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己の信じるもののために ~ 第47話 ~

[???(アインスト空間)]

アルフィミィ「今の『鍵』で『門』を開くことは…… 非常に困難だと思いますの……」
???(アインストレジセイア)「……」
アルフィミィ「やはり……『扉』と、その『鍵』を 使うしかございませんのよ……」
???(アインストレジセイア)「我の……依り代……」
アルフィミィ「ご心配なく…… 『素材』は地上で手に入れておきましたので……」
アルフィミィ「我々の構成物質と似た特性…… 『扉』の向こう側の物質との融合を促進させる…… そう……『素材』……」
???(アインストレジセイア)「我が……器……」
アルフィミィ「選別は終わっておりますの……。 『白き魔星』……あれこそが……」

《ホワイトスター》

[ホワイトスター 内部]

ウェンドロ「ふうん……。 メキボスは奴らに敗れたのか」
アギーハ「はい」
ウェンドロ「グレイターキンの反応は?」
アギーハ「ありません。 おそらく、撃墜されたかと」
ウェンドロ「意外に呆気なかったね」
アギーハ「ヴィガジも含め、 所詮その程度の男だったと いうことでしょう」
ウェンドロ「……まだわからないけどね」
アギーハ「は?」
ウェンドロ「何でもない。 それより、ネビーイームの警戒態勢を強化するんだ」
ウェンドロ「これから僕達は、 アインスト以外の客を出迎えなきゃならないからね」
アギーハ「では…… ここでクロガネとヒリュウ改を迎え撃つのですか?」
ウェンドロ「ああ。 もっとも、それはシャドウミラーが 自発的にやってくれるみたいだけどね……」

[ホワイトスター 内部]

レモン「……異常重力帯?」
エキドナ「はっ。反応はまだ微弱ですが、 ホワイトスター全体を包むようにして 発生しています」
レモン「……」
ヴィンデル「アインストの仕業か?」
レモン「十中八九……そうでしょうね。 そんな規模の仕掛けができるなんて」
レモン「ただ、今までにはなかったケースね。 嫌な予感がするけど……」
ヴィンデル「……」
レモン「念のため、ツヴァイをシロガネから こちらへ移しておいた方がいいんじゃないかしら?」
ヴィンデル「うむ、他の戦力も含めてな」
(アラート)
レモン「! またアインストかしら?」
ヴィンデル「……リー、状況を報告しろ」
(モニターオン)
リー「第3防衛ライン上に アインスト群が転移出現しました。 規模は前回とほぼ同等です」
ヴィンデル「追撃は?」
リー「インスペクターからは アギーハ隊が出撃するようです。 我々はいかが致しますか?」
ヴィンデル「ツヴァイをシロガネから降ろす。 それまで待機だ」
(通信)
アクセル「……レモン、おれが先に出る。 あとの段取りは任せるぞ」
レモン「え? ちょっと待って、アクセル。 状況がわからなくなっているのよ?  見極めができるまで、しばらくの間は……」
アクセル「だからこそだ。 何が起こるかわからん状況なら、こちらは いつでも動ける状態にしておかなければな」
アクセル「それに、ベーオウルフやW17達も こちらへ向かってきているのだろう?」
ヴィンデル「ああ」
アクセル「……ならば、なおのことだ。 最悪、おれがしんがりをやる」
レモン「ちょっと、アクセル!  あなたはまた『向こう側』の時と……」
アクセル「……これも因果かもしれん。 『向こう側』でも『こちら側』でも…… ベーオウルフが立ち塞がるのは、な」
レモン「……彼は本当に再起不能かも知れなくてよ?  前回の戦いで……無事とは思えないわ」
アクセル「……コックピットを潰せていればな。 たった一撃……1秒もかからない動作が 出来なかった」
アクセル「得てして、 そういうことが分かれ目になるのが戦争だ。 ……奴は来る」
アクセル(そう…… ラウル・グレーデンと再会した時…… あの時のW17の態度が、それを裏付けている)
レモン「アクセル……」
アクセル「フッ……そんな声を出すな、レモン。 ヘリオスを捕える件もある。そして、 エクサランスも抑えておきたい」
アクセル「奴らとは…… やらねばならんのさ、これがな」
レモン「………」
アクセル「そのためにも数がいる。 ツヴァイの搬出が済み次第、シロガネを 外へ回してくれ。リーにも協力してもらう」
アクセル「ヴィンデル、構わないな?  最悪、おれは置いていけ」
ヴィンデル「……わかった」
(通信切れる)
レモン「アクセル…… どこまでも……戦うつもりなのね」
ヴィンデル「だからこそ、奴は信頼できる。 ヘリオスを……そして、時流エンジンを手に入れる。 最終的にはしなければならんことだ」
レモン「わかってるわ。 わかってはいるんだけど、ね……」
ヴィンデル「重力異常帯のことも気掛かりだ。 最悪の場合はシロガネを囮にし…… 我々だけでも転移を行う」
レモン「……アクセルは?」
ヴィンデル「最悪の場合は、だ。 奴自身がそう言っていたはずだぞ」
レモン「はじめからそのつもり……でしょうね。 アクセルのことだから」
ヴィンデル「……」
レモン「……W16、 あなたもアクセルと一緒に出てくれる?」
エキドナ「はっ」
レモン「アクセルを守ってくれるかしら?  その上で……あなたも生還するのよ?」
エキドナ「具体的にはどのように?  私が隊長の盾となり……」
レモン「それはあなた自身がお決めなさい。 最後のナンバーズとして……あなたは あなたになるのよ、エキドナ・イーサッキ」
エキドナ「……了解」


第47話
己の信じるもののために

〔戦域:ホワイトスター周辺宙域〕

アクセル「ここにもゲシュペンストMk-III もどきか。……よくよく縁があるようだな、 こいつは」
(アインストアイゼンを数機撃墜)
アギーハ「化け物共め、 これ以上先には行かせないよ!」
(南側のアインストを数機撃墜)
アクセル「これで第3ラインまで 入り込んだ連中は片づいたようだな」
エキドナ「残りは外周部の敵だけです。 しかし……」
アクセル「ああ。すぐに新手が現れるだろう。 退き時を誤れば……敵に押し潰されるな」
エキドナ「アクセル隊長…… 状況によっては撤退して下さい」
エキドナ「私はレモン様から、 隊長を守るようにと……」
アクセル「おれ達の目的を考えろ。 ここでただ生き延びたところで…… 何の意味もない」
エキドナ「ですが、レモン様が……」
アクセル「指令を忠実に守る……結構な話だ。 だが、時にはそれよりも重要なことがある。 ……それを理解しろ」
エキドナ「それでは、欠陥機のW17と 同じです。私は違います、アクセル隊長」
アクセル「……好きにしろ。 おれは自分の意志で進退を決める。 ……今はまだ下がれん、これがな」
エキドナ「……了解」
アギーハ「アクセル、こっちは 弾薬が尽きた。しばらく任せるよ」
アクセル「了解だ。 ……この程度の相手なら、おれ達だけで 十分だ。少し休んでもかまわんぞ」
アギーハ「じゃあ、 お言葉に甘えさせてもらうわ」
アギーハ(……化け物相手に あたい達が出張る必要はないからね。 せいぜい利用してやるさ)
(シルベルヴィントが撤退)
アクセル(システムXNの調整が終われば、 インスペクターと無理につるむ必要も なくなる……)
アクセル(互いに利用するのにも限界がある。 寝首をかかれる前に離れるべきだな)
(アラート)
リー「S28フィールド付近に アインストの転移反応あり!  全機、警戒せよ!」
(アインストが出現)
アクセル「チッ……まったく、キリがない。 時間稼ぎをしているようにも見えるが……」
リー「アインストは我々を ホワイトスターに封じ込める気だとでも 言うのか?」
アクセル「どうかな。 それだけで終わらせるつもりなら、もっと 効率のいい包囲の仕方を考えるだろう」
リー「どういうことだ?」
アクセル「その理由…… そして目的についての情報……奴らなら 知っているかもしれん、こいつがな」
リー「!?」
(アラート)
リー「この反応は……!!」
アクセル「来たな…… やはり避けては通れない道か……」
(クロガネとヒリュウ改が出現)
ユン「艦長、ホワイトスター宙域への 侵入に成功しました!」
レフィーナ「ようやく 戻ってくることが出来ましたね、 ここへ……!」
ショーン「ええ。 これからが本当の正念場ですぞ」
レフィーナ「わかっています」
マイ「あれが……ホワイトスター……。 私はかつてあそこにいた……」
アヤ「マイ……!」
マイ「大丈夫だ、アヤ。 あれにはもう……囚われない」
ギリアム「……ここまでの事態を 招いたのは、あの時にホワイトスターを 守れなかった我々の責任でもある……」
ヴィレッタ「ええ。これ以上、 あの自動惑星をインスペクターに 使わせるわけにはいかない」
リューネ「あの時の借り、 あいつらにキッチリ返してやるよ!」
レフィーナ「各機、直ちに出撃を!」
(アルトアイゼン・リーゼ、エクセレン機、ラミア機が出撃、出撃準備)
リー「クロガネ……テツヤ・オノデラか」
テツヤ「リー……!  リー・リンジュン!!」
リー「フン…… ダイテツ・ミナセの命と引きかえに ようやく艦長の座についたか?」
テツヤ「黙れ! 本艦の艦長は 今でもダイテツ中佐だ!」
リー「死人が艦長だと?  貴様らしい考えだな、テツヤ」
テツヤ「何!?」
リー「死んだ者は無力だ。 そんな存在に引きずられるなど…… まったく、反吐が出る」
リー「それに、貴様のことだ…… 新艦長の座を辞退し、艦長代理にでも 甘んじているのだろう」
テツヤ「……!!」
リー「だが、それが分相応というものだ。 やはり、お前はナンバー2が 良く似合うからな」
テツヤ「何とでも言え!  だが、ここでお前達との 決着をつけさせてもらう!」
アクセル「気が合うな。 おれもそのつもりでここにいる」
ラウル「アクセル・アルマー!!」
アクセル「……選択したようだな、 ラウル・グレーデン。 おれ達と戦うことを」
ラウル「ああ…… だが、俺は恨みを晴らすためだけに ここへ来たんじゃないぞ!」
アクセル「フッ……」
ユウキ「ラウル、 あの男と会ったことがあるのか?」
ラウル「……あ、ああ」
ユウキ「………」
アクセル「言わば、因縁だ。 しかし、もう選ばせてやることは出来ん。 お前はここへ来たんだからな」
アクセル「おれはその機体を手に入れる。 本懐を遂げるためにな」
マサキ「お前、エクサランスで 何をする気なんだ!?」
アクセル「そいつの フレーム換装システムは 色々と応用が利くのさ、これがな」
ラージ(彼は何故、時流エンジンの 機能について語らないんです……?)
ラージ(事実を他の人間に教えれば、 ガードが固くなってしまうから……?)
ラウル「……あんた達のように 次元転移装置を戦争の道具として 使う奴を放ってはおけない……!」
ラウル「俺達のような目に遭う人間を 増やすわけにはいかない!」
アクセル「おれをここで倒せば、 お前達の信念は正義となる」
アクセル「だが、 おれにとっては、そうではない。 おれの信じるものは違う……」
アクセル「我々シャドウミラー隊は、 間もなく本来の作戦に移る」
アクセル「その前に…… 憂いは断っておかねばならんのでな」
キョウスケ「それなら、あの時……」
キョウスケ「オペレーション・ プランタジネットの時に断っておくべき だったな、アクセル・アルマー」
アクセル「ベーオウルフ…… キョウスケ・ナンブ、やはりな」
アクセル「それがワイルドカード…… おれとの勝負手か」
キョウスケ「その場しのぎの改造機だ。 ……お前達との戦いをしのぐためのな」
アクセル「いいだろう。 『こちら側』の貴様に勝てなければ、 『向こう側』の貴様に勝てるはずもない」
アクセル「やはりおれの前に 立ち塞がるのは……貴様なのだな、 ベーオウルフ」
アクセル「そして、その機体…… おれが知るゲシュペンストMk-IIIに 似ている」
アクセル「フッ……やはり、因縁なのか」
エクセレン「相変わらず自己完結君ねえ……」
エクセレン「でも、ラミアちゃんのおかげで、 こっちもあなた達の正体やら目的やらは 知ってるのよね」
アクセル「ならば、我々の本来の作戦…… その予測も出来ているというわけだ、 こいつが」
ラミア「はい。転移による元の世界…… 『向こう側』への帰還、そして制圧…… ですね」
アクセル「その通りだ。 全ての足がかりは。元の世界に あるのでな」
カチーナ「だったら、 さっさと自分の世界とやらに帰りやがれ!  こちとら迷惑なんだよ!」
アクセル「完璧を期すためだ。 今のシステムXNには……ヘリオスが要る」
アクセル「奴をツヴァイ…… システムXNに組み込めば、より確実に 元の世界へ帰還できる」
ギリアム「……」
アクセル「もっとも……ヴィンデル達は 最悪の場合、貴様なしでも次元転移を 行うつもりのようだ」
ギリアム「だが、それは……」
アクセル「ああ、その危険性は残念ながら 実証済みだ。『こちら側』に来る際…… おれは多くの部下を失った」
アクセル「同じ過ちを繰り返したくはない。 ヘリオス、おれと来てもらうぞ」
ラミア「……」
キョウスケ「アクセル・アルマー…… これ以上、好き勝手はやらせん」
キョウスケ「お前達の都合で、おれ達の 世界を荒らそうなどと……」
ラミア「中尉、おそらくそれだけでは ありません。最終的には……『こちら側』の 世界も無関係ではなくなるでしょう」
キョウスケ「……なに?」
アクセル「……」
ラミア「境界を越え、異世界を渡り歩く…… それだけの力を得て、自分達の世界 だけで満足できるとは思えません」
ラミア「特に…… ヴィンデル様でございましちゃったり…… いえ、ヴィンデル様ならば」
アクセル「多少おかしいが、いい読みだ、 W17。ヴィンデルならば…… そうするだろうな」
アクセル「強大な力は、世界を 破壊し得る。『向こう側』のベーオウルフが 得た力のように」
キョウスケ「………」
アクセル「対抗するには…… やはり力が必要だ、これがな」
キョウスケ「……その力とやらで、 『向こう側』のおれを倒し……次はお前達が 世界を破壊する側に回るつもりか?」
アクセル「そうなるかも知れん」
アクセル「おれは『向こう側』…… おれ達の世界を破壊し得る力を秘めた ベーオウルフの抹殺が最優先だがな」
エクセレン「要するに、その後は ヴィンちゃんが何をしようと関係ないって わけね? ……もう、無責任なオトコねえ」
マサキ「じゃあ、てめえらを 黙って返すわけにはいかねえな!」
カーラ「この際だ、そのヴィンデル大佐も ここへ引っ張ってきなよ!」
アクセル「物事には順序がある。 ヴィンデルを引っ張り出したければ、 おれを越えて行くことだ」
アクセル「さあ、ベーオウルフ、W17…… 互いの主張は通した。あとは どちらが正しいか決めるだけだ、これがな」
キョウスケ「勝った方が必ずしも正しいとは 思わん。だが、今は勝たなければならん」
キョウスケ「そのために用意した、 おれの最後のカード…… 切らせてもらう……!」
ラミア「……勝負……!」
テツヤ「レフィーナ中佐、 シロガネは本艦で食い止めます!」
テツヤ「そちらは一刻も早く ホワイトスターへの突入を!」
レフィーナ「いえ!  後顧の憂いを断たねばならないのは、 こちらも同じです!」
レフィーナ「そして、私はあなた達を 失うわけにはいきません!」
テツヤ「レフィーナ中佐……!」
レフィーナ「必ず生き延びろ……。 ダイテツ中佐はあなたに そうおっしゃったのでしょう!」
テツヤ「!」
レフィーナ「それに、これからの戦闘は 三つ巴になる可能性が高いのです」
レフィーナ「下手に戦力を分断するのは、 得策ではありません。ですから、 共に戦い、共に生き延びましょう」
テツヤ「りょ……了解です!」
レフィーナ「ドラゴン2より各機へ!  攻撃を開始して下さい!」
リー「ふん……ナンバー2と 特別措置で艦長になっただけの女が 私に勝てると思っているのか」
アクセル「いよいよ、か。 ここが正念場だな」
アクセル「……W16、指令を与える」
エキドナ「は?  ……すでにレモン様から受けておりますが?  私の役目は、隊長をお守りする……」
アクセル「いや、 貴様はホワイトスターの防衛に徹しろ。 ここで詰められては、すべてが水の泡だ」
エキドナ「ですが……」
アクセル「おれは負けん。 だが、万が一のこともある…… 戦場ではよくあることだ、こいつがな」
エキドナ「……了解」
(エキドナ機がホワイトスターまで後退)
キョウスケ「アクセル・アルマー、 あの時の借り……返させてもらうぞ……!」
アクセル「いや、死ぬのは貴様だ。 ……前回のように助けが入るなどと 思うな!」
(作戦目的表示)

〈ソウルゲインのHP30%以下〉

アクセル「くっ!  押し込まれたかッ!」
キョウスケ「その隙……逃さん!」
(キョウスケに『熱血』『必中』『直撃』後、ソウルゲインに隣接、機械音)
アクセル「ベーオウルフ……貴様はッ!」
キョウスケ「勝負あったぞ、 アクセル……ッ!」
エキドナ「アクセル隊長!」
(エキドナ機がソウルゲインに隣接)
【強制戦闘】
キョウスケ[エリアルクレイモア]vsアクセル[防御](援護防御(エキドナ))
(エキドナ機に爆煙)
ラミア「W16!!」
キョウスケ「何!? ここに来て……!」
リューネ「あいつ、 アクセルをかばったの!?」
エキドナ「……損傷率……96%……」
アクセル「W16……!  貴様……何の真似だ!?  おれはホワイトスターを防衛しろと……」
エキドナ「私の役目は…… 隊長、あなたを……生還させる…… ことです」
アクセル「それはレモンの命令だろう!  おれは貴様に新しい指令を与えたはずだ!」
エキドナ「……はい」
アクセル「では何故、指令を無視した!  戦場で指令を守れぬ兵士など……」
エキドナ「レモン様が……悲しみます……」
ラミア「……!」
エキドナ「それが…… この場での、臨機応変な…… 私の判断です……」
アクセル「馬鹿な!  Wナンバーの貴様が……」
ラミア「自分の判断で、だと……!?  まさか、W16……お前も!?」
エキドナ「……」
アクセル「W16……!」
エキドナ「アクセル隊長…… すぐに……後退なさって……下さい。 我々の作戦を成功させる……ためにも」
エキドナ「レモン……様の……ためにも……」
アクセル「人形の貴様の方が 人間らしい……か。 戦争には向いていない、な」
エキドナ「申し訳……ありません……」
アクセル「……撤退する。 貴様の言うとおりにだ、これがな」
エキドナ「……ああ、隊長…… ありがとう……ございます……」
ラミア「W16…… いや、エキドナ・イーサッキ…… 未練……はないのか?」
エキドナ「未練だと……? W17…… お前は……どうしてしまったのだ……?」
ラミア「……」
エキドナ「私の…… いや、我々の代わりは…… いくらでもいる」
ラミア「その通りだ。しかし、 エキドナ・イーサッキという存在は ここで永遠に消滅する……」
ラミア「お前はそれで構わないのか?  ……レモン様が我々に望んだこと…… 今のお前になら……」
エキドナ「我々に……自我など必要ない……。 レモン様の……お考えを……自分から 理解する必要など……ない」
エキドナ「我々は……任務を果たす人形…… 兵器であればいい……」
エキドナ「必要……ならば…… レモン様が……教えてくださる…… はずだ……」
ラミア「違うぞ、エキドナ……!  それでは意味がない!  そして、お前がたった今したことは……!」
エキドナ「私はW16…… エキドナ……では……な……」
(エキドナ機が爆発)
ラミア「!!」
カーラ「エキドナ……!!」
ラミア(エキドナ…… お前は“レモン様が悲しむ”と言った……)
ラミア(それはお前の……意思だ。 教えてもらわずとも、お前自身が決めた…… 決断だったのだ……)
ラミア(そして、 それは紛れもなく…………)
アクセル「Wシリーズ…… 戦争のために作られた兵士か」
アクセル「むしろ 向いていないのかも……知れんな」
(通信)
レモン「アクセル……聞こえる?  状況はこちらでも把握しているわ。 ……帰還して」
アクセル「……」
レモン「あの子に…… W16にあなたは言ってくれたわよね……。 撤退するって」
アクセル「……了解」
レモン「それに、ホワイトスターの外周宙域に 大規模な重力異常が発生しつつある……。 センサーがキャッチしたのよ」
アクセル「何だと? まさか……!」
レモン「ええ、おそらく、新たな アインスト……ボスクラスか、 それ以上のね」
アクセル「……!」
レモン「どうやら本命が来るみたい。 ヴィンデルは予定を繰り上げる気よ」
アクセル「ヘリオスなしでの転移…… 最悪の状況が早くも来た……ということか」
レモン「残念ながらそういうこと。 敵はアインストだけじゃないしね」
アクセル「……わかった、戻るぞ」
(ソウルゲインがホワイトスター方向へ移動)
ラウル「逃げる気か、アクセル!!」
キョウスケ「ここで 決めさせてもらうぞ……!」
アクセル「ベーオウルフ……ラウル。 今回命拾いしたのはおれの方だったな。 人形……いや、仲間を失いはしたが」
ラミア「……隊長……」
キョウスケ「何……?」
ラウル「人形? 仲間って……!?」
アクセル「おれはホワイトスターにいる。 もっとも、貴様らが生き延び… かつ、間に合えばの話だがな、こいつが」
(ソウルゲインが撤退)
キョウスケ「待て!」
(長い感応)
エクセレン「!!」
キョウスケ「ち……!  前回は助け……今回は邪魔をするか……!」
クスハ「この感じは!?」
マイ「あの赤い奴だ!」
(アラート)
エイタ「0時方向に転移反応!  新たなアインストです!!」
テツヤ「各機、警戒せよ!!」
(アインストが出現)
アルフィミィ「……」
エクセレン「出たわね、お嬢ちゃん」
キョウスケ「アルフィミィ……!」
アルフィミィ「キョウスケ…… エクセレン……そして……」
カチーナ「な、何だ!?」
アイビス「あ、頭の中に……声が!」
シロ「お、おいら達にも聞こえるニャ!」
マサキ「どういうことだ!?」
アヤ「これは……強力な思念波!?」
アルフィミィ「はい……。 だいぶ……安定してまいりましたので」
エクセレン「安定……!?」
アルフィミィ「まだ…… あなたにはなれませんが」
キョウスケ「何……!?」
アルフィミィ「……」
リオ「わけのわからないことばかり 言って……! あなたの本当の目的は 何なのよ!?」
アルフィミィ「……」
リオ「地球人類を滅ぼすこと!?  それとも、始まりの地だって言う 地球そのものを破滅させること!?」
アルフィミィ「あなた達には 理解できない……そう思いますの」
リオ「そんなの、 聞いてみなきゃわからないでしょ!」
アルフィミィ「仮に理解できたとしても…… どうにもならないですの……」
アルフィミィ「あなたや 龍虎王の操者に……かの者達の 血が受け継がれているとは言え……」
リオ「かの者達の……血……?  何のことなの!?」
アルフィミィ「……」
ブリット「もう一つのルーツ…… 守護者とか言っていたな。 それと何か関係があるのか?」
アルフィミィ「……」
タスク「都合が悪くなったら、 だんまりかよ!」
リュウセイ「……アルフィミィ、 一つだけ教えろ」
アルフィミィ「……」
リュウセイ「何故、 あのデカいアインストはSRXを 取り込もうとしたんだ?」
リュウセイ「お前達はSRXを手に入れて 何をするつもりだったんだ?」
アルフィミィ「失われた古の記録…… それらへ通じる『門』……。 今は……閉ざされた……」
リュウセイ「!?」
ライ「いったい、何のことだ?」
アルフィミィ「あの力は『鍵』の一つ…… 『門』を開くための……」
ヴィレッタ「……」
ラミア「ギリアム少佐、 あのアインストが言う『門』と、 アギュイエウスの扉には何か関係が?」
ギリアム「いや……ないだろうな」
アルフィミィ「あのシステムと…… 力を使って……『門』が開けるか どうか試してみたかったんですの」
アヤ「システム……?  T-LINKシステムのこと!?」
アルフィミィ「でも…… あれは不完全な物でしたの……。 まだ『門』を開くことは出来ない……」
リュウセイ「ど、どういうことだ!?  SRXとお前……『門』ってのに 何の関係があるってんだよ!?」
アルフィミィ「『門』が開ければ…… 素材を集めずとも……」
ヴィレッタ「素材?」
アルフィミィ「そう…… マシンセルもその中の一つ……。 でも、あれも不完全でしたの」
ゼンガー「マシンセルだと……!?」
レーツェル「では、 アインストがアースクレイドルを 執拗に攻撃していたのは……!」
アルフィミィ「そう……マシンセルの サンプルを手に入れるため……」
アルフィミィ「そして、人間が 人間以外のものになり得るかどうか、 興味があったものですから……」
レーツェル(人間以外のもの……だと?)
アルフィミィ「でも、 もう時間がございませんの。 私も……始まりの地の者達も」
アルフィミィ「決断は下されましたの。 後は『扉』を開くだけ……そして」
リュウセイ「『扉』……!?  さっき言ってた『門』とは 違うのかよ!?」
アルフィミィ「そう……ですの」
ギリアム「『扉』を開く…… そのためにお前達はホワイトスターを 狙っているのか?」
アルフィミィ「ここには私達の望む物が 比較的揃っておりますので……」
アルフィミィ「……『力』……『鍵』…… そして、新たな『器』……」
キョウスケ「話にならんな。 お前の言葉で喋ったらどうだ?」
アルフィミィ「キョウスケ……?  私は……私ですのよ?」
キョウスケ「……いや、そうは聞こえん」
アルフィミィ「……」
エクセレン「あなた……私の何なの?  本当の望みは何?」
アルフィミィ(エクセレン…… あなたこそが……私の……)
エクセレン「……」
キョウスケ「行くぞ、エクセレン。 アルフィミィを倒さなければ、 その向こうにいる奴の意思は見えん」
エクセレン「うん……!」

〈ペルゼイン・リヒカイト撃墜〉

アルフィミィ「……う……!!」
キョウスケ「終わりだ……!」
エクセレン「逃げられないはず……!  ごめんね、お嬢ちゃん……」
アルフィミィ「新しい宇宙…… もう……すぐ………」
(ペルゼイン・リヒカイトが爆発)
カチーナ「やったか!?」
キョウスケ「……」
エクセレン「少し…… 可哀想だったかもね。 情が移ったわけじゃないけど」
キョウスケ「どうかな」
ラッセル「ま、まだ何か残っているって 言うんですか……!?」
キョウスケ「………」
ライ「SRXを狙ってきた 巨大なアインストが姿を現していない。 まだ終わりではなさそうだな」
キョウスケ「ああ。 ……エクセレン、どう思う?」
エクセレン「『見てる』、わね……」
キョウスケ「やはり、 油断は出来ないということか」

〈シロガネ撃墜〉

リー「ぐううっ!!  まだだ! まだ終わらん!!」
リー「奴らに 負けるわけにはいかんのだ!  奴らでは地球を守れんのだ!!」
テツヤ「もうやめろ、リー!  お前は敗れたんだ!」
リー「馬鹿なことを言うな!  私が貴様などに敗北するものか!  ナンバー2の貴様などに!」
リー「艦首をクロガネに向けろ!  何としてもあの艦を沈めるのだ!!」
(シロガネがクロガネに隣接)
エイタ「か、艦長代理! シロガネが こちらへ突っ込んで来ます!!」
テツヤ「特攻するつもりか!?」
リー「ヴィンデル大佐の理想を!  最強の軍隊を! 貴様などに 潰させるものか!!」
レフィーナ「テツヤ大尉、 早く回避を!!」
テツヤ「……」
エイタ「艦長代理!!」
テツヤ「回避はせん!  艦首をシロガネに向けろ!!」
エイタ「は!?」
テツヤ「復唱はどうした!?」
エイタ「は、はい!  艦首をシロガネに向けます!!」
リー「観念したか、テツヤ!  相変わらず貴様は詰めが甘いな!!」
テツヤ「リー!  この艦の舳先に何が付いているか、 忘れたか!」
リー「な……に!?」
【強制戦闘】
テツヤ[超大型回転衝角]vsリー[防御]
(シロガネに爆煙、シロガネははじかれて後退)
リー「ば、馬鹿な!!  私は……私は最強の軍隊を!!」
テツヤ「最強の軍隊……!?  なら、ナンバー2の俺に 敗れはしないはずだ!」
リー「テ、テツヤ……!」
テツヤ「お前は道を違えたんだ。 シャドウミラー……そして、 インスペクターについた時から」
テツヤ「何を守り、 誰のために戦うのか…… それを間違っていたんだ!」
リー「くうっ!  私は……私は……っ!!」
(シロガネが撤退)
エイタ「艦長代理!  シロガネが戦域から離脱していきます!  追撃しますか!?」
テツヤ「………」
テツヤ「……いや、いい。 リーとの決着は……ついた。 それに、もうあの艦に戦闘能力はない」
テツヤ「残る力は、 ホワイトスター内部への突入に使う。 いいな?」
エイタ「了解……!」
テツヤ(リー…… お前が手段を間違えなければ……)
テツヤ(力に固執しなければ…… こんなことには……)

〈敵機全滅〉

ユン「戦闘エリア内の敵機、全機撃墜。 アインストの反応もありません」
レフィーナ「ホワイトスターに 何か動きは見られますか?」
ユン「いえ、新たな敵機が 出てくる気配はないようです!」
ショーン「ふむ……先方は態勢の 立て直しを図っているようですな。 艦長、今がチャンスですぞ」
レフィーナ「ええ、すぐに突入準備を!」
ユン「了解!」
カイ「各機は 周辺警戒を行いつつ、待機」
カイ「ただし、損傷度の激しい機体と 補給が必要な機体は艦へ戻れ」
(通信)
エクセレン「プライベート通信……?  キョウスケ?」
キョウスケ「エクセレン、話がある」
エクセレン「最終決戦前に密談なんて…… キョウスケもわかってきたじゃなぁい?」
キョウスケ「そんな浮いた話じゃない。 アルフィミィのことだ。 ……あいつはおそらく」
エクセレン「……間違いないわね。 あの子から感じるもの」
エクセレン「ううん、 あの機体から……と言った方が 正しいかしらね」
キョウスケ「奴ら……アインストが お前をさらった理由……」
キョウスケ「その結果が出るのは 近い気がする」
エクセレン「……」
エクセレン「新しい命…… それがキーワードよ、キョウスケ」
キョウスケ「何? 新しい……命?  エクセレン……お前はどこまで 知っているんだ?」
キョウスケ「奴らにさらわれ、 その時に何をされた?」
エクセレン「……ごめん、 断片的にしかわからないのよね……」
エクセレン「だけど……あの事故の時、 私達が助かったのは……」
キョウスケ「何となくわかっている。 だが、確証はない……」
エクセレン「聞いて、キョウスケ」
キョウスケ「……推測に過ぎん」
エクセレン「お願い、聞いて」
キョウスケ「……」
エクセレン「あのシャトル事故で…… キョウスケがかばってくれた時……」
エクセレン「私……その時にはもう…… 飛んできた破片で致命傷を受けてたこと、 覚えてるのよね」
キョウスケ「……そうだ。 だが、お前には傷一つなく…… おれも無事だった」
エクセレン「私達を助けたのは…… アインスト……」
キョウスケ「ほぼ間違いないはずだ。 しかし、その理由がお前を 連れ去るためのものだとしたら?」
エクセレン「じゃあ、 何でキョウスケは……?」
キョウスケ「わからん。 だが、お前は返された……」
キョウスケ「それは、 奴らの目的が達せられたからだと 考えられないか?」
エクセレン「……」
キョウスケ「そして、アルフィミィ…… 奴の力が以前より強まったのは……」
エクセレン「あの子は…… あの赤い機体も含めて、分身なのよね」
キョウスケ「分身?」
エクセレン「よくわかんないんだけど…… アインストシリーズって、 大元は一つみたいなの」
キョウスケ「何……?  じゃあ、今まで出てきていたのは?」
エクセレン「言ってみれば、 蜂みたいなものなのよね……」
エクセレン「女王蜂がいて…… それが他のアインストを動かしてる」
キョウスケ「女王蜂…… SRXを取り込もうとした あの巨大な奴か」
キョウスケ「奴を倒さなければ、 アインストは際限なく生まれてくると 言うことなのか?」
エクセレン「確かかどうかは自信ないけど、 人類……私達を滅ぼそうとしてる……」
キョウスケ「何故、そこはわかる?」
エクセレン「何て言うか…… 私もその蜂の一匹だったわけで」
エクセレン「意図はわからなくても、 手下にも目的は伝えられてたというか」
キョウスケ「………」
キョウスケ(アインストの力は 強まっている……)
キョウスケ(女王蜂が力を蓄えれば、 子供も強くなる道理か……ちっ)
エイタ「艦長代理、 突入準備が完了しました!」
テツヤ「よし!  艦首部分にEフィールド展開!  超大型回転衝角、作動!」
テツヤ「これより本艦は ホワイトスター内部へ突入する!!」


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