back index next


偽りの影 リュウセイルート ~ 第33話 ~

《自動惑星ネビーイーム》

[ネビーイーム内部]

ゲーザ「奴らと接触した時の頭痛、 ありゃ一体何なんだ?」
アタッド「………」
ゲーザ「あれさえなけりゃ、 連中をもっといたぶってやることが 出来たのによ」
アタッド「そう焦ることはないさ。 お前はまだ目覚めたばかりだからね」
ゲーザ「いや、 奴らはとにかくシャクに触るんだ。 …何でだかはわからねえがよ」
アタッド「…なら、連中を早く始末することさね。 そうすれば、お前の頭痛も治まるはずさ」
ゲーザ「早くだって?  冗談じゃねえ、これから奴らとのゲームを たっぷりと楽しませてもらうっての」
アタッド「だったら、 頭痛はしばらく我慢することだね」
ゲーザ「わかったから、 早く出撃させてくれ。今度はあんな人形と 一緒じゃなく、俺一人でな」
アタッド「いや、次はあたしが出るよ。 手に入れたいサンプルがいるからね」
ゲーザ「サンプルだと?」
アタッド「そう。 あたしの仕掛けにかかりそうな いいサンプルをねえ…ウフフフ」

《地球連邦軍極東支部伊豆基地》

[データ室]

ギリアム「…よし。 これでイングラム少佐が残した特脳研関係の ファイルのプロテクトは解除した」
ラーダ「マイ・コバヤシの データはありますか?」
ギリアム「ああ。被験体ナンバー5… マイ・コバヤシ、164年入所…」
ラーダ「えっ…?」
ギリアム「どうかしたのか?」
ラーダ「彼女の生年月日のデータを 呼び出して下さいませんか…!?」
ギリアム「159年6月17日となっているが?」
ラーダ「そ、そんな…!  それだと彼女はアヤの妹なのに、 6歳も年上だということになります」
ギリアム「…アヤ大尉は 確かにマイ・コバヤシのことを 自分の妹だと言っているのか?」
ラーダ「え、ええ…4歳年下の…。 そして、181年の研究所爆発事故で 亡くなられたと聞いていますが」
ギリアム「妙だな。 イングラム少佐の記録では…」
ギリアム「マイ・コバヤシは 165年から180年まで 実験と冷凍処置を繰り返し…」
ギリアム「翌年の特脳研爆発事故後、 再度冷凍処置を受け…」
ギリアム「被験体ナンバー4の ジェニファー・フォンダと共に破棄…と なっている」
ラーダ「で、では… マイは事故で死んだのではなく、 まだ生きていると…!?」
ギリアム「イングラム少佐の記録を 信じるのなら、その可能性は高いな」
ラーダ(…アヤの話とあまりにも 大きく食い違い過ぎているわ…)
ラーダ(イングラム少佐の記録が 正しければ、マイはアヤの妹ではなく 姉ということに…)
ラーダ(いえ、それどころか… アヤとマイは本当の姉妹ではない可能性も……)
ラーダ(このデータとアヤの記憶… いったい、どちらが真実なの?)
ラーダ「…ギリアム少佐、 ケンゾウ・コバヤシ博士は この事を知っているのでしょうか?」
ギリアム「おそらくな」
ラーダ「ならば、博士に話を聞けば…」
ギリアム「それは無理だ」
ギリアム「現在、博士は 軍査察部に身柄を拘束されている。 次の作戦前に面会することは出来ん」
ラーダ「では…少佐、この話は…」
ギリアム「ああ、わかっている。 当分は他言無用にしておこう」
ギリアム「だが、このデータのおかげで イングラム少佐がどういう男なのか、 だいたいの予測はついた」
ラーダ「どういうことです?」
ギリアム「策略を好む人間は 相手へヒントを与えたがるものさ」
ギリアム「無論、大概はそれすらも トラップなのだが…イングラム少佐のヒントは 不必要に易しすぎる」
ギリアム「まるで、我々を助けることが 本心であるかのようにな」
ラーダ「………」
ギリアム「おそらく、彼は複雑な内面を持った人物で あることに間違いはない…」

[ハガネ 格納庫]

エクセレン「んで、結局色男さんは おとがめなしで済んだの?」
ライ「エアロゲイター以前に 家の問題で疑いをかけられたが… 結果はシロと出た」
シロ「それは良かったニャ」
エクセレン「ま、時期も時期だしね。 『毒を盛って独走す』って感じ?」
ライ「それを言うなら、『毒を以て毒を制す』だ」
エクセレン「あらあら、 相変わらずツッコミが厳しいことで」
リューネ「それで、 リュウセイとアヤは?」
ライ「…まだ尋問を受けている。 もう少しで終わるとは思うがな」
シロ「変だニャ。 アヤはニャンとなく理由に察しがつくけど、 どうしてリュウセイが…?」
リューネ「あいつを見て 敵のスパイだと思うんなら、 医者に行った方がいいと思うけど」
ライ「同感だな」
クロ「そんニャ身もフタもニャいことを 言わニャくても…」
マサキ「よう、お前らここにいたのかよ」
リューネ「どうしたの、マサキ?」
マサキ「ダイテツのおっさんが 俺達にオトリ役をやってくれってよ」
リューネ「オトリ?」
マサキ「ああ。エアロゲイターが 俺達をピンポイントで狙ってるかどうか 確かめるためにだってさ」
リューネ「なるほどね。 あたし達がオトリになって、北京の時みたいに 連中が出てくれば…」
エクセレン「ダイテツ艦長達の予想は 大ピンポンってことね」
マサキ「ま、サイバスターと ヴァルシオーネは目立つ機体だし…」
マサキ「足も速いから、オトリ役には最適ってこった」
リューネ「わかったよ」
エクセレン「わお!  リューネ、もしかしてこれって ラブラブチャンス到来じゃなぁい?」
リューネ「は? 何言ってんの?」
マサキ「エクセレン、 あんたにもオトリ役の命令が出てるぜ」
エクセレン「あらら…ひょっとして 私はお邪魔虫って奴?」
シロ「おいら達も一緒だから、 そんニャことニャいニャ」
クロ「シロ、そういう意味じゃニャいわよ」
エクセレン「あらん。キョウスケも 一緒ならダブルデータだったのに、残念ねえ」
マサキ「何言ってんだ。 あいつのアルトアイゼンは長時間の 飛行なんて出来ねえだろうが」
エクセレン「んも~。 ダイテツ艦長も気が利かないわねえ。 副長はツッコミ入れてくれなかったのかしら?」
シロ「ダイテツ艦長とレフィーナ艦長が そんニャことを考えて命令を出すわけニャいニャ」
ライ「同感だな」
エクセレン「ま、いいでしょ。 不純異性交遊がないように目を光らせとかないとね」
ライ「ミイラ取りがミイラにならんようにな」
マサキ「いいから、さっさと行こうぜ。 今はリュウセイ達の分も 頑張らなきゃならねえんだしよ」
ライ「…すまない」
マサキ「気にすんなって。 困った時はお互い様って奴だ」
エクセレン「んじゃ、色男さん。 何かあったら、後よろしくね」
ライ「ああ、くれぐれも気をつけてな」

[不明 (食堂)]

ジャーダ「アヤ大尉と リュウセイの尋問が終わったって?」
ガーネット「うん…。リュウセイの方は ひどく落ち込んでるみたい…」
ジャーダ「ま、色々あったからな。 さしものあいつもショックは隠せねえか…」
ラトゥーニ「………」
ラトゥーニ「ねえ、ガーネット…。 こんな時はどうすればいいの?」
ガーネット「どうすればって…」
ラトゥーニ「…お願い、 リュウセイの力になる方法を教えて…」
ジャーダ「ラトゥーニ、お前…」
ガーネット「じゃあ、 あの子の傍に行ってあげなよ。 何も言わなくてもいいから」
ラトゥーニ「…うん…」
(扉が開閉する・ラトゥーニが立ち去る)
ジャーダ「…いいのか?」
ガーネット「うん…。あたし達で 下手な同情や慰めをするよりはね」
ジャーダ「そうだな…」

[ハガネ 格納庫]

リュウセイ(おふくろが アヤと同じ研究所にいたなんて…)
リュウセイ(もしかして、 病気がちだったのは…実験か何かのせいで…?)
リュウセイ(くそっ…結局、 俺達はイングラムの手のひらの上で 踊らされてただけなのかよ…?)
ラトゥーニ「………」
リュウセイ「…ラトゥーニか…」
ラトゥーニ「…イングラム少佐のことを 考えていたの?」
リュウセイ「……ああ」
リュウセイ「今思えば、 思い当たるフシみてえなものはあった…」
リュウセイ「けど、俺は信じてたんだ…」
リュウセイ「軍に入ったのも… R-1に乗ったのも、きっかけはあいつだった…」
リュウセイ「なのに、俺は……」
リュウセイ「俺は最初からだまされていて…」
リュウセイ「アヤだってあいつのことを信じて…」
リュウセイ「くそっ…。 俺は何も気づかずに…こんな…。 どうしてこんなことに…!」
ラトゥーニ「…イングラム少佐は 私達を裏切って、敵に回った…。 これは紛れもない事実…」
ラトゥーニ「つらくても事実から 目をそらしちゃいけないと思う…」
リュウセイ「………」
ラトゥーニ「ね、リュウセイ…」
ラトゥーニ「………」
ラトゥーニ「…いつもみたいに元気を出して」
リュウセイ「………」
ラトゥーニ「過去に何かあるのは… みんな同じだもの。後悔だけじゃ、 前には進めないよ?」
ラトゥーニ「これから何をすべきか… 自分で考えて、自分で決めて」
リュウセイ(! おふくろと同じことを…)
ラトゥーニ「…少なくとも、私はそうしたから…」
リュウセイ「………」


第33話
偽りの影

〔戦域:山間の基地周辺〕

(サイバスター、ヴァルシオーネ、ヴァイスリッターが出現)
リューネ「ねえ、ダイテツ艦長が 指定した場所って、ここなの?」
マサキ「ああ。何でもDC戦争の時に 放棄された基地らしいぜ」
リューネ「なるほど。ここでなら エアロゲイターと戦っても、周りへの 被害が少なくて済むってわけね」
エクセレン「んじゃ、 後は糸を垂らして待つだけね。 大物がかかるといいけど」
エクセレン「ところで… ねえねえ、リューネちゃん」
リューネ「? プライベート通信?」
エクセレン「女同士ってことで 聞きたいんだけど…実際のところ、 マサキとはどうなの?」
リューネ「どうって…。 何のことなのさ?」
エクセレン「隠してもダメダメ。 ちゃ~んとわかってるんだからぁ」
リューネ「わかってるって何が?」
エクセレン「あなたがマサキに ちょっぴりホの字だってこと」
リューネ「そ、そんなことないよ!」
エクセレン「あらら…ブリット君と 同じでわかりやすいリアクションね」
リューネ「からかわないでよね!  別にマサキとは何でもないんだから」
エクセレン「ふ~ん。その様子じゃ ホントに何にもなさそうねえ」
リューネ「当たり前だよ。 あんな鈍い奴、相手にしたって 時間の無駄だもん」
エクセレン「あらん、わかんないわよ?  あの子、年上にモテそうだから…」
エクセレン「もしかしてもしかすると、 年上の美人からアプローチを 受けてたりするかもよ?」
リューネ「そ、そうなの?」
エクセレン「もし、ホントだったら… 若さで勝負ね。何て言うかこう… ぴっちぴち加減をアピールして…」
マサキ「おい、お前ら何やってんだ!  敵の反応があったぞ!!」
リューネ「!!」
(敵機が出現)
マサキ「!!」
リューネ「あ、あれは!?」
マサキ「グランゾンとヴァルシオン!」
リューネ「そ、そんな…!  あのヴァルシオンは親父専用の…!  ど、どういうことよ!?」
エクセレン「どういうことって、 二人とも何言ってんの!?」
シロ「ニャ、ニャんで あの2体がこんニャ所に!?」
クロ「マサキ、 ここはいったん引きあげた方が…!」
マサキ「いや、こいつはおかしいぜ。 グランゾンはともかく、ビアンの おっさんが生きてるはずはねえ」
シロ「だったら、 あれは偽物だっていうんニャ!?」
マサキ「…そいつを確かめる。 奴らに仕掛けるぜ、二人とも!」
リューネ「わ、わかったよ!」
エクセレン「ちょ、ちょっと!  奴らって何よ!? どう見たって あれは……」
(作戦目的表示)

〈1EP〉

シュウ「ククク…まったく、 無知とは罪ですね…マサキ」
マサキ「! シュウ!!」
シュウ「あなたでは私に勝てないと まだわからないのですか?」
マサキ「てめえ!  あの時、しばらくは何もしねえって 言ったのは嘘だったのか!?」
シュウ「ホワイトスターの時の話ですか?  私の言葉を信じるとは、相変わらず お人好しですね」
マサキ(こっちの誘いに 引っ掛かりやがらなかった。 …まさか、本物だってのか?)
マサキ(いや、でも何かが違うぜ。 あの野郎は、ノコノコと意味もなく 現れるような奴じゃねえ)
マサキ(それに何よりも… サイバスターがあのグランゾンに 反応していねえ…!)
ビアン「リューネよ。 …何故、私に刃を向けるのだ?」
リューネ「お、親父…!  ホントに生きてたっていうの!?」
ビアン「無論だ…私があの程度で 死ぬような男ではないということは、 お前が一番良く知っているはずだ」
リューネ「でも、親父は… 異星人と戦うために地球を…!」
ビアン「その目的に偽りはない。 だからこそ、私の力を貸そうというのだ」
リューネ「何だって!?」
ビアン「お前達だけでは、 ゲストやエアロゲイターに勝てん」
ビアン「過去のわだかまりを捨て、 私の下へ来い、リューネよ…」
リューネ「違う…!  親父はあたしにそんなこと言わないよ!」
ビアン「だが、 今こそ地球人類が力を合わせて 異星人と戦わねばならぬ時だ」
ビアン「つまらぬことに こだわっている場合ではない」
エクセレン「リューネ、マサキ!  二人とも誰としゃべってんの!?」
マサキ「とりあえず、 本物だろうが、偽物だろうが…」
マサキ「相手が シュウなら戦うまでだ!!」
リューネ「あいつは親父じゃない!  化けの皮をはがしてやるよ!!」
エクセレン「マサキ! リューネ!  私の声が聞こえないの!?」

〈3EP〉

(アタッド機が出現)
アタッド「フフフ…。 見事に引っ掛かったねえ。 しかも、お目当てのサイバスターが」
アタッド「あれをサンプルとして 持ち帰れば、あたしの立場も 向上するってものさね」
エクセレン「マサキ! リューネ!  ここにグランゾンとヴァルシオンなんか いないって!」
アタッド「…しかし、あの女…。 一体、何者だ?」
アタッド「奴にはあたしの マインドコントロールが効いていないし… トラウマシャドーも見えていない」
エクセレン「…二人に何をしたのか 知らないけど…仕掛け人が どっかにいるんじゃなぁい?」
アタッド「フフフ…面白いね。 直接あの女を調べてみるとするか」
エクセレン「ビンゴ!  反応あり…もう1機いるわね」
エクセレン「んじゃま、さっさと 釣り上げちゃいましょか!」

〈エクセレンがアタッド機にダメージを与える〉

アタッド「!? しまった、 トラウマシャドーの制御装置が!」
エクセレン「あら? もしかして、 クリティカルヒットって奴?」
(グランゾンとヴァルシオンがメギロートに変わる)
マサキ「!?」
リューネ「バグス!?」
マサキ「どういうことだ!?」
エクセレン「わお!  手品の種明かしが出来たみたいね」
エクセレン「プリンセス・エクセレンと 呼んでもらってOKよん?」
マサキ「手品だと!?  じゃあ、やっぱり…あのグランゾンと ヴァルシオンは偽物かよ!」
エクセレン「はい、よくできました!  二人して幻を見せられてたようね。 白昼夢…ってやつ?」
エクセレン「んで、 それをしかけてたのは私の前にいる おばさまだったってわけ」
アタッド「おばさま…ッ!?  おのれ、こうなったらあの女だけでも!」
(敵機が出現)
エクセレン「わお!  団体さんのお着き~!!」
エクセレン「でも、 タイミングが悪かったかしらん?  こっちも熱烈歓迎の準備は大・完・了!」
(戦艦選択、出撃準備)

リュウセイは
出撃している 出撃していない


back index next