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父と子、そして宿命 地上ルート ~ 第2話 ~

《日本 札幌地区西部 山中》

[モガミ重工 試験場施設内]

ジンプウ「収まりやがった……! 空が元に戻ったぞ!」
アキミ「さっきのは、いったい……!?」
(複数の速い足音)
コウタ「どしたい、何があったんでえ!?」
ショウコ「スタッフさん達が空を見て、騒いでましたけど……」
アケミ「オーロラみたいなものが出てたのよ。 それがサーッと広がっていって、 空の色が変わったの」
ショウコブラック・スカイみたいな感じですか?」
アケミ「ううん、あれとは違うわ」
(飛行音)
アキミ「何だ!?」
アケミ「見て! あれ、ロボットじゃない!?」
コウタ「ああ、ちげえねえ!  こっちに下りてくんのか!?」
ジンプウ「いや、あの角度…… 札幌市街を目指してるみてえだな……!」
アキミ「いったい、どこのロボットなんだ……!?」
ジンプウ「俺は見たことがねえ。コウタ、お前さんはどうだ?」
コウタ「いや、あんなのは知らねえよ」
アキミ「だったら、正真正銘の正体不明機かも知れないな。 ……よし!」
アケミ「って……あっ、まさか!?」
アキミ「ソウルセイバーであいつを追うぜ!」
ジンプウ「何ぃ!?」
アキミ「あのロボット、落ちてるようにも見えた。 街中だったら、大惨事になるぜ」
アケミ「そ、そうだけど……連邦軍に任せた方が良くない?」
アキミ「俺達なら、すぐに札幌へ出られる。 千歳よりここの方が近いからな」
ジンプウ「だからって、素人がノコノコ出て行って どうなる!?」
アキミ「救助活動の手伝いぐらい出来るよ、 瓦礫をどけるとかさ。だから、行かせてくれ!」
ジンプウ「バカ言ってんじゃねえ!  あのロボットは、エアロゲイター修羅みてえな 連中の一味かも知れねえんだぞ!」
アキミ「だったら、尚更じゃないか!  ソウルセイバーは、ああいう奴らから 地球を守るために作ったロボットだろ!」
ジンプウ「うっ……そりゃそうだけどよ」
アケミ「ねえ、コウタからも言ってやってくれない?  無茶だって」
コウタ「ああ、まあ……」
ロア(……コウタ)
コウタ「どうした?」
ロア(すぐにあのロボットを追え)
コウタ「お前、あいつの正体を知ってんのかよ?」
ロア(いや、俺も初見だ)
アケミ「コウタ……? 誰と喋ってるの?」
ショウコ「あ、ロアです。 今の状態だと、他の人には姿が見えないですし、 声も聞こえなくて」
ロア(……理由はわからんが、気になるのだ)
コウタ「よし……。 ショウコ、さっきのロボットを追うぞ。 ロアが気になるって言ってんだ」
ショウコ「わかったわ、お兄ちゃん。 お爺ちゃんと連邦軍に一報入れとくね」
アキミ「じゃ、じゃあ、俺達も行く!  足手まといにはならないからさ!」
アケミ「ちょ、ちょっと、俺達って!  勝手に決めないでよ!」
ロア(コウタ、 ジンプウ達が言っていた空の異変も気掛かりだ。 ソウルセイバーの助けが必要になるかも知れん)
コウタ「マジかよ……」
アキミ「マジだよ!」
コウタ「いや、お前に言ったんじゃねえ。 ……ジンプウさん、アキミとアケミも 連れて行っていいか?」
ジンプウ「おいおい、本気か?  お前さん達と比べたら、素人も同然だぞ!」
コウタ「それでも手を借りることになるかも知れねえ。 ロアがそう言ってんだ」
ジンプウ「何だと……!?」
コウタ「面倒は俺が見る。 追っ付け、連邦軍も来るだろうし。頼むぜ」
ジンプウ「むう……わかった。ロアが言うなら、仕方ねえ。 ソウルセイバーを出す」
アケミ「でも、そんなこと、お父さんが……!」
ジンプウ「社長には俺から話しとく。 アキミ、アケミ、くれぐれも無茶すんなよ」
アキミ「ああ!」
アケミ(ほ、本当に行くの……!?)

《日本 札幌地区近郊》

[シウン家 リビング]

(エラー音)
トーヤ(……映像が出ないどころか、ネットにつながらない。 完全に落ちてる)
トーヤ(でも、停電じゃない。いったい、何が……)
(飛行音)
トーヤ「こ、この音……」
トーヤ「こっちに段々近づいてる!? 何なんだ!?」
(扉が開く、速い足音・トーヤが走り去る)


第2話
父と子、そして宿命

〔戦域:シウン家周辺〕

<上空から降りてくるグランティード>

(グランティードがシウン家の西側に着地する)
トーヤ「ロ、ロボット!? どうして、こんな所に!?」
エ=セルダ(ここに至るまで 地球連邦軍の警戒網に掛からなかったとは…… やはり、あの発光現象のせいなのか……?)
エ=セルダ(しかも、サイトロン・システムに逆流が……。 まるで、グランティード自身が あれに反応したかのような……)
メルア「セルドアさん、ここは……?」
エ=セルダ「……私の家だ」
(ハッチが開く)
トーヤ「な、何だ……!?  頭……なのか? ハッチみたいな物が……」
エ=セルダ「カティア、メルア…… 先に降りて、私の家へ行きなさい」
カティア「セルドアさんは……!?」
エ=セルダ「私は、この機体を隠さなければならない……」
トーヤ「おい! 誰かそいつに乗っているのか!?」
メルア「あの人は……?」
エ=セルダ「私の息子、トーヤだ……。 しかし、アシュアリー・クロイツェルのことは、 詳しく教えていない……」
カティア「そ、それは私達も同じで……。 両親に月へ呼ばれて、ベルゼルートを……」
カティア「あれは……あの装置は何だったんです?  この席の上にも、似たようなリングが……」
エ=セルダ「今、それを説明している時間はない…… 早く機体から降りて……私の家へ……」
メルア「そ、その後は……?」
エ=セルダ「別荘へ行きなさい……場所は息子が知っている…… 私も後で合流する」
メルア「で、でも、その怪我……早く病院へ行かないと……」
エ=セルダ「大丈夫だ……さあ、早く……」
カティア「は、はい……」
(カティアとメルアがシウン家へ移動する)
トーヤ「女の子……!?  あの二人が、ロボットに乗ってたのか……!?」
カティア「トーヤ……君」
トーヤ「な、何で俺の名前を知ってるんだ!?」
カティア「それは、あなたの……」
(飛行音)
カティア「何なの、この音……?」
メルア「カ、カティアちゃん、上を見て!」
カティア「え!?」
(北東にガンジャール、グラシドゥ=リュ、レストレイルが出現)
トーヤ「ま、またロボットが!」
エ=セルダ「あれは……」
ソ=デス「聖禁士長様、こんな所に何の用かな?」
エ=セルダ「その機体を外へ持ち出すとは……!」
ソ=デス「ふん、そんなことを言われる筋合いはないね。 その玉座機こそ、絶対にガウ=ラの外へ 出しちゃいけない物だろうが」
ソ=デス「しかも、よりにもよって ヴォーダの門が開いた時にさ」
エ=セルダ「な……に?」
ソ=デス「おやおや、知らなかったのか?  ガウ=ラじゃ、お前がグランティードを 持ち出したせいじゃないかって、騒ぎになってるよ」
エ=セルダ「馬鹿な、グランティードの反応は……!」
ソ=デス「ま、そのおかげで仕事が……いや、楽しみが増えたよ」
エ=セルダ「……グランティードの奪還が 最優先ではないのか……?」
ソ=デス「そうだけど、黙って差し出す気なんてないだろ?  だから、僕は楽しめるってわけさ」
ソ=デス「でも、すぐに死なないで欲しいな。 身に余るご馳走をいただく、 千載一遇のチャンスなんだから」
ソ=デス(そうさ……玉座機のオルゴン・エナジー反応は、 前回より低下している。今ならたっぷりと いたぶれるってわけさ……クフフッ)
エ=セルダ(ラースエイレムは使えん……かくなる上は……)
エ=セルダ「カティア、メルア……!  君達は、すぐにこの場から離れたまえ……!」
カティア「で、でも!」
トーヤ「い、今の声……父さん!? 父さんなのか!?」
エ=セルダ「……ああ、そうだ……トーヤ」
トーヤ「ど、どうして、そんなロボットに乗ってるんだ!?」
エ=セルダ「真実を知らせるのは、 ずっと先のことだと思っていたのだがな……」
トーヤ「し、真実って……? 父さんは、月の工場で 働いてるんじゃなかったのか……!?」
エ=セルダ「お前に教えねばならないことは、たくさんある……。 だが、時間がない……」
エ=セルダ「トーヤ……この機体に乗れ」
トーヤ「な、何だよ、それ!  何でそんなことをしなきゃならないんだ!?」
エ=セルダ「……生き延びるためだ」
トーヤ「ちゃんと説明してくれよ!  父さんは、いったい何をやってるんだ!?  あいつらは何者なんだ!?」
エ=セルダ「乗れ、トーヤ…… でなければ、私達だけでなく、街の人々も 死ぬことになる……」
トーヤ「だから、いきなりそんなことを言われても、 わけがわからないんだよ!」
カティア「あなたのお父さんは、怪我をしているのよ……!」
トーヤ「!」
エ=セルダ「トーヤ……お前の怒りは、もっともだ……。 だが、今は……今だけは、私に力を貸してくれ……」
エ=セルダ「この機体に乗るだけでいい……頼む……」
トーヤ「………」
トーヤ「……わ、わかった……乗るだけだな?」
エ=セルダ「ああ……お前は……私が守る」
トーヤ「後できっちり説明してもらうからな。 ……あんたら2人は、ここから逃げろよ!」
カティア「カティアよ。そして、この子は……」
メルア「メルアです」
トーヤ「川の方へ向かうんだ! いいな!」
カティア「わかったわ。行きましょう、メルア!」
メルア「ええ!」
(トーヤがグランティードに乗り込む)
トーヤ「父さん……その怪我……!」
エ=セルダ「心配するな……見た目ほど酷くはない……。 それより、後部座席へ……」
トーヤ「何だ、この席……?  まるで、王様が座る椅子みたいな……」
エ=セルダ「………」
トーヤ「なあ、このロボット……もしかして、 アシュアリー・クロイツェルで作ったのか?」
エ=セルダ「いいから、座れ……」
トーヤ「あ、ああ……」
(グランティードが内部から光り、『EN回復』)
トーヤ「な、何だ!?」
エ=セルダ(サイトロン粒子の活性化…… オルゴン・エクストラクターの出力上昇……)
ソ=デス「こ、このオルゴン・エナジー反応は……!  前回以上じゃないか……!」
エ=セルダ(トーヤ……これほどまでに……)
ソ=デス「クッ、ハハッ!  これなら、もっと楽しめそうじゃないか!」
エ=セルダ「見ているがいい、トーヤ…… 父の戦いを、父の真実の姿を……!」
トーヤ「………」
エ=セルダ「エ=セルダ・シューン…… 聖禁士長の名に懸けて、我らの悲願を果たすため!」
エ=セルダ「我が息子に皇家の剣を委ねるため!  この場にて、逆賊を討つ!」
ソ=デス「逆賊だって? それは、僕の台詞だよ!」
トーヤ(エセルダ? 聖禁士?  それに、皇家……委ねるって……!?)
(作戦目的表示)

〈初戦闘〉

[エ=セルダ]

トーヤ「く、来る!」
エ=セルダ「目を背けるな、トーヤ…… 全てを……見届けるのだ!」

レストレイルを4機撃墜 or 3PP

エ=セルダ「うっ……ぐうっ……!」
トーヤ「父さん、血が!」
エ=セルダ「心配するなと言った……!」
トーヤ「滅茶苦茶だよ、こんなの!  そのままじゃ、下手をすれば……!」
エ=セルダ「……背中を見せれば、命を落とすことになる……。 私は、そういう世界で生きてきたのだ……」
トーヤ「……!」
(グランティードに警告シグナル)
エ=セルダ「来たか……!」
(北西端にGコンパチブルカイザーとソウルセイバーFFが出現、グランティードの方を向く)
コウタ「ロアの予感が当たったか。 ゲストめ、性懲りもなく襲ってきやがって……!」
ショウコ「封印戦争でゾヴォークとの戦いは 終わったはずなのに……!」
コウタ「二度あることは三度あるっつーだろが」
ロア「……彼らの狙いは、例のロボットか」
(グランティードを指す)
ショウコ「あれ、どこの機体なんだろ……」
コウタ「直接聞きゃあいいんだよ」
(Gコンパチブルカイザーに通信)
ロア「向こうの方が先に通信を入れてきたぞ」
コウタ「ヘッ、手間ぁ省けたぜ。つないでくれ」
エ=セルダ「君は鋼龍戦隊に協力していた者だな…… 私は、セルドア・シウン……君達の敵ではない」
コウタ「あんた、俺のことを知ってんのか?  もしかして、連邦軍の軍人か?」
エ=セルダ「今、説明をしている時間はないが…… 彼らから街を守りたい……協力してくれ」
コウタ「その言葉、信用していいんだな?」
エ=セルダ「ああ……」
コウタ「よし…… アキミ、お前は下がってろ。 実戦は初めてなんだからよ」
アキミ「い、いや、俺も戦うぜ!  宇宙人の好きにやらせるもんか!」
アケミ「ちょ、ちょっと待ってよ!  いきなり実戦なんて無茶よ!!」
アキミ「そんなことを言ってる場合か!  こっちは俺達を入れて3機なんだ、 やるしかないだろうが!」
アケミ「だけど!」
アキミ「あそこは俺達の街なんだぞ!  友達だっているんだ! 今、こいつに乗ってる 俺達がやらなくてどうする!」
アケミ「……!」
アキミ「模擬戦とは言え、 コンパチブルカイザーといい勝負が出来たんだ!  やってみせるぜ!」
アケミ「……わ、わかったわ。 でも、無茶はしないでよ!」
ソ=デス「地球人の軍勢が動き出したか。 いいだろう、お前達とも遊んでやるよ!」
(作戦目的表示)

〈vs ソ=デス〉

[コウタ]

コウタ「ゾヴォークめ!  てめえらが何度襲ってこようと、 蹴散らしてやるぜ!」
ソ=デス(目論見通り、僕らのことを ゾヴォークだと思ってくれてるねえ)

[アキミ]

ソ=デス「何だ、こいつ……動きがぎこちないな」
アキミ「お前ら、俺達の街から出て行きやがれ!!」

[エ=セルダ]

ソ=デス「エ=セルダ・シューン!  パワーが上がったとは言え、もう長くないだろ!?」
ソ=デス「グランティードを返してもらうよ!  お前の死体を乗せたままでねぇ!」
エ=セルダ「今の私の力を……侮るな!」

[撃墜]

ソ=デス「ううっ……死に損ない相手で 二度も後れを取るなんて……!」
ソ=デス「でも、もう禁士長様と会うことはないか。 そっちの方が残念だね、クハハッ!」
(ガンジャールが撤退)
トーヤ「終わった……のか……?」
エ=セルダ「……あ、ああ……」
トーヤ「なら、こいつから降りて、早く病院に!」
エ=セルダ「すまんな、トーヤ……」
トーヤ「今、謝られたって!」
エ=セルダ「……お前は……私のことを恨むだろう……。 真実を……教える時間は……」
トーヤ「何だよ、何言ってんだよ!?」
エ=セルダ「なあ……トーヤ…… お前が……生まれた日のこと……」
エ=セルダ「お前を……初めて抱き上げた時の、 あの重み……産声……」
エ=セルダ「今でも……よく覚えて……いるよ…… あんな……小さ……な…………」
トーヤ「昔話は後だ!  聞きたいことはいっぱいあるけど、 病院へ行ってからでいい!」
トーヤ「ハッチを開けてくれ! 早く外に出ないと!」
(エ=セルダは微笑んで目を閉じている)
エ=セルダ「………」
トーヤ「と、父さん……!?」
エ=セルダ「………」
トーヤ「お、おい……冗談だろ……どうしたんだよ……」
トーヤ「返事しろよ、父さん! 父さん!!  父さぁぁぁん!!」

《日本 札幌地区近郊》

[シウン家 リビング]

トーヤ「………」
アケミ(トーヤ……)
アキミ(無理もないよな……。 あんなロボットがいきなり現れて、 自分の父親が……)
アキミ(俺だって、まだ信じられないよ。 トーヤがこの事件に絡んでるなんて……)
カティア「あ、あの……」
(扉が開く。コウタはロア・アーマーのまま)
コウタ「……運び終わったぜ」
メルア「!」
コウタ「あんた達は?」
(ショウコもエミィ・アーマーのまま)
ショウコ「もしかして、アケミさん達の知り合い?」
アケミ「ううん、違うわ」
アキミ「俺達がトーヤんちに来たら、中にいたんだよ」
コウタ「そうかい」
カティア「あ、あの、あなた達……その格好……」
コウタ「これか? ええっと……」
メルア「ファイター・ロアさんにファイター・エミィさん、 ですよね……ネットで見たことあります。 本物……なんですか?」
コウタ「ああ、まあな」
ショウコ「それで、あなた達は……」
カティア「私はカティア、この子はメルア……。 セルドアさんと一緒に、あのロボットで 月のアシュアリー・クロイツェルから来たの……」
コウタ「アシュ? 何でえ、そいつぁ?」
アキミモガミ重工と同じような建設機械のメーカーだよ」
カティア「あの、セルドアさんは……」
トーヤ「…………死んだよ」
カティア「えっ!?」
メルア「そ、そんな……!」
カティア「う、嘘でしょう……!?」
コウタ「……本当でえ。俺があのロボットから運んできた。 今は、上の部屋に寝かせてある」
カティア「セ、セルドアさん……」
メルア「………」
アケミ「……あなた達はアシュアリー・クロイツェルの 関係者なんですか? トーヤのお父さんとは 前からの知り合い?」
カティア「私もメルアも、両親がアシュアリーの社員で……。 一週間ぐらい前、月へ来てって言われて…… セルドアさんとは、そこで初めて会ったわ」
アケミ「それで、あのロボットに?」
カティア「あれじゃない……調整を手伝ってと頼まれたのは、 別の機体だった……」
アキミ「別の、って……」
カティア「アシュアリー・クロイツェルで開発されていた、 ベルゼルートという名前のロボット……」
コウタ「あんた達もアキミ達みてえに テストパイロットをやってんのか?」
カティア「いえ……テニアは、ベルゼルートの後部座席に ただ乗ってるだけでいいと言われてた……」
ショウコ「テニア?」
カティア「……私やメルアと一緒に月へ呼ばれた女の子よ」
アケミ「その子は一緒じゃないんですか?」
メルア「そ、それは……」
ショウコ「?」
カティア「……アシュアリー・クロイツェルは 何者かに突然襲われて……あちこちで爆発が……」
カティア「気がついたら、私とメルアだけが生き残ってて、 セルドアさんに助けられたの……」
トーヤ「……!」
アケミ「じゃ、じゃあ、もしかして、 あなた達のご両親も……?」
カティア「……ええ」
メルア「………」
トーヤ(何なんだ……何なんだよ、これ……)
カティア「ごめんなさい、トーヤ君……セルドアさんのことは、 私達のせいかも知れない……」
トーヤ「え?」
カティア「あの人は、怪我をしていたのに 私達を助けてくれて……その後も ここまで無理して……だから……」
トーヤ「カティア、だったよな。 父さんのことは、あんたのせいじゃない。 それより……」
トーヤ「父さんがアシュアリー・クロイツェルで パイロットをやってたなんて話、聞いたことがない。 しかも、戦い慣れてた……」
トーヤ「なあ、あのロボットは何なんだ?  聖禁士長って、何のことだ? 父さんは、 どうしてエセルダって名乗ったんだ?」
カティア「わかるのはロボットの名前が グランティードだってことぐらいで…… 後は何も……」
メルア「わ、私も……わかりません」
トーヤ「そんなわけないだろう!  アシュアリー・クロイツェルに呼ばれて、ロボットの 調整を手伝ってたって言ったじゃないか!」
トーヤ「月で父さんと一緒にいたんだろう!  何か話を聞いてるはずだ、何か!」
メルア「ご、ごめんなさい……本当に知らなくて……」
トーヤ「だから、そんなわけが……」
アキミ「待てよ、トーヤ。 お前も辛いだろうけど、この子達だって……」
アケミ「そうよ、巻き込まれてしまっただけかも……」
トーヤ「う……」
メルア「………」
トーヤ「……悪かったよ。 けど、ここにいたら面倒なことになるかも知れない。 今の内に家へ帰った方がいい」
カティア「……帰ったって、もう誰もいないわ」
メルア「お父さんもお母さんも、 あそこで仲良くなった人達もみんな…… カティアちゃん以外は……」
トーヤ(俺と……同じか)
トーヤ(父さん……父さんが言ってた真実って、何だよ……)
トーヤ(アシュアリー・クロイツェルで いったい何をやってたんだ……?)
トーヤ(あんなロボットと……女の子二人を押し付けて 逝ってしまうなんて……)
トーヤ(くそっ、ふざけんなよ……!)


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