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崩壊する理想 ~ 第9話 ~

[不明 (室内)]

シュウ「……アーマードモジュールの 量産は順調のようですね」
エルザム「ああ、 生産ラインの稼働率が上がっているのでな」
シュウ「それは結構」
エルザム「ところで、グランゾンの方は?」
シュウ「単独行動テストの結果は良好……。 順調ですよ、ユルゲン博士のプロジェクトとは 違ってね」
エルザム「……もう耳に入っていたか」
シュウ「ええ、ビアン博士から聞きました。 もっとも、コッホ博士の横槍が入らずとも 結果は同じでしょうが」
エルザム「何故、そう思う?」
シュウ「現状のODEシステムには、 矛盾があるからです」
エルザム「何……?」
シュウ「そして、 ユルゲン博士はそれを解決することが 出来ないでしょう……」
シュウ「彼が良心を捨て去らない限りはね」
エルザム「………」

[クロガネ 艦長室]

レーツェル「………」
レーツェル(あの時、 シラカワ博士が言った矛盾とはいったい……)
レーツェル(そして、 ユルゲン博士が良心を捨て去れば、 何が起きると言うのだ……?)

[ハガネ ブリーフィングルーム]

ラーダ「……先程、バルトールに 封入されていた人物の身元が判明したわ」
ラーダ「名前はジジ・ルー…… ウォン重工業のエンジニアで、 ゲシュタルトの開発スタッフよ」
ブリット「じゃあ、やっぱりあの時の……」
アヤ「会ったことがあるの?」
ブリット「ええ、アビアノで」
ギリアム「……諸君らも知っての通り、 ODEシステムは人間を生体コアとし、稼動している」
リュウセイ「そのODEシステムってのは、 いったい何なんスか?」
ブリット「ミロンガや バルトールの異常なまでの性能は、 そのシステムによるものなんですか?」
ギリアム「その通りだ。ODEシステムは、 かつてEOTI機関で研究されていた機動兵器の ネットワーク・システムを出発点とする」
テツヤ「EOTI機関…… では、今回のテロはDCとも何らかの関係が?」
ギリアム「いや…… DCでのODEシステムの開発は、 計画半ばで中止されている」
ギリアム「この件については、 レーツェルから確認を取った」
ヴィレッタ「では、DC以外の何者かが、 ODEシステムを独自に完成させたのね」
ギリアム「ああ。 そして、インスペクター事件後、 あれをウォン重工業にもたらした者がいる」
(モニターオン)
ユルゲン「………」
エクセレン「あらん?  思ってたより人の良さそうなオジサマじゃなぁい?」
ギリアム「ヴィルヘルム・V・ユルゲン博士。 かつてEOTI機関……そして、DCに所属し、 ODEシステムを開発した人物だ」
ブリット「この男が全ての元凶か……!」
ギリアム「一概に決め付けは出来ない。 何故なら、ODEシステム開発の初期段階では、 生体コアなどという概念はなかったからな」
リュウセイ「え……?」
リョウト「ギリアム少佐、 ODEシステムについて、もう少し詳しく 教えていただけませんか?」
ギリアム「うむ。ODEシステム…… オムニ・デンドロ・エンセンファロ・システム。 その出発点は……」
ギリアム「AMNシステム…… アーマードモジュール・ネットワーク・システムだ」
ギリアム「これは1機のアーマードモジュールが得た 戦闘データを迅速かつ正確に他機へ伝達し、 さらに複数間の機体で共有するシステムだ」
ギリアム「ODEシステムは、 それをさらに発展させたもので、データの 更新・最適化に要する時間が大幅に短縮され……」
ギリアム「念動力などの特殊能力者や、 強化措置を施されたパイロットでなくとも 無人機の同時複数遠隔操作が可能となる」
エクセレン「よく舌を噛まないものねえ、少佐。 要約すると……勝手に学んで強くなるお人形ちゃんを いっぺんに操れるってこと?」
キョウスケ「なるほど、晴海で交戦した時、 こちらの手の内を読まれているように感じたが…… 学習されていたということか」
ギリアム「しかも、 入力したデータは、別の戦域で行動している 機体にまでほぼリアルタイムで伝達される」
ライ「ECCMなどで、 ネットワークをかく乱できそうなものですが……」
ギリアム「EAに対するEP策は、 様々なパターンで用意されているらしい」
イルム「ODEシステムがそんなに優秀なら、 人間を機体に乗せる必要なんてないでしょうに」
ギリアム「そう。本来のODEシステムは、 最小限の人員で多数の無人機を 制御するためのもの……」
ギリアム「つまり、人的被害を抑えるための 極めて効率的、かつ人道的な見地に立った システムだったそうだ」
リョウト「でも、 テロに使われたバルトールには……」
ギリアム「ああ、 “人という部品”が組み込まれている」
ギリアム「コアとなった人間は生きてはいるが、 思考・感情が奪われた状態になり、 自律的な生物とは言えない」
アヤ「つまり……死んでいるも同然だと……」
ギリアム「システムから解放されない限りはな。 そして、いずれは消耗品として破棄、 交換されるだろう」
リュウセイ「それじゃ、 最初の目的とは正反対じゃないッスか!」
ギリアム「それこそが、 ODEシステムの抱える矛盾だったのかも知れん」
ライ「矛盾?」
ギリアムAMNシステム、並びにODEシステムは マン・マシン・インターフェイスの追求により パイロットと機体のリンクを行うが……」
ギリアム「その際におけるパイロットの脳への負担が、 最大の問題点となっていたらしい」
ラーダ「事実、DCではODEシステム搭載機の 暴走事故が発生したそうよ」
テツヤ「それがプロジェクト中止の理由か」
アヤ「問題が多かったんですね……」
ギリアム「……バルトールとODEシステムの スペックについては、その全てが連邦軍側に 伝えられているわけではなかった」
ギリアム「おそらく、 次期主力機トライアルの責任者であった マウロ・ガット准将も……」
ギリアム「ODEシステムの最終的な仕様や、 今回のバルトール襲撃に関しては、 知らなかったと思われる」
ライ「我々は欺かれていたというわけですね…… ユルゲンやウォン重工業に」
ギリアム「ああ。そして、ODEシステムは 生体コアを導入するという矛盾に踏み込むことで、 新たな段階へ進もうとしているのかも知れん」
ライ「………」
リュウセイ「だけど、 人間をあんな風にしちまう量産機なんて……!」
ギリアム「生体コアは軍人…… 機動兵器のパイロットでなくても構わんようだ」
リュウセイ「!」
ギリアム「伊豆基地での戦闘で 撃墜されたバルトールの内部には ウォン重工業の一般社員……」
ギリアム「つまり、民間人が封入されていた」
ブリット「そ、そんな!  じゃあ、自分達が撃墜したバルトールの中にも……」
ギリアム「いや。全てのバルトールに 生体コアが設置されているわけではなさそうだ」
ギリアム「現に、伊豆では3機のバルトールが 撃墜されたが、内2機は純然たる無人機だった」
イルム「解せないね、どうも。 生体コアにするんだったら、民間人より 軍人の方がいいのでは?」
ギリアム「バルトールは、 軍事的知識や技術のみならず、様々なデータを 集めようとしているのかも知れん」
エクセレン「様々なデータねえ。 ……恋愛遍歴とか、スリーサイズとかも 筒抜けってことかしら?」
キョウスケ「データの意味が違う」
テツヤ「無作為に人間を拉致し、 使えるデータを選別するつもりなのか?」
イルム「それじゃ、効率が悪い。 人間の拉致そのものが目的なら、軍事施設より 民間施設を襲った方がいいのはわかりますが……」
イルム「そもそも民間人のデータを集めて、 何をしようってんですかね?」
ギリアム「それは……まだ不明だ」
ギリアム「しかし、確実なのは…… 拉致された人間は、遅かれ早かれバルトールの 生体コアにされる可能性が高いということだ」
ブリット「……!」
(扉が開閉する)
カイ「艦長、ギリアム。 大阪の連邦大学がバルトールに襲撃されたぞ」
テツヤ「!」
ギリアム「また人間が拉致されたのですか?」
カイ「ああ……。 バルトールは友軍の追撃を振り払い、 逃亡したそうだ」
ギリアム「連邦大学と言えば、 極東地区でも五指に入る優秀な大学…… 効率を上げにかかったか?」
カイ「他にも、バルトールの襲撃を受けた基地や 民間施設がいくつかある」
アヤ「………」
リュウセイ「あいつら、いったいどこから来て、 どこへ消えやがるんだ……!?」
ギリアム「可能性が高いのは、 中国・大連地区にあるウォン重工業の本社……」
ブリット「では、拉致された人達…… クスハ達もそこに?」
ギリアム「それを調べるためにも、 手掛かりを得るためにも…… 艦長、ハガネを大連へ向かわせてくれ」
テツヤ「了解です。 直ちにケネス少将へ上申します」
テツヤ「なお、パイロット各員は いつでも出撃できるようにしておいてくれ。 どこでバルトールと接触するかわからんからな」
ヴィレッタ「了解」
(扉が開閉する・ヴィレッタ、テツヤは立ち去る)
ブリット(待っていてくれ、みんな……。 俺達がすぐに行く)
リュウセイ(ラトゥーニ、アラド、ゼオラ、 ラミア少尉、クスハ……無事でいてくれよ……!)

[ハガネ ブリッジ]

ケネス「……貴様に言われるまでもない。 すでにパーソナルトルーパー隊を ウォン重工業へ向かわせておるわ」
テツヤ「何か情報は?」
ケネス「まだ入ってきておらん。 が、今回の首謀者達がそこにおるのは間違いない」
ケネス「貴様らは直ちに大連へ向かい、 バルトール及びその生産工場を破壊せよ。 いいな?」
テツヤ「破壊、ですか?  制圧後、調査をした方がいいのでは……」
ケネス「口答えをするな!  黙ってワシの命令に従え!」
テツヤ「……了解です」
ケネス「それと、ギリアム・イェーガーに 余計な真似をするなと伝えろ。 奴の最近の行動は目に余る」
テツヤ「……では、これより本艦は大連へ急行します」
ケネス「こんな時のために貴様らがいるのだ。 工場は徹底的に破壊しろ。以上だ」
(通信切れる)
テツヤ「………」
(扉が開閉する)
ギリアム「フッ……俺も随分と嫌われたものだな」
テツヤ「ギリアム少佐……」
ギリアム「気にする必要はない。 俺は彼の直属の部下ではないからな」
テツヤ「わかりました。 ……それにしても、工場を破壊とは……」
エイタ「司令もトライアルには一枚噛んでたんでしょ。 証拠隠滅って奴ですかねぇ」
ギリアム「そこまで 深く関わっているわけではないようだが……」
ギリアム「自分の管轄下で起きた事件だ。 立場的に不利になるものは消去しておきたいのだろう」
ギリアム(下手をすれば、マウロ准将のように 自分も消されかねないからな……)
テツヤ「では、少佐。 これより本艦は大連へ向かいます」
ギリアム「了解した。 ……それから、先程テスラ研のタカクラチーフから 連絡があった」
ギリアム「彼女は、マサキやリューネ達と共に ウォン重工業の本社へ向かっているらしい」
テツヤ「わかりました。 エイタ、総員に伝えろ。 第2種戦闘配置、これより本艦は大連へ急行する」
エイタ「了解!」

《中国 大連地区付近》

[輸送機 コックピット内]

ツグミ「みんな、準備はいい?  そろそろ遼東半島に差し掛かるわよ」
アイビス「でも、本拠地を消しても、 その後には極東各地で暴れているバルトールと 戦わなきゃならないんだよね……」
ツグミ「その心配は要らないわ。 私達の攻撃目標はODEシステムの マスターコアだから」
マサキ「マスターコア?」
ツグミ「ODEシステムを制御する中枢よ。 それをマスターに全てのバルトールが コントロールされているの」
アイビス「そうか……。 データを共有して、複数の機体を同時制御するのには そういう弱点があるんだ」
マサキ「ヘッ、そいつは好都合だぜ。 一点突破で勝負をつけられるってのは、 俺達の性に合う」
リシュウ「しかし、油断はならん。 逆に敵にとっては、その一点の守りに 全てを集中すれば良いのじゃからな」
シロ「つまり、 強敵が待ちかまえてるかも知れニャいってこと?」
リシュウ「うむ」
マサキ「心配するなって、爺さん。 こっちには奴らにとって天敵のサイフラッシュと サイコブラスターがあるんだ」
マサキ「群れて出て来やがったら、 一発ドーンとブチかましてやるさ」
リシュウ「それは構わんが…… 使い所を間違えるでないぞ」
マサキ「ああ、わかってるよ。 ……ところで、ツグミ。 あんたに聞きたいことがあるんだが」
ツグミ「何かしら?」

[輸送機・機内]

リューネ「ねえ、セルシア……本気なの?」
セルシア「はい。 私もヴァルシオーネに乗せて下さい。 ……ご迷惑でなければ」
リューネ「あたしはいいんだけどさ……。 あのカイルってのを説得するんなら、 輸送機からでも出来るんじゃない?」
セルシア「いえ…… それでは、私の言葉は届かないと思います」
セルシア「カイルは 自分の目的のために命を懸けている…… ですから、私も同じ覚悟で臨まなければなりません」
セルシア「だから、リューネさん…… 私もヴァルシオーネに乗せてください」
リューネ「わかったよ。 そこまでの覚悟ができているんなら、 もうあたしは止めないよ」
セルシア「ありがとうございます」
(扉が開閉する)
マサキ「それで自分の罪を償うつもりなのかよ?  甘いもんだぜ」
セルシア「マサキさん……」
リューネ「マサキ、 セルシアは本気で自分のやったことを後悔して……」
セルシア「いいんです、リューネさん。 こんなことで、自分の過ちが償えるとは 思っていませんから……」
マサキ「………」
セルシア「でも、誰かに許しを請うためではなく、 私は私自身のためにカイルを止めたいんです」
セルシア「ユルゲン博士を信じ、 ODEシステムの開発に関わった自分のためにも……」
セルシア「そして…… ダイアンの死に報いるためにも……」
マサキ「………」
セルシア「罰は受けます。 でも、その前に私は……」
マサキ「……勝手にしろよ。 ただし、リューネの荒っぽい操縦に あんたが耐えられるってんならな」
リューネ「マサキ……いい加減にしなよ」
マサキ「俺に文句を言う暇があったら、こいつを ヴァルシオーネのコックピットにつけるのを手伝え」
リューネ「何これ?」
マサキ「身体を固定するためのハーネスだ。 これがありゃ、少しはマシだろうさ」
リューネ「マサキ、あんた……」
セルシア「ありがとうございます、マサキさん。 私のために……」
マサキ「か、勘違いすんなよ。 こいつは、あんたがビビって 逃げ出さないためのものだからな」
クロ「もう。 マサキったら、素直じゃニャいんだから」
シロ「さっき、ツグミに聞いて それを持ってきたのに」
マサキ「る、るせえ!  適当なこと言ってんじゃねえ!」
リューネ「はいはい。 じゃあ、セルシアが逃げ出さないように ハーネスを取り付けようね」
マサキ「お、おい。リューネ。 そんなにくっつくんじゃねえよ」
リューネ「いいから、いいから。 今日はあたし、頑張っちゃうからね!」
(マサキとリューネが立ち去る)
セルシア(ありがとうございます、マサキさん……)
セルシア(あの日…… エアロゲイターが私の街を襲った時……)
セルシア(死を待つばかりだった私を 救ってくれたのは、ハガネの部隊と…… サイバスターでした……)
セルシア(夜空を照らしたサイフラッシュの光…… 私は死の恐怖も忘れ、それに魅入られました……)
セルシア(そして、思ったのです。 自分も誰かを救える存在になろうと……)
セルシア(あなたやリューネさん達がくれた 最後のチャンス……。私は無駄にしません……)
セルシア(カイル……私はあなたを止めるわ……。 それが私の戦い……)


第9話
崩壊する理想

〔戦域:ウォン重工業本社周辺〕

所属不明兵「カイル、 こちらへ急速接近中の物体群を 感知した」
カイル「連邦軍か?」
所属不明兵「違うようだが、 我々にとって敵であるのは確実だ。 バルトールに迎撃させるか?」
カイル「いや、ここまで来させろ。 その方が都合がいい」
所属不明兵「了解した」
ムラタ「フン…… 先程のヒュッケバイン部隊より 手応えのある相手だといいがな」
カイル「まったくだ」
ムラタ「……一つ聞いておこう。 お前達やユルゲンは、いずれバルトールの 生体コアとなるつもりか?」
カイル「いや。 全員が全員、そうなるわけにはいかん」
カイル「マスターコアに何かあった場合、 対処できなくなるからな」
ムラタ「………」
所属不明兵「カイル、 敵機が侵入してくるぞ」
(グルンガスト零式、サイバスター、ヴァルシオーネ、アステリオンAXが出現)
アイビス「すごい敵の数……!」
マサキ「やっぱり、ここが敵の本拠地か!」
リシュウ「……ムラタもおるようじゃの」
ムラタ「ほう……。 老いぼれめ、ここまで来るとはな」
リューネ「大丈夫、セルシア?」
セルシア「は、はい。 マサキさんが用意してくれた ハーネスもありますし……」
セルシア「私のことは気にせず、 戦って下さい」
リューネ「わかったよ。 でも、絶対にあんたを守って みせるからね!」
(アステリオンAXに通信)
ツグミ「カイル・ビーン!  ここにODEシステムのマスターが あることはわかっています!」
ツグミ「速やかに投降して、 ODEシステムの全てを 停止させなさい!」
カイル「エンジニア風情が居丈高に。 それに執念深いな……わざわざ こんな所まで来るとは」
リューネ「よく言うよ。執念深いのは、 あんた達の方じゃないのさ」
カイル「地球圏を侵略者から守るためだ。 そうもなるさ」
セルシア「もうやめて、カイル」
カイル「ほう…… セルシア、お前まで来ていたか」
セルシア「カイル…… 民間人まで生体コアにする ODEシステムは、間違っているわ」
カイル「フン……要はバランスの問題だ」
カイル「99人の犠牲で1人が助かれば、 結果としては100人が全滅するより マシだからな」
アイビス「そんな机の上での計算なんて 意味がないよ!」
アイビス「誰かの命や夢を奪うことで 成り立つ平和なんて…… そんなのおかしいよ!」
マサキ「やめな、アイビス。 あいつらは、自分らのご大層な 理想や理屈に酔ってやがる……」
マサキ「だから、他人の命を 部品にするような真似が出来るんだ」
カイル「ただの部品じゃない…… 地球圏の守護者の一部になるのさ」
マサキ「屁理屈を言ってんじゃねえ!」
マサキ「セルシア!  あんたはあんたの戦い方をしな!  俺は俺のやり方でやるぜ!」
セルシア「わかりました、マサキさん」
ムラタ「カイル、 グルンガスト零式の相手は 俺に任せてもらおう」
カイル「あの老人のデータは使える。 殺すなよ」
ムラタ「…………承知した」
ムラタ(やはり、こやつらは……)
ツグミ「各機へ!  敵にODEシステムがある以上、 長期戦はこちらに不利よ!」
ツグミ「相手がこちらのデータを 収集する前に勝負をつけるわ!」
マサキ「要するに、速攻で向こうの頭を 落とせばいいんだな?」
リューネ「頭……カイルのミロンガだね」
セルシア「………」
アイビス「やってみる……!  いや、やってみせるよ!」
カイル「来るがいい。 貴様らもODEシステムの 生体コアにしてやる……!」
(作戦目的表示)

〈vs カイル〉

[アイビス]

アイビス「生体コアにされた人達にだって、 それぞれの生き方があるのに!  それを勝手に奪うなんて!」
カイル「彼らは人柱だ。 平和を守るための尊い犠牲なのだ」
アイビス「そんなやり方で得た平和に 何の意味があるのよ!」
アイビス「あたしは認めない!  人の幸せや夢が、誰かに勝手に 奪われるような世界なんて!」

[マサキ]

マサキ「てめえらの計画もここまでだ!  観念しやがれ!」
カイル「ここまで、だと?」
カイル「くくっ、ここまでなものか…… これからなんだよ、俺達は!」

[リューネ]

セルシア「カイル!  今のODEシステムは間違っているわ!」
カイル「黙れ、セルシア!  あと少しで我々の理想は実現される!  その邪魔はさせんぞ!」
リューネ「自分を想ってくれる人の 気持ちがわかんないような奴に、 地球の平和が守れるもんか!」
リューネ「あんたの性根、 ヴァルシオーネで叩き直してやるよ!」

〈4PP〉

カイル「フン、 奴らも学習能力が高いようだな」
カイル「益々欲しくなったぞ、 お前達という生体コアが」
マサキ「誰がそんなもんになるか!」
ツグミ「マサキ、 ハガネが来てくれたわよ!」
(ハガネが出現、出撃準備)
ツグミ「これで一気に形勢逆転ね」
テツヤ「これだけの戦力が 結集しているとは……やはり、 ここが敵の中枢か?」
リュウセイ「無事か、みんな!?」
マサキ「ああ。 あの程度の相手にやられるかよ」
シロ「でも、ハガネが来てくれて 良かったニャ。おいら達だけじゃ、 危ニャかったし」
カイル「ハガネか……!  テスラ研の時と言い、タイミングに 恵まれていないな」
ブリット「あいつらが首謀格か!」
リオ「ラミアさんやアラド達は ここにいるの……!?」
ライ「いや、彼らのPBS反応はない。 それに、バルトールや施設内から 生体反応が検出されていない」
リオ「じゃ、じゃあ……!」
ライ「拉致された人々は、 別の所にいるようだ」
ギリアム「ここにいる連中の目的は…… 我々のような存在を誘き寄せること だったのかも知れんな」
テツヤ「だが、 何らかの手掛かりはあるはず。 各機、攻撃を開始せよ!」
カイル「……今のODEシステムでは、 奴らの全てを“学習”する前に こちらがやられかねん」
カイル「ならば……!」
(工場を囲むようにバルトールが出現)
アイビス「バルトール!  まだこれだけの数がいたの!?」
ブリット「だが、 ODEシステムが相手だろうと、 俺達が力を合わせれば、勝てる!」
アヤ「私達には、共に多くの戦いを くぐり抜けた絆があるわ」
イルム「それぞれの連係による コンビネーション攻撃はそれこそ無限だ。 その全てをデータ化は出来んさ」
エクセレン「みんなやる気満々ちゃんね。 私とキョウスケのコンビネーションも 無限だってこと、見せるわよん?」
キョウスケ「……ランページしかないぞ。 読まれるんじゃないのか?」
カイル「だが…… 貴様らも無事では済まんぞ」
(ハガネに警報)
エイタ「艦長!  工場の地下部ジェネレーターらしき物から 異常熱源反応が!」
テツヤ「何っ!?」
エイタ「このままでは、 ジェネレーターが爆発する 恐れがあります!」
テツヤ「くっ! 証拠隠滅を図る気か!?」
ギリアム「どのみち、 データ類は消されているだろうが……」
ギリアム「工場内に爆発物が 設置されていれば、この辺り一帯が 吹き飛ぶかも知れん」
テツヤ「エイタ、臨界点突破までの 時間を予測しろ!」
エイタ「了解!」
セルシア「カイル、あなたは…… 自分の味方を巻き込んでまで……!?」
カイル「目的を果たすためなら、 何だってやってやるさ」
カイル「犠牲が生じることに罪悪感はない。 ユルゲン博士の計画が成就すれば……」
カイル「そんな感情など、 必要なくなるのだからな」
セルシア「えっ!?」
リョウト「どういうことなんだ……!?」
ギリアム「………」
マサキ「………」
(サイバスターに警報)
シロ「マ、マサキ! この反応!!」
マサキ「何だ!?」
シロ「グ、グ、グ……!」
(東側にグランゾンが出現)
シロ「グランゾンだニャ!!」
マサキ「……!!」
カイル「ば、馬鹿な……!  あの男が、何故ここに!?」
マサキ「シュウ!  てめえ、何をしに来やがった!?」
シュウ「マサキ…… テスラ研では上手くやったようですね」
マサキ「……ああ。 てめえが言った通りだったぜ」
リューネ「どういうこと……!?」
クロ「ある日、シュウが連絡してきたニャ。 地上で混乱が起きるって……」
シロ「そして、それを防ぎたかったら、 テスラ研へ行けって……」
カイル「シュウ・シラカワ…… 何故、俺達の計画に気づいた?」
シュウ「ユルゲン博士の計画を 快く思っていない人物がいましてね。 私に情報を提供してくれたのですよ」
シュウ「それに、 あなた達のバックにいる者達は、 私にとって少々厄介な存在でしてね」
カイル「貴様も、俺達を……!」
シュウ「私はただ、“矛盾点”を 克服したユルゲン博士の研究成果を、 この目で確かめたいだけです」
シュウ「結果的に、 あなたには死んでいただくことに なるかも知れませんが」
カイル「………」
マサキ「シュウ、てめえは……!」
シュウ「敵は同じだと言うことですよ。 ……今の所はね」
マサキ「………」
エクセレン「シュウちゃんってば、 ここ最近、すっかりお助けキャラが 定着してきたんじゃなぁい?」
エクセレン「今までの行いを反省して、 教会にザンゲでもしに行って…… 上から水でもかけられたとか?」
イルム「奴が教会に行くようなタマか」
エクセレン「ノンノン、 意外と信心深かったりするのよね、 ああいうタイプって」
エクセレン「どんな神様を 信じてるのかしらん?」
シュウ「少なくとも、 あなたが考えているような神では ありませんよ」
エクセレン「じゃ、ロマンスの神様とか、 代打の神様じゃないってことね」
シュウ「………」
カイル「サイバスターにヴァルシオーネ、 ハガネ……そして、グランゾン……」
カイル「フ、フフ……フフフ…… “捨てる”時が……来たか」
カイル「ODEシステムが さらなる成長を遂げるために……!」
シュウ「では、あなた方が あのシステムを本当に完成させたかどうか 確認させてもらいましようか」
カイル「ふざけるな!  俺達は、あの時の失敗や屈辱を 乗り越え、ここまでやって来た!」
カイル「DCや連邦軍でなく、 俺達自身が地球圏の守護者と なるためにな!!」
カイル「さあ、ミロンガよ!  ODEシステムよ! 俺の全てを 貴様にくれてやる!!」
(閃光、カイルに『ど根性』『必中』『ひらめき』『集中』『覚醒』がかかる)
カイル「う、うぐっ! うがあああ!!」
リューネ「セルシア、 何が起きてんの!?」
セルシア「おそらく、 システムとのリンクレベルを 最大にしたのでは……!」
リューネ「そしたら、どうなるの!?」
セルシア「今のカイルは、ODEシステムの 生体コアになったも同然……」
セルシア「彼は、自分の命と引き換えに ミロンガの性能を……」
カイル「くっ……くふ、ふふふ……!  これで……奴らを……!」
セルシア「もうカイルは……」
エイタ「計算の結果が出ました!  臨界点突破まで、あと3分です!」
ギリアム「どうする、艦長?」
テツヤ「ここであのバルトールを 食い止めなければ、被害が さらに広がることになる……!」
テツヤ「各機、 あと3分で出来うる限りの 敵機を落とせ!」
エクセレン「たった3分!?  限界バトルもいいとこじゃない!?」
キョウスケ「しかも、 ODEシステムはフル稼働か。 ……厄介だな」
マサキ「聞いたな、セルシア!  俺達はカイルを倒すぞ!」
セルシア「……わかりました」
リューネ「セルシア……」
セルシア「もう言葉が届かないなら、 物理的に彼を止めるしかありません……」
セルシア「ODEシステムは ユルゲン博士を……カイルを 変えてしまった……」
セルシア「お願いです、リューネさん…… 彼の心を救ってあげて……」
リューネ「……わかったよ、セルシア」
ムラタ「………」
リシュウ「ムラタ、お主は逃げぬのか?  ODEシステムとやらの 糧になるつもりか?」
ムラタ「そこまでの義理はない。 だが、貴様が繰り人形となる前に……」
ムラタ「斬る」
リシュウ「剣は交われども、 道は交わらず……か」
リシュウ「ならば、お主の剣を折ることが ワシの折伏(しゃくぶく)と知れい」
ムラタ「我が剣は未だ無明…… 斬って斬って斬り抜いた後に 修羅の悟りがあるはず」
リシュウ「そのような悟りを開いて どうする? 闘神にでもなる気か?」
ムラタ「人機を斬り続けた先に それがあるのならばな」
リシュウ「ならば、打と意地を以って、 お主の歪んだ性根もろとも 断ち斬るのみよ……!」
カイ「全機、攻撃開始!  カイルのミロンガとバルトールを 叩き落とせ!」
(作戦目的表示)

〈NEXT PP〉

エイタ「臨界点突破まで、あと2分!」
アイビス「負けられない……!  人間を部品にするODEシステムなんて、 許しちゃいけないんだ!」
カイル「貴様ら……には……無理……だ!」
マサキ「黙れ!  確かに人間には出来ること、 出来ないことがあるがよ……!」
リューネ「あんたみたいな 人間は絶対に止めてみせる!  あたし達の力でね!」
(作戦目的表示)

〈NEXT PP〉

エイタ「臨界点突破まで、あと1分!」
カイ「バルトールを他の地区へ 行かせるわけにはいかん!  急いで撃墜しろ!」
(作戦目的表示)

〈vs ムラタ〉

[リシュウ]

リシュウ「無明と言うたな、ムラタ。 修羅道の先に光明を見出せると思うてか」
ムラタ「光明などあるはずがない。 剣士は所詮人斬り。目指すべきは 禅でなく、修羅の境地よ」
リシュウ「それこそが件の無明長夜。 お主は欲のままに、快楽のために 剣を振るっておるだけじゃ」
ムラタ「元より承知」
リシュウ「未熟な者ほど、 みだりに剣を抜く」
ムラタ「何……!?」
リシュウ「抜かぬ剣こそ最強と知れ」
ムラタ「俺の目の前で 剣を振りかざす貴様に言えることか!」
リシュウ「ワシもまた、無明に在る者よ。 未熟者よ……」
リシュウ「故にお主を斬り、己を斬る。 世の乱れを正し、自らの魂を 鍛えるためにな……!」

〈vs カイル〉

[キョウスケ]

キョウスケ「……気にいらんな」
カイル「俺のやり方が……か?  甘いな……貴様」
キョウスケ「人間を部品として使う その機械がだ。 ……使われているお前に興味はない」
カイル「俺が…… 使われているだと……!?  貴様……!」

[エクセレン]

エクセレン「気概は認めるけど…… やり方がちょっと、ね。 さらったラミアちゃん達は無事?」
カイル「あの女は…… ODEシステムにとって福音…… 使わせて……もらう……!」
エクセレン「……使う、ね。 あの娘を再び人形として?  そんなことは許さないから……!」

[リュウセイ]

リュウセイ「てめえ!  ラトゥーニやアラド達もODEシステムの コアにする気かよ!?」
カイル「そう……だ。 地球を守るために……戦いは…… 本懐のはず……」
リュウセイ「戦いってのは 自分の意思でやるもんだ!  誰かに強制されるもんじゃねえ!」
リュウセイ「人間を戦争の道具にする お前達みてえな連中を、 俺は絶対に許さねえ!」

[マイ]

マイ「ラトゥーニやゼオラ達は どこにいる……!?」
カイル「知った所で…… どうすることも出来ん……!  無理……だ……」
マイ「それを決めるのはお前じゃない……!  友達を助けるために、 私は全力で戦う!」

[ブリット]

ブリット「さらわれた人達は、 クスハはどこにいる!?」
カイル「答える必要は……ない……。 奴らは……守護者になる……」
ブリット「バルトールに乗せられてか!  そんなことは絶対にさせない!!」

[カイ]

カイ「守るべき市民を戦いに使うとは、 本末転倒もはなはだしい!」
カイル「一握りの……軍人ではなく…… 多くの人間で……世界を守る…… それが俺達の……」
カイ「黙れ!  俺は軍人として、そんな世界は否定する!  戦いは俺達の仕事だ!」
カイ「そして、返してもらうぞ!  守るべき対象と俺の部下達をな!」

[ギリアム]

ギリアム「一刻も早く、 マスターコアの在り処を 突き止めねば……!」
カイル「お前達には……無理だ……」
ギリアム「俺は諦めが悪い方でな。 そう……お前以上に」
ギリアム「必ずユルゲン博士を 止めてみせる。お前が守ろうとする 世界のためにな」

[ラーダ]

ラーダ「人の心や想いを踏みにじり、 強制的に戦う道具として仕立てる……」
ラーダ「そんなシステムの存在を 私は許すわけにはいかない……!」
カイル「知ったような……口を……!」
ラーダ「私はあの人に託された…… アラド達のことを」
ラーダ「だから、あなた達を止め、 必ずあの子達を助け出してみせる!」

状況選択

カイル機を最後にリューネが撃墜した
上記以外


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