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鋼の巨神 リュウセイルート ~ 第34話 ~

《自動惑星ネビーイーム》

[ネビーイーム内部]

レビ「…では、 次はお前が出撃するというのか?」
イングラム「ああ、色々と試したいこともある」
レビ「…まもなく時も満ちる。 クラス・ギボルの選抜はぬかりなくな」
イングラム「承知している。 ところで、ヴィレッタの姿が見えぬようだが…?」
レビ「地球人共が南極で 悪あがきをしているようなのでな…。 今、排除に向かわせている」
イングラム(…俺と行動を共にさせないための処置か。 アタッドの入れ知恵だな)
イングラム「では…出撃する」

[ネビーイーム内部]

アタッド「アウレフ…」
イングラム「何だ?」
アタッド「あんたに ちょっと聞きたいことがあってねえ」
イングラム「出撃前だ。手短にな」
アタッド「どうして エクセレン・ブロウニングのことを レビ様に報告しなかったんだい?」
アタッド「まさか、 あの女の秘密に気づいてなかったって 言うんじゃないだろうねえ?」
イングラム「どうとでも好きに受け取るがいい」
アタッド「待ちな。 これはレビ様に対する反逆行為だよ?」
イングラム「…俺にその台詞を吐くか」
イングラム「そして、俺の行動に疑いを持つか… お前が?」
アタッド「ふん、バルシェムごときが偉そうに…」
アタッド「とにかく、お前の行動は怪しいのさ。 …ヴェートを泳がせていたんじゃないのかい?  二重スパイとしてね」
イングラム「ならば、 彼女を問いただせばよかろう」
イングラム「それに、 エクセレン・ブロウニングについて とやかく言うつもりなら…」
イングラム「まず、 お前の手で彼女を捕獲してみせることだな」
アタッド「言ってくれるねえ…。 あんたはあの女に興味がないってのかい?」
イングラム「ああ。あえて寝た子を 起こす必要はあるまい」
イングラム「クラス・ギボルになり得る者は 他にも大勢いるからな」
アタッド「………」

《地球連邦軍極東支部伊豆基地》

[伊豆基地 司令部]

ノーマン「ハガネとヒリュウ改が オトリになるというのか?」
ダイテツ「ええ。この3日間、 エアロゲイターは我々に対してのみ 攻撃を仕掛けて来ております」
ダイテツ「このまま、 ヒリュウ改とハガネがこの伊豆基地にいれば…」
ダイテツ「ここも 彼らによって攻撃される恐れがあります」
レイカー「しかし、 オペレーションSRWの中核となる お前達をオトリにするわけには…」
ノーマン「そのとおりだ。 ハガネとヒリュウ改にもしものことがあれば、 我々が敗北する確率は高くなる」
レフィーナ「ですが… 現在、第4次地球防衛線上に集結しつつある 連邦軍宇宙主力艦隊を失うわけにはいきません」
レフィーナ「ここは少しでも敵に狙われる確率の 高い者が陽動に出るべきです」
ノーマン「お前達がオトリになれば、 作戦前の主力艦隊への攻撃を防げるというのか?」
レフィーナ「ええ。 オペレーションSRW発動前ならば」
ノーマン「何故、そう言い切れる?」
レフィーナ「エアロゲイターは故意に 我々にホワイトスターへ総攻撃を 仕掛けさせようとしているからです」
ノーマン「その根拠は?」
レフィーナ「彼らは我々より優れた技術や 戦力を持っているにも関わらず…」
レフィーナ「わざわざ、 30日の猶予を与えて反撃手段を整えさせ…」
レフィーナ「ジュネーブを始めとする 各都市を破壊して我々の戦意をあおったのです」
レフィーナ「よって、現時点で彼らは 下手に我々の戦力を削るような真似は しないと思われます」
レフィーナ「それの裏付けとなるのは、 ジュネーブを始めとする各都市の壊滅以後、 川崎地区という例外を除き…」
レフィーナ「エアロゲイターと まともに交戦したのはハガネ及び ヒリュウ改のみという事実です」
レフィーナ「また、彼らは 各連邦軍支部基地、スペースコロニーには 手出しをしていません」
ノーマン「では、エアロゲイターが お前達を狙う理由は?」
レフィーナ「確証はありませんが、 ビアン・ゾルダーク博士と同じではないかと…」
ノーマン「………」
ノーマン「ふむ、お前達の考えも我々と同様か」
ダイテツ「では…?」
ノーマン「うむ。 本日よりオペレーションSRWの 準備が整う時まで…」
ノーマン「ハガネとヒリュウ改には 陽動任務に就いてもらう」
レフィーナ「了解しました」

《タクラマカン砂漠(移動中・ハガネ)》

[ブリーフィングルーム]

タスク「…な~るほど。 そんで今、俺達の艦はこんなにヘンピな所を うろついてんのか」
リオ「ええ。 都市や基地になるべく被害が出ないようにね」
タスク「やれやれ…。 自分がエサになってるなんてヤな感じだねえ」
タスク「飛びついて来る魚が 可愛い子ちゃんならともかくさ」
リオ「またそんなこと言って…。 レオナに嫌われるわよ?」
タスク「いやいやいや、 そうやって気を引いてんのさ」
タスク「ほら…押してもダメなら 引いてみな、引いてもダメなら押してみな…」
タスク「踏んだら開いた自動ドア…って 言うだろ?」
リオ「そんなの知らないわよ。 レオナは恋愛経験があんまりなさそうだから…」
リオ「真面目にアプローチしないと ホントに嫌われるわよ」
タスク「まあ、な。 どうやらライバルもいるみてえだし…」
リオ「ライバル?  もしかして、ライ少尉のこと?」
タスク「う~ん…。 当たらずとも遠からず、だな」
リオ「? とにかく、いつ敵が来るか わからない状態なんだから… もっと緊張感を持ちなさいよ」
ブリット「…リオの言うとおりだ」
ブリット「タスク、今の俺達は 『カモがネギとツーショットで鍋をつついてる』 状態なんだぞ」
タスク「は? 何だそりゃ?」
リオ「もしかして、ブリット君… 『カモがネギ背負って来る』って言いたかったの?」
リオ「だったら、言い方も使い方も 思いっきり間違ってるわよ」
ブリット「そ、そうだっけ?  これ、エクセレン少尉に教えてもらったんだけどな、 あははは」
タスク(自分で考えたジョークだったりして)
リオ(…やっぱり、 無理して明るく振る舞ってるのね…)
(扉が開閉する)
リョウト「あ、みんな…ここにいたんだ」
リオ「どうしたの、リョウト君?」
リョウト「クスハを助ける方法が わかったかも知れないんだ」
ブリット「! 本当か!?」
リョウト「うん…。 ラーダさんやアヤ大尉と相談してたんだけど…」
リョウト「もしかしたら、 戦闘中のあの子はT-LINKシステムで 操られてるんじゃないかって」
タスク「要はそいつがラジコンのアンテナに なってるってことだな?」
リョウト「ラ、ラジコンって…。 まあ、そう考えてもいいけど…」
リョウト「T-LINKシステムを壊せば、 もしかしたら…」
リオ「でも、あのシステムって コックピットの近くにあるんでしょ?」
リオ「いったい、どうやってクスハを傷つけずに あれだけを壊すの?」
リョウト「そこが一番の問題なんだ…。 グルンガスト弐式は装甲も硬いし、 かなり正確な攻撃をしないと…」
タスク「もしくは、 上手くコックピットブロックだけ引っこ抜くか…」
リオ「そんな器用なこと、出来るの?」
タスク「弐式を行動不能にすりゃ、何とかな。 ただ、かなり厳しいぜ」
ブリット「…だけど、 クスハを助ける方法がわかっただけでも充分だ」
ブリット「俺が…俺が必ず何とかしてみせる」
リオ「ダメよ。そうやって 一人で背負い込もうとするのは…」
タスク「そうそう。 お前はネギでも背負ってろって」
ブリット「どういう意味だ!?」
タスク「だから、一人で気負いなさんなって。 俺達もいるんだからよ」
ブリット「!」
タスク「それにさ…クスハちゃんを 助けるなら張り切っちゃうぜ、俺。 可愛い子ちゃんのためなら、エーンヤコラってな」
ブリット「タスク…」
レオナ「彼の言うとおりよ。 みんなでクスハを助けましょう」
タスク「ゲ!  い、いたのか、レオナ…」
レオナ「気にする必要はないわ、タスク」
レオナ「私は敵に捕らえられても、 あなたに助けてもらおうなんて思わないから」
タスク「いや、その… さっきのは誤解だって、誤解!」
レオナ「誤解も六階もなくてよ」
タスク「上手い!  あまりにも古典的なギャグたけど、面白い!  いよっ、さすが名門のご令嬢!」
レオナ「お……おだてても何も出ないわよ」
リオ(ふ~ん…。 レオナも何だかんだ言いつつ、 まんざらじゃなさそうね)
ブリット「………」
ブリット(みんなの言うとおりだ…。 俺一人で気負ったってどうしようもない)
ブリット(みんなの力を借りてクスハを… そして地球を救わなきゃならないんだ…!)
(アラート)
リョウト「敵襲!?」
タスク「来やがったな!」


第34話
鋼の巨神

〔戦域:砂漠〕

母艦出撃選択
ハガネ ヒリュウ改


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