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パーソナルトルーパー リュウセイルート ~ 第2話 ~

新西暦と呼ばれる時代。
人類が宇宙へ本格的に進出してから約2世紀が経過していたが、
人々の生活そのものは21世紀初頭とさほど変わっていなかった。

それは、旧西暦時代に地球へ落下した二つの隕石による被害と
混乱のため、人類の進歩が一時的に停滞したからであった。

そして新西暦179年。
アイドネウス島に第3の隕石『メテオ3』が落下した。

メテオ3の調査を行ったビアン・ゾルダーク博士は、それが
人工物であり、何者かの意思によって地球へ落とされたもので
あると確信した。

何故ならメテオ3は、L5宙域に突如出現した後、地球へ
落下……しかも落下前に減速していたことが判明したからである。
また、メテオ3の内部には他者に閲覧されることを前提とした
状態で、人類にとって未知の物質と技術情報が封入されていた。

それらはエクストラ・オーバー・テクノロジー……「EOT」と
呼称され、地球連邦政府上層部の面々で構成された「EOT特別
審議会」とビアンが責任者を務める「EOTI機関」の厳重な情報
管理の下、さらなる調査が進められた。

そして、何者か……すなわち地球外知的生命体が使用していると
思われる全長10メートル以上の有関節型機動兵器のデータが
発見された時点で、ビアンは彼らに対し強い警戒心を抱いた。

ビアンは、地球外知的生命体がEOTを人類へ提供した目的を
推測し、それが達成されるまでの過程に、侵略行動が組み込まれて
いる可能性が高いと判断した。

また、彼は地球外知的生命体…コードネーム「エアロゲイター」
による侵略の危機を連邦政府や連邦軍に訴えた。事態を重く見た
ノーマン・スレイ少将は、地球圏防衛計画を表明。エアロゲイター
に対抗し得る人型機動兵器「パーソナルトルーパー」の開発が開始
されることになった……。

《秋葉原》

[秋葉原]

クスハ「…リュウセイ君、 そろそろ行こうよ…」
リュウセイ「も、もうちょっとだけ!」
クスハ「そう言って、さっきから 30分ぐらい経ってるんだけど…」
リュウセイ「だってさ… この限定版の超合金バーンブレイド3、 もう手に入らないんだぜ?」
クスハ「…リュウセイ君のお母さん、 待ってると思う…」
リュウセイ「…わかったよ、クスハ」

[秋葉原]

クスハ「リュウセイ君って、 ホントにロボットが好きなのね」
リュウセイ「ああ。何てったって、 ロボット…特にスーパーロボットは 男のロマンだからな」
クスハ「スーパーロボットって、 こないだ新聞に載ってた 軍のパーソナル何とかっていう…」
リュウセイ「違う違う。 パーソナルトルーパーはリアル系」
リュウセイ「スーパー系のロボットってのはな、 見た目のインパクトがドーンとあって…」
リュウセイ「変形とか、 合体とかをバリバリやって、 ものすげえ必殺技も持ってて…」
クスハ「でも、結局はロボットなんでしょ?」
リュウセイ「あ、あのなあ。 …やっぱ、女にゃわかんねえか。 男のロマンってのは」
クスハ「うふふ」
リュウセイ「な、何だよ?」
クスハ「ロボットの話をしてる リュウセイ君って、子供みたい。 それに、すっごく嬉しそう」
リュウセイ「そうかい?  ま、いつかは本物のロボットに乗ってみてえと 思ってるんだ」
クスハ「だから、あのゲーム… 『バーニングPT』をやってるの?」
リュウセイ「ああ。 あれは操作方法とかグラフィックがリアルだし… ランクA以上になると、タダで遊べるからな」
クスハ「太っ腹なゲームなのね…」
リュウセイ「その代わり、 健康診断書とか色んなデータを メーカーへ送らなきゃならないけどな」
クスハ「リュウセイ君のランクは?」
リュウセイ「S2。だから、タダ」
クスハ「そうなんだ…。 実は、よくお金が続くなって思ってたの」
リュウセイ「大会で優勝すると賞金も出るんだ。 だから、バイトの合間にちょこちょことな」
クスハ「ふ~ん…。 じゃ、病院へ行きましょ」
リュウセイ「ああ」

[病室]

ユキコ「いらっしゃい…リュウ、クスハちゃん」
クスハ「こんにちは、ユキコおばさま」
リュウセイ「おふくろ……具合、どう?」
ユキコ「ここのところは気分もいいし…大丈夫よ」
リュウセイ「ちゃんとメシ、食ってる?  食べないと元気出ないぜ」
ユキコ「うふふ…これじゃ、 どっちが母親かわからないわね」
ユキコ「それより、リュウ…。 勉強の方はちゃんとやってる?」
ユキコ「個性重視の入試とは言っても、 基礎学力は必要なんだから…」
リュウセイ「おふくろ、俺さ… 大学へ行くのやめようと思ってるんだ」
ユキコ「え…?」
リュウセイ「親父の貯金、もう残り少ないだろ。 俺、大学行かずに働くよ」
ユキコ「ありがとう、リュウ。 でもね…お母さんは反対よ」
リュウセイ「だけど…」
ユキコ「あなたの人生はこれからなのよ、リュウ」
ユキコ「だから、今を焦らないで。 あなたにしか出来ないことが必ずあるはず…」
ユキコ「自分の人生は自分で決めなさい。 お父さんも生きてれば、きっとそう言うわ」
リュウセイ「…わかったよ、おふくろ」
看護士「ダテさん、検査の時間です」
ユキコ「リュウ、 この後の予定があるんでしょ?  早く行かないと時間に遅れるわよ」
リュウセイ「ああ、わかった。 じゃあ、また来るよ」
クスハ「お大事に…ユキコおばさま」

[海浜幕張]

クスハ「この分だと何とか大会の 開始時間に間に合うね」
リュウセイ「…腕パーツは クロスコンバットタイプに換えて… 武器はナイフにリボルヴァー、と」
クスハ「リュウセイ君、 さっきからDコンで何やってるの?」
リュウセイ「ん?  ああ、大会用の機体データを調整してんだ」
クスハ「相変わらず熱心ね」
リュウセイ「ん… まあ、バーニングPTの全国大会だからね」
リュウセイ「特に、東京地区予選で 優勝したテンザン・ナカジマは 要注意だから…準備は念入りにな」
クスハ「誰なの、その人…?」
リュウセイ「ゲーマー仲間じゃ、 有名な奴さ。会ったことねえけど、 噂じゃ凄いテクを持ってるらしい」
クスハ「ふ~ん…」
リュウセイ「それよりさ、 幕張まで付き合ってもらわなくても よかったんだけど…」
クスハ「ううん、おばさまから リュウセイ君の面倒を見てって頼まれてるから。 …大会、頑張ってね」
リュウセイ「ああ。 もうこれからはゲームばっかやってられねえからな。 最後に優勝して締めくくるよ」


第2話
パーソナルトルーパー

〔戦域:メッセ会場周辺〕

アナウンサー「テンザン選手、 リュウセイ選手を撃破!!」
アナウンサー「全日本バーニングPT 選手権大会の優勝者はテンザン・ ナカジマ選手に決定しました!!」
テンザン「ヘッ、 ざっとこんなもんだっての」
リュウセイ「………」
クスハ「リュウセイ君…」
リュウセイ「……ああ、大丈夫だ。 負けは負け…しょうがねえよ」
クスハ「あれだけ頑張ったのに…」
リュウセイ「でも、準優勝…全国2位だぜ?  いい記念になったよ」
テンザン「…聞いちゃいられねえな、 負け犬の遠吠えなんてのはよ」
リュウセイ「…そういうつもりで 言ったんじゃねえんだけど」
テンザン「そうかい。 俺はな、あまりにも大会のレベルが 低くてガックリきてんだ」
テンザン「最後に出てきた奴も 大したことねえし…」
リュウセイ「………」
テンザン「おまけに、“負けは負け”なんつー サムい負け惜しみを言いやがって… ホントに盛り下がるぜ」
リュウセイ「だから… そんなつもりで言ったんじゃねえ」
テンザン「フン。 まァ、残念だったな。彼女の前で いい所を見せられなくてよ」
リュウセイ「…彼女じゃねえ。 クスハは幼馴染みだ」
テンザン「ホ!  何だかんだ言って、食い下がってくるねぇ。 やっぱ、負けて悔しいんだろ?」
テンザン「構わねえぜ?  後でもう1回戦ってやっても」
リュウセイ「………」
テンザン「ただし、レベルを上げてきな。 今のてめえじゃ、相手にならねえ」
テンザン「さっきのが実戦だったら、 10回以上は死んでるっての」
テンザン「ま、ゲームで良かったと思いな。 …あばよ、負け犬リュウセイ君。 家に帰って、キャンキャン泣きな」
リュウセイ「………」
クスハ「リュウセイ君…」
リュウセイ「気にして…ねえよ。 それに、バーニングPTをやるのは 今日で最後だ」
リュウセイ「もうあいつと会うことはねえ」
オペレーター「サンプル55番から テレキネシスαパルスを検出。 リンク係数、0.22…」
イングラム「あの少年か、アヤ?」
アヤ「はい、少佐。この大会に エントリーした者の中では、 最も適性があると思われます」
イングラム「サンプル55番… リュウセイ・ダテか」
イングラム(…偶然とは言え、 血筋は争えんな)
イングラム「アヤ… 大会終了後、リュウセイ・ダテの 身柄を確保しろ」
アヤ「はい、少佐」
(アラート)
アヤ「どうしたの!?」
オペレーター「入間より入電!  第4警戒ラインにAGX-01の 集団が出現!」
アヤ「何ですって!?」
オペレーター「スクランブルで 上がった百里の飛行隊と交戦中!  この付近に接近しつつあります!」
アヤ「少佐、どうしますか?」
イングラム「サンプル55番の モニターを続けろ。それから、 タイプTTの起動準備を」
アヤ「了解です。 私も出撃準備をしてきます」
オペレーター「AGX-01が急加速!  この区域に侵入してきます!」
アヤ「!」
(メギロート×4、味方機(戦闘機)×3が出現)
リュウセイ「ん?  何だ? 外が騒がしいな…」
連邦軍兵「敵機確認!  これより攻撃を開始する!!」
連邦軍兵「ミサイル発射!」
(メギロートに爆煙)
【デモイベント『ミサイルがを追いかけて当たり、1機が会場の上へ落下』】
リュウセイ「うあああっ!!」
クスハ「きゃああっ!!」
オペレーター「AGX-01が 1機、会場へ落下しました!!」
アヤ「何ですって!?」
イングラム「アヤ、サンプル55番の 適性を試す。トレーラーのカバーを 開け、タイプTTを外に出せ」
アヤ「まさか、少佐…!」
イングラム「そう。そのまさかだ」
アヤ「無理です!  いきなりパーソナルトルーパーで 実戦をやらせるなんて…!」
イングラム「構わん。 そのためのタイプTTだ。 …俺の命令に従え」
アヤ「わ、わかりました」
(ゲシュペンストMk-II・タイプTT出現)
リュウセイ「う、うう…… 何だってんだ、一体…?」
リュウセイ「ク、クスハ… 大丈夫か…?」
クスハ「う、うん…」
リュウセイ「!!」
(メギロートを指す・動作音)
リュウセイ「な…!?  虫型の…ロボット…?」
クスハ「な、何なの、あれ…!?」
リュウセイ「…あ、あいつ… 軍のパーソナルトルーパーや 戦闘機なんかじゃねえ……」
リュウセイ「こっちを見てやがる…!  ヤバい、このままじゃ…!」
(閃光、念動感応)
リュウセイ「な、何だ、今の!?」
(ゲシュペンストMk-II・タイプTTを指す)
リュウセイ「!  あれはパーソナルトルーパー… 量産型のゲシュペンストMk-II…!」
リュウセイ「な、何で、こんな所に?  しかも一機だけ…」
連邦軍兵「妙だな…この区域に パーソナルトルーパーが出撃して いるという報告は聞いていないぞ」
(通信)
連邦軍兵「何だ…?  この空域からの離脱命令?」
連邦軍兵「プレスト1から各機へ!  この空域のバグスはゲシュペンストに任せ、 離脱するぞ!」
(連邦軍が戦域から離脱)
リュウセイ「な、何で 軍の戦闘機が逃げていくんだよ!?  あの虫ロボットはどうすんだ!?」
リュウセイ「このままじゃ、 やられちまうじゃねえか!!」
クスハ「リュ、リュウセイ君…!」
リュウセイ「………」
リュウセイ「いいか、クスハ。 …お前はここから逃げろ…!」
クスハ「え…!?  リュウセイ君は…!?」
リュウセイ「いいから、逃げろ!  俺がその時間を稼いでやる!!」
クスハ「な、何をする気なの…!?  待って、リュウセイ君…!  リュウセイ君!」
リュウセイ「…あいつで 何とか虫ロボの注意を引けば…!」
(足音・リュウセイがゲシュペンストMk-II・タイプTTまで移動)
リュウセイ「ん!?  コックピットハッチが開いてる…。 しかも、中に誰も乗ってねえ」
リュウセイ「!」
リュウセイ「こ、これは…!?  お、同じだ…バーニングPTの コックピットの中と…」
リュウセイ「な、何で 最新兵器のコックピットが ゲームと同じになってんだ!?」
(操作音、会場に落下したメギロートを含む3機がゲシュペンストMk-II・タイプTTを囲む)
リュウセイ「か、囲まれた!?」
(ゲシュペンストMk-II・タイプTTに爆煙)
リュウセイ「うああっ!!」
【デモムービー『タイプTT起動』】
リュウセイ「く、くそっ…やってやる!  操作がバーニングPTと同じなら、 やってやる!!」
リュウセイ「これ以上、 街や人を攻撃されてたまるかっ!!」
リュウセイ「こ、こいつが 姿勢制御用パネル…火器管制はこれ… BMセレクターも同じだ!」
リュウセイ「よ、ようし… 行くぞ、ゲシュペンストMk-II!!」
(作戦目的表示)

〈vs メギロート〉

[リュウセイ]

リュウセイ「き、機体のバランスが…!」
リュウセイ「ち、違う… ゲームとは全然違う!!」
(戦闘)
リュウセイ「ぐ、ぐうっ…!  こんなにGがキツいなんて…!」
リュウセイ「ゲームなんかじゃねえ… こ、これが本物の戦闘って奴か…!」
リュウセイ「だから…!  絶対に負けられねえんだ!!」

〈1EP〉

リュウセイ「こ、このまま 距離を詰めて戦えば、 バーニングPTの要領で…」
アヤ「相手は中距離戦闘タイプの 機動兵器よ! 戦闘モードを ミドルレンジに切りかえて!」
リュウセイ「!?」
アヤ「早く!」
リュウセイ「あんた、誰だ!?」
アヤ「いいから、モードを!  素人のあなたじゃ接近戦なんて無理よ!」
リュウセイ「そんなの、 やってみなきゃわからねえだろうが!」
アヤ「!」
リュウセイ「それより、ごちゃごちゃ 言ってる暇があったら手ェ貸すか、 応援を呼んでくれってんだ!!」
リュウセイ「あんたら軍人だろ!?  街や人を守るのが仕事だろ!?  違うのかよ!!」
アヤ「そ、そんなこと… 言われなくてもわかってるわよ!」

状況選択

7ターン以内でマップをクリアした
7ターン以上かかった


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