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頑鉄番長Gバンカラン ~ 第37話 ~

[地球連邦政府 記者会見放送]

報道官「……南極より出現した敵性体集団ですが、 本日より『ルイーナ』と呼称することに 決定致しました」
報道官「なお、ルイーナは北極海に戦力を集結させて いましたが、ガイアセイバーズと地球連邦軍が 共同で包囲作戦を敢行し……」
報道官「ガイアセイバーズ旗艦エア・クリスマスが 敵主力を撃破。また、先日来、地球全体を 覆っていたバリア……」
報道官「ゲストではなく、ルイーナのものと判明しましたが…… その消去に成功致しました」
報道官「今後、南極圏を占拠しているルイーナ、 そしてゲストに対しても、早急かつ有効な 対抗策を……」

[地球連邦軍 統合参謀本部]

ダニエル「……ここぞとばかり、ガイアセイバーズの功績を 喧伝しておりますな。これでグラスマン大統領の 死に対する責任追及を逸らすつもりでしょうが」
ギャスパル「仕方あるまい。 我々としても、次元断層を消滅させた者が 反逆者だとは言えぬからな」
ジェイコブ「ところで、ルイーナという呼称を 政府筋にも伝えたのですな?」
ギャスパル「『アンタークティック・アンノウン』という コードネームはセンスがなかろう? しかも、長い」
ジェイコブ「確かに。情報の出所については?」
ギャスパル「言っておらんよ。 こちらの手の内を知られるからな」
ジェイコブ「なお、彼らからの情報提供により、 素性が明らかになったガイアセイバーズのメンバーが 何名かおります。これが、その資料です」
ギャスパル「ほう……意外な人選だな」
ダニエル「反体制勢力に所属していた者を起用するとは…… 反対派にとって、恰好の追及材料になり得ますな」
ジェイコブ「過去の経歴より実力を重視してのことだと 思われますが……追及しても、しらを切るでしょう」
ギャスパル「それ以前に、グライエン大統領は そのことを知っていたかどうか、怪しいものだ」
ダニエル「まさか、知らずに許可するとは……」
ギャスパル「アルテウル・シュタインベックが 真実を伝えていなかったということもあり得る」
ダニエル「しかし、大統領の件と言い、今回判明した件と言い…… 反対派が確固たる証拠を掴めば、ガイアセイバーズ どころか、現政権は崩壊しますぞ」
ギャスパル「だからこそ、アルテウルの魂胆が解せん。 あの男は今後のことを深く考慮していない…… むしろ、故意に火種を蒔いているようにも見える」
ダニエル「いったい、何のために……?」
ギャスパル「現時点ではわからんが、答えを導き出す方法はある」
ジェイコブ「鋼龍戦隊ですな?」
ギャスパル「ああ。ガイアセイバーズは彼らを利用し、 何かを目論んでいると見て間違いない」
ギャスパル「今しばらく泳がせ、接触させれば、 アルテウルの魂胆が見えてくるかも知れん」
ダニエル「しかし、鋼龍戦隊を表立って支援することは 出来ませんぞ」
ギャスパル「もちろん、追撃命令を取り下げるつもりはない。 ただし、ジェイコブ……抜け道は用意してやれ」
ジェイコブ「了解しました」
ダニエル「ガイアセイバーズへの対処は、 それだけでよろしいのですか?」
ダニエル「民衆の大半は、ガイアセイバーズが 次元断層を消滅させたと思い込み、 彼らを英雄視しつつありますぞ」
ギャスパル「今はやむを得まい。 あれほどわかり易く、そして全世界の人間に対して 示せる戦績はないからな」
ギャスパル「だが、英雄は結果を出すことを常に要求される。 そして、そこに偽りがあった場合、彼らに対する 感情は一気に翻るだろう」
ダニエル「ですが、それでは我々の面目が……」
ギャスパル「何もしておらぬわけではない。 情報と証拠はジェイコブに集めさせている」
ギャスパル「それに、ガイアセイバーズがいかに戦果を挙げようと、 数では圧倒的に我々が勝っているのだ」
ギャスパル「肝要なのは、力の持久だよ。 一握りの独立特化戦力では、敵中枢を 壊滅させることが出来ても……」
ギャスパル「世界規模での治安維持など不可能だからな」
ダニエル「その通りでありますが……」
ギャスパル「連邦軍の面目躍如を期するなら、ゲストへの反攻作戦を 急ぎ構築したまえ。ムーンクレイドルとヘブンゲートを 制圧された以上、宇宙軍だけではもたんぞ」
ダニエル「わかっております。 一両日中に作戦概要をまとめる予定です」
ギャスパル「作戦名については、いいアイデアがある。 そちらで勝手に決めぬようにな」
ダニエル「はっ……」

《グランド・クリスマス》

[執務室]

アルテウル「……キサブロー・アズマ?」
ニブハル「高名なロボット工学研究者ですな。 ビアン・ゾルダークの知己で、EOTI機関に 所属していた経歴を持っております」
ニブハル「ただ、 現在は一線から身を引いているようですが……」
カオル「それは、表向きの話です。 あの男は、コンパチブルカイザーの 開発に携わっております」
アルテウル「ほう……」
ニブハル「あの特機は、パルトール事件や修羅の乱において 興味深い能力を発揮しておりますな」
カオル「コンパチブルカイザーにEOTが用いられているのは、 間違いありません。そして、あれは日本・浅草地区の 地下に隠されていると思われます」
アルテウル「それで……どうすると言うのだ?」
カオル「コンパチブルカイザーとそのEOTを接収するために、 デルタ・セイバーの出撃許可をいただきたいのです。 さすれば、私の機体はさらなる進化を遂げます」
ニブハル「ジンライを都市部で用いると?  正気ですか、トオミネ博士」
カオル「鋼龍戦隊に与する者は、全て反逆者…… 口実さえ用意すれば問題ないでしょう」
ニブハル「口実?」
カオル「アーチンのAIを改造した者が誰か、お忘れかな?」
ニブハル(脅しているつもりですか……)
カオル「あれの使用許可も出していただきたい」
ニブハル「リスクが高過ぎます。 それに、あなたはアズマ博士の研究成果物を 得るのではなく……」
ニブハル「ジンライの比較対象になり得る機体を ジンライで破壊し、その優位性を示したいだけでは?」
カオル「………」
ニブハル「そもそも、コンパチブルカイザーを接収するのに ジンライが適任だとは思えませんな」
カオル(この男……)
アルテウル「……良かろう、トオミネ博士。 お前の提案を受け入れよう」
カオル「ありがとうございます、司令。 ジンライは現在調整中ですので、 量産型を投入します」
アルテウル「ああ、その方がリスクヘッジにもなるだろう」
カオル「それでは、早速準備に取り掛かります」
(扉が開閉する・カオルが立ち去る)
ニブハル「……よろしいのですか、アルテウル様?」
アルテウル「極東方面軍の管轄地区でなければ、 許可しなかったがな」
ニブハル「ですが、下手をすれば、 反対派に口実を与えることになりかねませんぞ」
アルテウル「そうならぬよう、ケネスに根回しをしておけ。 鋼龍戦隊を誘き出せるかも知れんしな」
ニブハル「しかし、トオミネ博士は例の件の真相に 薄々気づいていると思われます。万が一、 オヅヌ博士と同じ行動に出れば……」
アルテウル「あの男はむしろ、ミタール・ザパトや エルデ・ミッテと同種の人間だ。 良心の呵責に悩むことはない」
アルテウル「目的へ至る道を我らで付けてやっている限り、 裏切るような真似はせんよ……」

《太平洋 海中(鋼龍戦隊)》

[ヒリュウ改 艦内(シミュレータ・ルーム)]

ヒューゴ「……射撃戦は及第点に達しつつあるが、 格闘戦に難が多い。TDスケールを 必要以上に重要視し過ぎだ」
ヒューゴ「機体感覚を向上させ、 肌で敵機との間合いを掴むようにしろ」
アクア「肌、か……ある意味、DFCよね」
ヒューゴ「むしろ、得意なんじゃないのか?」
アクア「私がやってるDFCは、レバーやジョグダイヤルを 指先で細かく操作する感じに似てて…… ああいうのを手だけでなく、両足でもやって……」
アクア「それで、皮膚や筋肉の動きも感知されてて…… 何て言うか、バランスボールを抱きかかえて 均衡を保つような感じで、出力を細かく制御するの」
アクア「この説明でわかるかしら?」
ヒューゴ「何となくはな」
(扉が開閉する)
アリエイル「……ヒューゴ少尉、アクア少尉、 お二人でシミュレーター訓練ですか?」
アクア「ええ、TEアブゾーバーのね」
アリエイル「アクア少尉はオペレーターでは……?」
アクア「私、元々はPTパイロットを目指してたし…… 何かあった時に備えて、機体を動かせるように なっておいた方がいいと思って」
アリエイル(何かあった時……)
ヒューゴ(ツェントル・プロジェクトが ガイアセイバーズの管轄下にあるとわかった以上、 ミタールの所へ薬をもらいに行くわけにはいかん)
ヒューゴ(残量がゼロになるのが先か、 ガイアセイバーズとの問題が片付くのが先か…… いずれにせよ、早くアクアを仕上げなければな)
アクア「ところで、アリエイル…… あなたもシミュレーター訓練を?」
アリエイル「いえ、私はラドム博士に ここへ呼び出されたのですが……」
(扉が開閉する)
マリオン「……時間に正確ですわね、アリエイル」
アリエイル「ラドム博士…… それに、キョウスケ中尉とエクセレン少尉も」
キョウスケ「おれも呼び出された」
エクセレン「私は付き添いね」
キョウスケ「それで、博士……用件は?」
マリオン「あなたのアルトアイゼン・リーゼと フリッケライ・ガイスト……ファウ・ケルンという EOTを用いている点が気に入りませんが……」
マリオン「その2機は、 主武装運用面において似ている点があります」
エクセレン「フリッケライの両腕は、アルトちゃんの物だもの…… ステーク兄弟って感じ? あ、アリエイルちゃんなら 弟じゃなく、妹かしらん」
キョウスケ「どっちでも構わん。 ……それで?」
マリオン「アルトアイゼン・リーゼと フリッケライ・ガイストの共通点を活かした 連係攻撃パターンを考えてみました」
キョウスケ「なるほど……」
エクセレン「あの~、アルトちゃんには 私のヴァイスちゃんとのランページ・ゴーストが あるんですけど?」
マリオン「あれやツイン・バード・ストライクとは違った、 同一の特性を押して押しまくる正面突破用の 連係攻撃でしてよ」
エクセレン「それじゃ、アルトちゃんとビルビルちゃんでも……」
マリオン「ビルガーにステークはありません。 それに、拡散型の火器も」
エクセレン「あ、拘りポイントはそこなのね」
マリオン「どうでしょう?」
キョウスケ「……面白い」
アリエイル「私も異存はありません」
マリオン「では、基本プランを提示しますので、 後はシミュレーターで試して、 あなた達で調整して下さい」
キョウスケ「了解。 アリエイル、アルトの扱いはおれの方が慣れている。 お前に合わせた調整で構わん」
アリエイル「わかりました」
エクセレン「な~んか、ちょっと妬けちゃうかも。 私もファルケンちゃんとの合体攻撃、 考えてみようかしらん?」
キョウスケ「やめておけ。 ゼオラが困るだろう、お前のノリに合わせるのはな」
エクセレン「あらら」
キョウスケ「では、アリエイル……早速始めよう」
アリエイル「了解です」
ヒューゴ「キョウスケ中尉、 見学させてもらってよろしいですか?  アクアにRTアレンジを見せておきたいので」
キョウスケ「ああ、構わん」
エクセレン「あんまり参考にならないかもよ?  キョウスケってば、結構強引だから」
ヒューゴ「アクアにとっては、それでいいんです」
キョウスケ「エクセレン、お前がアグレッサーになってくれ。 何なら、アクア少尉が加わってもいい」
アクア「ええっ!?  私がキョウスケ中尉とアリエイルの 相手をするんですか!?」
エクセレン「その方が勉強になるかもね。 じゃ、行きましょっか、アクアちゃん」
アクア「は、はい! 頑張ります!」

(データ室)

カーク「……これが、エンジン・モジュールを換装した後の アッシュのデータだ」
(モニターオン)
イング「エンジンが2基に……しかも、種類が違う……」
カーク「その通りだ」
リョウト「ブラックホール・エンジンと トロニウム・エンジンの両方を……」
イルム「かなり贅沢な話だな。『ダブルEX』のダブルには、 そういう意味もあるのか?」
ロバート「俺は『Mk-X』っていう コードネームの方が気に入ってるけどな」
リョウト「じゃあ、エクスバインはMk-X開発のために……?」
カーク「ああ、ベース機とする予定だった」
カーク「そして、ヒュッケバイン・シリーズの集大成であり、 Mk-IIIを凌駕するスーパー・パーソナルトルーパーを 現実の物とするために……」
カーク「ブラックホール・エンジンとトロニウム・エンジン、 その双方の搭載を決定したのだ」
イルム「だけど、トロニウムはどうするんです?  Mk-IIIに搭載していた物は、 二つ共ガリルナガンに奪われたんでしょう?」
カーク「ああ、 残りはハガネとR-2、R-GUN搭載分のみだ。 だが、さすがにそれらを回すわけにはいかない」
ロバート「ただ……メテオ3から発見されたトロニウムは 6個あってな。つまり、もう1個存在しているんだ」
イング「それはどこにあるんです?」
ロバート「DCで保管されていたはずなんだが…… 今は行方不明だ」
リョウト「では、ブラックホール・エンジンのみか…… プラズマ・ジェネレーターとの併用を?」
ロバート「実は、ブラックホール・エンジン関連の調整に 手間取っていてな……」
ロバート「テスラ研やオルレアン工場の設備を使えば、 何とかなるんだが、そこへ行けば お縄頂戴ってことになりかねないし……」
イルム「何だ、結局は画餅かよ」
ロバート「そう言うな。 ガリルナガンへの対抗意識で士気は上がってるんだ。 必ずいい機体に仕上げてみせるさ」
イング「……お願いします」
カーク(それにイングの念動力が加われば、 Mk-Xは我々の予想を上回る力を 発揮するかも知れん……)

(食堂)

コウタ「その話、本当なのか?」
ラウル「ああ」
コウタ「そうか。だったら、家へ帰れるな」
フィオナ「帰るって……あなた一人で?」
コウタ「そのつもりだけど」
フィオナ「一人でいくのは危なくない?」
コウタ「ファイター・ロアに変身して、 バトルレーサーで行くから大丈夫さ」
(扉が開閉する)
カイ「………」
コウタ「おっ、ちょうど良かった。 カイ少佐、話があるんだけど」
カイ「何だ?」
コウタ「イテテ島へ行く途中に、 日本の近くを通るって話を聞いてさ」
ラウル「イティイティ島な、コウタ」
コウタ「ああ、それそれ」
カイ「……ハガネとヒリュウ改は 連邦軍の警戒網をかいくぐるため、 イティイティ島への直行コースを取っていない」
カイ「その結果、北西太平洋海盆の西側を 通過するのは事実だが……」
コウタ「だったら、一度家へ帰りてえんだ。 これからの戦いにはコンパチカイザーが必要だしな」
カイ「………」
フィオナ「カイ少佐、 L&Eコーポレーションのメンバーも同行します。 コウタを一人だけで行かせるのは心配なので」
コウタ「だから、大丈夫だって」
フィオナ「でも、エア・ボートで長時間飛行するのは しんどいでしょ。水中航行も出来るエクサランス・ レスキューに乗って行った方が楽よ」
ラウル「ああ、キャビンでお茶も飲めるしな」
コウタ「おっ、そりゃいいな。 じゃあ、乗せてもらうとするか」
カイ「では、俺から艦長に話しておくが…… こちらへ戻ってくる必要はない」
コウタ「え!? どういうこった!?」
カイ「今の鋼龍戦隊は、反乱分子扱いされているからな…… これ以上、お前達を巻き込むわけにはいかん」
コウタ「てやんでえ、水くせえぜ。 こんな大変な時に抜けられるかってんだ」
コウタ「お天道様の顔が拝めるようになっても、 宇宙人や化け物連中がうろついてるんじゃ、 枕を高くして寝られねえってんでえ」
ラウル「俺達も最後まで付き合いますよ」
カイ「そうか……すまんな、お前達」

《日本 東京・品川地区》

[トオミネ・ラボ]

ミナキ「……ZLAIとABMDシステムの運動性を 現在値より向上させるのは困難です」
ミナキ「そもそも、接近戦用ダブルGのABMDシステムは、 DMLシステムの使用を前提としています。 やはり、ZLAIよりLIOHの方が……」
カオル「ジンライに人間を乗せろというのか?」
ミナキ「父様がより良い結果を望まれるのでしたら……」
カオル「私が何故、あのビアンの設計図を基にして ジンライを作ったと思う?」
カオル「何故、ジンライに ダイナミック・ゼネラル・ガーディアンなどという 反吐が出る称号を冠したと思う?」
ミナキ「そ、それは……」
カオル「ビアンが有人兵器として設計した ダブルG1号機と2号機を、無人機である 3号機ジンライが超越する……」
カオル「それを成し遂げれば、 私がビアンより優れていると証明できる」
カオル「かつて、耐え難き屈辱を与えたあの男より、 私の方が優秀だと世に示せるのだ」
カオル「そのために私がどのような想いで研究を進めてきたか、 お前が一番良く知っているはずだ」
ミナキ「はい……」
カオル「システムLIOHが真価を発揮するのは、 ジンライがダイナミック・ゼネラル・ガーデイアンを 超越し、その名を捨ててからだ」
カオル「いいか、ミナキ…… 1週間以内に改善策を提出するのだ。 お前なら、出来る」
ミナキ「……わかりました」
カオル「では、また連絡する」
ミナキ「待って下さい、父様」
カオル「何だ?」
ミナキ「父様がどこにいるのか……スポンサーが何者なのか…… ジンライがどのように運用されているのか、 まだ教えてもらえないのですか?」
カオル「機密事項だと言ったはずだ。 お前はラボで私の言い付け通り、 研究を続けていればよい」
(通信が切れる)
ミナキ(あと一週間……このままでは間に合わない。 問題をクリアするには……)
(キー操作)
ミナキ(アズマ研究所……。 父様が知れば、怒るだろうけど…… あの方に教えを請うしかない……)

《日本 東京・浅草地区》

[アズマ研究所(玄関前)]

コウタ「ちぇっ、せっかく帰って来たのに 爺ちゃんもショウコもいねえのかよ」
ラージ「そもそも、事前に連絡したのですか?」
コウタ「いや、忘れてた」
ミズホ「ええっ!?」
デスピニス「もしかして、 こちら側の世界へ戻って来たことも……?」
コウタ「ああ、知らせてねえ」
ミズホ「じゃ、じゃあ、アズマ博士とショウコさんは ずっと心配したままで……」
コウタ「しょうがねえだろ。 ヒリュウじゃ、足が付いちゃまずいってんで 個人的なメールや電話は禁止されてたんだから」
ラウル「それはそうだけど…… ギリアム少佐に頼むとか、方法はあっただろ?」
コウタ「あっ、なるほど」
ラウル「駄目だ、こりゃ」
フィオナ「ともかく、アズマ博士かショウコに 早く電話した方がいいんじゃない?」
コウタ「BFベースの水中ゲートを開けた時点で 気づいてるとは思うけどな……」
ラージ「アズマ博士が留守なら、まだ御存知ないのでは?」
トウマ「あの、話の途中で悪いんだけど…… 俺、昔のバイト先へ挨拶しに行っていいかな?」
フィオナ「構わないけど、鋼龍戦隊関連の話はしちゃ駄目よ」
トウマ「ああ、わかってる。 それじゃ、行ってくる」
(足音・トウマが立ち去る)
コウタ「ショウコや爺ちゃんがいねえなら、 俺もジャーダさんトコへ顔を出すか……」
フィオナ「その前に電話!」
コウタ「わかった、わかったよ」
(足音)
???(ミチル)「何や、おどれら。人ン家の前で何やっとんじゃ」
コウタ「あ? 人ン家だと?」
???(ミチル)「む!? おどれ、コウタ・アズマか!  ついに戻って来おったな!!」
コウタ「何なんだ、てめえ……?」
ミチル「ワイは萬南無学園の番長…… そして、関西轟学連合の総番、ミチル・ハナテンや」
コウタ「バンナム学園? どっかで聞いたような……。 それに、ミチルって女みてえな名前だな」
ミチル「ふん、その手のツッコミは聞き飽きたわ」
ミズホ「学園……それに、あの服装…… もしかして、高校生……?」
フィオナ「う、嘘でしょ?」
ラージ「どう見ても、30代ですね」
ミチル「何やと!? ワイはまだハタチじゃ、ボケェ!!」
コウタ「ハタチの高校生って……。 それで、わざわざ関西から来て、俺に何の用だ?」
ミチル「まず、ワイの子分が余計な真似をしたことを 詫びとこか」
コウタ「子分?」
ミチル「そうや。 ワイの断りなく、おどれに喧嘩を売りおった」
コウタ「あ~、そんなことがあったような……」
ミチル「何や酷い目に遭ったようやけど、まあ自業自得や。 そのことは、もうええわい」
コウタ「で、今度は大将のお出ましってわけか」
ミチル「そうや。おどれは大阪の方でも名が知れとる…… 浅草のコウタ・アズマはそこそこやるっちゅーてな」
コウタ「つーか、誰がそんな噂を流しやがったんだ」
ミチル「おどれを倒せば、ワイの野望……全国制覇の夢が また一歩実現に近づくんじゃ。覚悟せいや」
コウタ「ふん……お天道様が消えちまったり、 宇宙人や化け物共が襲って来てるってのに、 全国制覇もへったくれもねえぜ」
コウタ「だが、売られた喧嘩は買ってやる。 どっからでも掛かって来やがれ」
(速い足音)
ショウコ「お、お兄ちゃん! 無事だったの!?  いつ帰って来たのよ!?」
コウタ「ショウコ!?」
ショウコ「もう! ずっとずっと、ずっと心配してたんだから!  無事だったんなら、何でショウコ達に 連絡してくれなかったの!?」
コウタ「話は後だ、今はこいつと……!」
ミチル「ショ、ショウコはん!」
コウタ「は!?」
ショウコ「ミチルさん! 約束したでしょ!?  お兄ちゃんが帰って来ても、喧嘩しないって!」
ミチル「す、すんまへん……」
コウタ「ど、どういうこった……!?」

[アズマ研究所 居間]

コウタ「何!?居候だぁ!?」
ショウコ「ウン、ミチルさんは お兄ちゃんと会うためにウチまで来てね。 いないって言っても、待ってるって……」
コウタ「だからって、家に上げたのかよ!?」
ショウコ「だって、お兄ちゃんが帰って来るまで ウチの前でずっと野宿するって言うから…… 可哀想になって」
ミチル「あの時はショウコはんが天使に見えたわ」
コウタ「てめえは黙ってろ!」
フィオナ(……惚れたわね、ショウコに)
コウタ「爺ちゃんもどういうつもりなんでえ!?  ショウコに押し切られたのかよ!?」
キサブロー「いや、居候の件はワシが言い出したことじゃ」
コウタ「はあ!?」
キサブロー「ミチルはいい身体つきをしておるし、 腕っぷしも強いからのう……そこを見込んで、 ワシの仕事を手伝ってもらっておった」
コウタ「仕事だぁ?」
キサブロー「モーション・パターンのサンプル取りじゃ。 何と言うか、渡りに船でのう。 おかげで助かったわい」
ミチル「居候させてもらってますさかい、 働くのは当然ですわ」
コウタ「モーション・パターンって……何の?」
ミチル「バーニングPTの新作モデルや。ドツキ合い用で、 モーション・トレース・タイプやさかい、 ワイがええモデルになると言われてのう」
コウタ「バーニングPTって…… 爺ちゃん、そんな仕事もやってたのか?」
キサブロー「まあ、詳しい話は後でする。 ともかく、お前が無事に戻って来てくれて良かった。 今晩はお祝いじゃの」
ショウコ「色々あって、ほとんどのお店が閉まってるから お寿司とかは取れないけど…… 有り物でショウコが何か作るね」
コウタ「いや、またすぐに出かけなきゃならねえんだ」
ショウコ「え……?」
キサブロー「……ミチル。すまんが、席を外してくれんか。 少々、込み入った話になるでの」
ミチル「はあ、ほな」
(襖開閉音・ミチルが立ち去る)
コウタ「……爺ちゃん、 俺はコンパチカイザーを取りに来たんだ。 その後、鋼龍戦隊へ戻らなきゃならねえ」
キサブロー「やはり、そうか」
コウタ「こないだ太陽を消しちまった連中…… 爺ちゃんもショウコも知ってるよな?」
キサブロー「うむ…… 浅草だけでなく、日本中が大騒ぎじゃったわ」
ショウコ「電気の使用量が制限されて、みんな困ってた…… 今度こそ世界が終わるんだって、 声高に言ってた人もいたし……」
キサブロー修羅の乱からようやく立ち直りつつあった所で、 今回の騒ぎじゃからの」
キサブロー「連邦軍がこれまでの戦を平定してきたこともあって、 人々は彼らに望みをかけておったんじゃが…… 大統領の事件がの」
ラウル「鋼龍戦隊はガイアセイバーズの罠にはめられたんです。 ああなるよう仕向けられたんです」
ラージ「しかも、彼らは鋼龍戦隊の機体の接収を 目論んでいます」
フィオナ「それに、ルイーナの次元断層が消滅するきっかけを 作ったのは、ガイアセイバーズじゃなく、 あたし達の仲間なんです」
キサブロー「そういう事情じゃったか……」
ショウコ「じゃあ、ニュースで言ってたことは嘘なのね……」
キサブロー「人々の不安を和らげるためだとしても、 やり方があざといのう」
ショウコ「だけど、ガイアセイバーズが何とかしてくれるって 思ってる人は多いよ……」
(警告シグナル)
コウタ「!」
キサブロー「むっ、いかん!」
ラウル「何なんです!?」
キサブロー「ショウコ、テレビモニターを!」
ショウコ「う、うん!」
(モニターオン)
ミズホ「あっ、モニターに……」
キサブロー「うむ、レーダー画面じゃ」
ショウコ「光の点がいっぱい近づいてくる……!」
キサブロー「データ一致……アーチンか!」
ラウル「ゲストか!」
ミズホ「ど、どうして、ここに……!?」
コウタ「爺ちゃん、カイザーはすぐに出せるのか!?」
キサブロー「いや、今は整備中での……」
コウタ「だったら、ファイター・ロアで戦うぜ!」
(速い足音・コウタが立ち去る)
ショウコ「あっ、お兄ちゃん!」

〔戦域:浅草周辺〕

(街の南側にガロイカが多数いる。雷門の南西に爆煙)
トウマ「うわああっ!」
(トウマのいるすぐ南側に爆煙)
トウマ「くっ! いったい、何が!?」
(ガロイカを指す)
トウマ「あ、あのマシンは!」
市民(男性)「に、逃げろ!!」
市民(男の子)「お母さん! お母さーん!!」
市民(青年)「あ、足が……足が動かない!」
トウマ「くそっ、そのままじゃ街が!」
(トウマに通信)
フィオナ「トウマ、聞こえる!?」
トウマ「あ、ああ!」
フィオナ「すぐに地下街へ逃げて!  そこにシェルターがあるから!」
トウマ「シェルター!?」
フィオナ「こういう時のために、アズマ博士が造ったそうよ。 電光標識と誘導灯で場所がわかるように なってるって……急いで行って!」
トウマ「わかった!」
トウマ「みんな、地下にシェルターがある!  標識と誘導灯を見て、そこへ逃げるんだ!」
市民(青年)「だ、だけど、足が……!!」
トウマ「俺が肩を貸す! さあ、早く!」
ミナキ「こんな時にゲストが襲ってくるなんて……!  これじゃ、アズマ研究所には……」
コウタ「宇宙人共め、これ以上はやらせねえ!  行くぜ、ロア!」
ロア「ああ」
コウタ「バーナゥ! レッジー・バトゥー!  ファイター・ロアッ!!」
(炎が立ち上がり、その中からファイター・ロアが出現)
ロア「コウタ、敵の目的が解せん。慎重にな」
コウタ「宇宙人の目的は地球侵略だろうが」
ロア「ゲストが浅草に戦略的価値を見出したとは思えん。 仮にBFベースが狙いだとしても、 何故、アーチンだけを送り込んで来た?」
コウタ「後で本命が現れるんじゃねえのかよ?」
ロア「ならば、最初からそれを出した方が……」
コウタ「ええい、ゴチャゴチャ言ってる場合じゃねえぜ!」
(ファイター・ロアに通信)
キサブロー「コウタ、すぐにGサンダーゲートとエクサランスを 出撃させる。ただし、連邦軍かガイアセイバーズが 出動したら、お前達はすぐに後退せい」
コウタ「何でだよ!?」
キサブロー「これまで連邦軍に対しては、 ワシやレフィーナ大佐の根回しで BFベースの存在を有耶無耶にしてきたが……」
キサブロー「ガイアセイバーズ相手では、そうもいかんだろう」
コウタ「……!」
ロア「ならば、ここでGサンダーゲートと エクサランスを出すのは危険だ。 俺とコウタだけで何とかする」
コウタ「ああ。俺達なら、すぐに身を隠せるしよ」
キサブロー「いや、被害を抑えるために 敵を一刻も早く倒さねばならん」
キサブロー「それを成し遂げるためには、ショウコやラウル達の 力が必要じゃ。今、浅草を護れるのはワシらだけ…… ここで手をこまねいてはおられん」
コウタ「わかったぜ!」
(作戦目的表示)

〈2PP〉

キサブロー「ハンガー、移動終了。 地上防御柵、煙幕噴射装置、作動確認。 ゲート周辺、安全確認……開放!」
キサブロー「ショウコ、ラウル、カウントダウンは省略!  VTOLで発進せい!」
【デモイベント『Gサンダーゲートとエクサランス・レスキューの発進』】
(Gサンダーゲートとエクサランス・レスキューが出撃)
ショウコ「お兄ちゃん、お待たせ!」
コウタ「ショウコ!」
ラウル「エクスフェアリーを3機出して、 消火と救助作業を行う。ラージ、ミズホ、デスピニス、 コントロールを頼むぞ」
ラージ「わかりました。 僕が1号機を担当します。ミズホは2号機、 デスピニスは3号機を」
ミズホ「はい!」
デスピニス「わかりました」
ショウコ「行くわよ、ゲスト!  浅草を……ううん、ショウコ達の星を あなた達の好きにはさせないから!」
ミチル「キサブローはん、これはどういうこっちゃ!?  ショウコはんとコウタはいったい……!?」
キサブロー「見ての通り…… あの二人は、ゲストやルイーナのような敵から 地球を護るために戦う戦士じゃ」
ミチル「……!!」
キサブロー「ミチル、お前を巻き込むつもりはなかった。 事が済んだら、家へ帰るがいい。 ただし、ここで知り得たことは秘密でな」
ミチル「キサブローはん……」
(作戦目的表示)

状況選択

3PPになった
敵機を全滅させた


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