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貫け、奴よりも早く 伊豆基地へ向かう ~ 第29話 ~

《ホワイトスター》

[ホワイトスター]

ウェンドロ「ふうん……北米地区奪還作戦、 オペレーション・プランタジネットか」
ウェンドロ「彼らも 着々と準備を進めているんだね」
ニブハル「対応策はいかが致しますか?」
ウェンドロ「今は必要ないよ」
ニブハル「連邦軍とノイエDC軍が 手を結ぶ可能性もありますが……」
ウェンドロ「彼らのような野蛮人に そんな分別があるものか」
ウェンドロ「現に内乱は今も続いてるじゃないか。 僕達という共通の敵がいるにも拘わらず、ね」
ニブハル「……」
ウェンドロ「彼らは 自分達の力の使い方を知らない。 幼稚で愚かな生き物なんだよ」
ニブハル「では?」
ウェンドロ「まもなく、アギーハが ハワイへ向かう手はずになっている」
ウェンドロ「あの島を極東侵攻の 足掛かりとするためにね」
ニブハル「……地球人の力を あまり甘く見られぬ方が良いと思いますが」
ウェンドロ「それは先任者の失敗と、 かつてこのネビーイームにいた者達の 敗北を見た上での言葉かい?」
ニブハル「……ええ」
ウェンドロ「ふん…… 僕達を彼らと一緒にしてもらっちゃ困るね」
ニブハル「では、 そちら側の空間転移装置は何基あるのですか?」
ウェンドロ「……」
ニブハル「我々の技術では、 あの装置を通常サイズの機動兵器に 搭載することはまだ不可能……」
ニブハル「何故なら、 転移装置の使用には膨大なエネルギーが 必要となるからです」
ニブハル「また、 転移可能な範囲も限られており……」
ニブハル「転移先に装置がなければ、 再転移による帰還は不可能です」
ウェンドロ「まあね」
ニブハル「さらに、一基の装置で 一度に転移させられる兵器の量も限られております」
ウェンドロ「何が言いたいんだい?」
ニブハル「空間転移装置を失えば、 戦略面での我々の優位性までも 失われるということです」
ニブハル「故に、 この戦いは空間転移装置をいくつ 保有しているかで決まると言えます」
ニブハル「ましてや、 あの装置が敵に奪われでもしたら……」
ニブハル「兵器のほとんどを 地球製の物に頼っている我々は……」
ウェンドロ「そんなことは 君に言われなくてもわかっているよ」
ニブハル「では、ウェンドロ監査官。 そちら側の転移装置の数は?」
ウェンドロ「教えるわけにはいかないね」
ニブハル「……」
ウェンドロ「何故だかわかるかい?  ……それは僕が君のことを信用していないからさ」
ニブハル「……」
ウェンドロ「君は先任者より前に 地球へやって来たようだが…… その素性は知れたものじゃない」
ウェンドロ「あの南極事件を 引き起こしたシュウ・シラカワという男と同じくね」
ニブハル「……」
ウェンドロ「案外、先任者が失脚したのは 君のせいじゃないのかい?」
ニブハル「とんでもございません」
ウェンドロ「じゃあ、 SRX計画ATX計画……」
ウェンドロ「あれを再開させたのは、 地球人の唯一の長所を伸ばし、僕達へ その成果物を渡すためではなく……」
ウェンドロ「自分の物に…… いや、僕達以外の誰かに提出する ためじゃないのかい?」
ニブハル「滅相もございません」
ウェンドロ「ふうん……。ま、いいけどね」
ニブハル「……では、最後に。 ノイエDC軍の中に興味深い集団がおります……」
ニブハル「そして、彼らには利用価値があります」
ウェンドロ「……」
ニブハル「こちらで詳しい情報を入手次第、 ご報告致しますので…… 今後の作戦にお役立て下さい」
ウェンドロ「……わかった。 見るだけ見ておくよ」
ニブハル「それでは……」

[不明 (執務室)]

ニブハル「……」
ニブハル(なかなか勘の鋭い人物ですね。 あの年齢で異文明監査官を務めている ことにも納得がいきます)
ニブハル(しかし…… 地球人の力を見くびり過ぎですね)
ニブハル(グライエンの思惑通り、 ノイエDCがオペレーション・プランタジネットに 加われば……)
(扉が開閉する)
ミツコ「失礼致します」
ニブハル「おやおや、ノックもなさらずに。 ……困りますね」
ミツコ「あら、ごめんあそばせ。 ドアがロックされていなかったので、 中へ入ってよろしいのかと……」
ニブハル「フッ……。 それで、私にアポを取られた理由は何ですかな?」
ミツコ「ムブハル補佐官に ビジネスの話をさせていただきたいと思いまして」
ニブハル「ほう……見返りは?」
ミツコ「あなたが必要とされている情報です」
ニブハル「……では、そちらが 希望されるビジネスの相手とは?」
ミツコ「それはもちろん……」
ミツコ「インスペクターですわ」

[シロガネ ブリッジ]

レモン「さすが、スペースノア級。 中が広くていいわね」
ヴィンデル「ああ、我らシャドウミラーの 新たな母艦となるに相応しい」
レモン「この艦を持ってきてくれた W16に感謝しなくちゃね」
アクセル「その働き者の人形… 姿が見えないようだが、何かやらせているのか?  部隊ごと出払っているようだが」
レモン「大体わかってるんじゃなくて?」
アクセル「ヒリュウの足止め、だな」
レモン「ええ。 向こうとこのシロガネが伊豆へ着く タイミングをなるべく合わせたいの」
レモン「ミッション・ハルパーと…… 私達の作戦のためにね」
アクセル「…ソウルゲインの様子を見てくる」
(扉が開閉する・アクセルが立ち去る)
レモン「ふう…あの様子じゃ、 いつ飛び出してもおかしくないわねえ…」
ヴィンデル「だが、 奴には自重してもらわねばならん」
レモン「ええ、 この段階で失敗するわけにはいかないものね」
ヴィンデル「ところで、 リー・リンジュンの様子は?」
レモン「独房で大人しくしているみたいだけど…… どうかしらね」
ヴィンデル「リーはハガネやヒリュウと 行動を共にしていた……」
ヴィンデル「だから、 彼らを排除せねばならぬ状況を 迎えた時、あの男の経験が役に立つ」
レモン「素直にこちらの言うことを聞くと思う?」
ヴィンデル「心配はいらん。 奴は異星人と戦う力を求めている」
ヴィンデル「そして、 それを我らが与えれば……」
ヴィンデル「いずれ、 混沌をも望むようになるだろう」
レモン「つまり、ローズのお嬢ちゃんや フェフ博士と同じように…こちらの手の内を 見せるってこと?」
レモン「…最近サービスしすぎじゃなくて?」
ヴィンデル「その方が早い。 時間はあまりないのだからな」
(アラート)
レモン「どうしたの?」
量産型W「第2格納庫のハッチが 内側より強制開放されました」
量産型W「EG-Xソウルゲイン、 発進シーケンスに入ります」
ヴィンデル「何?」
レモン「ソウルゲイン…! アクセルが!?  飛び出すかもって言ったけど…今なの!?」

[ヒリュウ改 ブリッジ]

(アラート)
ユン「5時方向に敵影確認!  本艦へ急速接近中です!」
レフィーナ「総員、 第一種戦闘配置について下さい!」
ショーン「やれやれ、 もう少しで東シナ海へ出られる所でしたのに……」
ショーン「敵はよほど我々を 日本へ行かせたくないようですな」


第29話
貫け、奴よりも早く

〔戦域:基地周辺〕

ユン「敵機動部隊、戦闘エリアへ侵入!  識別はRPT-007です!」
(量産型ゲシュペンストMk-IIが出現)
ショーン「量産型のゲシュペンスト…… おそらく、敵は例の部隊でしょうな」
レフィーナ「ええ……!  各機、直ちに出撃して下さい!」
(アルトアイゼン、エクセレン機、ラミア機が出撃、出撃準備)
エクセレン「お相手は…また謎の ゲシュちゃん達ね」
カチーナ「あいつら、 しつこく襲ってきやがるな」
ラッセル「ええ……」
カチーナ「随分と連中の恨みを 買ってるみてえだな、あたしらは」
エクセレン「ん~…… 身に覚えがあるような、ないような」
クスハ「ブリット君、あの敵は……」
ブリット「ああ、 こないだと同じ連中だろうな」
ラミア「……」
エクセレン「ボス仮面と言い、 怪しいゲシュちゃんと言い…… そろそろ素性を知りたいところねぇ」
キョウスケ「教えてくれるわけじゃない からな。だが、敵であることに違いはない。 …全機、攻撃を開始しろ」
ラミア「了解したりしちゃいましたのです!」
ラミア(……指令が出ていない以上、 やむを得ん)
(作戦目的表示)

〈敵6機以上撃墜〉

(ヒリュウ改にアラート)
レフィーナ「! 敵の増援ですか!?」
ユン「はい! 9時方向に敵影を確認!  こちらへ向かってきます!」
(北西にソルプレッサが出現)
カチーナ「戦闘機か…… 前ン時と違って、小出しで来やがったな」
マサキ「だが、オチは同じだろうぜ」
キョウスケ「だろうな。…だが、 奴らが例のECMを使っていないのが 気になるが…」
カチーナ「連中は前座だと考えるべきだろ。 今回は長丁場になりそうだぜ」
キョウスケ「アサルト1より各機へ。 敵の増援が予想される。無駄弾を撃つなよ」
ブリット「了解!」

〈敵6機以上撃墜〉

(ヒリュウ改にアラート)
ユン「1時方向、敵の増援部隊です!」
レフィーナ「各機、迎撃態勢を!」
(北東にエルアインスが出現)
マサキ「チッ、今度はあんな所に!」
シロ「おいら達を 挟み撃ちにする気ニャのか!?」
キョウスケ「いや、こちらの戦力を 分散させるつもりだろう」
エクセレン「どうする、キョウスケ?  向こうの手に乗ってみる?」
キョウスケ「ああ、虎穴に入らずんば…だな。 敵の狙いも見えてきた」
マサキ「連中のターゲットは、ヒリュウと おめえかも知れねえってことか?」
キョウスケ「ヒリュウはともかく、 おれ個人を狙う理由が今一つはっきり しないが…おそらくな」
タスク「もしかして、 赤い機体にご執心なんスかねえ」
カチーナ「牛じゃあるめえし、 そんなワケあるか!」
エクセレン「あらん、カチーナ中尉も 他人のこと言えないんじゃない?」
カチーナ「茶化すな。 ……キョウスケ、ヒリュウのガードと 連中の相手はあたしらでやってやる」
カチーナ「その代わり……」
キョウスケ「了解。的を分散させるため、 こちらはヒリュウから離れる。 エクセレン、フォローを頼むぞ」
エクセレン「オッケー、任されて」
カチーナ「ヒリュウの近くにいる奴は ガードに回れ! 本命に備えろ!」

〈敵6機以上撃墜〉

(アラート)
ユン「か、河川部に熱源反応多数!  本艦へ急速接近中です!」
レフィーナ「直ちに Eフィールドを下方へ展開!  近くの友軍機を呼び戻して下さい!」
(ヒリュウ改の南側にランドグリースとラーズアングリフが出現)
マサキ「あれが本命か!」
カチーナ「奴らの狙いはヒリュウだ!  ガードを固めろ!!」
エキドナ「……各機へ。 今回の作戦目的は、あくまでも ヒリュウの足止めだ」
エキドナ「狙いをあの艦へ絞れ」
量産型W「了解」
ラミア(おそらく、指揮官機はW16…)
ラミア(連絡がないということは… 現状の任務を続行しろということか)
エキドナ「……各機、攻撃を開始しろ」
量産型W「了解」
エクセレン「どうも今回は ふられちゃったみたいね、キョウスケ」
キョウスケ「いや、まだわからん」
エクセレン「え?」
キョウスケ「確かに、 ここまではウォーダンの時と似ている」
キョウスケ「だが、同じ手を立て続けに 二度使うのも芸がない…そう思わないか?」
エクセレン「なるへそ。 ひとひねりしてくるかも…ってことね?」
キョウスケ「確証はない…あくまで、おれの 勘だがな」

〈vs エキドナ〉

[キョウスケ]

エキドナ(ベーオウルフの 撃墜命令は出ていない。 やり過ごすしかないな)
キョウスケ(こいつが本命なら、 真っ先におれを狙ってくるはずだ)
キョウスケ(ならば本命は… どこにいて、いつ仕掛けてくる?)

[ラミア]

ラミア(こちらから 連絡することは出来ん……。 だが、向こうからならば)
エキドナ「……」
ラミア(何もなしか。 ならば、現状の任務を続行する)

状況選択

エキドナ機のHPを60%以下にした
NEXT EPになった


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