す)
ダイテツ「本艦を このポイントまでたどり着かせろ!」
テツヤ「了解!」

〈3PP〉

テツヤ「…前方の敵艦は こちらを待ちぶせしているのか…?」
エイタ「そうみたいですね…」
ダイテツ「…本艦を だ補するつもりかも知れん。 油断をするな!」

〈敵機全滅〉

リオ「敵艦の全滅を確認!」
ダイテツ「よし…目標点まで 移動し、オーバーブーストを 使って浮上するぞ!」
【デモイベント『オーバーブーストを使ってハガネが発進』】

[ハガネ ブリッジ]

リオ「浮上完了。 周囲に敵影はありません」
テツヤ「やれやれ、何とか助かったか…」
エイタ「しかし…さすがですね、艦長は」
エイタ「大気圏離脱時用の オーバーブーストを海中で、 しかもあんな状況下で使うなんて」
テツヤ「…あの人は昔、外宇宙探査航行艦ヒリュウの 艦長を務めていたからな」
テツヤ「ああいう時の 臨機応変な判断はさすがだよ。 その反面、無茶もする人だけど」
エイタ「は、はあ…」
ダイテツ「…大尉、微速前進で南鳥島へ向かう。 その間にテスラ・ドライブの修理を急げ」
テツヤ「了解です、艦長」

[ハガネ 格納庫]

イルム「オオミヤ博士、ヒュッケバイン009の チェック、終わったぜ」
ロバート「ああ、ご苦労さん」
(扉が開閉する)
リュウセイ「ん?  このパーソナルトルーパーは…」
イルム「俺がPTXチームにいた頃、乗ってた機体さ」
リュウセイ「PTXチームって… 確か、SRXチームの前にあった PTの特殊部隊だったっけ」
イルム「ああ。今は解散しているがな」
ロバート「ところで、イルム中尉… 009の調子はどうだった?」
イルム「前の時より良くなってたが… やっぱり、こいつじゃ008Lを越えられないな」
ロバート「それを言わないでくれ。 あれとはエンジンが違うんだ」
イルム「わかってるよ。 とりあえず、次はこいつを使ってみるわ」
ロバート「ああ」
リュウセイ「なあ、ロブ。 エンジンが違うって…どういうこった?」
ロバート「そうか…。 お前は知らなかったんだな」
リュウセイ「?」
ロバート「…ヒュッケバインは 全部で3機が作られていてな。 内、1機がこの009…」
ロバート「残りが008Lと008R。 で、2機の008と009じゃエンジンが違うんだ」
リュウセイエンジンが違うって…。 008はプラズマ・ジェネレーターを 積んでなかったのかよ?」
ロバート「ああ、そうだ…」
ロバート「ヒュッケバイン008Lと008Rは、 初のEOT搭載型パーソナルトルーパーでな…」
ロバート「その2機には 『ブラックホール・エンジン』が組み込まれていた」
リュウセイ「ブラックホール・エンジン?  何か、名前を聞いただけでヤバそうな感じが…」
イルム「そうさ…」
イルム「ヒュッケバイン008Rの ブラックホール・エンジンは実験中に突如暴走し…」
イルム「基地一つをブッ壊した。 で、その時に居合わせた奴の中で 生き残ったのは俺とハミル博士…」
イルム「それに…ライだ」
リュウセイ「! あいつが!?」
イルム「ああ。 奴はヒュッケバイン008Rの テストパイロットだったのさ」
リュウセイ「……!」
イルム「ブラックホール・エンジン暴走事故のせいで ライは左手を失い…」
リュウセイ(左手…!?)
イルム「ヒュッケバインには “バニシング・トルーパー”っていう 不名誉なアダ名がつけられた」
リュウセイ「………」
イルム「…お前、あいつから この話を聞いてなかったのか?」
リュウセイ「あ、ああ…」
イルム「フッ、あいつらしいな」
リュウセイ「………」
イルム「何にせよ、ブラックホール・エンジンっていう EOTは俺達にゃ荷が重かったのさ」
リュウセイ(ライに… そんな過去があったなんて…)

『ヒュッケバイン009』を入手した。


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