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裁く者、裁かれる者 ~ 第40話 ~

《ホワイトスター内部》

ウェンドロ「……やれやれ、 クロガネとヒリュウの侵入を 許してしまうとはね」
アギーハ「も、申し訳ございません…… 現在、第2層で迎撃中です」
ウェンドロ「シャドウミラーは 何をしているんだい?」
アギーハ「出撃準備中のようですが…… 先程の戦闘でシロガネを失っており、 戦力的にはあまり期待できないかと」
ウェンドロ「ふん…… 所詮はその程度の連中だったか」
シカログ「……」
アギーハ「かくなる上は私とシカログで クロガネ、そしてヒリュウを……」
ウェンドロ「そうだね…… 君達で露払いをしてもらおうか」
シカログ「……!」
アギーハ「まさか、 ウェンドロ様自ら出撃を……!?」
ウェンドロ「ああ。 直に彼らの力を確かめてみようと 思ってね」
ウェンドロ「それに、 異常重力帯のことも気になる……」
ウェンドロ「ディカステスの 出撃準備を頼むよ」

《ホワイトスター内部》

ヴィンデル「まさか、ここまでとはな」
レモン「そうね……。 ここで失敗したら、私達が立ち直るのに どれだけかかるのやら」
ヴィンデル「……アクセルは?」
レモン「すぐに私達の所へ 戻ってくる気はないみたい。 やっぱり拘るつもりね、彼」
ヴィンデル「ふん…… 時間稼ぎにはなるか」
レモン「結論は……そういうこと?」
ヴィンデル「……我々は何としても 作戦を成功させねばならん」
ヴィンデル「我々の世界とこの世界を 作りかえるためにな」
レモン「……W17が言っていたわね。 私達のような存在に、居場所など ないのかも知れない……って」
ヴィンデル「ならば、作ればいい。 それだけだ」
レモン「相変わらずね、あなたは」
ヴィンデル「……レモン、 W17が気になるのか?」
レモン「……」
ヴィンデル「あれは欠陥品に過ぎん。 それとも、奴同様……お前も 心変わりしたならば……」
ヴィンデル「ここを去れ。 そんな者は私に必要ない」
レモン「W17のことは 科学者としては喜ばしいわね。 限りなく人間に近い、偽りの命……」
レモン「だけど、 居場所のない世界に耐えられるほど 強くないのよ、私はね」
レモン(そう…… エクセレンがいる世界には)
ヴィンデル「……ならば、行くぞ。 ホワイトスターを包む異常重力帯も 強まっていく一方だからな」
レモン(でも…… W17やエクセレンとは 戦うことになるでしょうね)
レモン(そして、 掛け金は……世界と互いの命……)


第40話
裁く者、裁かれる者

〔戦域:ホワイトスター内部・第6層〕

(北西端の壁に爆煙・クロガネとヒリュウ改が出現)
ユン「ホワイトスター第6層への 突入、成功しました!」
イルム「メキボスの話じゃ、 ここにインスペクターの転移装置が あるらしいが……」
ヴィレッタ「この奥は予備の動力炉…… そこかも知れないわね」
リン「ここはメキボスの 言葉を信じて進むしかないな」
レフィーナ「ええ!  各機は直ちに出撃を!」
(キョウスケ機、ギリアム機、サイバスター、ラミア機、ヴァルシオーネが出撃、出撃準備)
カイ「各機へ。インスペクターの戦力が あれだけとは思えん。警戒を怠るな」
キョウスケ「了解」
リューネ「いるね……あの二人。 アギーハとシカログ」
マサキ「ああ。 奴らがここで出てこないわけがねえ」
マサキ「メキボスが言った通り、 転移装置を押さえられたら、 あの連中は終わりだからな」
カイ「その分、 奴らは死力を尽くしてくるだろう。 力の出し所を考えねばならんぞ」
マサキ「ああ……わかってるぜ、 おっさん」
ラミア(アクセル隊長も 必ず現れるはずだ。私達との決着を つけるために……)
レフィーナ「各機、攻撃開始!  インスペクターの転移装置を 押さえて下さい!」

〈敵機12機以上撃墜〉

(バレリオンが出現)
アラド「くそっ!  あんな所で壁になりやがって!!」
リオ「だけど、 これで向こう側に転移装置があるのが 確実になったわ!」
キョウスケ「ああ……行くぞ!」

〈味方機が増援のバレリオン出現位置より奥へ移動〉

(ソウルゲイン他シャドウミラー隊が出現)
キョウスケ「アクセル・アルマー……!」
アクセル「ここで終わりにするぞ。 ……この世界のお前とはな」
キョウスケ「噛ませ犬になる気はない。 そして……向こうのおれにお前との ケリをつけさせる気もな」
アクセル「フッ…… おれもお前との勝負をうやむやにし、 元の世界へ帰るつもりはない」
ラミア「……次元転移までの 時間稼ぎと言うわけですか? 隊長」
アクセル「ヴィンデルは ヘリオスなしで転移を行う気だ」
ラミア「!」
ギリアム「……賭けに出たな」
アクセル「だが、 おれはそんな分の悪い賭けに 二度も乗るつもりはない」
アクセル「ベーオウルフやW17を倒し、 貴様を捕らえる。次元転移を 確実なものにするためにな」
ギリアム「……」
アクセル「おれと一緒に来てもらうぞ、 ヘリオス・オリンパス」
ギリアム「前にも言ったはずだ……」
ギリアム「断る」
アクセル「元の世界へ 戻る気はないのか?」
ギリアム「ああ。 俺はシステムXNの存在を抹消する」
アクセル「いいだろう…… 他の連中を始末した後で もう一度返答を聞こう」
ゼンガー「……ギリアム」
ギリアム「わかっている。 むざむざと彼らの手に落ちるような 真似はしないさ」
ゼンガー「……」
ギリアム「だが、システムXN絡みで 傍観者に徹するつもりはない……」
ギリアム「俺は、俺なりのやり方で 事態の収拾をつける」
ギリアム「それは お前でも止められんぞ、ゼンガー」
ゼンガー「……承知した」
アクセル「この勝負に 互いの世界の命運を懸ける…… などと言うつもりはない」
アクセル「だが、 おれの信念は貫かせてもらうぞ」
キョウスケ「いいだろう。 お前の目的が何であろうと構わん」
キョウスケ「だが、 撃ち貫けると思うな……このおれを。 ここまで来たおれ達の意思を」
アクセル「ならば、 最後に立った者が答えを出すまで!  来い、ベーオウルフ!」
キョウスケ「これで終わりにする……!  行くぞ、アクセル・アルマー!」

〈ソウルゲイン撃墜〉

(ソウルゲインに爆煙)
アクセル「う……ぐっ!!」
ラミア「隊長、レモン様が悲しみます。 脱出を……!」
アクセル「フフフ……おれは負けた。 敗者には死あるのみ……!」
アクセル「おれだけが…… それに従わないわけにはいかん」
ラミア「……残されたレモン様は どうされるので?」
アクセル「どうもこうもない。 ……奴との関係は成り行きに過ぎん。 未練もない……」
アクセル「おれは…… ベーオウルフとは……違う」
キョウスケ「……」
エクセレン(でも、それじゃ…… あの人は……)
ラミア「……」
アクセル「フ……フフ…… どうした、W17? 同情でも…… していると言うのか、人間のように」
ラミア「……」
アクセル「所詮……人形のお前は どうあがいても人間にはなれん……」
ラミア「人間にはなれない。ですが、 どのようなことが人間らしいのか、 それはわかります」
ラミア「アクセル隊長……私には むしろあなたの方がヴィンデル様、 レモン様の……人形に思えます」
アクセル「フッ……フフフフ……」
ラミア「……!」
アクセル「おれも堕ちたな、 お前と同じ扱いとは!」
アクセル「だが、忘れるな、W17!  おれは望んで人形になった!」
アクセル「お前は…… 何になることを望……」
(ソウルゲイン爆発)
ラミア「…………」
ラミア「隊長、それは……」
ラミア「Wシリーズの1体ではなく…… 何者かに……なることです」
エクセレン「ラミアちゃん……」
キョウスケ「……」
エクセレン「ねえ、キョウスケ…… あなたは……」
キョウスケ「……アクセルが言った通りだ」
エクセレン「え?」
キョウスケおれと奴は違う。 そして……お前やラミアもな」
エクセレン「……うん……」
(アラート)
テツヤ「何だ!?」
エイタ「隔壁側から高熱源体反応!  数は2、インスペクターの 指揮官機だと思われます!!」
アギーハ「何だい、アクセルの奴…… もうやられちゃったの?」
シカログ「……」
アギーハ「メキボスと同じで、 口の割には大したことなかったね」
シカログ「……」
アギーハ「そうね。 目には目を、歯には歯を……って作戦、 失敗だったみたい」
マサキ「あいつらは……!!」
リューネ「やっと出て来たね、 異星人の親玉連中が!」
アギーハ「あんた達や アインストのおかげで、あたい達の 計画が大きく狂ったからね……」
アギーハ「ここいらで キッチリ修正させてもらうよ」
マサキ「修正だと!?  そんなのはもう手遅れだぜ!!」
アギーハ「何!?」
マサキ「てめえらは もう取り返しのつかない 失敗をしてやがんだ!」
マサキ「それが何だかわかるか!?」
アギーハ「……!!」
リューネ「あんた達の失敗は、 あたし達をここまで来させたこと!  もう止められないよ!!」
アギーハ「調子に乗るんじゃないよ、 小娘が!!」
アギーハ「いつぞやの時と同じく、 返り討ちにしてやるよ!!」

先に撃墜したのは
アギーハ シカログ


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