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オペレーション・トリオンフ パリへ向かう ~ 第25話 ~

《地球連邦軍南欧方面軍 アビアノ基地》

[ハガネ ブリーフィング・ルーム]

ギリアム「先程、レフィーナ支隊から報告があった。 向こうもラマリスを引き連れた ダークブレイン残党と遭遇したそうだ」
イルム「……クリスタルドラグーンってことはないか。 スカルナイトとデブデダビデ、どっちなんです?」
ギリアム「まず、ヒリュウ改が補給を行っていたヒンダン基地に 前者が、その後でカラチに後者が現れた」
ヴィレッタ「彼らの目的は?」
ギリアム「スカルナイトはレフィーナ支隊の足止めを 図ったようだが、結果は失敗……」
ギリアム「その後、ヒリュウ改がカラチに赴いた時には ラマリス・カーナが出現し、デブデダビデによって 捕獲されたそうだ」
アヤ「……!」
イルム「連中の本命はラマリス・カーナだったのか」
カイ「ヒンダンでカーナ・タイプは現れたのか?」
ギリアム「いえ。あの地がアビアノと同じく、 人口密集地でないからだと思われます」
ギリアム「そして、一連の事件から いくつかの推論が導き出されます」
カイ「聞かせてくれ」
ギリアム「まず、彼らはラマリスを捕獲し、 ある程度の制御が出来るものの、カーナ・タイプの 出現条件を把握していなかったと思われます」
ギリアム「ただ、これまでの出来事から鋼龍戦隊に 何らかの要因があると睨んでおり、スカルナイトと クリスタルドラグーンが検証を行ったのでしょう」
アヤ「それで私達にラマリスを ぶつけてみたというわけですか」
イルム「だが、実験は失敗だった」
ギリアム「とは言え、カラチでの戦闘で目星は付いたはず。 レフィーナ支隊はデブデダビデの撃退に成功したが、 引き続きカーナ・タイプの捕獲を目論むのなら……」
カイ「連中がパリに現れるかも知れんということか」
ギリアム「ええ」
アヤアリアードがハガネに積まれている以上、 ガディソードの襲撃を受ける可能性は 高いと思っていましたけど……」
ヴィレッタ「レフィーナ支隊が フューリーの目を引き付けてくれているだけ ましだと考えるしかないわね」

[ハガネ 艦内個室]

フェアリ「そう、ジークとサリーがこの艦に……」
アケミ「サイカ少尉、 あの2人はフェアリさんと同じ扱いになるんですよね」
サイカ「ええ、捕虜というわけではないわ」
フェアリ(つまり、彼らも私やアリアードと同じく、 ガディソード側の目を引き付けるための 囮にするということ……)
フェアリ(地球政府はそれで時間を稼ぐつもりなのか、 和平交渉を再開する気がないのか……)
フェアリ(どちによせよ、 ヘルルーガ達によって隠された真相を知るには、 この艦に乗っていた方が好都合ね)
フェアリ鋼龍戦隊は、いずれラブルパイラへ 行くことになるかも知れないから……)
アキミ「……なあ、フェアリさん」
フェアリ「何かしら?」
アキミ「サリーとジークって、どういう関係なんだ?」
フェアリ「え?」
アケミ「アキミ、もしかして……」
アキミ「いや、その、ちょっと気になってさ。 サリーとジークって、本当の兄妹なのかなと思って」
アケミ「ふ~ん……」
フェアリ「あの2人は幼馴染みよ。私達姉弟ともね。 みんな、アネクスの同じ街に住んでいたの」
フェアリ「そして、軍に入ったジークとフィーオの後を追って、 サリーも軍人になったの。その後、私達4人が ラブルパイラで再会したのは偶然だったけど……」
アキミ「……そうなのか」
フェアリ「シークもサリーもいい子よ。 だから、仲良くしてあげてね」
フェアリ「それが、ガディソードと地球の関係を 改善させるきっかけになるかも知れないから……」
アキミ「ああ。フェアリさんもだけど、 ガディソード人は異星人って感じがしない。 だから、戦争を回避する方法はあると思うんだ」
アキミ「俺にどこまでやれるかわからないけど、 フェアリさん達の力になれれば……」
アケミ「私も同感よ」
フェアリ「ありがとう、2人共」
アケミ「……そろそろブリーフィングの時間ね。 行きましょう、アキミ」
アキミ「ああ、まずは地球のゴタゴタを何とかしなきゃな」

[ハガネ ブリーフィング・ルーム]

アラド「えっ、トリュフ?」
ゼオラ「トリオンフよ、トリオンフ」
アクア「フランス語で、凱旋という意味よ」
アラド「凱旋って……」
シャイン「戦争に勝って、帰ることでございますわ」
リオ「パリを占拠しているラマリスに勝利して、 避難していた人達が帰ってこられるようにするという 意味なんでしょうね」
アヤ「本当に一刻も早く元のパリを取り戻したいわ。 ルーブル美術館やオルセー美術館が 無事だといいんだけど」
アクア「お好きなんですか?」
アヤ「ええ、美術館巡りが趣味なの」
アクア「じゃあ、この戦いが終わって休暇が取れたら、 一緒に行きません? オルセーの近くなら、 美味しい店も知ってますし」
アヤ「パリのこと、随分詳しそうね」
アクア「ええ。昔、父の仕事の都合で住んでいたことがあって。 シャンゼリゼ通りやシャルル・ド・ゴール広場…… 花の都にはたくさんの思い出があります」
ハーケン「フラワー・シティか。エンドレス・フロンティアにも とっておきの花の都があるんだけどな」
(扉が開く)
マイルズ「パイロット総員、揃っているな?」
アヤ「はい」

マイルズ「では、『オペレーション・トリオンフ』の ブリーフィングを行う。カイ少佐、概要説明を」
カイ「はっ。 本作戦の目的は、パリ全域を占拠するラマリスを 火力集中によって殲滅することである」
カイ「まず、ファースト・フェイズでは パリ中心部に徹底した包囲網を構築する」
カイ「セカンド・フェイズでは各機動部隊が攻撃を行い、 ラマリス群を1カ所に集中させ……」
カイ「ファイナル・フェイズで我々鋼龍戦隊が彼らを殲滅。 パリを浄化する。その中核となるのは、 SRXチームとPTXチームだが……」
カイ「セカンド・フェイズでラマリスの誘導が遅れた場合、 両チームのT-LINKシステム搭載機で 陽動をかけてもらうこともあり得る」
カイ「なお、ファイナル・フェイズの戦域は シャルル・ド・ゴール広場……凱旋門の前だ」
カイ「また、ラマリス・カーナが出現した場合、 それを狙ってダークブレインの残党が戦域内に 侵入してくる可能性がある。留意してくれ」
マイルズ「連邦首都を奪還する本作戦には、 地球連邦軍の威信が懸かっている。 絶対に失敗は許されない。総員、奮戦せよ」
(ざわめき)

リュウセイ「……ラマリスを追い込んで一網打尽にするのか。 SRXチームの本領発揮だな」
アヤ「勢い余って、凱旋門を壊したりしないでね」
リュウセイ「わかってるよ」
アクア(万が一やっちゃったら、歴史に名前が残るわね。 私も気をつけなきゃ)
アキミ「……セイバーブースターがあったら、 狭い街中を動かずに済むんだけどな」
アケミ「無い物ねだりをしてもしょうがないでしょ」
アキミ「でもさ、他の機体はだいたい空を飛べるんだぜ」
トウマ「陸戦型の機体にしか出来ないことだってあるさ。 それぞれに与えられた役割を果たそう」
アケミ「トウマさんの言う通りよ。 鋼龍戦隊の戦力は半分になってるんだから、 いつも以上に頑張らなきゃ」
アキミ「そうか……そうだよな」
リュウセイ「今回、俺達SRXチームは やらなきゃならねえことが多いからな。 フォローを頼むぜ、アキミ」
アキミ「はい、わかりました」

〔戦域:パリ市街〕

(西側にラマリス、東側に連邦軍機がいて、南中央あたりにいる機体が2機爆発)
連邦軍兵「オ、オラス! リュック!  く、くそぉぉぉっ!!」
連邦軍兵「怯むな! ラマリスを中心地へ押し込め!!」
(連邦軍機とラマリスの境界あたりにラマリスが複数出現)
連邦軍兵「ま、また出やがった!」
オペレーター「戦域内に新たなラマリス出現! 数は6!」
連邦軍艦長「第7波出現から何分経った!?」
オペレーター「およそ10分!  サイクルがさらに短くなっています!」
連邦軍艦長「奴らめ、これが決戦だということを 理解しているのか……!?」
連邦軍兵「アントン! 狙われているぞ!!」
連邦軍兵「! しまっ……」
(南東側のラマリスが数機爆発する)
連邦軍兵「た、助かった!」
(北東端にSRXとART-ウィングが出現)
リュウセイ「外周部であれだけの数がいるのかよ」
マイ「思っていたより多い……」
オペレーター「来援は鋼龍戦隊所属の SRXとART-ウィング!」
連邦軍艦長「あれが極東の虎の子か……!」
アヤ「リュウ、マイ、ラマリスを引き寄せるわよ」
マイ「わかった」
ライ「リュウセイ、操縦はこちらで預かる」
リュウセイ「ああ、4番バーニアの吹きがちょい悪いからな。 ユー・ハブ・コントロール」
ライ「了解した。アイ・ハブ・コントロール」
アヤ「マイ、コネクター1番から10番までを接続。 T-LINKフルコンタクト」
マイ「1番から10番。フルコンタクト」
リュウセイ(念動集中…… さあ、ついて来やがれ、ラマリス共……!)
(SRXとART-ウイングに念動共感。ラマリス群が全体的に少し北へ移動)
オペレーター「ラマリス群、移動開始!  SRXとART-ウィングを追跡!」
連邦軍艦長「連中がラマリスを引き寄せるという話は 眉唾物だったが……あれほど顕著に反応するとは」
オペレーター「作戦司令部から通達! 200秒遅れで ファイナル・フェイズへ移行!」
連邦軍艦長「各員へ告げる!  作戦を成功へ導くため、鋼龍戦隊を援護する!  1体でも多くラマリスを撃破せよ!」

[ハガネ ブリッジ]

アヅキ「陽動部隊、全機帰艦!」
テツヤ「最優先で弾薬の補給を!」
ギント「外周部のラマリス群の動きは?」
エイタ「約80パーセントが本艦を目指し、移動中!」
マイルズ(陽動は成功と言っていいだろうな)
アヅキ「ファイナル・フェイズ発動まで、あと120秒!」
マイルズ「いよいよだな。 艦長、ギャスパル元帥閣下が見ておられるのだ。 失敗は許されんぞ」
ギント「誰の視線に晒されようと、連邦首都たるパリを ラマリスの蹂躙に任せてはおけません」
マイルズ「その通りだが、より興起せよと言っているのだ」
ギント「はっ」
テツヤ「艦長、突入コースの最終確認が終了しました」
ギント「よし……エネルギー・フィールドを 最大出力で全球展開。両舷前進第三戦速。 シャルル・ド・ゴール広場上空へ突撃せよ」


第25話
オペレーション・トリオンフ

〔戦域:シャルル・ド・ゴール広場〕

(南端にハガネが出現)
テツヤ「艦長、本艦はシャルル・ド・ゴール広場上空へ 到達しました」
ギント「現在高度でTD滞空。 エネルギー・フィールド、下半球展開。 上部各砲、攻撃用意。機動部隊各機を出撃させろ」
(出撃準備)
アクア「ああっ、凱旋門やシャンゼリゼ通りが……!」
ハーケン「どこかで見たことがある通りがボロボロだな。 すっかりゴースト・タウンか」
(ハガネにアラート)
マイルズ「何だ!?」
エイタ「前方のラマリス群が融合を開始!」
(戦域内のラマリス群が融合し、多数のラマリス・カーナが出現)
リオ「もうカーナ・タイプになった!」
アイビス「いつもより早いよ!」
ラーダ「それに、あの数…… ジャカルタの時より、反応が強くなっているようね」
(ハガネにアラート)
エイタ「外周部のラマリス群が現戦域内に侵入!」
(北西、北東側にラマリス群が出現)
イング「陽動をかけた時より、 ラマリスの数が減っている……」
リョウト「外周部にいた友軍部隊のおかげだね」
アキミ「俺達だけで戦ってるんじゃない…… だから、ここで負けられない!」
リュウセイ「その意気だぜ、アキミ」
スレイ「カーナ・タイプが出たとなると、 ダークブレインの残党が乱入してくる 可能性が高まったな」
ヒューゴ「奴らが現れる前に ラマリスを片付けられるかどうか、 時間との勝負だな」
カイ「エレーブ1より各機!  ラマリスを殲滅し、パリを解放するぞ!」
(作戦目的表示)

〈ラマリスを10機以上撃墜 or ラマリス・カーナを撃墜 or 3EP〉

(ハガネにアラート)
エイタ「上空に空間歪曲現象が発生!  デブデダビデの光輪の前兆と酷似!」
テツヤ「やはり、来たか!」
(北端に光輪が発生し、デブデダビデが出現)
デブデダビデ「ぶふふぅ、これは大漁になりそうだぁ。 いいぞ、いいぞぉ」
ハーケン「やれやれ、またビッグ・デブに出くわすとはな」
アシェン「賞金首だったら、やる気も出るもんなのですが、 タダ働きで相手がアレではどうしようもないっス」
(北端中央のラマリス・カーナにデブデダビデが隣接)
デブデダビデ「サラヨコーセ、メシヲクーダ、 デブデダビデブー!」
(デブデダビデが隣接しているラマリス・カーナの頭上に光輪が発生し、ラマリス・カーナが吸い込まれる)
デブデダビデ「んん~? またかぁ~? 何故だぁ~!」
ギリアム「カラチ戦と同じく、 1体ずつしか転送できないようだな」
デブデダビデ「ぐぐぅ、面倒だぁ~!」
アシェン「こちらは手間が省けまくるナリ。 持っていくがいい、ドロボーめ」
ラミア「それは駄目でござります、姉様」
カイ「エレーブ1より各機! ラマリスを排除しつつ、 デブデダビデを阻止しろ!」
(作戦目的表示)

出撃しているのは
ソウルセイバーFF ソウルセイバーGG


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