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甦る炎 ~ 第1話 ~

新西暦188年。

インスペクター事件、そしてアインストシリーズとの
激戦を経て、地球圏は平穏を取り戻しつつあった。

地球連邦政府は、度重なる地球外知的生命体との戦闘を
教訓とし、地球連邦軍の組織改編・軍備増強を目的とする
「イージス計画」のさらなる強化を決定した。

その一環として、量産型ヒュッケバインMk-IIに次ぐ
新たな量産主力機の開発が各メーカーに依頼され、トライアルが
行われることになった。

だが、人々は気づいていなかった。

別世界からの侵略者が絶えていないことを……
彼らがインスペクター事件末期から行動を起こしていたことを。

新たな戦鐘は、今、打ち鳴らされようとしていた。

[不明

コウタ「………」
???(ロア)「………」
コウタ(……また……あんたか)
コウタ(いったい、何モンなんだ……?)
???(ロア)「………」
コウタ(なんで俺の夢の中に出てくる……?)
???(ロア)「……甦る時……目覚め……」
コウタ(意味……わかんねえよ。 何なんだよ、いったい……)

《日本 東京・浅草地区》

[アズマ研究所 居間]

ショウコ「お兄ちゃん! 起きて、お兄ちゃん!!」
コウタ「う……」
ショウコ「お兄ちゃんてば!」
コウタ「何だ……ショウコか」
ショウコ「何だ、じゃないわよ。 あたし、出かけるからね」
コウタ「どこへ行くんだ?」
ショウコ「ほおずき市。 その後、ガーネットさんトコへ顔出すわ」
コウタ「待て。 今日は人出が多いからな、俺も行くぜ」
ショウコ「んも~。 お兄ちゃんてば、心配性なんだから。 ショウコは一人でも大丈夫よ」
コウタ「そういうわけにはいかねえ」
ショウコ「別に遠出するわけじゃないもん。 お爺ちゃんにもそう言っといて」
コウタ「……その爺ちゃんはどこだ?」
ショウコ「さあ……。 地下の研究室にこもってるんじゃないかしら」
コウタ「またワケのわからん発明か……しょうがねえな」
ショウコ「じゃ、あたし……行ってくるから」
コウタ「お、おい! 待てよ、ショウコ!」

[アズマ研究所 地下]

(機械の動作音)
キサブロー(……ようやく動いた……)
キサブロー(ここまで来るのに、 随分と時間がかかってしもうたわい)
キサブロー(これで、あの男が目覚めるかも知れん……)
キサブロー(ワシがあと30も若ければ、 共に戦っておったのじゃが……)
キサブロー(伝えねばならん……真実を。 ワシの孫に……)

[浅草 雷門前]

ジャーダ「よお、ラトゥーニ! こっちこっち!」
ラトゥーニ「ジャーダ……」
ゼオラ「先日はご馳走様でした、ジャーダさん」
ジャーダ「ああ。料理の作り甲斐があったって、 ガーネットが喜んでたぜ」
ゼオラ「ご迷惑じゃなかったですか?  あの子……人一倍食べるから……」
ジャーダ「一倍どころか、五倍はいってたけどな。 まあ、育ち盛りだ。気にするこたあないさ」
ラトゥーニ「ジャーダ…… 新しい家、もう落ち着いたの?」
ジャーダ「おう。 場所が浅草なのが、王女様らしいって言うか」
ラトゥーニ「前にみんなで行ったことがあるものね」
ジャーダ「ガーネットも気に入ってるよ。 近所の人も親切だし、子供を育てるにも良さそうだ」
ラトゥーニ「双子は元気?」
ジャーダ「ああ、もう二人揃っておなかの中で大暴れさ。 先が思いやられるぜ」
ゼオラ「ふふ、早く顔を見たいです」
ジャーダ「あともうちょっとさ。 ……ところで、お前さんの相方は?」
ゼオラ「えっと…… さっきまでそこにいたんですが」
アラド「……この焦げたソースの匂い……たまらん。 蒸したマンジュウの匂い……たまらん。 出来たての人形焼きの匂い……マジたまらんスな~」
ゼオラ「もう。 アラドったら、食べ物のことばっかり」
アラド「ゼオラ、ゼオラ!  焼きソバ食べようぜ、焼きソバ!」
ゼオラ「なに言ってるの。 あなた、カイ少佐からもらったお小遣いを 全部使っちゃったでしょ」
アラド「そうだった……。貸ちて下さい」
ゼオラ「駄目よ。 ちゃんとお給料が出るようになるまでは、 節約するって約束したでしょ」
アラド「……ちぇっ、でけえおっぱいしてるくせに そういう所はケチなんだから」
ゼオラ「む、胸とお金に何の関係があるのよっ!!」
ジャーダ「焼きソバぐらい、俺がおごってやる。 ほら、買ってこいよ」
アラド「い、いいンスか!?」
ジャーダ「おう。食えるだけ食ってこい」
アラド「あ、ありがとうございます!」
(速い足音・アラドが走り去る)
ゼオラ「あの、ジャーダさん。お気持ちは……」
ジャーダ「たまの休みなんだろ。 こういう時は、思いっきり羽を伸ばせよ。 本来なら、もっと遊んでていい年頃なんだから」
ゼオラ「す、すみません」
ジャーダ「いやいや、 ラトゥーニが世話になってるからな。 これぐらいのことはさせてくれ」
ゼオラ「ありがとうございます。 ……それにしても、今日は随分と人出が 多いんですね」
ジャーダ「ああ、ほおずき市だからね。 屋台もいつも以上に出てるのさ」
ラトゥーニ「ほおずき市?」
ジャーダ「そこのお寺でやってる祭りみたいなもんだ」
ゼオラ「日本のお祭り……私、初めて見ます」
ジャーダ「よし。 じゃあアラドが戻って来たら、見に行くか」
ラトゥーニ「………」
ジャーダ「どうした?」
ラトゥーニ「何だか向こうの方が騒がしい……」
ジャーダ「お? 喧嘩か?  喧嘩と何とかは江戸の華ってな、 そいつも見に行こうぜ」

[浅草寺 境内]

アラド「いや、あの……もういいッスから」
ショウコ「よくないわよ。 ぶつかってきたのは、あの人なんだから」
???(アルコ)「………」
ショウコ「あなたね、 この子の焼きソバを落としておいて、 知らんぷりはないでしょう!」
???(アルコ)「……下らん」
ショウコ「なに言ってるの! あたし見てたんだからね、 あなたがこの子にぶつかったのを!」
???(アルコ)「下らんな、この世界の人間達は。 その程度の理由で争えるのか」
ショウコ「え……!?」
???(アルコ)「だが、小娘…… 凡人の分際で、この俺に抗ったことは許せん」
???(アルコ)「後悔するがいい……あの世でな!」
アラド「ヤ、ヤバい!」
(殴る)
アラド「ぐあっ!!」
ショウコ「き、君!!」
???(アルコ)「ほう……。 俺の拳を受けて、その程度で済むとは。 頑丈だな、小僧」
アラド「く、ううっ……! 逃げるんだ!」
ショウコ「え!?」
アラド「こいつ、マジだ!!」
???(アルコ)「クハハッ! 死ねぇっ!!」
ショウコ「!!」
(殴る)
???(アルコ)「ぬうっ!?」
コウタ「……てめえ、俺の妹に何をしやがる」
ショウコ「お、お兄ちゃん!」
???(アルコ)「小僧……! 俺の拳を!」
コウタ「ここは天下の往来だ。 そこで女に手を上げる奴ぁ、お天道様が許しても この俺が許さねえ」
???(アルコ)「何……!?」
コウタ「相手が俺の妹なら、尚更なっ!!」
(殴る)
コウタ「!?」
???(アルコ)「ククク、面白い。 小僧、お前の流派は何だ?」
コウタ「流派だぁ?  そんなものはねえ、浅草仕込みの喧嘩殺法よ」
???(アルコ)「フン、我流ということか」
(殴る)
コウタ「チッ! こいつ!」
???(アルコ)「まあいい。どうせお前達はここで……」
コウタ「てめえ、何言ってやがる?  いや、それ以前に……どこのモンだ?」
???(アルコ)「知った所でどうにもならんぞ、小僧」
コウタ「小僧じゃねえ。コウタ・アズマだ」
???(アルコ)「フン……。 俺の国では、名も無きまま死んでいく者など 掃いて捨てるほどいる」
???(アルコ)「せいぜいあがくがいい、虫ケラ共」
(足音・???(アルコ)が立ち去る)
コウタ「あ、てめえ! 待ちやがれ!!」
ショウコ「お兄ちゃん、待って!」
コウタ「ショウコ……」
ショウコ「あの人、なんか危ないよ。 関わり合いにならない方がいいよ」
コウタ「けどよ……つっ……!」
ショウコ「ほら、お兄ちゃん。腕、見せて」
コウタ「これぐらい、ツバつけときゃ治るって」
ショウコ「駄目よ。ショウコの言うことを聞いて」
コウタ「爺ちゃんにブン殴られた方が よっぽどいてえっての。 俺より、あいつの方を……」
アラド「あ……おれは大丈夫」
コウタ「そうか。 ……焼きソバは残念だったな」
アラド「いや…… おれの方こそ、もめ事に巻き込んじまったみたいで……」
(速い足音)
ゼオラ「アラド!!」
ジャーダ「大丈夫か、お前!?」
ショウコ「あ、ジャーダさん」
ジャーダ「ショウコ……それに、コウタ」
コウタ「何だ?  この人達、ジャーダさんのツレだったのか?」
ジャーダ「ああ」
アラド「ど、どゆこと?」
ジャーダ「この二人は、 俺とガーネットが世話になってる町内会長さんの お孫さんなんだ」
ショウコ「ショウコ・アズマです。 で、こちらが兄の……」
コウタ「コウタ・アズマだ。よろしくな」
アラド「おれ、アラド・バランガ」
ラトゥーニ「ラトゥーニ・スゥボータ……」
ゼオラ「ゼオラ・シュバイツァーです」
ショウコ「もしかして、 ジャーダさんが言っていた息子さんや娘さんって……」
ジャーダ「そう。こいつらのことさ」
ゼオラ「ごめんなさい。アラドのせいで面倒が……」
ショウコ「ううん。 悪いのは、さっきの人の方なんだから」
コウタ「お前もお前だ。喧嘩売る相手を選べよ」
ショウコ「だって…… アラド君があんまりしょげた顔をするもんだから、 可哀想になって……」
コウタ「俺が通りかからなかったら、 どうなってたと思うんだ。心配かけさせんじゃねえ」
ショウコ「ごめん……」
ゼオラ「妹さん思いなのね、コウタ君は」
ショウコ「うん……。 でも、ちょっと過保護かも」
コウタ「誰が過保護だ、誰が。 だいたいな、お前みたいな怖いもの知らずは、 危なっかしくて見てらんねえ」
ショウコ「それはこっちの台詞よ。 お兄ちゃん、いつも喧嘩ばかりしてるじゃない」
コウタ「てやんでえ。 誰彼構わず喧嘩を吹っかけてるわけじゃねえや」
ショウコ「それはわかってるけど…… ショウコはいつも心配してるんだよ。 お金遣いだって荒いし」
コウタ「け、喧嘩と金は関係ないだろ!」
ショウコ「じゃあ、お財布の中を見せてよ」
コウタ「うっ……そ、それは」
ショウコ「あ~っ、やっぱり!  今月分、もう使っちゃったのね!?」
コウタ「……え、江戸っ子は 宵越しの銭を持たねえんだよ」
ショウコ「またそんなこと言って!  前借りなんて認めないからね!  お爺ちゃんにも言っとくから!」
コウタ「く~っ、厳しいぜ……」
ラトゥーニ「……似てる……」
アラド「へ? 誰と?」
ジャーダ「ああ、どことなくな」
ゼオラ「?」
コウタ「……まあ、何だ。 こうやって知り合ったのも縁って奴だ。 俺達が浅草を案内するぜ」
ゼオラ「けど、迷惑じゃ……」
コウタ「気にすんなって」
ショウコ「あたしも付き合うわ。 みんなに浅草でいい思い出を 残していって欲しいし」
ゼオラ「じゃあ……遠慮なく」
コウタ「そうと決まれば、まずは腹ごしらえだな。 知り合いがやってる、とっときの焼きソバを ご馳走するぜ」
ショウコ「お兄ちゃ~ん、お金ないんでしょ~?」
コウタ「うっ……そうだった」
ショウコ「もう、しょうがないわねぇ。 ここはあたしがご馳走するわ」
コウタ「へ!?」
ジャーダ「待て待て。 それじゃ、大人の立場ってもんが……」
ショウコ「ジャーダさんは、出産で何かと入り用でしょ?  ショウコに任せて」
ジャーダ「いや、だからってなぁ」
ショウコ「将来に備えて、 ちゃんと貯金しなきゃ駄目です。 ガーネットさんも、そう言ってるでしょ」
ジャーダ「は、はい。すんません」
コウタ「………」
アラド「ど、どったの?」
コウタ「ドに超がつくほどケチのショウコが おごるなんて……明日は槍の雨が降ってくるぜ」
ショウコ「言っときますけどね、 あたしはケチじゃなくて、お金の使い方を キッチリ見極めてるだけなの」
コウタ「あ~、そうかいそうかい」
ショウコ「なぁに、その反応?  お兄ちゃんの分は、ツケにしとくから」
コウタ「ちょ、ちょっと待て! そりゃねえだろ!!」
ショウコ「文句言わない。さ、行きましょ」

[浅草近辺]

???(フェルナンド)「……アルコの奴は、 どうやら俺達とは別の命を受けて動いているようだ」
???(フォルカ)「おそらく、勅命だろう。 奴はミザル様の直属だからな」
???(フェルナンド)「フン…… 修羅神に認められぬ半端者がこそこそと」
???(フォルカ)「奴の事を気にする必要はない。 俺達は、俺達に下された命を果たせばいい」
???(フェルナンド)「こんな温い空気で満ちた世界に、 求めるものがあるとは思えんがな」
???(フォルカ)「だが、俺達はこの世界にたどり着いた。 それは何かの導きだろう」
???(フェルナンド)「ならば、 この地をとっとと戦いの炎で染めあげればいい」
???(フォルカ)「やめろ。今は機を窺う時だ」
???(フェルナンド)「フン……俺に命令する気か?」
???(フォルカ)「……そんなつもりはない」
???(フェルナンド)「だが、お前にはその権利がある。 俺の命は屈辱の証……お前によって与えられた、な」
???(フォルカ)「………」


第1話
甦る炎

〔戦域:浅草周辺〕

(浅草寺辺り)
ショウコ「焼きソバを食べに行く前に ここでお参りしていきましょ」
アラド「え? 何で?」
ショウコ「今日は、四万六千日分 お参りしたのと同じご利益があるって 言われてるの」
アラド「へ~、そりゃすげえ」
ジャーダ「じゃ、 ガーネットの安産を祈願しとくか」
アラド「あ、おれも」
ゼオラ「私も」
ラトゥーニ「みんな合わせて、 十八万四千日分……」
ジャーダ「お前達……ありがとな」
コウタ「俺とショウコの分も足して、 二十四万五千日分だ」
ショウコ「お兄ちゃん…… 二十七万六千日だから」
コウタ「か、数を数えんのは 不得意なんだよ」
ショウコ「そうよね~。 お小遣いも計算して 使ってないもんね~」
コウタ「る、るせえ」
ジャーダ「お前らもありがとよ。 これだけお祈りすりゃあ、 安産間違いなしだぜ」
コウタ「じゃあ、 俺は先に店へ行ってるぜ。 席を取っとかなきゃな」
ショウコ「お願いね、お兄ちゃん」
???(アルコ)「………」
???(アルコ)(ふん……。 『彼の者』が求める『鍵』の手がかりは、 今の所なし、か)
???(アルコ)(だが、 手ぶらで帰るわけにはいかん……)
???(アルコ)(手はず通り、 戦鐘を鳴らすとしよう。 このぬるま湯は気にいらんからな)
(ガンセクトが出現)
ジャーダ「!!」
ショウコ「な、何!?」
ラトゥーニ「あれは インスペクターの……!」
ゼオラ「どうしてこんな所に!」
コウタ「な、何だよ、ありゃ!?」
ジャーダ「あいつら、敵なのか!?」
ラトゥーニ「う、うん。 インスペクターが使っていた 機動兵器……」
ジャーダ「何だって!?」
ショウコ「お兄ちゃん……!!」
ゼオラ「ショウコ!  そっちへ行っちゃダメよ!」
ショウコ「でも、 お兄ちゃんがあっちに!」
ゼオラ「あっ、待って!」
(浅草寺の南側の道路に3箇所爆煙)
ジャーダ「! あ、あいつら!!」
コウタ「やめろ、てめえら!  俺達の街に何てことしやがる!!」
???(アルコ)「フハハ、燃えろ、燃えろ!  そして、『鍵』を呼び出せ!!」
???(アルコ)「あれは この地にあるはずなのだからな!!」
(一番北のガンセクトが浅草寺の林に寄る)
ショウコ「こ、こっちに来た!!」
コウタ「ショウコ!!」
(速い足音・コウタがショウコのいる位置に近づく)
???(アルコ)「ほう……さっきの小僧か」
???(アルコ)「丁度いい…… 俺に楯突いた報いを受けろ!」
(浅草寺に近づいたガンセクトがコウタに照準を合わせた)
コウタ「!!」
ショウコ「お兄ちゃん!  逃げてぇぇぇっ!!」
(コウタが居た位置に爆煙)
ショウコ「ああっ!!」
ジャーダ「コ、コウタ!!  ショウコ!!」
ショウコ「お、お兄ちゃん!  お兄ちゃぁぁぁぁん!!」
???(アルコ)「ハハハハ!  戦鐘は鳴った! 弱者は死ね!  死に絶えろ!!」
???(アルコ)「そして、 もうすぐ我らの世が始まる!!」
???(アルコ)「血と肉と鋼鉄の世界が!  力こそが全ての世界がな!  ヒャハハハハハ!!」
(ガンセクトがショウコの方を向く)
ショウコ「!!」

[不明

コウタ「う……こ、ここは……?」
コウタ「これは……いつもの夢か……?」
???(ロア)「………」
コウタ「……また、あんたか……」
???(ロア)「……甦る時……目覚め……」
コウタ「……今は…… あんたの戯言に付き合ってる場合じゃ……ねえ……」
コウタ「お、俺は……ショウコを…… あ、浅草の街を……」
コウタ「あいつらの……好きにさせるわけには……!」
???(ロア)「お前のその想いが……私を呼び寄せた……」
コウタ「な、何……!?」
???(ロア)「私とお前が一つになれば…… お前は炎の戦士となる」
コウタ「炎の戦士!? て、てめえはいったい……!?」
ロア「我が名はロア……戦士ロア」
コウタ「ロ、ロア……!」
ロア「我らの敵は、ゲートを開き…… 秩序を乱さんとする者……」
コウタ「あ、あいつらが……そうだってのか!?」
ロア「そうだ……。 コウタ・アズマ……お前の身体を私に貸してくれ」
ロア「さすれば、 彼らと戦う力を……我が魂と鎧を授けよう」
コウタ「……てめえの言うことを聞けば、 ショウコ達を助けられるってのか……!?」
ロア「それには、お前の意志が必要だ……」
コウタ「………」
コウタ「よ、よし……わかった。 てめえの言うことを聞いてやる……!」
コウタ「その代わり、妹を……ショウコ達を 助けられる力を……俺に!」
(閃光)

〔戦域:浅草周辺〕

???(アルコ)「死ね、小僧!!」
ショウコ「あ、あああ……!!」
(コウタの居た所に青白い光が上がる)
キサブロー「む? この反応は……!?」
???(アルコ)「何だ!?  これは……“覇気”か!?」
コウタ「………」
ロア「コウタ…… 我が魂と鎧、お前に預けるぞ」
コウタ「あ、ああ!」
ロア「唱えよ。 バーナウ……レッジー・バトー……!」
コウタ「バーナウ!  レッジー・バトー!!」
ロア「ファイター・ロア!」
コウタ「ファイタァァァァッ!  ロアッ!!」
(柔らかな炎が上がり、ファイター・ロアが出現)
???(アルコ)「何だ、奴は!?」
ショウコ「あ、あれ…… お兄ちゃん……!?」
ショウコ「でも、あの格好…… それに髪の毛の色が……!」
コウタ「これが ファイター・ロア……!」
ロア「コウタ、俺が指示を出す。 あのマシンと戦うのだ」
コウタ「ちょっと待て!  あんたはどこにいるんだ!?」
ロア「俺の魂は、お前が身につけている ロア・アーマー……そのクリスタルに 宿っている」
コウタ「え!? 魂って……」
ロア「俺の身体は、 ある者との戦いで失われた。 俺の大切なものと共に……」
コウタ「……!」
ロア「戦うのだ、コウタ。 お前の大切なものを守るために。 お前になら……出来る」
コウタ「気楽に言いやがって。 要はあんた、見てるだけだってのかよ!?」
ロア「……そうだ」
コウタ「………」
コウタ「しょうがねえ。 言うことを聞くって言ったのは、 俺だからな」
???(アルコ)「あれが『鍵』……?  いや、あんな物ではないはずだ」
???(アルコ)「邪魔者は叩き潰す!  行けい!」
(一番南のガンセクトが少し北へ移動)
ショウコ「あ……ああっ!!」
コウタ「ここは危ねえ!  早く逃げろ!!」
ショウコ「!!  い、今の声は……!?」
(ファイター・ロアが川沿いまで移動)
コウタ「虫メカめ!  こっちだ! こっちへ来い!」
(全てのガンセクトがファイター・ロアに近づく)
コウタ「そうだ!  俺が相手になってやる!!」
キサブロー「………」
キサブロー「……やはり…… 目覚めたか、ロア」
キサブロー「そして、コウタ…… すまん。真実を告げる前に、 お前を巻き込んでしもうた」
キサブロー「そして、 今のワシに出来ることは……」
(作戦目的表示)

〈初戦闘〉

[コウタ]

ロア「コウタ、クリスタルに 意識を集中させるんだ」
ロア「お前の意志と 俺の力が一つとなった時…… 炎の力が呼び覚まされる」
コウタ「よし! やってやるぜ!!」

〈敵機全滅〉

コウタ「……ショウコは、 みんなは無事に逃げられたのか!?」
ロア「そのようだ」
コウタ「良かった……!」
???(アルコ)「おのれ、子虫の分際で……!  俺の手があれで終わりだと思うなよ!」
ロア「……! 来るぞ、コウタ」
コウタ「え? 何が!?」
ロア「空間を越えてくる敵……!  だが、これは……」
(ガロイカとバレリオンが出現)
コウタ「今度は空からかよ!?」
ロア「しかも、数が多い」
コウタ「く! あいつら、なんで浅草を 攻撃して来やがるんだ!?  ただの観光地だぜ、ここは!」
ロア(あの連中…… もしや、カイザーを?)
ロア「急げ、コウタ。 奴らを倒さねば、お前の街は……」
コウタ「わかってる!  さっさと片付けてやらあ!!」

〈敵機2機撃墜 or 3 NEXT PP〉

コウタ「ええい!  空を飛んでる奴はやりにくいぜ!」
コウタ「ロア! このアーマーで 空を飛べたりしねえのかよ!?」
ロア「ジャンプならともかく、 長時間の飛行は無理だ」
コウタ「それじゃラチが明かねえ!  連邦軍が来るのを待ってられねえ!  マジで浅草が火の海になっちまう!」
ロア「………」
コウタ「何か手はねえのかよ!?」
ロア「俺が目覚めたのなら、 カイザーもまた……」
コウタ「カイザー!?  何だ、そりゃ!?」
ロア「彼が…… 俺との約束を守っていてくれて いるのなら、あるいは……」
コウタ「カイザーだかゲイザーだか 知らねえが! 方法があるなら、 そいつを使わせろ!」
ロア「………」
(通信)
キサブロー「コウタ、ロア!  聞こえるか!?」
コウタ「じ、爺ちゃん!?」
キサブロー「今から コンパチブルカイザーを発進させる!  そいつに乗るんじゃ!」
コウタ「コ、コンパチ!?  いや、待て! 何で爺ちゃんが!?」
キサブロー「説明は後じゃ!  ロア、コウタを頼むぞ!!」
ロア「キサブロー……!」
キサブロー「カイザーの修理は終わった。 今、おぬしに返す」
ロア「……すまない、キサブロー。 だが、ここであれを使えば……」
キサブロー「いずれこうなることは わかっておった」
キサブロー「それに、 カイザーなくしておぬしの敵と 戦うことは出来ん」
ロア「そう……だな」
コウタ「待て待て! あんた、爺ちゃんと 知り合いなのかよ!?」
ロア「……コウタ、呼ぶんだ。 コンパチブルカイザーを…… お前の力となる巨人を」
コウタ「巨人!?  もう何が何だか……!」
キサブロー「いいから、呼ぶんじゃ!  コンパチブルカイザーを完全に 目覚めさせられるのは……」
キサブロー「今のお前!  ファイター・ロアしかおらん!!」
コウタ「だから、説明しろよ!  コンパチ何とかって、何だよ!?  巨人とか言ってたけどよ!」
キサブロー「ええい、ゴチャゴチャと!  わかりやすく言えば、ロボットじゃ!  さっさと呼べい!」
キサブロー「今、浅草を救えるのは、 お前しかおらんのじゃ!!」
コウタ「ロボットだって……!?  わ、わかった……!  呼ぶよ、呼んでやる!!」
コウタ「……来やがれ!!」
コウタ「ロボォォォォォッ!!」
(遊園地の真ん中が光り、ハッチが開く)
???(アルコ)「む!?  こ、この反応は!?」
キサブロー「来おった……!  オーバーゲート・エンジン、 出力上昇!」
キサブロー「ハンガーロック、解除!  クレイドル、リフトアップ・ スタンバイ!」
(セリが上がる)
キサブロー「地上部、安全確認!  防御柵、煙幕噴射装置、作動!」
キサブロー「フラワーハウスゲート、 オープン!」
キサブロー「出ませい!  バトルフォース・ロボ!  コンパチブルカイザーよ!!」
【デモイベント『コンパチブルカイザー登場』】
(コンパチブルカイザーが出現)
アラド「な、何だ、ありゃ!?」
ラトゥーニ「特機……!?」
ゼオラ「あんなの、見たことない……!  いったい、誰が!?」
ショウコ「………」
ロア「コウタ!  カイザーに乗るんだ!!」
コウタ「お、おう!」
(ファイター・ロアがコンパチブルカイザーに乗り込む)
コウタ「こいつが コンパチブルカイザー……!」
ロア「そう。 俺がこの世界へもたらした巨人だ」
コウタ「けど、こんなデカブツ、 どうやって動かせば……」
(データ送信)
コウタ「! 何だこりゃ!?  頭の中に……!」
コウタ「わかる……わかるぞ!  こいつの動かし方が!」
ロア「これで…… コンパチブルカイザーは お前の手足となった」
コウタ「すげえじゃねえか、こいつ……!  気にいったぜ、名前以外は」
ロア「名前?」
コウタ「ああ、ちと長え。 そうだな……コンパチカイザー…… コンパチカイザーでどうだ!」
ロア「……2文字しか省略していないぞ」
コウタ「るせえ。 俺はその呼び方が気に入ったんだよ」
???(アルコ)「この反応…… やはり、そうだ……!」
???(アルコ)「フ、フフフ…… 奴こそが『鍵』か!」
コウタ「これ以上、 てめえらの好き勝手にはさせねえ……!」
ロア「コウタ、空中戦へ持ち込め。 これ以上、街に被害を与えては ならない」
コウタ「わかってる!  行くぞ、コンパチカイザー!!」

〈敵機2機撃墜〉

???(フォルカ)「あの巨大な機神……。 かなりの力を持つようだな」
???(フェルナンド)「面白い。 奴の首を、この退屈な任務の土産とするか」
???(フォルカ)「やめろ。 どうやらアルコのお目当ては、 あの機神のようだ」
???(フェルナンド)「知ったことか!  どうせ奴の密命とやらは、『彼の者』に 関係するものだろうが!」
???(フォルカ)「………」
???(フェルナンド)「あのような連中に 我らが協力する義理などない!  お前もそう思っているだろう!?」
???(フォルカ)「………」

〈玩具会社のビル〉

コウタ「っと、ここは!」
ロア「どうした、コウタ?」
コウタ「ああ、オモチャ会社のビルでな。 ついこないだ、引っ越ししたんだけど」
コウタ「ん? ありゃ何だ?」

『勇者の印』を入手した。

〈敵機全滅〉

コウタ「これで……終わりか?」
ロア「………」
(コンパチブルカイザーが浅草寺近くの林まで移動し着地)
コウタ「もう新手は出てこねえようだな」
???(アルコ)「くっ……!  ミザル様からお預かりした戦力を 全て潰されるとは……」
???(アルコ)「だが、確信したぞ。 あの機神こそ、『彼の者』が 探し求めていた……」
???(ティス)「多分ね。 だから、あんたはもう引っ込んでいいよ」
???(アルコ)「!?」
???(ティス)「こないだから出てた反応は、 本物だったみたいだね」
???(アルコ)「貴様も……来ていたのか!」
???(ティス)「あんただけに任せておけないからね。 でも、あいつを引っ張り出したことは 褒めてやるよ」
???(アルコ)「小娘!  この俺を露払いに使ったのか!?」
???(ティス)「なぁに、その言い方?  あたいはあんたを手伝いに来たのにさ」
(リオン系列機が出現)
コウタ「ま、まだ出てきやがるのかよ!?」
ロア(やはり、 彼らの狙いはコンパチブルカイザーか)
???(ティス)「ふふふ…… あれが本当に必要なものかどうか、 まだわかんないけど……」
コウタ「チッ!  こうなったら、矢でも鉄砲でも 持ってきやがれってんだ!」
ロア「……どうやら、 それ以外のものが来たようだぞ」
コウタ「何!?」
(東端にヤルダバオトとビレフォールが出現)
???(フォルカ)「………」
???(フェルナンド)「………」
コウタ「な、何だ、あいつら!?」
ロア「見たことのない巨人だ……」
コウタ「まさか、 異星人だってんじゃねえだろうな!?」
???(フォルカ)「………」
???(フェルナンド)「ふふふ…… たぎる、たぎるぞ、俺の血が!」
???(フェルナンド)「修羅の血がたぎるわ!」
コウタ「!!」


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