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「かつて」と「これから」 ~ 第42話 ~

〔戦域:アインスト空間〕

(クロガネ、ヒリュウ改は出撃済み、出撃準備)
レフィーナ「こ、ここは……!?」
テツヤ「う、宇宙……なのか?」
エイタ「ざ、座標軸が限定できません!  ホワイトスター、月、地球…… 全て確認不可能です!」
テツヤ「な、何だと!?」
アラド「お、おれ達はいったい……!?」
シャイン「何が…… 何が起きたんですの……!?」
ギリアム「……システムXNによって、 『扉』が開かれてしまったのだ……」
ゼンガー「ギリアム!」
レーツェル「無事だったのか!?」
ギリアム「ああ…… 俺とラミアもシステムXNごと こちらへ飛ばされてしまったようだ」
カイ「いったい、何が起きたのだ!?」
ラミア「おそらく…… アルフィミィはシステムXNを 利用し、空間をつなげたのです」
アルフィミィ「その通りですの」
キョウスケ「アルフィミィ……!」
アルフィミィ「この空間は あなた達の宇宙とつながり、 広がっていきますの……」
アルフィミィ「終焉、 そして始まりへ向かうために……」
ギリアム「ここはお前達の空間…… アインストシリーズが生まれいずる 場所なのか?」
アルフィミィ「そうですの。 そして、二つの鍵によって……」
アルフィミィ「私達だけではなく、 この空間そのものがあなた達の世界へ 現れることになりますの……」
ギリアム「そして、 我々の世界はお前達に浸蝕される…… ホワイトスターのように」
ギリアム「そのきっかけを作ることも、 お前の役目だったということか」
アルフィミィ「はい……。 私達の力では、こちら側へ 出てくることが出来ても……」
アルフィミィ「空間をつなげることは 出来ませんので……」
アルフィミィ「『扉』を開くための 力が、鍵が必要だったんだすの」
ラミア「そして…… 最終的にお前達が選び出したのが、 ギリアム少佐とシステムXNか」
アルフィミィ「ええ……。 他の人達までもがここへ来るとは 思いませんでしたけど……」
ギリアム「……」
アルフィミィ「でも、 もう刻は来てしまいましたの」
ライ「待て。お前達では 空間をつなげられないと言ったな?」
ライ「ならば、 あの巨大なアインストにも その力はないと言うことになる」
アルフィミィ「……」
リュウセイ「ど、どういうことだ?」
ライ「奴に空間をつなぐ力があれば、 とっくの昔に今のような状況に なっていてもおかしくない」
アヤ「あの時はまだアインストの力が 不十分だったからじゃないの?」
ライ「事実でしょう。 しかし、それはアルフィミィや巨大な アインストのことではないと思います」
アヤ「なら、 私達が感じていた思念は……!?」
リュウセイ「あいつらよりも上の奴か!」
アルフィミィ「……」
マイ「さっきよりも力が増している……。 そう感じる……」
ラーダ「それは この空間のせいなの……!?」
クスハ「薄気味が悪い感じ……。 でも……」
ゼオラ「でも?」
クスハ「とても静か……ここは……」
リョウト「何も……何もない……。 安らぎすら感じられるぐらいに……」
エクセレン「……私達の宇宙には 人の思念、心が溢れ過ぎている……。 ここには何もないから……」
アルフィミィ「宇宙は 飽和状態にありますの……」
アルフィミィ「だからこそ、 様々な混沌が生まれ、それがまた 宇宙を広げていく……」
マサキ「またわけのわからねえことを 言い出しやがって!」
アルフィミィ「わかりませんの?  あなた達の存在が……この宇宙の 破滅を早めていると言うことを……」
マサキ「そいつはてめえらアインストも 同じじゃねえのか!?」
アルフィミィ「……!」
キョウスケ「お前達の目的が 何であろうと、ここで退くわけには いかん」
アルフィミィ「……やはり、不純物は 排除せねばなりませんのね」
(アインスト・レジセイアが複数出現)
???(レジセイア)「………」
カチーナ「あ、あのデカい奴が……!」
リューネ「あんなにいるなんて!!」
???(レジセイア)「………」
エクセレン「アインスト……レジセイア」
キョウスケ「ちっ、奴も働き蜂か……!」
ライ「これで、 さらに上級のアインストがいることが 確実になったな」
ユウキ「ああ……。 そして、それが最後の相手か」
キョウスケ「……そうなんだな?  アルフィミィ」
アルフィミィ「……」
アルフィミィ「私達は…… 新しい生命を模索していたんですの。 それが……」
ゼンガー「完成……したと?」
レーツェル「お前を含むアインストは そのための実験だったと考えるのが 妥当か」
アルフィミィ「いいえ、それは……」
キョウスケ「……!」
エクセレン(あの子、揺らいでる……?)
アルフィミィ「新たな生命の礎……。 それが誕生すれば、この宇宙は……」
キョウスケ「なら、 その新しい生命とやらを 拝ませてもらおうか……」
キョウスケ「ただし、 お前達の命と引きかえにな!」

〈ペルゼイン・リヒカイト撃墜〉

(ペルゼイン・リヒカイトに爆煙)
アルフィミィ「……やはり、私では…… 駄目ですのね……」
エクセレン「人間を…… それも私をベースにしても、 究極の進化なんて……」
アルフィミィ「でも……始まる……。 あなたにも……わかるはず……」
エクセレン「……!!」
アルフィミィ「新たなる鼓動……。 宇宙の新たなる意志が……」
(精神感応)
エクセレン「!!」
エクセレン「う、うう……!  新しい……代わる物…… でも、その試みは……」
アルフィミィ「あなた達にも…… 伝わるはず……」
(精神感応)
マイ「くうっ!!」
クスハ「あうっ!!」
リョウト「い、今、頭の中に……!」
カーラ「な、何かが見えた!?」
ユウキ「くっ……! 非常識な」
アヤ「こ、この巨大な思念が……!」
リュウセイ「アインストの 親玉の物だってのか!?」
ブリット「そいつの思念が どんどん広がっている……!?」
リオ「こ、これが 空間がつながるって言うこと!?」
タスク「じょ、冗談じゃねえぞ!  これじゃ、まるで……!」
(精神感応)
タスク「つうっ!!」
レオナ「く、来るわ!!」
(4体のレジセイアが消滅した後、ノイレジセイアが出現)
???(ノイレジセイア)「……始まりの地から 来た者達よ……」
ゼオラ「こ、声が聞こえる……!」
アイビス「アルフィミィの時と 同じだ……!」
???(ノイレジセイア)「……始まりの地から 来た者達よ……これより、 新たな進化が始まる……」
リン「新たな進化……お前が それを司る存在だと言うのか?」
???(ノイレジセイア)「そうだ……」
カチーナ「じゃあ、何か?  人間が猿から進化したのも、 てめえの仕業だってのかよ?」
???(ノイレジセイア)「…………」
カチーナ「おい、どうした!?  答えやがれ!!」
???(ノイレジセイア)「……始まりの地に 生まれた命の種子…… だが、それには欠陥が生じた……」
ラミア「欠陥……?」
???(ノイレジセイア)「そう……進化の過程の中で、 禁断の知恵の果実を口にし……」
???(ノイレジセイア)「その罪を償うことなく、 増加し続けていった生命体…… 『人間』……」
???(ノイレジセイア)「宇宙の静寂を乱し、 自らと宇宙そのものの寿命を 縮める愚かな生命体……」
???(ノイレジセイア)「それが……今のお前達なのだ」
マサキ「るせえ!  支配者や神を気取ったその手の 台詞は、もう聞き飽きたぜ!」
???(ノイレジセイア)「神……?  否……我は神ではない」
マサキ「じゃあ、何だってんだ!?」
???(ノイレジセイア)「我は監査者……」
???(ノイレジセイア)「始まりの地で生まれ、宇宙へ 広まっていった命の種子……それらを 監視し、歪みや過ちを正す者」
ユウキ「始まりの地で生まれ、 広まっていっただと……?」
ユウキ「やはり、 地球人やインスペクターのルーツは 同じなのか?」
???(ノイレジセイア)「……」
ユウキ「それどころか、 ホワイトスターを送り込んできた バルマー人でさえも……」
???(ノイレジセイア)「……ルーツは 一つだけではない……」
ユウキ「何……!?」
???(ノイレジセイア)「お前達に 知性や力、そして試練を与え、 進化を促す存在がいる……」
???(ノイレジセイア)「その血を引き…… 『門』を開いて、古の記録に 触れようとする者がいる」
クスハ「………」
???(ノイレジセイア)「彼らやお前達の存在は 宇宙の静寂と秩序を乱す……。 故に……」
アラド「お前らにとって、 おれ達は欠陥品……だから、 抹消するってのかよ!?」
???(ノイレジセイア)「精神……心の進化…… それは肉体に関係しない。 だが、お前達の精神は未熟すぎる」
???(ノイレジセイア)「己の欲望のままに 力を使い、知識を貪り、 宇宙を蝕んでいく……」
???(ノイレジセイア)「そして……それは 無秩序に広がり過ぎた命の種子と 進化によって、加速度を増し……」
???(ノイレジセイア)「運命の刻を待たず、 お前達は自らの手で自らの宇宙を 壊しつつある……」
ギリアム「それで我々の進化に…… いや、存在に終止符を打つのか?」
???(ノイレジセイア)「そうだ。 まず、始まりの地から歪みを正す」
キョウスケ「手に負えなくなったから、 全てをリセットする。 それがお前達の目的であり……」
キョウスケ「古い宇宙を 新しい宇宙で塗り潰す気か」
???(ノイレジセイア)「そうだ」
キョウスケ「ならば、そこにいる アルフィミィは……その短絡的な 思考から生み出された犠牲者だな」
アルフィミィ「……!」
???(ノイレジセイア)「そうだ……。 選ばれなかった者よ……」
エクセレン「選ばれなかった者?  じゃあ、私は……?」
???(ノイレジセイア)「お前の役目は既に終わった…… ここでアルフィミィと共に抹消する」
エクセレン「お嬢ちゃんも……!?」
アルフィミィ「……」
???(ノイレジセイア)「ここは新しい宇宙…… 我はその礎……不純物は要らぬ」
キョウスケ「この何もない宇宙にか。 都合の悪いものを排除するだけの……」
???(ノイレジセイア)「お前達は進化の方向を誤った。 その行く末を監査する必要はない」
???(ノイレジセイア)「古きものは塗り潰され…… 新しき世界と生命が、監査者たる 我によって誕生するのだ」
アルフィミィ「…………」
アルフィミィ「でも…… 私は見たくなりましたの……」
クスハ「え……っ!?」
マイ「どういうつもりだ……!?」
エクセレン「アルフィミィ……」
アルフィミィ「キョウスケが 気になりますの……私」
アルフィミィ「でも…… この気持ちは本当に私のものなのか わからない……」
マイ「……」
ゼオラ「あの子は…… キョウスケ中尉に……?」
キョウスケ「……」
アルフィミィ「この気持ちも…… 塗り潰されてしまうんですの……?」
エクセレン「さあ、ね」
アルフィミィ「……」
エクセレン「でも、 自分で確かめるために……あなたは 戦うことを決めたんでしょう?」
エクセレン「それはあなた自身の心…… 私のものじゃないわ」
アルフィミィ「エクセレン……」
???(ノイレジセイア)「やはり、始まりの地の者を 基礎とした時点で間違っていたか……。 所詮は……」
キョウスケ「黙れ。 お前達におれ達の世界の命運を 決める権利などない」
???(ノイレジセイア)「我らは人間よりも遥か昔から…… そして、遥か未来へと存在し続ける」
???(ノイレジセイア)「我らはアインストであり、 ツークンフト……これからの宇宙の 行く末は我らが決め、見定める」
キョウスケ「お前達に決断を下す 役目と権利があるのなら…… 何故、おれ達はここにいる?」
キョウスケ「何故、今に至るまで おれ達の存在を抹消できなかった?」
???(ノイレジセイア)「……………」
ギリアム「お前が 我々の宇宙へ現れたように……」
ギリアム「我々が お前の宇宙へ現れたことには 何かの意味があるはず」
エクセレン「そして、アルフィミィの 気持ちの変化にも……」
???(ノイレジセイア)「お前達が 我らに変化をもたらす存在…… いや、我らの抑止力だと言うのか?」
リュウセイ「お互い様ってことだよ。 そして、俺達とお前達……どっちが これからの世界に残るか……」
リュウセイ「その答えは、この戦いが 終わってみなきゃわからねえぜ」
???(ノイレジセイア)「…………」
マサキ「てめえの手出しも口出しも いらねえ……大きなお世話って奴だ」
マサキ「俺達が この宇宙で生きていくのに てめえらなんざ必要ねえ!」
マサキ「今までそうだったようにな!」
???(ノイレジセイア)「………」
キョウスケ「この宇宙が 最後にどうなろうとも……」
キョウスケ「その行く末を決めるのは、 そこに生きるおれ達だ。 そして……」


第42話
「かつて」と「これから」

キョウスケ「それが お前達にとって無意味だと 言うことを……教えてやる!」

〈ノイ・レジセイア撃墜〉

???(ノイレジセイア)「……まだだ…… まだ我は……終わらぬ……」
キョウスケ「だが、 貴様の身体は滅びつつある……!  そのまま消えてもらうぞ」
???(ノイレジセイア)「身体……?  身体はある……つながれつつある 空間の……向こうに……」
キョウスケ「何!?」
???(ノイレジセイア)「かくなる上は…… 残された力を……使って……」
(ノイ・レジセイアに転移の力が集まる、ゆれ)
ブリット「こ、これは!!」
ギリアム「転移反応だ!  しかも、巨大過ぎる!」
ラミア「まさか、あのアインストが!?」
???(ノイレジセイア)「我は……まだ終わらぬ……」
キョウスケ「貴様……!!」
???(ノイレジセイア)「最後の力を使って…… 新たなる身体を……転生を……」
(閃光)


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