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リューネ、そしてヴァルシオーネ ~ 第24話 ~

[伊豆基地 内部]

ケンゾウ「久しぶりだな、アヤ」
アヤ「ええ、お父様…」
ケンゾウ「ハガネで行っていた T-LINKテストのレポートを 読ませてもらった」
ケンゾウ「現状のままでは、 R-3の完成が予定より大幅に遅れてしまう」
アヤ「すみません…。でも、 私は今以上の力を出すことは…」
ケンゾウ「R-1の物とは違って、 R-3のT-LINKシステムは 特別製だ。お前にしか扱えん」
アヤ「私には無理です…。 リンク中にどうしても昔のことを 思い出してしまうんです」
アヤ「あの事故で亡くなってしまった お母様やマイのことを…」
ケンゾウ「あれはお前のせいではない。 マイが実験中に力を暴走させ、 研究所を吹き飛ばしたのだ」
アヤ「私達は、そうまでしてT-LINKシステムを 完成させなければならないのですか?」
ケンゾウ「…すでに異星人の巨大要塞が L5宙域に現れている。あのような物体を 破壊するにはSRXが必要だ」
ケンゾウ「そして、あれが力を発揮するためには…」
アヤ「…わかっています…」
ケンゾウ「なら、いい。 今日からはシステムに過去の被験者のデータを インプットし、補助とする」
アヤ「誰のデータなんです?」
ケンゾウ「…お前が生まれる前、 特殊脳医学研究所にいた人間だ。 …名はユキコ・ダテ」
アヤ「ダテ…?」
アヤ「も、もしかして…リュウセイの!?」
ケンゾウ「………」

[伊豆基地 司令部]

オペレーター「ハガネの打ち上げ終了。 5分4秒後に大気圏から離脱します」
レイカー「ヒリュウ改は?」
オペレーター「ハガネとの 合流ポイントへ移動中です」
サカエ「レイカー司令、 総合参謀本部より暗号電文が入っています」
レイカー「内容は?」
サカエ「最重要機密指定ですので、 司令以外の人間には読めません」
レイカー「…穏やかではないな。 こちらへ回してくれ」
サカエ「はっ」
レイカー「…………」
レイカー(! 何と…)
ハンス(総合参謀本部からの 最重要機密事項か…一体、何だ?)
レイカー「すぐに特別機と 護衛機の用意してくれたまえ。 今から私はジュネーブへ行く」
サカエ「総合参謀本部へ?」
レイカー「うむ。地球圏防衛会議が 急きょ開かれることになった」
レイカー「私はしばらくこの基地を空ける。 後のこととシャイン王女は君達に任せるぞ」
サカエ「了解です」
ハンス(…司令やハガネが不在…。 これはチャンスかも知れんな)


第24話
リューネ、そしてヴァルシオーネ

〔戦域:衛星軌道上〕

(ハガネが出現)
テツヤ「艦長、 本艦は大気圏を離脱しました」
ダイテツ「機関停止。 ここでヒリュウ改を待つ」
テツヤ「了解です」
エイタ「ホワイトスターの 映像をキャッチしました。 メインモニターに回します」
(モニターオン)
キョウスケ「直径約40キロの 球状要塞か…スペースコロニーの 倍以上の大きさだな」
リュウセイ「あいつら、あんな物を 隠し持ってやがったのか…」
エクセレン「まさに 『隠し球』って感じ?」
リュウセイ「上手い! 座布団一枚!」
エクセレン「わお! もう一声!」
キョウスケ「つまらんことを 言ってる場合じゃないぞ、二人共」
ライ「そのとおりだ」
エクセレン「あらら… お互い相方のツッコミが厳しくて 大変ねえ」
リュウセイ「まったくだぜ」
ライ「…誰が相方だ」
ダイテツ「エイタ、敵の動きは?」
エイタ「いえ、ありません」
ダイテツ「そうか…」
テツヤ「妙ですね。奴らは間髪入れず 総攻撃を仕掛けて来るものだと 思っていましたが…」
ダイテツ「うむ。地球圏の偵察なら、 今までバグスやスパイダーで 充分にしておったはずだからな」
キョウスケ「エアロゲイターには 何か別の目的があるのでしょうか?」
テツヤ「それを調べるのが 俺達の任務だ」
エイタ「艦長、ヒリュウ改が来ました」
(ヒリュウ改とサイバスターが出現)
レフィーナ「お待たせしました。 自分はヒリュウ改艦長、レフィーナ・ エンフィールド中佐であります」
ダイテツ「ハガネ艦長、 ダイテツ・ミナセだ」
ショーン「お久しぶりです。 やはり、艦長は宇宙の方がお似合いですな」
ダイテツ「そちらも元気そうで何よりだ」
ショーン「聞いた話では、 ハガネの方も美人揃いだとか」
ショーン「いやまったく、 お互い環境には恵まれているようで 何よりですなあ」
レフィーナ「あの…副長、何を…?」
ショーン「いやいや、こちらの話です」
ダイテツ「…そういう所も 相変わらずだな、ショーン」
リュウセイ「なあ、おい… あれってサイバスターじゃねえか?」
エイタ「ホ、ホントだ!」
マサキ「よう!  久しぶりだな、リュウセイ」
リュウセイ「お、お前… 何でそんな所にいるんだ!?  もしかして、また迷ったのか?」
マサキ「お前な…俺がしょっちゅう 迷子になってると思ってるだろ?」
リュウセイ「違うの?」
マサキ「あ、あのなぁ…」
(アラート)
テツヤ「何だ!?」
エイタ「高速で接近する物体あり!」
テツヤ「エアロゲイターか!?」
エイタ「ち、違います! 識別はDC!  1機で正面から突っ込んで来ます!」
ダイテツ「総員、第1種戦闘配置!」
レフィーナPT部隊、 直ちに出撃して下さい!」
(出撃準備)
クロ「それにしても、正面から 1機で突っ込んでくるニャんて…」
シロ「まるでマサキみたいだニャ」
マサキ「思い切りが 良くていいじゃねえか」
マサキ「それぐらいの度胸を持った奴なら、 案外DCのお偉いさんかも知れねえな」
ライ(もしや、エルザムか…?)
ユン「DC機、来ます!」
(ヴァルシオーネが出現)
イルム「な…何だ、ありゃ!?」
ブリット「キョウスケ少尉!  あの機体、女の子の姿をしてますよ!」
キョウスケ「こちらでも確認した。 PTやAMではなさそうだな」
エクセレン「わお、いいんじゃなぁい?  外装だけ引っぺがして ヴァイスちゃんに被せようかしら?」
ライ「…顔が尖るぞ」
イルム「やれやれ…どこのどいつが あんな趣味的なモンを作ったんだ?」
タスク「う~ん…。 フィギュアにしたら売れるかも」
リュウセイ「か……」
ガーネット「カ?  また刺されちゃったの?」
リュウセイ「可愛い…!」
ガーネット「あ、あんたねえ… そういう趣味だったの?」
エイタ「艦長!  DC機から通信が入っています!」
ダイテツ「受信しろ」
リューネ「ようやく会えたわ、ハガネ!!」
リオ「女の子の声!?」
マサキ「誰だ、お前?」
リューネ「あたしの名前は リューネ・ゾルダーク! あんた達に 殺されたビアン・ゾルダークの娘よ!!」
リョウト「! ビアン博士の!?」
マサキ「そういや、あのオッサンは 娘がいると言ってやがったな…」
リューネ「あんたらにとっては 敵だったんだろうけど…」
リューネ「あたしにとっては、 たった一人の親父だったんだ!」
マサキ「!」
リューネ「そりゃ、お世辞にも いい父親とは言えなかったさ」
リューネ「でもね…… カタはつけさせてもらうよ!!」
リョウト「そんなことをしたって、 何にもならない! 復讐は復讐を 呼ぶだけだよ!!」
リューネ「知ったようなことをっ!!」
マサキ「へえ、あのビアンの おっさんの娘っていうから、 どんないかつい顔の女かと思ってたけど…」
マサキ「お前、結構可愛いじゃないの」
リューネ「な……何を言ってる!!」
マサキ(おや、 こいつ…意外と純情なんだな)
マサキ「ところで… ちょいと聞きたいんだがよ」
リューネ「何だ!?」
マサキ「お前、DCのメンバーなのか?」
リューネ「…今のDCは親父の 作ったものとは違う! あたしは あんなものとは一切関係ない!」
マサキ「だったら、今そこに 出現しようとしているのは何だ?」
リューネ「えっ!?」
(DC軍が出現)
リューネ「! あいつらは…」
キョウスケコロニー統合軍の残党か」
カチーナ「あのDCの女…!  あたし達をワナにはめたのか!!」
キョウスケ「まだそうと 決まったわけじゃないが… どうなっている?」
ジーベル「クックック…ここで ヒリュウ改とハガネを沈めれば… 俺の立場は絶対的なものとなる」
ジーベル「そうなれば、 あのゼンガー・ゾンボルトに 大きな顔をさせずにすむ」
エクセレン「あらら、 ジーベル・ミステル…生きてたのね」
ガーネット「知ってんの?」
エクセレン「まあね。使う手は セコいわ、しつこいわで… 女には嫌われるタイプの男って感じ」
ジーベル「リューネ・ゾルダーク、 お前がビアン総帥の娘なら、 志を共にした我々へ手を貸せ!」
ジーベル「ここでハガネと ヒリュウ改を沈め、連邦を倒し…」
ジーベル「我らコロニー統合軍と DCで世界を再統一するのだ!!」
リューネ「………」
マサキ「お前、本当にDCと関係ないのか?」
リューネ「くどい!! それほど 言うんなら証拠を見せてやるよ!」
(ヴァルシオーネが一番ハガネよりの一群(SF-29ランゼン×6)の間に移動しサイコブラスターを発射)
ジーベル「何!?  貴様、我々を裏切ったか!?」
リューネ「裏切りだって!?  裏切ったのはあんただろ!」
リューネ「親父の作ったDCやマイヤー 総司令のコロニー統合軍は…」
リューネ「毒ガスなんて 使おうとしなかったはずだよ!」
ジーベル「…何のことだ?」
リューネ「とぼけたって無駄さ」
リューネ「あんたが毒ガスを使って コルムナを手に入れようとしたことは 知ってるんだからね!」
ライ「彼女の話は本当なのか?」
ラーダ「ええ…。 私達が何とか食い止めたおかげで コルムナは無事だったけど…」
リオ「な…何て奴なの!  宇宙ステーションで毒ガスを 使うなんて最低よ! 許せない!」
リューネ「さあ、 どう言い訳するつもりなのさ!?」
ジーベル「フン…。マイヤーやビアンは 非情に徹し切れなかったからこそ 戦争に破れて死んだのだ」
ジーベル「だが、俺は違う!  目的のためには手段を選ばん!」
タスク「あらら… こりゃまた悪役お決まりの台詞だな」
エクセレン「なりふりの構わなさなら 負けないつもりだけどね」
リューネ「あんた達、 邪魔するんじゃないよ!」
リューネ「あいつらは あたしが仕留めるんだ!  あんたらの相手は後でやってやる!」
ジーベル「全機、攻撃開始!」
ジーベル「レオナ・ガーシュタイン 少尉、お前は俺の艦を防衛しろ。 いいな?」
レオナ「………」
タスク「! あの機体、 もしかして……トロイエ隊の 隊長にくっついてた…」
エクセレン「そう言えば… 統合軍旗艦艦隊との決戦の時、 あの子はいなかったわねえ」
タスク(……そうか…。 生きてたんだ、あの子……)
ライ(レオナ…俺の父は死んだ…)
ライ(…それでも お前はコロニー統合軍に 残るというのか…?)
レオナ(…………)
レオナ(…今のコロニー統合軍に… マイヤー総司令のご遺志は存在しない)
レオナ(ユーリア隊長…エルザム少佐… 私はどうすればいいのですか…?)
(作戦目的表示)

〈1EP〉

ジーベル「貴様ら、何をしている!  さっさと奴らを始末しろ!」
レオナ「………」
レオナ(…あんな男を守るぐらいなら、 私はユーリア隊長のように戦って 死ぬことを選ぶ)
(レオナ機がハガネの方へ動く)
ジーベル「レオナ少尉、どこへ行く!?  貴様の任務は俺を守ることだぞ!」
レオナ「私が命をかけて守る対象は マイヤー・V・ブランシュタイン 総司令ただ一人…」
ジーベル「何だと!?  上官の命令に逆らう気か!」
レオナ「ええ。このまま 生き恥をさらすつもりはなくてよ」
レオナ「私はトロイエ隊の名を 汚さぬためにも…ここで戦って死ぬ」
ジーベル「き、貴様…!」
レオナ「ヒリュウ改、そしてハガネ… 私の最期の意地を見せてあげる!」
タスク「!!」
ライ「レオナ…死ぬ気か…!?」

レオナを撃墜したのは
タスク ライ タスク、ライ以外


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