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パーソナルトルーパー リュウセイルート ~ 第2話 ~

〈7EP〉

オペレーター「イングラム少佐、 こちらへPT部隊が急行中です」
イングラム「対応が早いな」
(量産型ゲシュペンストMk-IIが3機出現)
カイ「ゴースト1より各機へ!  バグスを撃破するぞ!」
リュウセイ「あ、ありがてえ!  味方がきてくれたのかよ!」
カイ「!  SRX計画預かりのタイプTTが 何故ここにいる?」
カイ「パイロットは…未登録だと?  まさか、民間人が乗っているわけでは あるまいな…!?」
リュウセイ「お、俺は…!」
カイ「何者だ、貴様?」
イングラム「…カイ少佐、SRX計画担当の イングラム・プリスケン少佐です」
カイ「ここで何をしている?  タイプTTのパイロットは何者だ?」
イングラム「お答え出来ません。 SRX計画の機密事項に抵触しますので」
カイ「相変わらずの秘密主義か。 だが、俺の任務に口出しはさせんぞ」
イングラム「…了解です」
リュウセイ「あのゲシュペンスト… 俺を助けてくれるんだよな…!?」

〈vs メギロート〉

[カイ]

カイ「エアロゲイターのバグスが こんな市街地に現れるとはな!」
カイ「だが、俺の目の黒いうちは 日本で好き勝手はやらせんぞ!!」

〈敵機全滅〉

オペレーター「バグスの 全機撃墜を確認!」
イングラム「サンプル55番は?」
オペレーター「脳波と心拍数に乱れが 見られますが、許容範囲です」
イングラム「…初めての戦闘で この数値か。なかなかのものだな」
イングラム「特務隊に この区域を全面封鎖させろ。 それと…報道管制は厳重にな」
オペレーター「はっ」
イングラム「俺はタイプTTと サンプル55番の身柄を確保する。 アヤ、後は任せるぞ」
アヤ「はい、少佐」

[海浜幕張]

リュウセイ「クスハ…! どこに行ったんだ!?」
イングラム「…お前がリュウセイ・ダテだな?」
リュウセイ「! あ、あんたは…?」
イングラム「俺の名はイングラム・プリスケン。 見ての通り、軍人だ」
リュウセイ「見ての通りって……。 そんなことより、クスハを捜さなきゃ…!」
イングラム「クスハ…。 お前と一緒にいた少女の名前か?」
リュウセイ「あ、あんた… あいつがどこにいるのか知ってるのか!?」
イングラム「ああ、彼女は救急隊に救助された。 ケガを負ってるが、大事には至っていない。 …先程、病院へ移送された」
リュウセイ「そ、そうか……。 じゃあ、その病院を教えてくれ」
イングラム「それは出来ん」
イングラム「俺と一緒に来い、リュウセイ・ダテ……」
リュウセイ「………」

《地球連邦軍極東支部伊豆基地》

[伊豆基地内]

リュウセイ「…いつまで 俺をこんな所に閉じこめておくつもりだ?」
イングラム「それはお前の返事次第で決まる」
リュウセイ「………」
イングラム「お前が乗ったタイプTTは、 軍の重要機密物だ。民間人が無断で使用することは 許されない」
リュウセイ「あ、あの時は ああするしかなかったんだ!」
イングラム「だが、お前の罪は重い。 拘束や監禁程度では済まんぞ」
リュウセイ「えっ…!?」
イングラム「しかし、処分を免れる方法はある」
リュウセイ「ど、どうしろってんだ?」
イングラム「俺の部下になれ。 そうすれば、お前の罪は問わない」
リュウセイ「部下…!?  それって、軍に入れってことか!?」
イングラム「ああ」
リュウセイ「な、何でだよ!?」
イングラム「………」
イングラム「…幕張でお前が見た虫型のマシン… あれは地球の兵器ではない」
イングラム「我々が“エアロゲイター”と呼ぶ 地球外知的生命体の所有物だ」
リュウセイ「! そ、それって、まさか…」
イングラム「端的に言えば、異星人の機動兵器だ」
リュウセイ「い、異星人…!?」
イングラム「そう。 地球圏は今、彼らの脅威にさらされている」
イングラム「もし、エアロゲイターが 本格的な侵略行動を開始すれば、現状の連邦軍は それに太刀打ちすることが出来ない」
リュウセイ(…ま、まるでロボットアニメの プレストーリーだ…)
リュウセイ「…あ、もしかして… パーソナルトルーパーが開発されたのは…」
イングラム「フッ…勘がいいな。その通りだ」
リュウセイ「………」
イングラム「来るべきエアロゲイターとの戦いで、 人類が生き延びられる保証はない。 彼らの軍事技術力は我々より数段上だからな」
リュウセイ「……!」
イングラム「だが…今、俺のプロジェクトでは エアロゲイターと互角以上に戦うための新型機を 開発している」
リュウセイ「互角以上…?」
イングラム「ああ。 そこで、お前をその機体のテストパイロットとして スカウトしたい」
リュウセイ「俺を…?」
イングラム「初めての実戦で、 敵を撃墜した才能を俺は高く評価している」
リュウセイ「でも、俺は…」
イングラム「テストパイロットになれば、 お前の素質を十分に生かせる。 …俺の下へ来い、リュウセイ・ダテ」
リュウセイ「………」
イングラム「エアロゲイターが侵略を開始すれば、 お前の肉親や友人達は死の危険にさらされる」
イングラム「お前はそれを黙って見過ごす気か?」
リュウセイ「………」
イングラム「俺の命令に従わなければ、 お前は拘束され続けることになる…」
リュウセイ「…わかった。 あんたの言うことに従うぜ」
イングラム「それでいい」
リュウセイ「ただし…一つ条件がある」
イングラム「…言ってみろ」

[伊豆基地内]

アヤ「では、彼はSRX計画の テストパイロットになることを承諾したんですね?」
イングラム「ああ。 母親の入院費を軍が全額もつという条件でな」
アヤ「そうですか…」
イングラム(…結果的には都合が良い。 いずれにせよ、彼女の監視は必要だったからな)
イングラム「リュウセイ・ダテは お前の下に配属し…当面はテストパイロットの 訓練を受けさせる。いいな?」
アヤ「わかりました」

[病院]

「…面会は10分だけだ。わかっているな?」
リュウセイ「ああ」

[病室]

ユキコ「そう…クスハちゃんが…」
リュウセイ「あ、ああ。 まだ見舞いには行ってねえんだが… 大事をとってしばらく入院するらしい」
ユキコ「でも、幕張で爆発事故なんて…怖いわね」
リュウセイ「………」
ユキコ「…まだ言いたいことがあるんでしょう?」
リュウセイ「その…実は俺…しばらくの間、 ここへ来られなくなりそうなんだ」
ユキコ「………」
リュウセイ「どうしても やらなきゃならねえことが出来てさ」
ユキコ「そう…寂しくなるわね」
リュウセイ「すまねえ」
ユキコ「いいのよ。 あなたは今しか出来ないことを 一所懸命やりなさい」
ユキコ「こないだの検査結果が良かったから… しばらくすれば、また家に戻れると思うわ」
リュウセイ「そうか…。 入院費のことは、もう心配いらねえから。 バイトで…まとまった金が入るんだ」
ユキコ「………」
リュウセイ「じゃあ…俺、行くよ」
ユキコ「ええ」
リュウセイ「早く元気になってくれよな、おふくろ」
ユキコ「あなたも…元気でね」
リュウセイ「…ああ」

《地球防衛軍極東支部伊豆基地》

[伊豆基地 正門前]

「…しばらくここで待て。 すぐに迎えが来る」
リュウセイ「ああ」
(足音)
ライ「すまないが、君…。 そこを通してくれないか」
リュウセイ「え?  あ、ああ…わりぃな」
一般兵「失礼ですが、IDと 入場許可証のご提示をお願いします」
ライ「………」
一般兵「ライディース・F・ブランシュタイン 少尉ですね?」
ライ「ああ。 本日付けで月のマオ・インダストリーより この基地へ出向して来た」
一般兵「確認しました。 どうぞお入りください、少尉」
リュウセイ「………」
ライ「………」
(足音・ライが立ち去る)
リュウセイ「マオ・インダストリー… 確か、パーソナルトルーパーのメーカーだったな」
リュウセイ「それにしても、 左手にだけ手袋をつけてるなんて…変な奴」
アヤ「あなたが リュウセイ・ダテ君ね?」
リュウセイ「え?」
アヤ「アヤ・コバヤシ大尉です。 あなたを迎えに来ました」
リュウセイ「!  そ、その声…もしかして、あの時の…!」
アヤ「そう。 あなたが乗っていたゲシュペンストへ 通信を入れたのは私よ」
リュウセイ「やっぱり…!」
アヤ「あの時はごめんなさい…。 あなたのことを怒鳴ったりして…」
リュウセイ「いや、いいって。 それにしても上官がこんな美人だなんて…」
アヤ「あら、お世辞が上手ね」
リュウセイ「いや、それほどでも。 ……あっ」
アヤ「フフッ…上官と言っても、 私も軍に入ったばかりなの。 だから、大尉じゃなくアヤでいいわ」
リュウセイ(え、えらくアバウトだな… そんなのでいいのか?)
アヤ「その代わり、 私もあなたのことをリュウって 呼ばせてもらっていいかしら?」
リュウセイ「あ、ああ…別にいいけど。 んじゃ、これからもよろしく、 大尉…じゃなくて、アヤ」
アヤ「うふふ…じゃ、握手しましょ」
リュウセイ「は?」
アヤ「だから、お近づきの握手。 これから私達はチームメイトになるんだから。 ね?」
リュウセイ「う、うん…」
(白く光り、念動感応)
アヤ(! こ、これは…!)
リュウセイ「どうしたんだ?」
アヤ「い、いえ…優しい手だな、とか思ってね」
リュウセイ「ふ~ん… そんなこと言われたの、初めてだぜ」
アヤ「…気にしないで。 さあ、基地の中へ案内するわ」

[伊豆基地内]

イングラム「お前の経歴は 調べさせてもらった。名門の軍人一族 ブランシュタイン家の次男…」
ライ「………」
イングラム「父親は名将と名高い コロニー統合軍の総司令官、 マイヤー・V・ブランシュタイン…」
イングラム「そして、 兄はPT操縦技術の構築に貢献した 特殊戦技教導隊の出身であり…」
インクラム「現在は コロニー統合軍のトップエース、 エルザム・V・ブランシュタイン…」
ライ「お言葉ですが、 自分はブランシュタイン家やコロニー統合軍と 縁を切った人間です」
イングラム「そうか」
ライ「イングラム少佐、 一つだけ質問があります」
イングラム「何だ?」
ライ「何故、自分をここへお呼びになったのです?  少佐もあの事故のことはご存じのはず…」
ライ「そして、自分の左手のことも…」
イングラム「お前の素質が 俺の計画に必要だから呼んだまでだ」
ライ「………」
イングラム「…他に質問は?」
ライ「いえ、ありません。 では、失礼します」

[伊豆基地内]

(応接室)
イングラム「…………」
イングラム「…これで 最低限のサンプルはそろったか」
イングラム「全ては、これからだ…」


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