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ガンナー・ガード 地上ルート ~ 第6話 ~

《地球連邦軍極東方面軍 伊豆基地》

[伊豆基地 内部(観葉植物がある個室)]

アラド「ラーダさん、ただいまッス」
ラーダ「お帰りなさい、みんな。北海道での任務、ご苦労様」
ゼオラ「私達はともかく、この人達は……」
アキミ「つ、疲れた……」
アケミ「模擬戦はともかく、実戦が3回も……。 朝、家を出た時は、こんなことになるなんて 思ってなかった……」
ラーダ「あなた達がモガミ重工社長のご子息とご息女ね。 私は、ラーダ・バイラバン。 特殊戦技教導隊付きの軍属よ」
ラーダ「ゲスト・ルームを用意してあるわ。 その子達の分も含めてね」
トーヤ「……やっぱり、 すぐには解放されなさそうなんですね」
ラーダ「あなたはトーヤ・シウンね。 カイ少佐から、お世話をするよう言われているわ。 カティア、メルア、あなた達も」
メルア「あっ、はい」
カティア「……よろしくお願いします」
コウタ「俺とショウコもしばらくの間、 この基地にいろって言われてよ。世話になるぜ」
ショウコ「すみませんが、よろしくお願いします」
ラーダ「ええ、あなた達の部屋も用意してあるわ」
トーヤ「あの…… 特殊戦技教導隊って、どういう所なんです?  俺より年下の軍人もいるし……」
ラーダ「あら、ゼオラ。まだ自己紹介してなかったの?」
ゼオラ「ええ。 実は、彼らと顔を合わせたのは、ついさっきなんです」
ラトゥーニ「八雲基地には降りず、空中合流だったから……」
ラーダ「そう。トーヤ、特殊戦技教導隊は、 パーソナルトルーパーアーマードモジュールといった 人型兵器の戦技研究を行っている所よ」
トーヤ「それって、エリート部隊ってことですよね。 どうして、そこに子供がいるんです?」
ラーダ「彼らが優秀なパイロットだからよ。 ラトゥーニ、アラド、ゼオラは実際に いくつもの戦争を生き抜いているもの」
トーヤ「何で、そんなことを……」
アラド「おれ達、スクールっていう所で訓練されたんだ。 他に道はなかった」
トーヤ「スクールって……学校?」
ラトゥーニ「いえ……能力と適性がある子供達を 人型機動兵器のパイロットに仕立て上げる特殊機関」
トーヤ「えっ……」
ゼオラ「今はもう存在しないわ。 私達はスクール最後の生き残りなの」
アラド「鋼龍戦隊のみんなと出会えたおかげで ここにいるようなもんさ。特におれとゼオラは」
トーヤ「………」
ラーダ「教導隊の任務内容についてだけど、 他には試作機の評価試験などもやるわ。 直近なら、モガミ重工のソウルセイバーね」
アケミ「ええ、聞いてます」
アキミ「あの……教導隊の皆さんがお忙しいようなら、 試験の時のパイロットも俺がやりますけど」
アケミ「駄目よ、そんなこと」
ラーダ「気持ちはわかるけど、 評価は軍側の人間に任せて欲しいわね」
アキミ「俺が一番上手くソウルセイバーを 扱えるんだけどなあ……」
アケミ「俺が、じゃ意味ないわ。 訓練を受けたパイロットなら誰でも 性能を引き出せる量産機にしないと」
アキミ「それはわかるけどさ、グルンガストや ダイゼンガーみたいな一騎当千の特機も いずれはラインナップに入れたいぜ」
アケミ「あんな物凄い機体、 今のモガミじゃ作れても量産できないわよ」
アキミ「だよなあ……」
ラーダ「それじゃ、この後のみんなの予定を伝えるわね。 まず、アラドとゼオラ。あなた達はグランティードの 調査に立ち会って」
アラド「調査って……おれ達が何かやるんスか?」
ラーダ「あなたとゼオラ、ヒューゴ少尉とアクア少尉で グランティードに乗ってもらい、起動するか どうか試したいそうよ」
トーヤ(それは俺も気になる……)
ゼオラ「わかりました、ラーダさん」
ラーダ「アキミとアケミ、あなた達の事情聴取は明日よ。 今日は、SRXラボの格納庫に行ってちょうだい。 そこでソウルセイバーを換装するそうよ」
アケミ(換装? 今から?)
アキミ「もしかして、SRXラボのSRXって、 あのSRXのことですか!?」
コウタ「早口言葉みてえだな、おい」
ゼオラ「あら、SRXを知ってるの?」
アキミ「もちろん! 鋼龍戦隊のエース部隊の一つ、 SRXチームが運用する天下無敵のスーパーロボット!  俺の憧れさ!」
アキミ「その格納庫と設備を使わせてもらえるなんて、 光栄だなあ! もしかしたら、SRXチームに 会えたりなんかして……」
ラトゥーニ「……リュウセイ達は今、伊豆にいないわ」
アキミ「えっ、そうなの? そりゃ残念……」
コウタ「お前さ、コンパチカイザーを見た時と 反応が違わねえか?」
アキミ「いやいや、ストレートにスーパーな感じの コンパチブルカイザーも凄いと思ってるさ」
アキミ「でも、SRXは工業製品の極みって感じがして、 俺の中じゃ、ちょっと別格なんだ」
コウタ「ま、複雑な変形するもんな、あれ」
ラーダ「……いいかしら? コウタとショウコは、 明日の朝10時にカイ少佐の執務室へ 行ってちょうだい」
コウタ「はああ……説教タイムか」
ショウコ「しょうがないでしょ」
ラーダ「いえ、ギリアム少佐がロアに話を聞きたいそうよ」
コウタ「もしかして、ダークブレインの残党絡みか。 わかったぜ」
ラーダ「トーヤ、カティア、メルア。1時間後に 情報部のギリアム少佐が事情聴取を開始するわ。 それまで、あなた達はここで休んでいて」
トーヤ「……わかりました」
メルア「事情聴取って、どんなことをされるんですか?」
ラーダ「ただ話を聞くだけよ。 何も怖いことはないから、安心なさい」
メルア「は、はい……」

[伊豆基地 内部(執務室)]

カイクロスゲート・バースト?」
ギリアム「ええ、この映像を見て下さい。 サイカ、頼む」
サイカ「はい。再生します」

<クロスゲートから光りがあふれ、地球に降り注ぐ>

[伊豆基地 内部(執務室)]

カイ「………」
サイカ「本日1503、 偵察衛星とクロスゲート監視艦隊が記録したものです」
カイ「いつかはこういうことになると思っていたが……」
レイカー「この映像はまだ一般に公開されておらん。 南極の爆発事件と同じく、軍内部でも 箝口令が敷かれている」
カイ「もしや、今日の大規模障害の原因は……」
ギリアム「ええ。先程の映像……クロスゲートからの 異常なエネルギー放出現象、 クロスゲート・バーストです」
ギリアム「それに前後して、ゾヴォークの機動兵器群や アンノウンがクロスゲート近傍に出現。 監視艦隊やハガネと交戦しています」
カイ「ゾヴォーク枢密院は、地球圏への干渉を 止めたのではなかったのか」
ギリアム「彼らとて一枚岩ではありません。 現在、メキボス・ボルクェーデに確認中です」
カイ(彼が知っていても、知らなくても由々しき問題だな)
ギリアム「また、クロスゲート・バーストの影響で 衛星軌道上の監視網が混乱し……」
ギリアム「その隙を突いて、地上へ降下したアンノウンが 複数いると推測されています」
カイ「その中の1体が、グランティードか」
ギリアム「おそらく」
カイ「では、モガミ重工が回収したアンノウンも?」
ギリアム「『ドリフト・ウィング』と『眠り姫』は、 アカツキ社長の話から判断すれば、クロスゲート・ バースト以前に地球へ降下したようです」
カイ「ドリフト・ウィングと眠り姫……コードネームか」
ギリアム「ええ」
カイ「アカツキ社長の見立てじゃ、 ゾヴォークとは別の異星人の物らしいが」
ギリアム「その点については、他言なさらぬよう。 モガミ重工には自分からも口止めをしてあります」
カイ「お前、何か知っているんだな?」
ギリアム「機密事項です」
レイカー「いずれ君も知ることになるだろう。 もうしばらく待ちたまえ」
カイ「はっ」
ギリアム「その件とは別に、少佐にお伝えしたいことが」
カイ「何だ?」
ギリアム「ハガネがクロスゲート近傍宙域で アレス・ガイストと遭遇、交戦しました」
カイ「何……!?  奴は……奴を吸収したアダマトロンは、 境界空間での決戦で消滅しただろうが」
ギリアム「自分もこの目で見ています。 しかし、アレス・ガイストは復活し、変貌を遂げて クロスゲートから出現したのです」
カイ「冗談じゃない。あれが戻って来たのなら、 あの場にいた他の連中も……?」
ギリアム「可能性はあります。 しかし、現時点で確認できているのは アレス・ガイストだけです」
カイ「では、クロスゲートから出た光のシャワーは何だ?  広範囲に地上に降り注がれたように見えたぞ」
ギリアム「大規模障害が収まった後、 あの現象を起因とする異常事態は、 まだ見受けられません」
カイ「南極の件は? ファブラ・フォレースの爆発と 関係があるんじゃないのか?」
ギリアム「それについては、まだ何とも言えません。 現場検証も始まっていませんので」
カイ「ふむ……クロスゲート・バースト、グランティード、 ドリフト・ウィング、アレス・ガイスト、 そしてダークブレインの残党……」
カイ「色々な事件が、また集中して起きている。 これは……前兆だろうな」
ギリアム「なので、今、出来ることをやっておきたいのです。 レイカー司令、統合参謀本部の確約は 得られましたでしょうか?」
レイカー「ああ。グランティードとドリフト・ウィングの 第1次調査は、我々に一任されることになった」
レイカー「統合参謀本部議長には渋られたがね…… パリへ移送している時間が惜しいと言って、 押し切った」
ギリアム「ありがとうございます。 では、早速、調査と事情聴取を開始します」
レイカーSRX計画のロバート・オオミヤ博士、 ケンゾウ・コバヤシ博士、それとエリック・ワン博士は 君の指示で動かしてもらって構わん」
ギリアム「了解です」

[伊豆基地 格納庫]

(グランティードがある)
アラド「いや~、おれ達でも駄目ッスね」
ゼオラ「アクア少尉達が乗った時と同じでした」
アクア「やっぱり、トーヤとカティアでないと 起動しないのかしら……」
ヒューゴ「グランティードにあの2人の生体情報が インプットされているか、あるいは彼らに 認証用デバイスが埋め込まれているのか……」
ヒューゴ「オオミヤ博士、他にわかったことは?」
ロバート「人型機動兵器としての構造は、地球やラ・ギアスバルマーゾヴォークの物と大差ない」
ロバート「だが、そのいずれかに作り出された物じゃない。 強いて言えば、修羅神に似ているな」
アラド「えっ、どこが?」
ロバート「形状じゃない、概念の話だよ。 結構な昔、どこか別の世界で俺達と同じような 人間に作り出された兵器ってことさ」
アクア「結構な昔って……」
エリック「機体表面の年代測定をしてみたがの、 反応はまちまちでの。最近作られた所もあれば、 千年以上前にこしらえられた部分もあっての」
アクア「せ、千年以上前!?  ロボットがそんなにもつんですか!?」
ロバート「そんなに驚く話でもないさ。 例えば、超機人ガンエデンなんかは 千年単位の昔に作られた物だろ」
アクア「た、確かに……」
ロバート「とは言え、機械を千年もたせる技術ってのは、 とんでもないけどな」
アラド「だけど、トーヤさんとカティアさんは、どうして そんなロボットにパイロット登録されてたんスかね」
エリック「ホッホッホ、お主にしてはいい着眼点じゃの」
アラド「えっ、そうッスか?」
ヒューゴ「トーヤの父親、カティアとメルアの両親は アシュアリー・クロイツェルの社員だった。 グランティードに登録したのは彼らだろうが……」
ヒューゴ「何故、自分の子供を?」
エリック「んむむ……一種のセキュリティかも知れんの」
ケンゾウ「あるいは、子供達に特殊な素質があるのかも知れん」
ヒューゴ「その根拠は?」
ケンゾウ「後部座席の上に備え付けられているリングだ。 あれは搭乗者の脳波や思念の類いを 感知する物だと思われる」
アクア「じゃあ、グランティードには T-LINKシステムと似たような装置が……」
ケンゾウ「うむ。トーヤ・シウン、カティア・グリニャール、 そして、セルドア・シウンの脳を 調べた方がいいと思う」
エリック「その前にの、トーヤとカティアを呼んで グランティードを起動させて欲しいでの。 でなければ、調査が先に進まんでの」
ロバート「そうですね。 ギリアム少佐の事情聴取が終わったら、 こっちに来てもらいましょう」
ケンゾウ「……他にも呼びたい人物がいる」
ロバート「誰です?」
ケンゾウシュンパティアに関わっていた者達だ」
ロバート「ジョッシュやリムですか。理由は?」
ケンゾウ「これは私の勘だが…… グランティードのマン・マシン・インターフェイスは、 シュンパティアに似ているような気がするのだ」

[伊豆基地 格納庫]

ジンプウ「よし、これで換装は終了だ」
アキミ「うちの試験場とほぼ同じ時間で出来たな」
ジンプウ「そりゃまあ、これだけの設備ならよ。 地下に大型のクローラクレーンが 5台もあるたあ、恐れ入ったぜ」
アキミ「さすが、SRXラボだな」
アケミ「で、ジンプウさん。 GG装備のまま特殊戦技教導隊に引き渡すの?」
ジンプウ「いや、その前に実働テストをする。ここの偉いさんには 話を付けた。コンパチブルカイザーと模擬戦をやった FFならともかく、GGはデータが足りねえからな」
アケミ「誰がテストを?」
ジンプウ「お前さん達に決まってるだろうが。 さあ、ソウルセイバーに乗った乗った」
アケミ「ええ~っ、今から!?」
ジンプウ「おうよ。歩行データだけでも取っておきてえ」
アケミ「も、もう夜の11時前よ? 休ませて。 今日は実戦を3回もやったのに……」
ジンプウ「おう、まさにそれよ。どうもキナ臭い。 嫌な予感がしやがる。明日になったら、 また戦争が始まるかも知れねえぜ?」
アケミ「そんな極端な……ねえ、アキミ?」
アキミ「ジンプウさんの言うことは、一理あると思うぜ」
アケミ(えっ、そっちにつくの?  さっきは疲れたとか言ってたのに……)
ジンプウ「今の内にやれることをやっといた方がいい。 ソウルセイバーをベストな状態で教導隊に 引き渡そうぜ。それが俺達の仕事じゃねえか」
アケミ「仕事はわかるけど、明日じゃ駄目?」
ジンプウ「お前さん達が疲れてるのはわかるし、 休ませてやりてえんだがよ……さっき言った通り、 どうも嫌な予感がするんだ」
ジンプウ「ここは一つ、 無理を承知で俺の頼みを聞いてくれねえか」
アケミ「そこまで言うんなら、しょうがないわね…… わかったわよ」


第6話
ガンナー・ガード

〔戦域:夜の伊豆基地〕

(基地の南側にソウルセイバーGGが出現)
アケミ「地上に出たわ、ジンプウさん」
ジンプウ「ようし。じゃあ、爪木ヶ丘に移動してくれ」
(アラート)
アケミ「えっ、何!?」
オペレーター「基地直上に重力震反応多数!」
サカエESウェーブ・パターンは識別できるか!?」
オペレーター「現在、照合中!」
レイカー「対空戦闘、用意。 PT部隊は順次スクランブル発進せよ」
レイカー(はたして、これまでのように 水際で食い止められるか……)
アキミ「もしかして、敵が来るのか!?」
アケミ「ジンプウさん、どうなの!?」
ジンプウ「こっちには情報が来てねえが、 只事じゃねえってのは事実だ!  くそっ、嫌な予感が当たっちまったぜ!」
アキミ「明日どころか、今晩にまた敵が来るなんて!」
アケミ「いくら何でも、もう無理よ! 下がるわ!」
アキミ「いや、ソウルセイバーの力を示すチャンスだ!  俺達も戦おうぜ!」
アケミ「馬鹿なこと言わないで!  実戦を経験したからって、素人も同然なのよ!」
(出撃準備)
カイ「エレーブ1より各機!  短SAMが撃ち漏らした敵機を掃討するぞ!」
(ソウルセイバーGGを指す)
ショウコ「ソウルセイバー! 外に出てたの!?」
アラド「でも、形が違うような……」
ラトゥーニ「遠距離戦闘仕様のGG装備ね」
アキミ「敵が来たんだろ! 俺達も手伝うぜ!」
カイ「無用だ。生兵法は大怪我の元だぞ」
アキミ「うっ……」
アケミ「カイ少佐の言う通りよ。 他の人達の邪魔にならないようにしゃきゃ」
オペレーター「ESウェーブ・パターンはゾヴォークに類似!  まもなく転移出現!」
(基地の東側に敵機が転移出現)
サカエ「撃て!」
(敵機それぞれに爆煙)
カイ「エレーブ1より各機!  散開し、残敵を掃討しろ!」
ゼオラ「了解!」
ラミア「カイ少佐、ソウルセイバーはどうしちゃいます?」
カイ「今、格納庫のハッチを開けるわけにはいかん。 ソウルセイバーは基地の外へ退避しろ。 コウタ、フォローしてやれ」
コウタ「合点でえ!」
アケミ「アキミ! 言われた通り、ここから離れるわよ!」
(ソウルセイバーGGが北西へ移動)
アキミ「お、おい! 待てよ!」
アケミ「悪いけど、操縦してるのは私だから!」
(作戦目的表示)

〈2PP〉

(ソウルセイバーGGが少し北へ移動。アラート)
オペレーター「基地上空に新たな重力震反応!」
サカエ「敵の増援か! 各員、警戒せよ!」

〈敵機10機撃墜 or 3PP〉

(ソウルセイバーGGが少し北へ移動)
オペレーター「敵機、転移出現! 数は5!」
(北西端に敵機が転移出現)
アケミ「ああっ!」
アキミ「敵があんな所に!」
(ソウルセイバーGGの周りに爆煙)
アケミ「きゃああっ!!」
ショウコ「アケミさん!」
アキミ「あいつらに囲まれたら、まずい!  ブースト全開で突破しろ!」
アケミ「突破って、どこへ!?」
アキミ「海だよ、海!  街の方へ行くわけにはいかないだろうが!」
アケミ「海……!?」
アキミ「GGは重いんだ、FFより加速性が悪い!  早くしろ!」
アケミ「背中を向けて逃げたら、危ないでしょ!  GGは装甲が厚いから、防御して耐える!」
アケミ「だから、そっちでもダメージ・チェックをやって!  パージした方がいい装甲があったら、教えてよ!」
アキミ「お、おう!」
ヒューゴ「……パニックになるかと思ったが、 すぐに立ち直ったな」
アクア「ええ、アケミの方がお姉さんだけあって、 しっかりしてるかもね。双子だからってことも あるけど、いいコンビじゃない?」
カイ爪木ヶ丘の近くにいる機体は、敵の新手の迎撃と ソウルセイバーの援護に回れ!」
(作戦目的表示)

〈初戦闘〉

[アケミ]

アキミ「来るぞ、アケミ! やられるなよ!」
アケミ「言われなくても!  ここまで仕上げたソウルセイバーを 壊されてたまるもんですか!」

〈敵機全滅〉

サカエ「司令、敵機を全機撃墜しました。 新たな重力震反応もありません」
レイカー「初手で気化爆弾などの決定打も使わず、 増援で肉薄した割には、押しが弱かった」
レイカー「敵の目的が、この基地の制圧や破壊でないことは 確実……ここへ攻撃を仕掛けること自体が 目的だったのかも知れんな」
サカエ「威力偵察でしょうか?」
レイカー「今は何とも言えんが、基地内外の警戒を厳にせよ」
サカエ「はっ」

《地球連邦軍極東方面軍 伊豆基地》

[伊豆基地 内部(観葉植物のある個室)]

ギリアム「……そうか、わかった。ありがとう」
(通信を切る)
ギリアム「戦闘は終了したそうだ。事情聴取を再開しよう」
トーヤ「………」
ギリアム「緊張というより、警戒しているようだね」
トーヤ「軍の尋問なんて、受けたことないですから」
ギリアム「これは尋問ではない。 事情を聞かせてもらっているだけだ。 話したくないことがあれば、黙秘権もある」
トーヤ「民主的なんですね」
ギリアム「君達は、政府のデータベースに戸籍が登録されている 歴とした連邦市民だからな」
トーヤ「……本当にそう思ってるんですか?  俺の父も含めて」
ギリアム「セルドア・シウン氏の遺体は、 基地内の医療機関で検死が行われている。 その結果次第だな」
トーヤ(それで、何かあったらどうなるって言うんだ……)
ギリアム「先程、特殊戦技教導隊のパイロット達が グランティードに搭乗したが、 起動させることは出来なかった」
ギリアム「そこから導き出される推論は3つ。 あの機体に君達の生体情報がインプットされているか、 君達に認識用のデバイスが埋め込まれているか……」
メルア「えっ……」
ギリアム「あるいは、君達自身に特殊な能力があるか」
カティア「そんな……私、ただの人間です」
トーヤ「俺だってそうだ」
メルア「私もです」
ギリアム「だが、グランティードはEOT…… すなわち、地球外知的生命体の超技術で作られている。 セルドア・シウンはあれをどこで手に入れたのか……」
ギリアム「トーヤ、君は聞いていないか?」
トーヤ「いえ……」
ギリアム「では、他に何か言っていなかったか?」
トーヤ「皇家……皇家の剣…… あと、聖禁士長? とか言っていましたが、 意味はわかりません」
ギリアム「皇家……王家か。どこの国のだろうな」
トーヤ「そんなの、心当たりなんてないです」
ギリアム「では、皇家の剣とは?」
トーヤ「それは…… 多分、グランティードのことだと思います」
ギリアム「他に気になることは?」
トーヤ「父は、自分のことを エセルダ・シューンと言っていました」
ギリアム「エセルダ?」
トーヤ「もちろん、初耳ですよ。意味はわかりません。 シューンはシウンだったかも知れないけど……」
ギリアム「カティア、メルア。 エセルダという言葉に聞き覚えは?」
メルア「いえ、ないです……」
カティア「私も……」
ギリアム(皇家、聖禁士長、エセルダ……これらがキーワードか。 あの男にも尋ねた方がいいかも知れんな)
ギリアム「では、諸君。今日はここまでにしよう。 部屋に戻って休んでくれたまえ」
トーヤ「……わかりました」

[伊豆基地 内部(広い通路)]

ジンプウ「一時はどうなることかと思ったが…… まさか、あそこでアケミが踏ん張るたあな」
アケミ「あの位置なら基地の外へすぐ逃げられたけど、 そんなことをしたら、下田の街が被害を 受けるかも知れないでしょ」
アケミ「それに、GG装備なら上手く戦えなくても 耐えられると思ったの」
コウタ「いや、なかなかの腕前だったぜ」
アラド「うん、初めての実戦とは思えなかったなあ」
アケミ「戦闘はアキミがやったてのを見てたから、 厳密に言えば、初めてじゃないんだけど……」
ゼオラ「攻撃を全部まともに受けてたら、いくら装甲が厚くても もたないでしょ。かわしたり、そらしたりする テクニックがあったってことよ」
アケミ「夢中でやっただけ。機体性能のおかげよ」
アクア「でも、逆に言えば、ソウルセイバーは 実戦経験のない人間が乗っても結果を出せるって、 証明したんじゃない?」
アケミ「えっ……」
アクア「ヒューゴはどう思う?」
ヒューゴ「異論はない」
ジンプウ「プロからそう言ってもらえりゃ、 技術屋としちゃ嬉しいがな」
アキミ「いや~、テストパイロットの俺もだぜ」
ジンプウ「アケミはともかく、アキミが調子に乗るから その辺にしといてくれや」
アクア「わかりました」
アキミ「そりゃねえぜ、ジンプウさん。 FF装備だったら、俺だって……」
ジンプウ「いや、今回の件は俺が悪かった」
アキミ「え?」
ジンプウ「嫌な予感がしてたなら、お前さん達を 出さねえという選択肢もあったのに…… 結局、危ねえ目に遭わせちまった」
ジンプウ「これじゃ、社長に合わせる顔がねえぜ」
アケミ「けど、GG装備の歩行データは取れたんでしょ?」
ジンプウ「それどころか、戦闘データもな」
アケミ「じゃあ、結果オーライってことで。 最適化すれば、ソウルセイバーを 引き渡してもいいのよね?」
ジンプウ「ああ」
アケミ「じゃあ、 テストパイロットの仕事はひとまず終わり…… 後は事情聴取か」
アクア「とりあえず、今日はもう上がっていいわよ。 何かあっても、私達が対応するから」
アケミ「わかりました。じゃあ、先に休ませてもらいます。 行きましょ、アキミ」
アキミ「ああ……」
アキミ(これで終わって……いいのか?)

[伊豆基地 内部(執務室)]

メキボス「ドリフト・ウィングと眠り姫、 エセルダや聖禁士長について本国に照会した。 結果は該当なし、だ」
ギリアム「そうか……」
メキボス「ま、他にも当たってみるがな」
ギリアム「では、ゾヴォーク機による戦闘行動については?」
メキボス「あんたの上にも言ったが、枢密院の与り知らぬことだ」
ギリアム「その言葉、信用していいのだな?」
メキボス「ここで嘘をつくメリットはねえ。 俺は人質としてパリに幽閉されてるようなもんだ。 下手を打てば、命取りになる」
ギリアム「確かに」
メキボス「だが、あんた達も承知の通り、 ゾヴォークは一枚岩じゃねえ。 裏で動く連中がいるとして、思い当たるのは……」
メキボス「ゴライクンルだ」
ギリアム「ゾヴォークの戦争商人か…… 本国の方でも調査をしてもらいたい」
メキボス「もちろんだが…… 封印戦争末期、ゼゼーナン達が使っていた機体は かなりの数が放棄されている」
メキボス「何者かがそれをろ獲し、運用しているとしたら、 俺達じゃ把握できねえぜ?」
ギリアム「…………」

REPORT
資金『40000』を入手しました。


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