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裁く者、裁かれる者 ~ 第48話 ~

[ホワイトスター 内部]

ウェンドロ「……やれやれ、 クロガネとヒリュウの侵入を 許してしまうとはね」
アギーハ「も、申し訳ございません…… 現在、第2層で迎撃中です」
ウェンドロ「シャドウミラーは 何をしているんだい?」
アギーハ「出撃準備中のようですが…… 先程の戦闘でシロガネを失っており、 戦力的にはあまり期待できないかと」
ウェンドロ「ふん…… 所詮はその程度の連中だったか」
シカログ「……」
アギーハ「かくなる上は私とシカログで クロガネ、そしてヒリュウを……」
ウェンドロ「そうだね…… 君達で露払いをしてもらおうか」
シカログ「……!」
アギーハ「まさか、ウェンドロ様自ら出撃を……!?」
ウェンドロ「ああ。 直に彼らの力を確かめてみようと思ってね」
ウェンドロ「それに、 異常重力帯のことも気になる……」
ウェンドロ「ディカステスの出撃準備を頼むよ」

[ホワイトスター 内部]

ヴィンデル「まさか、ここまでとはな」
レモン「そうね……。 ここで失敗したら、私達が立ち直るのに どれだけかかるのやら」
ヴィンデル「ギャンランドの準備を急がせろ。 最悪の事態が起きても、あれは残さねばならん」
レモン「了解。 ……こういう時にネバーランドがあったら、ね」
ヴィンデル「転移に失敗したものを あれこれ言っても始まらん。乗っていたのが 初期型だったのが幸いだった」
レモン「………」
ヴィンデル「アクセルは?」
レモン「しんがりを務めるつもりみたいね。 相手はベーオウルフ……『向こう側』でも 『こちら側』でも、ね」
ヴィンデル「……奴の戦い……時間稼ぎにはなるか」
レモン「冷たいのね。 彼には心を開いていると思ってたんだけど?」
ヴィンデル「……だからこそだ。 我々は何としても作戦を成功させねばならん。 奴は誰よりもそれを理解しているということだ」
ヴィンデル「『我々の世界』…… やがてはすべての世界を作りかえるためにな」
レモン「……W17が言ってたわね。 私達のような存在に、居場所など ないのかも知れない……って」
ヴィンデル「ならば、作ればいい。 それだけだ」
レモン「相変わらずね、あなたは。 その狂気にも似た……信念」
ヴィンデル「レモン、お前の信念は……揺らいだか?  W17の件もある……『こちら側』の者達に 影響を受け、変わる者もいる」
レモン「……」
ヴィンデル「W17は単なる欠陥品に過ぎなかった。 奴同様、お前も心変わりしたならば……」
ヴィンデル「ここを去れ。 そんな者は私に必要ない」
レモン「W17のことは 科学者としては喜ばしいわね。 限りなく人間に近い、偽りの命……」
レモン「W15も16も…… 私の望む存在になりつつあった……。 その結果は……破滅ではあったけれど」
レモン「だけど、 居場所のない世界に耐えられるほど 強くないのよ、私はね」
レモン(そう…… エクセレンがいる世界には)
ヴィンデル「……ならば、行くぞ。 ホワイトスターを包む異常重力帯も 強まっていく一方だからな」
レモン(W17やエクセレンとは 戦うことになるでしょう……)
レモン(互いの『世界』と『命』を賭けて……)


第48話
裁く者、裁かれる者

〔戦域:ホワイトスター 内部・第6層〕

(北西端の壁を破ってクロガネとヒリュウ改が出現)
ユン「ホワイトスター第6層への 突入、成功しました!」
イルム「メキボスの話じゃ、 ここにインスペクターの転移装置が あるらしいが……」
ヴィレッタ「この奥は予備の動力炉…… そこかも知れないわね」
リン「ここはメキボスの 言葉を信じて進むしかないな」
レフィーナ「ええ!  各機は直ちに出撃を!」
(キョウスケ機、ギリアム機、サイバスター、ラミア機、ヴァルシオーネが出撃、出撃準備)
カイ「各機へ。インスペクターの戦力が あれだけとは思えん。警戒を怠るな」
キョウスケ「了解」
リューネ「いるね……あの二人。 アギーハとシカログ」
マサキ「ああ。 奴らがここで出て来ないわけがねえ」
マサキ「メキボスが言った通り、 転移装置を押さえられたら、 あの連中は終わりだからな」
カイ「その分、 奴らは死力を尽くしてくるだろう。 力の出し所を考えねばならんぞ」
マサキ「ああ……わかってるぜ、 おっさん」
ラミア(アクセル隊長も必ず現れるはず。 我々を食い止めるとしたら、 ここしかない……)
レフィーナ「各機、攻撃開始!  インスペクターの転移装置を 押さえて下さい!」
(作戦目的表示)

〈敵機12機以上撃墜〉

(バレリオンが出現)
アラド「くそっ!  あんな所で壁になりやがって!!」
リオ「だけど、 これで向こう側に転移装置があるのが 確実になったわ!」
キョウスケ「ああ……行くぞ!」

〈味方機が増援のバレリオン出現位置より奥へ移動〉

(ソウルゲイン他シャドウミラー隊が出現)
キョウスケ「……いよいよ 追い込まれたな、アクセル・アルマー」
アクセル「そうでもない。 切り札を切って、おれを倒せなかったのは 貴様も同じだ、これがな」
キョウスケ「……確かにな。 ならば、ここからはヒラの勝負…… 小細工はない」
アクセル「フッ……いいだろう。 生き残ったものが正しい…… 戦争の根底に流れるルールだ」
ラウル「なら、あんたは あいつが間違っていたと言うのか!?」
アクセル「そうだ。 死んだ者はもう主義主張を 通すことが出来ない……」
アクセル「例え、生き残った者が それを受け継いだとしても、 敗者になれば……」
アクセル「負け犬の遠吠えだ、こいつがな」
ラウル「お前にあいつの存在を 否定する権利なんてない!」
アクセル「とは言え、死人に口なしだ。 お前もおれもあの女の意思を 確かめることはもう出来ない」
アクセル「戦争に限らず、 死ねばそこで全てが終わりだ」
ラウル「くっ、お前は…… やはり、お前だけは……!!」
アクセル「ならば、敵を倒し…… 己の主義を通してみせるんだな」
ラウル「言われるまでもない!  アクセル、俺はお前を倒す!!」
アクセル「……それでいい。 その意思を押し通した者が生き残れる」
ラミア(……あの時もそうだ。 隊長は、ラウルに何かを 伝えようとしている……?)
ラミア(それとも……)
ラミア「……何を待っているのですか?  アクセル隊長」
ラミア「……時間稼ぎを しているように見えますが?」
アクセル「……貴様は誤魔化せんか、W17。 ……ヴィンデルは、ヘリオスなしで 転移を行う気だ」
ラミア「!」
ギリアム「……賭けに出たな」
アクセル「まったくだ。 ……だが、おれはそんな分の悪い賭けに 二度も乗るつもりはない、これがな」
アクセル「ヘリオス・オリンパス…… この場で貴様を捕える。 そのためにおれはここに残った」
ギリアム「……」
アクセル「おれと一緒に来てもらうぞ」
ギリアム「前にも言ったはずだ……」
ギリアム「断る」
アクセル「これは『元の世界』…… 貴様が本来属していた世界に戻る チャンスでもある。……それでも、か?」
ギリアム「ああ。 俺はシステムXNの存在を抹消する」
アクセル「なるほど、いいだろう……。 この戦いが終わった後、 もう一度返答を聞こう」
ギリアム「それでも答えは同じだ」
ゼンガー「……ギリアム」
ギリアム「わかっている。 むざむざと彼らの手に落ちるような 真似はしないさ」
ゼンガー「……」
ギリアム「だが、システムXN絡みで 傍観者に徹するつもりはない……」
ギリアム「俺は、俺なりのやり方で 事態の収拾をつける」
ギリアム「それは お前でも止められんぞ、ゼンガー」
ゼンガー「……承知した」
アクセル「この勝負に『互いの世界』の命運を 懸ける……などと言うつもりはない」
アクセル「だが、戦いの結果…… その命運が決まるのもまた事実…… それが戦争というものだ、これがな」
キョウスケ「賛同するつもりはないが、戦争が そういうものだということは理解している。 ……でなければ、兵士などやっていない」
キョウスケ「おれ達は、 勝ってこの世界を守る……!」
キョウスケ「やろうか……!  アクセル・アルマー!」
アクセル「そうだ、最後に立っている者が 答えを出せばいい! おれは次の戦争を 目指す……!」
アクセル「来い、ベーオウルフ!  いや、ATXチーム…… キョウスケ・ナンブッ!」

〈vs アクセル〉

[キョウスケ]

アクセル「ベーオウルフ!  貴様とは奇妙な因縁だった!」
キョウスケ「まったくだ……!」
アクセル「貴様も いずれ変貌するかも知れん……!  こちらでのエクセレンのように!」
キョウスケ「……!」
アクセル「いずれにせよ、 貴様は倒しておかねばならんのさ!」
アクセル「『こちら側』と『向こう側』の 世界のためにもな!」

[ギリアム]

アクセル「この世界で……永久に 異邦人として生きる気か、ヘリオス!」
アクセル「システムXNの仕組みを知り、 それを操れる力を持っていながら、 貴様は……」
ギリアム「……あいにく、 俺はお前達の世界の住人ではない」
アクセル「何……?」
ギリアム「俺は 数多の世界をさまようことを 宿命付けられた男……」
ギリアム「だが、お前達シャドウミラーを 俺と同じ存在にするわけにはいかん」
アクセル「それが貴様の答えか……!」
ギリアム「そうだ。 だから、俺はシステムXNを破壊する!  自らが犯した罪を償うために!」

[ラウル]

ラウル「フィオナのためにも…… 俺達の夢を実現させるためにも、 生き残ってみせる!」
アクセル「お前達は研究のために…… おれ達は闘争のために世界の “枠”を越えた」
アクセル「そして、今は互いに異邦人…… 上手くやっていけるとは思ったがな」
ラウル「ふざけるな!  お前はエクサランスと時流エンジンを 利用できれば、それでいいんだろうが!」
アクセル「経緯はどうあれ、 あの場を生き延びて『こちら側』へ来た お前達を買ってはいたのさ、これがな」
ラウル「何っ……!?」
アクセル「だが、 おれ達の出会いは不幸だった……」
アクセル「貴様を倒し、 エクサランスと時流エンジンをいただく」
アクセル「覚悟を決めてもらうぞ、 ラウル・グレーデン!」
ラウル「とっくに決めているさ……!  お前と戦って、無事に済むなんて 思っちゃいないからな」
ラウル「だけど、お前達を行かせはしない!  この世界と俺達の世界のためにも!!」

アクセルを撃墜したのは
キョウスケ ラミア ギリアム
上記以外


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