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鋼龍戦隊、西へ ~ 第13話 ~

(ゴライクンル艦 ブリッジ)

???(ゴモウドッカ)「……知ってるかい?  また地球に面白そうなモノが現れたんだ」
キナハ「ほう、どのような?」
???(ゴモウドッカ)「生物兵器っぽい感じでね、 なかなかの増殖力と再生力を持ってる」
???(ゴモウドッカ)「それがビジネスになりそうかどうか、 地球圏へ行って、調べてきてくれ。 ああ、行き先は指定するから」
キナハ「どこなのです?」
???(ゴモウドッカ)鋼龍戦隊のお膝元、ニホンだよ」
キナハ「……!」
イラドーヤ「キナハちゃんは因縁あるわよねぇ。 こないだも転移航路でうっかり鉢合わせしちゃったし」
キナハ「……あの件については、重ねてお詫び致します」
???(ゴモウドッカ)「おかげで僕らの関係が鋼龍戦隊にバレないよう、 イラドーヤが一芝居打つ羽目になったし…… 僕も詫びを入れなきゃならなかった」
キナハ(まだ責められなければならないのですか……)
???(ゴモウドッカ)「おや、不服かい?」
キナハ「い、いえ、そのようなことは……」
イラドーヤ「だよねぇ。 本来なら終身刑のキナハちゃんを救ってくれたのは、 ゴモウドッカ様だもんねぇ」
キナハ「……重々承知しております」
ゴモウドッカ「じゃ、次の仕事に取り掛かってくれ。 確か、ニホンの近くに先遣がいたろう?  合流して、催促してやるといい」
ゴモウドッカ「僕が早くもう1基の『ジーベ・ドライブ』を 見たがってるってね」
キナハ「承知致しました、ゴモウドッカ様」

《地球連邦軍極東方面軍 伊豆基地》

[ハガネ 戦隊司令公室]

ダニエル「待たせたな、マイルズ准将」
マイルズ「いえ……参謀本部の方も深刻な情況なのですか?」
ダニエル「まもなく配信されるハロルド・メリンジャー大統領の 非常事態宣言でも触れられることだが……」
ダニエル「パリの封鎖に伴い、我々は司令部を放棄した」
マイルズ「そ、それほどまでにアンノウンの侵攻が 激しかったのですか……!?」
ダニエル「正確には、際限ない再出現に対処しかねたのだ。 花の都は、文字通りゴースト・タウンになり果てた」
ダニエル「現在、我々は臨時司令部へ移行し、パリを含む各都市の ラマリス殲滅作戦を立てている最中だ」
マイルズ「ラマリス……アンノウンのコードネームですか?」
ダニエル「そうだ。本日より彼らをそう呼称する」
マイルズ「了解です」
ダニエル「もし、鋼龍戦隊のみがラマリスを完全に消滅できると 実証された場合、今後の作戦で重要な役割を 果たしてもらうことになるだろう」
マイルズ「はっ、望む所であります」
ダニエル「なお、メキボス・ボルクェーデ特使から 申し入れがあり……」
ダニエル「ハガネでの運用を条件として、 空間転移装置がもう1基、ゾヴォークから 提供されることになった」
マイルズ「それは大変ありがたい話です……!」
ダニエル「空間転移装置は近日中に伊豆へ届けられる予定だ。 それまでの間、鋼龍戦隊は極東方面軍の指揮下に入り、 レイカー少将から提案された作戦に参加してくれ」
マイルズ「では、ヒリュウ改の空間転移装置の メンテナンスが終わり次第、大阪へ向かいます」
ダニエル「それでは遅い。 速やかに準備を整え、ハガネと共に出撃せよ。 現在の全戦力を以て、ラマリスを殲滅するのだ」
マイルズ「全戦力……それにはクロガネやリ・テクの機動兵器も 含まれているのですか?」
ダニエル「無論だ」
マイルズ「使える駒は、どのような素性であっても使うと?」
ダニエル「それが役立つ内はな。ギャスパル元帥閣下のご意向だ」
マイルズ「……はっ」
ダニエル「最後にもう一つ、指令がある……」

[ハガネ 格納庫]

デスピニス「ラーダさん、エクサランス・レスキューの 積み込みが終わりました」
ラーダ「ご苦労様。これで外部の機体は、全て搭載完了ね。 カイ少佐には私から報告しておくわ」
デスピニス「お願いします」
ラーダ「あなた達の艦内個室の割り当てだけど、 封印戦争の時と同じにしておいたわ。 フィオナ達に伝えてちょうだいね」
デスピニス「わかりました」
(足音)
アケミ「あのう、すみません」
ラーダ「何かしら?」
アケミ「ジンプウさんを見かけませんでしたか?」
ラーダ「いえ、この辺りにはいないようね」
アケミ「そうですか。どこへ行ったんだろ……」

[ハガネ 戦隊司令公室]

ジンプウ「……やれやれ、居心地が悪いな」
アヤ「この場に呼ばれた理由を聞いていないんですか?」
ジンプウ「ああ、まあな」
ジンプウ(艦長や隊長が勢揃いしている所に 俺が呼び出される理由…… ひょっとして、そいつぁ……)
(扉が開く)
マイルズ「……全員揃っているか」
レフィーナはい
マイルズ「では、始めよう。諸君らも既に知っての通り、 世界各地の大都市に例のアンノウン…… コードネーム、ラマリスが出現した」
マイルズ「彼らの出自はいまだ不明…… 各都市に鎮座し、増殖して各方面軍の機動部隊と 一進一退の戦闘を繰り広げている」
マイルズ「我々にもラマリス殲滅任務が与えられており、 それを確実に成し遂げるため、戦力が増強された」
マイルズ「だが、その中の何機かは 別の事情によって配備が決定されている」
マイルズ「まずは、グランティードとベルゼルート。 これらには、ソーンを擁する敵勢力の狙いを 我が戦隊に引きつけるという役目が与えられる」
イルム(つまり、囮か……)
マイルズ「次に……これは機密事項であり、 増強戦力ではないのだが……」
マイルズ「先日、モガミ重工の海上プラント近くへ落下し、 回収されたガディソードの物と思われる有翼飛行体、 コードネーム『ドリフト・ウィング』と……」
マイルズ「その搭乗者である『眠り姫』が 秘密裏にこのハガネへ運び込まれている」
ジンプウ「……!」
カチーナ「それって、つまり…… ガディソード人がこのハガネにいるってことか」
ジンプウ「そのガディソードってのは、いったい……」
マイルズ「端的に言えば、新たな異星人だ。 彼らはラブルパイラという巨大な宇宙要塞の 転移失敗により、母星から太陽系内に跳ばされた」
ジンプウ(眠り姫が異星人だっていう 俺と社長の予測が当たったか……)
カイ「裏は取れているのですか?」
マイルズ「ああ。ラブルパイラへ赴いた際、 ガディソード側からフェアリ・クリビアという 脱走者の捜索依頼があった」
マイルズ「その際、提供されたデータが眠り姫と一致したのだ」
ヴィレッタ「フェアリ・クリビアがラブルパイラを脱走し、 地球へ来た理由は?」
マイルズ「ガディソード側は把握していない。 そして、それは我々も同じだ。何故ならば 彼女は記憶の大半を失っているからな」
マイルズ「だが、手掛かりがないというわけではない。 ドリフト・ウィングは何らかの実験機である 可能性が高いのだが……」
マイルズ「ガディソード側から あれに関する情報は一切提供されなかったのだ」
カイ「何か裏がありそうですな」
マイルズ「統合参謀本部もそう判断している。ガディソードは 我々にドリフト・ウィングとフェアリ・クリビアの 捜索と引き渡しを依頼しておきながら……」
マイルズ「一方では実力行使によって、 それらの奪還を目論んだ可能性があるからな」
ジンプウ「しかし、ウチの海上プラントを襲った連中は ゾヴォークの機体を使ってたんですぜ?」
マイルズ「そこからは、ガディソードと ゾヴォークの戦争商人であるゴライクンルが 裏で結託しているという推論が導き出される」
カチーナ「じゃあ、あたしらがラブルパイラへ行った時、 襲ってきた連中は……」
イルム「ゴライクンルとガディソードの関係を 悟られないようにするため、一芝居打ったってわけか」
マイルズ「おそらくな」
ジンプウ「なら、眠り姫はどうなるんです?」
マイルズ「フェアリ・クリビアの身柄引き渡し要求には応じない。 可能な限り彼女の記憶を取り戻すよう試みて、 情報を引き出す」
マイルズ「そして、その鍵となるのが アキミ・アカツキとアケミ・アカツキなのだ」
ジンプウ「! もしかして、あの件と関係が……」
カチーナ「何だよ、そりゃ?」
ギリアム「実は先日、基地内でアカツキ姉弟と フェアリ・クリビアが偶然接触したのだ」
ギリアム「現在、彼女はモガミ重工の 関係者ということになっているため、 あの2人は素性に気づいていないが……」
ギリアム「アキミを見たフェアリが 記憶を取り戻す素振りを見せた」
アヤ「具体的には、どのような?」
ギリアム「アキミを見て、反射的に自分の知人の名を口走った。 もっとも、彼女はそれが何者なのか、 まだ思い出せていないが」
マイルズ「自白剤を用い、フェアリ・クリビアから強引に情報を 聞き出すという手もあるのだが、地球連邦政府と ガディソードは友好条約締結に向けて交渉中だ」
マイルズ「フェアリの捜索は先方の代表者から 直々に受けた依頼であるため、後々に問題が 発生する可能性を減らすためにも……」
マイルズ「我が戦隊において 穏便に記憶回復を試みることにする」
ジンプウ「そうは言っても、 これからラマリスと戦おうっていう艦に 眠り姫を乗せるのは、危険でしょうよ」
マイルズ「もっともな意見だ。 しかし、統合参謀本部は強大な戦力と高い機動力を 保有する我が戦隊こそが……」
マイルズ「フェアリ・クリビアとドリフト・ウィングの 安全を確保する場所に相応しいと判断した」
イルム「……むしろ、囮として最適ってことだろ」
マイルズ「何か言ったか?」
イルム「いえ、何でもありません」
ジンプウ「それで、アキミとアケミに 何をやらせようって言うんですかい?」
マイルズ「その件に関しては、後で伝達する。 なお、ドリフト・ウィングの存在と フェアリ・クリビアの素性は重要機密とする」
マイルズ「テツヤ・オノデラ少佐、ショーン・ウェブリー少佐、 エリック・ワン博士を除き、口外無用だ」
キョウスケ「……了解」
マイルズ「では、積載作業が完了する1400をもって、 我が戦隊は大阪地区へ出撃する。各艦、各隊は 遺漏なく発進準備を整えるように」
ギント「はっ」

《月軌道外宙域(ゼラニオ級戦闘空母)》

[ゼラニオ級戦闘空母 ブリッジ]

ビルゴー「我が艦への来訪、ご苦労に存じる」
キナハ「……ゴライクンルが貸与したゼラニオ級を 我が艦呼ばわりとは、いい気なものですね」
ビルゴー「一つ言っておくが、 我々はお前達に隷属しているわけではないぞ」
キナハ「まあ、いいでしょう。指令は来ていますね?」
ビルゴー「ああ、そちらの任務を支援せよと言われている」
キナハ「結構。では、オオサカという都市に現れた アンノウンを強行偵察します。空間転移の準備を」


第13話
鋼龍戦隊、西へ

〔戦域:森周辺〕

(ゾヴォークの機体が多数転移してくる)
バイオロイド兵「全機、目標座標へ転移完了」
キナハ「では、強行偵察を開始しなさい」
バイオロイド兵「了解」
(中央のカレイツェドに警告シグナル)
バイオロイド兵「上空に空間歪曲現象を確認。 警戒。警戒」
キナハ「何ですと……?」
(上空に光の円盤が3か所出現。全機体に術が掛かり、パイロットがマッドネットに変わる)
???(マッドネット)「………」
(全ての機体が南端まで高速で移動し、撤退)

《日本近海 海中(ゼラニオ級戦闘空母)》

[ゼラニオ級戦闘空母 ブリッジ]

ビルゴー「何が起きたのだ!?」
キナハ「強行偵察隊のバイオロイドが全て制御不能に……!  こちらからの命令を受け付けません」
ビルゴー「バグか? それとも、ウィルスか?」
キナハ「プロテクトと自閉モードがある以上、 同時に全て汚染されるなどということは……」
ビルゴー「リブートできんのか? 自壊は?」
キナハ「……ですから、制御不能なのですよ」
キナハ(直前の空間歪曲現象…… いや、アンノウンと何か関係があるとでも……!?)

《日本 生駒山近辺(鋼龍戦隊)》

[ハガネ ブリッジ]

(アラート)
エイタ「レーダーに感あり!  アンノウン接近、11時方向より真っ直ぐ!  レンジ4!」
テツヤ「もしや、ラマリスか!?」
エイタ「識別……ゾヴォークの機動兵器です!」
マイルズ「ええい、大阪へ急がねばならん時に……!」
ギント「迎撃しますか? それとも、迂回を?」
マイルズ「ここで彼らを振り切っても、 別の場所が襲われる恐れがあるか……」
マイルズ「本艦は大阪へ先行、ヒリュウ改に敵を迎撃させろ。 人口密集地帯へ侵入される前に撃破するのだ」
ギント「了解です」

〔戦域:草原〕

(南西端にハガネとヒリュウ改が出現)
エイタ「敵群、レンジ3へ侵入!」
(北側に敵機が出現)
レフィーナ「機動部隊各機、直ちに出撃せよ!」
(コンパチブルカイザーが出撃、出撃準備)
ロア「コウタ、あの機体のバイオロイドは、 例の連中に操られているようだ」
コウタいつぞやのアメーバ野郎か!」
ロア「そうだ。そのことを他の者に伝えてくれ」
コウタ「おう、わかったぜ」
(コンパチブルカイザーから通信)
コウタ「カイ少佐、あいつらはアメーバ野郎に操られてる。 狙いはコンパチカイザーかも知れねえ」
カイ「了解した。 エレーブ1より各機、敵は憑依されている。 近接戦闘は避けろ」
ギント「副長、本艦は大阪へ先行する。 300秒以内に現戦域から離脱せよ」
テツヤ「了解。面舵90! 両舷第三戦速前進!」
(ハガネがゆっくり東を向く。作戦目的表示)

〈敵機8機撃墜 or 2PP〉

コウタ「何でえ? 大阪の方へ行く連中がいるな。 あいつらの狙いはコンパチカイザーじゃねえのかよ」
ロア「もしや、ハガネを……?」
コウタ「そうかも知れねえが、何でだ?」
リュウセイ「俺達が宇宙で接触した連中は、 割とまんべんなく狙ってきたけどな」
リオ「結局、どうしてあの時、私達を襲ってきたか わからずじまいだったけれど……」
カイ「理由はともかく、連中の行動は看過できん。 エレーブ1より各機!  敵をハガネに近づけさせるな!」

〈4PP〉

ギント「副長、あと120秒以内に現戦域から離脱せよ」
テツヤ「了解! 針路そのまま、両舷第四戦速!」
(ハガネが東へ移動)

状況選択

ハガネが東端に到達する前に敵機を全滅させた
ハガネが東端に到達した


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