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もう一機のサイバスター

[フリングホルニ 休憩室]

マサキ「……おい」
ガエン「…………」
マサキ「おい、お前!」
ガエン「…………」
マサキ「ガエン! お前の事だ!」
ガエン「何だ?」
マサキ「呼んでるんだから、 返事ぐらいしやがれ!」
ガエン「だったら、お前ではなく、名を呼べ」
マサキ「ここにゃ、お前しかいねぇだろうが!」
ガエン「お前のファミリアがいるだろう、マサキ」
マサキ「屁理屈こねんじゃねぇ!  ったく、扱いにくいヤツだな」
ガエン「それで、俺に何か用か?」
マサキ「ああ、街へ行くぞ」
ガエン「そうか。行ってくるがいい」
マサキ「だから! お前も一緒に行くんだよ!」
ガエン「……意味がわからん」
マサキ「いいから来い!」
ガエン「それは命令か?」
マサキ「ああ、そうだ」
ガエン「ならば従おう」
マサキ「……素直なのかひねくれてんのか わかんねぇヤツだな」
(扉が開く)
リューネ「マサキ!」
ウェンディ「あ、ちょっと、リューネ!  そんなに急に……」
マサキ「ん? 何だ?」
リューネ「ありゃ? 何やってんのさ、二人で?」
マサキ「ああ、これからこいつを連れて、 ちょっと街にな」
リューネ「……どういう事?  何で二人で街に行くのさ?」
マサキ「確かめたい事があるんでな」
リューネ「ふうん……だったらさ、 あたしとウェンディさんも一緒に 行っていい?」
マサキ「言っとくが、危険があるぞ」
リューネ「大丈夫、いざとなったらあたしが 護ってあげる。ウェンディさんも マサキもね」
マサキ「俺はいいんだよ、別に」
リューネ「で、付いてっていいの?」
マサキ「そうだな……ま、いいだろ」
リューネ「だってさ、ウェンディさん」
ウェンディ「あ、ちょっと待って。 街に行くんなら着替えないと……」
マサキ「そんなのいいって。 いいから、行くぜ」

[商店街]

リューネ「ね、ね、マサキ」
マサキ「何だよ?」
リューネ「こうやってるとさ、 何だかデートみたいだね」
マサキ「ぶっ! ちょ、待て!  ガエンがいるって事、忘れるなっての」
リューネ「そういや、何であいつを街に 連れ出したのさ?」
マサキ「俺にだって考えってもんがあるんだよ!」
リューネ「ほほう、じゃ、その考えってのを 聞かせてもらいましょうか」
ウェンディ「私も知りたい」
マサキ「あー……いや、その、なんつーか、 まだきちっとまとまってねぇ」
リューネ「……行き当たりばったりねぇ」
マサキ「俺は考えるより先に行動する タイプなんだよ」
ウェンディ「うん、それは間違いないわね」
リューネ「ちゃんと客観視してるんだ」
マサキ「……改めて言われると、なんか バカにされてる気になるぜ」
ウェンディ「そんな事ないわ!  その方がマサキらしくて素敵!」
リューネ「ウェンディさん、声が大きいって」
ウェンディ「あ……ご、ごめん」
リューネ「ま、あたしも同意見だけど」
ガエン「……お前達、大道芸人か何かか?」
マサキ「え?
 うおっ!?  いつの間にか注目されてる!?」
ウェンディ「あ、あの、何でもないですから」
リューネ「そこっ!  勝手に撮るな!」
マサキ「参ったな…… あまり人目に付きすぎるのは 避けたいんだが……」
ウェンディ「じゃあ、あそこのカフェに入りましょ。 中までは誰も付いてこないから」
マサキ「そうだな……そうするか」

<No.025:ラングランのカフェにて

リューネ「……で、何でマサキの隣が ガエンなワケ?」
マサキ「四人がけのテーブルに1対3じゃ バランス悪いだろ。狭いし」
ウェンディ「私はここでも気にしないわよ」
ウェンディ(……マサキをずっと見てられるし)
リューネ「んー、ま、いいか。 こっちのがマサキの顔、ずっと 見てられるしね」
マサキ「な、なんだよ?」
リューネ「いいから、いいから。 ね、ウェンディさん」
ウェンディ「……リューネは素直でいいわね」
リューネ「裏表がないって言ってよ」
ウェンディ「ふふ、羨ましい」
マサキ「で、ガエン。 お前、何で窓側じゃなきゃ 嫌だなんて言ったんだ?」
ガエン「……お前が無防備だからだ」
マサキ「はぁ? 意味わかんねぇぞ」
ウェイトレス「びっくりジャンボパフェ、 お待たせしました」
マサキ「うわ、デカっ!?」
リューネ「ウェンディさん…… ホントにこれ、一人で食べるの?」
ウェンディ「え? へ、変かな?」
マサキ「つーか……ウェンディ、 普段そんなに大食いだったか?」
ウェンディ「……甘い物は別なの。 糖分は脳の活動に必要なの」
ウェイトレス「ケーキセットのお客様」
リューネ「あ、あたし!」
ウェイトレス「マラカ茶は……」
マサキ「俺だ」
ウェイトレス「クリームソーダはそちらで よろしいですか?」
ガエン「ああ」
マサキ「……お前の好みもよくわかんねぇな」
ガエン「脳の活動に糖分が必要なのは 間違いない」
ウェンディ「そ、そうよね」

[カフェ 店内]

マサキ「ま、いいや。 でな、ガエン」
ガエン「なんだ?」
マサキ「お前……目標とか、そういうもんは ねぇのか?」
ガエン「……唐突だな」
マサキ「前振りが長いのは嫌いなんだよ」
ガエン「目標か……お前はあるのか?」
マサキ「質問に質問で返すな。 お前、前もそうだったな。 自分の事を話すのが嫌なのか?」
ガエン「俺は……語るべきものなどない」
ウェンディ「ずっとヴォルクルス教団で 過ごしてたのよね?」
ガエン「ああ」
リューネ「思い出とかないの?  友達の話とか」
ガエン「忘れたな」
マサキ「ウソつけ。思い出したくねぇのか?」
ガエン「そういう事だ」
マサキ「ったく……で、これからどうするんだ?」
ガエン「お前達の指示に従うだけだ」
リューネ「望みとかないの?」
ガエン「必要ない」
マサキ「とりつく島もねぇな…… そんなんで生きてるって言えるのかよ」
ガエン「死ぬ覚悟なら、いつでもできている」
マサキ「!!  たやすく死ぬ覚悟なんて口にするな!」
ガエン「……気に障ったか?」
リューネ「当たり前でしょ!  あんたの仲間にティアンさんは 殺されたんだから」
ガエン「そうか。そんな事があったらしいな。 すまなかった」
ウェンディ「あなたのその考え方って、 ヴォルクルス教団での影響?」
ガエン「だろうな。俺の世界はそれだけだった」
マサキ「今は違うだろ。 大体何でいきなり投降したのか、 よくわかんねぇんだよ。
 シュウに何か言われただけで、 そこまで変わるもんか?」
ガエン「言葉は世界を形成する。 シュウの言葉は、俺の世界に 変革を起こした。
 それに、ヴォルクルスの実像を 見せてもらったからな」
ウェンディ「えっ!? ヴォルクルスの実像って…… ヴォルクルスは結界のせいで録画は できないのに……一体どうやったの?」
ガエン「そんな事は知らん。 だが、それで最後のピースがはまった。 俺に神は必要ない、と」
ウェンディ「無神論? それはそれで 極端に走ったわね」
ガエン「俺の中ではそれが真実だ。 理解してもらおうとは思わん」
ウェンディ「だったら、ヴォルクルス教団は あなたの中で共存できる存在なの?」
ガエン「俺の中には、もうヴォルクルスは 存在しない。他者として存在している 分には、干渉しない限り興味はない」
マサキ「……よくわからねぇが、お前の話 聞いてるとイライラしてくるぜ。 自分にしか興味がねぇのか?」
ガエン「……最近はそうでもないな」
マサキ「ほう、ちったあわかってきたか?」
ガエン「お前の様に、やたら干渉してくる 人間が多くてな。対処方法を思案中だ」
マサキ「お前な……」
(衣擦れ)
ガエン「!? 伏せろっ!!」
マサキ「なっ!?」

<No.026:右腕を盾に銃弾を受けるガエン

(銃声がする)
マサキ「くっ……何だ!?」
リューネ「狙撃!?」
ウェンディ「マサキ!?」

[カフェ 店内]

ガエン「いいから全員伏せろっ!」
マサキ「お前……右腕!」
ガエン「気にするな。 貫通していない」
リューネ「殺気が……消えた?」
ガエン「ああ……今の内に外に出よう」

[路地裏]

ガエン「……ここなら大丈夫だ」
ウェンディ「ガエン、腕見せて。 治癒術かけるから」
ガエン「助かる」
ウェンディ「この服……防弾なの?」
ガエン「暗殺者が暗殺されてはシャレに ならんからな。魔術強化もしてある」
マサキ「……助かったぜ。 ありがとうよ」
ガエン「礼は要らん。 うかつな雇い主を護っただけだ」
マサキ「ちっ……その言い方はねぇだろうが」
ガエン「銃弾のプラーナも読めんのは 未熟だからだ。ゼオルートから 何を教わった?」
マサキ「!? お前はいちいち……」
(爆発音がして、振動する)
ウェンディ「えっ!?  この音は……」
リューネ「魔装機!?  郊外の方!」
マサキ「こんな街の近くで…… テロリストかよ!?」
ウェンディ「フリングホルニ、こちらウェンディです!
 至急サイバスターとヴァルシオーネ、 それにデュラクシールを、 ここの座標に射出してください!
 ええ、近くの郊外の空き地に!」
リューネ「マサキ、いくよ!」
マサキ「おう!  ガエン、いけるな?」
ガエン「問題ない」
マサキ「ウェンディはサブシートに!  ここにいちゃ危ねぇ!」
ウェンディ「ええ、わかったわ」


もう一機のサイバスター

〔戦域:商店街〕

(南西に敵機が待機している)
ディーゴ「まったく、何が凄腕のスナイパーだよ。 ジェン・デミンの名が泣くぜ」
デミン「いやいや、ありゃ相手が 悪かったんですよ、ディーゴさん。
 まさか、あの距離から弾の気配を 読むなんてバケモンがいるとは 思いませんぜ、普通」
ディーゴ「お蔭でこちとら肉体労働だ。 俺は頭脳派だっての」
(中央辺りにサイバスター、ヴァルシオーネR、デュラクシールが出現する)
マサキ「てめぇら、街の近くで魔装機を 乗り回して、何やってる!?」
デミン「ああ、やっとお出ましですかい?  待ちましたぜ、ダンナ」
マサキ「……何だ、てめぇは?」
デミン「あっしはジェン・デミンっていう、 ケチな傭兵でしてね。
 まあ、早い話、マサキのダンナ。 ダンナのお命を頂戴したいと」
マサキ「なっ……お前、もしかして さっき狙撃してきた……?」
デミン「ええ、その通りで。 いやあ、これでも狙撃の腕には自信が あったんですがね。
 しかし、ありゃあ、一体どういった カラクリで?」
ガエン「答える必要はないな」
デミン「あー、やっぱり。 ま、何でも構いませんや。
 ここでダンナ方を始末すりゃ、 事は終わりですからね!」
マサキ「させるかよ!」
(作戦目的表示)

〈vs デミン〉

[ガエン]

デミン「ダンナ、一体どうやって あっしの狙撃を防いだんで?」
ガエン「答える義務はない」
デミン「確か……ダンナは元ヴォルクルス教団の 暗殺実行部隊でしたかね?」
ガエン「…………」
デミン「やれやれ、口の堅いお人で」

状況選択

2PPの内に敵機を全滅させた
2EPになった


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