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訓練 リュウセイルート ~ 第3話 ~

[伊豆基地内]

ケンゾウ「そうか、55番が…」
イングラム「うむ。 博士が開発したT-LINKシステムとの 相性も良さそうだった」
ケンゾウ「血は争えんということか…。 調整の必要は?」
イングラム「しばらく様子を見る。 もしかしたら、面倒な手順を踏まずに 済むかも知れん」
イングラム「…アヤとは違ってな」
ケンゾウ「……」
ケンゾウ「では、1号機のパイロットは55番… リュウセイ・ダテにするのか?」
イングラム「そのつもりだ」
ケンゾウ「了解した。 それから、55番以外にも適性の高い者を見つけた」
イングラム「大会の出場者か?」
ケンゾウ「違う」
イングラム「ほう…」
ケンゾウ「軍の病院に収容された者に対し、 念のためにTPLテストを行った」
イングラム「それに引っ掛かったか。名前は?」
ケンゾウ「クスハ・ミズハだ」
イングラム「…なるほど。 55番の予備として使えるかも知れん。 こちらでマークしておく」
ケンゾウ「わかった」
イングラム「最後に他のサンプルの件だが… 幕張での戦闘で、大会上位入賞者の内、 3名が行方不明となっている」
ケンゾウ「その3名とは?」
イングラム「テンザン・ナカジマ、 ケンイチロウ・モリデラ、リョウト・ヒカワだ」
ケンゾウ「…リョウト・ヒカワは TP反応があったサンプルだったな」
イングラム「ああ。 何者かがこちらの計画を察知し、 妨害工作を仕掛けてきているか…」
イングラム「かつての“スクール”と同じことを 目論んでいる者がいるのかも知れん」
ケンゾウ「………」

[伊豆基地 ブリーフィングルーム]

アヤ「お待たせ、リュウ。 あなたにもう一人のメンバーを紹介するわ」
リュウセイ「へえ…まだお仲間がいたんだ」
アヤ「ええ。あなたと同じく、私達の プロジェクトでテストパイロットを 務めることになった…」
ライ「ライディース・F・ブランシュタイン少尉だ」
リュウセイ「あ、あんた…正門の所で会った…」
アヤ「あら… あなた達、知り合いだったの?」
ライ「………」
リュウセイ「俺、リュウセイ・ダテって言うんだ。 よろしくな」
ライ「失礼だが…君の階級は?」
リュウセイ「ええっと…」
アヤ「彼は特別任官で階級は曹長なの」
ライ「では、よろしく。 リュウセイ・ダテ曹長」
リュウセイ「呼び捨てでいいって」
ライ「なら、こちらもライで構わん」
アヤ「仲良くしてね、二人共」
ライ「大尉…彼は先日まで民間人だったのでは?」
アヤ「…経緯は色々とあってね。 彼もあなたと同様、選ばれた ライト・スタッフなのよ」
ライ「この男が…?」
リュウセイ「あからさまにそんな顔すんなよ」
ライ「一つだけ言っておく。 くれぐれも俺の足手まといになるな」
リュウセイ「な…何だとぉ!  てめえ、何様のつもりだ!?」
アヤ「二人とも、ケンカは止めなさい!  子供じゃないんだから!」
リュウセイ「チェッ… ライバルはキザで嫌みな奴、 紅一点は口やかましいときたか」
リュウセイ「こりゃ、 お約束のパターンだよなあ」
ライ「お約束だと?」
アヤ「パターンってどういうこと?」
リュウセイ「何でもねえよ。 それよりもさ、早くパーソナルトルーパーに 乗せてくれよ」
アヤ「なに言ってんの。 パーソナルトルーパーを遊園地の 乗り物か何かとと一緒にしないで」
アヤ「とりあえず、 あなたには講習で操縦の基本を みっちりと勉強してもらいますからね」
リュウセイ「そ、そんな…。 もう実戦だってやっちゃってるのに 今さら基本なんてさぁ」
アヤ「リュウ、パーソナルトルーパーはね… 自転車や車に乗るのとわけが違うわ」
アヤ「起動のさせ方一つ取っても 色々な取り決めがあるの。 気軽に乗れる物じゃないのよ」
アヤ「それに、タイプTTは 特別にコックピットが簡易化されてるから…」
アヤ「ちゃんと訓練を受けなきゃ、 他機種を操縦することが出来ないわよ」
リュウセイ「わ、わかったよ…」
アヤ「それと、ライ… あなたにはシュッツバルトへ 乗ってもらうことになるわ」
ライ「シュッツバルト…確か、 ゲシュペンストをベースにして 開発された砲撃戦用の試作機ですね」
アヤ「ええ。 それの1号機が再調整を受けて回されて来たの」
アヤ「後で機体を見ておいてちょうだい」
ライ「了解です」
リュウセイ「何だよ、 こいつは講習なしかよ?」
アヤ「ライはね…コロニー統合軍じゃ、 天才パイロットとして有名だったの」
アヤ「その腕を見込まれて、 マオ社のテストパイロットにも選ばれたのよ」
アヤ「それに、彼の家は…」
ライ「…大尉、 それ以上はおっしゃらないで下さい」
アヤ「え…? ご、ごめんなさい…」
リュウセイ「へ~え…。 統合軍にいたってことは、 スペースコロニーの出身か」
リュウセイ「道理で エリート風を吹かせてるってワケだ」
ライ「何だと…?」
アヤ「リュウ、そういう言い方はやめなさい」
リュウセイ「だって、 宇宙に住んでる連中ってのは…」
リュウセイ「俺達みたいに 地球に住んでる人間とは出来が違うんだろ?」
ライ「…少なくともお前のような 単細胞より優秀であることに間違いはないが」
リュウセイ「何だと、てめえ!!」
アヤ「あなた達、いい加減にしなさい!」
ライ「申し訳ありません、大尉」
リュウセイ「何だよ、 自分だけいい子ぶりやがって…」
アヤ(はああ~、先が思いやられるわ)
アヤ「とにかく、 リュウにはPT基本操縦の レクチャーを受けてもらうわ」
アヤ「それが終わり次第、 シミュレーター訓練に入るから」
リュウセイ「しょうがねえな。 そんじゃま、真面目に授業を受けるとしますか」


第3話
訓練

〔戦域:基地周辺〕

(ゲシュペンスト・タイプTT、シュッツバルト、81式PTキャリア出現)
オペレーター「シミュレーター、 セット完了。環境設定、パターンS。 各機とのリンク、正常です」
リュウセイ「すげえな、 このPTシミュレーターは…」
リュウセイ「バーニングPTの グラフィックも凄いけど、 こいつはそれ以上だぜ」
アヤ「映像だけじゃないわ。環境による 機体への影響、Gやダメージとかも しっかりフィードバックされるわよ」
リュウセイ「つまり、 本物とほとんど同じってことだろ?」
アヤ「ええ、そうよ。甘く見ると 文字どおり痛い目に遭うわ。 だから、講習内容を忘れないで」
イングラム「では、 これより状況を開始する。 バトルフィールドに敵機を配置しろ」
オペレーター「了解です」
(バルドング×4出現)
リュウセイ「おっ!  ありゃ、バルドングか」
イングラム「リュウセイ曹長、 訓練を開始する前に 教えておくことがある」
リュウセイ「何だよ、教官?」
イングラムパーソナルトルーパーは 機体間で共有する武器を出撃前に 選択、装備することが出来る」
リュウセイ「機体間で共有する武器?」
イングラム「剣や銃、ライフルなど、 主に手持ち式で互換性の高い武器だ」
リュウセイ「なるほど」
イングラム「だが、 ライが乗っているシュッツバルトの ツインビームカノンのように…」
イングラム「機体固有の武器を 交換・装備することは出来ない」
リュウセイ「つまり、武器によっては 取り外せない物とか、他の機体が 使えない物もあるってわけか」
イングラム「また、装備できる武器の 数も機体の種類によって違う」
イングラム「機体の特性、 作戦の目的、状況を踏まえた上で 効率の良い武器選択を行え」
リュウセイ「わかったぜ」
イングラム「とりあえず、 今のお前の機体には格闘戦用の 武器が装備されていない」
イングラム「必要であれば、 出撃前の武器選択で…」
イングラム「『ビームソード』を 選び、お前の機体に装備させろ」
イングラム「無論、今のままでも、 他の武器を装備しても構わない」
リュウセイ「了解!」

『ビームソード』を入手した。
『M950マシンガン』を入手した。

(出撃準備)
イングラム「各機へ。アヤが クォーターバック、リュウセイが フォワード、ライがバックスだ」
イングラム「フォーメーションを 崩さず、ターゲットを全機撃破しろ」
アヤ「了解です、少佐」
リュウセイ「へっ!  戦車なんざ楽勝だぜ、楽勝!」
アヤ「気をつけて。戦車の装甲は PTより上よ。それに戦車砲の直撃を 受けたらタダじゃすまないわ」
リュウセイ「そんなの当たらなきゃ どうってことねえだろ」
ライ「油断すれば死ぬことになるぞ」
リュウセイ「何言ってんだ。 シミュレーターなんかで死にやしねえよ」
リュウセイ「それに、 ゲームオーバーになったら リセットすりゃいいんだからさ」
ライ「…リセットだと…?」
(リュウセイ機バルドングに近づく)
リュウセイ「へへっ、お先に!」
アヤ「待ちなさい、リュウ!  フォーメーションを乱さないで!」
リュウセイ「どのみち俺が フォワードなんだ! 援護を しっかり頼むぜ、お二人さん!」
(作戦目的表示)

〈敵機全滅〉

リュウセイ「どうだ、教官!  言われたとおりに敵機を 全滅させたぜ!」
イングラム「では、次の段階へ移る。 新たな標的を出せ」
オペレーター「了解です」
(F-28メッサー×3、71式戦車バルドング×3が出現)
リュウセイ「今度は戦闘機か…!」
イングラム「陸戦型のPTにとって 戦闘機は厄介な相手だ。連係行動を 取りつつ、標的を撃破しろ」
リュウセイ「ヘッ、 戦闘機だろうが何だろうが… 速攻で片づけてやるぜ!」

〈敵機全滅〉

リュウセイ「よっしゃ、 これでクリアだぜ!!  次の相手は何だ!?」
イングラム「そこまでだ。 これで訓練を終了する」
イングラム「リュウセイ曹長は PTシミュレーターから降りた後、 俺の所まで来い…」

[シミュレータールーム]

リュウセイ「どうだい、教官?  実戦でも、あれぐらいのことはやって見せるぜ」
イングラム「………」
イングラム「リュウセイ、 お前はもう一度基礎からやり直しだ」
リュウセイ「え? な、何でだよ!?」
イングラム「…その理由は自分で考えろ。 実戦はスタンドプレイが通用するほど甘くない」
リュウセイ「う…!」
イングラム「いいか…」
イングラム「組織の一員として、 歯車に徹する気がなければ、 パーソナルトルーパーから降りろ」
リュウセイ「!」
イングラム「あれは貴重な兵器だ。 誰にでも与えられる物ではない。 …そのことを忘れるな」
(足音・イングラムが立ち去る)
リュウセイ「くそっ…!  そんなことぐらい、わかってらあ」
ガーネット「ねえねえ、 訓練が終わったんなら、そこどいてくんないかな?」
リュウセイ「え?」
ガーネット「次は、あたし達が PTシュミレーター…じゃなかった、 シミュレーターを使うの」
リュウセイ「あ、ああ…すまねえ」
ガーネット「ジャーダ!  シミュレーターが空いたわよ!」
ガーネット「ジャーダ! ジャーダったら!」
ガーネット「ったく、もう!  任務中に音楽を聴くの、やめてって言ってんのに」
ラトゥーニ「………」
ガーネット「え、何?  あんたがジャーダを呼んで来るって?」
ラトゥーニ「………」
ガーネット「ううん、あたしが行くわ。 その間にシミュレーターのセッティング、 やっといてね」
ラトゥーニ「………」
リュウセイ「あのさ…」
ラトゥーニ「!」
(速い足音・ラトゥーニが走り去る)
リュウセイ「あ……行っちゃった。 怖がらせるつもりはなかったのに…」
ジャーダ「…わかった、 わかったから耳を引っ張ンなって、ガーネット」
ガーネット「今度、あたしの話を聞いてなかったら、 あんたのDコンを取り上げるからね!」
ジャーダ「うへっ、それだけは勘弁してくれ。 音楽がなかったら俺、死んじまうよ」
ガーネット「ったく…。 ラトゥーニ、セッティングは?」
ラトゥーニ「………」
ガーネット「もう終わったの? さすがねえ」
ジャーダ「うーし!  じゃ、PT戦の訓練開始といくか!」
ラトゥーニ「………」
リュウセイ(基地にあんな子供がいるなんて……)

『プロペラントタンク』を入手した。
『リペアキット』を入手した。


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