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楽園からの追放者 ~ 第35話 ~

[???(室内)]

ギリアム「……」
レーツェル「よく来てくれた、友よ」
ゼンガー「……久しぶりだな、 ギリアム・イェーガー」
ギリアム「ゼンガー……。 なるほど、ここがお前達の隠れ家ということか」
レーツェル「そうだ。私とゼンガーは 公の場に出られる立場ではないのでな」
ギリアム「フッ……よく言う」
レーツェル「……ささやかだが、食事を用意した。 我々の再会を祝して乾杯しよう」
ギリアム「再会、か……」
ゼンガー「ここにカイ少佐がいれば、 旧教導隊のメンバーが揃ったのだがな」
ギリアムL5戦役の後、彼にも声はかけたさ。 しかし、現場にいる方がいいと言われてね」
レーツェル「だからこそ、 我々はこうして動くことが出来る。 そうだろう、ギリアム?」
ギリアム「ああ」
レーツェル「さあ、乾杯だ。 今は亡きカーウァイ・ラウ隊長、 テンペスト・ホーカー……」
レーツェル「そして、 ハガネにいるカイ少佐に……我らの仲間達に」
ゼンガー「乾杯」
ギリアム「乾杯」
レーツェル「……本日の メインディッシュはスズキのポワレだ。 食材は先程ゼンガーが釣ってきた」
ギリアム「ほう、それは楽しみだ。 ところで、ゼンガー……お前は確か」
ゼンガー「心配いらん。これはウーロン茶だ」
レーツェル「それも福建鉄観音、 ジーピン……入手に少々苦労した」
ギリアム「ふふ、相変わらずの拘りだな」
レーツェル「それで、ギリアム…… 君のメインディッシュについて 聞かせてもらおうか?」
ギリアム「……」
ギリアム「……お前達も知っての通り、 連邦政府と連邦軍上層部は グラスマン派に掌握された」
レーツェル「今の地球圏に必要なのは 神の盾ではなく、鎌……その流れは 抑えきれなかったか」
ギリアム「ああ。紆余曲折があったとは言え、 結果的にビアン博士とマイヤー総帥の目的は 達成されたことになる」
ゼンガー「……」
レーツェル「……」
ギリアム「ミッドクリッド大統領は 自らの意思で辞任……その後はグライエンに 委ねられる」
レーツェル「大統領は何と?」
ギリアム「先程のお前と同じことを言い、 自分の派閥を説得したそうだ」
ギリアム「そのおかげで体制はさしたる混乱もなく、 グライエン派へ移行している」
レーツェル「……無駄な血を流すのを避けたか。 彼らしいな」
ギリアム「異星人の脅威に さらさせている今という状況では やむを得ないことかも知れん……」
ギリアム「だが、問題はその後だ。 利権に目がくらんだ者達や、 イスルギを始めとする戦争商人……」
ギリアム「そして、 『影』が地球圏を貪り尽くすだろう」
ゼンガー「影……?」
レーツェル「それがお前の本命か」
ギリアム「そうだ。 彼らが本格的な動きを見せ始めた…… 俺はそれを止めねばならん」
ゼンガー「もしや、その連中は 俺の写し身を送り込んできた……?」
ギリアム「ああ。 この世に在らざる兵器を使う者達…… その名をシャドウミラーと言う」
レーツェル「シャドウミラー……」
ゼンガー「何者なのだ、奴らは?」
ギリアム「……」
ゼンガー「ギリアム?」
レーツェル「言えぬ理由があるのだな」
ギリアム「すまん。今はまだ……」
ゼンガー「……」
ギリアム「……シャドウミラーの 動きは掴みにくい……」
ギリアム「そして、俺も彼らに動きを 掴まれるわけにはいかなかった」
ギリアム「チャンスは今しかない。 彼らが表に現れ、単独で行動している 今しかないのだ」
レーツェル「それで、 我々と行動を共にすることが 出来ないと言うのか?」
ギリアム「ああ。シャドウミラー本隊が ハガネやヒリュウと接触したおかげで、 おおよその位置がつかめた……」
ギリアム「だから、俺は行く。 俺という存在が引き起こした事態を 収拾するために」
レーツェル「……」
ゼンガー「……」
レーツェル(……クロガネの改修には もう少し時間がかかる。 それに、ビアン博士の遺産も……)
ゼンガー「レーツェル、 すぐに参式の出撃準備を頼む」
ギリアム「!」
レーツェル「了解した。私も付き合おう。 それから……マオ社のオルレアン工場から 例の物を引きあげてある。調整も終わっている」
ギリアム「もしや、それは……!  しかし、ゼンガー……レーツェル……」
ゼンガー「お前ほどの男が 倒さねばならぬと言う相手だ。 放っておくわけにはいくまい」
レーツェル「我々もまたハガネや ヒリュウ改の影となりて動く者……」
レーツェル「同じ影同士、 相応しい対決かも知れんな」
ギリアム「二人とも……すまない」
ゼンガー「構わん」
レーツェル「そうと決まれば、 残りの皿は取っておくとしよう。 ……敵の位置が確定し次第、出るぞ」
ゼンガー「承知した」

ラミアの機体フラグで立っているものは
ヴァイサーガ アシュセイヴァー 立っていない


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