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星なき空 ~ 第1話 ~

SUPER ROBOT WARS OG

EPISODE 3
THE GAIA SAVIOUR

新西暦と呼ばれる時代。

異星人や並行世界からの来訪者達との戦いが終わり、
しばしの時が経った頃……

かつて、異星人エアロゲイターが送り込んだ隕石
「メテオ3」の落着地であり、地球圏で内乱を引き起こした
軍事結社「ディバイン・クルセイダーズ(DC)」の本拠地
でもあった南太平洋マーケザス諸島沖のアイドネウス島……
その周辺海域は封鎖され、しばらくの間、
歴史の表舞台から姿を消していた。

だが、その裏ではある計画が着々と進められていた。

それは、地球連邦政府大統領の意のままに動き、
ISA戦術(空母の役割を果たす機動戦艦と、
そこに搭載された人型機動兵器による電撃戦)を
用いる特殊作戦部隊……コードネーム「GS」の設立である。

「GS」は地球連邦軍から独立した軍組織であり、
その主任務は軍事問題における大統領匿名の遂行である。

そして、二人の大統領特別補佐官の指揮の下、
アイドネウス島の再要塞化が進められ、
そこに様々な計画の成果物、数々の新型兵器が
集められつつあった。だが、「GS」の正体は伏せられ、
表向きには新型兵器の実験部隊とされていた。

はたして、「GS」は地球圏を守る新たな剣たり得るのか?

様々な力と思惑が、時空を鳴動させ……
異界への扉を開く……。

[墓地]

アイビス「………」
ツグミ「……もう行きましょう、アイビス」
アイビス「ツグミ…… どうして、教えてくれなかったの……?」
ツグミ「………」
アイビス「どうして、フィリオが病気なのを 教えてくれなかったの……!?」
ツグミ「……ごめんなさい……」
アイビス「治らない病気だとしても、 せめて知っていたかった……。 そうしたら……」
ツグミ「どうしたと言うの?」
アイビス「え……」
ツグミ「アイビス…… フィリオの命がもうすぐ尽きることを知っていたら、 あなたはGRaMXsを成し遂げられたの?」
ツグミ「フィリオが死ぬことを知っていたら、 私達は本来の目的を達成できていたの?」
アイビス「それは……」
ツグミ「私達は、私達の出来ることをやるしかない……。 フィリオの遺してくれた翼で」
アイビス「翼……アルテリオン……」
ツグミ「シリーズ77……コードα。 プロジェクトTDの到達点の一つ」
アイビス「でも、アルテリオンだけじゃ……」
ツグミ「それは今、考えることではないわ。 私達はまずアルテリオンを完成させなければ」
アイビス「………」
ツグミイスルギ重工は引き続き、 資金面での支援を約束してくれたわ」
アイビス「でも、それはTDを利用するためで……」
ツグミ「例え、プロジェクトTDの成果物を 軍事利用するためだとしても、今の私達は それにすがるしかない」
ツグミ「フィリオを失っても、 プロジェクトTDを続けていくために」
アイビス「……うん……」
ツグミ「明日からアルテリオンのテストが始まるわ……。 今日はゆっくり休んでね、アイビス」
(足音・ツグミが立ち去る)
アイビス「………」
アイビス「フィリオ……もう会えないんだね……」
アイビス「フィリオが倒れてから、今日までのこと…… 全部、夢だったらよかったのに……」
アイビス「フィリオはあたしに空を見上げて、 星を見ることを教えてくれた……」
アイビス「でも、見えないよ……。 今のあたしには星の海が……」
(視点が上へ移動し、星空が見える)


第1話
星なき空

【デモムービー『飛行するアルテリオン』】
<海上を飛行するアルテリオンとエクサランス・レスキュー>
ツグミ「現在地、ポイントSN1339。 アイドネウス島封鎖海域の北100キロ」
ツグミ「アルテリオン・クルーズフィギュア、 低速基本巡行テスト、チェック項目04までクリア」
アイビス「………」
ツグミ「フィオナ、合流したばかりで悪いけど…… バックアップをよろしくお願いね」
フィオナ「はい。 この度の我がL&Eコーポレーションへの ご依頼、ありがとうございます」
フィオナ「なお、今回は弊社のエクサランス・レスキューの テストも兼ねておりまして…… ギャラは通常の3割引きで結構です」
ツグミ「会社を立ち上げたばかりで、色々と物入りでしょう?  割引は遠慮しておくわ」
フィオナ「お気遣い、感謝致します。 万が一の場合の救助、修理はお任せ下さい」
ラウル「……営業職が板についてきたなぁ、フィオナ」
フィオナ「そういうラウルは、全然社長らしくないけど。 優秀な秘書がいるのにね」
ラウル「秘書?」
デスピニス「ラウルさん、これ…… ツグミさんから送られてきたアルテリオンの 現状データです」
ラウル「ああ、ありがとう。 ……なるほど、そういうことか」
フィオナ「すっかり馴染んでるでしょ?」
ラウル「そうだな」
デスピニス「皆さんが親切にしてくれるおかげです……」
フィオナ「あたしも仕事を手伝ってもらって、助かってるわ。 ほら、ウチは社長と副社長が経営に興味ないから」
ラウル「文句があるなら、お前が社長になりゃいいだろ」
フィオナ「あたしがその立場になったら、 ラウルもラージも面倒な仕事を 全部押しつけてくるもの」
フィオナ「だから、そうさせないための予防策なのよ、 お兄ちゃんを社長にしたのは」
ラウル「ったく、お前にお兄ちゃん呼ばわりされると ロクなことがない」
フィオナ「はいはい、社長。お仕事しましょ」
ラウル「社長って呼ばれるのも何だかな。 ……さて、アルテリオンのデータは、っと」
フィオナ「依頼を受けた時に聞いた話じゃ、 まだまだ調整が必要みたいだけど」
ラウル「え、これでか?」
ラージプロジェクトTDの最終成果物、 シリーズ77の最新型。完全可変型の アーマードモジュール……」
ラージ「向こうが本気を出したら、エクサランスは あっと言う間に振り切られてしまいますよ」
ラウル「まあ、そうだろうな。 向こうのテスラ・ドライブは、こっちのと訳が違うし」
ミズホ「……それに、アルテリオンは フイリオさんの遺作ですから……」
ラウル「ああ…… あの人が重い病気にかかっていたなんてな……」
フィオナ「そのこと、アイビスさんは知らされてなかったそうよ。 フィリオさんが、ツグミさんにそう頼んでたんだって」
ラウル「………」
ツグミ「さあ、アイビス…… 次はチェック項目05に入るわよ」
アイビス「……ツグミ、どうしてラウル達を呼んだの?」
ツグミ「今回の長距離巡航テストで 不測の事態が起きた場合を想定して、 彼らにバックアップを頼んだのよ」
アイビス「……あたしの腕じゃ、仕方ないよね……」
ツグミ「………」
ツグミ「そうね。 ここまでの状況を見る限り、私の判断は 正しかったみたいだわ」
アイビス「……!」
ツグミ「アステリオンAXのデータがフィードバックされた アルテリオンは、全ての面において AX以上の性能であるはずよ」
ツグミ「初飛行である点、不慣れな点を差し引いても 加速、安定性、旋回半径……全てのテストが 低い結果だわ」
アイビス「それは、低速での巡行だからであって、 もっとスピードを上げれば……」
ツグミ「低速での安定した飛行が出来ないパイロットに、 高速テストを任せられないわ」
アイビス「………」
ツグミ「アイビス…… あなたがフィリオの件でショックを受けていることは わかっている」
ツグミ「でも、今は前だけを見て。 それがフィリオの望みでもあるわ」
アイビス「……スレイなら……」
ツグミ「え……?」
アイビス「スレイなら、きっとあたしより、 アルテリオンを上手に扱えるよ……」
アイビス「あたしじゃ……駄目なんだよ……」
ツグミ「アイビス……」
(警告シグナル)
ラウル「何だ?」
デスピニス「飛行物体、急速接近。数は5です」
ラウル地球連邦軍の機体か?」
デスピニス「識別不可能です」
フィオナ「嫌な予感がするわね……!」
デスピニス「飛行物体群、間もなく視界に入ります」

〔戦域:海上〕

(海上中央にアルテリオンとエクサランスレスキューがいる。南側にマスカレオン・タイプNが5機出現)
ラウルアーマードモジュールか……!?」
フィオナ「あんなタイプ、見たことないわよ!」
ツグミ「リオン系のラインだけど、 パーソナルトルーパーの技術も入っている……?」
(マスカレオン・タイプNからアルテリオンへ砲撃)
アイビス「撃ってきた!」
ラウル「くっ、問答無用かよ!!」
ツグミ「アイビス、応戦を!」
アイビス「でも……!」
ツグミ「ラウル達もいるのよ。 ここで簡単に逃げるわけにはいかないわ」
アイビス「だけど、今のあたしじゃ……」
ツグミ「泣き言は後にして!  アイビス、アルテリオンを守るのよ!」
アイビス「アルテリオンを守る……」
アイビス「……わかった……!」
ツグミ「ラウル、私達が彼らを引き付けるわ!  あなた達はその間に逃げて!」
ラウル「いえ、そちらのバックアップを続行します」
ツグミ「でも、そのエクサランスは救助活動用の……!」
ラウル「実は、障害物破壊用という名目で 武器も積んであるんです」
フィオナ「こういうご時世ですから、 ハミル博士やラドム博士の勧めで……」
ミズホ「私も納得した上での措置なんです」
ツグミ「わかったわ。でも、無理はしないで!」
フィオナ「はい!」
ラウル「みんな、レスキューのデビューがこういう形に なってしまったけど……」
フィオナ「ま、あたし達らしいわね。 デスピニス、サポートをお願い」
デスピニス「はい!」
ラウル「ET-OS、バトルモード!  FCS、セット! 行くぞ!!」
(作戦目的表示)

〈2PP or アイビスの初戦闘後〉

デスピニス「敵機の内、こちらへ積極的に仕掛けてくるのは 前衛の2機だけのようです」
ラウル「まずは小手調べってわけか……!?」
ツグミ(彼らの目的は、こちらの殲滅ではない……。 だとしたら、狙いはアルテリオンのデータ……?)
アイビス「ツグミ、CFじゃ火力が足りないよ。 ここはDFに変形して……」
ツグミ「敵の狙いがアルテリオンだとしたら、 機能の全てを見せるわけにはいかないわ」
アイビス「でも……」
ツグミ「落ち着いて、アイビス。 相手は運動性を重視した機体なのだから、 CFの火力でも充分に戦えるはずよ」
ツグミ「敵の動きをよく見て、確実に攻撃を命中させて」
アイビス「わ、わかったよ」

〈初戦闘〉

[アイビス]

ツグミ「アイビス……!  相手との相対速度を計算に入れて!  突っ込むだけじゃ駄目よ!」
アイビス「わかってる!」

[ラウル]

ラウル「時流エンジンがなくても、 こいつはエクサランスだ!  甘く見るなよ!!」

〈4PP〉

デスピニス「正面、新たな機体が接近中です!」
ラウル「増援か!」
(指揮官機の前にベガリオンが出現)
フィオナ「また見たことのない奴が!」
アイビス「ツグミ、あれって!!」
ツグミ「シリーズ77……コードβ、ベガリオン……!」
ラウル「シリーズ77!? なら、あいつは!」
ラージ「プロジェクトTDの機体……!?」
ツグミ(そんな……あれはまだ……!)
(ベガリオンと残った敵機が撤退)
デスピニス「敵機、後退していきます」
ラウル「いったい、あいつらは何者なんだ?」
フィオナ「そんなの、あたしに聞かれてもわかんないわよ」
アイビス「ツグミ……あのベガリオンは……」
ツグミ「私達以外であれを造れる所は、一つしかないわ」
アイビス「TDのスポンサー……イスルギ重工
ツグミ「ええ。彼らに説明を求めるわ」
アイビス(もしかして……ベガリオンに乗っていたのは、 スレイ……?)
(エクサランス・レスキューに警告シグナル)
デスピニス「ラウルさん、海上に漂流物が。 何らかのカプセルだと思います」
(東側に赤いカプセルが浮いている)
ラウル「カプセル?」
デスピニス「機動兵器の脱出ポッドのようにも見えます」
ラウル「なら、中に人が乗っているかも知れないな。 回収しよう」
フィオナ「さっきの連中と関係があるかも。 気をつけて、ラウル」
ラウル「ああ、わかった」
(エクサランス・レスキューがカプセルに隣接する)

[エクサランス・レスキュー キャビン]

(扉が開閉する)
フィオナ「ラウル、回収物は どうやら機動兵器の脱出ポッドみたいよ」
ラウル「中に誰か乗っていたのか?」
フィオナ「うん……14、5歳ぐらいの男の子が」
ラウル「何……?  軍属のパイロットとかじゃないのか?」
フィオナ「身元がわかる物は持ってなかったわ」
ラウル「脱出ポッドの方は?」
フィオナ「地球製なのは間違いなさそうだけど…… 詳しいことはこれから調べなきゃ」
ラウル「そうか……」
フィオナ「脱出ポッドの損傷具合から判断して…… だいぶ前から漂流していたみたい。だから、 さっきの連中とは関係がないかも」
ラウル「なら、あれとは別の機動兵器に乗ってて…… 何者かに撃墜されて、脱出したってのか」
フィオナ「大筋はそんなところでしょうね」
ラウル「ともかく、本人に話を……」
フィオナ「無理よ。ひどくケガしてて、意識がないの。 今、デスピニスとミズホが治療しているけど……」
フィオナ「このレスキューの医療設備じゃ、 そう長くは保たないわ。 早く病院へ連れて行かないと……」
ラウル「そんなことを言われても、 病院がある島なんて、この辺りには……」
(通信がつながり、モニターオン)
ツグミ「……さっきの回収物、どうだったの?」
フィオナ「機動兵器の脱出ポッドらしくて…… 中には身元不明の少年が乗ってました」
フィオナ「それに、重傷を負っていて意識がなく…… ちゃんとした医療設備がある所へ移送する 必要があります」
ツグミ「深刻な状況ね。 情報を得ようにも、本人が気を失ってるんじゃ……」
ラウル「どうしたらいいんでしょうか?」
ツグミ「本格的な治療が出来る所なら、心当たりがあるわ」
フィオナ「本当ですか!?」
ツグミ「ええ。 この近くの海域で、鋼龍戦隊が演習をしているの」
ラウル「鋼龍戦隊?」
ツグミ修羅の乱の後に結成された部隊で、 母艦はハガネとヒリュウ改。メンバーは、 私達と馴染みのある人達よ」
フィオナ「じゃあ、そこへあの子を連れて行けば……」
ツグミ「そうなんだけど…… ハガネとヒリュウ改はお互いを仮想敵とした 演習を行っているから、今は別々の所にいるの」
ツグミ「それぞれの現在位置とアクセス・コードを 転送するから、そのどちらかに行けばいいわ」
ラウル「わかりました」
フィオナ「それにしても、ツグミさん…… どうして鋼龍戦隊の演習のことを?」
ツグミ「実は、アルテリオンのテストの一環で、 私達も演習に参加することになっていたの」
フィオナ「なら、ツグミさん達も鋼龍戦隊へ?」
ツグミ「ハガネと合流する予定だったんだけど、 テスラ・ライヒ研究所へ戻るわ。 確認したいことがあるから」
ラウル「でも、アルテリオン1機だけで……」
ツグミ「私達が一緒にいたら、あなた達に また迷惑をかけることになるかも知れない」
ツグミ「それに、彼らが再び現れたら、 アルテリオンのスピードで振り切ってみせるわ。 だから、心配しないで」
フィオナ「そうですか……」
ツグミ「それじゃ、私達はこのまま行くわね」
フィオナ「道中、どうかお気をつけて」
ツグミ「そちらもね。 さっきの件に加え、テスラ研での消失事件も 他人事じゃないから……」
フィオナ「ええ……」
ツグミ「……じゃあ、また会いましょう」
(通信が切れる)
ラウル(消失事件、か……)
フィオナ「ラウル、鋼龍戦隊にコンタクトを取りましょう」
ラウル「ああ、わかった」

[エクサランス・レスキュー キャビン]

フィオナ「……鋼龍戦隊との連絡は取れた?」
ラウル「ああ。さっき、第一次演習が終わった所らしい。 こっちの申し出を受諾してくれた。 彼はハガネで受け入れてもらえる」
フィオナ「良かった……これであの子は助かるわね。 それに、ハガネやヒリュウ改のみんなとも会えるわ」
ラウル「だけど、部隊を展開したままらしいから、 パイロットは艦から出払ってるってさ」
フィオナ「そうなの……」
ラウル「どのみち、修羅の乱の時のメンバーは揃ってないよ。 特殊戦技教導隊は伊豆だし、それに……」
ラージ「キョウスケ・ナンブ中尉とリュウセイ・ダテ少尉は 行方不明のままですからね……」
フィオナ「……あの事件の原因は、 まだわかってないんでしょう?」
ラージ「ええ……テスラ研でのアルトアイゼン・リーゼと ART-1の模擬戦直後に出現したワームホール…… その詳細については、依然謎だそうです」
ラージ「カザハラ所長やオオミヤ博士は、 並行世界へのゲートではないかと 推測されていましたが……」
フィオナ「……あり得る話ね。 あたし達も自ら計画したこととは言え、 似たような目に遭ったんだし」
ラージ「他にもシャドウミラー、アインスト、修羅…… この世界は、何らかの理由で異世界と つながり易くなっているのかも知れませんね」
フィオナ「キョウスケ中尉とリュウセイ少尉は、今頃……」
ラウル「俺は無事だと思うよ、あの二人のことだし……。 必ず帰って来るさ」
フィオナ「そうね……そう信じましょう」
ラウル「……それじゃ、ハガネに向かおう。 その後で、ヒリュウ改のレフィーナ大佐にも 挨拶したいんだけど……」
フィオナ「う~ん。迷惑じゃないかしら?」
ラウル「確かに、そうかもな……」

ラウル選択

ヒリュウ改に立ち寄る
ヒリュウ改に立ち寄らない


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