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運命の風 地上ルート ~ 第36話 ~

[ヒリュウ改 ブリッジ]

ユン「連邦軍部隊は北磁軸極付近でルイーナと戦闘中、 足止めされています。なお、各隊とも本艦の 針路上から外れています」
ユン「ただし、ガイアセイバーズの エア・クリスマスが北磁軸極突入…… ルイーナと戦闘を行っているようです」
ショーン「彼らは連邦軍を囮として利用したのですかな」
レフィーナ「エア・クリスマスはハガネと同じく、 ISAに基づいて建造された艦だと思います」
レフィーナ「当初からその能力を用い、 電撃戦を行う予定だったのでは?」
ショーン「下手をすれば、三つ巴ですな。 艦長、減速して様子を見ますか?」
レフィーナ「いえ、リー・リンジュンはこの状況で 私達に仕掛けるほど愚かではないでしょう。 本艦はこのまま北磁軸極へ突入します」
ショーン「了解しました」


第36話
運命の風

〔戦域:北磁軸極・セプテンプルム周辺〕

(セプテンプルム上にプリスクス・ノクス、ストゥディウム、ファービュラリス、 南側にエア・クリスマスを含むガイアセイバーズがいる)
カーリー「また失敗か!?」
オペレーター「は、はい!  バリアに触れた途端、消滅しました!」
カーリー「もう一度、一斉攻撃を!  アルファとガンマ各機にもそう伝えろ!」
オペレーター「はっ!  セイバー1よりアルファ、ガンマ各機!  目標へ攻撃を開始せよ!」
エグレッタ「フン……」
アルベロ「各機、聞いての通りだ。仕掛けるぞ!」
シオ「……無駄だと思うし」
シエンヌ「撃ちな、シオ。 このままじゃ、つまらないからね」
シオ「シエンヌがそう言うのなら」
アルベロ「各機、攻撃開始!」
(メディウス・ロクス、エア・クリスマス、キャニス・アルタルフから砲撃。セプテンプルムに反応はなし)
オペレーター「駄目です! バリアを破れません!」
カーリー「うぬっ……!」
シアン「チッ、敵はたった3機しかいねえのによ!」
ウンブラ「無駄なのだ、人間達よ。 セプテンプルムを破ることは出来ぬ」
ウンブラ「さあ、怨嗟の声を上げよ。それがアートルム・ エクステリオルを維持し、ウェントスを通じて “破滅の王”へ捧げられる糧となる」
ウェントス「………」
シエンヌ「あ~っ、イライラするねえ、こういうの!  手柄を立てられないじゃないのさ!」
シオ「僕、寒いのは嫌いだし、早く帰りたいよ」
アルベロ「……エルデ、分析結果は?」
エルデ「あの障壁は次元断層と似ています。 例え核を使っても、破ることは不可能でしょう」
エグレッタ「カーリー大佐、 いったん退いた方がいいんじゃないか?」
カーリー「ここまで来て、そのようなことが出来るか!  ガイアセイバーズの面子が掛かっているのだぞ!」
エグレッタ「僕なら、ここで手勢を出すよ。 いたぶるなら、それが一番だからね」
カーリー「その程度の予測ぐらい、私もしている!」
グラキエース「……!」
ウンブラ「どうした、グラキエース」
グラキエース「あの人間が来る……!」
ウンブラ「何……?  このセプテンプルムの中で、それがわかるのか?」
グラキエース(そうだ……何故、そんなことが……!?)
ウェントス(これは……何だ? 何が僕を……)
(エア・クリスマスにアラート)
オペレーター「ヒリュウ改、接近! 3時方向より真っ直ぐ!」
カーリー「!」
(南東端にヒリュウ改、エール・シュヴァリアー、ブランシュネージュが出現。出撃準備)
ゼンガー「もしや、あれがセプテンプルムか?」
ギリアム「おそらくな」
(セプテンプルムを見る)
ジョッシュ「グラキエース……!」
グラキエース(奴の思念がセプテンプルムで 遮断されていない……!?)
ジョッシュ(あいつ、動揺しているのか?  それに、シンクロ・ゲージのこの乱れ方…… 前回とは違うぞ……!)
リム(リアナ)(何、これ……? この子の調子が……!)
リム(クリス)(へ、変よ、リアナ……気持ち悪い……!)
リム(リアナ)(メリオルエッセと戦った時、 この子の調子がおかしくなることは 何回かあったけど……これは……!)
リム(クリス)(こ、こんな感じは初めてだよ……!)
ウェントス「………」
カーリー「ヒリュウめ、ここまで来るとは……!」
エクセレン「あらら、予想に反して膠着状態?  三つ巴になったら、分の悪さに 拍手が掛かっちゃうわねぇ」
ブリット「拍車です、拍車」
エクセレン「あらん。 じゃ、その冷静なツッコミに拍手ってことで」
ショーン「艦長が仰った通り、ガイアセイバーズは こちらに仕掛けて来ぬようですな」
レフィーナ「……ええ」
アクア「ヒュ、ヒューゴ! あそこを見て!」
(メディウス・ロクスを指す)
ヒューゴ「メディウス・ロクス……!  ミタールめ、そういうことか」
アクア「じゃあ、私達の機体と戦わせたのは……!」
ギリアム「模擬戦ではなく、実戦でTEアブゾーバー同士の 戦闘データを取ることが目的だったのだろう」
アクア「それで機体が壊れたり、 最悪、パイロットが死んだりしたら……」
ギリアム「その点は、大した問題ではないのだろうな」
ヒューゴ(……いかにもあの男が考えそうなことだ。 だが、そういうデータ取りは、やろうと思えば ガイアセイバーズの中でも出来たはず)
ヒューゴ(なのに何故、連邦軍の軍人である俺達を パイロットとして選び、教導隊へ出向させた?)
アルベロ「……これでミタールとお前の思惑を あの2人に気づかれたな」
エルデ「連邦軍から追われる身となった彼らが 何を言おうと、どうとでもなりますわ。 大義は、私達にあるのでしょう?」
アルベロ「………」
カーリー「……総員に告ぐ。 我々は現戦域より一時後退する」
シアン「何だと!?」
シエンヌ「ここから逃げるってのか!  結界と鋼龍戦隊はどうすんだ!」
アルベロ「黙って命令に従え、シエンヌ」
シエンヌ「あんたはそれでいいかも知れないが、 こっちは手柄が欲しいんだよ!」
エルデ「ヒューゴ少尉達と戦わずに済む…… そういうことですか、アルベロ少佐?」
アルベロ「邪推だな」
エルデ「それならば結構です。 いくら元部下とは言え、我が子の可愛さに 勝るものではないですものね」
カーリー「……各機、これはアルテウル司令直々の命令だ。 我々は一時後退する」
エグレッタ「アンノウンの相手は、鋼龍戦隊に任せるということか」
シアン「その後で消耗したあいつらを叩く…… なるほど、そっちの方が美味しいぜ」
シオ「僕はこのまま帰ってもいいし。寒いの嫌だし」
カーリー「艦前方へ弾幕展開! 後退する!」

<鋼龍戦隊からエア・クリスマスとメディウス・ロクスを見る>

アクア「! メディウスが……」
ヒューゴ「こっちを見ているのか……?」
アルベロ(ヒューゴ……自分の力で生き残ってみせろ)

〔戦域:北磁軸極・セプテンプルム周辺〕

(ガイアセイバーズの機体が全て撤退)
ヒューゴ「!!」
ユン「ガイアセイバーズ、後退していきます!」
タスク「あいつら、 ルイーナを俺達に押し付けてトンズラかよ!」
ユウキ「いや、漁夫の利狙いだろうな。 俺達がセプテンプルムを消滅させても、 あの連中が襲い掛かってくる」
ユウキ「最悪の場合、ルイーナとの戦闘中に 背後から撃たれかねない」
タスク「あ、あり得るかもねぇ」
ラージ「先程のガイアセイバーズの攻撃で判明したことですが、 セプテンプルムのバリアは、次元断層と 似たような効力を持っているようです」
ラウル「じゃあ、通常の攻撃では破れないってことか……」
ラージ「ええ。 念のために言っておきますが、エクサランスで 突撃しても同じことですよ」
ラウル「わかってるよ」
デスピニス「でも、次元断層と違って、 あの結界は中の様子が見えます……」
ラージ「いい着眼点ですね、デスピニス」
ラウル「だから、どうだって言うんだよ?」
ラージ「あの結界は、次元断層とは似て非なるものだという 可能性があります。もしかしたら、 突破する方法があるかも知れません」
タスク「前にはルイーナ、後ろにゃガイアセイバーズ…… おまけに結界を破る確実な手段がないときた。 こりゃ、分が悪過ぎる賭けだぜ……」
キョウスケ「いつものことだが、嫌いじゃない」
ジョッシュ「……あの結界があっても、グラキエースの思念を 感じられる。つまり、あれは全てのものを 遮断しているわけじゃない……」
ラージ「ええ。メリオルエッセの機体は 出入り出来るようですし、中が見えるということは 光を通しているわけですから」
ジョッシュ「もっと近づけば、何かの反応があるかも…… この状況を変えられるかも知れない」
ユウキ「それも希望論……しかも、お前が最も高いリスクを 背負うことになるぞ」
ジョッシュ「次元断層を消滅させる…… あるいは、そのヒントを掴むだけでもいい」
ジョッシュ「分が悪かろうが何だろうが、 やってみなきゃ始まらない」
エクセレン「ジョッシーがその気なら、 私達は全力でサポートするわよん」
キョウスケ「道はつけてやる。 お前はメリオルエッセとの接触に専念しろ」
ジョッシュ「わかりました。 ……リム、お前は後方援護に回るんだ」
リム(リアナ)「………」
ジョッシュ「どうした、リム?  もしかして、そっちのシュンパティアも……」
リム(リアナ)「う、ううん……何でもない……!」
リム(クリス)(リ、リアナ……この感じ…… 多分、あそこにいる機体のどれかが 原因じゃないかなぁ……)
(プリスクス・ノクスを指す)
リム(リアナ)(そうだね……近づいてみよう。 アニキが言ってたように、何か反応があるかも)
リム(クリス)(だ、大丈夫……?)
リム(リアナ)(やるしかないわ、この状況じゃ。 アニキがグラキエースの所へ行くのなら、 あたしもあそこまで行ってみる)
(セプテンプルムの南端を指す)
ウンブラ「来るか、ならば……」
(ルイーナ機が出現。作戦目的表示)

〈2PP or ブランシュネージュが戦域の中央より北へ移動〉

(ブランシュネージュが揺れる)
リム(リアナ)「な、何、これ!? システムが!」
リム(クリス)(リ、リアナ!)
ジョッシュ「リム、どうした!?」
リム(リアナ)「わ、わからないよ! うぅ……ああっ!!」
(ブランシュネージュに共振)
リム(クリス)(ひっ、誰!? リアナ、これ、誰!?)
リム(リアナ)(こ、この感じは……さっきのと違う!)
ジョッシュ「シュンパティアにノイズが……!  だが、今までのとは違うぞ!」
リム(リアナ)(ううっ! あああっ!!)
(ストゥディウムに共振)
ウェントス(君は……誰だ? 何故、僕を呼ぶ……?)
リム(リアナ)(知らない、あんたなんか知らない!)
ウェントス(何故、僕の意識の中に入ってくる……?  もう一人の人間は、そうではないのに……)
リム(リアナ)(やめて! あたし達に触らないで!)
ウェントス(クリスにリアナ……君の名か……)
リム(クリス)(な、何でそれを!?  私、名前なんて言ってないのに!)
リム(リアナ)(! アニキの時と同じ!?)
ウェントス(僕には……君が、君達が僕を引き寄せているとしか 思えない……)
リム(クリス)(嫌だよ、リアナ! 嫌だぁ! 何、これ!?)
(ストゥディウムに共振)
ウェントス「くっ!」
(ストゥディウムが揺れ、システムダウン)
ウェントス「うう……!!」
ウンブラ「セプテンプルムに揺らぎが…… 何をしているのだ、ウェントス」
ウェントス「干渉を受けている……不安定だ……」
グラキエース「何だと?  まさか、お前もあの人間の……」
ジョッシュ「!」
ウェントス「違う……僕は彼女達だ……」
グラキエース「彼女……達?」
ジョッシュ(リムのことか!)
グラキエース「!」
ジョッシュ(このノイズは、リムとあいつの余波なのか!?  どうなんだ、グラキエース!?)
グラキエース(くっ、前回よりも つながり易くなっているとでも……?)
ウェントス(……何故、君達は僕を乱そうとする……?)
リム(リアナ)(そ、それはこっちの台詞よ、ウェントス!)
ウェントス(そう……僕は初めのメリオルエッセ。 でも、二つの魂を持つ娘、君は……)
リム(クリス)(嫌! やめて、来ないでぇ!!)
ウェントス(僕にも何が起きているか、わからない…… だけど、恐れてはいけない。恐怖してはいけない。 憎んではいけない……)
ウェントス(それは、“破滅の王”が求めるものだから)
リム(リアナ)(えっ……!?)
ウンブラ「やめよ、ウェントス。 セプテンプルムの力が弱まっている」
ウンブラ「お前はそこで糧を供給し、 アートルム・エクステリオルを維持していればよい。 そのために、お前は生み出されたのだから」
ウェントス「………」
リム(リアナ)「! 遠ざかった……!?」
リム(クリス)(うぅ~、気持ち悪かったよぉ……)
レーツェル「もしや、ジョッシュとグラキエースのように 君もメリオルエッセと……?」
リム(リアナ)「た、多分……」
レーツェル「ジョッシュ、君はどうなのだ?」
ジョッシュ「グラキエースと違って、思念は感じられませんでした。 でも、あいつは……他のメリオルエッセと 違うような……」
クリフォード「……聞こえるか、ジョッシュ。 先程、セプテンプルムの表面にゆらぎのような 現象が見受けられた」
クリフォード「タイミングも一致している。 これは、シュンパティアによる干渉が もたらした結果である可能性が高い」
ジョッシュ「なら、このまま近づけば、 賭けの勝率が上がるってことか」
クリフォード「君ではなく、リムの方かも知れんがな」
ジョッシュ(俺だって、近づけばどうなるかわからないんだ…… ここでリムまで……)
リム(リアナ)(クリス……)
リム(クリス)(う、うん……わかってる)
リム(リアナ)「アニキ……あたし、行くよ。 セプテンプルムを何とか出来るかも 知れないんでしょ」
ジョッシュ「しかし……!」
リム(リアナ)「太陽や星がない空は、もう嫌だもの。 分の悪い賭け、アニキと一緒に乗るよ」
ジョッシュ「……わかった」
エクセレン「んじゃ、兄妹まとめて面倒見ちゃいましょっか」
ゼンガー「ジョシュア、露払いは我らに任せよ」
ジョッシュ「すみません、お願いします」
ウンブラ「……なおも挑むか。 これ以上の干渉は危険かも知れぬ。 私が出よう」
グラキエース「ならば、私も」
ウンブラ「いや、お前はそこにいるのだ。 彼らからの影響を受けずに済むのは、 私だけのようだからな」
グラキエース「………」
ウンブラ「問題があるのは、こちら側ではなく、 向こう側のシステムか……」
ウンブラ「人があれに手を加えたことによって、 思いも寄らぬ能力を発揮しているのかも知れぬ」
グラキエース「では、あのマシーンを破壊すれば……」
ウンブラ「ああ。 ウェントス、セプテンプルムの扉を」
ウェントス「……わかった」
(プリスクス・ノクスがセプテンプルムの結界の外に出る)
コウタ「あいつ、外に出て来やがったぞ!」
ロア「つまり、エール・シュヴァリアーと ブランシュネージュに近づかれると 都合が悪いということだな」
コウタ「あ、なるほど」
(プリスクス・ノクスから通信)
ウンブラ「……人よ、聞くがよい。 私はメリオルエッセ、ウンブラ。 死をもたらす闇の影」
ブリット「ウンブラ……」
ラウル「今までに接触したメリオルエッセの中で、 一番人間離れしてる奴だな……」
アイビス「男なのか女なのか、それすらもわからない……」
タスク「う~ん……女のような気がする。何となく」
カチーナ「んなこたぁ、どっちでもいいんだよ!」
ウンブラ「アートルム・エクステリオルによって この星は負の波動で満ち……それを受けて “破滅の王”は来る。その邪魔はさせぬ」
カチーナ「アートルム……? 何だ、そりゃ!?」
ウンブラ「お前達が次元断層と呼んでいるものだ」
リム(リアナ)「アニキ、あの声……!」
ジョッシュ「ああ、南極で聞いたな」
レーツェル「ウンブラの相手は我らに任せ、 君達はセプテンプルムへ向かいたまえ」
ジョッシュ「わかりました。 ……リム、あのメリオルエッセと接触するまで 慎重にな。戦闘は極力避けろ、無駄弾を撃つなよ」
リム(リアナ)「うん……!」
リム(クリス)(リアナ、私達が目指す場所、わかってるよね?)
リム(リアナ)「ええ、あそこでしょ!」
(プリスクス・ノクスの北側を指す)
ウンブラ「破滅を定められし者達よ…… 憎しみと苦しみの闇に包まれ、滅びを迎えよ」

〈vs ウンブラ〉

[ジョッシュ]

ジョッシュ「ウンブラ……避けては通れないか!」
ウンブラ(ノイズが生じる…… だが、私の機構にさしたる異常はない)
ウンブラ(何故、グラキエースとウェントスだけが……?)

[リム]

リム(リアナ)(他のメリオルエッセと同じだ…… シュンパティアの調子がおかしくなるだけ……)
リム(リアナ)(じゃあ、ウェントスはいったい何なの!?)
ウンブラ(接触して理解した……この人間、もしや……)

状況選択

ブランシュネージュが指定位置へ到達した
プリスクス・ノクスのHPを50%以下にした


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