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召喚 ヒリュウ改に立ち寄らない ~ 第2話 ~

高度に発展した科学技術は、魔術と区別がつかない。
        ――アーサー・C・クラーク

地球内部の異なる位相空間にある地底世界、ラ・ギアス。
数々の事件を経て、マサキは第二の故郷とも言える
その世界へ帰還した。

かつて、マサキが身を寄せていた神聖ラングラン王国は
王都を襲った大規模なテロにより、中央政府としての
機能をなくし、事実上崩壊した。

時を同じくしてシュテドニアス連合が侵攻……
ラングランは混乱の渦に巻き込まれた。

テロ計画を裏で操っていたと思われたシュウを追って
地上に出たマサキではあったが、彼の死後、
紆余曲折を経て再びラングランへ戻って来た。

現在のラングランはシュテドニアス軍、
ラングラン軍、独自の行動を取るカークス軍の
三つ巴の中にある……。

《聖ラングラン王国 ルザック州 ラモンド市 (サイバスター)》

(山間部)

マサキ「現在地は……ルザック州ラモンド市の南、 約30キロってとこか」
シロ「ってことは、おいら達…… やっぱり、ラ・ギアスへ戻って来たんだニャ」
マサキ「ああ、元々そのつもりだったからな」
クロ「でも、あたし達の他には誰もいニャいわ…… キョウスケとリュウセイは……?」
マサキ「俺達がここへ出たってことは…… あいつらも地上へ戻ったんじゃねえか?」
クロ「だといいけど……」
シロ「それにしても、 ホントに色んなことがあったニャ」
マサキ「ま、大変だったが、結果オーライってことで。 キョウスケやリュウセイはともかく、他の連中に あの話をすると色々ややこしくなりそうだからな……」
マサキ「当面は内緒にしとこうぜ」
クロ「わかったニャ」
マサキ「さて、ラ・ギアスに戻って来たのはいいが……」
クロ「どこかで情報を仕入れた方がいいニャ」
マサキ「……じゃあ、とりあえず あいつらから聞き出してみるか」
クロ「えっ? あ、10時方向に熱源反応! 近いニャ!」
シロ「ニャ、ニャんで気づかニャかったんだよ!」
マサキ「ここらは精霊の数が少ないからな。 サイバスターの精霊レーダーでも限界はあるさ」
クロ「この反応だと、カークス軍じゃニャいわね。 エネルギー反応が小さ過ぎるニャ」
マサキ「ああ、この殺気剥き出しの気配は…… 山賊ってとこだな」
クロ「山賊? ゲリラでしょ?」
マサキ「いいんだよ、あいつらは金儲けしか頭にねえんだ。 山賊で充分。行くぜ、クロ、シロ!」
クロ「わかったニャ!」


第2話
召喚

〔戦域:草原〕

(少し小高い場所にサイバスターがいる。中央にルジャノール改が4機出現)
部下A「ア、アニキ! ありゃあ、魔装機神ですぜ!!  軍にいた時、見たことがありやす!」
ゴルド「何だと!? あれがか!?」
部下B「げえっ! に、逃げましょう、ボス!  勝ち目はないッスよ!!」
ゴルド「待て! こいつはいいチャンスだ!  魔装機神を手に入れたとなりゃあ、 このゴルド様の株も一段と上がる!」
ゴルド「ガデックの奴らにデカい顔をされることも ねえってわけだ! てめえら、死ぬ気でかかれ!  あいつを手に入れりゃ、俺達は大金持ちだ!」
シロ「……あんニャのでサイバスターに 勝てるつもりなのかニャ」
マサキ「山賊なんて、あんなもんさ。 自分の力を考えずに、目の前の餌に飛びつきやがる。 パターン通りって奴だな」
クロ「どうするの、マサキ?」
マサキ「目的は情報収集だが…… あの手の連中が素直に答えるとは思えねえ。 どやしつけて、ちょいと捻ってやるぜ」
クロ「どやしつけるって……」
マサキ「まあ、見てな」
マサキ「おい、山賊共!  大人しく降参するか、ここで死霊の餌食になるか、 二つに一つ! さあ、とっとと選びやがれ!!」
ゴルド「ぬうっ!? な、何だ、あの気迫は!?  あ、あれが魔装機神……!!」
シロ「ニャ? 意外に効果あるニャ」
マサキ「とは言え、欲の方が勝つだろうよ」
ゴルド「ええい、お宝を目の前にして引き下がれるか!  いくら魔装機神でも4機で一斉にかかれば、 何とかなる!」
ゴルド「コックピットさえ潰してしまえば、 ただの木偶の坊よ!」
マサキ「なら、来やがれ! 軽く捻ってやるぜ!」
(作戦目的表示)

〈vs ゴルド〉

[マサキ]

ゴルド「魔装機神を手に入れりゃ、 昨日の赤っ恥も帳消しだ!」
マサキ「何をわけのわからねえことを!  サイバスターに勝てると思うなよ!」

[撃墜]

ゴルド「ま、魔装機神……! ば、化け物か!!」
(ゴルド機が爆発)

〈敵機全滅〉

ゴルド「く、くそっ、こうもあっさりと……!」
マサキ「ヘッ、魔装機神を甘く見るんじゃねえぜ」
ゴルド「こ、こうなったら……先生、お願いします!」
クロ「せ、先生!?」
シロ「何のことニャ?」
マサキ「まさか、用心棒がいるのか!?」
(西端の森にライン・ヴァイスリッターが出現)
エクセレン「はいは~い!  呼ばれて飛び出てララララ~ン!」
マサキ「あ、あれは!?」
エクセレン「あの人達には、一宿一飯の恩義があるのよね。 まあ実際、昨日の話なんだけど」
エクセレン「義理と人情を秤にかけりゃ、 義理が重てぇ渡世の掟……ってな感じ?」
マサキ「ライン・ヴァイスリッター!  エクセレンか!?」
エクセレン「ととと、よく見たらサイバスターじゃない?  じゃ、乗ってるのは……」
マサキ「俺に決まってんだろうが!」
シロ「ニャ、ニャんでエクセレンが こんニャ所に……!?」
クロ「い、いったい、どういうことニャ……!?」
エクセレン「それは……こっちが聞きたいぐらいなんだけど」
(サイバスターがゴルド機が爆発した場所まで移動し着地)
マサキ「頭目はてめえだったな。聞きてえことがある」
ゴルド「……いくら出す?」
マサキ「ほう、まだそんな口が利けるのか。 その生意気な口は……この口か!!」
ゴルド「いっ!! いひゃいっ! いひゃいっ!!  ふ、ふいわへん、いいわふっ! いいわふって!!」
マサキ「そうそう、人間素直が一番だぜ」
ゴルド「……で、何を聞きたいんで?」
マサキ「あの用心棒、どこで拾った?」
ゴルド「拾ったって言うか…… 痛い目に遭ったって言うか……」
エクセレン「あらん、人聞きが悪いわね。 か弱い乙女をいきなり襲ったのは、 どこの誰かしらん?」
マサキ「か弱い乙女、ねぇ……」
クロ「……山賊は、機体を奪おうとして 返り討ちにあったのね」
マサキ「それで用心棒になるたぁ、どういう了見だ?」
エクセレン「まあ、話の流れもあるし、情報収集のためにもね。 いきなりラ・ギアスへ引きずり込まれて、 困ってたから」
マサキ「引きずり込まれただと!?」
エクセレン「ええ。 ラ・ギアスの話は、前にマーサからも聞いてたし、 山賊さん達からも説明してもらったけど……」
エクセレン「多分、この世界へ来たのは私だけじゃないわ。 もしかしたら、一緒に演習をやってた 鋼龍戦隊のみんなもここへ……」
マサキ「何だって……!?」
クロ「マサキ、やっぱり情報が必要よ」
マサキ「そうだな……おい、山賊」
マサキ「ここしばらくのラ・ギアスの状況…… 各勢力の動き、特にカークス軍と シュテドニアス軍について、教えてもらおうか」
ゴルド「フェイルロード軍については、いいんですかい?」
マサキ「何!? フェイルロード軍!?  フェイル殿下が生きていたのか!?」
ゴルド「へっ? 知らなかったんですかい?  フェイルロード王子は今、サイツェット州のレッグ島で シュテドニアスの奴らと戦ってるそうですぜ」
マサキ「その話、もっとくわしく聞かせてもらおうか」
ゴルド「承知しました。お話し致しましょう」
エクセレン「あら、キャラが変わっちゃった?」
マサキ「何なんだ、お前?」
ゴルド「それがしはゴルド・バゴルドと申します。 今でこそ山賊なぞをやっておりますが、かつては シュテドニアス軍の守備隊長を務めておりました」
マサキ「シュテドニアスの?」
ゴルド「ええ。 ですが、それがしの妻はラングラン出身でした」
ゴルド「そのため、内務部の査察にはめられ…… 軍を脱走したのです」
ゴルド「そして……風の便りに妻が病死したと聞き、 自棄になって山賊稼業を……」
マサキ「………」
ゴルド「しかし、あなたの戦いぶりを見て、 目が覚めた思いです。どうかお願い致します。 それがしを連れていって下さらぬか?」
マサキ「……言っとくが、きびダンゴはねえぜ」
ゴルド「は?」
マサキ「いや、何でもない。 要するに、あんたはシュテドニアスに 復讐したいわけだ……」
マサキ「ま、動機はイマイチだが、いいだろう。 ついてきな」
ゴルド「あ、ありがとうございます。 必ずやお役に立ちまする」
マサキ「じゃあ、まずは食い物でも……」
クロ「マサキ、精霊レーダーに反応!  エネルギー反応と空間の歪みが!」
マサキ「歪み!? まさか!」
【デモムービー『ゲートが開く』】
マサキ「ゲートだ……!  地上人が召喚されたのか……!?」
シロ「あっ!  魔装機が3体、こっちに接近してくるニャ!」
(西端にブローウェルとルジャノール改が2体出現)
マサキ「あれは……ルザック州軍の機体だな」
トールス「サイバスターに乗っておられるのは、ランドール殿か?  私は、ルザック州軍国境警備隊のゼテキネス中尉だ。 聞こえているか?」
マサキ「ああ。 ルザックにはまだシュテドニアスの手が 伸びてねえようだな」
トールス「やはり、ランドール殿でしたか。 もしや、ゲートを調査するため、この地へ?」
マサキ「俺は偶然居合わせただけだ。 それから、俺の名はマサキだ。 ランドールの名は捨てた」
トールス「わかりました、ラ……マサキ殿」
エクセレン「……ねえねえ、マーサってば 地上じゃ迷子の仔猫ちゃんだけど、 こっちじゃ偉い人だったりするの?」
マサキ「誰が迷子の子犬だっ!」
クロ「猫ニャ、猫」
マサキ「ちぇっ……それより、 ゲートが開いた原因に心当たりは?」
トールス「以前より調査は進められているようですが、 私達には何とも……」
マサキ「以前より? 前にもこんなことがあったのか?」
トールス「おや、ご存じありませんでしたか?  ここしばらく、原因不明のゲートが開かれるという 騒ぎが多発しておりましてな」
トールス「すでに多くの地上人が、 この地に召喚されております」
マサキ「それでエクセレンも……?」
(サイバスターに警告シグナル)
クロ「精霊レーダーに反応!  でも、魔装機じゃニャい! すぐそこまで来てる!」
マサキ「チッ、レーダーがまともに機能してねえな!」
トールス「精霊波の干渉が大き過ぎるのです。 『調和の結界』が破れてから、 精霊の力が不安定になっております」
シロ「こっちに突っ込んで来るニャ!」
(北西端にガーリオンとリオン・タイプVが4機出現)
マサキアーマードモジュールだと!?」
トールス「申し遅れましたが、召喚された地上人は あのような魔装機モドキに乗っている場合が 多いのです」
エクセレン「でも、あれ……連邦軍の機体じゃないわよ」
マサキ「もしかして、ノイエDCの残党か……!?」
トールス「シュテドニアス軍がああいう輩を 傭兵として徴用しているのです」
マサキ「ちっ……! あいつらは俺が片づける!  トールス、あんたは引き揚げろ!」
トールス「いえ、我々もお手伝いします、マサキ殿」
ノイエDC兵「オレグ大尉! あれはサイバスターです!」
オレグ「ああ、わかっている。そして……」
エクセレン「ん? ヴァイスちゃんを見てるのかしら?」
オレグアインスト! 奴もこの地に来ていたか!」
エクセレン「ええっ!?」
オレグ「この傷の痛み、貴様にも味わってもらう!」
マサキ「何だ、あいつ……!?  ライン・ヴァイスリッターを アインストと勘違いしてんのか!?」
エクセレン「まあ、見た目は確かにアインストっぽいけどね」
マサキ「前にあいつとやり合ったことがあるのかよ?」
エクセレン「ううん、初対面だと思うけど…… 本物のアインストに怨みを持ってて、 八つ当たりしてるのかもね」
オレグ「アインストは俺が仕留める! 攻撃開始!」
ノイエDC兵「了解!」
(作戦目的表示)

〈vs オレグ〉

[マサキ]

オレグ「行くぞ、サイバスター!」
マサキ「てめえら、ノイエDCの残党か!?」
オレグ「俺達がどこに属していようが、 貴様が敵であることに変わりはない!」

[エクセレン]

オレグ「アインストは残らず駆逐する!」
エクセレン「もう大元はいなくなっちゃってるんだけど…… 言っても無駄な感じねぇ」
オレグ「その機体と貴様がいる限り、 アインストは滅びたことにはならん!」
エクセレン(アルフィミィちゃんのことは…… 言わない方がいいわよね)

オレグを撃墜したのは
エクセレン エクセレン以外


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