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修羅の予兆 ~ 第2話 ~


第2話
修羅の予兆

〔戦域:浅草周辺〕

???(フォルカ)「………」
コウタ「何なんだ、あいつら!  まるで雷門の雷神と風神だぜ」
ロア「………」
ロア(わかっていたことだった……)
ロア(コンパチブルカイザー…… 不完全とは言え、お前の力を使えば、 それに引き寄せられる者が現れる)
ロア(彼ら……そして、奴もまた。 OGセンサーが使えればいいのだが)
???(フェルナンド)「フッ…… 怖気づいたか、赤き機神よ」
ロア(あのロボット……只者ではない。 初めて戦いの場に立ったコウタには、 荷が重すぎる)
ロア(カイザーも甦ったばかりだ。 ここはひとまず……)
コウタ「おい、ロア。 逃げろとか言い出すんじゃねえだろうな」
コウタ「俺達がいなくなったら、 誰が浅草を……ショウコ達を守るんだ?」
ロア「………」
ロア「……いいだろう。 お前にその覚悟があるのなら」
コウタ「もとより、そのつもりでえ!」
???(フェルナンド)「……行くぞ!」
(ビレフォールがコンパチブルカイザーの南へ移動し、リオンを撃墜)
コウタ「!!」
ロア「何……!?」
ジャーダ「あいつら、 こっちの味方なのかよ!?」
ゼオラ「でも、 連邦軍の機体には見えません……」
ラトゥーニ「ええ……転移してきたもの」
???(ティス)「ちょっと、どういうことよ!  あいつら、あんたの仲間じゃないの!?」
???(アルコ)「奴らは、 俺とは別系統の命令で動いている……」
???(ティス)「だったら、早く止めなさいよ!  このウスノロ!」
???(アルコ)「俺では……無理だ」
???(フェルナンド)「そういうことだ、アルコ。 俺達は修羅……周りは全て敵」
???(フェルナンド)「そして、俺に命令できるのは 俺よりも強い男のみだ!」
???(アルコ)「くっ……!」
???(フェルナンド)「文句はないな、フォルカ?  俺は奴らを潰すぞ」
???(フォルカ)「いいだろう。 ここで彼女に修羅の戦い方を見せておく」
???(フェルナンド)「フッ……あんな子供に 理解できるとは思えんがな」
???(ティス)「子供?  それって、あたいのこと?」
???(フォルカ)「他に誰がいる?」
???(ティス)「あんた達、 あたいに歯向かう気?」
???(フェルナンド)「ふん。 何人も修羅の戦いを止めることは出来ん。 身を以て知れ」
???(ティス)「何よ、カッコつけじゃってさ!  ムカつく~!!」
???(ティス)「アルコ!  このことはあんたの上役に 言いつけておくからね!」
???(アルコ)「ぬうう…… 奴らめ、俺を馬鹿にしやがって……!」
コウタ「あの雷神と風神…… 敵か味方か、どっちなんだよ!?」
ロア「聞いたところで、 答えなさそうだが……」
コウタ「敵なら、 とっくに仕掛けてきてる、か」
ロア「ああ。向こうに敵意がなければ、 戦う必要はあるまい」
ロア「コウタ、 今は彼ら以外の者との戦いに専念しろ」
コウタ「ああ、わかった!」
(作戦目的表示)

〈初戦闘〉

[コウタ]

コウタ「どこのどいつだか知らねえが、 今日は大事なほおずき市だ!」
コウタ「四万六千日分のお参りを 邪魔する者は、俺が相手になってやる!」

[???(フォルカ)]

???(フォルカ)(あの巨大な機神は この街を守るために戦っているのか……)
???(フォルカ)(わからん……。 そのような理由が戦う意味になると いうのか……)

[???(フェルナンド)]

???(フェルナンド)「『彼の者』の使いの小娘め、 そこで半端者と共に見ているがいい!」
???(フェルナンド)「貴様らが何者であろうと 我ら修羅を……このたぎる覇気を 御せると思うなよ!!」

〈敵3機以下〉

コウタ「やるじゃねえか、あの雷神風神!」
ロア「ああ……彼らは強い。 敵に回したくはないな」
???(フェルナンド)「フン……つまらん戦いだ」
???(フォルカ)「無理もない。 所詮、相手は機械人形…… 俺達が戦うまでもない相手だ」
???(フェルナンド)「では、 獲物を変えるとするか……!」
(ビレフォールがコンパチブルカイザーの北側へ移動)
コウタ「何だ!?」
ロア「まさか!?」
???(フェルナンド)「異界の赤き機神よ!  これが修羅の戦いだ!!」
【強制戦闘】
???(フェルナンド)[機神轟撃拳]vsコウタ[防御]
(コンパチブルカイザーのHP50%に)
コウタ「ぐっ! 何しやがる!?」
???(フェルナンド)「ほう……やるな!  俺の蹴りを止めるとは!」
???(フェルナンド)「やはり、子供の人形より お前を相手にする方が楽しめそうだ!」
アラド「いったいどうなってんだ!  あの髪の毛ロボ、敵なのかよ!?  味方なのかよ!?」
ゼオラ「私だってわからないわよ!」
ジャーダ「くそっ!  戦闘が終わらなきゃ、コウタの奴を 捜しに行くことも出来ねえ!」
ラトゥーニ「見て、ジャーダ。 連邦軍が……!」
カイ機、ガーリオン、量産型ヒュッケバインMk-II×4が出現)
ゼオラ「あれは…… カイ少佐とラミア少尉だわ!」
コウタ「ちぇっ…… 来るのが遅いんじゃねえか、 連邦軍さんよ!」
???(フェルナンド)「この世界の 『軍』という奴らだな。 俺に狩られるために来たか……!」
???(フォルカ)「やめろ、フェルナンド」
???(フェルナンド)「何っ!?」
???(フォルカ)「既に目的は果たした。 これ以上の戦いは不要だ」
???(フェルナンド)「修羅に不必要な戦いなど あるか! 目の前の敵全てが倒れるまで 戦うのが修羅だ!」
???(フォルカ)「……帰るぞ。 嫌だと言うなら、腕ずくでも連れて行く」
???(フェルナンド)「ちっ……わかった」
(ビレフォールとヤルダバオトが東端へ移動し撤退)
コウタ「行っちまった……」
カイ「ここは俺とラミアが引き受ける。 他の者は、あの『髪の毛』の アンノウンを追え」
連邦兵「了解!」
(量産型ヒュッケバインMk-IIが東端へ移動し撤退)
ラミア「少佐、部隊編成から、 敵はノイエDC残党と予測されます」
カイ「現時点で確定は出来ん。 それに、インスペクターの兵器を使って 仕掛けてきた連中も気になる」
ラミア「……確かに。 あの赤いアンノウンについては?」
カイ「奴は市街に対して、破壊行動を 行っているように見えなかった。 俺がコンタクトを取ってみる」
(通信)
コウタ「何だ、これ?」
ロア「あの機体からの通信だ。つなぐか?」
コウタ「……ああ」
カイ「赤い機体のパイロット、 聞こえるか?」
コウタ「俺のことか、オッサン?」
カイ「オ、オッサン……!?」
ラミア「パイロットは 少年のようですね」
カイ「聞けばわかる。だが……」
ラミア「……少佐のお顔には、 数々の修羅場をくぐり抜けてきた、 いわば年輪が刻まれています」
ラミア「それが実年齢よりも、 お歳を召しているように見える原因 だったりしちゃいますのでしょう」
カイ「ぐっ、 周りくどい慰めはいらん!  かえって腹が立つ!」
ラミア「申し訳ござらんです」
カイ「ん、ゴホン!  ……こちらは連邦軍特殊戦技教導隊、 カイ・キタムラ少佐だ」
コウタ「………」
カイ「そちらが、 街を守って戦っていることは知っている」
カイ「だが、 以後はこちらの指示に従ってもらうぞ」
コウタ「やだね」
カイ「何だと!?」
コウタ「俺は俺の意志で悪党と戦ってんだ!  軍の言い成りになるかよ!」
カイ「ぬうう……」
ラミア「なるほど、子供だな」
カイ「今は街を守るのが先だ!  その後であの小僧……説教してやる!」

〈初戦闘〉

[ラミア]

ラミア「この動き、無人機か?  ……だが、モーションパターンは これまでのデータにはない」
ラミア「これを送り込んだのは 未知の組織ということか……?」

[カイ]

カイ「ここには ラトゥーニやジャーダ達がいる……!  戦闘を長引かせるわけにはいかん!」

〈敵機全滅〉

???(ティス)「フン……今日のところは あいつの存在が確認できただけで 良しとしてやるわよ」
???(ティス)「さあて、 早く帰って報告しなくちゃ」
???(アルコ)(くそっ…… 許さんぞ、フォルカ、フェルナンド。 そして、あの赤い機神……!)
???(アルコ)(この俺をコケにした報い、 必ず受けてもらうぞ……!)
ラミア「敵機、活動を停止。 生体反応はありません」
カイ「無人機だったということか。 また面倒が起きそうだな……」
コウタ「さてと……」
(コンパチブルカイザーが川の中央まで移動)
コウタ「こっちでいいのか、ロア?」
ロア「ああ、彼らとの接触は避けたい。 この区域から離脱するぞ」
カイ「待て!  お前達に聞きたいことがある!」
コウタ「悪いな、オッサン! あばよ!」
(コンパチブルカイザーが撤退)
カイ「あ、あいつ……!」
ラミア「反応……消えました。 ステルスシェードの類を 使用したと思われます」
ラミア「もう2体のアンノウンを 追跡しますか?」
カイ「いや…… あの『髪の毛』を追った連中から 報告が入った」
カイ「あちらも目標をロストしたそうだ」
ラミア「……インスペクターの兵器と 所属不明の無人機……ですか」
カイ「さらに、 アンノウンと謎のロボット……」
カイ「戦雲、再びか」

《日本 東京・浅草地区》

[浅草近辺]

コウタ「はあ……はあ……」
コウタ「くそ……ロアと融合して戦うのが、 こんなに疲れるとはよ……」
コウタ「それよりショウコは……。 ショウコは……無事なのか……」
コウタ「くっ……ダメだ……。 意識が遠くなる……」
(足音)
キサブロー「コウタ、ショウコは無事じゃ」
コウタ「!」
キサブロー「安心して安め、コウタ。 後のことはワシに任せい」
コウタ「ヘ……ワリいな、爺ちゃん……。 今日は……そうさせて……もらうぜ……」
(コウタが倒れる)
キサブロー「よくやったぞ、コウタ。 そして、ロア……」
キサブロー「じゃが、今日の戦いは序章に過ぎん……」
キサブロー「だから……今は休め……」

[??? (修羅王の間)]

???(ミザル)「……以上が修羅達に調べさせた この世界のあらましでございます」
???(アルカイド)「ふむ……面白い」
???(アルカイド)「どうやら、 この世界が“約束の地”であるようだな」
???(ミザル)「はっ」
???(アルカイド)「時にミザルよ、 『彼の者』が探していた『鍵』とやらも 見つかったそうだな」
???(ミザル)「これはお耳が早い。 アルティスより報告がありましたか」
???(アルカイド)「『彼の者』との交渉は、お前に任せる。 ただし、必要以上に絡むでないぞ」
???(ミザル)「ですが、 『彼の者』はそれなりの力を持っております」
???(ミザル)「彼らを利用することは、 我らにとって益となりましょう」
???(アルカイド)「……『絶界宝』が作動するまでの 時間が稼げれば、それでよい。 くれぐれも要らぬ欲を出すでないぞ」
???(ミザル)「………」

《日本 東京・浅草地区》

[浅草近辺]

ガーネット「ジャーダ、みんな……!  無事で良かった……!」
ジャーダ「お前こそな。身体の方は大丈夫か?」
ガーネット「うん。 キサブローさんが、シェルターへ誘導してくれたから」
ラトゥーニ「良かった……」
ゼオラ「一時はどうなるかと思ったわ……」
アラド「ああ。 あの赤いロボットのおかげだな」
ジャーダ「あいつ……いったい何者だったんだ?  遊園地の所から出てきたように見えたが」
ガーネット「もしかして…… キサブローさんが作った奴だったりして」
ジャーダ「あの爺さんが? そんな馬鹿な」
ガーネット「だって、あの人……発明家でしょ?  地下でこっそり作ってたのかも」
ジャーダ「発明家に作れるレベルのもんか? あれ……」
(足音)
カイ「……久しぶりだな。ジャーダ、ガーネット」
ガーネット「カイ少佐!」
ジャーダ「ご無沙汰してます」
カイ「対応が遅れてすまん。 だが……皆が無事で何よりだった」
ジャーダ「本当なら、少佐の部隊が 出張るはずじゃなかったんでしょう?」
カイ「うむ……まあ、色々あってな。 ところで、お前達……あの赤いロボットについて 何か心当たりがあるか?」
ジャーダ「いえ。 あんなの、初めて見ましたよ」
カイ「そうか」
ジャーダ「もしかして、そちらでも?」
カイ「ああ。 2体の『髪の毛』も含めてな」
ガーネット「もしかして……異星人の兵器……?」
カイ「まだわからん。 が、お前達が気にする必要はない。 生まれてくる子供と、これからのことを考えるんだ」
ジャーダ「……はい」
カイ「すまんが、ラトゥーニ達を引き取っていく。 これから忙しくなりそうだからな」
ガーネット「わかりました。 じゃあ、みんな……お仕事、頑張ってね」
ラトゥーニ「ジャーダ、ガーネット……また来るから」
アラド「おれも。焼きソバ、食い損ねたんで」
ゼオラ「ちょっと……食べ物目当てなの?」
アラド「ち、違うってば」
ジャーダ「暇が出来たら、いつでも来い。 焼きソバ、10人前ぐらいご馳走してやるぜ」
ガーネット「そうそう。 もんじゃ焼きとお好み焼きも用意しとくわ」
ゼオラ「ガーネットさん…… 赤ちゃんが生まれたら、見に行きますから」
ガーネット「うん。連絡するわね」
ジャーダ「そん時は、コウタとショウコも呼んどくよ」
ゼオラ「ええ。 あの二人にもよろしく伝えて下さい」
ジャーダ「わかった。 元気でな、マイサン、マイドーター……」

[アズマ研究所 居間]

コウタ「う……ううん……」
ショウコ「お爺ちゃん!  お兄ちゃんが目を覚ましたよ!」
コウタ「ショウコ……!  お前、無事だったんだな……」
ショウコ「うん。 赤いヒーローが助けてくれたの」
コウタ「赤いヒーロー?」
ショウコ「そう。 赤い鎧を着たヒーローが、 浅草を守って戦ってくれたのよ」
ショウコ「巨大ロボットまで呼び出して、 もう凄かったんだから。 お兄ちゃんもあの人に助けられたんでしょ?」
コウタ「ああ……まあな。 そういうことになるな」
ショウコ「でも、 あの人の正体はわからないみたいなの」
コウタ「へえ……」
ショウコ「つまり、正真正銘の謎のヒーローってわけ。 いったい、どんな人なのかしら」
コウタ「ああ、そいつはな……」
(襖開閉音)
キサブロー「ショウコ、 コウタのタオルを代えてやってくれんか。 この暑さじゃ、すぐに温くなってしまうからのう」
ショウコ「はい、お爺ちゃん。 ……待っててね、お兄ちゃん。 ついでに飲み物も持ってくるから」
コウタ「あ……ショウコ……」
(ショウコが立ち去る)
キサブロー「コウタ、 ショウコにはロアのことは黙っておけ」
コウタ「じ、爺ちゃん!」
キサブロー「あの子は……知らぬ方がいい」
コウタ「爺ちゃん…… 爺ちゃんは、なんでロアとコンパチカイザーのことを 知ってたんだ?」
キサブロー「それは…… ワシがコンパチブルカイザーを修理したからじゃ」
コウタ「な、何だって!? 爺ちゃんがあれを!?」
キサブロー「そうじゃ。 長い年月をかけ、このアズマ研究所の地下で コツコツとな」
コウタ「………」
コウタ(昔、爺ちゃんが偉い科学者だったってことは 知ってたけど……)
コウタ(この浅草で? 一人で? 何のために?)
キサブロー「コウタ。 ロアがあの時点でお前を選んだことは、 ワシにとって予想外じゃった……」
キサブロー「だが、彼に選ばれたからには、 お前はこの世界を守るため、ファイター・ロアとして 戦わねばならん」
コウタ「この世界を守る……?」
キサブロー「そうじゃ。 全てはあの日……ワシとロアが 出会ったことから始まる」
コウタ「……パス」
キサブロー「何じゃと!?」
コウタ「面倒な話はパスだ。 俺は、ショウコを守るために戦っただけだ。 セカイヘーワなんぞには興味はねえな」
キサブロー「コウタ、お前……!」
コウタ「悪いな、爺ちゃん。 その話を聞いちまったら、また面倒事に 巻き込まれちまいそうだからな」
キサブロー「待て、コウタ! どこへ行く!」
コウタ「ちょっと出かけてくらあ。 晩飯までには戻るぜ!」
(襖開閉音・コウタが立ち去る)
キサブロー「馬鹿モンめが……」
キサブロー(のう……ロアよ……。 本当にコウタでいいのか……?)
キサブロー(あらゆる世界を守る戦士…… その使命をコウタが背負えるというのか……?)


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