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毒蛇の牙 ~ 第25話 ~

カチーナ(見ていろ、キョウスケ。 あたしは必ずこのR-GUNを 乗りこなす…)
カチーナ(そして、 お前を越えてやるさ!)
(作戦目的表示)

[伊豆基地 ブリーフィングルーム]

リュウセイ「教官、 ハンスとシャイン王女を乗せた輸送機は どこへ向かっているんだ?」
イングラム「不明だ。 T5はこちらの警戒網を突破し、 行方をくらませた」
ライ「ならば、追撃は困難ですね」
イングラム「ああ。 ハンス中佐は連邦軍側のレーダーサイトの 位置を知っているからな」
リュウセイ「だからって、 放っとくわけにはいかねえだろ!?」
リオ「そうですよ!  何とかして王女を助けなきゃ!」
ライ「今の状況で、うかつに動くのは危険だ」
リオ「で、でも!」
ライ「王女が連れ去られた先はおろか、 DC残党の本拠地すら判明していない」
ライ「そして… 俺達の頭上にはホワイトスターが 鎮座していることを忘れるな」
リオ「より巨大な敵を倒すために、 王女を見殺しにするっていうんですか!?  少尉はそれでいいんですか!?」
ライ「……!」
ライ(…まるで同じだな。 カトライア義姉さんの時と…)
クスハ「リオ…言い過ぎよ。 ライディース少尉だって、シャイン王女のことを 心配して…」
リオ「! ご、ごめんなさい…」
ライ「…気にするな。 連れ去られた者は取り返せばいい。 彼女はまだ生きているのだからな」
リオ「はい…!」
イングラム「今後の作戦は、レイカー司令が 伊豆に戻り次第決定される」
イングラム「各員はそれまで待機。いいな?」
ライ「…了解です」
イングラム「ライ、リュウセイ… お前達に伝えておくことがある」
リュウセイ「何だよ、教官?」
イングラム「アヤが戻り次第、 お前達は特別訓練に入ってもらうことになる」
リュウセイ「特別訓練って…何をやるんだ?」
イングラム「それについては…後ほど説明する」

[伊豆基地 格納庫]

マサキ「ったく…。 この基地に敵のスパイがいたなんてよ」
ジャーダ「そういうな。 こっちだって、驚いてんだからよ」
イルム「今となっちゃ後の祭りだが… 今回の戦争じゃ、よくある話だ」
イルム「最初、DCが勢いづいたのも 連邦軍側からの裏切り者がゾロゾロ 出てきたせいだって言うからな」
ブリット「裏切りっていうより… ビアン博士やマイヤー総司令の考えに 賛同した軍人が多かったんです」
イルム「ゼンガー・ゾンボルト少佐や エルザム・V・ブランシュタイン少佐のようにか?」
ブラット「ええ…」
マサキ「ゼンガー? 誰だ、そいつ?」
タスク「先生、質問みたいッスよ?」
エクセレン「はいは~い、 新入生のマサキ・アンドー君ね?  説明しましょう!」
エクセレン「ゼンガー・ゾンボルト… 私達ATXチームの元隊長で…」
エクセレン「キョウスケやブリット君の お師匠様…ってとこね。わかった? マーサ?」
マサキ「変なアダ名をつけんな!」
ブリット(うわぁ… ペースに巻き込まれてるなあ…)
イルム「そういや、ゼンガー少佐は ライの兄貴やカイ少佐と同じで、 元教導隊のメンバーだったな」
ブリット「…はい」
イルム「…俺達の方は、 身近な人間が裏切らなかっただけ マシだったってことか」
ブリット「お言葉ですが…中尉。 自分は、ゼンガー隊長が裏切ったと思っていません」
ブリット「あの人は自分達に試練を与えるため、 あえてDCやコロニー統合軍側についたんです」
マサキ「端から聞けば、迷惑な話に聞こえるけどな。 …じゃあ、ハンスもそうだって言うのかよ?」
ジャーダ「あの野郎がそんなに殊勝なタマか。 どうせ金か権力目当てで裏切ったに決まってるぜ」
イルム「ま、これでハンスが ビルトラプターをテスト飛行中に 壊そうとした理由に見当がついたぜ」
エクセレン「え?」
イルム「奴は、連邦軍側に単体飛行が可能なPTを 与えたくなかったのかも知れない」
エクセレン「あらん、キョウスケは それのとばっちりで大墜落…ってわけね」
イルム「ま、そういうことになるな」
ブリット「フェアじゃないやり方ですね。 男だったら、正々堂々と行動すべきだ」
ジャーダ「何言ってんだ。 正々堂々としたスパイなんているか」
ブリット「そ、それもそうですね…」
エクセレン「でも、私はちょっとだけハンス中佐に 同情しちゃうけどね」
マサキ「同情? 何でだよ?」
エクセレン「だって、キョウスケを 本気で怒らせちゃったんだもの」
ガーネット「そ、そんなに怖いの?  まあ…確かにいつもムスッとしてて、 コワモテだけど…」
エクセレン「根が暗いからねえ。 ああいうのって、危ないんだから」
イルム「散々だな、キョウスケの奴」
エクセレン(でも、ハンス中佐より気になるのは お姫様のことなのよね…)
エクセレン(DCの連中は どうしてあの子を狙うのかしら…?)
エクセレン(まさか、 自分達のお姫様にするために…って、 そんなわけないわよねえ)

[伊豆基地 司令部]

サカエ「戻られましたか、レイカー司令…」
レイカー「報告書は読ませてもらった。 私の留守中に色々とあったそうだな」
サカエ「申し訳ございません。 全て自分の責任であります…。 かくなる上はいかなる処分も…」
レイカー「いや、お前のせいではない。 責任は私にある」
レイカー「それより、 ハガネとヒリュウ改の主要メンバーを 大至急招集してくれたまえ」
サカエ「わ、わかりました」

[不明 (司令室)]

ダイテツ「30日?」
セイカー「そう…。 それが我々に与えられた猶予の期間だ」
ダイテツ「解せんな…。何故、エアロゲイターは 一気に地球へ攻めてこんのだ?」
テツヤ「奴らの目的は 地球圏の征服ではないのでしょうか…?」
ショーン「観光が目的だとすれば、 あのホワイトスターはいささか物騒な乗り物ですな」
ショーン「ところで、司令…。 レビ・トーラーという女性の映像は 送られて来ていなかったのですか?」
レイカー「ああ、音声のみだ」
ショーン「それは残念ですな。 個人的に異星人の女性に興味があったのですが…」
ダイテツ「そういう所は、 本当に相変わらずだな、ショーン」
レイカー「いずれにせよ、 我々以上の技術力を有する彼らが 総攻撃を開始すれば…」
レイカー「地球全土が焦土と化すのに 数日とかかるまい」
テツヤ「いくら何でもそんなことは…」
ダイテツ「奴らは長年の偵察によって、 こちらの軍事力や技術力、地球各地の主要拠点を ほぼ知っているはずだ」
ショーン「それに加え、地球側にはない空間跳躍技術と 未知の兵器を用いた奇襲攻撃…」
ショーン「下手をすれば、 数時間で終わりかも知れませんなぁ」
テツヤ「そ、そんな…!」
ショーン「さらに、 あのホワイトスター自体が惑星破壊用の 爆弾であるとも考えられます」
テツヤ「で、では…エアロゲイターの 目的は地球そのものの破壊…?」
ショーン「あるいは、太陽系の全てを 滅ぼすつもりかも知れませんぞ」
テツヤ「……!」
レフィーナ「副長、 テツヤ大尉をからかうのはやめて下さい」
テツヤ「レ、レフィーナ艦長…」
レフィーナ「エアロゲイターの目的が地球の破壊なら、 とうの昔に達成されているはずです」
レフィーナ「何も私達の前に姿を現し、 降伏勧告を行う必要はありません」
テツヤ「そ、そうか…」
ショーン「フフフ…大尉は少々修行が足りませんな」
ショーン「それでは、 ダイテツ中佐の補佐は務まりませんぞ?」
テツヤ「で、ですが、 地球を破壊される…あるいは…」
テツヤ「それと同等の危機が 発生するという可能性は、 決してなくならないと思います」
ショーン「ほう、何故です?」
テツヤ「レビ・トーラーは猶予期間が 過ぎた後の報復手段について、 何も言明していません」
テツヤ「つまり、彼らが 30日後に何をするつもりなのか… 現時点ではわからないのです」
テツヤ「よって、最悪の事態は 常に念頭に置いておく必要があると思われます」
ショーン「ふむ…。 どうやら前言を撤回した方がよさそうですな」
ダイテツ「当たり前だ。 ワシが見込んで育てている男だぞ。 ただ…酒はからきし駄目だがな」
ショーン「それはもったいない。 人生の半分は損しておりますな」
テツヤ(や、やっぱり、 からかわれてるだけなのか…?)
レイカー「私やノーマン少将の見解も テツヤ大尉と同じだ」
レイカー「EOT特別審議会は異星人との交渉の 準備に入っているが…」
レイカー「我々軍人は、最悪の事態に 備えて行動せねばならん」
ダイテツ「連邦軍はホワイトスターへの 反撃態勢に移るのか?」
レイカー「いや…シュトレーゼマン議長の政治工作で、 今回の件の全権はEOT特別審議会に委ねられた」
ダイテツ「何だと…!」
レイカー「そして、 連邦軍にはエアロゲイターとの 戦闘禁止命令が出された」
レフィーナ「そんな!  彼らが大人しくしている保証など ないのですよ!?」
ショーン「専守防衛の上、 反撃は厳禁というわけですか。 それは困りましたな…」
ダイテツ「ふん…。 いざとなれば現場の判断で行動するまでだ」
ショーン「ええ。 それが昔からの私達のやり方ですからね」
ショーン「もっとも、 そのおかげでお互い出世とは 縁が遠くなってしまいましたが」
レイカー「いや…そうも言っていられんぞ」
ダイテツ「どういうことだ?」
レイカー「ハガネとヒリュウ改には、ジュネーブの 防衛任務命令が出されている」
ショーン「ふむ…。EOT特別審議会は 我々に鈴を付ける気ですな」
レイカー「この命令に従わなければ、 私やノーマン少将は更迭され…」
レイカー「お前達は、 艦や機体を接収されることになるだろう」
ショーン「我々の命令違反が、 徹底抗戦派である地球圏防衛委員会の面々を 一掃するきっかけとなるわけですな」
ダイテツ「………」
レイカー「今、軍内部で 事を荒立てるのは得策ではない」
レイカー「すまんが、とりあえず お前達はジュネーブへ向かってくれ」
ダイテツ「………」

[不明 (格納庫)]

マサキ「よう、リューネ。 ヴァルシオーネのコックピットで 何やってんだ?」
リューネ「ラーダとリョウトに メモリーを調べてもらってんの」
マサキ「メモリーを? 何のために?」
リューネ「ヴァルシオーネは 親父が造った機体だから…」
リューネ「メモリーにDCの情報が 入ってるんじゃないかと思ってね」
クロ「DCの情報?」
リューネ「うん。もしかしたら、 残存部隊が拠点にしてる秘密基地の 位置なんかがわかるかも知れないし」
クロ「ニャるほどね。 そしたら、例の王女様が連れ去られた場所も 見つけられるかも知れニャいニャ」
リューネ「ちょっとセコいやり方だけど、 今のDCをこのままほっとくわけには いかないからね」
リューネ「ところで、二人とも… どう? 何かわかった?」
リョウト「シークレットデータの ファイルらしき物は見つけたけど…」
ラーダ「プロテクトが あと一歩の所で解除できないの」
リューネ「ふ~ん…」
リョウト「ここに表示されてる パスワードの続きさえわかればいいんだけど…」
ラーダ「! そうだわ…」
リョウト「答えがわかったんですか!?」
ラーダ「そうじゃないけど…こんな時に効果がある ヨガのアサナを教えてあげるわ」
リョウト「え…遠慮しときます」
ラーダ「じゃ、 クロちゃんとシロちゃんはどう?」
シロ「か、勘弁してくれニャ~」
マサキ(猫にも出来る ヨガのポーズなんてあンのか?)
リューネ「ねえ、リョウト。 表示されてるパスワードって、どんなの?」
リョウト「『のさばる悪を何とする』。 この後に続く言葉があるらしいんだけど…」
リューネ「何だ、そんなの簡単よ。 続きに『天の裁きは待ってはおれぬ』って 入れてみてよ」
リョウト「う、うん…」
(解除音)
ラーダ「! プロテクトが解けたわ!」
リューネ「でしょ?」
マサキ「…さっきのパスワードって何なんだよ?」
リューネ「あれ、 あたしが好きな古い日本の時代劇の オープニングナレーションなんだ」
マサキ「へ~え…。 お前って、結構物知りなんだな。 ちょっと見直したぜ」
リューネ「え? あたしを?」
マサキ「ああ」
リューネ「ありがと。お世辞でもうれしいよ」
ラーダ「あら、 何か映像が出てきたわ」
リューネ「映像?」
ラーダ「ええ。 データに添付されていたみたいね」
(雑音の混じった通信)
ビアン「…リューネよ、我が娘よ…」
リューネ「! 親父…!?」
ビアン「…お前がこの映像を見ている頃、 私はこの世にいないだろう」
ビアン「…私の死後、 予想され得る状況に対処できるよう、 このデータをヴァルシオーネに残しておく」
ビアン「これをどう使うかは お前の望むようにするがいい…」
リューネ「………」
リョウト「!  ラーダさん、このデータを見て下さい!」
ラーダ「DCの各種計画書、EOTのデータ、 エアロゲイターのデータ…」
ラーダ「どれも重要度の高い情報ね」
リョウト「これなら、DCの残存部隊の 本拠地の位置をしぼり込むことが 出来るかも知れませんよ」
マサキ「それ、すげえじゃねえか!」
シロ「ホントだニャ!」
リューネ(…親父……)
リューネ(…後のことも色々と考えてたんだね……)
(扉が開閉する)
ロバート「リョウト」
リョウト「オオミヤ博士…」
ロバート「例のリオンの改修作業が終わったぞ」
リョウト「本当ですか?  思っていたより早かったですね」
ロバート「きちんと プランニングされていたおかげさ」
マサキ「例のリオンって…何なんだ?」
リョウト「武装や装甲を強化したリオン… フルアーマー・リオン」
リョウト「名付けて、アーマリオン。 僕が立案した機体なんだ」

[不明 (基地内)]

アヤ「イングラム少佐…ただいま戻りました」
イングラム「ご苦労だったな。 R-3の方はどうだ?」
アヤ「何とか使用できる状態になりました。 次からの実戦に参加するつもりです」
イングラム「そうか。 コバヤシ博士の下で調整を行ったのが 功を奏したようだな」
アヤ「え、ええ」
イングラム「R-2とR-3の プラスパーツが完成するまで、まだ少し時間がある」
イングラム「それまでにT-LINKシステムを 使いこなせるようになっておけ」
アヤ「はい。 ところで…一つ質問をしてよろしいでしょうか…?」
イングラム「何だ?」
アヤ「少佐は、リュウの母親が 特殊脳医学研究所にいたことを ご存じだったんですか?」
イングラム「…ああ」
アヤ「まさか、それであの子をSRX計画に?」
イングラム「いや、偶然に近い、な。 だが、リュウセイには黙っておけ。 ユキコ・ダテも事実を教えていないようだからな」
アヤ「は、はい…」
イングラム「…間もなく、 次の作戦命令が出る。持ち場に戻れ」
アヤ「…了解です。では、失礼します」
(扉が開閉する・アヤが立ち去る)
イングラム(…ユキコ・ダテ…)
イングラム(彼女が“力”を失っていなければ…)
イングラム(今頃は……)

[伊豆基地 ブリーフィングルーム]

ラーダ「リューネが提供してくれたデータで… DC残存部隊が集結している可能性の高い 場所が判明しました」
レフィーナ「その場所とは?」
ラーダ「アフリカのケニア周辺地下に 建設されている巨大人工冬眠施設、 『アースクレイドル』です」
レイカー「やはり、実在していたか」
ラーダ「計画書では 建設が中断されていることになっていますが…」
ラーダ「今までのDC残存部隊の 活動範囲から判断して…」
ラーダ「何らかの形で建設が続行され、 現在は戦力拠点として使用されている 可能性が高いと思われます」
テツヤ「しかし、アースクレイドルは プロジェクト・アークに基づいた 人工冬眠施設のはずでは?」
ショーン「いえ…ムーンクレイドルには 機動兵器のプラントや整備施設が 併設されておりましたからな」
ショーン「アースクレイドルが あれと同規模の施設だと仮定すれば…」
ショーン「DC残存部隊にとって この上ない地下秘密基地となります」
レフィーナ「そして、 シャイン王女もそこへ連れ去られた 可能性が高いということですね…」
ダイテツ「………」
ショーン「いかが致しますか、艦長?  これでDC残存部隊の拠点の 目処がついたわけですが…」
ダイテツ「…とりあえず、上層部からの 命令通りにジュネーブへ向かう」
ショーン「とりあえずと言いますと?」
ダイテツ「おそらく、DC残存部隊は 現状の巻き返しを図るためにジュネーブを ピンポイントで狙ってくる可能性が高い」
ダイテツ「ワシの読みが当たれば… ワシらは敵の中核部隊と戦うことになるだろう」
ショーン「なるほど。 外堀から埋めるというわけですな」
ダイテツ「ああ。 上手くいけば、頭を潰すことが出来るかも知れん」
ダイテツ「では、レフィーナ艦長、テツヤ大尉… 直ちにヒリュウ改とハガネの出撃準備を」
レフィーナ「わかりました」

『リペアキット』×2を入手した。
『カートリッジ』×2を入手した。
『プロペラントタンク』×2を入手した。

『アーマリオン』を入手した。


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