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それぞれの理由 地上ルート ~ 第4話 ~

《モガミ重工 海上プラント》

[モガミ重工 海上プラント内部(ラボ)]

ズイウン「カイ少佐、 うちの子らに差し出がましい真似をさせてしまって、 申し訳ありませんでした」
カイ「いえ、ソウルセイバーが戦ってくれたおかげで 市街地の被害は少なくて済んだと聞いています」
カイ「ご子息とご息女は、 そろそろ八雲基地に着いている頃でしょう。 ただ、事情聴取は伊豆で行うことになりそうです」
ズイウン「伊豆……?  ソウルセイバーはそのままお預けしても 構いませんが、子供達は……」
カイ「今回の件は、善意の協力ということで 処理できるよう、上に働きかけるつもりです」
ズイウン「では、無断の戦闘行為については……」
カイ「現場には Gコンパチブルカイザーもいましたからな。 特別措置で不問に付すことになるかと」
ズイウン「あ……ありがとうございます。 二人共、今回の件で懲りたでしょう。 テストパイロットはもう辞めさせます」
カイ「……筋は良さそうですがな」
ズイウン「いやいや。 特殊戦技教導隊鋼龍戦隊のように戦えると 勘違いしていたら、とんでもない話です」
カイ「それで……例の回収物ですが、異常はありませんか?  ああ、再起動しそうな気配があるかどうかと いう意味ですが」
ズイウン「いえ、特には。パイロットも昏睡したままです」
カイ「報告は聞いていますが…… 本当に地球の物ではないのですか?  人間が乗っていたのでしょう?」
ズイウン「アンノウンの形状は飛行機に似ており、 地球にある物と大差ありませんが……」
ズイウン「動力源には未知のテクノロジーが用いられており、 機体各部には地球の言語ではないマーキングが 見受けられます」
ズイウン「また、パイロットの見た目は人間の女性ですが、 こちらには本格的な医療設備がないので、 詳細はわかりかねます」
カイ「そうですか。 なお、伊豆からも伝達されたと思いますが、 アンノウンの件は当事者以外、内密でお願いします」
ズイウン「承知しています。子供達にも話しておりません」
カイ「現在、大規模な通信障害と札幌市街での戦闘が 原因で対応が遅れていますが……」
カイ「なるべく早く自分の部下をそちらへ向かわせます。 もうしばらくお待ちいただきたい」
ズイウン「わかりました」

《地球連邦軍 八雲基地》

[地球連邦軍 八雲基地]

アケミ「……結局、3体共、外へ出しっぱなしなの?」
コウタ「ああ。 この基地にゃ、50メートルオーバーの特機を 入れられる格納庫がねえんだとよ」
アキミ「まあ、連邦軍の主力機は 20メートルクラスのパーソナルトルーパーアーマードモジュールだもんな」
トーヤ「アキミ、俺達の事情聴取って、 この基地でやるのか?」
アキミ「多分、そうじゃないか?」
メルア「………」
ショウコ「メルア、お兄ちゃんも言ってたけど、 心配しなくても大丈夫よ。ショウコ達と知り合いの、 カイ・キタムラ少佐が来るから」
メルア「いえ、あの…… 色々なことがあり過ぎて、疲れてしまって……」
ショウコ(そうよね……。 お父さんとお母さん、知り合いの人達が 亡くなったんだものね……)
(基地アラート)
カティア「! 警報!?」
アナウンス「八雲基地全要員に告ぐ。 積丹半島沖、モガミ重工所有の海上プラントに ゾヴォークと目される機動兵器群が出現」
アキミ「!!」
アナウンス「現在、当該海域には伊豆基地所属部隊が 急行中である。スクランブル要員は第2次要撃に 備え、即時発進態勢にて待機せよ。繰り返す……」
コウタ「おい、モガミの海上プラントって……」
アキミ「親父がいる所だ!」
アケミ「ど、どうしてモガミの海上プラントが 異星人に狙われるの!?」
アキミ「俺に聞かれたって、わかるものか!」
ショウコ「……伊豆基地所属部隊が向かってるって言ってたね。 それって、カイ少佐達のこと?」
アキミ「ここの機体が待機だってんなら、アケミ!  ソウルセイバーで親父の所へ向かうぞ!」
アケミ「私だってそうしたいけど、 どうやって海上のプラントへ行くの!?  単体じゃ飛べないのよ!」
アキミ「コウタ! さっきみたいにコンパチブルカイザーで ソウルセイバーを運んでくれ!」
コウタ「おう、任せな」
ショウコ「お、お兄ちゃん!?  ショウコ達はここにいなきゃ駄目じゃないの!?」
コウタ「てやんでえ!  親父さんを助けてえっつってる奴を見捨てたら、 男がすたるってんでえ!」
アキミ「コウタ……!」
コウタ「グラン何とかはここまで持って来たんだ、 カイ少佐の頼み事は果たしたぜ!」
ショウコ「でも、ショウコ達はともかく、 ソウルセイバーもここにいなきゃ……」
コウタ「るせえ、もう決めた! 俺一人でも行くぜ!」
ショウコ「う~、わかった、わかったわよ!  ショウコも行く! Gサンダーゲートなしじゃ、 コンパチブルカイザーだって飛べないでしょ!」
アキミ「助かるぜ、二人共!  トーヤ、お前達はここにいろよ!」
トーヤ「あ、ああ……」
コウタ「よっしゃ、急ごうぜ!」
アケミ「ええ!」
(早い複数の足音・コウタ、ショウコ、アキミ、アケミが立ち去る)
トーヤ(アキミもアケミも、また戦うのか、 父親のために……)
トーヤ(でも、俺は……)


第4話
それぞれの理由

〔戦域:モガミ重工海上プラント周辺〕

(海上プラントの南側に敵機がいる)
ズイウンゾヴォークの機動兵器群に告げる!  ここは非武装の民間プラントだぞ!  直ちに退去したまえ!」
???(ビルゴー)(アリアードは、この辺りに落ちたはず……。 反応はないが、あの施設が怪しい)
???(ビルゴー)(早くあれを取り戻さなければ、 レジアーネ様に叱責されるだけでは済まん)
???(ビルゴー)「全機へ。 実力を行使し、海上施設を制圧、臨検する」
(ズイウンがいる場所の周りに爆煙)
ズイウン「うぬうっ!  このプラントに戦略的価値など……」
ズイウン(もしかして、目当てはあのアンノウンか!?)
(???(ビルゴー)機に警告シグナル)
???(ビルゴー)(この反応は……)

<ソウルセイバーFFを掴んで飛行してくるGコンパチブルカイザー>

コウタ「突っ込むぞ、アキミ!」
アキミ「ああ!」

〔戦域:モガミ重工海上プラント周辺〕

(海上プラントの北側にソウルセイバーFFとGコンパチブルカイザーが出現)
アキミ「着地完了!  連邦軍より俺達の方が早かったな!」
コウタ「アキミが言った通り、ここへ向かって 正解だったってえことか」
アキミ「親父、助けに来てやったぜ!」
ズイウン「この馬鹿者が!  そんなことを頼んだ覚えはない!!」
アキミ「な、何だよ、その言い草!」
ズイウン「お前は、あくまでテストパイロットなんだぞ!  実戦を経験したからって、調子に乗るな!  単に運が良かっただけだ!」
アキミ「うるせえ、そんなことを言ってる場合か!  敵が目の前にいるんだぞ!」
ズイウン「素人が出しゃばっても怪我をするだけだ!  引っ込んでいろ!」
アキミ「何言ってやがる!  引っ込む所なんざ、どこにもないだろうが!」
アケミ「もう、こんな時に口喧嘩しないでよ!」
アキミ「わかってるよ!  プラントとの通信なんざ、切ってやる!」
ズイウン「あっ、こら! 待たんか!」
(通信が切れる)
アキミ「ったく、親父め……黙って見てろってんだ!」
コウタ「アキミ、俺が前に出る!  お前はプラントの上から援護してくれりゃあいい!  海に飛び込むんじゃねえぞ!」
アキミ「わかったぜ!」
???(ビルゴー)(ふん、思ったより早く迎撃機が現れたな。 2機だけならば、何とでもなる)
(作戦目的表示)

〈3PP or 敵機4機撃墜〉

(Gコンパチブルカイザーに警告シグナル)
コウタ「おっ、この識別コードは……」
ショウコ特殊戦技教導隊……アラド達が来てくれたわ!」
(北端にサーベラス・イグナイト、ビルトビルガー、ビルトファルケン、ビルトラプター・シュナーベルが出現)
ヒューゴ「エレーブ3より各機。 ゾヴォーク機の撃墜許可は出ている。 散開し、各個撃破しろ」
ラトゥーニ「エレーブ4、了解」
ゼオラ「エレーブ5、了解!」
アラド「エレーブ6も了解ッス!」
アクア「ねえ、ヒューゴ。 敵の狙いって、やっぱり例のアンノウンかしら?」
ヒューゴ「その可能性は高いが、詮索は後にしろ。 それと、アンノウンの件は機密事項だということを 忘れるな」
アクア「もちろんよ」
コウタ「あれ、カイ少佐達は?」
アラド「少佐とラミア少尉は八雲基地へ向かったぜ」
ゼオラ「って言うか、あなた達を迎えに行ったんだけど……」
ラトゥーニ「何故、ここにいるの?」
コウタ「そりゃまあ……男の頼みって奴でえ」
ゼオラ「え? どういうこと?」
アキミ「ファルケンにビルガー、ラプター…… すげえ、本物だ」
ラトゥーニ「あの特機、 教導隊で評価試験をする予定の……」
ヒューゴ「話はそこまでだ。仕掛けるぞ」
???(ビルゴー)(あの部隊……もし、予めここに向かっていたのなら、 アリアードは……)
???(ビルゴー)(どのみち、連中は撃破しなければならんな)
(作戦目的表示)

〈vs バイオロイド兵〉

[ヒューゴ]

アクア「ゾヴォークがここに現れたってことは、 例のアンノウンは彼らの物なのかしら?」
ヒューゴ「そうかも知れんが、連中を退けなければ その詮索も出来ないぞ」

[アキミ]

アキミ「プラントに手出しはさせない!  ソウルセイバーで戦えるってことを 親父に見せてやるぜ!」

〈vs ???(ビルゴー)〉

[ヒューゴ]

???(ビルゴー)(奴らも該当データがある……しかも、要注意か)
ヒューゴ「あれは有人機だな」
アクア「多分ね。機体の動きに揺らぎが多いもの」
ヒューゴ(人間の指揮官が送り込まれてくるほどの 重要な任務ということか?)

[アラド]

アラド「こんな所でゾヴォークと出くわすなんて!」
???(ビルゴー)(まさか、あの連中の手引きで ここへ来たわけではなかろうな)

[ゼオラ]

???(ビルゴー)(奴らを排除せねば、アリアードは回収できんか……)
ゼオラ「ゾヴォークとの戦いは終わったはずなのに……!」

[ラトゥーニ]

ラトゥーニ(落下したアンノウンは、機動兵器を投入してまで 回収しなければならない物だというの……?)
???(ビルゴー)(連中がアリアードを引き取りに来たのだとしたら、 あれは既に回収されている……?)

[コウタ]

???(ビルゴー)(該当データがある機体だな)
ロア「あの機体の搭乗者は、バイオロイドではないな」
コウタ「だったら、取っ捕まえて、 何しに来やがったか聞き出してやらあ!」

[アキミ]

アキミ「あいつ、他の奴と動きが違う……!?」
???(ビルゴー)(データにない大型機…… レオニシスならば、問題はなかったものを)

[撃墜]

???(ビルゴー)「チッ、乗り慣れない機体では……!  だが、手掛かりは掴んだぞ」
(???(ビルゴー)機が撤退)
アラド「あっ、逃げた!」
ヒューゴ「追う必要はない。 俺達は本来の任務を遂行する。 アクア、輸送機を呼んでくれ」
アクア「わかったわ」
ズイウン「何とかしのげたか……」
ズイウン(彼らがここを襲撃した理由…… あの眠り姫と関係があるのか?)

《モガミ重工 海上プラント》

[モガミ重工 海上プラント内部(ラボ)]

ヒューゴ「自分は極東方面軍 特殊戦技教導隊所属、 ヒューゴ・メディオ少尉です」
アクア「同じく、アクア・ケントルム少尉です」
ズイウンモガミ重工代表取締役社長、 ズイウン・アカツキです。救援に感謝します。 コウタ君とショウコ君もありがとう」
コウタ「いや、礼には及ばねえよ」
ショウコ(後で、絶対カイ少佐に怒られると思うけど……)
ズイウン「……で、どうしてお前達までここに来たんだ!?  アキミ、アケミ!」
アケミ「ええっ、私達にはその反応!?」
アキミ「わざわざこんな所にまで駆け付けたってのに!」
ズイウン「言ったはずだ、頼んでおらんと。 そもそも、お前達の仕事はテストパイロットであって、 実戦に参加することじゃない」
アケミ「そ、それはそうだけど…… じっとしてられなかったんだもの」
ズイウン「ふん、短絡的だな」
アキミ「な、何だよ! こっちは心配してたんだぜ!  どうして怒られなきゃならないんだ!?」
アクア「……それは、あなた達と同じだからじゃない?」
アキミ「えっ?」
アクア「二人がそうだったように、 アカツキ社長もあなた達が心配なのよ。 だって、実戦は模擬戦と違うから」
アキミ「う……」
アクア「心配だからこそよ。 どうでもいい人のために、怒ったりしないと思うわ」
アキミ「そんなの、わかるかよ……」
アクア「ふふっ、いつかわかる日が来るわよ。 私もそうだったから」
アキミ「………」
アケミ「………」
ヒューゴ「アカツキ社長。 事が済み次第、自分達は帰還しますが、 ご子息達とソウルセイバーも……」
ズイウン「承知しております。 かえって余計な手間を取らせてしまい、 申し訳ありません」
コウタ「手間って……帰りもカイザーでぶら下げていくぜ」
アクア「あなた達は先に八雲基地へ戻った方がいいわよ。 カイ少佐がお冠だから」
コウタ「うえっ、結果的にここを守れたんだから、 いいじゃねえかよ~」
アクア「言い訳は少佐にすることね」
ショウコ「しょうがない……行くわよ、お兄ちゃん!」
コウタ「あ、ああ……長時間、説教されんだろうなぁ」
ズイウン「アキミ、アケミ。 お前達はソウルセイバーの移送準備をするんだ。 あくまでもテストパイロットとしてな」
アケミ「う、うん……」
アキミ「………」
(扉が開く・アキミ、アケミ達が立ち去る)
ズイウン「……色々とすみませんでしたな、アクア少尉」
アクア「いえ、こちらも余計な口出しをしてしまって……」
ズイウン「いやいや、構いません。 どうも男親は口下手でいけませんな」
アクア「そんなことありませんわ。 異常な過保護よりマシです」
ズイウン「もしや、少尉の父上は……」
ヒューゴ「ところで、アカツキ社長。 ここがゾヴォークに狙われる理由ですが…… 例のアンノウン以外に心当たりは?」
ズイウン「いえ、ありませんな」
ヒューゴ「では、もう一つ質問を。 アンノウンは、ゾヴォークの物だと思いますか?」
ズイウン「あくまで、こちらで調べた上での所見ですが……」
ズイウン「別の異星人の物である可能性が高いですな」
ヒューゴ「………」
アクア(ゾヴォークでなければ、バルマー?  それとも……)

[モガミ重工 海上プラント内部(管制室)]

アラド「それで、例のアンノウンってのは どこにあるんだ? もう引き上げられてるんだろ」
ゼオラ「ちょっと、迂闊なことを言っちゃ駄目よ」
ラトゥーニ「このプラントにいる人全てが アンノウンのことを知ってるわけじゃない」
アラド「そ、そっか……」
(扉が開く)
アケミ「あっ……」
ゼオラ「あなた達がソウルセイバーのテストパイロットね」
アケミ「ええ、そうです」
ゼオラ「特殊戦技教導隊のゼオラ・シュバイツァーよ」
ラトゥーニ「私はラトゥーニ・スゥボータ……」
アラド「おれはアラド・バランガ。よろしく」
アキミ(特殊戦技教導隊には若い隊員がいるって、 ネットの記事で知っちゃいたけど…… ホントに俺達と同じぐらいの年なんだな)
アケミ「私はアケミ・アカツキ。 こっちが双子の弟のアキミよ」
アラド「ふ~ん、ラウルさんやフィオナさんとは逆なんだな」
アケミ「逆? その人達も双子なの?」
アラド「ああ、修羅の乱封印戦争で一緒に戦ったんだ」
アキミ「ところで、特殊戦技教導隊って 伊豆基地の管轄だよな?」
ゼオラ「ええ、よく知ってるわね」
アキミ「それが何で北海道に?  通報を受けて、伊豆から直接来たわけじゃないよな。 別の理由でここへ向かってたのか?」
アラド(結構鋭いな……)
ゼオラ「悪いけど、答えられないわ」
アキミ「軍事機密って奴?」
ゼオラ「それもノーコメント」
アキミ(……答えを半分言ったも同然だ。 ゾヴォークがここに現れたのは偶然じゃない…… 当然、親父はその理由を知ってんだろうな)


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