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招かれざる異邦人(前編) ~ 第24話 ~

《伊豆基地司令室》

一般兵「レイカー司令、 ダイテツ・ミナセ中佐が お見えになりました」
レイカー「うむ。 地中海・アフリカ北部での作戦…… ご苦労だったな、ダイテツ」
ダイテツ「ああ。 しばらくの間、ノイエDCは 大人しくなるだろう」
レフィーナ「ダイテツ中佐、 リクセント公国やアビアノの方は?」
ダイテツ「他方面軍の助力を得て、 厳重な防衛態勢が敷かれている」
ダイテツ「今のノイエDCに あの地を攻略する力はあるまい」
レフィーナ「では、私達は オペレーション・プランタジネットに 専念できるというわけですね」
レイカー「そうだ。 お前達には同作戦の最終フェイズで 中核を務めてもらうことになる……」
レイカー「作戦開始までに 補給・整備作業を万全にな」
レフィーナ「了解しました。 では、私は艦の方へ戻ります」
(扉が開閉する)
レイカー「ダイテツ、話がある。 お前は残ってくれ」
ダイテツ「? ああ……」
レイカー「……例の件についてだが、 考えてくれたか?」
ダイテツ「士官学校の校長か……。 ショーンならともかく、 ワシの柄ではない」
レイカー「そうか……。 お前には後進の教育を 担当して欲しかったのだが」
ダイテツ「わかっている。 だが、その役目は現場で 果たそうと思っておるのだ」
レイカー「現場?」
ダイテツ「ハガネだ。 ワシはまだあの艦からは降りられん」
ダイテツ「今の部下達に 教えねばならんこともあるのでな」
レイカー「……テツヤ・オノデラ大尉に 例の話はしたのか?」
ダイテツ「うむ。この戦いを 生き抜くことが出来れば……」
ダイテツ「奴は スペースノア級の艦長として 相応しい男になるだろう」
ダイテツ「ワシがハガネから降りるのは、 それを見届けてからだ」
レイカー「……」
ダイテツ「その後、ワシに練習艦を 一隻預けてくれ。お前から頼まれた 役目は、その艦で果たしたい」
レイカー「あくまでも現場に拘るか。 お前らしいな」
ダイテツ「すまん」
レイカー「……わかった。 士官学校の校長の件は諦めるとしよう」
レイカー「ところで、例の大吟醸を 手に入れておいた。後で時間を作る。 ショーン達も交えて一杯やろう」
ダイテツ「ふ……そうこなくてはな」

《伊豆基地格納庫》

リュウセイ「あ、あれが噂の超機人……!  カ、カ、カッコいい……!」
リュウセイ「まさに 神秘のスーパーロボット!  凄い、凄すぎる!!」
クスハ「リュウセイ君なら、 そう言うと思ったわ」
リュウセイ「なあ、 俺も龍虎王に乗せてくれよ!  一回でいいから! な? な?」
クスハ「そ、それも 言うと思ってたんだけど……」
ブリット「実は、 龍虎王と虎龍王は……」
リュウセイ「も、もしかして…… お前ら以外は乗れねえとか?」
エリ「そういうわけでは ありませんが……」
エリ「解析の結果、 龍虎王と虎龍王がその能力を 発揮するには……」
エリ「彼ら自身が選んだ 操縦者でなければならないと 言うことがわかったのです」
リュウセイ「え!?」
マサキ「ま、そういう所は サイバスターと同じだってこった」
リュウセイ「そ、そうなのか……。 俺、ああいうスーパーロボットにも 乗りたかったんだけどなぁ……」
ブリット「アヤ大尉も次の作戦から 参加するんだろ? だったら SRXに合体できるじゃないか」
エクセレン「そそ。これでようやく SRXチームの本領発揮じゃない?」
リュウセイ「ああ」
アラド「SRXって……R-1と R-2パワードとR-3パワードが 合体した後の姿なんスよね?」
リュウセイ「そうだよ」
アラド「おれ、楽しみにしてるッス!  R-1とR-2を見ただけじゃ、 どうやって合体するかわかんないし」
リュウセイ「おう、 初めて見たら驚くこと請け合いだぜ」
エクセレン「そうねぇ。 R-2ちゃんとか、 開きになっちゃうもんね」
アラド「ひ、開き?  アジとか、魚のあれッスか?」
エクセレン「そそ。 私もどういう仕組みになってるのか、 未だにわからないけど」
ブリット「ところで、アラド…… ビルトビルガーへ乗れるように なったんだって?」
アラド「ええ、みんなのおかげで……」
アラド「ゼオラとも色々あったけど、 おれとの記憶を完全に失ってる わけじゃないってわかったし……」
アラド「ラトゥーニ達と一緒に あいつやオウカ姉さんをスクールの 呪縛から解き放ってみせます」
ブリット「そうか…… 俺達も手伝うから、頑張れよ」
アラド「はい」
マサキ「……なあ、 さっきから気になってたんだけどよ」
マサキ「あの向こうに並んでる 妙な機体、あれは何なんだ?」
エクセレン「そうそう。 しかも、2機お揃いだし」
アラド「あれは……」
(扉が開閉する)
シャイン「私とラトゥーニの フェアリオンでございますわ」
ブリット「シャ、シャイン王女!」
シャイン「皆様、ご機嫌麗しゅう」
マサキ「お、王女さんが 何でここにいるんだよ!?」
クスハ「も、もしかして、 あの機体で……?」
シャイン「はい。フェアリオンと ハガネの皆様のおかげで、私は リクセントを取り戻す事が出来ました」
ブリット「なら、どうしてここに……」
シャイン「私……あの戦いの後、 決意したのでございます」
シャイン「リクセントだけでなく、 多くの他の人々を守るために…… 皆様のお力になろうと」
ブリット「し、しかし……」
シャイン「全て覚悟の上でございます。 そして、あの赤いフェアリオンは 私の決意の証……」
シャイン「爺や国の者達も 私に賛同してくれました」
ブリット「ですが、いくら何でも……」
エクセレン「ん~……いいんじゃない?」
ブリット「え?」
エクセレン「私達にとやかく言う 権利なんてないわよ。王女様が 自分で考え、そう決めたのなら、ね」
シャイン「はい……。 この星をリクセントと同じような目に 遭わせないためにも……」
シャイン「私は皆様と共に戦います。 そして、平穏を取り戻した後、爺達が 待つ国へ帰るつもりでございます」
エクセレン「じゃあ、 これからもよろしくね、王女様」
シャイン「はい」
クスハ「で、でも…… 大丈夫なんですか……?」
リュウセイ「それなんだけど、 実は王女さんの機体って……」
リュウセイ「ラトゥーニが 自分のフェアリオンから制御 できるようにもなってんだ」
クスハ「え?」
アラド「王女様が敵の動きを読んで、 ラトがコントロールする…… そんな感じになってるみたいッス」
ブリット「それで二体一組なのか……」
エクセレン「じゃあ、 ラトちゃんの責任重大ね」
リュウセイ「けど、あいつ…… ちゃんとやってるよ」
シャイン「はい。 私もラトゥーニの足を引っ張らぬよう 頑張るつもりでございます」
マサキ「ま、戦う王女様ってのが いねえわけじゃねえし……俺達も 王女様のフォローをしてやろうぜ」
ブリット「ああ……」

《ブリーフィングルーム》

ライ「……ウォーダン・ユミルの正体が ゼンガー少佐ではなかっただと?」
リューネ「そう。 あいつと戦ってた時、少佐本人と あんたの兄さんが現れてね……」
リューネ「それでわかったんだ」
レオナ「では、彼はいったい何者なの?」
タスク「う~ん……ゼンガー仮面かな?」
レオナ「……つまり、 詳しいことは不明だということね」
リューネ「うん。ゼンガー少佐達が それを調べるって言ってたよ」
ライ「そうか……」
カチーナ「で、そっちはどうだったんだ?  あのアーチボルドって奴とのケリは、 リクセントで付いたのかよ?」
ライ「いえ……。 奴はまだ生きていると思います」
カチーナ「……持ち越しってわけか?」
ライ「おそらく」
カチーナ「そうかい。 だが、あいつもまたあたしらの前に 姿を現すだろうよ」
カチーナ「あのアクセル・アルマーって 男みてえにな」
ライ「アクセル?」
キョウスケ「ああ。 ここへ来る前、一戦交えた相手だ」
タスク「何だか知らないけど、 キョウスケ中尉を めっちゃ目の敵にしてたッスね」
カチーナ「しかも、 乗ってた機体はヒゲ男だったしな」
ライ「もしや…… ヴィレッタ隊長が言っていた マスタッシュマンのことですか?」
カチーナ「ああ」
レオナ「キョウスケ中尉は そのアクセルという男と 以前に会ったことが?」
キョウスケ「いや……覚えはない。 だが、相当腕の立つ男だ」
カチーナ「ああ、こいつとアルトを 追い詰めたぐらいだからな」
レオナ「……」
カチーナ「あと、アルトのことを ゲシュペンストMk-IIIって呼んだり、 エクセレンを見て驚いたり……」
カチーナ「とにかく、 あのゼンガー仮面も含めて わけのわからねえ連中だぜ」
リューネ「シュウが言ってた影ってのは、 やっぱりあいつらのことかも……」
ライ「シュウ?  シュウ・シラカワに会ったのか?」
リューネ「うん。八丈島近海で、 あんたの兄貴と一緒にいる所をね」
カチーナ「もっとも、あいつもシュウと 鉢合わせをしたみてえだったがよ」
ライ「……」
ライ(兄さんは 日本の近くで何をしていたのだ?)
キョウスケ「とにかく、アクセル達が おれ達の敵であることに違いはない」
キョウスケ「正体が何であろうが、 何を企んでいようが……立ち塞がる敵は 全て撃ち貫くまでだ」
タスク「でも、その前にアルトを 念入りに整備した方がいいッスね」
タスク「斬艦刀ロボやヒゲ男との戦闘で 結構ダメージを受けちまったし……」
キョウスケ「……」
キョウスケ(だが、 奴らを確実に倒すためには………)

《連邦軍伊豆基地》

ジャーダ「……そうか……。 お前が捜してた仲間がな……」
ラトゥーニ「でも、 私……諦めない……。 必ず姉様とゼオラを……」
ジャーダ「そうだ、諦めちゃいけねえ。 昔の俺達みてえにな」
ラトゥーニ「……」
ジャーダ「あの時……コックピットの中で 死にかけてたお前を見つけた時……」
ジャーダ「俺とガーネットは 絶対にお前を助けてやろうって思った」
ジャーダ「医者からお前の心が 元に戻らねえって言われた時も、 諦めはしなかった」
ジャーダ「必ず回復するって信じて、 俺達でお前を引き取った。そして、 その結果が……今のお前だ」
ジャーダ「だから、 お前の仲間達も助けられるさ。 お前が諦めない限りはな」
ラトゥーニ「うん……」
ガーネット「ちょっと、ジャーダ!  いい加減あたしにも代わってよ!」
ジャーダ「わ、わかったわかった。 ……ったく、いいこと言ってたのに」
ガーネット「ハァイ、ラトゥーニ!  元気してる?」
ラトゥーニ「ガーネット……!」
ガーネット「どお?  リュウセイとは上手くいってる?」
ラトゥーニ「え……?」
ガーネット「その反応…… さては何かあったわね?  なになに? 教えて?」
ラトゥーニ「い、一緒に アミューズメントセンターへ行って…… ゲームをやったの……」
ガーネット「ふんふん」
ラトゥーニ「それから…… こないだ写真を一緒に撮ったの……」
ガーネット「それでそれで?」
ラトゥーニ「それだけ……」
ジャーダ「な、何じゃそりゃ!?  ったく、あの唐変木は女の子の 扱いってもんが……」
ガーネット「んもう、 あんたは引っ込んでなさいっての!」
ラトゥーニ「ガ、ガーネットこそ…… お腹の子供はどうなの……?」
ガーネット「それがねぇ、聞いてよ!  何と双子なのよ、双子!」
ガーネット「んも~、これからが大変!  ジャーダの少ないギャラじゃ やってけないかも」
ジャーダ「わ、悪かったな!!」
ラトゥーニ「おめでとう…… ジャーダ、ガーネット……」
ガーネット「ありがと、ラトゥーニ」
ジャーダ「そういうわけで、 お前の家族が一人増えちまった」
ガーネット「だから、 みんなであなたの帰りを待ってるわ」
ガーネット「その時には…… あなたの仲間達も連れてくるのよ?」
ラトゥーニ「うん……」

《連邦軍伊豆基地》

ツグミ「テスラ研の件…… 本当に申し訳ありませんでした、 オオミヤ博士……」
ロバート「ああ、気にすることはないさ。 君達が全力を尽くしてくれたことは 知っているからね」
ロバート「それに、 次の作戦じゃ君達がテスラ研の奪還を 担当するんだろう?」
アイビス「え……?  本当ですか?」
ロバート「おや、 まだ聞いてなかったのか?」
ツグミ「は、はい……」
ロバート「なら、次の作戦でも 全力を尽くしてくれ。そして、 所長や先生、フィリオ先輩を……」
アイビス「はい!」
ツグミ「少佐はプロジェクトTDの 成功に不可欠な方です。 必ず救い出してみせます」
ロバート「アステリオン…… プロジェクトTDの成果も この目で見せてもらったよ」
ロバート「さすが、 リオンシリーズの生みの親、 フィリオ先輩だな」
アイビス「オオミヤ博士は少佐とは 知り合いなんですか?」
ロバート「俺がテスラ研にいた頃、 何かと面倒見てくれてね……」
ロバート「パーティの余興では 二人でアイドルソングを歌いながら 踊ったりもしたんだ」
アイビス「へえ……少佐に そんな趣味があったんだ……」
ロバート「先輩が言うには、 その頃に流行っていた アイドルデュオのダンスを見て……」
ロバート「それを連携戦闘の モーションに応用することを 思いついたんだそうだ」
アイビス「それって、まさか……」
ロバート「で、来る日も来る日も そのダンスを観ていたら、 自然に踊れるようになったんだと」
ツグミ「ふふ……あの人らしいわ」
アイビス「……少佐を見る目、 変わりそう……」
ロバート「とにかく当時から独特の 発想を持った人だった。出来れば、 カリオンの方も見たかったんだが……」
ツグミ「……申し訳ありません。 2機のカリオンの内、 片方は完全に破壊され……」
ツグミ「もう片方はスレイによって ノイエDCに提供されました」
ロバート「ノイエDCにか……」
ツグミ「ええ……。 彼女は自分の意志で私達の敵に なったのです……」
アイビス「………」
ロバート「スレイ・プレスティ……。 先輩の自慢の妹君か……」
アイビス「スレイは今、 ちょっとだけやることを 見失っているだけなんです……」
ツグミ「だから、きっと彼女は カリオンと共に戻ってきます。 いつかきっと……」
ロバート「そうだな……。 彼女も先輩の夢のプロジェクトの メンバーなのだから」
カーク「……ところで、ロブ。 ヒュッケバインMk-III用の AMボクサーのことだが」
ロバート「ああ。あんたやリョウトから 送られてきたレポートに目を通して、 改善策を考えておいた」
リョウト「じゃ、じゃあ……ボクサーが 使えるようになるんですね?」
ロバート「ああ、R-GUNパワードにも 使っている新型のコンデンサーを 流用すればな」
ロバート「早速、作業を始めよう。 リョウト、マオ社での修行の成果を 見せてもらうぞ」
リョウト「は、はい!」
ツグミ「オオミヤ博士、後学のために 私にもボクサーの調整作業を 手伝わせていただけないでしょうか」
ロバート「ああ、喜んで」
ツグミ「じゃあ、アイビス……」
アイビス「わかってる。 今日のトレーニングメニューは 一人でやるよ」
ツグミ「頑張ってね。 スレイとカリオンに勝つためにも」
ロバート「じゃあ、タカクラチーフ…… 君達は先にハンガーへ行ってくれ。 俺はデータをまとめておくから」
ツグミ「わかりました」
(扉が開閉する・ツグミ達が立ち去る)
カーク「……ロブ、 R-GUNパワードの方は?」
ロバート「T-LINKシステム…… ツインコンタクトの最終調整中だ」
カーク「では、 パイロットは予定通り……」
ロバート「ああ、 彼女に問題がなければ……」
カーク「問題?  レポートでは予定以上のTPレベルに 達しているとのことだが」
ロバート「あ、いや……何でもない」
カーク「……」

《伊豆基地・ラボ》

ヴィレッタ「……確かに、この数値なら HTBキャノンが使えるわね」
ケンゾウ「ツインコンタクトによる 相乗効果で、アヤのレベルも 上がっている……」
ケンゾウ「上手くいけば、大尉が R-GUNに乗っている状態でも 使用可能になるだろう」
ヴィレッタ「……だが、 マイの方にはかなりの揺らぎがある。 その原因は?」
ケンゾウ「……残留思念だ」
ヴィレッタ「! まさか、レビの!?」
ケンゾウ「そうだ。 マイはレビであった時の 記憶の一部を持っている」
ヴィレッタ「その状態で彼女を R-GUNに乗せるというのか?」
ケンゾウ「ああ…… 結果は大尉が見た通りだからな」
ヴィレッタ「では、マイ本人に レビの話をしているのか?」
ケンゾウ「いや……。 それをきっかけにレビの残留思念が 増幅する恐れがある」
ケンゾウ「今はまだ マイに真実を教えることは出来ん」
ヴィレッタ「そんな……! 私達と 行動を共にすれば、遅かれ早かれ 彼女は自分の過去を知ってしまう」
ヴィレッタ「ハガネやヒリュウ改には、 L5戦役でレビと戦闘を行った者が 何人もいるのよ?」
ケンゾウ「だが、 はっきりと彼女の顔を見た者は いないはずだ」
ケンゾウ「クスハ・ミズハも ホワイトスターに捕らえられていた時の 記憶はないのだろう?」
ヴィレッタ「……」
ケンゾウ「事実を知っているのは お前達SRXチームとダイテツ中佐、 ラーダ・バイラバンだけだ」
ヴィレッタ「それでも彼女の過去は 隠し通せるものではないわ」
ケンゾウ「地球圏の事態は切迫する 一方だ。今、SRXがその力を 発揮せねば、我々に明日はない」
ヴィレッタ「……偽りの絆は ほころびを生み、いずれ崩壊する」
ヴィレッタ「疑念はリュウセイ達の 力の源になりはしない」
ヴィレッタ「もうイングラムや かつての私のようなやり方は……」
ケンゾウ「……だからと言って、マイの 記憶を操作するわけにはいかん」
ケンゾウ「それでは過去の過ちを 繰り返すことになる……」
ヴィレッタ「過ち?」
ケンゾウ「そう……。 かつて私が特脳研で犯した過ちだ」

《ブリーフィングルーム》

エクセレン「わお!  ジャーダとガーネットの子供って、 双子なの!?」
ラトゥーニ「はい……」
カイ「そりゃあいい!  めでたさが二倍だな」
リオ「産まれたら、 みんなでお祝いを送りませんか?」
ラーダ「そうね。 アサナの本なんかどうかしら」
エクセレン「そ、それは ちょっと早すぎるんじゃない?」
イルム「テスラ研特製のブースター付き 三輪車でも送っとくか」
エクセレン「そ、それも ちょっと速すぎるんじゃない?」
クスハ「普通に乳母車とか、 ベビーベッドの方がいいと 思いますけど……」
リオ「あら、クスハのことだから、 健康グッズを贈るとか言い出すのかと 思ったわ」
クスハ「それは赤ちゃんが 大きくなってからにしようと 思ってるの」
クスハ「ベビーストレッチチェアとか、 ベビーパワーリストとか、 色々あるのよ」
エクセレン「……今までのを全部贈ったら、 オリンピックへ行っちゃうかも」
ラミア「エクセ姉様、 ジャーダとガーネットというお方は 誰なのでございますです?」
エクセレン「私達の仲間よ。 前の戦争の時、ハガネに乗ってたの」
クスハ「それで、 戦後すぐに軍を辞められて…… ご結婚なされたんです」
エクセレン「そそ。育んできた愛が ついに実ったってわけ」
ラミア(……わからん世界だ)
カイ「だが、これで何が何でも オペレーション・プランタジネットを 成功させなきゃならなくなったな」
クスハ「はい。ジャーダさんと ガーネットさんの赤ちゃん達のためにも 戦争を早く終わらせないと……」
ラミア「……」
ラミア(何故だ……?  何故、こんな非論理的な思考に 違和感を覚えない……?)
ラミア(いよいよもって おかしくなってきたのか……?)
カイ「……ところで、エクセレン。 今夜、ダイテツ艦長達と一杯やる事に なった。お前も来るか?」
エクセレン「わお! それは……」
(精神感応)
エクセレン「!?」
???(アルフィミィ)(……エクセレン……)
エクセレン(あ、頭に直接……?  あなたは……?)
???(アルフィミィ)(……エクセレン……。 来て欲しいんですの……)
エクセレン(やっぱり…… あなた、アルフィ……ミィ……)
???(アルフィミィ)(私の所へ……。 エクセレン……あなたは……)
(精神感応)
エクセレン(望む……ところよ……。 私も……あなたに…… 聞きたいことが……)
???(アルフィミィ)(いらして下さい…… あなたは……私の……)
エクセレン「…………」
ラミア「エクセ姉様?」
エクセレン「………」
ラトゥーニ「エクセレン少尉……?」
エクセレン「……今行く…… 待ってて……すぐに……」
(扉が開閉する・エクセレンが立ち去る)
ラーダ「エクセレン! どこへ行くの!?」

《ハガネ艦橋》

(アラート)
テツヤ「どうした!?」
エイタ「だ、第3ハッチが強制開放!  ヴァイスリッターが 発進シーケンスに入っています!」
テツヤ「何だと!?  出撃命令など出ていないぞ!  パイロットは誰だ!?」
エイタ「今、モニターに出します!」
(通信)
エクセレン「……」
テツヤ「エクセレン少尉……!  何の真似だ!?」
エクセレン「……出ます……」
テツヤ「ま、待て!!」
(発進音)
エイタ「ヴァイスリッターが 発進しました!」
(通信)
カイ「こちらカイだ!  エクセレンの様子がおかしい!  足の速い機体に追跡させてくれ!」
テツヤ「わ、わかりました!」


第24話
招かれざる異邦人(前編)

〔戦域:水辺の市街地〕

(ヴァイスリッターが出現)
エクセレン「……」
エクセレン「……ん、んん?」
エクセレン「ここは……?  そっか、私……」
エクセレン「さあ、来てあげたわよ!  姿を現しなさい!」
エクセレン「お客を待たせるのは 失礼なんじゃない?」
(アインストクノッヘンが出現)
???(アインスト)「……」
エクセレン「ちょっと、 あんたじゃないのよ、お呼びなのは」
エクセレン「あの赤い奴とお嬢ちゃんを 出て欲しいんだってば」
???(アインスト)「……」
エクセレン「お喋りもなし?  んじゃ、ご登場まで暇つぶしを させてもらうわね」

〈アインストクノッヘン撃墜〉

(アインストクノッヘン×4が出現)
エクセレン「わお!  ホネホネさん、団体でご到着~!」
エクセレン「……って、 そんな場合じゃないみたいね」
???(アインスト)「……」
エクセレン「そんでもって、 まただんまりなの?」
エクセレン「あのねえ、普段わけの わからないこと言ってるくせに、 何で黙ってるわけ?」
???(アインスト)「……」
エクセレン「あっそ、 やる気だけは満々ってわけね。 なら、付き合ったげるわよ!」

〈敵機全滅〉

(アインストグリートが出現)
???(アインスト)「……」
エクセレン「は~い!  グリーンサラダ一人前追加~!」
エクセレン「つーか、どういうつもりよ!  出てくるなら、いっぺんに 出てきなさいって!」
(アインストグリート×3が出現)
エクセレン「あ~、うそうそ!  冗談よぉ、真に受けないで。ね?」
???(アインスト)「……」
エクセレン(それにしても、 ホネホネの次は植物……)
エクセレン(ってことは、 この次はこないだの蚩尤塚で 出てきた鎧……でしょうね)
エクセレン(順繰りで上位機が 出てきてる……じゃあ、最後は?)

〈敵機全滅〉

(アインストゲミュートが出現)
エクセレン「は~い、お帰りはあちら~。 ……ま、順番通りってとこね。 もちょっと意外性が欲しいけど」
???(アインスト)「……」
エクセレン(確認されてるのはここまで。 この次はあのお嬢ちゃん…… でしょうね、多分)
???(アインスト)「……」
エクセレン「口止めされてるのかも 知れないけど、女ってのは 退屈が嫌いなのよ?」
エクセレン「お喋りする気がないなら、 さっさとかかってきなさい!」
(サイバスター、ヴァルシオーネ、アステリオン、アンジュルグが出現)
エクセレン「また来たわね!」
エクセレン「あんまししつこいと、 あちこち手ぇ突っ込んで 奥歯ガタガタ言わせるわよっ!」
アイビス「え!?」
エクセレン「……って、あら?」
ラミア「エクセ姉様、口以外から どうやって奥歯に触れるので ございますです?」
エクセレン「ラ、ラミアちゃん?」
マサキ「人が心配して 追いかけてきたってのに…… 何だ、さっきの言い草は!?」
エクセレン「あ、あはは、 マーサ達だったのね。 みんな、おゲンコ?」
リューネ「ゲンコ!?  何発欲しいのさ!?」
エクセレン「ん~、リューネちゃんのは ゴメンして。ね?」
マサキ「ったく、勝手に飛び出した上に こんな所でドンパチやってるなんて…… なに考えてんだよ?」
クロ「……説得力ニャいわね」
シロ「だニャ。 どっちかって言うとそういうの、 マサキの専売特許だもんニャ」
アイビス「そ、そうなんだ」
クロ「しかも、その後で 迷子にニャっちゃったりするから 大変ニャの」
マサキ「こら!  余計なことを言うんじゃねえ!」
エクセレン「あの~…… ところで、ウチのダーリンは?」
ラミア「隊長なら、 まもなくこちらへ着くですことよ」
エクセレン(もしかして…… あのお嬢ちゃんが出て来ないのは キョウスケがいないせい?)
マサキ「それよか、 さっさとあいつらを片づけるぞ!」
リューネ「ああ、わかったよ!」

〈敵機全滅〉

(アインストアイゼンが出現)
アイビス「敵の増援!?」
ラミア(新型のアインスト……。 いや、あれは!?)
マサキ「お、おい!  ありゃ何の冗談だ!?」
リューネ「ま、まさか……あれって!」
エクセレン「アルト……アイゼン……!」
???(アルフィミィ)(正解ですの)
エクセレン「!」
(ペルゼイン・リヒカイトが出現)
エクセレン「やっぱり……あなたね」
アルフィミィ「……」
エクセレン「何のつもりなの!?  アルトアイゼンの偽物を作り出す なんて、どういう魂胆なの!?」
アルフィミィ(……キョウスケ)
エクセレン「え!?」
アルフィミィ(あの人の事を考えると…… 胸が……もやもやするの……)
エクセレン「はあ!?」
アルフィミィ(でも…… 私はあの人のことを知らない……)
アルフィミィ(結局……その殻しか 作ることが出来ないんですの……)
エクセレン(殻? どういうこと?)
エクセレン(あの子が…… アインストシリーズを 作り出しているとでも……!?)
マサキ「あいつがとっておきの奴か!  偽者のアルトと言い、 いったい何者なんだ!?」
エクセレン「……」
リューネ「エクセレン!  なにボーッとしてんのさ!?」
エクセレン「え? リューネちゃん、 あの子の声が聞こえなかったの!?」
リューネ「あの子!?  あんたの独り言は聞こえてきたけど、 そんなの知らないよ!」
ラミア(……前回、 アインスト・アルフィミィの音声は こちらでも記録できた)
ラミア(だが、今は……。 機密通信を行っているとでも 言うのか?)
エクセレン(さっきの声が 聞こえたのは……私だけ?)
アルフィミィ(そう……キョウスケも こうやって話すことは出来ない……。 でも、あなたとなら)
アルフィミィ(だからこそ、 あなたが必要ですのよ、エクセレン。 あなたが……あなたこそが……)
エクセレン「もうっ!  わけわかんないことばっか 言わない!」
エクセレン「あなたと私、 そしてキョウスケ……どういう関係だか 知らないけど……」
エクセレン「あなたが 倒さなければならない敵なら、 容赦はしないわよ!」
アルフィミィ「……」
アルフィミィ(……キョウスケ…… もうすぐ……ここへ……)
(熟練度獲得条件変更)

〈vs アルフィミィ〉

[エクセレン]

エクセレン「キョウスケ、キョウスケって 恋のライバルにしちゃ物騒な相手ね」
アルフィミィ(エクセレン…… 私はまだ、あなたを……)

〈6PP〉

(アルトアイゼンが出現)
キョウスケ「エクセレン、みんな…… 無事か?」
エクセレン「キョウスケ!」
キョウスケ「遅れてすまん」
アルフィミィ「来ましたのね…… キョウスケ……」
キョウスケ「……!」
マサキ「あいつ、喋りやがったぞ!?」
アイビス「もしかして、 あれには人が乗っているの!?」
ラミア「前回の戦闘記録から、 そう推測されていますのことよ」
アルフィミィ「キョウスケ…… あなたはいったい何者なんですの?」
キョウスケ「それはこっちの台詞だ。 何故、お前は龍虎王を狙った?  あのアルトの偽物は何だ?」
アルフィミィ「いいえ、 偽物とは違いますの……。 もっと異なる物……」
アルフィミィ「あなたのことが 知りたくて……作ってみましたの……。 でも……殻だけでは……」
キョウスケ「殻……だと?」
アルフィミィ「もっと…… あなたのこと知りたいですの……。 あなたが何なのか……」
キョウスケ「それはどういう意味だ?」
アルフィミィ「私を乱す……それがあなた」
キョウスケ「何が言いたい?」
エクセレン「あなた、 何で私やキョウスケに拘るのよ?」
アルフィミィ「……キョウスケ…… 一緒に来るですの……」
エクセレン「え!?」
アルフィミィ「一緒に……私と……」
キョウスケ「どこへだ?」
アルフィミィ「新しい宇宙……。 始まりの地を……捨てるために……」
キョウスケ「!?」
マサキ「始まりの地!?」
リューネ「何のことなの!?」
マサキ「俺が知るかよ!」
キョウスケ「……何を言っているのか わからんな。おれがお前の思う通りに 動くと思っているのか?」
アルフィミィ「はい……。 動いてもらいますの……」
(精神感応)
キョウスケ「何!? ぐうっ、頭が!」
マサキ「キョウスケ!!」
エクセレン「あ……ああ、 これは……!?」
リューネ「エクセレン、あんたまで!  いったいどうしたのさ!?」
エクセレン「あ……あの子は……!?」
リューネ「エクセレン!!」
キョウスケ「機体が……動かん!」
ラミア(何だ、この波長は……?  このようなパターンは見たことがない。 しかも、通信妨害まで……!)
アルフィミィ「さあ、キョウスケ……」
キョウスケ「く……うっ……!」
マサキ「させるかよ!  行けっ、ハイ・ファミリア!!」
シロ「わかったニャ!!」
(ハイファミリアの発射音、ペルゼイン・リヒカイトに爆煙)
アルフィミィ「……!  邪魔をしないで欲しいですの……。 キョウスケ……さあ、私と……」
(精神感応)
キョウスケ「ぐっ!!」
アルフィミィ「! 拒絶した……!?」
キョウスケ「……」
アルフィミィ「何故……ですの?」
キョウスケ「お前の思うようには…… 動かんと言ったはずだ……!」
アルフィミィ「どうしてですの……?  あなたの身体は……私達の……」
キョウスケ「わけの わからないことを……!」
アイビス「キョウスケ中尉、 大丈夫なの!?」
キョウスケ「あ、ああ……何とかな」
マサキ「とにかく、あの赤い奴を倒すぞ!  みんな、奴に攻撃を集中させろ!」
アイビス「わ、わかったよ!」
ラミア(データを収集したいところだが、 やむを得んか)
アルフィミィ「キョウ……スケ…… 何故……ですの?  私は……あなたのことを……」

〈vs アルフィミィ〉

[キョウスケ]

アルフィミィ「私が私であるために…… キョウスケ……あなたが必要ですの」
キョウスケ「私であるために?  どういう意味だ?」
アルフィミィ「……」
キョウスケ(何をおれに伝えたい……!?  この娘……)

[エクセレン]

エクセレン「思わせぶりって、 あんまし好きじゃないのよね」
エクセレン「今日こそ お姉さんに教えてもらうわよ?  あなたの正体と目的を」
アルフィミィ(あなたも…… わかる時が来ますの。 ……目覚めさえすれば)
エクセレン「……!!」
エクセレン(目覚める!? 私が!?)

[HP60%以下]

アルフィミィ「今日は ここまでに致しますの……」
キョウスケ「!」
アルフィミィ「それに、今頃は……」
キョウスケ「今頃? どういうことだ?」
アルフィミィ「キョウスケ…… あなたの周りにいる者達を……」
アルフィミィ「守護者…… もう一つのルーツ……その力を……」
アルフィミィ「それらの存在を 抹消すれば……あなたは……」
キョウスケ「何……!?」
アルフィミィ「さよなら…… 私の……キョウスケ」
(ペルゼイン・リヒカイトが撤退)
マサキ「消えやがった!?」
リューネ「あ、あいつ、いったい……」
エクセレン(やっぱり……)
エクセレン(やっぱり、そうなの?  あの子……あの子は……)
キョウスケ「……」
ラミア「隊長、 すぐに伊豆基地へ戻った方が よろしいでございますよ」
キョウスケ「そうか、 あの娘が言っていたのは……!」
ラミア「はい。 今頃、伊豆基地はアインストシリーズの 襲撃を受けていると思われますです」
アイビス「ええっ!?」
マサキ「こうしちゃいられねえ!  みんな、すぐに基地へ戻るぞ!!」


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