back index next


貫け、奴よりも早く 伊豆基地へ向かう ~ 第29話 ~

〈エキドナ機のHP60%以下〉

エキドナ「損傷度、40%オーバーか。 だが……」
(通信)
エキドナ「! この反応は……!?」
ラミア(もしや……!)
(アラート)
ユン「新たな熱源反応、急速接近中!」
カチーナ「何!? まだ来るのかよ!?」
レフィーナ「数と識別は!?」
ユン「数は1! 識別コードは…… マスタッシュマンです!」
レフィーナ「何ですって!?」
【デモムービー『ソウルゲイン登場』】
(アルトアイゼンの南西にソウルゲインが出現)
キョウスケ「!」
アクセル「フッ… やはり出てきていたな、ベーオウルフ」
キョウスケ「こいつは……!?」
ラミア(EG-Xソウルゲイン……!  アクセル隊長か)
エクセレン「わお!  マ、マスタッシュマンって、ヴィレッタ お姉様が言ってた…!?」
カチーナ「あ、ああ……!  オペレーションSRWの最中に 出てきやがったっていう……」
リューネ「所属不明のロボットのこと!?」
エクセレン「でも、あのヒゲちゃん… エアロゲイターと戦ってたらしいから、 もしかして味方……」
アクセル「……」
エクセレン「…っていう雰囲気じゃないわね」
エキドナ「……隊長、あなたが 今回の作戦に参加されるという話は 聞いておりませんが?」
アクセル「そう言うな。 貴様の任務を邪魔しに来たわけじゃない、 これがな」
エキドナ「しかし、 ベーオウルフとの接触は ヴィンデル様からの命令で……」
アクセル「状況に対応しろ、W16。 …と言っても、貴様らWシリーズには 難しいかもしれんがな」
アクセル「おれの事は気にせず、任務を 続行しろ」
エキドナ「……了解」
アクセル「おれはベーオウルフの相手をする。 手出しは無用…W17にもそう伝えろ」
エキドナ「了解」
ラミア(隊長が来たということは…… ここでベーオウルフ達を?)
(ラミア機に機密通信)
ラミア(!  W16からの暗号通信……!)
ラミア(隊長とベーオウルフへ手出しを するな、か。やはりこの場で?  アクセル隊長…)
アクセル「……」
(ソウルゲインに通信)
キョウスケ「む…通信だと? 誰からだ?」
アクセル「聞こえるか、ベーオウルフ…… いや、キョウスケ・ナンブ」
キョウスケ「……!」
アクセル「おれはアクセル… アクセル・アルマーと言う」
キョウスケ「アクセル……?」
エクセレン「あらら? 地球人?  キョウスケの知り合い?」
キョウスケ「いや、初めて聞く名だ」
アクセル「そうだろうな。 だが、おれはお前のことをよく知っている。 …どれほど危険な男なのかもな」
キョウスケ「何……?」
エクセレン「もしかして…DC戦争の時に、 キョウスケとやり合ったことがあるとか?」
アクセル「いいや、違うな。 貴様に直接の恨みがあるわけではない…」
キョウスケ「では、お前は何者だ?  どうしておれを知っていて…おれを狙う?」
アクセル「それを話す前に…ひとつ聞きたい。 得体の知れん力が、突如湧き上がる 感覚はあるか?」
キョウスケ「…言っている意味がわからん。 人違いではないのか?」
アクセル「いや、いい。 それに…それならまともに会話ができる はずもない、こいつがな」
エクセレン「ちょっとちょっと!  勝手に自己完結して満足しないで もらえる?」
アクセル「すまんな。…もう用は済んだ。 キョウスケ・ナンブ…ゲシュペンスト Mk-IIIもろとも、ここで消えてもらう」
エクセレン「わお!  会話になってないのはそっちでしょうに!」
キョウスケ「ウォーダン・ユミルと同じく、 お前もアルトをそう呼ぶか。…おれにも わかるように説明してほしいものだが?」
アクセル「長くなる。 …それに、貴様が納得する説明には ならんだろう」
エクセレン「はいは~い、自己完結君… いい加減にしてよね」
エクセレン「いつ、どこで、どうやって キョウスケを知ったのかくらいは教えて くれない? こっちで勝手に推理するから」
アクセル「…さっきから割り込んできて いるが…貴様はベーオウルフの何だ?」
エクセレン「…きゅ、急ねえ…。 なんかヘンに照れてきちゃったけど… パートナーってことで、ひとつ」
アクセル(奴に女のパートナーだと?  確か、『向こう側』では……)
アクセル「貴様……名前は?」
エクセレン「へ? ああ、私はエクセレン…」
ラミア(! いかん……!!)
エクセレン「エクセレン・ブロウニングよ」
アクセル「な……に!?」
エクセレン「?」
アクセル「ブロウニング……!  ブロウニングだと!?」
エクセレン「もう、何なのよ? 急に キョウスケにワケわからないこと言ったかと 思ったら、私の名前に超反応するなんて…」
アクセル(もしや…こいつがレモンの 捜していた…?)
アクセル(だが、その人間がベーオウルフの パートナー…そんな偶然が起こり得る のか…?)
キョウスケ「何をしている?」
アクセル「…いや、おしゃべりはここまでだ」
アクセル「『こちら側』の貴様に、 “その時”が来ていないなら好都合… ここで憂いを断たせてもらう、これがな」
キョウスケ「『こちら側』…?  『その時』…だと? おい、 どういうことだ?」
アクセル「貴様が知る必要はない。 …いや、その方が幸せかもしれん。 あれはもう、人間とは呼べん存在だった…」
キョウスケ「…わけのわからんことを。 だが、敵だと言うなら容赦はしない」
アクセル「そうだ、それでいい。 お互いに理解する必要などないのだからな」
アクセル「敗れた方が消える…それくらい わかりやすい方がいい、これがな」
アクセル「さあ、ソウルゲインよ… 再びおれにその力を貸してくれ」

〈vs エキドナ〉

[エクセレン]

エクセレン「赤いマントはないけど、 こっちに突っ込んできてみる?」
エキドナ「……」
エクセレン「あらら、つれないことで。 でも、サーベルはあるのよね」

[ブリット]

ブリット「こいつ…… 前にも戦ったことがある……!?」
エキドナ(この機体……データがない。 だが、形状から判断すれば……)

[クスハ]

クスハ「この人、 他の敵とは何かが違う……!?」
エキドナ(データのない機体……。 しかし、この外見は……)

[マサキ]

エキドナ(魔装機神サイバスター…… 接触するのは初めてだな)
マサキ「相変わらず 薄気味のわりぃ連中だぜ……!」
マサキ「いい加減に てめえらの正体を教えやがれ!」

[カチーナ]

カチーナ「赤いのが好きなら、 今から血ィ見せてやるぜ!!」
エキドナ「……」
カチーナ「もちろん、てめえのな!!」

[HP30%以下]

エキドナ「……予想以上に 保たなかったな。だが、ヒリュウの 足止めには成功した」
エキドナ「アクセル隊長、 こちらは撤退します。隊長も……」
アクセル「おれにはかまうな。 独自の判断で撤退しろ」
エキドナ「……了解」
(ソウルゲイン以外の敵が撤退)
アクセル「フッ… これで邪魔者はいなくなったな」
キョウスケ「……」
タスク「何だ、あいつ…… 居残りかよ!?」
エクセレン「廊下に立たせても… 反省するタイプじゃなさそうねえ…」
ラミア(やはり、隊長はベーオウルフを この場で…)
アクセル「さあどうした?  遠慮はいらん…まとめてかかって来い…!」

〈vs アクセル〉

[キョウスケ 1回目]

アクセル「ベーオウルフ… キョウスケ・ナンブ! 『こちら側』の 貴様とMk-IIIの力…見せてみろッ!」
キョウスケ「いいだろう。 ただし、高くつくぞ……!」
アクセル「今の貴様では、おれには 勝てん…!」

[キョウスケ 2回目]

アクセル「機体はともかく…腕前は 『向こう側』と比べればまだまだだな、 ベーオウルフ」
キョウスケ(この男、おれとの戦い… いや、アルトとの戦いに慣れている…?)
キョウスケ(以前にやり合ったことはないと 言っていたが…それにしては、おれの動きを 知りすぎている…)

[キョウスケ 3回目]

アクセル「フッ…操縦のクセは、 大して変わらんようだな、こいつが」
キョウスケ(…どこかでおれのデータを 手に入れているとしても…ここまで 対応できるとは思えん)
キョウスケ(まるで、 おれと何度もやり合ったことが あるかのような戦いぶりだ)
キョウスケ(これ程の男なら、覚えが あるはず。奴は何者なんだ…?)

[エクセレン]

アクセル「エクセレン…ブロウニングと 言ったな。一つ聞かせてもらいたいことが ある、これがな」
エクセレン「へ? 何?」
アクセル「…貴様に姉妹はいるか?」
エクセレン「いないけど?  …って、ほんっと、読めない人ねえ。 戦闘中なんだけど?」
アクセル「…まったくだ。 だが、答えはわかった…では戦闘の続きだ」
エクセレン(…あら? でも姉妹の話って ラミアちゃんにも言われたけど… なんなのかしら?)

[ラミア]

アクセル「W17…?  ちょっかいを出してくるなとW16から 指令が行っていないのか?」
ラミア(隊長に、 エクセレン・ブロウニングのことを 知られた…このままでは…!)
アクセル「ベーオウルフと同時に敵に 回すとなると厄介な相手だが… 手加減はできんぞ、W17…!」

[ブリット]

ブリット「格闘戦用の特機か!  なら、虎龍王で相手をしてやる!」
アクセル「邪魔をするなら落とす…!  おれの標的はベーオウルフただ一人だ!」

[リョウト]

リョウト「あれがマスタッシュマン…… この間、転移してきた特機に 系統が似てる……!」
アクセル「どけ…!  今はベーオウルフ以外の者に 興味はない、これがな」

[タスク]

タスク「口ひげっていうより、 顎ヒゲじゃねえのか、それ?」
アクセル「…何か言ったか?」
タスク「あ、いや、こっちの話」
タスク「それよか、 こっちの相手もしてもらうぜ!」

[マサキ]

マサキ「どうやら、てめえが あの連中の指揮官らしいな!」
アクセル「サイバスターか。 貴様とは一度戦ってみたかった」
アクセル「『向こう側』では 機会に恵まれなかったからな」
マサキ「向こうだと!?」
シロ「もしかして、 ラ・ギアスのことニャのか!?」
マサキ「そんなこと、俺が知るかよ!」
アクセル「…だが、今回は腕試しをしている 場合ではないんでな。 そこをどいてもらうぞ…!」

[リューネ]

アクセル「ヴァルシオーネか。 『こちら側』では戻ってきているようだな」
リューネ「こちら? 戻る?  わけのわからないことを 言ってんじゃないよ!」

[カチーナ]

カチーナ「おい、ヒゲ野郎!  オペレーションSRWから今まで どこで何をしてやがったんだ!?」
アクセル「貴様には関係のない話だ。 俺の邪魔をするな」
カチーナ「うるせえ!  そのヒゲ、むしり取ってやるから 覚悟しな!!」

[HP60%以下]

アクセル「…なるほど、おれの部下や レモンの人形達を退けただけのことはある」
アクセル「だが…『向こう側』のような力は 得ていないようだ、これがな」
キョウスケ「『向こう側』…だと? 何度か 使っているが、それはどういう意味だ?」
アクセル「これも言ったはずだぞ?  貴様が知る必要はない、とな…!」
(アクセルに『気迫』)
アクセル「今の貴様なら、たやすく葬れるッ!  『こちら側』の“今”の貴様ならば…!」
キョウスケ「!?」
(アクセルに『熱血』『必中』『加速』)
アクセル「コード麒麟!」
(ソウルゲインがアルトアイゼンに隣接、機械音)
キョウスケ「何っ!?」
【強制戦闘】
アクセル[麒麟]vsキョウスケ[回避]
(キョウスケは回避に失敗、アルトアイゼンのHP20%、アルトアイゼンに爆煙)
エクセレン「!!」
クスハ「キョ、キョウスケ中尉っ!!」
キョウスケ「ぐ……!  奴のあのスピードは……!?」
アクセル「ギリギリで見切ったか…!  いや、単に運が良かっただけか?  だが…!」
(ソウルゲインに通信)
レモン「はい、そこまで」
アクセル「レモン!?」
レモン「機体の無断持ち出しに 無断出撃、命令違反……。 ヴィンデルがカンカンよ?」
アクセル「奴の小言は後で聞く!  …あと一撃だ。引っ込んでいろ、レモン!」
レモン「そうもいかないのよ、アクセル。 今、そこで狼さん達を倒してもらっちゃ 困るの」
アクセル「ちっ…ミッション・ハルパーの 件か? だが、こいつらがいなくとも…」
レモン「とろこが、 そうも行かなくなったの」
アクセル「どういうことだ?」
レモン「インスペクターが こっちの予想よりも早く動いたのよ。 もうハワイが彼らの手に落ちたわ」
アクセル「何……!?」
レモン「だから、ヒリュウとハガネという カードが必要になったわけ。 ……おわかり?」
アクセル「くっ…わかった」
レモン「次の機会はすぐ来るわ。 だから、お楽しみは後で……ね?」
アクセル「…帰還する」
(ソウルゲインが西へ少し移動)
アクセル「ベーオウルフ… 今回はここまでにする、これがな」
キョウスケ「……」
アクセル「貴様が力を得ていない…それが わかっただけでも、来た甲斐はあった。 …また会うぞ、キョウスケ・ナンブ」
アクセル「…呪われた力を得た男よ」
(ソウルゲインが撤退)
ユン「敵機、撤退しました!」
クスハ「大丈夫ですか、 キョウスケ中尉……!?」
キョウスケ「ああ……何とかな」
キョウスケ(アクセル・アルマー…。 いったい何者だ? おれの何を 知っている…?)

[ヒリュウ改 格納庫]

タスク「うひょ~…… 装甲どころか、左腕のフレーム…… イッちまってるんじゃないスか?」
キョウスケ「ああ、かなりの使い手だった。 …パーツの予備は?」
タスク「ラドム博士がマオ社から脱出する時、 持ってきた奴がありますけど……」
タスク「もう残り少ないッスよ?」
キョウスケ「…わかった、覚えておく」
ラミア(ベーオウルフを追い込むとは…… さすが隊長だと言うことか)
エクセレン「う~ん、あのヒゲちゃん、 アルト…というか、キョウスケとの戦闘に 随分慣れてたみたいだけど?」
キョウスケ「ああ。 運が悪ければ、コックピット直撃… それで終わりだったな」
マサキ「お前、ホントにあいつのことを 知らねえのかよ?」
キョウスケ「知らん」
リョウト「あの人も アルトのことをゲシュペンストMk-IIIと 呼んでいましたね」
リューネ「それに、ベーオウルフって何?  キョウスケのあだ名?」
キョウスケ「それも知らん… 過去、呼ばれたこともないしな」
ブリット「しかも、 エクセレン少尉の名前を聞いて 随分驚いていたようですけど……」
エクセレン「ひょっとして、 どこかで私を見て一目惚れしてたとか?  いやん、戦場のラブロマンス」
ブリット「そ、そうは見えませんでしたが」
タスク「あれですよ、 ノイエDCじゃ、エクセ姐さん達は やっぱ有名人なんスよ」
リューネ「紅白コンビで何かと目立つしね」
エクセレン「それを言うなら、 ヴァルシオーネちゃんの方が 遥かに上だと思うけど」
リューネ「ラミアのアンジュルグだって目立つよ。 ねっ、ラミア?」
ラミア「……」
ラミア(何故だ……?  何故、私はエクセレン・ブロウニングの名前が 知られるのをまずいと思った……?)
ラミア(エクセレンとレモン様の関係については、 何の確証も得ていないというのに……)
ラミア(自分の判断内容に確信が持てないとは…)
リューネ「? どうしたの?」
ラミア「いや……何でもない」
キョウスケ「……」
キョウスケ(アクセル・アルマー、か。 奴にしても、アインストの一人…… アルフィミィにしても……)
キョウスケ(おれを狙う理由がまったくわからん…。 『向こう側』……『力』……何のことだ?)

[シロガネ ブリッジ]

ヴィンデル「……結果的に、 ヒリュウの足止めには成功した。 今回は不問に帰す」
ヴィンデル「だが…次はない。 規律を乱せばどういうことになるか… わからんとは言わせんぞ、アクセル」
アクセル「…ああ、わかっている。以後気を付ける」
ヴィンデル「では、 これより我々は日本近海に潜伏し、 ハルパーの発動を待つ」
ヴィンデル「以上だ」
(扉が開閉する・ヴィンデルが立ち去る)
レモン「あら、あの人… 意外にあっさり許したものねえ」
アクセル「……」
レモン「で、どうだったの、狼さんは?」
アクセル「機体の外見や性能は違っていた。 そしてベーオウルフ本人は…普通の人間だった」
レモン「普通の人間……やっぱり……」
アクセル「ああ、『向こう側』の奴は……異常だった。 だからこそ、『こちら側』のベーオウルフは 今のうちに叩いておくべきなのかもしれん」
レモン「その彼… あなたのことをどう認識していたの?」
アクセル「…この世界にも特殊任務実行部隊は 存在しているが…名称と構成員が違う」
アクセル「奴もおれのことは知らなかった、これがな」
レモン「ええ、その調べはもうついているわ」
レモン「その特殊任務実行部隊… 今は私達と関係のない所で任務遂行中…ってね」
アクセル「だから、おれ達のことを知る者はいない。 …ヘリオスを除いてな」
レモン「そうね……。それに、彼女も……」
アクセル「……」
アクセル「…戦闘中、 レモン…貴様と同じ姓を持った女と接触した」
レモン「え!?」
アクセル「シャトル事故で死んだという 貴様の妹…まだ名前を聞いていなかったな」
アクセル「…エクセレン…か?」
レモン「……!」
アクセル「どうなんだ?」
レモン「……」
レモン「……正解、よ」
アクセル「……」
レモン(そう……。 こちらではそうなっているの……)
アクセル「…その女もベーオウルフと同じ… おれ達のことは知らなかった」
アクセル「そういう存在だ。 共通点はあっても…貴様の妹ではない、こいつがな」
レモン「……ええ、わかっているわ。 あの子は……もう死んだもの」
アクセル「……」
レモン(エクセレン…… エクセレン・ブロウニング……)
レモン(あなたがこちらにいるのなら、私は……)


back index next