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北の大地、燃ゆ キョウスケルート ~ 第7話 ~

[ラングレー基地 格納庫]

タスク「なあ…頼むぜ、博士!」
マリオン「…しつこいですわねえ。 何度言ったらおわかり? あなたは…」
エクセレン「ラドム博士、私が使ってたゲシュちゃんを、 ラッセル君に……って、あらん?」
タスク「だから、俺が使いこなしてみせるって。 あの秘密兵器をよ!」
マリオン「そういう台詞はPTの適性検査に 合格してから言った方がよろしくてよ」
タスク「あれはPTじゃねえから関係ないって!」
マリオン「………」
エクセレン「何か…取り込み中みたいねえ。 はいはい、タスク君、そこまで」
エクセレン「あんまりしつこいと、 アルトのヒートホーンへくくりつけられても 知らないわよ?」
タスク「…そりゃ熱そうだ」
タスク「じゃない、エクセレン少尉!  少尉からも戦力が増えれば、 楽になるって言って下さいよ!」
エクセレン「まあねえ。 でも私は、戦力もいいけど、いい男が増える方が 嬉しいけどね」
タスク「ビンゴ! じゃあ、 完ペキじゃん! いい男、かつ戦力に なるってことで俺をパイロットに!」
エクセレン「ヒートホーン行き決定ね」
タスク「あ、あらら…」
リシュウ「タスク!  手が空いてるならこっちを手伝ってくれんか?」
タスク「何スか、先生?  俺、今忙しいんスけど…」
リシュウ「断るんなら、 木刀の素振りを千回やらせるぞ!」
タスク「いえ、手伝わせて頂きます。喜んで」
(足音・タスクが立ち去る)
エクセレン「あらあら… あのやる気は買いなんだけどねえ」
マリオン「よりによって、 『ジガン』に目を付けるなんて…。 カチーナ中尉よりあざといわね」
エクセレン「ジガンって…あれのこと、博士?  地球圏最強の番人…。 やっぱり、ヒリュウ改に?」
マリオン「あなたには隠しても無駄ね。 そうですわよ…16年前のホープ事件の 引き金にして、最大の被害者…」
エクセレン「…使えるの?  今となってはかなり古いタイプだし、何より…」
マリオン「わかっておりますわ。 テスラ・ドライブが今の状態では、 運用など出来はしない」
マリオン「それに…あれはあくまで秘密兵器… 秘密のままで、戦争は終わってほしいものですわね」

《コロニー・エルピス》

[コロニー統合軍総司令部]

ユーリア「トロイエ隊、 ユーリア・ハインケルです」
リリー「総司令、 ユーリア少佐が参りました」
マイヤー「通せ」
リリー「では、少佐…」
ユーリア「は、失礼します。 マイヤー総司令…お呼びでしょうか?」
マイヤー「うむ。 お前達の部隊がコルムナや通信衛星の制圧に 成功したおかげで、我が軍とDCは優勢だ」
マイヤー「だが、ここ最近お前達に無理を させ過ぎているように感じられてな…」
ユーリア「総司令」
マイヤー「む…?」
リリー「どうしたのです、少佐。 総司令のお言葉に何か不服でもあるのですか?」
ユーリア「いえ。 我がドロイエ隊は総司令のためならば、 命を賭けることもいといません」
マイヤー「頼もしいな。 だが、命を粗末にしてはならん」
ユーリア「総司令… やさしいお言葉は自分に…いえ、我々の心に、 わずかなほころびを作ってしまいます」
ユーリア「ですから、どうかお気遣いなきよう…」
マイヤー「フ…まあ良い。 では、トロイエ隊に新たな命令を与える」
マイヤー「DCへの援軍を護衛し、地球へ降下せよ」
マイヤー「その後、 ビアンから新型アーマードモジュールを受け取り、 ここへ戻ってくるのだ」
ユーリア「了解致しました、総司令」

[不明 (執務室)]

マイヤー「トロイエ隊… 良い手駒に育ちつつあるようだな」
リリー「は…。 我が軍の中でも優秀で、忠誠心の厚い 女性ばかりを集めましたので」
マイヤー「フフフ…。 人間の命というものは、時に絶大な 効果を発揮する兵器になる…」
マイヤー「今の連邦軍にとって、 トロイエ隊はDCのラストバタリオン と並ぶ驚異になるであろう」
リリー「…では、エルザム少佐も トロイエ隊と同じように?」
マイヤー「そうだ。 あの男も私の手足となって働く駒に過ぎん」
リリー「………」
マイヤー「私を非情な男と思うか、リリー?」
リリー「いえ……。 総司令は偽りの大地に生きる我らコロニーの民の 命運を背負っておられるお方…」
リリー「それに、コロニー総合府の ブライアン・ミッドクリッド大統領のような 甘いやり方では…」
リリー「我々はいつまで経っても 地球から本当の意味で自立することが出来ません」
マイヤー「そうだ。 我らが激動の時代を生き抜くには、 非情に徹しなければならんのだ…」

《地球連邦軍北米支部ラングレー基地》

[ラングレー基地 ブリーフィングルーム]

エクセレン「ちょっと、ねえ…聞いた? キョウスケ」
キョウスケ「…ああ。 DCの連中…再び上陸して来ているらしい」
エクセレン「日本…極東はヤバいらしいわよ?  戦闘原潜に狙いをつけられちゃってるって」
キョウスケ「厄介だな。 コロニー統合軍も動き出したという話だ。 …一筋縄ではいくまい」
エクセレン「近い…わね?」
キョウスケ「ああ。 でかい戦いになるだろうな」
エクセレン「わお、怖い怖い。 ねえ、キョウスケぇ…いざという時ぃ… 守ってくれる?」
キョウスケ「自分で守れ」
エクセレン「…あらま~、つれないわね、この男は」
エクセレン(いざという時…ね。 それで一回守ってもらってるんだけど 本人は…やっぱ覚えてないわよね)

[ATX計画ラボ]

ジョナサン「こんなところか…。 細かい調整は向こうに着いてからだな」
マリオン「カザハラ博士…。 『グルンガスト』の1号機を持って どこへ行くつもり?」
ジョナサン「ここに私がいる理由はもうないからな。 こいつと一緒にこの基地から逃げ出すことにするよ」
マリオン「な……ッ!?」
リシュウ「…というのは建前で、 SRX計画の手伝いに行くというのが本音じゃろう?」
ジョナサン「やれやれ、先生にはお見通しでしたか」
リシュウ「…お主らしい考えじゃ。 今の状況で太平洋を渡ろうなど、 危険極まりないというのに」
マリオン「どういうつもりですの? カザハラ博士」
ジョナサン「…SRX計画の方は 『Rシリーズ』がまだまともに動いていない」
ジョナサン「開発している機体の数も多いし… ロブ達を手伝ってやらんとな」
マリオン「あなた、敵にスパイスを送るつもりですの?」
ジョナサン「塩だ、塩。それに味方だ。 こんな所にまでカークへの対抗心を 持ち込むんじゃない」
マリオン「あの男に同情する余地はありませんわ。 EOTに目がくらんだツケが回ってきただけでしてよ」
ジョナサン「そういうな。 こちらにはアルトにヴァイス、零式に… 『ジガンスクード』もある」
ジョナサン「せめて、 極東にはグルンガストを持って行ってやらんと…」
マリオン「あなた…今、ジガンスクードと おっしゃいましたわね!?」
マリオン「まさか…動くように!?  ヒリュウ改に封印された…あれが?」
ジョナサン「封印か…君らしい表現だ。 確かに、あれは地球人同士の争いに 使われるべき兵器ではない」
ジョナサン「特に、マリオン… 君のようなスペースコロニー出身の人間に対してはな」
マリオン「………」
リシュウ「じゃが、そうも 言っておれんのが今の状況じゃ」
ジョナサン「ええ。ジガンは旧式ゆえに いじり甲斐のある機体で…あの巨体ですから、 ドライブユニットの組み込みは楽でしたよ」
マリオン「! ジョナサン… あなた、あれを直したの!?」
ジョナサン「ああ。 テスラ研の虎の子、グルンガストを 持っていく代わりにな」
マリオン「虎の子も数の子もありませんわよ!  あれを巡って過去に何が起きたか…」
ジョナサン「マリオン。 現在の状況を打開するには、いわくつきの 旧型機だろうが何だろうが…」
ジョナサン「使わなければならないのは お前さんもわかっているだろう?」
リシュウ「ジョナサンの言うとおりじゃ。 今のワシらにDCへの対抗手段を 選んでおる余裕はない」
リシュウ「だからこそ、 彼は危険を承知で日本へ行こうともしておるんじゃ」
マリオン「………」
ジョナサン「それに… たまには息子に親らしいことをしてやらんとな」
リシュウ「そうか… 今、イルムは極東支部にいるんじゃったな。 では…彼によろしく伝えてくれ」
ジョナサン「ええ。先生達もどうかご無事で…」
(扉が開閉する・ジョナサンが立ち去る)
マリオン「………」


第7話
北の大地、燃ゆ

〔戦域:ラングレー基地周辺〕

(ヒリュウ改とタウゼントフェスラーが出現)
ジョナサン「すみませんな。 わざわざ戦艦を出してまで、 見送って頂けるとは…」
ショーン「いえいえ。 ジカンスクードを修理して頂いたお礼… というわけではありませんが…」
ショーン「こういう時こそ、 狙い目でして。私が敵ならば…」
ショーン「劣勢を立て直すための 補給物資輸送…こんなおいしい タイミングは、逃せません」
ジョナサン「いや、 おいしいって言われましても…」
キョウスケ「状況は?」
ユン「…はっきりしません」
ユン「衛星がコロニー統合軍に 押さえられてから、敵の動きが 掴みにくくて…」
ブリット「しかも、前回の時… 警戒ラインのレーダーサイトが 破壊されてますし…」
ブリット「衛星は使えない…警戒機も“上” からリンクジャックで狙い撃ちされる…。 今、この基地はかなり危ない状態です」
エクセレン「なるほどね。 下準備は万全…ってとこ?」
ゼンガー「うむ。 MAPWによる攻撃が防がれた時を 想定し、策を打っていたようだな」
ゼンガー「テンペスト・ホーカー… 敵ながら見事だと言えよう」
ブリット「さすがは 元教導隊ってわけですね…」
エクセレン「ほめても何も出ないけど、 余計なものは出てくるかもね」
ジョナサン「どうやら、 雲行きが怪しそうだな」
ジョナサン「グルンガストをDCに 奪われるわけにはいかんし… さっさとお暇するとしよう」
(タウゼントフェスラーが北へ動く)
キョウスケ「やはり、嫌な予感がする。 隊長、博士に護衛をつけた方が…」
(アラート)
ユン「艦長!  AMらしき機体、急速接近中です!」
レフィーナ「!!」
(ガーリオン、リオン・タイプF、リオンが多数出現)
ユーリア(ヒリュウ改…。 かつての外宇宙航行艦を 改造した戦艦か…)
レオナ「よろしいのですか、隊長?  ここで時間を無駄にするわけには…」
ユーリア「この基地に所属する ATXチームは、手応えがあるという 報告を聞いた」
ユーリア「彼らが どれだけの力を持っているか… この目で確かめたい」
レオナ「ハガネと同じように… ですか?」
ユーリア「そういうことだ」
レオナ「…わかりました、隊長」
ジョナサン「やれやれ…そう上手く事が 運ぶはずはないと思ってはいたが…」
キョウスケ「博士! 帰還してください!」
ジョナサン「いや、このまま抜ける!  目を付けられてしまった以上、 脱出するチャンスは今しかない!」
マリオン「そんな無茶を…!  グルンガストが敵に奪われでもしたら、 どうする気でして!?」
ジョナサン「…その前に 私の心配をしてもらえんかね?」
レフィーナ「副長、ヒリュウ改で タウゼントフェスラーを護衛し、 この空域から離脱させます!」
ショーン「ここは押し切るしかないと…。 賢明なご判断です、艦長」
レフィーナ「ATXチーム、出撃を!」
(出撃準備)
レオナ「隊長、 敵の迎撃部隊が出撃しました」
ユーリア「…なるほど、 彼らがATXチームか」
ゼンガー「…あの機体のマーキング、 DCのものではない。 ならば、コロニー統合軍か」
ブリット「コロニー統合軍… 俺達のもう一つの敵…!」
カチーナ「ケッ、あいつら… 宇宙じゃ敵がいないってんで、 DCの手伝いにでも来たのか!?」
ユーリア「部隊を二手に分ける。 狙いは輸送機と敵の迎撃機だ」
ユーリア「出来れば、輸送機の中身は 無傷で奪取しろ」
エクセレン「あらん、 案の定こっち相手とフェスラー狙いで 分かれるみたいねえ」
エクセレン「カザハラ博士、 がんばってね~!」
ジョナサン「いや、その援護に 出てきたんじゃないのか!?」
エクセレン「まあまあ、 気持ちは前向きにって事よん」
ゼンガー「アサルト1より各機へ。 タウゼントフェスラーを援護し、 この空域から脱出させろ」
ゼンガー「ただし、いつ敵の 増援が現れるかわからん状況だ。 基地司令部の防衛も忘れるな!」
キョウスケ(奴ら自体が、 陽動かも知れんということか…!)
(作戦目的表示)

ユーリアを
撃墜した 撃墜する前に3PPになった


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