back index next


彼方への扉 ~ 第41話 ~


第41話
彼方への扉

〔戦域:変質したホワイトスター内部〕

(クロガネ、ヒリュウ改、キョウスケ機、エクセレン機、ギリアム機、ラミア機、龍虎王は出撃済み、出撃準備)
レフィーナ「ユン、状況の報告を!」
ユン「周辺の隔壁が 未知の物質に侵食されています!」
ユン「おそらく、 このブロックだけでなく、 ホワイトスター全体が……!!」
アラド「こ、これじゃ、あの時の アースクレイドルと同じだ!!」
ゼオラ「未知の物質って、 いったい何なの!?」
エクセレン「未知じゃない……!  これは……!!」
テツヤ「ホワイトスター外部の 状況はどうなっている!?」
エイタ「きょ、強力な エネルギーフィールドに覆われて いるらしく、調査不能です!」
エイタ「センサー類は真っ白、 外部との通信も不可能です!!」
テツヤ「なっ……!!」
ツグミ「あ、あの時と…… エクセレン少尉を助けた時と 同じ……!?」
テツヤ「俺達はホワイトスターに 閉じ込められたのか!?」
ギリアム「……」
(アラート)
ユン「か、艦の前方に反応あり!  アインストです!!」
レフィーナ「!!」
(アインストが出現)
アラド「あ、あのデカい アインストは!?」
リュウセイ「SRXを 取り込もうとした奴だ!!」
キョウスケ「奴が女王蜂、か……」
???(レジセイア)「……」
(精神感応)
リュウセイ「くあっ!!」
アヤ「つうっ!!」
マイ「こ、この念は…… エクセレン少尉を操っていた……!?」
???(レジセイア)「……」
龍虎王「ウウウゥゥゥ……!!」
クスハ「! 龍虎王……!!」
龍虎王「ウオオオォォォ……!!」
(クスハに『気迫』『鉄壁』『熱血』)
クスハ「!!」
ブリット「あ、あの時と同じだ!  やっぱり、あれがアインストの 親玉なのか!?」
クスハ「……」
エクセレン「……あれは…… 監査官……」
???(レジセイア)「……」
(精神感応)
エクセレン「う! ああっ!!」
アヤ「エクセレン!!」
エクセレン「く……ううっ!」
キョウスケ「エクセレン、落ち着け!  お前はもう大丈夫なはずだ!」
エクセレン「うう……!」
キョウスケ「エクセレン!」
エクセレン「う、うん……。 ありがと、キョウスケ……」
アルフィミィ「……エクセレン、 やはり、あなたは……」
エクセレン「お嬢ちゃん……!」
ライ「生きていたのか……!」
アルフィミィ「はい。 このペルゼインが…… 私を護ってくれますの…」
キョウスケ「ペルゼイン……!?  お前の機体の名前か?」
アルフィミィ「ここにいると…… あなたを感じますの、キョウスケ。 それは、エクセレンが……ここで……」
エクセレン(! やっぱり……!!)
キョウスケ「切り札を出したようだな、 アルフィミィ。お前達の真意、 今日こそ教えてもらうぞ」
アルフィミィ「……」
アルフィミィ「私達の望みは…… 静寂なる宇宙……」
アルフィミィ「でも……この宇宙は 大きく歪んでしまいましたの……」
アルフィミィ「あなた達という 『人間』の存在によって……」
キョウスケ「……インスペクターの連中も 同じようなことを言っていた」
キョウスケおれ達地球人は病原菌…… いずれ銀河を滅ぼし得る存在だと」
アルフィミィ「……」
アイビス「でも、 あたし達地球人は、まだ太陽系の外へ 出るのがやっとなのに……!」
タスク「そうだ!  他の星の連中にケンカなんて 吹っ掛けてねえぜ!」
アルフィミィ「……同じことですの」
アイビス「え……!?」
アルフィミィ「あなた達以外の人間が…… すでにこの宇宙を乱していますから」
アイビス「あたし達以外って……!?」
ユウキ「インスペクターのことか?」
アルフィミィ「まだ他にもいますのよ」
ユウキ「信じ難い話だが、 そうも言ってられんか」
カーラ「ま、まだ疑っていたの?  宇宙人のこと」
ユウキ「お前は疑問に思わないのか?  俺達とインスペクターの姿形が 同じだと言うことを」
カーラ「た、確かに あいつらは昔のSF映画に出てくる ような宇宙人じゃないけど……」
ユウキ「……俺には 偶然の一致だとは思えん」
ユウキ「もしかしたら、地球人と インスペクターのルーツは……!?」
アルフィミィ「……」
キョウスケ「……人間は 静寂の宇宙を乱す存在…… だから、滅ぼすと言うのか?」
アルフィミィ「はい…… そして、新たな種を創り出しますの」
キョウスケ「……!」
マサキ「創り出すって……お前らが!?」
アルフィミィ「そうですの。 私達が望む進化を遂げる生命体…… その種子を……」
アヤ「もしや、 あなた達アインストは……!?」
アルフィミィ「……」
キョウスケ「そうか……読めたぞ」
エクセレン「……私も」
キョウスケ「お前達が エクセレンをさらった理由…… そして、お前が何なのか」
アルフィミィ「……」
キョウスケ「人間の進化の形を 求めた結果がお前なら、 アインストの目的は達成されん」
アルフィミィ「何故……?  何故、そんなことを おっしゃいますの……?」
アルフィミィ「キョウスケ、私は……!」
キョウスケ「本当に そう思っているのか?」
アルフィミィ「どういう…… 意味ですの……!?」
エクセレン「あなた自身の言葉なのか、 ということよ」
アルフィミィ「私は…… 究極の進化を……」
キョウスケ「それがお前なら、 やめておくべきだ」
アルフィミィ「! 何故……!?」
キョウスケ「そんなに 究極を求めたいんなら……」
エクセレン「私を基にするのは 間違ってるってことよ、 もう一人の……私」
アルフィミィ「……」
ラミア「では、彼女は……!」
アヤ「エクセレンの……!?」
アルフィミィ「……」
キョウスケ「何故、 お前がおれに拘るのか…… 何となく想像はついていた」
アルフィミィ「……」
キョウスケ「お前が『創られた』目的を 考えれば……お前という存在を もう放っておくことは出来ん」
アルフィミィ「その考えが…… 結局はこの宇宙を乱していることに 何故、気づいてはいただけませんの?」
キョウスケ「理解できないか?  ……できないだろうな、お前には」
アルフィミィ「わからない……。 わかりませんの……」
エクセレン「究極の進化なんて…… 何の意味もないのよ、お嬢ちゃん」
エクセレン「それも、自然の流れに 反した作為的な進化なんて」
アルフィミィ「……!」
エクセレン「そもそも、あなた達は 見守るための存在だったはず……」
アルフィミィ「ですが、 流れは乱されてしまいましたの…… 人間によって……」
キョウスケ「だから、 乱した原因を抹消すると言うのか」
アルフィミィ「それだけでは ありません。私達は……」
キョウスケ「その続きは おれ達を倒した後にしろ」
アルフィミィ「!」
キョウスケ「宇宙を乱す存在とやらが おれ達なのか、お前達なのか…… その答えはおれにもわからん」
アルフィミィ「……」
キョウスケ「だが、 黙ってお前達に滅ぼされるつもりは 毛頭無い……!」
カチーナ「どのみち、てめえか あのデカいのを倒さなきゃ、あたしらは ここから出られそうにねえしな!」
アルフィミィ「わかりました……」
アルフィミィ「私は、ここで『扉』を 開きますの……新しい種子と…… 静寂なる宇宙のために……」

〈ペルゼイン・リヒカイトHP20%以下 or アインストレジセイアのHP60%以下〉

アルフィミィ「やはり…… 急ぎすぎましたのね……それに……」
クスハ「え……!?  急に力が……弱まった?」
アルフィミィ「鍵が……揃わなければ…… 『扉』は完全に……」
???(レジセイア)「…………」
アルフィミィ「わかりましたの…… 時間稼ぎを……お願いですの……」
(ペルゼイン・リヒカイトが撤退)
シャイン「き、消えましたわ!!」
カチーナ「あいつ、また!?」
レフィーナ「ユン、 外周部のエネルギーフィールドは!?」
ユン「消えていません!  周辺の状況にも変化なし!」
レフィーナ「で、では、フィールドを 張っているのは……!?」
キョウスケ「あのアインストか……!」
???(レジセイア)「………」
キョウスケ「ならば、奴を倒すまでだ!」

〈アインスト・レジセイアのHP40%以下〉

(アラート)
エイタ「後方より熱源体、多数接近!  シャ、シャドウミラー隊です!!」
テツヤ「何だと!?」
キョウスケ「ちっ……!」
(シャドウミラーが出現)
リュウセイ「あ、あいつら、 今までどこに隠れてやがった!?」
レモン「ホントは最後まで高みの見物を 決め込みたかったんだけど…… そうもいかなくなっちゃってね」
ギリアム「ここからの脱出が 困難になったからか?」
ヴィンデル「そうだ、ヘリオス。 アインストシリーズが展開した エネルギーフィールドのせいでな」
キョウスケ「ここに閉じこめられたのは お互い様ということか」
レモン「そ。 私達も試してみたけど、通常転移じゃ 外への脱出は不可能……」
レモン「まさか、アインストが あんな真似をするとは思わなかったわ」
ヴィンデル「我らがここから脱出するには、 次元転移を行わねばならん」
ヴィンデル「だが、 アインストのフィールドを 確実に突破するには……」
ヴィンデル「システムXNの 機能が完全でなければならん」
ギリアム「なるほど…… それで俺を捕らえに来たわけか」
レモン「……他にも目的はあるけどね」
ラミア「……」
エクセレン「……」
ヴィンデル「これが最後通告だ。 我らと共に来い」
キョウスケ「それに 答える必要があるのか?」
ヴィンデル「……」
レモン「エクセレン、あなたは?」
エクセレン「悪いけど、 もうキョウスケの敵に 回るつもりはないのよね」
レモン「そう……」
ブリット「争いを食い止めるなら ともかく、それを広げることに 荷担なんて出来るか!!」
ヴィンデル「前にも言ったな?  人間の歴史は戦いの歴史だ。それは 我々の世界でも、この世界でも同じ」
レモン「それに、常に戦いは 人間に新たな進化を促してきた。 精神的にも……技術的にも」
レモン「それこそ、インスペクターから 目を付けられるぐらいにね」
ヴィンデル「戦争がなければ、 人類は未だに宇宙へ飛び出すことすら 出来なかっただろう……」
ツグミ「確かに、それは事実よ。 でも、私達は戦争をするために 宇宙を目指しているのではないわ」
ヴィンデル「だが、 宇宙を飛ぶための技術の多くが 兵器に流用されている」
ヴィンデル「その最たる物が テスラ・ドライブではないか」
アイビス「それは兵器として使う奴らが 悪いだけだよ!」
アイビス「せっかくの技術や発明を 何でも戦争の道具にしてしまう奴らが!」
ヴィンデル「だが、 闘争は人間にとって滋養分なのだ」
ヴィンデル「それがない世界は ゆっくりと腐敗し……やがて、 取り返しのつかない世界となる」
シャイン「それはあなた達の 勝手な理屈でございましょう!」
マサキ「屁理屈ってんだよ、 そういうのはな!」
ヴィンデル「真実だ。 だが、あのビアン・ゾルダークが 行動を起こさなければ……」
ヴィンデル「連邦政府や連邦軍は 腐敗を続け、対異星人用の兵器も 量産されることなく……」
ヴィンデル「地球人は 異星人に屈していただろう」
リューネ「それは……!!」
ヴィンデル「ビアンも私と同じく、 戦争によって人間の進化を 促そうとしたのだ……」
ヴィンデル「エアロゲイターや インスペクターという異星からの 侵略者に打ち勝つために」
ヴィンデル「そして、その結果…… 生まれ出でたのがお前達という存在だ」
ヴィンデル「その点で 我らシャドウミラーとお前達は 似ているのだよ」
リューネ「冗談じゃない!  あたし達は争いが続く世界を 望んでなんかいないよ!」
ヴィンデル「だが、これからの時代は 戦争を望む者だけが生き延びる……」
ヴィンデル「人類は闘争によって さらなる進化を遂げなければ、 来るべき星間戦争を生き残れんのだ」
ゼオラ「だから、自分達で訓練代わりに 戦争をやろうって言うの!?」
ゼオラ「戦いを望まない人達まで 巻き込んで!」
ヴィンデル「そうだ。戦争が始まれば、 人は戦わざるを得なくなる。 己自身が生き残るためにな」
アラド「ふざけんな!  わけもわからず戦わされるのは、 おれ達だけでもう充分だ!!」
ヴィンデル「ならば、 何故お前達は戦いに身を投じている?  何のために戦っている?」
クスハ「それは、あなた達のような 人達を止めるためです!」
レモン「まるで正義の味方ねえ。 ……これは駄目かも」
ヴィンデル「下らん。見込みがあるかと 話していたが……どうやらこの世界も 愚か者の集まりのようだな」
レーツェル「否定させていただこう。 愚かなのはお前も同じだ」
ヴィンデル「何……?」
レーツェル「……ビアン総帥や我が父は、 己の選んだ道が愚かであることを 理解していた……」
レーツェル「だからこそ、 自分達の力を凌駕する者が 目の前に現れた時……」
レーツェル「彼らへ 地球圏の命運を託し、己の愚行を 償うために散っていったのだ」
ヴィンデル「フン、 己の愚を自覚せぬ者こそが 真の愚者ということか」
ヴィンデル「だが、ビアン達が武力で 地球圏を支配すれば、このような 事態を招かずに済んだものを」
ゼンガー「DCを否定する者が 現れなければ、総帥達も その道を選んだだろう」
ゼンガー「だが、 先程も貴様が言った通り…… 結果はここにある」
ヴィンデル「では、 何故DC戦争に荷担した貴様は ここにいる?」
ヴィンデル「何故、 愚行を償うために自決せんのだ?」
ゼンガー「確かに……我らの罪は重い。 命ある限り、それを償わねばならん。 例え生き恥をさらし続けても」
ヴィンデル「良かろう……。ならば、 我らの世界のお前と同じ結末を 迎えさせてやる。そして……」
ゼンガー「黙れ。貴様らに ウォーダン・ユミルのような 存在を作り出させはせん」
ゼンガー「奴のように 哀しく、虚ろな存在を…… もう二度とは」
レモン「……そうね」
ラミア「レモン様……」
レモン「W17、ここまで来たのね。 ……アクセルを倒して」
ラミア「はい……残念ですが」
レモン「仇討ちはさせてもらうわ。 結構気に入ってたのよ、 あの人のこと」
ラミア「……私にとっては敵です。 敵は倒す……そう教えられてきました」
レモン「そんな所だけは優秀ね、あなた」
ラミア「はい」
ヴィンデル「貴様のような人形に 我らの作戦を止めることなど出来ん」
ヴィンデル「そして、ヘリオス…… 我らの理想成就のため、 その身柄を貰い受けるぞ」
ギリアム「ヴィンデル、お前達を 向こうの世界へ行かせはしない」
ギリアム「必ず葬り去る。 その歪んだ理想とシステムXNごとな」
ヴィンデル「ならば、この戦いを 永遠の闘争の皮切りとしてくれよう!」
ラミア「そうはいきません。 ヴィンデル様、レモン様…… どうかお覚悟を」
レモン「W17…… それはあなた自身の意思なのね?」
ラミア「はい。 私はアインストとあなた方を倒します」
ラミア「私という存在の 全てを懸けて……!」

〈アインスト・レジセイア撃墜〉

???(レジセイア)「…………」
(アインスト・レジセイア爆発)
キョウスケ「倒したぞ……! これで!」
テツヤ「エイタ、状況に変化は!?」
エイタ「あ、ありません!  ホワイトスター外周部のフィールドも 存在し続けています!!」
テツヤ「何!? なら、フィールドを 展開しているのは何者なんだ!?」
キョウスケ「まさか……!?」
リューネ「あいつの上にはまだ……!?」
ヴィンデル「ふん……やはり、 システムXNの機能が完全でなければ、 ここから転移出来ぬようだな……!」

レモンを撃墜したのは
エクセレン エクセレン以外


back index next