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奪還 キョウスケルート ~ 第35話 ~

[不明 (格納庫)]

ライ「!  このヒュッケバインMk-IIは…」
レオナ「機体色に、あの紋章…。 もしかして」
エルザム「そうだ。 私の新たな愛機…トロンベだ」
レオナ「エルザム少佐…! では…?」
エルザム「ああ。 私もゼンガーやカイ少佐同様、お前達と 行動を共にすることになった」
ライ「貴様…どういうつもりだ?」
エルザム「私は父から与えられた使命を 果たしているだけだ。 …他意はない」
ライ「それを信じろと…!?」
レオナ「ライディース…!」
ライ「レオナ、口をはさむな。 これは俺達兄弟の問題だ」
エルザム「…父や私の理想を押しつけるつもりはない。 お前にはお前の道があるのだからな」
ライ「…!」
エルザム「だが、我が妻の名の下に これだけは誓おう…」
エルザム「私はカトライアが愛した コロニーを…地球を守るため、 以後の戦いに身を投じる」
ライ「何…!?」
エルザム「信じるか、信じないかは お前次第だ」
(扉が開閉する・エルザムが立ち去る)
ライ「待て、エルザム! 俺は…」
レオナ「ライディース、 あなたはエルザム様が信じられないの…!?」
ライ「……わかっている…」
レオナ「え?」
ライ「…あの男が義姉上の名の下に 誓った言葉は……」
ライ「真意以外の何物でもないからな」

[不明 (ブリーフィングルーム)]

カチーナ「じゃあ、ヒリュウとハガネの宇宙行きに OKが出たんだな?」
ラッセル「はい」
タスク「話が早くなったなあ。 上の体制が変わったせいか?」
ラッセル「ケガの功名…とは言いたくないですけど」
キョウスケ「…そう喜んでもいられん。 あまりにもあっさりとしすぎている。 …おそらく…」
イルム「ああ。 間違いなく決戦の準備が遅れてるな」
リオ「でも、私達の部隊がいれば…」
イルム「あのな、リオ。 いくら俺達の戦力が高くても…」
イルム「本命はあくまでも宇宙艦隊だ。 とどのつまり、戦いは数だよ、数」
リオ「それはわかっていますが、 切り札は私達なんでしょう?」
イルム「数で戦った上でのな。 …想像以上の修羅場になるぜ?」
リオ「…望むところです」
タスク「ヘヘッ、 これ以上の勝負所はないッスよ」
イルム「やれやれ… 脅かし甲斐のない連中だね」
イルム「前の戦争で宇宙艦隊が残ってなきゃ… 俺達はオトリどころか鉄砲玉になってたんだぜ?」
タスク「ま、それも承知の上で…ってことで」
ラッセル「…今思えば、エルピスの統合軍が 一時休戦を申し入れてきたのは…」
ラッセル「このことを見越していたのかも知れませんね」
カチーナ「まったくだ。 ここに来て、敵の戦力をアテにしなきゃ ならねえとはなあ…」
キョウスケ「………」
カチーナ「あ、別にゼンガー少佐のことを 言ったわけじゃねえぜ?」
キョウスケ「わかっている。 この状況…四の五の言ってはいられん」
キョウスケ(それに、敵の近くであれば… あいつを助けられる可能性も高くなる…)

《メリットアイランド(ハガネ)》

[ハガネ ブリッジ]

テツヤ「艦長、本艦とヒリュウ改の 打ち上げ準備が完了しました」
ダイテツ「クロガネは?」
テツヤ「エルザム少佐の命令どおり、 有事に備えて潜伏するそうです」
ダイテツ(あれに壱番艦のシロガネも加えれば、 少しは最終決戦が楽になるだろうが…)
ダイテツ(万が一の時の備えを 残しておかなければならん…)
エイタ「艦長、 極東支部のレイカー司令から通信が入っています」
ダイテツ「つないでくれ」
(通信)
レイカー「…レイカーだ。 そちらの準備は終わったのか?」
ダイテツ「うむ。宇宙艦隊の方は?」
レイカー「集結に時間がかかっている。 このままでは、下手をすれば…」
ダイテツ「陽動が陽動でなくなるか。 構わん、その時は我々の方で手を打つ」
レイカー「…すまんな、ダイテツ。 お前達にばかり貧乏クジを引かせることになって…」
ダイテツ「…まだわからん」
レイカー「…なに?」
ダイテツ「引くまで、結果はわからん」
レイカー「お前……」
ダイテツ「フッ…。 キョウスケ中尉やリュウセイ少尉達を見ているとな…」
ダイテツ「そう思えるようになった。 そして、分の悪い賭けほど見返りがあるとも、な」
レイカー「今となっては、それに乗るしかあるまいか。 ならば、頼むぞ…ダイテツ」
ダイテツ「わかっている。 これより、本艦とヒリュウ改は宇宙へ向かう」

《自動惑星ネビーイーム》

[自動惑星ネビーイーム]

アタッド「イングラム、 あんたにちょっと聞きたいことがあるんだがねえ…」
イングラム「何だ?」
アタッド「エクセレン・ブロウニング… あのサンプルのことを、レビ様に 全て報告していなかったね?」
イングラム「常人よりも、 調整に対する抵抗力が高いという話はしているが?」
アタッド「それは結果さね。 …何故か、という根本的な問題に あんたは触れていない」
イングラム「必要なかったのでな」
アタッド「…よく言う。 あんた…前からあの女の秘密に 気づいていたんだろう?」
アタッド「あの女の肉体は… 80%以上が、未知の細胞で構成されている」
アタッド「何故、その事実を隠していた?」
イングラム「あえて寝た子を起こす必要はあるまい。 あのサンプルが励起すべき対象は……」
イングラム「キョウスケ・ナンブという男の戦意だ。 それさえ出来れば、何で構成されていようが 関係ない」
アタッド「待ちな。 これはレビ様に対する反逆行為だよ?」
イングラム「あのサンプルを採取したのはお前だ。 疑問点があれば気の済むまで調べるがいい…」
イングラム「ただし、 お前にそれが出来るのならな」
アタッド「…言ったね…!  このことは報告しておくよ?」
イングラム「好きにしろ」
イングラム(どうせ無駄だ。 俺達の手に負える代物では…ない)

[ネビーイーム内部]

レビ「…アタッドから、 お前に二心ありとの報告を受けた」
イングラム(フッ…どちらも素直なことだ)
レビ「先の戦闘…結果的には、 ガルイン・メハベルの機能をより不安定にし…」
レビ「複製機もいくつか損失した。 この失態…どう釈明する?」
イングラム「釈明も何も、 俺の枷が簡単に外れるような物でないことは…」
イングラム「お前が 最も良く理解しているはずだが?」
(閃光・念動感応)
レビ「なに…? う……!?」
イングラム「いいか、レビ…」
イングラム「ジュデッカの枷からは 何者も逃れられない…」
イングラム「…お前はそれを知っているはずだ……」
レビ「……そうだ…私は…知っている………」
レビ「ジュデッカは…創造者達によって造られた… ネビーイームの中枢…」
レビ「……我々は…それを………」
イングラム「……………」
イングラム「…次も俺が出る。 エクセレン・ブロウニングを連れて行くぞ…」
レビ「わかった……お前に…任せる」

母艦出撃選択
ヒリュウ改 ハガネ


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