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望まれぬ訪問者 ~ 第8話 ~

〈エレオスのHP30%以下〉

???(デスピニス)「うう……死ぬのはイヤ……。 死ぬのは……」
???(ティス)「何やってんのさ、もう!  こうなったら、今日は帰るよ!」
???(デスピニス)「ごめんなさい……。 ごめんなさい……」
???(デスピニス)「でも、死ぬのはイヤ……。 私……生きていたい……」
(テュガテール、エレオス、アーチンが撤退)
レーツェル「退いたか……」
カーラ「よくわかんない連中だったけど、 手強い敵だってのは確か見たいね……」
ユウキ(そして、連中の片方は 明らかにラウルを標的にしていた……)
ユウキ(奴の狙いはラウル個人か……?  それとも……)
コウタ「ロア! 雷神野郎を追うぞ!  どっちへ行けばいい!?」
ロア「………」
コウタ「おい! どうしたんだ、ロア!?  奴らがどこへ行ったか教えろ!」
ロア「無駄だ、コウタ……。 奴らは空間転移を行った……」
コウタ「何? そ、それじゃあ……」
ロア「……追跡は不可能だ」
コウタ「そんな……そんな……!」
ラウル「どういうことだ、ロア?  お前……誰としゃべっているんだ?」
コウタ「ちっきしょおおおおおおっ!!」
(コンパチブルカイザーが南へ移動し撤退)
ラウル「待てよ、ロア! ロアーッ!」
ゼンガー「追うな、ラウル。 我々が成すべきことは別にある」
ラウル「は、はい……」
カーラ「そうだよ!  晴海の方はどうなったの!?」
ゼンガー「レーツェル、状況は?」
レーツェル「ギリアムからの報告によれば、 バルトールは式典会場を襲撃し、 民間人を拉致したそうだ」
カーラ「ら、拉致!?」
ユウキ「いったい、何のために……!?」
レーツェル「各機は帰還しろ。 これより今後の対策を検討する」
ラウル「………」
ミズホ「ラ、ラージさん……。 あの気味の悪い機体、ラウルさんを 狙っていたみたいですけど……」
ラージ「ええ……。 そして、彼らは限定的ながらも 空間転移技術を有しているようです」
ラージ(もし、彼らが エクサランスの時流エンジンの意味を 知っているのなら……)
ラージ(急がなければなりませんね……)

[クロガネ ブリッジ]

レーツェル「……あの2体の異形に関する情報は、 全く存在していなかった」
ゼンガー「では、 我らは未知の敵と遭遇したということか」
レーツェル「ああ。 『髪の毛』については目撃例があるものの、 その正体については謎のままだ」
カーラ「パチンコカイザーについては?」
ユウキ「コンパチカイザーだ。 今回はわざと言ったな?」
カーラ「えへへ、バレちゃった」
レーツェル「パチ…… いや、コンパチカイザーに関しては、 心当たりがある」
カーラ「ええっ!?」
ユウキ「本当なんですか?」
レーツェル「ああ。 あの機体の形状、使われている技術は、 ダブルGのそれと似ている」
カーラ「い、言われてみれば、 あのバリッとした感じが……」
ゼンガー「ビアン総帥が設計したダブルGは、 合計4機……だが、残り2体はどこにあるか不明。 形状や仕様もわからん」
レーツェル「……コンパチカイザーが 残りのダブルGである可能性は低いだろう」
ゼンガー「では?」
レーツェル「あの機体の開発に関わった人間は、 かつてのEOTI機関やDCに関与していた者 かも知れん……」
ゼンガー「心当たりがあるのは、そちらの方か」
レーツェル「確証はないが……私の方で調べておこう」
ゼンガー「頼む」
レーツェル(あれだけの特機を作り上げるとなると…… おそらくはキサブロー・アズマ博士…… そして、カオル・トオミネ博士)
レーツェル(だが、 アズマ博士は、EOTI機関がDCへ移行する前に ビアン総帥の下を去っている)
レーツェル(トオミネ博士だとすれば…… 面倒なことになるな)
ユウキ「問題とすべきは、 こちら側に仕掛けてきた異形の機体と 『髪の毛』の方ですね」
レーツェル「機体形状などに共通点は見られなかったが、 両者は互いを認識し、協力関係にあったようだ」
ゼンガー「我らの知らぬ組織同士が 手を組んでいるということか」
レーツェル「そして、『髪の毛』は “ロア”の妹である“ショウコ”という少女を 連れ去った」
ユウキ「彼女に特別な意味があるとでも?」
レーツェル「現時点では情報が少な過ぎる。 推測すら出来んな」
ユウキ「異形の機体と『髪の毛』……。 バルトールのテロに乗じて、 行動を開始したのでしょうか?」
ゼンガー「連中は このクロガネを標的としていたようだがな」
レーツェル「我々の存在を排除しようといたか、 あるいは別の目的があったか……」
ユウキ「………」
レーツェル「ユウキ……ラウル達はどうしている?」
ユウキ「格納庫で、エクサランスの修理をしています」
レーツェル「そうか……」
ユウキ「レーツェルさん、自分はエクサランスが……」
レーツェル「そこまでだ、ユウキ。 今は余計なことを考えるな」
ユウキ「しかし……」
レーツェル「以後はバルトールに関する情報を集め、 その上でこちらの行動を再検討する」
レーツェル「無論、新たな敵の存在も 考慮に入れながらな」
ユウキ「……わかりました。 自分としても疑心から余計なトラブルや遅れを 招くのは避けたいと思っています」
レーツェル「いつも心はニュートラルに、か。 いい心がけだ」
ゼンガー「レーツェル、 我らはこのまま日本へ向かうのか?」
レーツェル「いや、ギリアムから要請があった。 我らは我らで情報を集めてくれとな」
ゼンガー「承知した。ならば、機を待とう」
レーツェル「うむ。このクロガネは“影”だ。 影には影としての役目がある」
レーツェル「そして、影は闇に紛れる。 ……我らは我らにしか出来ぬ戦をしよう」

《地球連邦軍極東方面軍 伊豆基地》

[伊豆基地内]

マウロ「ま、待て! 私は何も知らん!  まさか、バルトールがあのような……!」
???(一般兵)「……依頼主から伝言がある」
マウロ「!?」
???(一般兵)「これが“最上級のお仕置き”だとな」
マウロ「!  い、依頼主はあの女か!?」
???(一般兵)「………」
マウロ「待て!  私は本当に知らなかったんだ!  全ては奴が! ユルゲンが……!!」

[伊豆基地 滑走路上]

ギリアム「……伊豆基地がこの有り様とはな。 ここを襲撃したバルトールは?」
情報部員「3機撃墜しましたが…… 残り15機はロストしました」
ギリアム「バルトールに拉致された人数は?」
情報部員「ざっと100名…… 大半がハンガーにいた整備員やパイロット達です」
ギリアム「そうか……。 本部ビルの方は?」
情報部員「そちらの被害はほとんどありません。 ただ、指揮系統はかなり混乱しています」
ギリアム「マウロ・ガット准将は、 こちらに来ているのだな?」
情報部員「ええ。 本部ビルへ行っていたはずですから、 おそらく無事かと」
ギリアム「では、彼の所へ行くぞ」
情報部員「はっ」

[伊豆基地内]

(扉が開閉する)
ギリアム「むっ?」
情報部員「マウロ准将が……!」
ギリアム「一足遅かったか……」
情報部員「……死後、1時間ほど経っているようですね」
ギリアム「バルトールがここを襲う前か……。 死因は?」
情報部員「毒物と思われます。自殺でしょうか?」
ギリアム「それはどうかな」
ギリアム(今回の件……バックにいるのは、 イスルギだけではないかも知れん)
ギリアム(そして、現在活動中のバルトールが 我々の目を欺くための囮だとしたら……)
ギリアム「……私はラーダ・バイラバンと共に ハガネと合流し、大連へ向かう」
情報部員「では、ウォン重工業の本社へ?」
ギリアム「ああ、新たな手がかりを得るためにな。 ……もっとも、すでに手遅れかも知れんが」

《日本 東京地区・晴海(ハガネ)》

[ハガネ ブリーフィングルーム]

リオ「……ブリット君…… 負傷者や避難した人達の中に、 クスハやアラド達はいなかったわ」
ブリット「じゃ、じゃあ!?」
イルム「……バルトールに拉致されたか」
リオ「……おそらく……」
リュウセイ「くそっ……!  バルトールに乗ってた奴は何者で、 何が目的なんだ!?」
ブリット「俺達が…… もっと早く晴海にたどり着いていれば……!」
キョウスケ「ブリット、 起きてしまったことを後悔しても始まらん。 おれ達がすべきことは……」
ブリット「わかっています。 敵の目的を明らかにし、その上で さらわれた人達を救出することです」
エクセレン「わお、言うようになったじゃなぁい?  これも私の蜂蜜授業のおかげね」
ブリット「……そんな甘いものではありません。 自分だって軍人ですから…… やるべきことは、弁えているつもりです」
(扉が開閉する)
ヴィレッタ「撃墜したバルトールの収容が完了したわ。 今からリョウトがコックピットの中を調べるそうよ」
イルム「了解。 中に乗っている奴の顔を拝むとするか」
キョウスケ「ええ」

[ハガネ 格納庫]

テツヤ「……妙だと?」
リョウト「ええ。 機体内部から生体反応が検出されていて、 中に人がいるのは確実なんですが……」
リョウト「コックピット部分にハッチがないんです。 いったい、どうやって乗り込んだのか……」
エクセレン「リョウト君、頭が固いわよ?  パイロットが乗り込んだ後で、ハッチを溶接…… これで謎は全て解決よん」
キョウスケ「無理矢理解決するな。 乗り込む度に溶接される機体など、 聞いたことがない」
エクセレン「ま、トイレにも行けなくなるしね」
リョウト「………」
リョウト「……いえ。 エクセレン少尉が仰ったことは、 あながち間違いではないかも知れません」
リオ「えっ……?」
アヤ「中のパイロットと話は出来ないの?」
リョウト「何度も試みてますが、全く応答がないんです」
ブリット「じゃあ、強引に開けるしかないか」
リョウト「うん……中の状態を確認するためにもね」
テツヤ「許可する。 だが、くれぐれも中のパイロットを 傷つけないよう気をつけてくれ」
リョウト「了解です。 では、レーザートーチを使います」
(レーザートーチでハッチを切断)
リョウト「切開完了です」
(ハッチ解放音と液体が溢れる音)
リオ「! み、水が!」
イルム「何かの溶液か!?」
リュウセイ「お、おい! 中を見ろ!!」
リオ「ひ、人が……組み込まれてる……!」
ヴィレッタ「ああ……機械の中に、な」
アヤ「ひ、ひどい……!」
イルム「パイロットじゃなく、パーツってことか。 確かに、これじゃハッチは要らんわな」
リュウセイ「これ、何なんだ……!?  いったい、何なんだよ!?」
(扉が開閉する)
ギリアム「……ODEシステムだ」

《テスラ・ライヒ研究所》

[テスラ・ライヒ研究所 管制室]

ツグミ「なるほど…… そういうことだったのね、セルシア」
セルシア「………」
ツグミ「話してくれてありがとう」
マサキ「おい……それだけで済ます気かよ?」
セルシア「……!」
マサキ「この女の仲間達のおかげで、 テスラ研以外の所も被害を受けてんだろ?」
ロバート「ああ……。 極東ではバルトールが多くの人々を拉致した」
セルシア「さらわれた人々は、 ODEシステムの生体コアとして 使用されるのでしょう……」
ツグミ「有機伝達系のパーツになるということね……」
アイビス「それって…… つまり、生体コアにされた人は 死んじゃうってこと……!?」
ツグミ「脳の伝達系が使用される以上、 生命は維持されるとは思うけど……」
ツグミ「思考も行動の自由も奪われた以上、 それはもう『人間』と呼べない状態になるでしょうね」
セルシア「ええ……消耗して稼働率が落ちれば、 破棄されるパーツに……」
マサキ「冗談じゃねえッ!!」
セルシア「!」
マサキ「どんなお題目があるか知らねえが!  勝手な理屈で街を焼き、命を道具にするような奴らを 俺は許しちゃおけねえ!」
マサキ「そして、この女もその連中の一味だ!」
セルシア「………」
クロ「ちょ、ちょっと、マサキ!  落ち着きニャさいよ!」
マサキ「るせえ!  こいつら、人間を消耗品扱いしてんだぞ!!  それを許せるか!」
アイビス「でも、マサキ…… セルシアさんは、あのカイルって奴に 利用されていただけだし……」
リューネ「そうだよ。 最後はあたし達に協力してくれたじゃない」
マサキ「だからって、 俺はこの女を許す気にはなれねえな!  行くぞ、クロ、シロ!」
シロ「あ! 待つニャ、マサキ!」
(扉が開閉する・マサキ、クロ、シロが立ち去る)
リシュウ「あやつ……随分と荒れとるのう」
リューネ「前に聞いたことがある……。 マサキは両親をテロで亡くしたって……」
ツグミ「だから、あのカイル達の仲間だった セルシアを許せないのね……」
セルシア「彼の怒りも当然です……。 そして、その気持ちも理解できます。 私も……大切な人を戦いの中で失いましたから……」
アイビス「え……」
セルシア「ダイアンという名は、 エアロゲイターの襲撃で命を落とした 私の友人のものなんです……」
アイビス「セルシアさん……」
セルシア「この腕の中で冷たくなっていく ダイアンを見ながら、私は戦争を恐れ、 憎みました……」
セルシア「そして、私がカイルへの協力を 決意したのは、理不尽に奪われる命を 守るためだったんです……」
セルシア「それなのに…… ODEシステムのコアとして 人間を使うなんて……」
リシュウ「命を守るために命を奪うとは…… 矛盾した結末じゃな」
リューネ「それで、セルシア…… あんた、これからどうするつもりなの?」
セルシア「軍に出頭して全てを話し、 然るべき裁きを受けるつもりです…」
ツグミ「……その前にやってもらうことがあるわ。 あなたにしかできないことを」
セルシア「え……?」
ツグミ「大連にあるウォン重工業の本社……。 おそらく、そこが彼らの中枢……少なくとも 何らかの手がかりがあると思われるわ」
ツグミ「ODEシステムがデータを収集し、 その機能を強化させていくとしたら…… 対処が遅れることは致命傷になる」
アイビス「じゃあ……」
ツグミ「先程、ギリアム少佐から連絡があって…… ハガネが大連へ向かうそうよ」
ツグミ「でも、あの艦は敵の目につきやすいから、 何らかの妨害を受けることになる。 だから、私達は独自に大連へ向かいましょう」
リューネ「了解。 DCが関わっていたって聞いちゃ、 あたしも黙ってられないしね」
ツグミ「そして、セルシア…… あなたは私達と一緒に来てもらうわ」
セルシア「え……?」
ツグミ「出頭するのは後でも出来ます。 でも、今は少しでもODEシステムの情報が 必要なの」
ツグミ「だから、あなたにはアドバイザーとして 私達に同行してもらいたいの」
セルシア「私が……?」
ツグミ「選択はあなたに任せるわ。 私達と一緒に大連へ行くか、 このまま軍へ出頭するか……」
セルシア「行きます…… 私を大連へ連れて行って下さい……!」
アイビス「セルシアさん……」
セルシア「知らなかったとは言え、 私がしたことは許されるものではありません。 でも……でも……!」
セルシア「だからこそ、 私はカイル達を止めたいんです……!  手遅れになる前に……」
リューネ「行こう、セルシア。 そして、あんたを利用した奴らを とっちめてやろうよ」
アイビス「今のあたし達には あなたが必要なんです!  一緒に行きましょう!」
セルシア「はい……。 例え許されなくとも、私は自分の罪を 仲間と共に償いたいと思います……」
ツグミ「では、決まりね。 ……オオミヤ博士、テスラ研の留守をお願いします」
ロバート「お、おい……君も行くのか?」
ツグミ「ええ……。 アイビスがAXで戦うためには、 私のナビが必要でしょうから」
リシュウ「……ワシも往くぞ」
ロバート「せ、先生まで!?」
リシュウ「今回の件には、 ムラタも一枚噛んでおるからの…… 放っておくわけにはいかん」
リシュウ「それに、 アイビス達に何かあっては、フィリオや ジョナサンに合わせる顔がないからのう」
ロバート「わ、わかりました。 では、テスラ研のことは俺に任せて下さい」
リシュウ「頼むぞ」
ツグミ「そうと決まったら、急ぎましょう。 各機の整備と補給をすませて、 6時間後には大連へ向けて出発します」
アイビス「了解!」
(セルシア以外が立ち去る)
セルシア(カイル……。 あなたは変わってしまった……)
セルシア(私はそれに気づいていながら、 あなたに手を貸した……。 いつか、あの日のあなたに戻ると信じて……)
セルシア(でも、それは間違っていた……。 あなたを止められなかった罪を、私は償います……)
セルシア(あなたとODEシステムを 止めることで……)

《日本 東京・浅草地区》

[アズマ研究所 居間]

(扉が開閉する)
コウタ「……ただいま……」
ジャーダ「コウタ!」
ガーネット「キサブローさん!  コウタが帰って来たよ!」
コウタ「………」
ジャーダ「良かった……無事だったんだな、コウタ」
コウタ「うるせえ!」
ジャーダ「!」
コウタ「ちっとも良かねえよ!  ショウコがさらわれちまったってのに、 俺は……俺は……!」
キサブロー「やめんか、コウタ。 ジャーダとガーネットは、ずっとお前達を 心配しとったんじゃ」
キサブロー「二人はお前だけでも 無事だったことを喜んでくれとるんじゃ」
コウタ「………」
ジャーダ「いや……キサブローさん。 俺も悪かったんですよ。 コウタの気持ちも考えずに……」
ガーネット「ごめん……ごめんね、コウタ……。 あたし達がショウコを見失ったせいで……」
コウタ「……あんた達のせいじゃねえ。 俺が……俺が全て悪いんだ……」
コウタ「俺は ショウコを守らなきゃならねえのに…… このていたらくだ」
ジャーダ「コウタ……」
キサブロー「ジャーダ、ガーネット…… 済まんかったな」
キサブロー「もう夜も遅い……。 二人共、今日は家に帰るんじゃ」
ジャーダ「すんません……何の力にもなれなくて」
ガーネット「コウタ……自分を責めないでね。 悪いのは、あんたじゃないんだから……」
(扉が開閉する・ガーネットとジャーダか立ち去る)
コウタ「………」
キサブロー「疲れたじゃろう、コウタ。 まずは風呂にでも入ってこい」
コウタ「……ショウコをさらったのは、 バルトールじゃねえ。この間の雷神野郎だ……」
キサブロー「知っておる。 カイザーの動きは、こちらでも モニターしておったからな」
コウタ「教えてくれ、爺ちゃん!  ショウコをさらった奴らは、何者なんだ!?」
コウタ「爺ちゃんが言ってた ロアを狙う敵だってのか!?」
コウタ「だったら、何故俺じゃなく ショウコをさらうんだ!?」
キサブロー「落ち着け、コウタ。 ワシにも奴らの正体や目的はわからん」
コウタ「じゃあ、ロアならわかるのか!?  ……おい、ロア! 聞いてんなら、答えろ!  てめえの知っていることを全部話しやがれ!!」
キサブロー「やめんか、コウタ。 長時間カイザーを稼動させた以上、 ロアには休息が必要じゃ」
コウタ「だけどよ!  俺はショウコを助けなきゃならねえんだ!  それには、あいつの力が必要なんだ!」
コウタ「相手が誰であろうと、 俺はショウコを守るんだ!!」
キサブロー「その覚悟……本気じゃな?」
コウタ「もちろんだ!」
キサブロー「ならば、ロアの使命を受け入れろ、コウタ。 それがショウコを救うことにつながる」
コウタ「爺ちゃん……!」
キサブロー「ロアは、こことは違う世界で生まれ、 ワシの前へ現れた男……」
キサブロー「あいつは、 多くの世界を守るために戦ってきた戦士なんじゃ」
コウタ「じゃあ、そのロアの敵ってのは?」
キサブロー「邪悪な存在…… だが、ロアもその正体を完全に 把握しておるわけではない」
コウタ「………」
キサブロー「ロア……そして、彼に選ばれたお前は その邪悪と戦う宿命にある」
コウタ「ショウコをさらった雷神野郎も そいつらの仲間なのか?」
キサブロー「そこまではわからん。 じゃが、奴は以前にも浅草に現れた。 あれは、ロアを探すためだったのかも知れん」
コウタ「なら、何でショウコをさらう!?  ロアを狙うんだったら、俺を襲えばいいのに!」
コウタ「それに、あいつは 一度は俺達を助けたじゃねえか!」
キサブロー「その謎を解くためにも、 お前はロアと共に旅立て」
キサブロー「ロアと対立する邪悪は、 遠からず行動を起こす……」
キサブロー「いや、既に動き始めているかも知れん」
コウタ「……わかったぜ、爺ちゃん。 俺は行く……」
コウタ「必ず奴らを見つけ出し、叩き潰す!  そして、この手でショウコを取り戻す!」
キサブロー「そうと決まったら、今は休め。 ワシはコンパチブルカイザーを整備し、 お前の旅支度を整えてやる」
コウタ「……ありがとよ、爺ちゃん。 必ず……必ずショウコを連れて帰るからな」
(扉が開閉する・コウタが立ち去る)
キサブロー「コウタよ……。 ロアと共に旅し、そして知るがいい。 この世界の危機を……」
キサブロー「それを食い止める力は、 お前とお前が出会うであろう仲間達と共に あるはずだ」
キサブロー「頼むぞ、コウタ、ロア。 世界の命運をお前達に託す……」


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