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ブーステッド・チルドレン ~ 第9話 ~

《ハワイ諸島近海(移動中・DC戦艦)》

[DC戦艦 ブリッジ]

DC艦長「アーチボルド少佐、 本艦は間もなくハワイ諸島海域に進入します」
アーチボルド「よろしい。 深度200で停艦させて下さい」
DC艦長「了解です」
アーチボルド「ユウキ君、 ASRSの搭載作業の方は?」
ユウキ「すでに完了しています」
アーチボルド「結構」
(扉が開閉する)
クエルボ「アーチボルド少佐、 補充パイロットを連れてきました」
アーチボルド「ああ、例の……」
クエルボ「二人とも、 自己紹介をするんだ」
ゼオラ「初めまして。 自分はゼオラ・シュバイツァー曹長であります」
ゼオラ「以後、よろしくお願い致します」
アラド「自分はアラド・バランガ…… 以下同文であります」
ユウキ(彼らが補充兵だと?  まだ子供じゃないか)
ゼオラ「ちょっと、アラド!  何よ、その言い方!  それに敬礼を忘れてるわよ、敬礼を!」
アラド「ったく、うるせえなあ」
ゼオラ「何ですって!?」
アラド「わかった、わかった。 ちゃんとやりゃあいいんだろ?」
アラド「あんまカリカリしていると、 頭の血管切れるぜ、ゼオラ」
ゼオラ「もうとっくの昔に 切れてるわよっ!」
クエルボ「お、おい、お前達…… いい加減にしないか。少佐の前だぞ」
ゼオラ「いえ、この子はビシッと 言っておかないとダメなんです」
ゼオラ「いい、アラド?  その一言多い性格、直しなさい」
アラド「持って生まれたモンだからしょうがねえだろ。 お前だって、すぐに怒る性格直んないし」
ゼオラ「もう! いいから、さっさと 自己紹介をやり直しなさいっ!」
アラド「それじゃ……」
アラド「アーチボルド・グリムズ少佐!  自分はアラド・バランガ曹長!  以下同文でありますっ!」
ゼオラ「あ、あなたねえ……」
ユウキ(何なんだ、彼らは……)
アーチボルド「セロ博士…… 僕はミドル・スクールの教師に なった覚えはないんですがね」
クエルボ「も、申し訳ありません」
アーチボルド「やれやれ、 期待のルーキーが子供だとはね」
ゼオラ「お言葉ですが、少佐。 自分とアラド曹長は『スクール』の 出身であります」
ユウキ(スクール?  確か、連邦軍のPTパイロット特殊養成機関だったな)
ゼオラ「実戦経験こそまだありませんが、 訓練は充分に受けております」
アーチボルド「……セロ博士、これは 厄介払いと考えていいのですか?」
クエルボ「い、いえ、そんなことは」
アーチボルド「ま、新人とは言え、 人手が増えるのは助かりますが……」
アーチボルド「僕達の ターゲットの中にはあのハガネも いますから、大変ですよ?」
ゼオラ「望む所です。この手で DC総帥ビアン・ゾルダーク博士の 仇が討ちたいと思っています」
アラド(チェッ、また始まったぜ)
アーチボルド「結構。 では、ユウキ君……次の作戦には 彼らも連れていって下さい」
アーチボルド「実戦での性能を試すためにもね」
ユウキ「了解」
アラド(性能だって?  おれたちゃ、マシンじゃねえ)
ユウキ(どうやら、 貧乏クジを引かされたらしいな)
ユウキ「では行くぞ、二人共」
ゼオラ「はい」
(扉が開閉する・ユウキ、ゼオラ、アラドが立ち去る)
アーチボルド「……それにしても、 スクールの生き残りがいたとは驚きですね」
クエルボ「……」
アーチボルド「確か、あそこにいた 子供達は過酷な実験や訓練のせいで そのほとんどが死亡……」
アーチボルド「それが問題視され、 スクールは解散。コッホ博士も残った 子供を見捨てたと聞いていましたが」
クエルボ「……その後、 アギラ・セトメ博士や私達で子供達を引き取り……」
クエルボ「DCで 訓練と調整を続けていたのです」
アーチボルド「で、DC戦争後に アースクレイドルへ行ったと?」
クエルボ「はい」
アーチボルド「なるほど。 それで、あの二人は本当に 使い物になるんですか?」
クエルボ「ブロンゾ27……ゼオラは 問題ないと思われますが……」
クエルボ「ブロンゾ28、 アラドには能力面や思想面で 不安要素が残っています」
アーチボルド「それじゃ、 調整不良の欠陥品じゃないですか。 何故、一緒に連れて来たのです?」
クエルボ「ブロンゾクラスの ブーステッド・チルドレンは……」
クエルボ「コンビネーション戦闘用と して調整されていまして…… 二人一組が基本なのです」
アーチボルド「ま、いいでしょう。 せいぜい期待させてもらいますよ」

《地球連邦軍ヒッカム基地》

[連邦軍ヒッカム基地]

ラトゥーニ「失礼します。 少佐、試作機の重力下調整が終わりました」
カイ「うむ。 わざわざすまんな、ラトゥーニ」
ラトゥーニ「いえ」
カイ「ああ、そうだ。 お前、海には行ったのか?」
ラトゥーニ「え……?」
カイ「せっかくハワイにいるんだから、 泳いでおかんともったいないぞ」
カイ「ガーネットからも 水着が送られてきたんだろう?」
ラトゥーニ「でも、デザインとサイズが……」
カイ「サイズ?」
ラトゥーニ「はい……そんなに育ってません……。 前にシャイン王女からもらった水着なら まだしも……」
カイ「なに、心配はいらん。ウチの娘もそうだった。 その内、ガーネットが送ってきた水着が 似合うようになる」
ラトゥーニ(私がガーネットみたいに……?)
ラトゥーニ(あり得ない)
カイ「よし……早速、試作機のテストを行う。 準備を頼むぞ、ラトゥーニ」
ラトゥーニ「はい」

[地球連邦軍ヒッカム基地]

イルム「そうか、量産型の ヒュッケバインMk-IIがな……」
ライ「報告によれば、DC残党によって 4機が強奪されたそうです」
イルム「配備された途端にそれか。 どうもやり方が露骨だね」
ライ「それだけDC残党が 量産型のMk-IIに注目していると いうことでしょうか?」
イルム「さてな。 しかし、連中の動きが ここまで活発化しているとなると……」
ライ「ええ、 DC残党が一つの組織として まとまりつつあるのかも知れません」
イルム「それも東京宣言の影響か」
イルム「異星人の存在が公認と なっちまった以上、連中が躍起になる 気持ちはわからんでもないが」
ライ「とにかく、マオ社の方でも 充分に気をつけて下さい」
イルム「そうだな…… 連中がビルガーやブレード、Mk-IIIを 狙ってくる可能性もあるか」
イルム「やれやれ、 SRX計画ATX計画の凍結処分が 解除されたってのに難儀な話だ」
ライ「だからこそかも知れません。 それに、軍の反対派が急に大人しくなった点にも 疑問が残ります」
イルム「ああ、そりゃ政府の人間が 軍に計画再開を働きかけたからさ」
ライ「政府の人間……?」
イルム「ああ。 名前はニブハル・ムブハル…… ミッドクリッド大統領の特別補佐官だ」
ライ「……」
イルム「ところで、 新しい特殊戦技教導隊の居心地はどうだ?」
ライ「メンバーは私とカイ少佐、 ラトゥーニ少尉の3名ですし……」
ライ「任務は主力機用の モーション・データ作成ですから、 今のところは平和なものです」
イルム「そうか。 俺は今度、ブレードの試作機と 一緒に地球へ降りることになった」
イルム「行き先は伊豆だ」
ライ「ということは…… あの機体は我々でなく、リュウセイ達の所へ?」
イルム「ああ、基が基だからな。 じゃあ、ファルケンは任せるぞ」
ライ「了解です」
(通信切れる)
ラトゥーニ「ライディース少尉、 試作機のテストの準備が整いました」
ライ「わかった。すぐに行く」


第9話
ブーステッド・チルドレン

〔戦域:海辺〕

(海にはガーリオンなどが沈んでる)
カーラ「ねえ、ユウ。 ホントにこの場所でいいの?  ここ、演習場とかじゃないよ?」
ユウキ「偵察隊から、 例の試作機がこちらへ向かったという 報告を受けた」
ユウキ「カルチェラタン1より全機へ。 ASRSを作動させ、待機しろ」
ゼオラ「了解。 ……アラド、勝手に動いちゃ駄目よ」
アラド「いちいちうるせえな。 待機だろ? わかってるって」
ゼオラ(もう。どうしてこう 反抗的なのかしら。オウカ姉さんの 言うことは素直に聞くくせに)
カーラ「ね、ね、あんた達…… もしかして付き合ってんの?」
ゼオラ「え!?  な、な、何でそんなことを!?」
カーラ「ほら、仲が良さそうだし」
アラド「あの……リルカーラ少尉。 自分達はそんな関係じゃありません」
カーラ「あ、そうなんだ」
アラド「ついでに言うなら、 自分はおしとやかなタイプが 好みなんです」
ゼオラ「!  がさつで悪かったわねっ!」
アラド「んなこと一言も 言ってねえっての!」
カーラ「やっぱり仲いいじゃん。 ケンカするほど、って奴だね」
アラド「そういう少尉はどうなんスか?  もしかして、隊長と……」
カーラ「う~ん…… どっちかって言うと、年下の男の子が 好みかな」
ゼオラ「えっ!?」
カーラ「あはは、冗談だよ、冗談」
ゼオラ「そ、そうですか……」
アラド「さっきの、 お前が驚くトコじゃねえだろ?」
ゼオラ「う、うるさいわねっ!!」
カーラ(はは~ん、なるほどね)
ゼオラ「それより、上官に ああいうこと聞いちゃ失礼でしょ!」
アラド「へいへい」
ユウキ「無駄話はそこまでだ。 ……現れたぞ」
(ビルトファルケン(ラトゥーニ)、量産型ゲシュペンストMk-II(カイ)、量産型ヒュッケバインMk-II(ライ)、リオン・タイプF×4が出現)
カイ「どうだ、ラトゥーニ?  ビルトファルケンは」
ラトゥーニ「機動性や射撃性能が高く、 単独でも有効な運用が可能だと 思います」
カイ「ふむ。ファルケンは ヴァイスリッターのコンセプトを 受け継いだ試作機だからな」
カイ「もっとも、相方のビルガーの方は 前例のこともある。杭打ち器の次には 何が付くかわからんぞ」
ライ「フッ……そうですね」
カイ「では、それより模擬戦を始める。 二人共、マガジンの確認を忘れるな」
ライ「了解」
カイ「データ収集、開始。 リオン隊は周辺を警戒しろ」
ライ「ラトゥーニ、遠慮は不要だぞ」
ラトゥーニ「はい」
ユウキ「……間違いない、 あれがビルトファルケンだ。 すぐに仕掛けるぞ」
カーラ「わかったよ。 アラド、ゼオラ、準備はいい?」
アラド「はい!」
ゼオラ(いよいよ実戦…… 今までの訓練の成果を 見せる時が来たわ)
ゼオラDC再興のためにも…… 私達の仲間を捜し出すためにも、 頑張って結果を出さなきゃ)
ゼオラ「……アラド、 しっかり私についてきなさいよ?」
アラド「そんなカッコわりぃ 真似が出来るか。フォワードは おれがやるぜ」
ゼオラ「何言ってんの!  あなた、ただでさえもスクールじゃ 一番成績が悪かったんだから……」
ゼオラ「前に出たら死んじゃうわよ!」
アラド「ホントにうるせえ奴だな。 なるようになるって」
ゼオラ「あ、あなたねえ!」
ユウキ「……お前達、 戦場で集中力を欠くと死ぬぞ」
ゼオラ「す、すみません……」
ユウキ「ファルケン以外の相手は 俺達がする。お前達は奪取任務に 専念しろ。いいな?」
ゼオラ「はい!」
ユウキ「カルチェラタン1より 各機へ! ASRS解除!  仕掛けろ!」
(敵機が浮上)
連邦兵「カ、カイ少佐!  て、敵機の反応がっ!」
カイ「何!?」
ライ「チッ、やはり!」
カイ「あんな近くに!?  何故気づかなかったんだ!?」
ユウキ「カーラ、敵のリオンを!」
カーラ「任せて!  もうロック済みだよ!」
(カイ機は左によける。リオン隊は全滅)
カイ「うぬっ! あの距離から!?」
カーラ「緑だけかわした!?」
ユウキ「今は構うな!  ヒュッケバインを抑えろ!」
(アラド達の側のリオン・タイプFがライ機を取り囲む)
カイ「ライディース!」
ライ「くっ、あのスピードは……!?」
ラトゥーニ「リオンの ものじゃない……!」
ゼオラ「今よ!  遅れないで、アラド!」
アラド「あ、あら!?  ブースト・ドライブのスイッチって、 どれだったっけ!?」
(ゼオラ機がビルトファルケンへ隣接)
ラトゥーニ「!」
カイ「やはり、ファルケンが狙いか!  ラトゥーニ!!」
ゼオラ「つかまえたわよ!」
ラトゥーニ「やらせない……!」
【強制戦闘】
ゼオラ[マシンキャノン]vsラトゥーニ[攻撃不能]
ゼオラ『もらったわよ、ビルトファルケン!』
ラトゥーニ『! 今の攻撃パターンは……!』
(ゼオラの攻撃は当たらないが、ビルトファルケンは北へ少し移動)
ゼオラ「この距離でかわした!?」
ラトゥーニ「!」
ゼオラ「それに、 さっきのパターンは!?」
ラトゥーニ「もしかして……!」
ゼオラ「ラ、ラト……なの……?」
ラトゥーニ「ゼオラ……!?」
ゼオラ「い、いえ、そんなことは あり得ないわ。きっと、あの子の データが流用されてて……!」
ゼオラ「そうよ、ラトが こんな所にいるわけないもの!  だって、あの子は……!」
ラトゥーニ「ゼオラ…… 生きて……いた……?」
ゼオラ「何かの間違いよ、何かの……」
アラド「どうした、ゼオラ!?」
ゼオラ「な、何でもないわ!  それより、どうして私に ついてこないのよ!?」
アラド「そ、それが…… ブースト・ドライブのかけ方が わかんなくってさ」
ゼオラ「もう!  ビルトファルケンは私に任せて!  援護を頼むわよ!」
ラトゥーニ「……本当に…… ゼオラなの……?」
カイ「どうした、ラトゥーニ!  動きが鈍いぞ!」
ラトゥーニ「……」
カイ「チッ!  ライディース、あの子を頼む!  俺もすぐに行く!」
ライ「了解!」
ライ(とは言うものの、四方の敵機を 突破しなければ……!)
(作戦目的表示)

〈1EP〉

カーラ「あのヒュッケバイン、 4機に囲まれてるのに!」
ユウキ「かなりの腕前の奴らしいな」
カーラ「でも、ファルケンは 何か調子が悪いみたいだよ?  いけるんじゃない?」
ユウキ「ああ。 カルチェラタン7、ファルケンを 奪取しろ」
ゼオラ「了解!」

状況選択

ゼオラ機のHPを70%以下にした
ビルトファルケンのHPが70%になった
カーラと戦闘した
2EPになった


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