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亡国の姫君 ~ 第21話 ~

〈vs アーチボルド〉

[キョウスケ]

アーチボルド「またお会いしましたね、 キョウスケ・ナンブ君」
キョウスケ「この声…… 確か、ヒューストン基地で……?」
アーチボルド「そう、 あの時に言ったでしょう?  長いお付き合いをよろしくとね」
キョウスケ「おれにそっちの趣味はなくてな。 ここで終わりにさせてもらう」

[エクセレン]

エクセレン「あら?  もしかして、いつぞやの泥棒さん?」
アーチボルド「ご名答。 覚えていて下さって光栄ですよ」
エクセレン「今回の狙いは王女様のハート?  守備範囲が広すぎるんじゃなぁい?」
アーチボルド「出来れば、あなたの命も 頂戴したいところですね」
エクセレン「いやん、口説き文句ならぬ 殺し文句って奴? 悪いけど、そういうのは 間に合ってんのよね」

[ライ]

ライ「貴様の相手は俺がする……!」
アーチボルド(因縁があるとは言え、 直にやり合うのは初めてですね)
アーチボルド(では、 ブランシュタイン家の次男の お手並み拝見といきましょうか)
ライ「こいつは……?」

[連邦軍兵]

アーチボルド「フフフ…… 逃がしはしませんよ、 プリンセス・シャイン」
シャイン「こんな所で…… こんな所で終わったりしませんわ!」
アーチボルド「お命を頂戴するつもりは ありませんが……可愛い悲鳴ぐらいは 聞かせてもらいましょうか」

〈リクセント機がハガネに隣接〉

エイタ「艦長、シャイン王女のリオンを 回収しました!」
ダイテツ「よし、 本艦はこの空域より離脱する。 PT各機、援護せよ」
ライ「了解」
アーチボルド「……やれやれ、 釣った獲物が大き過ぎましたか」
アーチボルド「さすがはハガネ、 不要な欲は禁物と言いたい ところですが……」
アーチボルド「引きあげる前に 一矢報わせてもらいますよ」
(エルアインスが西の海上まで移動、通信)
ライ「! 通信だと?」
アーチボルド「聞こえますか?  ライディース…… ライディース・F・ブランシュタイン君」
ライ「俺の名を? 何者だ?」
アーチボルド「僕は ブランシュタイン家と縁ある者……」
ライ「何……!?」
アーチボルド「僕の名はグリムズ。 アーチボルド・グリムズ。 ……聞き覚えがあるでしょう?」
ライ「! アーチボルドだと!?」
レオナ「ま、まさか、 あの男がノイエDCに!?」
タスク「レオナ、 あいつのことを知ってんのか!?」
アーチボルド「フフフ……こうして お会いするのは初めてですねえ、 ライディース君?」
ライ「貴様………ッ!!」
(ライに『熱血』『気迫』)
ライ「貴様ァァァァァッ!!」
(R-2パワードがエルアインスに接近)
リュウセイ「ライ!?」
アーチボルド「フフフ…… 表面上は冷静でも、このような時に 激情を制することが出来ない」
アーチボルド「そこがあなたの兄上と 違うところであり……」
アーチボルド「僕が 付け入る隙でもあるわけです」
ライ「!!」
【強制戦闘】
ライ[ハイゾルランチャー(散弾)]vsアーチボルド[グラビトン・ランチャー]
ライ『アーチボルド・グリムズ!!』
ライ『貴様だけは……!』
ライ『貴様だけはッ!!』
アーチボルド『ふふふ…怒りに震える照準で 僕を捉えられるとお思いで?』
アーチボルド『ハハハ! さあ、 彼女と同じ所へ送って差し上げますよ!』
ライ『うぐあっ!!』
(アーチボルドは回避、R-2パワードのHP10%、R-2パワードに爆煙)
リュウセイ「ラ、ライ!!」
シャイン「ラ、ライディ様ぁっ!!」
レオナ「ライディース!!」
(ライの反応なし)
リュウセイ「ライ!  返事しろ、ライッ!!」
アーチボルド「ほう、防ぎきりましたか。 さすがですね、ライディース君」
アーチボルド「あの暴走事故から 生還しただけのことはある」
リュウセイ「て、てめえっ!  よくもやりやがったな!!」
アーチボルド「ま、 今日のところはご挨拶ということで」
アーチボルド「では、 またお会いしましょう……ライディース君。 ……再起不能になっていなければ、ね」
(エルアインスと残りの敵が撤退)
エイタ「敵機、後退しました!」
テツヤ「直ちにR-2を回収しろ!  急げ!!」

[ハガネ ブリッジ]

シャイン「……そうでございますか。 リクセントはもうノイエDCに……」
ダイテツ「お気持ちはお察しする。 だが、御身をこうして救い出せたのが 不幸中の幸いだった」
シャイン「私の気持ちなど……。 国に残された者達のことを思えば、 何でも……ないもん……」
シャイン「あ、いえ……ございません」
ラトゥーニ「シャイン王女……」
シャイン「心配はいりません。 一国を預かる身として、これから 何をしなければならないか……」
シャイン「決意と覚悟は すでに出来ておりますもの」
ラトゥーニ(覚悟……?)
テツヤ「シャイン王女、 我が連邦軍はアビアノ基地を 中心として戦力を立て直し……」
テツヤ「ノイエDCに対し、 反攻作戦を敢行する予定です」
テツヤ「その折りには 必ずやリクセントの奪還も……」
シャイン「でも、 それは今後の戦況次第…なのでございましょう?」
テツヤ「……ええ。 ですが、奪還作戦に参加した際は 尽力することをお約束します」
シャイン「お気遣い感謝致します」
ダイテツ「御身には、このまま我々と共に アビアノ基地へ行っていただく」
ダイテツ「その後の処遇は 連邦政府へ委ねることになるが、よろしいか?」
シャイン「……」
シャイン「はい……」
ダイテツ(王位継承者とは言え、 まだ子供……不憫な)
シャイン「ところで、あの……。 ライディ様の……ご容態は?」
エクセレン「それは大丈夫。 R-2ちゃんの頑丈さ、並じゃなかったみたいよ」
シャイン「そうでございますか……。 では、私……ライディ様のお見舞いに行ってきます」
エイタ「じゃあ、自分が案内を……」
シャイン「大丈夫ですわ。 この艦に乗るのは初めてではありませんもの」
(扉が開閉する・シャインが立ち去る)
エクセレン「…王女様、しばらく見ない間に 随分しっかりしたんじゃない?  …ちょ~っと、危なっかしいけど」
ラトゥーニ「うん……無理してる」
ラトゥーニ「そして…… それを私達に悟られまいとして……」
エクセレン「そうね…。 張りつめてる分、切れた時の反動が怖いわよね」
ラトゥーニ「……」
エクセレン「ラトちゃん、フォローしてあげるのよ?  そんでもって、盗られた物は取り返す…オーケイ?」
ラトゥーニ「はい……」

[ハガネ ブリーフィングルーム]

カチーナ「……で、 R-2の方はどうだったんだ?」
イルム「右腕とプラスパーツがごっそりやられた」
イルム「交換用のパーツは 伊豆からアビアノへ輸送中だが、 しばらくは使い物にならないね」
カチーナ「爆発しなかっただけでも マシってことか」
リュウセイ「けど、いつもはクールなあいつが……」
リュウセイ「あ、 最近はそうでもねえような気もするけど……」
リュウセイ「とにかく、 ライがあそこまで怒るなんてよ」
イルム「ああ……奴らしくなかったな」
レオナ「……」
キョウスケ「あの男…… アーチボルド・グリムズと言ったか」
キョウスケ「何回かやり合ったことがあるが、 それ以外の事は知らん。何者なんだ?」
レオナ「あの男は エルザム様とライディースの…… いえ、ブランシュタイン家の仇敵(きゅうてき)
キョウスケ「仇敵……?」
レオナ「そう。彼はあのエルピス事件を 仕組んだテロリスト……」
レオナ「エルザム様の妻であり、 ライディースの義姉…… カトライア様の仇と言える人物よ」
リュウセイ「な、何だって!?」

[不明 (回想・ブランシュタイン本家)]

ライ「…………」
ライ「……義姉上……」
ライ「……義姉上、ここにいらっしゃったのですか?」
カトライア「ええ、 この子の相手をしていたのです」
トロンベ「ブルルル……」
ライ「何も義姉上が トロンベの世話をなさらなくとも…… 係の者もおりますのに」
カトライア「いえ、この子はエルと私以外の方に 背中を預けませんから……」
カトライア「こうして私が 暇を見て相手をしてあげないと」
トロンベ「……」
カトライア「トロンベ…… エルに会えなくて寂しいの?」
トロンベ「ブルル……」
カトライア「大丈夫、私はあなたの傍にいるわ。 だから、元気を出して頂戴」
カトライア「そして、このエルピスで 一緒にエルの帰りを待ちましょう」
トロンベ「……」
ライ「俺なら…… 義姉上にそのような想いはさせません」
カトライア「……ありがとう、ライ」
ライ「……」
カトライア「でも、エルは ブランシュタイン家の次期当主として 何かと忙しい身……」
カトライア「あの人の留守を守るのは、 妻である私の役目なのです」
ライ「……」
カトライア「それに、私はエルが傍にいなくても 寂しくはありません」
カトライア「私の周りには あなたやレオナ、トロンベがいてくれますし……」
カトライア「エルの留守中に 新しいレシピを考え出すのが楽しいのです」
カトライア「それも、 彼が驚くようなレシピを……ね」
ライ「……」
カトライア「ところで、ライ。 茶室の準備をして下さる?  この間のレッスンの続きをしましょう」
ライ「はい、義姉上……」

[ハガネ 医務室]

ライ「う……」
シャイン「ライディ様……」
ライ「シャイン王女……」
シャイン「お具合はいかがでございましょう?」
ライ「……どうかお気になさらずに。 それより、御身が無事で何よりです」
シャイン「はい……。 私を逃がしてくれた国の者達…… そして、ハガネの皆のおかげです」
ライ「……」
シャイン「ライディ様、申し訳ございません。 私のせいで、こんな……」
ライ「いえ、これは御身の責任ではありません。 自分が未熟だったまでのこと」
シャイン「でも、私は…… ライディ様から守るべき場所を守れと 言われていましたのに……」
シャイン「なのに、私は国を……」
ライ「それも戦いでありましょう」
シャイン「え?」
ライ「御身が決意と覚悟を持って 脱出されたのなら……それは逃げではありません」
ライ「後は……成すべきことを成すだけです」
シャイン「…わかって…おります。 それはわかってるの…だけど…私…」
ライ「……御身のお気持ちを察せず、 差し出がましいことを申しました。 お許し下さい」
シャイン「いえ……」
ライ「ですが……成長なさいましたね、王女」
シャイン「ライディ様……」
ライ「………」
シャイン「あの……」
シャイン「少しだけ…… ここで泣いてもよろしいでしょうか……」
ライ「……ええ」
シャイン「……」
シャイン「う、ううっ……う……」
シャイン「ううう……うええん……」
ライ「………」
ライ(アーチボルド・グリムズ……。 リクセント公国を制圧したのはあの男か……)
ライ(俺の仇敵…… 俺の過去にもう一つの楔を打ち込んだ男……)
ライ(許さん……。 奴だけは……俺のこの手で……)
ライ(必ず……!)

[ノイエDC戦艦 ブリッジ]

レモン「敵本隊はアビアノ方面へ撤退、 リクセント公国の占拠にも成功……上々の結果ね」
ヴィンデル「でなければ、 我々が陽動に出た意味がない」
レモン「ええ。 これでバン大佐への示しもつくし」
レモン「でも、 この目でハガネを見られなかったのは少し残念ね」
ヴィンデル「うむ。 連中は間に合わなかったようだな」
ウォーダン「……」
レモン「お勤めご苦労様。 あなたの活躍で、色々と上手くいったわ」
ウォーダン「……俺は俺の任務を果たしたまで」
レモン「身体の調子の方はどうかしら?  頭とか痛まない?」
ウォーダン「問題ない」
レモン「そう。 でも、念のため調整器に入りなさい。 メイガスとのリンクのためにね」
ウォーダン「承知した」
(扉が開閉する・ウォーダンが立ち去る)
ヴィンデル「フン……不遜な口の利き方をする奴だ」
レモン「そういうとこ、意外と気にするわよね。 でも、彼……指令には忠実、かつ確実よ?」
ヴィンデル「それは メイガスを通した上での話だろう」
レモン「テストケースよ。今後のためのね」
ヴィンデル「中途半端なものになるぐらいなら、 記憶や人格など消去した方がマシではないのか?」
レモン「……」
レモン「そうかも、ね」
(通信)
エキドナ「ヴィンデル様……」
ヴィンデル「何だ?」
エキドナ「本艦へ接近中の物体を感知しました」
ヴィンデル「敵か?」
エキドナ「いえ…… こちら側の識別信号を出しています」
ヴィンデル「では、ノイエDCの別働隊か?」
エキドナ「それも違います。 ……このコードは我々の物です」
ヴィンデル「何だと……!」
レモン「W16、その物体の識別コードは何なの?」
エキドナ「EG-X……ソウルゲインです」
レモン「!!」


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