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インセクト・ケージ リュウセイルート ~ 第40話 ~

《自動惑星ネビーイーム》

[ネビーイーム内部]

レビ「地球人共がネビーイーム内に 進入したようだな」
アタッド「では、キブツに誘き出し、 一気に精神調整を行います。 その方が手間も省けますからねえ」
レビ「ならば、私が力を貸してやろう」
アタッド「レビ様が…?」
レビ「そうだ。 サンプルの中にはお前の精神支配を はねのける者もいるからな」
レビ「私は今からジュデッカのコアに入る。 後は任せるぞ、イングラム」
イングラム「了解した……」


第40話
インセクト・ケージ

〔戦域:ホワイトスター内部の草原〕

(クロガネが出撃、出撃準備)
ダイテツ「では、いいのだな?  エルザム少佐」
エルザム「スペースノア級の 扱いに関しては、自分より 中佐の方が上です」
エルザム「それに、 自分は人型機動兵器へ乗る方が 性に合っていますので」
ダイテツ「了解した。 では、クロガネを預かるぞ」
リョウト「それにしても、ここは…?」
ラトゥーニ「重力や空気もある…。 まるでスペースコロニーの中みたい」
ジャーダ「何で異星人の要塞の中に こんな空間があるんだ…?」
ガーネット「さあ…?」
キョウスケ「………」
ダイテツ「状況は?」
エイタ「大気成分、 重力、気圧…ほぼ地球と同じです」
ブリット「ここ、エアロゲイターの 居住区なんだろうか…?」
レオナ「その割には建物がないし、 人が住んでる気配もないわね」
ギリアム(ラドム博士が言ったように… ホワイトスター内部の人間は ごくわずかなのか?)
ギリアム(それとも、 ここにいないだけなのか…)
ガーネット「でも、不思議ねえ。 ホワイトスターの中に こんな場所があるなんて」
ジャーダ「ああ、 まるで牧場みてえだな」
ギリアム(…牧場…。 言い得て妙かも知れんな)
リョウト「そんな悠長なことを 言ってる場合じゃないと思いますけど…」
キョウスケ「いずれにせよ、 今は敵の出方を見るしかない。 各機、警戒しつつ前進するぞ」

〈2PP〉

エルザム「各機、周辺の警戒を怠るな」
レオナ「了解です、エルザム少佐…」
タスク「…なぁ、レオナ」
レオナ「何? 作戦中の プライベート通信は厳禁よ」
タスク「ちょっとだけ。な?」
レオナ「…仕方ないわね。何なの?」
タスク「俺さ…」
タスク「俺、あきらめねえから」
レオナ「!」
タスク「今、言いたいのはそれだけだ。 続きは…この戦いで生き残ってから 言わせてもらうぜ」
レオナ「タスク……」
エイタ「!  12時方向に重力震を感知!」
テツヤ「各機、迎撃体勢を取れ!  敵機がこのエリアの中央に現れるぞ!」

〈2EP〉

(敵機が出現)
ブリットアーマードモジュール!  どうしてこんな所に!?」
ラッセル「先に要塞内へ 進入した部隊でしょうか…?」
リュウセイ「そんな馬鹿な。 ホワイトスターへ突入したのは 俺達だけなんじゃないのか!?」
ラッセル「もしかしたら、敵に 捕らえられていた部隊なのかも…」
エルザム「この識別コードは 確かにDCの物…。だが、すでに 登録は抹消されている」
ライ「何だって…?」
エルザム「つまり、エアロゲイターに 捕らえられ、彼らの尖兵と化した 同胞達というわけだ…!」
クスハ「そ、そんな…!  あれに乗っているのは私達と同じ 地球人だって言うんですか!?」
エルザム「おそらくな…!」
クスハ「じゃ、じゃあ… あの人達を助けないと!」
ギリアム「それは無理だ」
クスハ「どうしてですか!?  私だって、ブリット君達が 助けてくれたおかげで…」
ギリアム「君の場合は T-LINKによる制御方法で 操られていたため…」
ギリアム「システムを破壊すれば良かったが、 おそらく彼らは直接的な改造を受けていると 思われる」
ギリアム「助けても元に戻れる可能性は 限りなく低い。カーウァイ・ラウ大佐 のようにな…」
クスハ「……!」
カチーナ「クスハ、甘い考えは捨てな。 あたし達は戦争をやってんだよ」
クスハ「……は…はい…」
リュウセイ「くっ…よくもこんな…!」
ライ「薄々は予想していたが、 いざ現実を目の前にすると…」
キョウスケ「気にするな」
エクセレン「…ドライね」
キョウスケ「そう考えなければ、 怒りを飲み込めん…」
(作戦目的表示)

〈敵機全滅〉

エイタ「敵機の全滅を確認!」
キョウスケ「…奴らも 手札を全て見せたわけではあるまい。 来るぞ」
マサキ「ああ、わかってるぜ」
アヤ「! この感じは…?」
(閃光・念動感応)
アヤ「う! くうっ!」
リュウセイ「アヤ!?」
アヤ「こ、この波動…!  つ、強すぎる…!」
ライ「大尉、しっかりして下さい!」
ラーダ(この波形パターンは… ジュネーブの時の…いえ、 マイ・コバヤシのものと同じだわ…!)
ラーダ「アヤ、 T-LINKコネクターを 40%カットして!」
アヤ「は、はい…っ!」
アヤ(! 念動波が止んだ!?)
リオ「アヤ大尉、大丈夫ですか!?」
アヤ「え、ええ…」
アヤ(何だったのかしら、 今のは? まるでこちらの心を 見透かすような…)
エイタ「艦長!  新たな敵機が転移出現します!!」
(ヴァルシオン改×3が出現)
リューネ「あれはヴァルシオン改!」
リョウト「あの機体は もう残っていないはず…」
ギリアム「おそらく、収集したデータを 基にして造られた複製だな」
リューネ「親父のヴァルシオンなら いざ知らず、量産型の偽物なんかで あたし達は倒せやしないよ!」
ゼンガー「立ち塞がる者は 何人たりとも打ち倒すのみ!  行くぞ!!」
(作戦目的表示)

〈敵機全滅〉

テツヤ「続けて地球側の機体を 送り込んでくるとは…!」
テツヤ「エアロゲイターの戦力が 不足しているわけではあるまい。 いったい何が目的なんだ?」
エイタ「艦長!  この空間に侵入してくる機体を 感知しました!」
ダイテツ「敵か!?」
エイタ「いえ、違います! これは…」
(ゲシュペンストMk-II・タイプSが出現)
ヴィレッタ「どうやら 間に合ったようね」
ブリット「! あれは…!?」
エクセレン「わお!  ヴィレッタお姉様じゃない?」
リュウセイ「誰だ?」
ラッセル「マオ社のスタッフで… ラーダさんと一緒にR-GUNの 開発に携わってた方です」
リュウセイ(…どこかで会ったことが あるような…)
ラーダ「あなた、今までどこに…!?」
ヴィレッタ「………」
ヴィレッタ「…私はヒリュウ改から 降りた後、単独でエアロゲイターの 調査任務を遂行していた…」
ギリアム「ヴィレッタ……」
ヴィレッタ「…あなたの言いたいことは わかる。でも、私の目的は エアロゲイターによる災厄を止めること…」
ヴィレッタ「もし、私の行動に 疑いが生じたのなら…いつでも 私を撃って構わないわ」
ギリアム「…わかった。君を信じよう」
ヴィレッタ「…感謝するわ、 ギリアム・イェーガー少佐…」
ヴィレッタ「それから…気をつけて。 敵はまだ増援を送り込んでくる…」
【デモムービー『トラウマシャドー』】
(敵機が出現)
リュウセイ「!! あれは!?」
マサキ「サイバスターに ヴァルシオーネ…それにアルトや ヴァイスもいやがるぜ!」
キョウスケ(偽)「アサルト1より各機へ。 みんな、気を付けろ。どうやら おれ達のフェイクが現れたらしい」
キョウスケ「…やはりな」
エクセレン(偽)「ふ~ん…敵さんも 古典的な手を使ってくれるわねえ」
リュウセイ(偽)「ヘッ!  偽物は本物に勝てねえってこと、 身をもって教えてやるぜ!」
リュウセイ「お、俺だ…!」
エクセレン「おまけに言ってることまで そっくりねえ…」
ブリット「感心してる場合じゃ ありませんよ、エクセレン少尉!」
エクセレン(偽)「あらら、向こうの ブリット君もツッコミ役なのね」
シロ(偽)「そうみたいだニャ」
シロ「!  お、おいらまでいるニャ!?」
マサキ(偽)「芸の細かい真似をしやがって… その手に乗るかってんだ!」
ジャーダ「ちょ、ちょって待て。 頭が混乱して来たぞ…」
レオナ「ドッペルゲンガー…と いうわけではなさそうね」
イルム「死期が近いってか?  そいつは笑えない冗談だねえ」
ギリアム「だが、我々の位相を ずらしているわけでもない。 となれば…」
ヴィレッタ「ええ。あれも先程の ヴァルシオン改と同じ影…」
ヴィレッタ「機体は今までのデータを 基にして作ったフェイク…」
ヴィレッタ「そして、 パイロットはあなた達の記憶を スキャンして作った写し身…」
ヴィレッタ「つまり、実体を持った影よ」
アヤ(もしかしたら、 さっきの念動波はそのために…?)
マサキ「その手口、もしかして…」
エクセレン(でも…今回は前と違って、 私もみんなと同じ物が見えてる…)
マサキ「キョウスケ、今回の敵は前に 俺やリューネ、エクセレンを狙って 来た奴に違いねえ!」
キョウスケ「そいつを 見つけ出す方法はあるのか?」
エクセレン「とりあえず、 目の前の偽物ちゃん達を倒せば 出てくるんじゃない?」
キョウスケ「………」
キョウスケ(だが、敵の意図が見えん。 おれ達を倒すことではなく、 混乱させることが目的なのか?)
ウィレッタ「みんな、 あの影…あなた達のダークサイドに 惑わされては駄目よ!」
キョウスケ「…了解。影は影らしく、 闇に消えてもらう…!」

〈vs 偽・リュウセイ〉

[リュウセイ]

リュウセイ「覚悟しやがれ、 この偽者め!!」
リュウセイ(偽)「いいのか?  俺とSRXを倒すと周りの人間まで 巻き込むことになるぜ」
リュウセイ「!」
ライ(偽)「お前は知っているはずだ。俺達の 機体が両刃の剣だということを…」
アヤ(偽)「そして、私達は T-LINKシステムによって 敵を呼び寄せる忌むべき存在なのよ」
アヤ「!!」
リュウセイ「黙れ!  そんな台詞に惑わされるかよ!!」

〈敵機全滅〉

(敵機が出現)
マサキ「現れやがったな!」
アタッド「…どうやら、 あたしのトラウマシャドーは もう通用しないみたいだねえ」
マサキ「トラだかライオンだか 知らねえが! 偽者なんかで 俺達を倒せると思うな!!」
マサキ「三度目はもうねえぜっ!!」
アタッド「フン…。ガルインや ここにいる連中のように、あたし達に 操られてる方が幸せだってのにねえ」
マサキ「どういう意味だ!?」
アタッド「考えてもごらん?  辛い過去やトラウマなんかに 悩まされることなく…」
アタッド「ただひたすら、 戦いに専念出来るんだよ。本望だろ?」
マサキ「ふざけんな!」
アタッド「ハッ!  お前達は好きで戦ってるんだろ!  ゲーザのようにさ!」
マサキ「何!?」
アタッド「戦いが好きでもなけりゃ、 わざわざこんな所まで来ないよ」
アタッド「だから、 ネビーイームとジュデッカは あんた達に目を付けたんだ」
アタッド「この銀河系の中でも 突出した闘争本能を持つ地球人にね」
アタッド「そう、ゲーザ・ハガナー… いや、テンザン・ナカジマが そのいい例だよ」
リュウセイ「!!」
マサキ「やっぱり、あいつは!」
アタッド「さあ、ゲーザ…。 奴らをあんたの仲間にしてやりな」
アタッド「多少傷物にしても、 あんたと同じように身体を 作りかえてあげるからね…ウフフ」
ゲーザ「ヒャハッ! いいんだな!?  ブチ殺しちまってもいいんだな!?」
アタッド「ああ、いいともさ!  その方が扱いやすいからねえ!」
ゲーザ「ヒャハハハ!  やってやる! やってやるっての!」
ゲーザ「どいつもこいつも 血祭りに上げてやるぜ!  プチプチ潰してやるぜ!!」
ゲーザ「プチプチプチッとなぁ!  ヒャーッハッハッハッハァ!!」
リュウセイ「テ、テンザン…!」
キョウスケ「リュウセイ… わかってるな? おれ達には時間がない」
リュウセイ「………」
キョウスケ「…情けは無用だぞ」
リュウセイ「ああ…俺達の手で 終わらせてやるしかねえ…!!」
ゲーザ「何を言ってやがる!  終わるのはてめえらの方だっての!  ヒャッハッハッハァ!!」
アタッド「そうさ!  その後で、あんた達に 新しい人生を歩ませてやるよ!」
アタッド「あたし達バルマーの 忠実な兵器に仕立て上げてねえ!」
マサキ「あの女…!  人間をもてあそびやがって!  許せねえ!!」

〈ゲーザ機撃墜〉

ゲーザ「うぐっ……かっ…!?」
リュウセイ「今度こそ終わりだ、 テンザン!!」
ゲーザ「かっ…かか…。 そ、そそそうだ…あ、あああ、ああ」
リュウセイ「!?」
ゲーザ「あ、ああ明日は……ははは」
ゲーザ「明日ははは……… バーニングググPTの… けけ決勝大会じゃねえええか…」
リュウセイ「! お前…記憶が!?」
ゲーザ「い、いいい家に帰って、 マママシンの設定しなきゃなななな」
ゲーザ「そ、それでででで… どいつもこここいつも ブチ倒しててて、やる…」
ゲーザ「どいつもこいつももも…なな。 ヒャ、ヒャハハ…ヒヒヒハハハ…!」
ゲーザ「ヒャハハハハハ…ッ、 ヒャーッハッハッハッハァァァ!!」
(ゲーザ機が爆発)
リュウセイ「…………」
リョウト「…結局… 同じことの繰り返しだった…。 DCとの最終決戦の時も…」
リョウト「…方法は… これしかなかったのか…?」
リオ「…気にすることはないわ、 リョウト君……」
リョウト「リオ……」
リオ「……あの人に 同情の余地なんてない。 自業自得よ…」
リョウト「…………」
リオ「…それよりも許せないのは… ああいう形で地球人を利用しようと するエアロゲイターよ…!」
リョウト「うん……」
リュウセイ「…………」
リュウセイ「テンザン……」
リュウセイ「…てめえの ゲームは終わったんだ……」
リュウセイ「今度こそ本当にな…!」
アタッド「フン…意外にもろかったねえ。 精神制御を強化し過ぎたか」
アタッド「しょうがないねえ…。 じゃあ、地球人とバルマー人の 格の違いって奴をみせてやるさね」

〈アタッド機撃墜〉

アタッド「う、嘘だよ!!  何であたしが…バルマー人のあたしが 地球人なんかに…!!」
アタッド「こ、こんなこと… あたしは認めないよ!! あたしは 奴らの性能を調べ尽くしたんだ!」
アタッド「なのに…!  あたし達が知恵を与えてやらなきゃ、 満足に戦えない連中に…!!」
アタッド「何で!?  何でこのあたしがっ!!」
アタッド「こ、このあたしが 倒されなきゃならないのさぁっ!?」

〈敵機全滅〉

エイタ「敵機の全滅を確認!」
ダイテツ「よし…!  艦首超大型回転衝角、始動!  要塞中枢部へ突撃せよ!!」
リュウセイ「待ってろよ、イングラム!  今からてめえの所へ行ってやる!!」

[自動惑星ネビーイーム]

アタッド「う…うう…。 このまま…死んでたまるものかい…。 必ず…あいつらを……」
アタッド「こ、こうなったら… レビのデータとズフィルードクリスタルで あたしの…身体を……」
アタッド「あたしの身体を…強化して……」
(コンピュータの起動)
アタッド「な、何さ…これ?  極秘ファイル…?」
アタッド「特殊脳医学研究所… 被験体ナンバー4…?  ジェニファー・フォンダ…?」
アタッド「!!」
アタッド「そ、そんな馬鹿な…!  これ…あたしの顔じゃないか!!  ま、まさか…」
イングラム「そういうことだ」
アタッド「イ、イングラム…!  あ、あたしは…あたしは…!?」
イングラム「そう。 お前はバルマー人ではない」
イングラム「俺があのサンプルと一緒に持ち帰った… ジェニファー・フォンダという名の地球人だ」
アタッド「う、嘘だろ…!?  それじゃ、あたしもガルインやゲーザと同じで…?」
イングラム「そうだ」
アタッド「う、嘘だ…!  あたしはアタッド・シャムランだ…」
アタッド「生粋のバルマー人だ!」
イングラム「それは与えられた記憶だ」
イングラム「そして… この自動惑星ネビーイームに バルマー人など一人もいない」
イングラム「この俺を含めてな」
アタッド「!」
イングラム「今までご苦労だった、アタッド。 いや、ジェニファー・フォンダ…」
(銃を構える)
イングラム「眠りにつくがいい。永遠にな…」
(銃声)


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